人間「奴隷を買ったwww」   作:榊 樹

4 / 4
魔獣族視点。
想定より長くなったので何話かに分けます。


魔獣族専用スレ part1

1:ご主人様のペット

辛いんだが・・・

 

 

2:名無しの魔獣族

む、これが掲示板、とか言う奴か

 

 

3:名無しの魔獣族

予告はされていたが、いきなり頭の中に出て来てビックリした

 

 

4:名無しの魔獣族

不思議な感じだな

 

 

5:名無しの魔獣族

して、>>1は何が辛いんだ

 

 

6:名無しの魔獣族

この掲示板を始められるということは、人間界へ行った強者・・・で合っているか?

 

 

7:名無しの魔獣族

確か、ランキングで殿堂入りする必要があるんだったか

 

 

8:名無しの魔獣族

つまり、>>1は2位から10位までと同時に手合わせして勝ったのか

 

 

9:名無しの魔獣族

凄いな、今度手合わせ願いたい

 

 

10:ご主人様のペット

いつでもいいが、まず悩みを聞いてくれるか

非常事態なんだ

 

 

11:名無しの魔獣族

む、そう言えばそうだった

 

 

12:名無しの魔獣族

殿堂入りする程の貴殿がそこまで追い詰められるとは、一体どんな強敵と戦っているのだ

 

 

13:ご主人様のペット

あぁ、実はな・・・

 

 

14:名無しの魔獣族

・・・ごくり

 

 

15:ご主人様のペット

実は・・・人間が可愛い過ぎて、辛いんだ・・・

 

 

16:名無しの魔獣族

・・・・・・。

 

 

17:名無しの魔獣族

・・・・・・。

 

 

18:名無しの魔獣族

・・・なるほど

これが惚気け、というものか

 

 

19:名無しの魔獣族

噂には聞いていたが・・・

 

 

20:名無しの魔獣族

存外、ムカッと来るものだな

 

 

21:名無しの魔獣族

それじゃ、もう悩みも解決したという事で

 

 

22:ご主人様のペット

待て、まだ何も話していないぞ

 

 

23:名無しの魔獣族

これ以上何を話すんだ

 

 

24:名無しの魔獣族

今ちょうど山を三十ほど割る鍛錬をやろうとしてた所なんだ

出来れば手短に頼む

 

 

25:名無しの魔獣族

私も、近々ポセイドンと戦うから海割りの練習を

 

 

26:ご主人様のペット

ご主人様の可愛いエピソードだ

 

 

27:名無しの魔獣族

可愛い?

 

 

28:名無しの魔獣族

何故それを話したいのか

 

 

29:名無しの魔獣族

それがどれ程魅力的かは知らんが

 

 

30:名無しの魔獣族

山を更地にしてきたから

 

 

31:名無しの魔獣族

海を飲み干してきたから

 

 

32:名無しの魔獣族

さぁ話せ

 

 

33:ご主人様のペット

・・・まぁ、いいが

その前に、これまでの経緯を話さねばならん

 

 

34:名無しの魔獣族

何故だ

 

 

35:ご主人様のペット

人間界への理解を深めるためだとかで情報提供をせねばならんのだ

魔王様との取り決めだ、許せ

 

 

36:名無しの魔獣族

む、魔王と言うと・・・あの御伽噺に出て来る

 

 

37:名無しの魔獣族

我ら魔獣族と片っ端から殴りあったという

 

 

38:名無しの魔獣族

あの魔王か?

 

 

39:名無しの魔獣族

実在したのだな

 

 

40:ご主人様のペット

あぁ、普段はローブと認識阻害の魔法をしていて姿が曖昧だがな

匂いで凄まじい強者だと分かった

 

 

41:名無しの魔獣族

手合わせはしたのか?

 

 

42:ご主人様のペット

いや、していない

なにせ大恩人であるからな

迂闊な真似は出来ん

 

 

43:名無しの魔獣族

恩人・・・あまり馴染みのない言葉だ

 

 

44:名無しの魔獣族

なんだ、>>1は魔王とやらに対戦相手でも用意してもらったのか?

