殺し屋JKと異端なDS   作:りこりこ・りこりこ

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06 Show me your underwear. Quickly!!

 

 

「クルミちゃセンパイ! 次は勝つからね! またやろう!」

ちゃ(・・)先輩ってなんだ? 茶ぁの先輩か? ……まぁ、いつでも受けてたってやろう。早々ボクを超えれるとは思わない事だな? リコリコの頭脳をナめるんじゃないぞ、若人よ」

「次! 次こそ負けないよっ!」

 

 

ゲーム大会も終わり。

たきなの活躍、そしてその後は龍やクルミもちゃっかり参戦して、戦術変えたりパターン変えたりで結局HN:FUKIに完勝した。

千束は大笑い、別の場所でFUKIは大絶叫だったりする。

 

 

それで、ゲーム機を片付けてしっかりと綺麗な状態に戻して明日に備えよう―――とクルミと龍の2人はしていたのだが、一番賑やかで喧しい千束は話の中に入って来ない。

たきなは、DAの制服のままゲームをしていたので、今は着替えに言ってる。

異様に静かな気がするなぁ……と、頭の何処かで考えていたその時だ。

 

 

「ねぇ、2人とも」

「「ん?」」

 

 

不意に、千束から声をかけられた。

何だか静かだったからこそ、千束の声はよく響いてきたし、何だか頭に入ってくる感覚もあった。何か重要な事でもあるのかな? と思っていたんだけど……予想の斜め上を行く。

 

 

「たきなのパンツ見た事ある?」

 

「ある訳ないだろ」

「……男の僕に一体ナニ聞いてんのさ。情操教育云々とやらはどこ行った?」

「なにマセてんだよ龍。たかがパンツくらいの話で赤くなりやがって。実際見た訳でもなしに~」

「ま、マセって! クルミちゃセンパイだって似たようなもんじゃん!」

 

 

まさかの真顔での千束の質問に、最初こそは固まりそうになった自分がいたが、クルミが即答をした事もあって、何とか思考停止を解除出来た。

普通に男が女のパンツの話をすればセクハラだ。

だけど、見てくれ関係により、別に龍が話をしたって、子供だから~、おませさん~、で受け流されてしまうので、別段気にする事無いだろう、と言うのが大体の意見。

龍はそうはいかない様だが。

 

 

「なんだよなんだよ~、龍はたきなにベッタリな所あったし、色々と傍に居たから見てたと思ったのに~~」

「……それ以上に千束姉ちゃんと一緒にも居たんだけど? どっちかと言えば姉ちゃんの方がメチャクチャベッタリだったし。この理屈なら、ぼく、姉ちゃんのパンツも見てるって事になるんだけど?」

「えぇ~~~、龍ってば、私もパンツ見ちゃったのぉ~~? そんなに見たかったのぉ~~? えっちぃぃ、も~~しょーがないんだからぁ~~~」

「………………」

 

 

クネクネ、と身を捩らせる千束。

それを白けた顔で視る龍。【無】と言う表現がピッタリ当てはまるそれは、中々に精神的ダメージがデカい。或いは絶対零度な眼差しか。

 

 

一瞬痛い程、冷たい程の沈黙が流れ出て――――速攻で千束は根を上げた。

 

 

「ちょっとーー! そんな目で見ないでよ!」

「いや。……姉ちゃん、実は痴女だったんだなぁ~って思って」

「誰が痴女か! 花のJK捕まえといて!」

 

 

うりゃぁ! と、龍に飛び掛かってくるが、今回ばかりは龍は闘牛士の如くひらりひらりと躱す。

それを横目に見ていたクルミは深くため息を吐いた。

 

 

「お前ら店の中でイチャイチャしてんなよ。ミズキが更に怒るぞ。……それで、一体なんの話だったんだ? 千束はノーパン派って話か?」

「いやいやいや、そんな訳ないって」

「……痴女姉ちゃんなら或いは……」

「或いは……、じゃねーわ! 痴女じゃねーわ!」

「いたっ!」

 

 

ポコッと頭を叩く。この時はしっかりとヒットした。

クルミは、ふーっと息を吐くと。

 

 

「なら、何を穿いていよーとたきなの自由だろ?」

「……………むぅ」

「さっきから姉ちゃんほんとどーしたの? 何でパンツの話になってるの?」

 

 

