【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚   作:いらえ丸

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 感想・評価など、ありがとうございます。モチベになってます。
 誤字報告もありがとうございます。感謝です。
 キャラ・ボスのご応募もありがとうございます。あと、できればレギュレーション読んでくれると嬉しいぜ。

 今回は一人称、ロリ回です。
 よろしくお願いします。


可愛いロリの家

 すごく今更な話だが、異世界に来てから俺はアイテムボックスというものが使えるようになった。

 異世界モノにありがちな、謎空間に手を突っ込んでアイテムを出し入れしたりするアレだ。

 各種アクセシビリティと同様、とても便利なのでいつも便利に使わせてもらっている。

 

 そんなアイテムボックスくんだが、俺が持つ他チートとは異なり、こちらは現地人でも使える人がいるようだった。感覚的には左利きの人と同じくらいの割合で。

 物知りエリーゼに曰く、収納魔法(アイテムボックス)は魔眼や権能のような先天的な異能扱いになるようだ。ただ、現地勢のアイテムボックスはその性能に個人差が大きいらしかった。カバンサイズしか入れられなかったりとか、小さい物しか入らなかったりとか。

 だとしても、凄まじく有用な能力である事に違いはない。この世界、収納魔法持ちの人は色んな職で重宝されるのだ。配達然り迷宮探索然り、何をするにしても将来が約束される異能といっていいだろう。

 

 その点、俺が使っているアイテムボックスには、現地人のような制限が無い気がする。実際にはあるのかもしれないが、検証した限りではそれらしいものは見つけられなかった。

 容量、所持数、もしくは重量制限には今のところ底が見えない。流石にアイテム以外は収納できなかったが、サイズや形状も割と自由。イメージで言うと、家は持ち込めないけど、家くらい大きなテントなら持ち込めるといった感じ。

 あと、生き物は入れられなかった。生きてる魚は入らないが、死んだ魚なら大丈夫。微生物とかどうなんだろうと思ったが、その辺はよく分からん。

 収納魔法内の時間経過はというと、恐らく止まってるんだと思う。少なくとも一ヵ月放置した生肉は普通に喰えたし、コンソールで調べても品質に変化はなかった。だが、イリハ曰くアイテムボックス内で発酵食品を作る事はできないらしい。

 

 さて、とっても便利なアイテムボックスだが、これまた今更な事に俺はかなり依存してしまっている。

 というのも、コレ本当に便利なのである。取り出すのも楽だし、保管も安全なのだ。

 けれどもそれはそれとして、家に置いておきたい物というのはございまして……。

 

 

 

「よし、これで完成」

「ひゃー、立派なもんッスねー」

 

 綺麗に掃除された寝室で、俺とルクスリリアは寝具一式を配置していた。最後にオーダーメイドの特大ベッドを置いて、これにて完了である。

 このベッドの大きさはキングサイズより上になるだろうか。形状はシンプルで、ただデカいだけのベッドフレームといった感じ。これにリンジュで購入した高級布団を敷いて完成である。

 

 今日、俺達は予約していた借家に引っ越してきた。

 既に掃除はされているので家は綺麗なものだ。が、一部家具は持ち込みである為、今現在我が一党は手分けして引っ越し作業をしているのである。

 

「きひひ♡ ご主人~♡ さっそくベッドの使い心地確かめるッスよ♡」

「四十秒で支度しな」

「じゃ、最初っからラストスパートでいくッス♡ ご開帳~♡」

 

 促されるまま仰向けになり、ルクスリリアに身を任せる。

 シミのない天井を眺めていると、外気に触れていた先端に温かなザラつきが接触してきた。最早、熟練の筆捌きである。

 悔しい事に俺の弱点は把握されているので、双方が一切の縛りを解けば一分もかからない。昨晩もたっぷりプレイしたのにも拘わらず、濃さにも量にも衰えがなかった。我ながら、エロゲ主人公もかくやという絶倫ぶりである。

 

「ふぃ~、美味しかったッス♡」

「皆はどうしてるかな~っと」

 

 そうしてサクッと休憩(・・)した後、俺達は皆の様子を見に行く事にした。

 寝室のドアを開けると、視界いっぱいに昼間の陽光が広がった。

 そう、視界いっぱいだ。寝室から出た通路は陽の光に満ちた中庭に接しており、広々とした吹き抜け構造になっているのである。

 

