鉄のハイスクールD×D    作:ユウタロス

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5作目です。


という訳で、第一話です。



第一章 合縁奇縁のドラキュリーナ
第一話


 人里離れた森の中、一人さまよい歩く男が居た。

 いや、俺の事なんだけどね?

 

 

 ―――ぐぎゅるるるる……―――

 

 

「はぁ……腹減ったな…」

 

 

 豪快に鳴り響いた胃袋からのメッセージに、思わずため息がこぼれる。

 

 

「あの駄神マジないわ……宿無し、金無し、戸籍無しとか……どないせぇっちゅうねん……つーか、ここ何処だよ?」

 

 

 周りを見渡しても、見えてくるのは木、木、木。町や村どころか、民家の1軒すら見えてこない。

 

 

「うぅ……ひもじい……」

 

 

 ―――ズゥゥゥンッ…ドオオオオンッ…―――

 

 

「……ん?」

 

 

 トボトボとあてどなく彷徨っていると、不意に、爆発音が聞こえてきた。

 ……あれ、爆発音って事は…人がいる!?

 

 

「イェスッ!! ちょっと食い物分けてもらおう!!」

 

 

 いや〜、助かった! もうかれこれ10日は何も食って無かったんだ!

 

 

「音のする方は…こっちか!」

 

 

 すぐさま音の方へと走り出す。

 ―――そして、10分程走った所で現場に到着したのだが……

 

 

「うわぁ……」

 

 

 到着した俺が見たのは、神父っぽい服の男達が、高級そうな馬車を襲撃している場面であった。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「―――ぐああああああっ!!」

 

 

 最後の馬車の護衛らしき男が斬り伏せられた。

 う〜ん……どうしよう? 食料分けて欲しいんだけど…ぶっちゃけ、宗教系の人には絡みたくないんだよなぁ…

 

 

「くっ、わたしにさわるな!」

 

「……ん?」

 

 

 出て行くべきか、行かざるべきかを考えていた所で、甲高い声が聞こえてきた。

 そちらを見てみると、ゴシック風のドレスを着た7、8歳程の少女が馬車から引きずり降ろされている。

 その少女はまるで人形の様に美しく、思わず相手は子供だという事を忘れて見惚れてしまった。

 

 

「ふんっ、コレが最後の一匹か。忌々しき化物―――ヴァンパイアめ……ッ!」

 

 

 ……なるほどね。あの神父達はヴァンパイアハンターか。んでもって、あのお嬢ちゃんは吸血鬼と。

 …これは、手ぇ出すべきじゃねぇな。カトリックだかプロテスタントだかは分からんけど、キリスト教を敵にまわすのはヤバ過ぎる。

 

 

「くっ、下等な人間が「黙れ」あぐっ!?」

 

 

 神父達は少女を取り囲むと、殴る蹴るの暴行を加え始めた。

 

 

「このッ! 忌々しい! 化物め! 人間と同じ言葉で、喋るなっ!!」

 

「がっ、あぐっ、ぎぃっ!?」

 

 

 少女は体中に青痣を作るが、出来た端から治っていく。恐らく、吸血鬼特有の再生能力によるものなのだろう。

 ……悪いなお嬢ちゃん。俺も、好き好んで人間と対立したくないんだ。見過ごさせてもらうよ。

 

 

「うっ、ヒック、痛、い、よぅ……」

 

「ちっ、ウジ虫め。傷の治りだけは速いな……なら、これはどうだッ!?」

 

 

 神父は懐から取り出した黒鍵を振りかぶると、少女の右脚に全力で突き刺した。

 

 

「ぎっ!? が、あああああああああああッッ!?」

 

 

 黒鍵が刺さると、少女は目をかっ! と見開き絶叫をあげる。黒鍵の突き刺さった右足からは、じゅうっ、と煙が上がっている。

 

 

「クハはハハハッ!! どうだ、効くだろう!? 祝儀儀礼の施された純銀製の黒鍵は!」

 

「ぎああああああああああっっ!!」

 

「ほうら、もう一本!!」

 

「あっ、ぎぃ……助け、て……」

 

 

 ―――……

 

 

「ハッハハハハッ!! 助けなんざ来る訳が無いだ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――やっぱ、我慢出来ねぇわ。

 

 

「ラインバレルゥゥゥゥゥッッッ!!」

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 ―――何だ、コイツは。

 

 

「ぎゃあああああッ!?」

「お、俺の腕がああああッ!?」

 

 

 忌々しい吸血鬼、それも純血種。ソイツが護衛数体のみで出掛けると言う情報を得た我々は、腕利きの精鋭を集め、ルーマニアの地を訪れていた。

 

 

「く、この、化物があああッ!」

 

 

 全て順調だった。護衛共は背後からの襲撃によって被害ゼロで片付けた。

 残っていたのは吸血鬼の小娘ただ一匹……そのはずだった。

 

 

「ひっ! ち、畜生がああああ……」

「ぎゃっ!?」

 