痴女云々は置いといて、疑問を純粋にぶつける龍。

クルミが言う様にたきなが穿くのだから別に彼女の自由と言うのも正論。超がつく正論だ。意味なく下着まで管理される様なブラックでセクハラ? な職場でもあるまいし。

 

でも、千束はただただ唸るだけで明確な答えは返ってこず……軈て意を決した様に立ち上がると、素早い動きで女子更衣室の方へと向かっていった。

 

 

「……まさか、千束姉ちゃん、たきな姉ちゃんのパンツ脱がそうとか考えてないよね?」

「それ、今頭の中で光景を想像してんのか? このエロガキ」

「うっさいな、マセガキ」

 

 

ロリとショタがジロジロと睨み合い、一触即発~な状態になっていた時だった。

 

 

 

『そーーーじゃなくて、男物じゃん!!!!』

 

 

 

千束の一際大きな声が、店内中に響き渡ったのは。

 

 

どうやら、千束はあのゲームの時。

たきなの空中殺法(アクロバティック)なプレイを見た時に、スカートの中が見えたとの事。そこに可愛らしい下着があれば良かった? のだが、眼前に飛び込んできたのは……………。

 

 

 

千束は、それを見てこの騒動を起こした。……騒動にする意味はいまいちわかりかねるが、千束曰く『乙女にとっては大事件』との事。………いまいちわかりかねる。

 

 

 

そして、開かれるは査問会。

疑われる相手は、ミカである。

 

 

 

ミカも、突然呼ばれた形だから、一体何があったのか~と思うかもしれないが、実はそんな訳がない。

何故なら、千束の声が店内中で駄々洩れだったので、改めて聞く必要はないからだ。

 

 

「つまり、たきな姉ちゃんのパンツが男物(トランクス)だった、と」

「そんでもって、たきなは、トランクス(それ)がリコリコ指定のパンツだと勘違いした、と」

「………何をどーやったら、そんな勘違いするのかな?」

「知るか。その為の査問会だろ」

 

 

丁度、ミカは店の奥から出てきて、千束に捕まっていた。

勢いよく、カウンター席をバンッ!! と叩きながら鬼の形相で千束は詰め寄る。

 

 

「聞かせて貰いましょうか!?」

「店の服は支給するから、下着だけは持参してくれ、といっただけだが」

 

 

ミカは別に動じる事はなく、いつものアソビの延長程度に考えている様で、あっけらかんとしている。ただただ、千束は大真面目で本気で怒っている様だが。

 

そんな心情を全く解ってないたきなはと言うと。

 

 

「どんな下着が良いか解らなかったので」

「……ミカさんじゃなくて、同姓の千束姉ちゃんやミズキさんに聞かなかったの?」

「ええ。その時丁度2人は仕事中でしたし、余計な手間を、と思いまして」

「そんな気遣い要らんわ! 仕事より優先させるわ!! そもそも、どーしてトランクスなの、って事を聞きたいわけよ!!」

 

 

再び、バンッ! とテーブルを叩いてミカを問い詰める千束。

 

 

「まぁ、好みを聞かれたからなぁ………」

「アホかーーーーーーー!!」

 

 

ミカに関しては、ふざけてるのか真面目なのか、本当にわかりにくい。まさかたきなも、男物のパンツを、トランクスを選んで穿くだろう……なんて事までは思わなかった、と信じたいが。

 

 

「姉ちゃん姉ちゃん。普通女の人は男のパンツなんて穿かないんだよ? 恋仲の男女な関係なら、そう言うのもあるかもだけど」

「そうなのですか?」

「うん。ほら、どっちかの家でおとまりして――――「こらぁぁぁぁ! 子供がなんちゅー事いってんの!!」ぶっっ!」

 

 

千束は、明かにたきなよりマセている少年に向かって、この手の台拭きを勢いよく顔面にジャストミートさせた。

つまり、最後まで言おうとした龍を強引に止めたのだ。無事成功、みっしょんこんぷりーと。

 

 

「男女の関係については、兎も角として……、これ、実際に穿いてみると結構開放的で、動き易くて良いんですが」

「男女カンケーは兎も角は、OK! でも、開放的云々は別―――っっ!! そうじゃなーい!! もうっ! たきな、明日12時に駅に集合ね!」

「! 仕事ですか?」

 

 

この流れで何故仕事関係の話になったのか……、最早何も言うまい。

千束は大きく息を吸い込んで~~。

 

 

「ちゃうわ!! パ・ン・ツ! 買いに行くの!! あ、制服着てくんなよ? 私服ね私服」

 

