【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚   作:いらえ丸

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 今回もいつものノリです。
 よろしくお願いします。


ロリ当番

 微動だにせぬ太陽の下、四方を石壁で覆われたコロッセオ型鍛錬場。

 浅い砂地を踏みしめて、二人の剣士が丁々発止の剣戟を繰り広げていた。

 片や桜色の髪をした狐人少女。片や豊満な肢体をローブで隠した淫魔。誰あろう、イリハとニーナさんである。

 

「疲れた時こそ集中してください! 技の冴えが落ちてきていますよ!」

「フゥーッ! やぁッ!」

「ははっ! 今のはいいですよ! もう一度!」

 

 幾度となく刃を交わし、激しく火花を散らせる二人の間には、明確な業前の差があった。故にこれは模擬戦ではなく、指導である。

 基本イリハの好きに攻めてもらい、ニーナさんがそれを防いでいるという構図。けれども単に守り手側がガードをしているのではなく、巧くない攻撃は機を押さえ、良い感じの攻撃はわざとライフで受けているのだ。曰く、実際に斬るのにも慣れるべきであるという。

 

「いいですよ! 斬れてる! 斬れてますよイリハさん!」

「フシャァーッ!」

 

 元々、銀竜道場でイリハが習ったのは守りの技だ。メイン火力は陰陽術で、式を編むまで時間を稼ぐ型である。必ずしも攻めの技術を鍛える必要性はないが、出来ないからやらないのと出来るけどやらないのは別である。無論、後者の方が望ましい。

 事実、先の陰陽術師戦において、イリハは相手の魔法を完封しつつも攻勢が下手で押し切れなかったのである。銀細工とはいえ、魔法を縛った魔術師相手は瞬殺してほしいところだった。

 

「はぁ、はぁ……! うぐっ、はぁッ……!」

 

 当然として、先の戦闘結果をイリハの怠慢からくる失態だとは思っていないし、事実そうでは断じてない。今だって、イリハは顎先から落ちる汗に気づかないほど訓練に集中しているのだ。

 思えば、道場通いの時もイリハは特に一生懸命鍛錬していたように思う。何につけても彼女は勤勉なのである。こういう子を、人は応援したくなるものだ。俺は彼女が迷走しないよう、後方主人面で見守る事にしていた。

 

「いいですよ! その調子です! 最初より洗練されていますよ!」

 

 檄を飛ばしてイリハを指導するニーナさんだが、俺の勘違いでなければ随分と楽しそうに見える。

 若干戦闘狂なきらいこそあれ、穏やかな気質の彼女の事だ。他人が成長するのが好きという、教師向きな性質を持っているのかもしれない。指導を続けるにつれ鋭さを増すイリハの攻撃を受け、ニーナさんは輝くばかりの笑顔を浮かべていた。

 

「ニーナさんにはお世話になりっぱなしだ。本当にこれで良かったのかな」

「いいんスよ。ニーナ先輩はそういう(・・・・)淫魔ッス」

「ならいいけど」

 

 元はと言うと、この指導はニーナさんの申し出から始まったのだ。

 先の襲撃事件にて、俺は彼女に大変お世話になった。身を挺してグレイソン氏を止めてもらったし、その後も夜通し続いた掃討作戦まで付き合ってもらったのである。

 当人からはお礼なんて要らないよと言われたが、それじゃこっちの気が収まらない。暫しのいえいえ合戦の後、再度の共同訓練と相成ったのである。

 そんな訳で、彼女の要望通り【朱鷺流れ】を使った俺とのマジ試合の後、皆とも戦ってもらったのだ。現在はイリハの指導中。

 

「訓練もいいですけれど、そろそろ迷宮に行きたいですねぇ」

「そうね。次は炎の魔法をぶっ放したいわ……」

「一応言っとくッスけど、これはそっちがおかしいんスからね」

 

 現在、グーラの愛剣であるぶちぬき丸は強化合宿の最中だ。巨像イベも終了したので、最近はもっぱら鍛錬場のヘビロテである。

 借家の中庭でも型稽古くらいはできるのだが、やはり魔法・スキル込みで激しく動ける鍛錬場はやり易い。目標の一万時間はまだまだ先なのだし、実戦だけでなく基礎や応用もみっちり鍛えておかないとな。

 

「ふぅ……♡ では、そろそろ終わりにしましょうか。お疲れ様でした、イリハさん。最後らへんの太刀筋を忘れないように、意識しながら練習を続けて下さい」

「あ、ありがとう、ございました。の、じゃ~……」

 

