鉄のハイスクールD×D    作:ユウタロス

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おかしい、夏休みなのに時間がない…


と言う訳で、第二話です


第二話

 

「あ! アマヒロさん、見えてきましたわ!」

 

「おお、あの城か。デカいな」

 

 

 エルメンヒルダを背負って走っていた天浩の目に、巨大な城が見えてきた。

 

 天浩に背負われていたエルメンヒルダも、最初の内は絶叫しっぱなしであったが、途中からは優雅に風景を眺めていた。実にセメントである。

 

 ちなみに、ほんの数十分前まで拷問を受けていたとは思えないエルメンヒルダの態度に、天浩は内心戦慄していたのだが。

 

 

「とうちゃ〜く」

 

 

 ギギギギギィィィィィッッ!! という、とても人間が出すものとは思えないブレーキ音を響かせながら天浩が城の前に到着する。

 

 

「まさか城まで走り続けるとは思いませんでしたわ」

 

 

 天浩の背中から降り立ち、ポンポンと服に付いた埃をはらいながら呆れた様に言うエルメンヒルダ。

 

 

「早くしてって頼んだのはエッちゃんだろ? そんな事より、約束忘れて無いだろうな?」

 

「分かってるわよ。テーブルマナーの知識は?」

 

「うん。まあ、恥かかない程度にはね?」

 

「結構です。それでは、まずはその貧相な服を着替えて……」

 

 

 エルメンヒルダと天浩が話していると、突然そこら中から殺気立った吸血鬼達が飛び出してきた。

 

 

「……エッちゃん?」

 

「…恐らく、私を人質にしていると思っているのでしょう。下がっていて下さい、私が話を…」

 

 

 エルメンヒルダが前に出るより早く、吸血鬼達は一斉天浩に飛び掛かった。

 

 以下、音声でお楽しみ下さい。

 

 

 

 ―――ベキボキバキゴリメキャボゴ……―――

 

 

「ぎやあああああ!!」

 

 

 ―――ヂュプッヌプッグチュッズポッキュポンッ……

 

 

「ひぎぃぃぃいいいい!!」

 

 

 ―――ボキゴキグチャベシャゴキンズドン……

 

 

「あがああああああああッ!!」

 

 

 

 

 襲い掛かってきた吸血鬼達を天浩は、千切っては投げ(物理)、千切っては投げ(物理)。あっという間に吸血鬼達を拷も…撃退してしまった。

 

 

「……アマヒロさん。あなた、本当に人間なんですの?」

 

 

 容易く吸血鬼達を拷も、撃退した天浩にガタガタと震えながら問い掛けるエルメンヒルダ。

 

 

「もちろん……まあ、ちょっと特殊な部類だけどね? それよりエッちゃん。城の通常戦力ってこいつらで全部?」

 

「ええ、まあ……衛兵にあたる者でしたら、ソレで全てですが…?」

 

「ふーん……こいつら、クビにした方がいいんじゃない? 正直、弱過ぎて話にならなかったよ。無双ゲーの沸き雑魚みたいだね」

 

「確かに、余りに不甲斐ないですわね……お母様に進言しておきましょう」

 

 

 そうして地べたに這いつくばる吸血鬼達を尻目に、天浩とエルメンヒルダは悠々と城の中に入った。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「うっひゃあ……でけぇ…」

 

「城に入るのは初めてで?」

 

 

 エルメンヒルダは、物珍しそうに辺りを見回す天浩に、田舎者を見る目を向けながら尋ねる。

 

 

「ん? うん、まあね。日本にはこんな西洋風の城なんて無いからな。珍しくってしょうがない」

 

「アマヒロさん、日本人だったのですか? どうしてルーマニアに?」

 

「ここ、ルーマニアだったのか……あー、知り合いのアホンダラが転移魔法に失敗してな。ふっ飛ばされたんだ」

 

 

 いや〜、まいったまいった! とカラカラ笑いながら答える。『神様に転生してもらったらここにいました』等と言った所で怪しまれるのがオチなので、無難と言っては無難な返答である。

 まあ、この世界には修羅神仏が居るのでそこまで怪しまれる事は無いだろうが、それよりは『魔法に失敗した』と言った方が現実的である。

 

 

「そうでしたの、それは大変でしたわね……着きましたわ」

 

「これまたゴツい扉だな……」

 

 

 話ながら進んでいくと、一際立派な扉が現れた。

 

 

「これからお母様に―――カルスタイン家当主、エルネステ・カルスタインに謁見をおこないます。失礼の無いようにお願いします」

 

「努力はするけど、作法に関しては素人だからさ。大目に見てくれ」

 