 今、俺達がいるこの借家は、上から見るとマイクラトーフハウスの奥に、二階建ての「ロ」の字建築がくっついたようなデザインになっている。

 玄関から入ってトーフハウスを抜けると、太陽光を取り入れた四角い中庭に繋がっており、庭の中心にはラリス王国お得意の噴水がある。その噴水を囲うように各部屋が配置されているのだ。

 さっきまでお楽しみしてた寝室は二階にあり、この家で最も広い部屋となっている。ベランダのような通路には柵があり、お目覚め一番で綺麗な中庭を眺められるのだ。

 

「家ん中に噴水あるのって新鮮ッスね! なんか金持ちになった気分ッス!」

「成金ではあるよなー」

 

 何というか、この借家は昔に本で読んだ古代ローマのドムスというタイプの建物に似ている気がする。

 まぁ似ているだけでまんまソレという訳じゃなく、割と異世界ナイズドされているのだが。主にサイズ感とか。

 ちなみに、建築様式に自信竜のエリーゼによると、この建物は中世ラリス式にあたるようだ。今の技術を使って、あえて古風な造りにしているというのである。

 

「なにより風がないのが良いな。お陰で廊下が汚れない」

「なんつーか無駄に凄い技術ッスよねー」

 

 空飛ぶ翼人のいる世界、中庭丸見えとか大丈夫かよって話だが、それに関してはご安心だ。異世界の住宅セキュリティは万全である。

 まず、建物全体には各種防犯魔術やリンジュ式結界術が施されているので、銀細工持ちの斥候でも侵入不可である。

 中庭に関しても屋根の結界が雨を弾いてくれるし、風も通さない。通すのは光だけで、中庭といいつつ実際は屋内なのである。勿論、覗き見対策の幻術もセットされている。

 屋外の開放感がありつつ、屋内の清潔感を保っている。そんなファンタジー・ハウスがこの家なのだ。

 

「ここか。グーラ、作業進んでるー?」

「あ、すみません。まだ済んでなくて……」

 

 それはともかく、ロリ巡りだ。グーラのいる部屋にノックして入室すると、そこには地べたに座って本を読むグーラの姿があった。

 その部屋にはソファーや執務机といった家具に、中途半端に埋まっている本棚だけが置かれていた。

 ここはエリーゼ&グーラの本読み勢ご所望の書斎……の予定地である。

 

「全然進んでないじゃないッスか」

「それが、本を整理している時に、ちょっと読み耽ってしまって……」

 

 残念ながら、書斎予定地は未だ構築途中であった。グーラの周りや机には未整理の本がうず高く積もっていた。

 各種家具の配置はスムーズに済んだのだろうが、本を並べている間に軽く読んでからドツボにハマッてしまったようである。

 気持ちは分かる。俺も実家出る時、物理本の整理中に漫画読んじゃってたもんな。

 

「手伝うよ。俺は上の方に置くから。グーラはカテゴリー分けしといてくれ」

「は、はい。ありがとうございます、ご主人様」

「うへぇ~、こんな小難しい本よく読めるッスね……」

 

 という訳で、俺達は手分けして書斎を仕上げる事にした。

 グーラが本を分けて、ルクスリリアが本棚の下段に本を入れていき、俺が上の段を担当する。

 せっかくだからと図書館レベルの本棚を購入したので、全ての蔵書を入れ終えても棚にはまだまだ空きがあった。

 読み物の殆どを電子書籍にして以降、物理本の多くを処分してしまった俺だが、こうして本が並ぶ棚など見ると何故だか妙に感慨深い気分になる。

 

「いずれ、この棚をいっぱいにしたいな」

「ほわぁ! そ、それは凄いですね……!」

 

 ところで、本棚を見ると無性に埋めたくはならないだろうか。

 

「なんで椅子あるのにソファーまであるんスか?」

「気分で座るとこ変える為じゃない? ほら、このソファーなら俺でもゴロ寝読書できる」

「ご、ゴロ寝読書……!」

 

 寝ながら読書をするという概念に、グーラは深い衝撃を受けたようだった。

 そういえば、この娘って本読む時はいつも姿勢正しく座ってたもんな。前世、俺が漫画読んでた時みたいに、グーラがダラダラと読んでる姿を見たことがない。

 それはさておき、これで書斎は完成である。俺も異世界文字勉強の時とかに使おうかな。

 

