【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚 作:いらえ丸
誤字報告も感謝。ありがとうございます。
キャラ・ボスのご応募もありがとうございます。
ネタバレじゃない範囲で宣言させて頂きますと、本作にロリ巨乳のヒロインが登場する予定はありません。巨乳化する展開もありません。ごあんしんください。
NTR展開もありません。ごあんしんください。
ロリっちゃえよ
ルクスリリアが病を患った。
なんと、下の口の味覚が消えたというのである。
その兆候を見つけたのは、デート日の翌朝の事だった。
「おん♡ おん♡ おぁああああ♡ いっ、ぐぅ……♡ ん、んぅ? あれ……?」
昨日さんざん盛りあったというのに、ルクスリリアは朝から元気いっぱいだった。
そんな彼女に乞われるがまま、ドロリ濃厚アサイチ搾りをお見舞いした際である。なんかルクスリリアが訝しげな表情を浮かべたのだ。
俺も怪訝に思いこそしたが、その時は気にしていなかった。すわ俺サイドにミスが? と思ったが、取り立てて何事もなく過ぎていった。
「よし、今日も頑張ろう」
「はい!」
「のじゃ!」
デート期間はおしまいという事で、俺達は鈍ったかもしれない勘を磨きあげるよう鍛錬に励んだ。
継続は力なりとよく言うが、継続するには力と余裕が必須である。その点、うちには相応以上の余裕があるので、満足いくまで鍛錬できる。とにかく感謝、感謝の素振りだ。どだい自己修練とは贅沢な行いなのである。
予習復習休憩瞑想……。時間いっぱいみっちりと、俺達は銀竜道場で習ったトレーニング法を実践していった。
「今日はここまでにしよう。飯の後に図書館だ」
「そうね。調べるだけ調べてみましょう」
「んー、そうッスねぇ~」
午前はがっつり練習したので、その日の午後は図書館に行く事にした。例のルクスリリアが大淫魔になれない問題を調べる為である。
図書館に入ると、館の規模と圧倒的な蔵書量を見たイリハは目を回していた。そんな中、俺達は学生のノリで和気藹々と調べ物を進めた。
代表的な淫魔生態本や、進化する魔族に関する書籍。その他淫魔関連の文献を手分けして読みまくった。
けれどもロクな情報は集まらず、解決の手がかりは何一つ得られなかった。
「ちょっと不安になってきたな……」
「お医者様に診てもらうべきではないでしょうか?」
「いやぁ、そんなん大げさッスよ~」
「何も無かったら無かったでいいじゃろ」
「ええ……私とイリハには正常に見えるけれど、医師からは別の見解があるかもしれないわ。魔族医は何処かしら?」
ともかく、その日は御開きという事で、俺達は借家に帰っていった。
帰宅後はいつも通りだ。掃除をして、ご飯を食べ、風呂に入って、お楽しみ。
いつも通り、ベッドの上の大運動会は最高だった。
「はぉおおおおおん♡ ん? あ、あれ……? おかしいッスね……」
今朝に続いて、ルクスリリアはフィニッシュムーブの際に違和感を覚えたようだ。
なにも不感症になってる訳じゃない。いつも通りミルキーウェイでスキップする事もできる。にも拘らず、ルクスリリアは最後の最後にハシゴを外されたような表情をするのである。
「ご、ご主人! もう一回お願いするッス!」
乞われたならば是非も無し。俺は再びルクスリリアの奥底へと生命の化身を注ぎ込んだ。
「うぐっ♡ おぉ~♡ あっ……♡ えっ、そんな、え……?」
今になって、俺もようやっと気がついた。
いつものような吸精で、いつもよりルクスリリアの反応が鈍くなっている。今朝もそうだったが、もしやテク不足か準備不足かと思ったものだが、つい寸前まで幸せいっぱいの表情をしていたのだ。下の口で言ってくれないと分からない。
そして、その理由は上の口から放たれた。
「せっ、精の味がしねぇッスゥ!?」
当然、一同ぽかんである。
どうにも把握し難い訴えに、兎にも角にも事情を訊いてみる事にした。
「それは、どういう意味?」
「そのままの意味ッスよ! キレもコクも何もない! 味がしないんス! むみむしゅー! あるのはただ、それを飲んだという生感覚だけ!」
「う~ん……?」
これまた、一同は困惑顔のまま各々視線を交わらせた。
そんな中、ルクスリリアは世界滅亡の一時間前みたいな表情になっていた。
「え、えーっと、それは……下の口の味覚がって事?」
「ッス! ちょっと失礼するッス! あむっ♡」
「おわ!? おぉぉぉぉぉぉッ!?」
ジュボボボボボボボッ!