 指導終了。イリハはパーフェクトなバタンキューをしてみせた。

 半分溶けてるイリハを椅子に座らせ、体力が戻るのを待つ。回復効率は悪いが、ニーナさん曰く訓練の後は痛みに慣れておく方がいいらしい。なのでリジェネだ。痛くなければ覚えませんの精神で。

 

「汗拭きますね」

「水飲みなさい」

「仰いでやるッスよ」

「きゅぅ~」

 

 ロリに介抱されるロリを眺めていると、ニーナさんが歩み寄ってきた。

 

「本日はありがとうございました。イリハさんは素直なので、こちらも指導に熱が入ってしまいました」

「いえ、こちらこそご指導感謝します」

「あの、実はイシグロさん宛の手紙を預かってまして」

「はい」

 

 すると、ニーナさんは荷物の中からオシャレな封筒を手渡してきた。

 手紙の差出人は、ニーナさんと同じ淫魔のグレモリアさんだった。ルクスリリアの幼馴染で、庶民淫魔から生まれた中淫魔だ。さして交流のある相手ではないが、以前目の前でセルフプレジャーを見せつけてきた印象深い淫魔である。

 

「改めまして、本日はありがとうございました。それでは、私はこれで」

 

 言って、ニーナさんは上機嫌そうに帰還水晶に触れて転移していった。

 

「グレモリアがご主人にッスか? 怪しいッスね」

「なんなんだろうな」

 

 眺めてても仕方ないので、今ここで中身を見てみる事にした。

 手紙は二枚組になっていて、一枚目は俺に向けての丁寧な挨拶なんかが書かれていた。どうやら、俺宛というよりルクスリリア宛の手紙っぽい。

 二枚目、ルクスリリアへの手紙である。主人とはいえ、これ俺が読んでもいいのだろうか。逡巡した後、二枚目はそのままルクスリリアに渡す事にした。

 

「ルクスリリア」

「はあ」

 

 幼馴染からの手紙に、ルクスリリアは心底面倒臭そうに応えてから読み始めた。

 読み進めていくうち、彼女は露骨に「うへぇ」って感じの表情に変化していった。

 

「なんて書いてあったの?」

「いやまぁ、大した事は書いてないッスね。なんか今あいつ淫魔王国にいるらしくて、そろそろラリスに戻るって言ってるッス」

「そうなんだ」

 

 何で俺に手紙をと思ったが、やはり俺とは無関係だったようだ。主人を通したのはそういう文化があるとかなんだろう。

 ともかく、午前の訓練も終わったし、イリハも頑張ったし、そろそろ昼ご飯を食べに行こう。

 イリハが回復してから、俺達も転移神殿へと帰還した。

 

「あ、おいイシグロ。ちょっといいか?」

「はい」

 

 転移してすぐ、何処で何食べようと話していたところ、馴染みの受付おじさんに呼び止められた。

 手招きをされたので彼のいる受付に向かうと、これまたお手紙を渡された。

 

「アダムスからの手紙だ。お前に渡しといてくれってよ」

「ありがとうございます」

 

 そういえば、ドワルフには俺が引っ越した事を伝えてなかったか。冒険者の連絡先が分からない時は、こうして転移神殿を通して伝言なり手紙なりを渡されるシステムなのだ。

 さっそく中身を確認してみると、そこには新型ぶちぬき丸完成という嬉しいお知らせが書いてあった。

 

「新しいぶちぬき丸、できたって。お昼の後に行こうか」

「わぁ! 早いですね!」

「午後の訓練はいいんかの?」

「最近そればっかだったからな。少しくらいいいだろう」

 

 実際、ゴーレム狩り以後は本職軍人並みに訓練漬けの日々を送っているのである。そんな中、今日午後休むから何だという話。

 何より、新しくなったぶちぬき丸が気になる。完熟訓練にも時間使いたいし、早めにゲットしとくのがいいだろう。

 

「とても楽しみです、ご主人様!」

 

 グーラもよう笑っとる。

 という感じで、お昼ご飯を食べ終えた俺達は、皆してドワルフの店に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

「おっ、早かったですねぇ旦那」

 

 ドワルフの店に着くと、挨拶もそこそこに俺達は例のブツを取りに行った。

 ぶちぬき丸は重すぎるので、前と同じくインヴァさんの倉庫に保管してあるのだ。手紙には工匠も同行すると書いてあったので、こうしてドワルフを連れ立って歩いているのである。