「さて、イリハは……地下室か」

 

 チートの恩恵により、俺は仲間が何処にいるか分かる。どうやら、イリハは今この家の地下室にいるようだ。

 仲間を増やしてロリの場所へ。俺達は階段を下りて一階トーフハウスにある地下へ潜っていった。

 

「地面の中に部屋があるなんて、不思議です」

「ッス。うちにも貴族の屋敷にならあったッスけど、流石に庶民の家には無かったッスね」

 

 薄暗い地下の扉を開けると、そこは広い倉庫のような場所になっていた。

 事実、涼しくて暗いこの地下室は食料などを保管する為のスペースである。

 

「おや主様、どうかしたかの?」

 

 そんな地下室で、割烹着姿のイリハは真新しい漬物樽を運んでいた。言いながら、手に持っていた樽を頑丈そうな棚に置いた。

 棚には程よいサイズの壺が等間隔に並んでおり、壺はそれぞれ色が異なっていた。

 

「様子見にきたんだけど、手伝える事はなさそうだな」

「うむ、今ちょうど終わったところなのじゃ。いやぁ、こんな良い所を使わせてもらえるなんて嬉しいのぅ」

 

 むふーと鼻息を吹くイリハ。棚にある壺や樽の中身は全部漬物であり、地下の殆どはイリハ用の保存食部屋と化していた。

 これらの多くはリンジュ旅行で買っておいた物であり、漬物作りは兼ねてからイリハがやりたいと言っていた趣味である。

 日本人の俺としては、お手製の漬物など縁遠くも有難い代物である。それもイリハ謹製とあればポイント倍増だろう。自家製漬物はロリババアの面目躍如と言えるのではないだろうか。

 完成にはまだ時間がかかるとの事なので、食べるのがとても楽しみである。

 

「イリハ、この樽の中身は何ですか?」

「む? それは桜大根の塩漬けじゃな。米によく合うのじゃ」

「この壺は何スか?」

「それは米糠を使った野菜の漬物じゃよ」

「おぉ、糠漬け……」

「お漬物にも色々あるんですね……! 楽しみです!」

「うむうむ。今あるのもいいが、前にリンジュで聞いた味噌漬けとか醤油漬けとかもやってみたいのじゃ。主様、作ってみてもいいかのぅ?」

「もちろんさ」

 

 単に食料を保管するだけなら、俺のアイテムボックスで事足りる。だが、ボックス内では塩漬けや糠漬けは造れないのだ。

 なので、その辺は地下室にインである。あと、この地下室には酒も置いておいた。エリーゼ曰く、寝かせると味が増すとか何とかで、詳しくは知らん。

 

「わしはもう終わったが、他にも何か置く物があるんかの?」

「いや、さっきも言った通り様子見にきただけだから」

 

 何も手伝う事はなかったので、これまた仲間を増やして地下室を出た。

 

「エリーゼは何処にいるんでしょう?」

「さぁ? どっかで酒でも呑んでるんじゃないッスか?」

「昼間じゃ……昼間でも呑んどった事あったのぅ」

 

 エリーゼの居場所だが、チート持ちの俺は当然把握している。

 なので一階に戻り、中庭を突っ切って目的地に向かった。

 するとその時、向かいの扉がガチャリと開いた。

 

「あら、終わったのかしら?」

 

 扉の先から、ほかほかと湯気を立てるエリーゼが出てきた。

 その身には例のスク水もどきが纏われていた。体温の低いエリーゼも、今抱きしめたらとても温かい事だろう。

 

「風呂入っとったんかの」

「蒸し風呂よ」

 

 言って、エリーゼは中庭に置いてあるデッキチェアに寝転がった。サウナ後の日光浴である。

 そう、この借家にはサウナがあるのだ。借家探しで最も苦戦したポイントであるが、エリーゼの望みとあらば叶えてやるのが主人の務めだろう。自宅にサウナ。俺としてもあったら素敵だと思うしな。

 竜族にとっての風呂とは蒸し風呂&清潔魔法であり、エリーゼには元々お湯に浸かる習慣はなかったらしい。本人的には湯舟より蒸気の方が性に合うのだろう。蒸しロリ竜はご満悦の表情で陽の光を浴びていた。白銀の髪が実に眩しい。