 

 仲間が1人、また1人と斬り殺される。残っているのは私と斥候役の男1人、どう考えても勝ち目は無いだろう。

 

 

「私が、コイツを引き付ける。その隙に逃げろ」

「だ、だが……ッ!」

「早くしろッ! ヤツは30人の中級悪魔祓いを、わずか数秒で壊滅させたのだぞ!? コイツの情報は何がなんでも教会に持って帰らねばならんのだッ!」

「くっ……分かった。貴殿に主のご加護がありますように」

 

 

 斥候はあっと言う間に森の中へと消えていった。

 

 

 ……これでいい。恐らく、私はここで死ぬだろうが、これで教会にコイツの情報が伝わるだろう。

 

 私は、震える腕を抑えながら、光力の剣を構えて、ヤツに―――2本角の白い怪物に向き合う。

 怪物は、極東に存在すると言う『鬼』と『サムライ』を足したような姿をしており、右手には長大な片刃の剣を携えている。

 

 ヤツは、『話は済んだか?』とでも言いたげに私を見てくる。

 逃げた斥候を真っ先に狙わないと言う事は、そこまでの知能は無いのだろう……あるいは、斥候程度など何時でも追い掛けて殺せるとでも思っているのか。

 

 

 

「……うおおおおおおおッッ!!」

 

 

 震える身体に喝を入れ、光力剣で斬り掛かる。

 しかし、ヤツは手に持つ剣を一閃、光力剣を持つ私の腕を斬り捨てると、私の首を掴み持ち上げる。

 

 

 ―――掛かった!

 

 

 首を掴まれたまま下半身を捻りあげ、全力の蹴りをヤツの首に叩き込む。靴には、ありとあらゆる祝儀儀礼を施したダガーが仕込んである。

 殺す事は出来ないだろうが、それなりの傷は負わせられるはず!!

 

 しかし、無常にもダガーはキンッ! と言う甲高い音と共に弾かれた。

 

 

 ―――終わり、か……

 

 

 白鬼の双眸が翠色に輝き、私の首を掴む腕に力が入る。

 

 

 ―――ボキリッ―――

 

 

 その音を最後に、私の意識は闇に沈んだ。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 手を離すと、男の体がドサリ、と地面に崩れ落ちる。

 

 

「……ふぅ」

 

 

 1人、走って逃げた奴がいたが……流石に、逃げる奴まで殺す気にはなれない。

 これで俺は教会のお尋ね者になるだろうが、まあ、後悔はしていない。

 

 ラインバレルを解除して少女の状態を確かめてみるが……酷いな。

 体中ボロボロで、ただでさえ白かった肌が殊更に青白くなっている。恐らく、両足に刺さった黒鍵のせいで再生能力が落ちているのだろう。

 ……まずは、黒鍵をどうにかしないとな。

 

 

「おい、今黒鍵を抜き取ってやる。舌噛まない様に、口に指突っ込むぞ」

 

「あ、う……」

 

 

 力無く頷く。もはや、喋る気力も無いのだろう。

 口に手を突っ込んでから、黒鍵を突き刺さった向きに垂直に引き抜く。

 

 

「ぐぅッ!?」

 

「痛ぇ!!」

 

 

 指をガリッ! と噛まれる。凄い痛いが、我慢して噛ませたままにして、もう片方の黒鍵も抜き取る。 

 抜き終わったら、ソッコーで口から指を引っこ抜く。

 

 

「う~わ……血ぃ、だらだら出てるんですけど……折れてないだけマシか」

 

 

 ホントにもー全力で噛みよってからに……まあ、ナノマシンのお陰ですぐに治るんだけどさぁ。

 

 

「だ、れ……」

 

「ん〜? 親切丁寧な鬼ぃさん(おにいさん)ですよ~……っと、あったあった」

 

 

 転生する時に駄神にもらった『フェニックスの涙』を取り出す。

 この即死以外の外傷ならほぼ完治出来るステキ回復薬を半分ほど飲ませ、残りは足にかける。

 すると、あれだけボロボロだった少女の身体は、傷1つ無く治った。

 

 

「うわ〜、すげぇなこの回復薬。あっと言う間じゃん」

 

 

 俺も再生能力には自身あったんだけど、これには負けるわ。

 

 

「……あなた、人間ね? 何が目的?」

 

 

 『フェニックスの涙』の回復能力に関心していると、お嬢ちゃんがジロリと睨みつけてきた。

 

 

「凄いな、もう他人を疑えるレベルまでメンタルが回復したのか……え〜っと、俺の目的だっけ? そりゃあ勿論、食料の確保だよ」

 

「……巫山戯ているのかしら?」

 

「フザケてねーよ、大真剣(おおマジ)だよ。もうかれこれ10日飯食ってねぇんだよ」

 

 

 ホントにもー、ナノマシンでも限界っちゅーモンがあるんだよ?