パクッと食いつかれ、まるで吸引力の変わらない某掃除機のような勢いで絞り取られる。
何の遠慮もない圧精搾取に俺はビクビクと身体を跳ねさせ。あっという間に果ててしまった。
「うっ! はぁ、はぁ……」
「早いわね……」
「仕方ないじゃん……。ど、どう? ルクスリリア」
情けないとこ見られたが、それは今はどうでもいい。俺はルクスリリアの方を見た。
ごっくんした彼女は、なおも絶望しきった瞳をしていた。
「……味が、無ぇッス」
暗く淀んだ瞳に、光はなかった。
それから、まるで真冬の夜に放り出されたように、彼女は自身の身体を抱いて震えはじめた。
「そんな、まさかそんな……! え、嘘ッスよね? つまり、えっと、どういう……? うぁああ……!」
かと思えば、真っ赤な双眸の奥から大量の涙が染み出てきた。
涙の粒はやがて滝となり、急にドバッと噴出した。
「うっ、うぅ! うわぁああああああん!」
「ルクスリリア!?」
ルクスリリア、ガチ泣き。
これには困惑しきりだった一同も大慌て。どうすればいいか分からぬまま、泣きじゃくる彼女を慰める事しかできなかった。
「わぁあああああ! このままなんてやだぁあああああ! ふざけるな! ふざけるな! バカヤロぉおおおおおお! うわぁああああああッ!」
「どどどどうしましょうご主人様! ルクスリリアが!」
「おぉよしよし、よく分からんが大変じゃのぉ~。ほれ主様、抱きしめてやるのじゃ」
「あぁ。ルクスリリア」
「お、落ち着きなさいルクスリリア。正直なにがどうなっているのか分からないけれど、ほら……」
理解も共感もしづらいが、これは大変な事になったっぽいぞ。
ああも明るいルクスリリアが、こうも感情のまま泣きじゃくるなど今の今までなかった事態である。それほどまでに、上下の口で精の味を感じ取れないらしい現状は淫魔にとって致命傷なのだろう。
とにかく、翌日から俺達は問題解決に奔走する運びとなった。
〇
「……という事があったんです」
「なるほど……」
それから、暫しの時が流れた。
結論からいうと、ルクスリリアの味覚障害は治らなかった。
料理や飲み物は大丈夫なのだ。けれど、上下ともに精の味だけが感知できないのである。
とりあえずはとエリーゼの回復魔法を使ってみたが、何の成果も得られなかった。イリハの按摩術で氣を調整しても、俺の【手当て】も効果なし。
魔族専門の医者にも診てもらったが、何も分からずじまいだった。それどころか、「極めて健康ですよ」と診断された。
セカンドオピニオンで他の医師に診てもらっても変わらない。誰も彼も極めて健康と診断するのである。
医師がダメなら他はどうだと、呪術師や魔法薬師に訊いてみても解決に至る事はなかった。
ならばと魔族の病に絞って調べてみても、精の味だけがしなくなるなんて情報は全く見当たらなかった。
「うぅ、やっぱ辛ぇッス……!」
「それは、お辛いでしょう……」
「分かってくれるのはニーナ先輩だけッスよぉ……!」
で、図書館を出たところ、同じ淫魔であるニーナさんと遭遇し、話を聞いてもらったのである。
状況を聞かされたニーナさんは、まるで不治の病を患った同士のようにルクスリリアに同情していた。
「ニーナさんは何か思い当たる病気ってありませんか?」
「いえ、私も初耳の症状です。ルクスリリアさんに限って、精欠乏症という訳でもなさそうですから。例え精でいっぱいになったとしても、益こそあれ病に罹るなどあり得ないと思います……」
「うわぁああああ! このまま一生味のしない精飲むなんて嫌過ぎるッスゥゥッゥゥゥ!」
オープンテラスの席で、ルクスリリアは誰憚る事なく号泣していた。
幸いここはラリスの王都。喧騒に紛れて彼女の慟哭が雑踏に響く事はなかった。
一人の淫魔の涙など、都会の中ではあまりに些事。良くも悪くも知らんぷりだ。
「う~ん、古の淫魔……。淫魔女王なら、何か知っているかもしれませんが……」
「淫魔女王ですか」
「はい」
淫魔女王とは、その名の通り淫魔王国の女王様だ。
ニーナさん曰く、博識な彼女なら、あるいは淫魔王国の書庫ならばラリスにはない情報があるかもしれないという。
確かに、もう王都でやれる事は無い気がする。なら、そっちにシフトすべきか。
「ご主人……助けて欲しいッスぅ……!」
「安心しろ。必ず何とかする」
こうも弱ってるルクスリリアを、放っておけるはずもない。
藁にも縋る思いで、俺達は淫魔女王に謁見するべく会議を始める事となった。
「何とか、女王様にお話を伺う方法はありませんか?」
「てか女王に謁見って、そう簡単にできるもんなのかのぅ? 存外腰の軽いお人じゃったり?」
「それに同族とはいえルクスリリアは奴隷身分よ。王城に入れるとは思えないわ」