 西区でも一等賑々しい鍛冶区に、ぶちぬき丸を打ってくれた鍛冶屋さんがあるのだ。今は俺の空戦車の作成にも協力してくれてるので、かなりお世話になっている。

 

「ようこそおいで下さいました。ご注文の剣は此方に保管しております」

 

 ドワーフ三銃士の一人、鍛冶の専門家ことインヴァさんは相変わらず真面目な応対で出迎えてくれた。

 これまた一通りの挨拶を終え、ぶちぬき丸が置いてあるという倉庫に入る。すると、例によって倉庫の目立つところに棺桶めいた箱が鎮座していた。

 

「グーラ」

「はい……!」

 

 旧ぶちぬき丸でギックリ注意報が発令されたのだ。更に素材を投入した新ぶちぬき丸など何をかいわんや。

 なので、最初からグーラに開けるように言った。皆が見守る中、褐色肌のロリは大きな箱に歩み寄った。

 

「よいしょっと」

 

 それから、使い手がすっぽり収まりそうな棺桶の蓋を開け、グーラは半ば身を乗り出すように新型ぶちぬき丸を取り出してみせた。

 軍旗のように掲げられたそれは、以前のぶちぬき丸と比べ分かりやすい見た目の変化はなかった。しかしその中身は別物らしく、レベルアップしたグーラでもそれなりに力む必要性があったようだ。

 俺が両手持ち一発振りで限界な旧ぶちぬき丸を、ライトセーバーのように振り回せるグーラである。新型ぶちぬき丸の重さは推して知るべしといったところだろう。

 

「はぁ~ん、見てくれは変わってないんスね」

「わし、アレで腰いわしたんじゃけど……」

「安心なさい、竜族の戦士でもアレは扱えないわ」

「ちょっと見せて」

「はい」

 

 とはいえ、新しい武器である。各々感想を述べる皆に混じって、興味むんむんな俺は性能を調べるべく新型ぶちぬき丸に触れた。

 

 

 

◆ぶちぬき丸◆

 

・物理攻撃力:1400

 

・補助効果1:自動修復

・補助効果2:武器防御

・補助効果3:剛性強化(大)

 

 

 

 ドワルフの言ってた通り、かなりの量の金剛鉄(アダマンタイト)を投入した割に、新型ぶちぬき丸の性能には大きな変化がなかった。

 そのくせ重量は素材相応に増しているので、普通に考えたら強化のメリットより重量増のデメリットの方が大きいのだろう。

 だが、グーラに限ってはそうならない。今の彼女にはこれくらいの重さが丁度良いというのだ。それに、前世地球ほど重量と威力が繋がらない異世界でも、同じ威力の武器なら重い方が与ダメやノックバック値が高くなるのである。

 確かにコスパは最悪だが、これはこれで最適解だと思える。表示攻撃力以上に、今のぶちぬき丸は火力が上がっているはずなのだ。

 

「重さはどう?」

「はい! とても扱いやすくて、いい感じです! ありがとうございます、ご主人様!」

 

 重さの増した大剣を、グーラは笑顔で振ってみせた。周囲に配慮した軽い素振りだというのに、倉庫内には特大うちわで仰がれたような暴風が吹き荒れている。

 鉄塊を振るう褐色ケモミミロリ美少女は、嵐の中で輝く笑顔を浮かべていた。満足いったようで何よりである。

 

「よかったわね、グーラ」

「くれぐれも味方に当てないよう気を付けてほしいッス」

「それは勿論。当てた事ありましたっけ?」

「当てとったら生きとらんと思うのぅ……」

「まぁグーラはその辺も上手いから」

「それにしても、本当に良かったのでしょうか。アレでは引退時の売価が……」

「そういう事ぁ考えねェのが冒険者ってもんでしょうがよ」

 

 なんて会話をしつつ、俺達は新たな武器を受領したのであった。

 何度見ても思うのだが、やはりロリと大剣は良いものだ。

 

 

 

 

 

 

「いやごめんね、長くなっちゃって」

「いいのよ。私達の為だものね」

 

 気が付けば王都はすっかり夕方である。

 というのも、アレから俺達はもう一度ドワルフの店に行き、またしても新しい武器を注文していたのである。

 で、例によってエリーゼ用の新杖にどんな魔法を装填するかで俺とドワルフが大盛り上がり。結果、こんな時間になっちゃったという訳だ。

 

