ロリコンと奴隷少女の楽しい異世界ハクスラ生活   作:いらえ丸

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 適当に続けていけたらいいなと思います。
 ジャンルは「冒険・バトル」ですが、冒険も日常もあります。「日常」と迷いました。どっちなんでしょう?
 劇的で面白い話じゃなく、読んでてほんのり楽しい話を目指していきたいですね。



◆注意◆
 主人公は若干頭がおかしいです。
 一般人ですが、まともではありません。
 アライメントは「秩序・悪」です。中立寄りです。


ロリコン、異世界に立つ。

 恥の多い人生を送っていると思う。

 

 初恋は、画面の中の二次元ロリだった。

 アニメ専門チャンネルで見た、とある魔法少女。界隈では人生ブレイカーとかロリコン製造機とか言われてたりする魔性の幼女だ。

 だが、初恋とは叶わぬもの。その子は続編アニメで立派なキャリアウーマンになってました。成長した彼女はムチムチのボインボイン体型になってしまったのだ。そうして俺の淡い恋心は見事砕け散ったのである。

 その程度と言われればそうだし、薄情と言われればそうだろうと思うが、俺は大きくなった彼女に何の魅力も感じなくなってしまったのだ。

 

 その時、思い知った。

 俺はロリコンだったのだ。

 

 背の低い女の子が大好きで、幼い仕草にトゥンクと来て、メスガキトレンドに真っ先に飛びつき愛好し続ける類の人間だった。

 背の高い女性を愛せない。妖艶な女優に興味を持てない。大きなお尻、大きなお胸に何の魅力も感じない。

 

 初恋が二次元なんてのは今どき珍しい事じゃない。それがロリでも、まぁおかしな事はないだろう。当時、俺はショタだった。ショタがロリに恋をするなんてのは健全も健全ド健全。何が問題ですか?

 しかし、デカくなった俺は三次元のロリも好きなタイプのロリコンだった。

 

 画面の中じゃない初恋は、友達の妹だった。

 高校生の頃だった、遊びに行った友達の家で、とても可愛いJCを見て、心の臓にバキュンと一発。目と目が合うーって奴だった。

 その子は性格も良くて、兄の友達である俺にも礼儀正しく挨拶してくれた。まさに天使みたいな女の子だった。

 けれど、彼女は堕天した。翌年の夏休み、黒髪の妹君は髪を染め、濃ゆいギャルメイクをするようになっていた。で、両親や兄とも仲が悪くなり、中学生にして朝帰りをする事もしばしばになってたとか……。

 再度、俺の恋は砕け散った。天使は失墜し、ロリのロリたる所以が失われたのである。三次は惨事だ。

 

 やっぱり、俺はロリコンだった。

 年上は無理だ。同い年ももう無理だ。年下もある程度すると無理になると思い知った。

 ……いや、今のは嘘だ。年上でも同い年でもオッケーだ。肝要なのはロリな事であって、実年齢がどうのではない。二次ならば。

 真のロリコンはロリを愛するが、ロリも愛する。しっくりくるね。ロリババアはいいぞ。

 

 閑話休題。

 

 そんな俺だが、現代日本的な倫理観はしっかり持ち合わせていた。

 イエス・ロリータ・ノー・タッチ。当然として、リアル女児に手を出す事はなかった。遥か昔の日本ならともかく、俺が生まれたのは世紀末後の現代日本である。ロリと結婚できるってだけで戦国大名に強い憧れ抱いちゃうが、俺はただの一般人だ。法律という名の投石攻撃は怖いのである。

 二次と三次は等価であったが、俺は特に二次に傾倒した。三次への興味が失せたというより、叶わぬ恋をするよりも好きなアニメやゲームをやってた方が有意義だと思うようになっていた。

 実際、三次のロリはロリじゃなくなる。合法ロリにはなれたとしても、ロリババアにクラスチェンジはできぬのだ。ある意味健全である。

 

 俺はロリコンだ。

 

 犯罪者予備軍なのかもしれない。けど犯罪者じゃない。

 ヤバい奴かもだが、ヤバい事はしてない。

 そんな、多分どこにでもそれなりの人数いるタイプのロリコンが、俺。

 石黒力隆という男だ。

 

 石黒力隆(イシグロリキタカ)(21)

 12月11日生まれ。

 尊敬する人、ルイス・キャロル。

 好きなお菓子はホワイトロリータ。

 

 

 俺はロリコンだ。

 俺には夢がある。

 

「異世界行ってロリのハーレム作りてぇ……」

 