 

「かーっ! アタシ等が作業してる間に蒸し風呂ッスか! さすが竜族、優雅でいらっしゃるッス!」

「魔力は籠め終わってるのだから、先に休んでいても構わないでしょう?」

 

 エリーゼには家にある魔道具に魔力を注いでもらっていたのだが、それが済んでいるなら別にいいと思う。あと、それを言うなら俺もルクスリリアと休憩してたしな。

 

「ボクがやっちゃうと燃えちゃいますもんね」

「難儀なもんじゃのぅ。まぁわしにもキツいんじゃが」

「噴水が動いてるのも私のお陰なのよ。褒め称えなさい」

 

 この家にある魔道具は、宿屋で使ってたような使用者がスイッチ兼電源になるタイプではなく、魔力を籠めると蓄積してくれるバッテリー仕様なのである。

 ただ、こういった蓄魔式魔道具はクッソ燃費がよろしくないようで、魔力の少ない庶民や戦闘用に魔力を溜めときたい冒険者にはウケが悪い。これを十全に扱うには、魔力タンク用の使用人なり奴隷なりを揃える必要がある。それも並みより魔力量のある奴をだ。

 その点、うちはできる。そう、エリーゼならね。使っても使っても尽きない彼女の魔力にかかれば、家の魔道具程度余裕で満タンにできちゃうのだ。

 残念ながら、この魔道具は何もしなくても一日しか持たないのだが、それは仕方ない。いずれにせよ、都度魔力を注ぐよりはずっとか楽である。

 

「じゃ、せっかくだし俺もサウナ入ろうかな。皆はどうする?」

「ボクも入りたいです」

「魔族には意味ないんスけどねー」

「蒸し風呂は初めてじゃが、わしも入ってみたいのじゃ」

「入るのね。なら私ももう一度……」

 

 中庭から脱衣所に入ると、俺達はエリーゼに倣って水着に着替えた。ルクスリリアがマイクロビキニ風。グーラはフリフリの可愛いやつ。イリハはシンプルな三角ビキニ風である。

 自宅なんだし全員裸でいいじゃんねと思ったものだが、いや味わい深くて感動した。あえての水着はなかなか滾る。脱がせ甲斐があろうというもので。

 皆が着替え終えると、念のため水分補給をしてから自宅サウナに入っていった。

 

「クソ狭いッスね!」

「この人数、入るんかの?」

「詰めれば何とか……」

「アナタは、詰めた方が嬉しいのよね? ふふっ……」

 

 住宅用というのもあり、分かっちゃいたがサウナはめちゃくちゃ狭かった。それこそニカノル大浴場の発汗室よりも窮屈である。本来、大人一人か二人で入る事を想定しているっぽい。

 俺が真ん中に座ると、左右にエリーゼとイリハが腰を下ろした。それから魔族コンビは逡巡の後に俺の脚に跨ってきた。

 

「失礼します」

「こうするしかないッスよね~♡」

「おっと……」

 

 腕といい脚といい、肌と肌が触れあっている。想定外の人口密度により、サウナ内はロリの香りに満たされていた。

 

「おんやぁ~? 整うとか何とか言って、ご主人のご主人は乱れちゃってるッスよ~♡」

「仕方ないじゃん」

「落ちないように支えてくださいね」

 

 なにせ、狭いのだ。サウナでおしくらまんじゅうである。股座がいきり立つのもむべなるかな。エリーゼさんもくすくす笑って楽しそうである。

 で、初サウナらしいイリハの様子は……。

 

「な、なんじゃこれ……? さっきから汗が止まらんのじゃが……」

 

 なんか絶望顔を晒していた。

 次から次へと汗が噴き出る身体を見て、イリハは呆然としていた。そういえば、イリハは長寿種族ではあっても獣人族なのだ。汗をかかない魔族サイドや、体温が低く汗をかきづらいエリーゼと違って、イリハは人間族と同じくらい発汗するのである。

 しばらく入っていると、イリハの顎先からぽたぽたと汗が落ちてきた。表情もぼーっとしている。

 

「そろそろ出るか」

「あら早いのね」

 

 サウナを抜けて中庭に出ると、サウナ後特有の解放感が全身を覆った。

 