 

 

そう言うと、大股でドスドスと足音を大きく立てながら、奥へと入っていった。

 

その後、暫く沈黙が流れて――――。

 

 

「指定の私服はありますか?」

 

 

たきなからのまさかの質問。

 

 

「指定って……、私服は個人の服でしょ? 指定されたら、それ制服になっちゃわない?」

「???」

「はっはっは。龍が要れば、ツッコみ要らずで楽で良いな」

「ミカさん、僕が居ても居なくても楽してた様に見えますけどね」

 

 

それは兎も角前途多難であるなぁ……と、ため息を吐くのだった。

 

 

 

「服………かぁ、そう言えばご無沙汰だったし、僕もそろそろ新しいの見繕って貰おうかな? まだ、所持金あった筈だし」

 

 

よくよく考えてみれば、東京に出てきてからリコリコの制服以外服は貰ってない。

別にお洒落をしようとは思っていなかったんだけど、これも良い機会だな、と新しい服を買いに行こう、と思った。

 

前の私物は……ある意味目立ちすぎる(・・・・・・・・・・)かもしれないから。

 

 

「ミカさん、僕もこの機会に買っておこうかな、と思いまして。一緒に来て貰っても良いですか?」

「ああ、大丈夫だ。連れてくよ」

 

 

前世と違い、見た目子供だ。

※ 前世でも十分子供な年齢

 

大人のミカと一緒に行動する方が断然やり易い。ミズキも一応候補になるにはなるかもしれないが、買い物そっち除けで逆ナンに勤しみそうな気がするので。

 

因みにミカはと言うと、時折見せる大人びた龍verを見て苦笑いをした。

 

そして2人の話を聞いていたたきなが声をかける。

 

 

「? 龍も一緒に行けば良いのでは?」

「え?」

 

 

たきなの案に、龍は小首を傾げた。

 

 

「でも、姉ちゃんたちはパンツを買いに行くんでしょ?」

「はい。着るもの、と言う意味では同じだと思いますが」

「うーん……」

 

 

男の子と一緒にパンツを買いに行くなんて羞恥心と言うモノは無いのだろうか……? と思っちゃう龍だったが、見てくれが全てを解決してしまってくれていて、どういってもたきなは問題ない、と言いそうだ。

 

 

「千束姉ちゃんにだって聞いてみないと――「龍も行くの~~! 良いよ良いよ! お姉さんがコーディネートしちゃうよ!!」……聞くまでも無かったね」

 

 

はぁぁ、と長いため息を吐きつつ、ミカの方を見た。

 

 

「すみません。自分で言っておいて何ですが……」

「ああ、構わないさ。どちらかと言えば、龍にしっかりと2人の手綱を握っていて貰いたい、と言う気分でもあるよ」

「……………」

 

 

僕、子供なんですけどおかしくないですか? ………と言う訴えは吞み込んだ。

子供扱いされてない気がするのに、どういう訳か一緒にパンツを買いに行こうなどと言われる。間違いなく大人な男だったら、パンツを買いに行く~等とは誘われないだろう。

ミカが誘われてないのだから猶更。

 

龍は軽くため息を吐いた後、千束にこう言う。

 

 

 

「何か美味しいモノ御馳走してね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、翌日の正午。

まだ仕事中だったけど、クルミとミズキがいるから回すのは問題なし。ミズキが何を勘違いしたのか、たきなが勝負下着を買いに行く、つまりは男とデートを目論んでる、とあんぽんたんな論理的思考(ロジカルシンキング)を発動。

盛大に暴れそうになったので、何とか諫めつつ……抜ける事が出来た。

 

 

「たきな、ちゃんと私服で来るのかなぁ? DAの制服で来たりして……」

「買い物で秘密組織なエージェントの服着用は流石に。怒られちゃいません? 戻りたい身であるたきな姉ちゃんがそんなのすると思わないけど」

「それ、事前に龍が伝えた?」

「え?? うん。だって、姉ちゃんたちの組織の……えと、リコリスなんでしょ? そう考えるのが当然かな、って」

 

 

ぴんっ、と指を立ててそう言う龍を見て千束は安心した様に待ち合わせの駅前の壁面に身体を預ける。

 

 

「龍が説得してくれて良かったよ~~。言ってなきゃ、ひょっとしたらひょっとするかもよ? パンツ買いにく秘密組織のエージェントの爆誕だ!」

「えぇぇ……」

 

 