 大志を抱けと言いますが、抱いた夢がこれじゃあね。

 

 虚しい呟きが狭い風呂場に反響した。

 ま、無理なんですけどねってのは、自身の性癖を知ってから自覚している事である。

 二重も三重も無理な夢だ。要点はロリであるが、現実じゃ無理なのでさらに無理な夢もどきで欲望を覆ってるだけだ。あほくさ、である。

 

 ロリコンとは悲しい生き物だ。

 初恋も、将来の夢も、結婚も。

 絶対に叶うものではないのだから。

 

「さて、イベント周回がんばるぞい」

 

 などと言いつつ、俺は俺の人生にそれほど不満はなかった。

 元の性格がそうさせるのか、俺は物事をそんな深刻に考えない性質なのである。

 悩む事、ヘコむ事は最低限でいい。そんな事する暇があったら、青山先生の新刊を読むほうが有意義だ。新作のアニメ化まだですか?

 画面の中、紙面の文字、電子の書籍のロリたちは、いつも俺の心を満たしてくれるのだ。

 これ以上の幸せはロリコンにゃ眩し過ぎる。

 

 そうして、俺はいつものルーティンをこなし、寝床についた。

 明日は予約してた同人エロゲの発売日。来週はきららの発売日。一か月後にゃよさげなロリアニメが始まる。

 

 異世界でもないし、童貞のままだし、ハーレムも作れやしないが。

 半径3メートル以内にロリがある。

 まぁまぁいいじゃないか、ロリコン人生。

 

 温かい布団の中、俺は安らかな眠りについた。

 

 

 

 で、今に至る訳だが……。

 

「異世界じゃん」

 

 目が覚めると、異世界に来ていた。

 お尻に硬い感触。ベッドで寝ていたはずの俺は、いつの間にか噴水の淵に座っていた。

 周囲を見ると活気ある出店が軒を連ねていて、そこの店主や客には現代日本人にはあり得ない特徴があった。耳が長かったり、ケモミミが生えてたり、髭もじゃのずんぐりむっくりだったり……。

 

 やっぱ異世界じゃん。

 

 ふと幼女の声が聞こえた。反射的に目を向けると、通りの方からピンク髪と緑髪の女の子二人がこっちに向かって走ってきた。

 二人はピンクとグリーンというカラフルな髪色をしていて、頭にはネコ科動物っぽい耳が生えていた。彼女らの後ろから同色の髪色をした男女がやってきて、二人を微笑ましげに見守っていた。両親らしき二人の頭にも、猫耳が生えていた。ヒト耳が無ぇ。

 うん、ここ日本じゃねぇ。アメリカでもねぇ。勘と経験が言っている、異世界だ。

 

「……マジ?」

 

 手を見る、俺の手だ。服を見る、寝間着のジャージだ。うん、これ転生じゃなくて転移的な奴だな。

 恐ろしいもので、ネットネイティブ世代の俺からすると異世界転移は存外あっさり受け入れられるものであった。

 

「どうすっかなぁ……」

 

 ぼんやりと空を見る。

 異世界受容こそ早かったが、途方に暮れてしまうのは仕方ないだろう。

 ある意味、長年の夢の第一歩が叶ったかもな訳だが、如何せん素直にゃ喜べない。

 

 なんせ、これ全然デイドリームの可能性あるから。

 幸福な夢から覚めた時の反動が怖くて、はしゃげない。

 銀魂の無人島全裸案件。あるいは一人かめはめ波練習になりそうで、異世界ヒャッハーができなかった。

 

 まあ、とはいえだ。

 

「うわ、あの子めっちゃ可愛い……」

 

 夢の中でも、異世界でも。

 ロリの笑顔は俺の心を満たしてくれた。

 俺は、異世界でも俺のままであった。

 

 ロリコンの魂百まで。

 我魂魄百万回生まれ変わってもロリコン。

 ロリ愛でる、故に我あり。

 

「ま、なんとかなるだろ」

 

 俺は腰を上げた。

 

 不安の中、無理やり希望を捻りだす。

 ここは日本じゃない。異世界だ。なら、ロリと結婚できるかもしれないし、エターナルロリがいるかもしれない。ハーレムだって、できるかもだ。

 やれるだけ、頑張るだけ頑張ってみよう。異世界産のロリを見て、そう思えた。

 

 とはいえだ。

 俺は貧弱一般人。獣一匹殺した事ない身からすると、腕一本でファンタジーやれる自信はなかった。

 