「えぇ、はい……。私もお会いした事はありませんが、陛下はお忙しい方のはずです。奴隷身分の立ち入りも、此方からの申し出では厳しそうですね……」
「ルクスリリアは会った事あるんだよね?」
「呪術かけられる時ッスけどね……。まぁ話しやすい方ではあったッス」
「頼めばいけたりしないかな? 貴女が呪いをかけた淫魔が大変なんですって。どこに届け出ればいいんだろう?」
「それは、どうなんでしょう……。私も王国側に大した繋がりがある訳ではないですから、分かりません」
「対価を払えば会ってくれるんじゃないかの? ほれ、主様がちょちょいと精とやらを分けてやれば……」
「精を対価に言う事を聞かせようとするなんて、王を舐められたとして首が飛ぶでしょうね」
「男に舐められるなら陛下はむしろ喜びそうッスけどね……!」
「凄いこと言いますね。ルクスリリア……」
「ん~、内内になら意外といけそうな気がするあたり何ともいえませんが……」
「……リリィ、女王ってどんな人?」
「とんでもねぇ爆乳の持ち主ッスよ。並みの淫魔よりデカいッス」
「悪い、力になれそうにない」
「ダメみたいね……」
「ははは……」
淫魔王国は他国からの観光客を歓迎してくれるらしいが、だからと言ってパンピーが気軽に女王に会える訳はないらしい。むべなるかな、そりゃそうだ。
手段も手腕も手立てもない。せめて書庫の閲覧許可を取りたいところだが、それこそどうやってという話である。
「せめて王国の中枢に繋がりのある人がいらっしゃれば……」
「王城に出入りできる淫魔騎士とか居ないッスかね……」
「そんな都合の良い存在、いるのかしら……」
溜息が重なる。重い空気が辺りを覆った。
俺視点、とにかく今はやれる事をやるべきだと思う。ひとまず観光客として淫魔王国に行って、一か八か謁見なり書庫の閲覧なりをさせてもらえないか頼んでみる。あるいは、女王の書庫と言わずとも公共図書館に入れてもらえないものだろうか。
今すぐ動くべきなのは分かっちゃいるが、いつも明るいルクスリリアが落ち込んでるので、一行のテンションはアガるにアガれなかった。俺とて、先行きの不安で目を伏せた。
その時である。
「見つけましたわ! ルクスリリア!」
ふいに聞こえた、歌劇めいた甲高い声。
声の方向に目を向けると、そこには金髪ドリルのモデル立ち淫魔がいた。
「おーっほっほっほっ! お久しぶりぶり鰤大根ですわ! 皆様! リンジュから帰ってきたと聞きましたけれど、カリ首揃えてなぁにをそんなシケた
派手な髪色、派手な髪型。ドデカい胸は天然モノで、長い手足はムチッと豊満。
かくして、その淫魔の名は……。
「お前は……クソザコアナルのグレモリア!」
「弱くねぇっつってんでしょうが! このスットコどっこいチビ淫魔!」
「んだとぉ!?」
そこにいたのは、銀細工淫魔のグレモリアさんだった。
確か、ルクスリリアの幼馴染で、小淫魔から生まれた中淫魔らしい。そんで色々あって王都のギルドで銀細工を授与されるまで強くなったと。
手紙では今は淫魔王国に居るとの事だったが……。
「ケッ! 今ぁお前の相手してる暇はねぇんスよ! 尻穴雑魚助の
「まっ! モノを知らない淫魔ですこと! 二人用の連れ込み宿であえて一人で致す快感を知らない青二才がナニを言ってケツかるのかしら!」
「うっせぇんスよ
喧騒の中、二人はリズムばっちりで罵り合っていた。
俺が言うのもなんだが、実に聞くに堪えないディスり合いである。グーラなんか罵倒の意味が分からず首をかしげてるじゃないか。
そんな中、ニーナさんはなおもキンキン声を上げる金髪ドリル淫魔を見て、呆然とした表情を浮かべていた。
「ニーナさん? どうなさいました?」
「え? あ、いえ、その……」
訊いてみると、ニーナさんは少し目を泳がせた後、やや言いづらそうにしてから口を開いた。
「そういえば、グレモリアさんは元淫魔騎士だったなぁと……」
「ん? えっと……淫魔騎士って、王城務めのエリートなんですよね?」
「えぇ、はい。類稀なる才能と、強靭な理性が求められる……はずです」
今一度、罵り合ってる二人に目を向けた。
「貴女達がリンジュで遊んでた間、わたくしは全世界の益となる功を立ててきましたのよ! これもわたくしが諸国漫遊して広めた知見の賜物ですわ! どこぞの知見もお尻も狭いチビ淫魔には不可能ですわね! おーっほっほっほっ!」
「なぁにが知見を広めた賜物ッスか! グレモリアの事ッス! どぉ~せ国内オナニー潮吹き大会で十六位だったとかそんなんッス!」
「それは昔の話ですわ! 今なら余裕で一位を狙えましてよ!」
「出たのね……」
「出たんじゃな」
「おなにー?」
……アレが?