どんなだよ、と思っていたら………。

 

 

「お待たせしました。2人とも」

 

 

たきながやってきた。

恐る恐る声のする方を見てみると――――どうやら、DAの制服ではなさそうだ。

でも、正直千束から見てお洒落~とは到底思えない。部屋着……パジャマで使えそうなジャージの下とTシャツ。それにいつものバッグ。

 

喫茶リコリコの服か、リコリスの制服の2種くらいしか見た事無いから……。

 

 

「おぉぉ……新鮮だなぁ」

「うん。私服で間違いないね、……でも」

「でしょう? 問題ない筈です」

 

 

ちらり、と目が行きがちなのは、その脇のふくらみ。ほんの僅かで、一般人なら解らないかと思うけれど、これまで何度かソレ(・・)を使う場面も見てきた身からすれば、いつもよりも軽装備な姿を見ればよーく解ると言うモノだ。

 

通常の日本ではありえないモノを携帯している、と言う事に。

 

 

「銃、持ってきてるな? キサマ」

「? ダメでしたか?」

「撃っちゃダメだよ」

「いや、撃つよりもまず、抜くんじゃねーぞ? ソレ」

 

 

リコリスは携帯を許されてる装備かもしれないが、基本的に(・・・・)平和な日本では所持しているだけでアウトだ。パンツどころじゃない。

 

 

「お2人の衣装は、自分で揃えたのですか?」

「衣装じゃねーよ」

「一応。全部貰い物だけどね」

 

 

相も変わらず、花のJKとは思えない発言のたきなに、やや口調が汚くなっちゃう千束。

そしてあの時は短パン・タンクトップで放り出されているから、身ぐるみ剥がされた~も同然だったな~ と何処か懐かしむのは龍。

地元の人たちのおかげで、何とかやって来れた。改めてお礼を今度言いにいこう、とも思うのだった。

 

 

 

 

その後も、私服談義に花を咲かせる。

 

 

「へ~~、龍のそれ、全部貰い物だったんだ? 初めて聞いたなぁ」

「うん。地元のおばちゃんにね? 孫のモノだったんだって。ほら、姉ちゃんたちも食べたと思うけど、山村のうどん屋さんのおばちゃんだよ」

「おーー! あの冷やしうどん最高だったお店かぁ! ね、ね、たきなも美味しかったよね?」

「はい。お店No.1と聞いて納得の味でした。コシ、と言うモノを始めて体験でき、有意義でした」

 

 

うどん屋巡りは3件は行ってるケド、1つ1つを覚えてくれている2人。

だからこそ、直ぐに頭に思い浮かべる事が出来たのである。

 

 

「っとと、それよりそれより」

 

 

さぁさぁ、ここからはグルメ談義~~と行きたい所ではあるが、目的なモノを考えるとそればかりで盛り上がる訳にはいかない。

 

 

「ジャージにTシャツ、まるっきり部屋着verたきなだけど、スカートとか他にはないの?」

「? 持ってませんね」

「えー、1枚も?」

「はい」

 

 

どうやら、たきなはお洒落と言う概念そのものが無いらしい。

部屋の中で着る分には全く問題ないかもしれないが、外に出るのだからお洒落の1つや2つ、必至事項だろう。

でも、たきなは首を横に振る。

 

 

「ですから、千束の様な衣装も有りませんし、龍の様な帽子も持ってません」

「だから衣装じゃねぇって」

「帽子は結構役に立つから気に入ってるんだ。素顔(・・)隠せるから(・・・・・)

「龍もなんかズレたコメントしないよーに!」

「素顔を隠す必要があるのですか?」

「?? うん。一応ね。だって、僕が追い返した人達の数、もう数えきれないし。流石にひょっとしたら顔がバレてるかもしれない……って」

「? 大丈夫な筈ですよ。死国の怪物は、正体不明とDAでも言われてましたので」

「そうなんだ。それは良かった……のかな?」

「知るか―――!! こらこら2人とも! 千束さん無視しないで! 今する話とちゃうから! 戻ってきてっ!」

 

 

千束は、たきなと龍の腕を取って、ずんずんずん、と強引に歩きはじめる。

2人もされるがままに、一緒についていくのだった。

 

 

 

「千束姉ちゃんが服選んでくれるらしいけど、男物なんて大丈夫なの?」

「ふっふーーん、その辺は、お洒落上級者なこの千束さんにまっかせーなさーい!」

 

 