「特典、あったらいいなぁ……」

 

 俺の呟きは、広場の喧噪に流されていった。

 

 

 

 

 

 

 異世界転移から、約一週間。

 

 俺は今、体育館ほどの広さの洞窟で死闘を繰り広げていた。

 

「しゃアッ! 死ねオラァ!」

 

 現代日本では絶対発さないであろう暴言を飛ばしつつ、相対する化け物の腹を横一文字に切り裂き、勢いそのまま通り過ぎる。

 ズサーっと靴底が地面を滑り、振り返って構えを取った。その間、コンマ以下秒。流れるような一連の動きは前の世界じゃあり得ないほど俊敏で、現実離れしていた。これぞ“剣士”のアクティブスキル“切り抜け”だ。

 数瞬遅れて、奴の腹から切れ目に沿った血が飛び出た。最後っ屁が来るかもしれない、切っ先を向けて構える。奴は振り返らない。やがて、どしんと膝をつき、迷宮の主は倒れた。

 そして、身長約4mの熊型ボス――ナックルベアは、青白い粒子となって俺の身体に吸い込まれていった。

 

「んぁ~……たまんねぇ」

 

 瞬間、俺の身体に冬場の風呂に浸かった時みたいな快感が溢れた。

 奴の魂を取り込み、俺の魂魄強度を上げたのだ。実際そうかは知らないが、なんかそんな感じがする。何度も味わったこの感じは間違いなくレベルアップだ。

 はじめてこれ体験した時、まるでソウルシリーズみたいだなと思ったものである。

 

「よし! 剣士レベル10!」

 

 言いながら、慣れた操作で空中投影されたコンソールをスワスワする。

 アイアンマンのアレか、あるいはSAOのアレみたいなコンソール画面には、現在の俺のステが載っていた。

 

 

 

◆イシグロ・リキタカ◆

 

 剣士:レベル10

 新規習得スキル:回転斬り

 

 能動スキル1:切り抜け

 能動スキル2:受け流し

 能動スキル3:生命活性

 補助スキル1:魔力変換

 

 生命:28

 魔力:22

 膂力:28

 技量:27

 敏捷:27

 頑強:24

 知力:16

 魔攻:18

 魔防:19

 

 

 

 剣士レベル10。能力値はバランス前衛型。RPG的には駆け出しなんだと思う。実に分かりやすい。

 けど、他の人にこのコンソールは開けない。開けられる人はいるかもしれないが俺は見たことない。つまりこのゲーム的仕様こそ、俺の特典……なんだと思う。

 

「ま、考えるのは後でいっか」

 

 ステ確認か鑑定かコンソールか。一見なにそれショボとか思ったものだが、これほど便利なものはないと今ではそう実感していた。

 物騒なこの世界、前と同じく自分の能力値を数値化する事はできない。けど俺はできた。どっかの誰かの言う通り、敵のお尻と己のお尻を知ってれば百回戦っても勝てるのだ。

 安心安全なレベリング。それにより、今の俺の剣士レベルは10だ。異世界初心者にしてはなかなか良い調子なんじゃないだろうか。

 

 まぁ、これはあくまでも特典のひとつで、俺がこれまで生きてこれたのは別の要因がでかいんだが。

 それはともかく、今日も無事帰還である。

 

 討伐後、ボス部屋中央に出てきた巨大クリスタルに触れ、転移する。

 瞬間、足先から順に俺の身体が青白い粒子に変換されていく。転移のエフェクトだ。

 最初は怖かったが、転移すると返り血とかも綺麗さっぱりだから便利だ。簡易の風呂だと思えば慣れるのも早かった。

 

 しばらくして、目を開けた。切り替わった視界には、見慣れた転移神殿の風景が広がっていた。

 さっきのボス部屋が体育館だとしたら、ここは野球場といった印象だ。冒険者は、この場所からダンジョンへと転移するのである。

 学校ひとつ程度覆ってしまえそうなほど高い天井には、数えるのも面倒な程多くの発光クリスタルがあった。ここは昼も夜もいつでも明るく、独特な熱気に満ちている。

 遠く神殿の入口付近にはギルド受付があり、笑顔の受付さんが新人冒険者っぽい兄ちゃんと話していた。今からひと狩り行く気のパーティが転移石板の前でダンジョンを選んでいた。

 野球場でいうベンチとかの辺りには道具屋や武器屋が並んでおり、ダンジョンアタックに必要な物品を扱っている。

 転移神殿という名の此処は、まるでハクスラRPGの拠点みたいだった。

 