 

 エルメンヒルダが扉の前に立つと、扉が勝手に開いた。入って来いという事なのだろう。

 

 

「行きます」

 

「おう」

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「―――そうして、アマヒロさんに助けてもらい、この城まで連れて来てもらいました。以上です。」

 

 

 エルメンヒルダの母であるエルネステは、淡々と娘の報告を報告を聞いていた。

 エルメンヒルダの報告が終わると、視線を後天浩へと向けて口を開く。

 

 

「よくぞエルメンヒルダを無事に連れて来たな。褒めて遣わすぞ、人間」

 

 

 のっけからの高圧的過ぎる物言いに天浩の米神に青筋が浮ぶが、相手は貴族なんだからしょうが無いと堪える。

 

 

「いえ、偶然通りかかっただけですから。ああ、自分は余り育ちが良くないので、言葉使いに関してはご容赦下さい」

 

「ふむ、まあ良いじゃろう。出来ん事をやれと言う程狭量では無いつもりなのでな。して、貴様、何が狙いだ?」

 

「…狙い?」

 

「フン、とぼけるで無い。わざわざ自分の同族を殺してまで、天敵である吸血鬼の小娘を助けた理由はなんだと聞いているのだ。まさか、なんの見返りも要らないと言う訳では無いのじゃろう?」

 

 

 エルネステの鋭い視線を受けた天浩は、軽く肩をすくめる。

 

 

「別にそれ程大した事では無いですよ。俺が貴女の娘さんを助けた目的、それは――――――ご飯を奢ってもらう事です」

 

「……は?」

 

 

 天浩からドヤ顔で言い放たれた言葉に、思わず間抜けな声をあげるエルネステ。それはそうだろう。どこの世界にご飯を奢ってもらうためだけに、30人近いヴァンパイアハンターに襲われている吸血鬼を助ける人間がいるというのか。

 

 

「……それだけか?」

 

「それだけですね。後はまぁ、エッちゃんが可愛い女の子だったから、かな? ハッキリいって、ブサキモだったら見捨ててました。つーか、ご飯まだですか?」

 

「ご飯てお前……」

 

 

 エルネステは呆れた顔をして天浩を見る。

 背丈はそれなり。体格は細くは無いが、太くも無い。

 とても思えない。

 

「いや、もうホントに空腹でしょうがないんですよ。ぶっちゃけ、こんな事(謁見)してる暇あったらサッサと料理作って欲しいって言うか…」

 

「ちょ、ちょっとアマヒロさん!?」

 

「たかが人間如きが、エルネステ様にその口の利き方は何だッ!!」

 

 

 余りにも不躾過ぎる天浩の物言いに、エルメンヒルダは驚愕の声をあげ、エルネステの親衛隊の金髪少女が殺気立つ。

 

 

「いや、正直、貴女がどれ位偉いかとか興味無いですから。俺は飯奢ってくれるって言うからオタクの娘さん連れてきたんですよ。飯出してくれないんだったら、俺もう帰りますけど? 食料庫漁ってから」

 

「ちょっ!?」

 

「貴様ァッ!!」

 

 

 我慢出来なくなった少女がレイピアを抜き放ち、飛び掛かった。

 

 

「ほい残念」

 

「なッ!?」

 

「ほぅ……」

 

 

 少女は驚愕の表情を浮かべ、エルネステは面白そうに天浩をみやる。

 人外の膂力で放たれた刺突を、天浩は親指と人差し指で白刃取ったのである。

 天浩の人間離れした身体能力を知っているエルメンヒルダだけは、『やっちまった……』という表情をしていたが。

 

 

「ほれほれどうした? 掴んでるのはたかが人間如きだぞ? この程度も押し切れないのか?」

 

「ぐ、おおおおおお……ッ!!」

 

 

 天浩の挑発を受けた女は全力で刺し貫こうとするが、掴まれたレイピアはぴくりとも動かない。

 

 

「ねえ、どんな気持ち? 今まで虫ケラ程度だと思ってた相手に全力の攻撃が通じて無いみたいだけど? ねえ、今どんな気持ち?」

 

「があああああああッッ!!」

 

 

 満面の笑みで少女を煽る天浩。ウザイ。実にウザイ。

 

 

「よい、クリス。下がれ」

 

 

 さて次はどうやって煽ってやろうかと思っていた所で、エルネステから待ったが掛かった。

 

 

「な、エルネステ様!?」

 

「『言葉使いは容赦する』と言ったからな。故に、それでどうこう言うつもりは無い」

 

「し、しかし……ッ!」

 

「―――クリスティアーネ・フリードリヒ、私は“下がれ”と言ったぞ?」

 

