「奥羽の群れが、人喰い熊を倒す為に、全国から『男』を集めているらしい」

ランボー先輩の言葉に、オレは憤った。
そして是非、仲間に加わろうと決意した。

パグ犬ロッキー。1歳半、雄。



多分、旅立ちの日は遠い。

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銀牙伝説ロッキー

 オレの名前はロッキー。

 1歳半の雄のパグ犬だ。

 

 今日もいつものえるむ公園に『かいぬし』をさんぽに連れていく。

 公園の入口にいつもの『かいぬし』たちが集まって、うちの『かいぬし』に声をかけてきた。

 尚、やつらを連れてきた犬たちの大半は、公園の真ん中あたりで、駆けまわったり転がったり、思い思いに遊びに興じている。

 公園で『かいぬし』を放しておくなんて責任感のないやつらだ。

 今『かいぬし』のそばに座って、その行動を見張っている犬は、オレの他は同じパグのランボー先輩のみ。

 

 そんな中、立ち話を始めた『かいぬし』同士を待つ間、そのランボー先輩が、

 

「奥羽の群れが、人喰い熊を倒す為に、全国から『男』を集めているらしい」

 とか言いだした。

 

 ☆☆☆

 

「くま、ってなんスか、先輩」

 と訊ねたら『そこからかよ!』と笑われた。

 先輩の言葉は難しくてよくわからなかったが、なんか大きな生き物らしい。

 そしてその大きな生き物が、人間を殺して暴れまわっていると聞き、それはよくないことだと思った。

 人間って、『かいぬし』やその友達のことだ。

 あいつらは時々さんぽに連れていってやるだけで美味しいゴハンやおやつをくれる、いいやつらなのだ。

 若干アホなので言葉はわからないし、オレの気分が乗らない時にもさんぽに行きたがるのは困ったものだが、そんな我儘を聞いてやるのも、オレの器を示すに必要なことだ。

 そして、そんな『かいぬし』の仲間を困らせている奴らは、こらしめてやらねばなるまい。

 オレも是非仲間に加わらなくては。

 

「それで、先輩。

『おおう』ってどこにあるんスか」

「オレも知らねえ。

 けど、なんか山だって言ってたな」

「やま」

『かいぬし』の足元から、えるむ公園の中を眺める。

 公園の入口から固い道を歩いて行くと、右の方に見えるやつか。

『かいぬし』はそれを『やま』と呼んでいる。

 けど、今眺めてもそこに大きい生き物はいない。

 どこにいるんだと首を傾げていたら、オレの視線に気づいたランボー先輩に、

 

「そこじゃねえよ」

 とやっぱり笑われた。なんでだ。

 

 ☆☆☆

 

「おおうって公園はどこにあるんだ」

 さんぽから帰ったオレは、『かいぬし』にさっきの話を聞いてみた。

 オレに問われて『かいぬし』は、

 

「ちょっと待ってなさい、今用意してるから」

 と言って数分後に、皿に盛られたゴハンが出てきた。

 

 今日も『かいぬし』のゴハンは美味しい。

 おなかがいっぱいになって、オレはいつもの自分のクッションにごろんと横になった。

 

 今日も楽しかった。




すいませんでした。

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