 俺は出口用の転移石板を離れ、コミケ仕込みのすり抜けスキルを駆使して人混みの中を歩いた。

 そして、いつもの受付さんの前に立つと、慣れた手つきでアイテムボックス――虚空に腕を突っ込むタイプの奴である――から本日の戦果を差し出した。

 どさっと卓上に置かれたのは、種々様々なダンジョン産アイテムとその他諸々である。殆どはダンジョンモンスターが落とすガラクタばかりだが、中には赤子の拳サイズの宝石みたいなのもある。

 

「換金お願いします」

「ん? おぉ、あいよ。番号札は緑の1番な」

 

 そう言って、受付さんは俺に緑色の番号札を渡してきた。受け取ると、おじさんは俺が持ってきたアイテムを背後のクソデカ天秤にセットしていた。曰く、ギルドご自慢の換金魔道具らしい。

 ダンジョンモノの定番、受付さんはもちろんベテランっぽいおじさんだ。登録も換金も、俺はいつもこのおじさんに頼んでいた。理由は簡単で、ここが一番空いててスピーディだからだ。

 他の受付さんの前には長蛇の列ができている。列の先には、凡そ多くの現代人が美人だと思うであろうお姉さんが笑顔を振りまいていた。対する男は嬉しそうに顔を赤らめていた。

 

「にしても、あんた意外としぶといな。三回目あたりで死ぬと思って賭けてたから大損こいちまったよ」

「職員って賭博やっていいんですか?」

「飲み代くらいじゃしょっぴかれねぇよ。おっ、換金済んだな。ほら札返せ」

「はい」

 

 雑談などしつつ、渡されたお金――金貨銀貨だ――をアイテムボックスにしまう。

 念のため、お金の確認はここではやらないようにしている。スリの危険性があるからだ。俺はまだ遭遇してないが、現場に居合わせた事はある。こっちの治安は日本ほどよくないのだ。

 

「お前……明日も潜るのか?」

「ええ、そのつもりです。では、ありがとうございました」

 

 柵抜け人抜け扉抜け、すたすた歩いて神殿を出た。

 すると、視界いっぱいに暗くなり始めた異世界の街の景色が広がった。

 

 神殿の出入り口の前にはこれまた広くて大きい階段がある。そこから、この街をある程度俯瞰できるのだ。

 階段の下、いくつもの屋台や飲食店が軒を連ねていた。外の席では同業と思しき人たちが酒を飲んで仲間と騒いでいる。かと思えば殴り合いの喧嘩がはじまって、周囲の人が盛り上がっていた。

 

 楽しそうだなと思いつつ、俺は人混みを避けて大通りを抜けた。

 少し歩いて右に左に。遠い喧騒が薄れてくると、目的地にたどり着いた。宿屋である。

 

「お、今日も来たね。昨日と同じでいいかい?」

「頼みます。先にお湯頂いてもいいですか?」

「あいよ。少し待ってな」

 

 宿屋の主人に挨拶し、昨日と同じコースで部屋を借りる。

 一階の洗い場に行き、装備していた防具を脱いでいく。ブーツに手袋に胸当てと、ホントに最低限の防具類だ。転移直後のパンツ以外の持ち物を全部売って揃えたのだ。探索の後、貯まったお金は殆ど貯金に回している。

 装備を外し、全裸になる、もらったお湯で身体を拭いて、ついでに装備も洗う。迷宮探索での汚れは転移で消えるのだが、汗や垢は残るのでちゃんと洗わないといけない。この世界は普通に大衆浴場があるのでそっちに入った方が気持ちいいのだろうが、今は節約しているのだ。

 綺麗になったところで食堂に行き、頼んでおいた夕食を食べる。異世界食は存外悪くなかった。とりわけ美味しくもないが、不味くもない。ちゃんとした飯屋に行けば美味しいご飯が食べられるのだろうが、今は節約しているのだ。

 

 飯を食べ終えて、借りた部屋へ。

 四階建ての最上階。一番安くて狭い部屋だ。大体三畳くらいの広さ。此処が俺の住処だ。持ち金的には普通にもっと良い宿屋に住めるのだが、今は節約している。

 俺は、節約しまくっているのだ。

 

「さて、と……」

 

 堅いベッドに寝そべりつつ、コンソールを弄る。

 ステの確認と、今後の方針についての思索だ。

 