「イリハ大丈夫?」

「う、うむ……。さっきまでとてつもなく苦しかったが、今はなんだかスッキリしとるのじゃ。これが蒸し風呂……?」

 

 脱水症状を危惧してたのだが、レベルアップしただけあってアフター・サウナのイリハは全然余裕そうだった。

 

「よし、俺はいつもの行くぞい」

「私はしないわ。ここ使わせてもらうわよ」

 

 サウナルーティンである。俺はゆっくりと噴水にインしていった。冷やっこい水に浸かると、じんわりと身体の奥から熱を感じた。

 エリーゼは日光浴の体勢である。ルクスリリアとグーラ、それとイリハも俺に続いて噴水に入ってきた。

 この噴水は例によって魔道具であり、蓄積した魔力が続く限り清潔な水を出し続けてくれるファンタジック・アイテムだ。なので水風呂代わりに使っても大丈夫なのである。

 

「んぉ~……」

「どしたんスかイリハ?」

「これが、整ってる状態なんでしょうか?」

 

 イリハも水風呂じんわり感を味わったらしく、何ともいえない表情をしていた。

 噴水で汗を流した後、俺もデッキチェアで日光浴をしよう……と思ったのだが、残念ながらチェアは残り一つだけだった。

 片方はエリーゼが占有してるし、このままだとルーティンを完遂できない。まぁ俺は噴水の縁に座ればいいだろう。ここは初サウナのイリハに譲るべきだ。

 

「イリハはこっち使ってくれ。俺は……」

「じゃ! アタシ等はご主人と一緒に日向ぼっこするッスね!」

「え? いや俺は……」

 

 メスガキスマイルを浮かべたルクスリリアに引っ張られ、俺は半ば強制的にデッキチェアに仰向けにされた。

 そして、右にグーラ、左にルクスリリアの陣形で滑り込んでくる。このデッキチェアが異世界人サイズだからこそできる荒業だ。

 

「ほら、イリハも早く寝るッスよ♡」

「う、うむ。こうかの……?」

 

 最後にイリハが俺のお腹に寝そべると、日光浴ならぬ淫行浴が完成した。

 外気の涼とロリの熱のコントラスト。すべすべぷにぷにした肌が温かい。この時、俺は真のサウナルーティンを知った。蒸気、水風呂、ロリである。

 

「ちょっと、私の場所がないじゃない……!」

「エリーゼはそこで寝てりゃいいんじゃないッスか~? いや~、こっちは狭くて大変ッスわ~」

「むぅ……」

 

 そうルクスリリアが煽ると、デッキチェアから立ち上がったエリーゼがのしのしと近づいてきた。

 視界に影が差す。濡れた銀髪が頬に垂れ、逆光の中にあって紺碧の双眸はなお輝いて見えた。マジでキスする五秒前の距離である。

 

「んっ……♡」

 

 見とれていると、マジでエリーゼにキスされた。

 そのまま頭を掴まれ、舌をねじ込まれ、まるで水分補給をするように唾液を啜られる。

 反射的に応戦するも、銀の暴君はなおも俺の口を蹂躙していった。いつもは冷えている彼女の口が、今はとっても熱かった。

 

「ちゅぅぅぅ……♡ ん、はぁ♡ アナタの舌、とても熱いわ♡ もう一度、ん……♡」

「あー! 二度づけはルール違反ッスよ!」

「エリーゼは昨晩も沢山して頂いてたじゃないですか。ボクだって……ん、ちゅ♡」

「硬くなってきたのじゃ!」

 

 真のサウナルーティンは一転、いつものベッドルーティンに変じていった。

 そうなると、俺の下半身の準備も整うという話で……。

 

「す、水分補給をしよう……!」

 

 結局、ベッドに続き、デッキチェアの使い心地も試す事となった。

 中庭風屋内での、屋外流淫行浴。誰にも見られない青空の下、俺達はお互いの熱を分け合った。

 

 そうして、思った。

 もっと大きなデッキチェアを買おう、と。

 

 

 

 

 

 

「今じゃグーラ!」

「はい! やぁーっ!」

 

 夜、広い台所ではイリハとグーラが一緒に料理をしていた。

 共同作業でメインディッシュを調理中なのだ。さっきから肉の焼ける良い匂いがして最高である。

 

「お米があってよかったわね」

「ご主人これ好きッスもんね」

 