 

 

45:ご主人様のペット

そんな所だ

 

人間界へと赴くには、各種族の長がそれぞれ決めた条件をクリアしなければならないのは知ってるな

 

 

46:名無しの魔獣族

あぁ、真の強者にしか許されない特権だな

 

 

47:名無しの魔獣族

憧れるな

 

 

48:名無しの魔獣族

人間界、果たしてどのような強敵が待ち受けているというのか

 

 

49:ご主人様のペット

人間界の場所自体は極秘扱いだ

条件をクリアした者は魔王様の手によって、意識を奪われた状態で人間界へと送られる

 

 

50:名無しの魔獣族

精神に作用する魔法を使われたのか

 

 

51:名無しの魔獣族

気合いでなんとかならんのか?

 

 

52:ご主人様のペット

普段なら気を強く持てばなんともないが

あの方のは全く抵抗出来なかったな

 

 

53:名無しの魔獣族

ほう・・・

 

 

54:名無しの魔獣族

>>1でも抵抗すら出来ないとは

 

 

55:名無しの魔獣族

血が沸き立つな

 

 

56:ご主人様のペット

そして、気付けば人間界の大地へと足を踏み締めていた

そこはなんと言うか・・・想像していた強さとは無縁の穏やかな場所だった

 

 

57:名無しの魔獣族

穏やか?

 

 

58:ご主人様のペット

あぁ、地面が襲って来ないと言えば分かるか?

 

 

59:名無しの魔獣族

む、屈服させずにか

 

 

60:名無しの魔獣族

随分と大人しい大地だな

 

 

61:名無しの魔獣族

いや、もしや威圧だけで屈服させたのか

 

 

62:名無しの魔獣族

なるほど、流石は殿堂入りしただけのことはあるな

 

 

63:ご主人様のペット

いや、何もしていない

そもそも、こちらの大地には意思が無い

地割れが起きることも無ければ、剣山のように山を作ることもないんだ

 

 

64:名無しの魔獣族

それは・・・

 

 

65:名無しの魔獣族

俄には信じ難いな

 

 

66:名無しの魔獣族

だがそのような環境で強き者が育つとも思えんが

 

 

67:名無しの魔獣族

人間、一体どれほどの強者なのか

 

 

68:ご主人様のペット

何も襲って来ないので手持ち無沙汰でな

取り敢えず、良い匂いがする方へと向かうことにしたんだ

 

 

69:名無しの魔獣族

良い匂い?

 

 

70:ご主人様のペット

あぁ、闘争心以外の何か

今思えば、あれが獣欲とやらなのか

それをくすぐるような甘美な匂いだった

 

 

71:名無しの魔獣族

ふむ、絡め手が得意な相手だろうか

 

 

72:ご主人様のペット

それから森の中を少し歩いた

本当に静かな場所だった

周囲の植物は毒を撒き散らすことも無ければ、道に迷わせることも無い

静か過ぎて、逆に居心地が悪かったくらいだ

 

 

73:名無しの魔獣族

制圧しなくとも襲わない森か

 

 

74:名無しの魔獣族

想像出来んな

 

 

75:ご主人様のペット

そして匂いが次第に強くなり、森が開けた所に建物がいくつもあった

非常に良く出来た建物だった

どうやらアレが人間たちの住処らしくてな

随分と手の込んだ、木で出来た住処だった

 

 

76:名無しの魔獣族

木で?

 

 

77:名無しの魔獣族

凄いな

いくら切っても、木片になっても襲ってくるような奴らだぞ

 

 

78:名無しの魔獣族

それを住処にするとは、想像以上だ

 

 

79:ご主人様のペット

いや、こちらの木は襲って来ない

擬態してるとかではなく、元から動かないんだ

 

 

80:名無しの魔獣族

・・・そう言えば、大地が襲って来ないような世界だったな

 

 

81:ご主人様のペット

そして、その住処から出入りしていた人間は、なんと言うか・・・

小さかったな

 

 

82:名無しの魔獣族

小柄な種族なのか

 

 

83:ご主人様のペット

いや、小柄なんてものじゃない

ドワーフ達よりももっと小さい

そうだな、ちょうど胸の下あたりくらいだ

 

 

84:名無しの魔獣族

胸の下・・・

 

 

85:名無しの魔獣族

まぁ、子供ならそんなものだろう

 

 

86:ご主人様のペット

いや、大人でそれだ

因みに子供は膝くらいしかない

 

 

87:名無しの魔獣族

それは・・・なんと言うか・・・

 

 

88:名無しの魔獣族

小さいな

 

 