奇抜なファッションにされるのでは? と少なからず思っていた龍だったが、ここまで自信満々であるなら……多分大丈夫だろう。

よくよく考えてみれば、お店によくやってくる漫画家の伊藤とのやり取りでアイディアを出したり、デザイン系に関しても参考になったり。多分、大丈夫だろう。

 

 

「こーら、なーに不安そうな顔してんのよ」

しふぇなふぃしふぇなふぃ(してないしてない)ふぁから(だから)ふままふぁいで(つままないで)

 

 

心を読まれた様だ。

そんな2人をみて、クスクスと笑うのはたきなだ。

 

 

「そだっ! たきなの服も選ばせてよ!」

「え? 私ですか?」

「そうそう! これを機に、買おうよ! たきな絶対に似合うから! めっちゃ可愛いの見繕ってあげるから!」

 

 

目を輝かせながら言う千束。

まるで、子供が着せ替え人形で遊ぶかの様に物凄く楽しそうに、その目に負けないくらいの輝かんばかりの笑顔で。

たきなは、千束に圧倒されていたのだが……。

 

 

「まぁ、よく解りませんが、千束が選ぶのであれば」

「えっっ!! 良いの!?」

「……千束が先に言ってきたんですよ?」

「そりゃそうだけど! そんな簡単にアッサリOKして貰えるなんて思わなかったから! うわーーーやったーーー! テンション上がるぅぅっ!」

 

 

くるくる~と、とダンスする勢いではしゃぎ回る。

 

 

「目立つ行動はよした方が。私達はリコリスですよ?」

「ふっふっふ~~ん、今は制服着てないからリコリスじゃありませーーん、ただの女子高生で、龍はただのおとーとでーす!」

「え? 弟??」

 

 

千束がくるくる回りながら、自分自身は制服を着てない以上はリコリスではないと言っていた。それについてはその通りだと思うし、間違ってはないと思う。

気になったのはその先。

 

 

弟だといった事だ。

 

 

「そっ、どう見ても弟でしょ? 姉ちゃん、って呼ばれてるし? カワイイ弟ってのも良いなぁ、って思ってたんだぁ」

「それを言うなら私もですよ。たきな姉ちゃん、と龍は呼んでくれてます」

「そうそう! だから、私達2人は、龍のお姉ちゃん! それで龍はカワイイカワイイ弟! って事じゃん? ……って、たきな、なーにムキになってんの?」

「いえ、別にムキにはなってませんが」

 

 

自分も姉と呼ばれてると手を挙げるたきな。今のお洒落談義では然程乗り気ではなかった感じのたきなが、突然テンションを上げてきた事に目を丸くさせる千束だったが、直ぐに収まっていた。

その意味はひょっとして―――――――と、考えを張り巡らせていた時。

 

 

「ふ、ふふふ」

「「!」」

 

 

龍が小さく、それでいて2人にハッキリ聞こえる様に笑った。

そして、先ほどの千束にも負けていない花開く笑顔を見せながら。

 

 

「それ、何だか良いね。うん。お姉ちゃんだ。2人は、僕の家族(・・・・)

 

 

そう告げた。

その顔は、まさに年相応のモノで、実に愛らしくて……。

 

 

「――――うんっっ!」

「………っ」

 

 

2人は思わず龍の腕をそれぞれ抱き寄せるのだった。

あまりに力が強かったので、引っ張られて痛い想いをしたのはまた別な話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後はファッションショー顔負けのお着換えタイム。

まずは龍に合うキッズ向けコーナーへと赴き、買い物かご山盛りに服を選んで着ては脱がしを繰り返した。

 

 

「姉ちゃん、試着室にまで入って来なくて良いから」

「えー、なんでなんで?? お姉ちゃんなんでしょ??」

「……………」

「ほほほ、冗談冗談。お年頃だもんね~、流石に」

 

 

とか何とかのやり取りがあった後に、粗方選び終えて、次はたきなの方に。

 

子供向けよりも種類が豊富だったこと、たきなのサイズは色々と揃っていた事もあり、その試着用の服たちは軽く龍の倍はあって。

 

 

「かわいい!!」

 

「メッチャ似合うっ!!」

 

「うわーー、たきな良いよ!!」

 

 

と、何度も何度も褒めちぎって楽しんでいた。

たきなも最初は相槌を打っていたのだが……買い物かご半分くらい過ぎた所でもう何も言わず。

 

 

「あ、そう言えばたきなー、リップグロス持ってる?」

 