 肉を焼いている二人の傍ら、俺達は他の料理を机に並べていった。

 現在、卓上に並んでいるのは白米や味噌汁を中心としたリンジュ飯である。これらはリンジュで買い溜めておいた食材で作られたものだ。

 

「お待たせなのじゃ~」

「上手に焼けました!」

 

 言いながら、グーラは大皿に乗った肉の塊を持ってきた。ドンと置かれた主菜は、凄まじい存在感を放っていた。

 ジュージューと熱を発しているこれは、淫魔王国産の高級クソデカ牛肉だ。調理法はシンプルかつワイルドで、イリハがタレを塗りつつグーラが自前の炎で焼きまくったのである。

 

「ご主人、お願いするッス!」

「うっす」

 

 促されるまま、俺はチョッパーナイフを手に取って巨大な肉を切り分けていった。

 グーラ曰く、古の獣人族には群れの長が皆に肉を切り分けるという風習があるらしい。最初に俺の分を取り、それから契約した順に分けていく。五等分の肉にしても、一人分の肉はかなり大きかった。完全にモンハンサイズの肉である。

 

「いただきます」

 

 それから、全ての準備を終えたところで食事開始。

 白米に味噌汁に漬物にサラダ。そしてメインの巨大肉と、その他色々……。これら殆ど、ロリの手作りである。最高じゃないか。

 

「ん~! 淫魔王国のお肉、美味し過ぎるのじゃ! これが最高級の実力!」

「ふふ~ん! 我が国は畜産最強なんスよ~!」

「はい! とても美味しいです!」

「ええ、赤によく合うわ……」

 

 分厚い肉は中心までしっかり火が通っていて、ぎっしり詰まった赤身は食べ応え満点だ。流石のグーラであり、流石の火加減である。

 イリハが作った醤油ベースのタレも最高だった。甘辛い味付けは白米にベストマッチである。味噌汁を啜れば再度百パーの味覚で肉を味わえるし、ラリス王国産の漬物もお肉に合っていた。

 

「まあ、ラリス式も悪くないわね」

「エリーゼは蒸し風呂があれば何でもいいんじゃないッスか?」

「あ、そうだエリーゼ。書斎ができたので、食べ終わったら見に行きませんか?」

「中庭も綺麗だよな。手入れも楽でいい」

「家に噴水あるのもオシャレじゃの~」

 

 ご飯を食べながら、各々借家の感想を述べる。

 この借家は西区の住宅街にあり、周りには金持ちパンピーしか住んでいない。此処は冒険者が同盟で住む事を前提にしてるというより、金持ちが大量の使用人を連れて泊まる場所という印象の借家である。

 敷地自体はリンジュの衛宮邸よりは狭いのだが、サウナもあるし台所もあるし俺視点相当な豪邸である。なによりセキュリティがしっかりしてるのがグッドだ。

 

「それもいいけれど、いつか私達の家が欲しいわね」

「贅沢ッスねぇ、竜族ぁ」

「いいじゃない。その気になれば出来るのよ?」

「イリハはリンジュ式のお家の方が落ち着きますか?」

「そりゃそうじゃけど、でも王都にああいう家は合わんじゃろ」

 

 ここは素晴らしい借家だが、完璧で究極の住処かというと別にそういう訳ではない。

 図書室レベルの書斎に、もっと広いサウナとお風呂。地下室も大きくして、薬草畑なんかあればイリハが喜ぶかもしれない。炭酸水を作ってくれる清浄樹があれば毎日炭酸飲み放題だ。あと、剣術の練習場所も欲しい。

 俺と皆のマイホーム。理想の注文住宅。欲望に際限はないが、確かに夢のある話である。これまでは宿屋や借家に住んでいたが、マジでそのうち家を購入してもいいかもしれない。

 

「まぁ、その前にどこに建てるかも決めないとな」

「それもそうッスね」

 

 王都にするか、リンジュにするか。はたまた別の場所にするか。

 食う寝る所を作るにしたって、それより前に住む所を探さなければならないだろう。

 何にせよ、皆と夢のある話をするのは幸せなもんで。いつか落ち着くにしたって、まだ先の事である。

 

 こうして、借家での夜は過ぎていった。

 

 

 

 ちなみに、皆で使ったベッドも具合が良かった。

 星五つ。最高の寝心地である。




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