「ッ!! も、申し訳ありません……ッ!」

 

 

 エルネステは、なおも食い下がろうとするクリスティアーネに背筋が凍る様な声で告げる。

 その声に晒されたクリスティアーネは、顔を真っ青にしながらその場に跪く。

 自分に向けられたモノでは無いと分かっていても、エルメンヒルダは冷たい汗がドッと出たのだ。直接告げられたクリスティアーネの恐怖は並大抵のモノでは無いだろう。

 

 

「コヤツはどうにも頭が固くてな。勘弁してやっとくれ」

 

「イヤイヤ、大した事じゃ無いですから。この程度のじゃれ付きで怒ったりしませんから、ご安心を(・・・)

 

 

 自分の渾身の突きを“じゃれ付き”と言われたクリスティアーネは、ギリッと奥歯を噛み締めて堪える。

と、ここでエルネステの肩が震えているのに気付いた。

 

 

「フ…フフ…」

 

「え、エルネステ様…?」

 

 

 もしや、余りにも無礼過ぎるこの人間への怒りが限界に……そう思った瞬間

 

 

「アッハッハッハッハ!!」

 

 

 当主、大爆笑。

 

 

「…アハハハハハッ! たかが食事の為に吸血鬼を助けたか! し、しかも、この私を前にして“安心せよ”と申したか小僧! アッハッハッハッハッ!」

 

 

 突然大笑いしだしたエルネステを、クリスティアーネとエルメンヒルダは口をぽかんと開けながら見ている。

 今まで全くと言っていい程見た事が無かった母の爆笑っぷりに困惑しているのだろう。

 

 

「ハッハッハ……ハー…フフ、笑った笑った。全く、こんなに笑ったのは何年ぶりやら……礼を言うぞ、小僧」

 

「いえ、お気になさらず…で、ご飯は?」

 

「ブレんなぁ、小僧…そう言えばお互いに自己紹介がまだだったな。私はエルネステ・カルスタインだ。このカルスタイン家の当主で、吸血鬼カーミラ派の幹部なんぞもやっておる。小僧、名前は?」

 

「城瀬天浩です。一応人間です」

 

「ふむ、アマヒロか。それで…ああ、食事だったな。エルメ、食堂に連れて行ってやれ」

 

「は、はい!」

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「…はー、超うめー…」

 

 

 いや~、10日振りのご飯、超美味しいです。

 

 

「す、すごい食べますわね……」

 

「そりゃあ、10日も食べてなかったしね。俺、普通の人より低燃費だけど、その分よく食うんだよ。んで? エッちゃんどうしたの?」

 

「あ、いえ、アマヒロさんは何時までこの城に?」

 

「……え?」

 

 

 あれ、これ遠回りに『ぶぶ漬け出しましょか?』って言われてる?

 ―――思い返してみれば、お腹空いてイライラしてたとは言え、相当言葉使いアレだったよなぁ……パツキン少女? あれはしょうがない。

 しっかし、幼女に『出てけ』って言われるとは思わなかった。うん、正直泣きそうです。

 

 

「あ、いえ、コレ頂いたらすぐ出ていきますんで…ハイ、図々しくてスイマセン…」

 

「落ち着いて下さい、別に出てけと言ってる訳ではありません」

 

 

 あ、そうなの? なんだ、心配して損した。

 

 

「まあでも、これ食べたら帰るよ? 元々そういう約束だったし。それがどうかしたの?」

 

「いえ…本当に食事だけでよろしいのですか? 正直、とても受けた御恩とは釣り合わないのですが……」

 

 

 おやおや、助けた直後とはエラい違いだな。なんかあった?

 

 

「いえ、だって『フェニックスの涙』まで使ってもらっておきながら…」

 

「なんじゃ、まだ食べておったんか?」

 

 

 エッちゃんの言葉をぶった切りながらエルネステさんがやって来た。エルネステさんはガツガツと料理を食べている俺を一瞥すると、向かいのエッちゃんの隣に座る。なんだ、何かあったのだろうか?

 ニヤニヤしながらドヤ顔をしているので、どうしたのか聞こうと思った所で、エルネステさんが口を開く。

 

 

「アマヒロ、私の下僕になる気は「あ、お断りします」…最後まで言わせんか」

 

 

 だが断る。この俺の好きな事は絶対に『yes』と答えると思っている奴に『NO』と答える事だ。

 

 

「アマヒロさん、友達いないでしょう?」

 

 

 うるせーやい!!

 

 

 

 

 




ハイ、という訳で、第二話でした

エッちゃんのママ上のエルネステさんはオリキャラです

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