 

服の次はお化粧コーナーに目を向け始めた。

 

 

「………千束。そろそろ本来の目的を」

「ん?? あっ、そうだったそうだった! 服選び(こっち)はおまけだったんだ!」

 

 

本来の目的はたきなの下着だ。

トランクスを排除して、しっかりと女の子として、女の子の為の下着を選ばらなければならない。

 

 

「でも、サブミッションは完遂(コンプリート)だよ~!」

 

 

龍の服もOK

たきなの服もOK

 

後はメインミッションのみ。

 

 

「外で待ってるね?」

「なーに言ってんのさ。龍も感想言ってよ」

「女の子の下着姿の感想を、僕に言わせようとするの? 千束姉ちゃんは」

「ごめんごめん。冗談。だからその目はヤメテ」

 

 

千束の弱点になりつつある冷たい眼差しは、これからも結構使えるな、と龍は笑う。

 

流石にランジェリーショップに一緒に入るのは抵抗があるから。

 

 

「龍の意見も聞いてみたかったのですが」

「それは千束姉ちゃんに全部任せるから。それが僕の意見ね。それに、たきな姉ちゃんの好みでも全然良いんだよ?」

「……私の場合は、仕事に向いているモノが良いです。それ以外には特には」

 

 

たきなの仕事を思い浮かべる。

思いっきり戦場。

生きるか死ぬかの修羅な世界。

 

そんな世界に向いている下着ともなると………。

 

 

「……暗器でも隠せる下着、とか?」

「! なるほど……、それは盲点でした」

「ちょっとまてや! そんなモンあるか!!」

「姉ちゃん、言葉遣い汚い」

「だーれのせいだ、だれの! 姉ちゃんに変な事教えないで、弟よ!」

 

武器を仕込める下着は駄目らしい。

勿論、本気でそんな事を言った訳じゃないのだが、たきなは結構感銘を受けた様で、自ら改造しようかどうか、と悩んでいる様だ。無論、千束は全力で止めたが。

 

 

「ん……。仕事向きと言えば、トランクス(これ)も十分良いんですけどね。通気性もあって動きやすい。流石店長、と言った所です。これを不自然なく着用できる龍が少し羨ましく思います」

「羨ましがられちゃったよ。そんな所で」

「あ~~、龍もブリーフじゃなくてトランクスだもんな~~~って、もーーー! よく考えてよ! トランクス穿いてる女子、なんて他人に魅せられないでしょ!?」

 

 

千束の言葉を聞いて、少し、少し考えて……たきなは小首を傾ける。

 

 

「そもそも、パンツって誰かに見せるものじゃなくないですか?」

「いざって時があるでしょーよ」

「いざってどんな時です?」

「――――――――////」

 

 

 

みるみる内に、顔を赤くさせる千束。

それを正面から見てニヤニヤしているのは龍だったりする。

 

 

「姉ちゃん姉ちゃん、いざってどんな時ぃ~?」

「や、え……えと、その~~~」

「そう言えば、姉ちゃんは僕の試着室に飛び込んできたけど、いざって時ってぇ~~」

「だーーーもうっっ!! ごめんってば!!」

 

 

ちょっとした龍の意趣返し。

 

パンツは他人に見られるモノじゃない、見られたら恥ずかしい。……だから普通、他人には見せない、と言うたきなの方が正しい。

 

でも、千束が言ってるのは更にその先に踏み込んだ世界の事だ。龍がたきなに言っていた男女の関係……むにゃむにゃ~だ。

全部解っていても実際に口に出すのは憚れる。龍の様に明らかに揶揄ってる感じがするのならまだしも、たきなの様な純粋な疑問で聞かれたら、尚難しい。

元々、そこまでの心構えは当然千束は持ってなっただけの事であろう。

つまり、ただ一般常識? 的な考えで……一般常識の延長線上にある所謂保健体育的な事であって……。

 

 

「千束」

「は、はい!!?」

 

 

 

一般常識的な考えを言っていたつもりだった千束だったのだが。

 

 

 

 

「千束のパンツを見せてください」

 

 

 

 

ここへきてのたきなの発言で、もう頭の中が混乱して何が何やら解らなくなるのだった。

 

 

 

「なので、早く行きましょう」

 

 

 

そんな千束を他所に、今度はたきながずんずんずん、と先に進んでいき、それを傍目で見ていた龍は、小さく手を振って見送るのだった。

 

 

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