89:ご主人様のペット

あぁ、小さかった

それに大きな耳や尻尾のような、種族特有の部位も無かった

一番近いので魔猿族辺りか

いや、奴らほど大きくはなかったがな

踏み潰してしまわないかと気が気で無かったが・・・

どうやらそんな心配はいらなかった

 

 

90:名無しの魔獣族

ほう、見かけによらず、と言う奴か

 

 

91:名無しの魔獣族

魔猿族、確か元は我らと同じ魔獣族だったか

 

 

92:名無しの魔獣族

だが我らと違い、技術に重きを置いている種族だ

 

 

93:名無しの魔獣族

パワーはそれ程でもないが、こちらの攻撃を全て流す技術は目を見張るものがあるぞ

 

 

94:名無しの魔獣族

しかし小さいと言うのなら、やはり速さを生かした戦法か

 

 

95:名無しの魔獣族

それとも体格差をものともしない力の持ち主か

 

 

96:ご主人様のペット

いや、逃げられた

 

 

97:名無しの魔獣族

・・・ん?

 

 

98:名無しの魔獣族

逃げる・・・身を隠しての奇襲が得意ということか?

 

 

99:ご主人様のペット

いや、そういう戦法がどうのという意味ではなく

普通に逃げられた

悲鳴をあげて

 

 

100:名無しの魔獣族

・・・・・・。

 

 

101:名無しの魔獣族

・・・・・・。

 

 

102:ご主人様のペット

皆、薄々勘づいているとは思うが、人間界というのは強者が住まう修羅の地などではない

吹けば飛ぶような、撫でれば折れてしまうような

そんなか弱い未知の生物、人間が静かに暮らす秘境の地なのだ

 

 

103:名無しの魔獣族

そう、なのか・・・

 

 

104:名無しの魔獣族

か弱い、のか・・・

 

 

105:名無しの魔獣族

ん、いや待て

であれば、>>1は何が辛いと言うんだ

 

 

106:名無しの魔獣族

そう言えば、そういう話だったな

 

 

107:名無しの魔獣族

可愛い、だったか

 

 

108:名無しの魔獣族

可愛いからなんだと言うのだ

 

 

109:ご主人様のペット

いや、お前達の言いたいことはよく分かる

私も、人間界へ来るまではそういうのと無縁だったからな

だが人間の可愛さはそういう次元ではなかった

あれは・・・そうだな、一種のデバフのようなものだ

 

 

110:名無しの魔獣族

デバフ・・・?

 

 

111:ご主人様のペット

あぁ、そうだ

別に何かしらの精神魔法を掛けられた訳では無い

だがあの可愛さはこちらの闘争本能の一切を消し去り、どうしようも無い愛おしさを抱かせるのだ

 

 

112:名無しの魔獣族

防御不能の精神攻撃か

 

 

113:名無しの魔獣族

厄介だな

 

 

114:名無しの魔獣族

>>1ほどの存在が言うのだ

気を強く持つ、とかでは当然無理だろうな

 

 

115:ご主人様のペット

無理だな、なんなら魔王様の精神魔法よりもヤバかった

なんせ、抵抗しようという気すら起こせないのだ

胸の奥に溢れ出る愛おしさが、ただただ心地好い

 

 

116:名無しの魔獣族

強制的に無抵抗にさせられるのか

 

 

117:名無しの魔獣族

聞いた感じだと防御にも影響しそうだな

 

 

118:ご主人様のペット

あぁ、その通りだ

だがその辺は問題無い

 

 

119:名無しの魔獣族

ほう・・・?

 

 

120:ご主人様のペット

人間たちが逃げた後、少しして武器を持った人間たちが現れたのだ

 

 

121:名無しの魔獣族

武器?

 

 

122:名無しの魔獣族

なるほど、足りない戦闘力を武器で補うということか

 

 

123:ご主人様のペット

あれは・・・仕組みは全く分からないが、何やら石のようなものを撃ち出す武器だった

よく出来た代物だった

それを持った人間が何人も出て来て、いつの間にか囲まれてな

 

 

124:名無しの魔獣族

もしや、機械族が扱う銃のことか?

 

 

125:ご主人様のペット

いや、似てはいたがあまりに威力が弱いから違うと思う

溶岩のような熱線も出なければ、厄介な魔弾が出てくることもない

小石のようなものが、こう・・・パラパラと出てくる感じだ

 

 

126:名無しの魔獣族

・・・・・・ん? 武器では無いのか?

