【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚   作:いらえ丸

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 感想・評価など、ありがとうございます。モチベになってます。
 誤字報告もありがとうございます。
 キャラ・ボスのご応募もありがとうございます。

 例によって、怒られたら避難所行きです。
 まぁかなり削ったから問題はないと思いますが、一応。
 以前にも書いた通り、チキンレースがしたい訳でも運営様に迷惑をかけたい訳でもありませんので。


アタシの、最高のご主人

 古代ローマ皇帝、マルクス・アウレリウス著「自省録」には、このような一文がある。

 

『あらゆる行動に際して一歩ごとに立ち止まり、自ら問うてみよ。死ねばこれができなくなるという理由で死が恐るべきものとなるだろうか、と』

 

 異世界で童貞を卒業した日、俺は生まれて初めて“生きがい”というものを見出す事ができた。

 ルクスリリア。人生で二度目に恋をした少女。異世界の淫魔。

 彼女のいない世界など、考えられない。

 

 今にして思うと、当時抱いていた激情は独占欲の延長線上にあったような気がする。

 本気だったのは間違ってないが、まず快楽ありきというか。可愛い、エロい、好き! みたいな。純粋故に、浅はかである。

 考える事を止め、あのまま突っ走っていたら、俺は遠からず破綻していたように思う。

 

 しかし、今は違うと断言できる。

 変化した。成長した。それだけじゃないと、今なら胸を張って言える。

 

 俺の命は彼女の命。

 彼女の命は俺の命。

 

 純淫魔契約を交わすと、彼女は淫魔の特性である疑似的な不死性を失う。

 俺が寿命を迎えると、彼女も同時に身罷るのだ。中淫魔としての一生より、俺と一緒の短い生涯を選んでくれたのである。

 

 今更、彼女の想いを疑問に思う事はない。

 事情や実利もあったとはいえ、不死を返上した事に変わりはないのだ。

 

 これを思い知った時、まず最初に抱いた感情は、“感謝”だった。

 そういう風になれた事をこそ、俺は嬉しく思うのであった。

 

 死が二人を分かつまで。

 俺は、俺達であり続ける。

 

 

 

 純淫魔契約の儀式の間。

 扉の上にある電光掲示板には「百回吸精しないと出られない部屋」と書いてあったが、実際には百回吸精しなくても出られるようだった。

 というのも、中央のベッドにあった説明書にそう書いてあったのである。

 

 説明書に曰く、ドアを閉めた段階で契約儀式が開始され、この空間内でルクスリリアが百回吸精をこなしたら自動的に術式が発動し、契約完了になるようだ。

 ちなみに、未達成で部屋を出たらその時点で儀式中止。ガチで危ない時はリタイアしてねとも注意書きされていた。

 

「ふぅむ……」

 

 さて、ここで俺くん思った。百回の吸精って何だよ、と。

 これは何を以て回数を計っているのだろう。俺が百回月の光(意味深)をドビュッシー(意味深)すればいいのか。もしくはルクスリリアが百回相当の精を吸えばいいのだろうか。行為後、魔力変換が完了し次第カウントとなるのだろうか。

 

「ヘイヘイかまちょかまちょ!」

「おっと」

 

 なんて逡巡していると、ルクスリリアにタックルされてそのままベッドに押し倒される。

 淫魔は寝技にて最強。タックル直後に巧みにポジションチェンジし、俺の腹に馬乗りしたルクスリリアはメスガキらしい嗜虐的な笑みを浮かべていた。

 

「あれこれ考える前に、とりあえずヤッてみるのが淫魔道ッスよ♡ はい、とりま一発♡ んちゅ~♡」

 

 見上げる視界いっぱいで、ルクスリリアが笑っている。そのまま、目を閉じた美少女の顔が近づいてきた。軽く突き出された唇が俺の唇に触れると、さっきまでの思考は何処かに消え失せてしまった。

 ちゅっちゅっと可愛らしい吸引音を立てつつ、決して深くは踏み込まない。これくらい、いつもしているキスと比べたら挨拶みたいなもんである。

 

「んっ、ちゅ♡ ちゅぅ♡ んふふ♡ ちゅっ、ちゅう♡ ん……♡」

 

 ところで、彼女が純淫魔候補になってからというもの、俺は股間の矜持に抜かずの宝刀を強いてきた。

 味覚障害を患った彼女を差し置いて、俺だけ解放される事に罪悪感があった為だ。ルクスリリアを含め、最近は皆とはベロキスしかしていない。

 その分、かなり敏感になっていた。もうギンギンのギンである。我が愛すべき息子は、ズボン越しに激しく自己主張していた。

 

「あはー♡ すっげーガチガチ♡ でもまだッスよ♡ どうせなら、最初は……んっ♡ じっくりするッスよ♡」

 