 

 

「つー訳で、お嬢ちゃん。助けてあげたお礼にご飯奢って?」

 

 

 とびっきりのすまぁいる☆と共にお願いしてみる。いや、ホントに空腹がヤバイんだって!

 

 

「……」

 

「……」

 

 

 なんだか少女がゴミを見る目を向けてくるが、屈する事無く正面から見詰め返す。

 

 

「……あなた、自分より見た目ずっと幼い女性にそんな要求をして、恥ずかしくないの?」

 

「お嬢ちゃん、誇りじゃ腹は膨れないんだよ?」

 

 

 プライドなんぞ、断食7日目で放り捨てたわ!! いや、もうホントに辛いのよ。

 

 

「……はぁ。良いわ、食事は提供してあげましょう。人間如きに助けられたままなのは不愉快極まりないしね」

 

「う〜わ、スッゲェ上から目線。お嬢ちゃん、友達いないでしょ?」

 

「ほら、サッサとしゃがみなさい、特別におんぶさせてあげるわ。私を背負うなんて、人間には過ぎた名誉なのよ?」

 

「お〜い、お嬢ちゃん? 会話通じてる?」

 

 

 俺の声を無視してよじよじと背中に引っ付く少女。

 凄いムカつく。

 具体的に言うと、子供じゃ無かったら筋肉ドライバーとかブチかましてやってる所だわ。

 

 

「さっ、行くわよ。私の城はアッチの方にあるわ」

 

 

 城。私の城と申したか、この少女。なるほど、お嬢様育ちって事か。どうりで高飛車な訳だ。きっと、今までマトモに叱ってくれた人とかいないんだろうなぁ…

 

 

「ほら、グズグズしてないで早くきゃっ!?」

 

 

 パッ、と手を離して落っことす。チョイとこのお嬢様に世間の常識を教えてやろう。

 

 

「ちょっと、何しますのぷっ!?」

 

 

 文句を言おうとする少女の鼻に、鼻血が出ない程度の威力でデコピンして黙らせる。

 

 

「おい、小娘。『助けてくれて、ありがとうございました』はどうした?」

 

「はぁ? 何でわたしが人間なんかにお礼を言わなくてはぷっ!?」

 

「『人間なんかに』じゃねーよ、助けられたら感謝するのは最低限の常識だろうが。つーか、ただ助けただけじゃ無えんだぞ? 『フェニックスの涙』も使ってんだぞ?」

 

「……した……」

 

 

 赤くなった鼻を抑えて俺を睨んでいた少女だが、俺の方を見ないようにしつつ、ボソボソと謝ってきた。

 

 

「ああ? 何言ってんのか聞こえねぇよ」

 

「うぅ〜…だから! ありがとうございましたって言ってぷっ!?」

 

「何逆ギレしてんだよ」

 

 

 こんなやり取りを続ける事15分。

 

 

「助けてくれて、ありがとうございました……」

 

「はいはい、どういたしまして。そんじゃ行くとしようか。ほい、乗りな」

 

 

 ようやくちゃんと謝れたので、パッパと切り上げる。もう空腹過ぎてどうでも良くなってきたってのが本音だけどな。

 

 

「さて、ドッチに向かえばいいん……そう言えば、お嬢ちゃん、名前は?」

 

「人に尋ねる前に、自分が名乗ったらどうなの?」

 

「こりゃ失敬。俺は城瀬天浩(きせ あまひろ)だ。アマちゃんでもヒロくんでも、好きに呼んでくれ」

 

「ではアマヒロさん、わたしはエルメンヒルデ・カルンスタイン。エルメとお呼び下さい」

 

「OK。よろしく、エッちゃん。んで? どっちに行きゃ良いの?」

 

「エッちゃんではありません、エルメです! もう……ココから北北西に20キロ程の場所です。」

 

「オッケー。しっかり捕まっとけよ、エッちゃん!」

 

 

 体内のナノマシンを全力で稼働させ、全速力で走り出す。

 

 

「え? ちょ、きゃあああああああっ!?」

 

 

 フゥーハハハハハハハハハハハッ! 飯じゃ飯じゃあ!!

 

 

「いーーやーー!! 止めて止めて止めてーーーッッ!!」

 

 

 だが断る。10日ぶりの飯にありつけると聞いた俺のテンションは有頂天に達したぜ! 最初から全速力(クライマックス)だ!!

 

 

「頂点ですわよ」

 

 

 知ってるよ、ちょっと間違えただけだよ! 頂点に達したぜ!!

 

 

 

 

 





 ハイ、という訳で第一話でした。


 アマヒロ君の特典は『ラインバレルのパワードスーツ』です。IS二次とかに出て来る全身装甲型と思ってもらえればよろしいかと。
 呼ぶと来ます。ガイバーみたいな感じです。
 ちなみに、コレは『パワードスーツ』であって、『神器』ではありません。



 思いついたので書き始めてしまいました。

 もちろん、他の4つもちゃんと更新するつもりなんでお許しくだせぇm(_ _)m



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