「主様は金遣いが荒いのぅ」

「冒険者なんてこんなもんッスよ。無暗に貯めてもしょうがないッスからね」

「貯蓄自体はしてるんだけどなぁ」

 

 金遣いが荒くなってる自覚はあるが、ちゃんと使っていいお金の範囲で買い物をしているのだ。橘&湊は完全に無計画だが、新武器購入は計画的だ。

 使っていいお金とは別に、俺名義でちゃんと皆用の口座にもお金を貯めている。前は奴隷解放後の退職金として用意していたが、今は結婚資金みたいな感じで貯蓄中だ。

 所謂、マイホーム貯金というやつである。買うかどうかはまだ決まっていないが、いずれにせよ相当なお金がいる事でしょうと。この世界、この冒険者業、ローンが組めるとは思えないし、支払いは一括に限るのだ。

 

「はぁ、いい匂いがします……。これは何でしょうか?」

「う~ん、ラリス料理はまだ詳しくないからのぅ」

「なんかこの帰り道、懐かしいッスね」

「そうね……」

「ああ」

 

 長い影を並べ、夕焼けの街を歩く。

 言われてみれば、ドワルフの店から出る時はだいたい夕方だった気がする。

 懐かしいな。一年前、ルクスリリアをおんぶしてエリーゼと歩いたんだっけ。あの時はグーラもイリハもいなくて、中級とはいえ狭い宿屋に住んでたんだよな。それが今では屋敷暮らしのハーレム生活。しかもご飯は狐耳ロリ美少女の手料理ときた。

 危ない目にも遭ってきたけど、異世界に転移してからの俺は幸せを感じ続けている。

 

「もう貯まったんじゃないかしら?」

「他所は知らないけど、王都に住むなら全然だよ。新築なんてとんでもない」

「もしお家を持つとしたら、どれくらいの広さが丁度良いのでしょうか。あまり広すぎると、お掃除が大変そうですが」

「使用人を雇うというのも、なんかのぅ? そういうのわしがやるし」

「貴族って柄じゃないッスもんねー、ご主人もアタシも。エリーゼは気にし無さそうッスけど」

「どうかしら。変な魔力を垂れ流す使用人なら、居ない方がいいわね……」

「逆に気疲れしてしまうかもしれませんね」

「いずれにせよ、ある程度の余裕は要るんじゃないかしら。この人の事だから、ねぇ……?」

「どうだろうなー」

 

 エリーゼのわざとらしいジト目に、俺はわざとらしく恍けてみせた。冗談めかした対応だが、実際のところ今の俺にその気はなかった。

 何故ならば、借家自体が完璧で究極の住居かというとそうでもないのは確かだが、我が一党が最強で無敵のハーレムかというと間違いなくイエスになるからである。

 サキュバスドラゴンケモミミコンビ。夜になればバトル開始。上下左右、何とは言わんが乾く暇がないのである。率直に述べると、俺は十分満足しているのだ。これ以上、何が要るって話である。

 

「まぁ何人増えてもご主人はご主人ッスよ。ねーご主人♡」

「よく分からんけど、多分そう」

 

 原則、冒険者の一党は六人一組だ。

 所によっては六人以上で挑める迷宮もあるらしいが、それは同盟単位で挑むのがセオリーだと聞く。無所属の俺には関係のない話だ。

 仮に増やすとしても、あぶれるメンバーを作るべきではないだろう。

 

 先の事件を思い起こす。イリハが誘拐されかけ、俺が足止めされ、皆が疑似タイマンを張る羽目になった大乱戦。

 どれだけ対策を立てようと、どうしたって成金君は狙われる。今回、事前にイリハが鍛えてて、且つ深域武装の権能で飛べたから良かったものの、前述の片方だけでも欠けていれば相当ヤバかっただろう。

 その点、やはり一定以上の戦闘力は欲しいところだ。初期能力云々というより、迷宮に潜れる素質がいるのだ。それで言うと、最初から皆ノリ気だった。戦闘種族のエリーゼは言うに及ばず、ルクスリリアも強くなる事には積極的だったのである。

 

 悲しい哉、俺が転移したこの異世界は綺麗な面して中々にバイオレンスだ。そんな世界でいくら強くなったとしても、俺は俺の手の届く範囲しか守れない。

 可哀想なロリ奴隷を救いたいのは事実だが、手元に置くのは強者に限る。そうじゃないと逆に無責任だ。仮に要項を満たさないロリ奴隷を迎えたなら、その時は止まり木協会に預けようと思っている。その方が、俺の近くにいるより安全なはずだ。