「そうなんですね……」
「ええ、はい。それに彼女はアレで交渉ごとがお上手で、今回も国家間の新事業を纏めてきたとか何とかで……」
「事業?」
なんか異世界らしからぬ文言。なんじゃそりゃという気持ちである。
「じゃあ見せてみろッス、その功とやら!」
「ふふ~ん! とぉくと御覧じろですわー!」
言い放って、グレモリアさんは胸の谷間からスクロールを取り出してみせた。
次いでバサッと紐を解くと、そこには……。
「両王国合同、異種間交流会ですわ!」
「交流会?」
その巻物には、ラリス人と淫魔を顔合わせさせて交流を図るとか何とか書いてあった。
つまるところ、お見合いパーティじゃんね。
加えて、これはあくまで試金石のようなものであるとも書いてあり、交流会の結果次第で今後も継続するつもりであるらしい。
てか、何気にラリス王家の紋章まであるじゃないか。
えっ? つまりこれ、グレモリアさんが考えた企画をラリス王国と淫魔王国に認めさせたって事? 普通に凄くないかそれ?
「淫魔側の参加者はこちらで厳選した志願者を集めましたわ! あくまで小淫魔限定ですが、これで庶民の精不足問題の一部を解決できますのよ! まぁ男日照を解消できるかは当人次第ですが!」
「えぇ~? よくこんなん許したッスね、特にラリス……」
「おーっほっほォ! わたくしにかかりゃあこの程度余裕のよっちゃんでしたわ! なにせ元淫魔騎士の銀細工持ち冒険者ですもの! ギルドは勿論、女王陛下の覚えもクッソめでてーのですことよ!」
「だぁからコイツいつにもましてイキッてるんスか……」
「どうかしらん? 羨ましい? 羨ましいですわよねぇ~!? なんたって歴史の転換点になるかもしれない試みを興してみせたのですわ! 淫魔の歴史にまた一ページですわぁ!」
どうやら、グレモリアさんはマジで交渉が上手いらしい。
胸を張り、口元に手を添え、あからさまなお嬢様笑いをかます彼女からは考えられないくらい優秀なのだろう。多分……。
「ですが、淫魔側はともかくラリス側の志願者が集まるとは考え難いような……。あっ、いえすみません……」
「ナイス着眼点! それに関してはこれからですわね! ちなみに、ラリス側は冒険者限定という事になってますの! 庶民連れてっても即干し物になっちゃうのがオチですものね!」
「あー、倒れそうッスね。この企画……」
「んな訳ありませんわ! 交渉上手のグレモリアさんとはわたくしの事でしてよ! 現役男性冒険者のお知り合いは少ないですが、このわたくしがちょちょっと声をかけりゃあ余裕ですわー!」
「ずいぶんと自信があるのね」
「もっちろんですわ! 憚りながらこのグッちゃん、恋の仲介人として界隈じゃあ有名ですのよ!」
「あぁグレモリアさん、自分がモテないからって仲人の立場に慣れきってしまって……」
「良い人なんですね」
「良い人止まりなんじゃな」
交流会はどうでもいいが、彼女は元淫魔騎士で女王への繋がりがあるのは確かであるようだ。当人の申告が正しいなら、上層部の覚えはめでたいとも。ならば、彼女に口利きしてもらえないか、言うだけ言ってみる価値はあると思う。
元より藁に縋る気満々だった俺だ。掴めるチャンスは、掴むべきではないだろうか。
「グレモリアさん」
「は、はい!?」
声をかけると、グレモリアさんはおほほ笑いのポーズのままピシッと固まった。
「その話、お手伝いさせて頂けませんか?」
「……えっ!? よろしいんですの!?」
何も善意でこんな事を言ってるんじゃない。とにかく動かなければ、何も始まらないと思ったから提案したのだ。
淫魔女王に会う為、ルクスリリアの病を治す為。
俺は、ナンボでもひと肌脱ぐ所存であった。
「よろしければ、メンバー集めに協力させて頂けませんか?」
こうして俺達は、ルクスリリアの味覚障害を治療する為、合コンのメンバーを集める事となったのだ。
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