 この世界は、ゲーム的だ。

 ダンジョンの怪物を倒すと経験値が得られ、ある程度溜まるとレベルアップする。レベルは職業ごとに分かれ、転職するとその職業のレベルになる。レベルは引き継げないがステは据え置きで、本人の強さは職業レベルじゃなく積み重ねた職業レベルの総合とステータスで決まるのだ。

 また、ステは職業ごとに伸びる項目が違う。戦士なら膂力や技量が、魔術師なら魔力関連がといった具合に。俺はジョブを転々としているので、ステの構成は前衛の割にバランス型だ。

 分かってる範囲だが、ジョブは基本職→下位職→中位職……と上がって行くのだと思われる。今の俺のジョブは剣士なので、下位職という訳だ。

 まあ、こんな感じ。ドラクエっぽいし、FEっぽくもある。

 

 で、今現在、俺が何に頭を悩ませているかというと……。

 

「ジョブチェンジかぁ……」

 

 ジョブチェンジについてである。

 この世界、例によって一定条件を満たすと特定のジョブにつけるらしいのだ。多分、剣士10+魔術師10=魔法剣士みたいな感じだと思う。

 現在、俺の職業レベルは戦士レベル10と魔術師レベル5と剣士レベル10である。さっき確認したが、どうやら戦士10+剣士10で“剣闘士”という下位職になれるらしい。

 剣闘士は剣士と同じ下位職だが、剣特化の剣士と違って盾を扱う事ができるようだ。多分、剣闘士で覚えられるスキルみたいなのもあるんだろう。実際気になるし、剣闘士って何か強そうだ。ステの伸びも剣士より少し上だ。

 けれど、今の俺の戦闘スタイル的に剣士がしっくりきてるので変えたくないのだ。あと、先に剣士レベルを上げてみたい気持ちもある。剣士の次のジョブも気になるしね。

 

 扱いやすい剣士を貫くか。

 今後の事を考えて剣闘士のレベルも上げておくか。

 悩みどころである。

 

「ふふっ……」

 

 ベッドの上、思わず笑みがこぼれた。

 悩みどころといいつつ、楽しんでいた。ゲームをやっていて楽しい時とはこういう時間だと思うのだ。

 命のかかった生業。死にゲーみたいなダンジョン。決してよろしくない治安。

 けれど俺は、この異世界をけっこう楽しんでいた。

 

 石黒力隆(21)

 俺には夢がある。

 

 異世界でロリのハーレムを作り、酒池肉林の限りを尽くすのだ。

 その為に、俺は毎日命張って金策し、節制して金を貯めている。

 何故か? 奴隷を買う為だ。この世界、普通に奴隷売買があるのだ。無論、そういう奴隷も。何しても、いいのだ。

 まあ、乗るよね。

 

 健全なロリコンなら、健全なパーティを組んでロリとの出会いを求めるのだろう。

 だが、俺は違う。前世の俺は法に従って生きていたが、それはあくまでそういう法があったから従っていただけで、ロリ奴隷が合法な環境ならさっさと欲を満たす方向に進んじまうのである。

 あと、探してみたが、女冒険者はいてもロリ冒険者は見かけた事はない。悲しい、めぐみんはどこだ。ロキシー先生はどこだ。見つからない。期待薄だろう。

 

 奴隷少女、可哀想だが、大好物だ。

 前世、俺には好きな同人ゲームがあった。有名な作品だ。傷ついた奴隷少女を買い、優しく接して愛を育んでいくというハートフルな作品だった。

 ぶっちゃけると、奴隷少女っていう文字列がツボなのだ。

 

 おいおい、現実甘くねぇぞとか。

 そんな都合よくいくかよとか。

 そう思うかもしれない。

 

 けど、ここは異世界。

 レベルがあり、ステがあり、奴隷が合法化された世界なのだ。

 

 異世界生活、楽しんだもん勝ち。

 

 俺はそれまでを、こうやってゲームに没頭するかの様に過ごしていた。

 奴隷少女の事を思えば、節制生活も辛くない。レベルアップする毎日は楽しい。ジョブチェンジに悩む時間はワクワクする。

 

 なに、大丈夫。

 ミスっても死ぬだけだ。

 

 ロリハーレムの為ならば、命なんざナンボでも賭けてやる。

 それが俺、ロリコン石黒の生き方である。




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 本作は、「異世界迷宮で奴隷ハーレムを」と「異種族レビュアーズ」に触発されて書いた作品となっています。
 中でも内密氏へのリスペクトは強めな作風となっております。パクりでもオマージュでもなく、リスペクトです。
 ああいう感じで続けていきたいなぁという気持ちですね。

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