 

「あっ、あの二人淫魔氷菓(サキュバスアイス)食べてるッス!」

淫魔氷菓(サキュバスアイス)?」

「牛乳等を冷やして固めた、甘くて美味しいお菓子ですよ。夏はまだですが、もう売り出してるんですね」

「変わった形ね。去年食べたものとは違うのかしら」

 

 そんな事を考えつつ、ふと視線をやった先で、人間族の若いカップルが仲良く淫魔氷菓を食べていた。

 エリーゼの言う通り、その形というか食べ方には今まで見た事のない特徴があった。通常、一人に一つの入れ物で供される淫魔氷菓であるところ、例の淫魔氷菓は大きな入れ物を二つの匙で食べていたのである。

 あれは、カップル用の淫魔氷菓になるのだろうか。ラブラブエフェクトを放射しながらお互い食べさせ合ってる二人は実に幸せそうだった。

 

「イイな、あれ」

「ん? ご主人って甘いの嫌いなんスよね」

「苦手なだけで嫌いじゃないよ。そうじゃなくてさ」

 

 何がイイと思ったかというと、ああいう如何にもなバカップルムーブこそをイイねと思ったのだ。

 例えるなら、古い漫画とかでたまに見るハート型ストローのカップルジュースとか。ラブコメによくある観覧車イベントとか。ああいうの、イイよねって。

 

「そういえば、俺等って恋人らしい事あんましてないよな」

「らしい、ですか?」

 

 この世界、ラリスもリンジュもハーレム文化は普通に許容されている。勿論、種族や個人にもよるのだが。

 淫魔からすると結婚については概念自体がどうにも曖昧で。竜族文化は正妻にプラスして妾がいるのが普通らしい。グーラとイリハに異母兄弟はいないようだが、種族的にはハーレム容認側である。

 

 転移直前、俺は「異世界でロリハーレム作りてぇ」という欲望に塗れていた。

 ロリのハーレムだ。最高だ。ロリコンの夢だろう。今は叶った。異世界ドリームである。これ以上の幸福は存在し得ないでしょう。今ある温もりを大事にしてこうと思う。

 それはそれとして、純愛モノも大好きなのだ。個別ルート、アフターストーリー、ファンディスク……。これまで攻略してきたヒロイン達は、善き思い出となって心の支えになっている。

 

「デートか」

 

 そういえば、それらしい事をルクスリリア以外とした事がなかった気がする。

 エリーゼが来てからは、戦力の分散を気にして出来るだけ固まっていたのである。けれど今ならイケると思う。実際、俺と三人で別行動した実績はあるのだし、一党から二人抜けてもそれなりの戦力になるはずだ。メイン武装を渡しておけば、いざという時も安心だろう。

 

 うん、恋人っぽい事、ぜひやりたい。

 遊園地とか、映画館とか、カラオケとか。それらはなくとも、俺は皆とデートがしたいと思う。

 

「という訳で、お出かけしない?」

 

 提案してみたところ、満員一致で採択された。

 ロリサキュバスやノーブルブラッドロリドラゴンや黒髪褐色ケモミミロリや桜髪のじゃロリ狐っ娘とのデート。

 オラ、わくわくすっぞ。

 

「きひひ♡ じゃあ、その前に何したいか考えとかないとッスね♡」

「できれば一緒に決めたいかな。俺だけだと難しそうだ」

「そうね。アナタの事だから、私達の願望を叶える日とでも捉えておきなさい」

「むぅ、主様にのぅ?」

「叶えてもらってますよね」

「アタシはもう決まってるッスけどね!」

「分かり切っているけれど、それは何かしら……?」

「一日吸精権♡」

「知ってたのじゃ」

「いつもしてるじゃないですか」

「きひひ♡ 容量増えたんで、ちょっくら己の限界を試してみようかと♡ ついでにご主人の限界も♡」

「まあ、好きにするといいわ……」

 

 そんな訳で、皆とデートをする事になったのだった。

 とても楽しみである。




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 この世界、武器種によって攻撃の倍率が違います。
 同じ攻撃力でも、短剣より大剣の方が威力が出ます。加えて重量による補正なんかもあったりします。
 なので、ぶちぬき丸一発より無銘二発のがDPS高いじゃんという訳ではないんですね。
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