 

 

127:名無しの魔獣族

>>1の話を聞く限り、武器と言うにはあまりにも・・・

 

 

128:ご主人様のペット

いや、いや武器だ、武器なのだ

我々の・・・あー、なんだ

投擲、はちょっと強過ぎるな

拳圧、も語弊がある

・・・・・・そうだな、デコピンと同じくらいの威力だ

 

 

129:名無しの魔獣族

デコピン・・・

 

 

130:名無しの魔獣族

デコピンか・・・

 

 

131:ご主人様のペット

いや、正確にはそれよりも弱いのだが・・・

すまない、良い例えが浮かばない

なんせ衣服すら破れなかったのだから

 

 

132:名無しの魔獣族

武器、なのだな・・・?

 

 

133:ご主人様のペット

あぁ、武器だ、間違いない

いや、私自身、武器だと気付いたのはだいぶ後なのだがな

 

それから最初に逃げられた、と言っただろう

その事実に気付くのにもかなりの時間が掛かった

なんせ我ら魔獣族は鼻が利く、姿は見えずともその姿は丸見えな訳だ

 

 

134:名無しの魔獣族

そうだな

瞬間移動や空間跳躍をしない限り、何処までも追い続けられるな

 

 

135:名無しの魔獣族

狙った獲物は地の果てまで追い掛けるぞ

 

 

136:名無しの魔獣族

・・・いや待て、まさか

 

 

137:ご主人様のペット

ふむ、短い時間だが人間のか弱さがある程度伝わってるようだな

なるほど、魔王様はこれを狙っていたのか

 

あぁ、そうだ

>>130が想像した通りだ

人間は瞬間移動や空間跳躍も出来なければ、分身を作って撹乱することも出来ない

なんなら、トコトコ走って物陰に隠れて、それで逃げられたと思ってる程だ

 

 

138:名無しの魔獣族

・・・・・・。

 

 

139:名無しの魔獣族

・・・・・・。

 

 

140:名無しの魔獣族

・・・・・・ンッ゛

 

 

141:名無しの魔獣族

・・・一応、尋ねる

人間の特殊能力である可愛さ、とは言葉伝いに感染するものか?

 

 

142:ご主人様のペット

・・・どうやら、そのようだな

こうして誰かに話すのは初めてだからな、私も少し驚いている

 

 

143:名無しの魔獣族

これは、想像以上に厄介だな

 

 

144:名無しの魔獣族

気が抜けると言うか、なんと言うか・・・

 

 

145:名無しの魔獣族

得も言えぬ多幸感が、全身をフワフワと包むような・・・

 

 

146:ご主人様のペット

ふむ、私は下腹部にズキューンと来たが・・・まぁ、言葉伝いではこんなものか

 

さて、幸せになってる所悪いが皆覚えているか

私は最初に辛い、と言ったことを

 

 

147:名無しの魔獣族

あぁ、人間が可愛過ぎて辛いと言う話だったな

 

 

148:名無しの魔獣族

なんだ、これ以上にまだ何かあるのか

 

 

149:ご主人様のペット

いや、そういう事ではない

実は、辛いと言ったのは別の意味でもあるのだ

 

いいか

人間たちが逃げたのは、純粋な恐怖からだ

人間たちが玩具みたいな、けれども人間同士を傷付けるには十分過ぎる武器を私に向けたのは、私を恐れたからだ

何故恐れられていたのか、理由は分からないが・・・

 

想像してみて欲しい

今も身体を覆う多幸感

それを無限に与えてくれる愛い生き物達が、顔を歪めて逃げ惑うのだ

武器を構えて、敵意を示してくるのだ

 

 

150:名無しの魔獣族

・・・・・・。

 

151:名無しの魔獣族

・・・・・・。

 

 

152:名無しの魔獣族

・・・・・・。

 

 

153:ご主人様のペット

・・・まぁ、そういう事だ

 

膝を屈して、地面に這いつくばったのは、初めての経験だったよ・・・

 

 

154:名無しの魔獣族

・・・・・・。

 

 

155:名無しの魔獣族

・・・・・・。

 

 

156:名無しの魔獣族

・・・・・・辛いんだが。

 

 

 




次回も掲示板。
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