 たかがキス。されどキス。小さく柔らかい唇が重なると、それだけで全身に幸福感が広がっていく。

 どうしてこう、唇を合わせるだけの行為がこうも気持ち良いのだろうか。何というか、心の性感帯に触れられてる心地である。

 

 翼の付け根を撫で、尻尾の周辺をまさぐる。フェザータッチで良いところに触れると、なおもキスを続ける彼女は可愛い声を上げてくれた。お互い舌を使いたいところ、未だついばむようなキスを続けている。

 童貞の頃は全く以てダメダメだった俺も、今となっては相手のしてほしい事は正確に把握している。それはお互いそうなのだが。

 

「んはぁ♡ ご主人♡ そろそろ舌♡ 舌出してほしいッス♡ はぁむ♡ ちゅぷ♡ ちゅ、れる♡ むぢゅう~♡ ちゅぷ♡」

 

 百回吸精の儀。この試練は淫魔側にとっても相当に辛いはずである。

 なにせ、純淫魔候補はこれまで普通に存在した味覚を失っているのだ。味のしない好物を百回も食べないといけないと考えると、地味に苦行ではないだろうか。

 

「んちゅ♡ はぁ♡ あっ、ご主人♡ そこ気持ちいいッス♡ はぁ♡ はぁ♡ んっ♡」

 

 それはそれとして、肉の快楽はあるようだった。

 長い時間をかけて互いを解し合い、そうして潤んだ瞳は口よりも雄弁だった。

 そろそろいいだろう。

 

 最初は勿論、卒業証書授与式の構えである。

 あの時は気持ちばかりが先行し、空回りしまくってロクに動けやしなかった。

 あまつさえルクスリリアにフォローされる始末。ホントに情けない気持ちでいっぱいで、異世界で初めて涙を流したものである。

 

 だが、今は違う。己が肉体を使いこなし、内なる氣を練り上げた現在、俺は男としての確固たる自信を獲得していた。

 久々のプラグイン。後は私がやる。迷う事はない。

 

「くっ、あっ♡ おぉぉぉぉぉ……♡」

 

 のだが、先端が触れただけで、俺のヒートゲージは限界に達した。

 もう一歩も動けない。それはルクスリリアも同じだったようで、彼女も迸るパトスを必死に抑え込んでいた。

 これ、このままだと吸精扱いになるんだろうか。至近距離で見つめ合い、決断する。俺はままよと気合を入れた。気分は某ドスケベ島のモブBだ。

 

「んほぉおおおおおお♡」

 

 そして、俺とルクスリリアは同時に最高到達点へと至った。一瞬、意識が月まで吹っ飛んだ。てか、いくらなんでも早すぎない?

 まさに暴発。まさに決壊。これまでのがデザートイーグルだとしたら、今のはアハト・アハトだった。

 射手の俺がこうなのだ。直撃したルクスリリアなど、ワンショットで最深部に叩き落とされていた。

 

 快楽による脱力感。気を失う予兆を感知した際、俺は彼女を潰さないようにして倒れ込んだ。

 瞼を閉じる寸前、ふと見えた電光掲示板には、「九十九回吸精しないと出られない部屋」と書かれていた。

 

 あ、カウントしてくれるのね。

 そう思い、俺はルクスリリアと一緒に眠った。

 

 

 

 意識を取り戻すと同時、俺とルクスリリアは達していた。快楽による覚醒である。

 どうやら無意識に盛り合っていたようで、電光掲示板の吸精回数は残り九十六になっていた。

 よく分からんが、分からんまま再開した。残り九十五。

 

「うぅ、やっぱ味が無ぇッス……。気持ちいいには気持ちいいッスけど、凄い違和感あるッスよ~」

「儀式が終われば治ってるはずだから」

 

 残り、八十六。

 ようやっと理性を取り戻した頃には、ベッドの上はぐちゃぐちゃのドロドロになっていた。

 図らずも収刀抜精の記録更新である。俺達は一旦ベッドを離れ、ダイニングチェアに腰を落ち着けた。久々に開帳された我が聖剣は蒸気のような魔力残滓を放っていた。

 

「じゃあ、次はこっちで綺麗にしてあげるッスね♡ まずは先っちょを♡ れろぉ~♡」

 

 結果、俺はあっと言う間に搾り取られた。

 電光掲示板に変化あり。上の口でもカウントされたようである。

 残念ながら、このポジションだと俺は一切の反撃ができないので、そのまま何度も絞られる事と相成った。

 

 残り、七十八。

 上下の口がパンパンだというので、今度は後ろを使う事に。

 淫魔というか、魔族の殆どは排泄機能を持たない。よって、淫魔のお尻はいつも清潔そのものであり、完全に吸精目的の孔なのだ。

 

「あぉおおおおおおおん♡」

 

 承認され、歓迎され、俺とルクスリリアはガガガとフュージョンした。

 上下も後ろもハイオク満タンである。事後、二人は再度泥のように眠った。

 

 起床後、部屋を掃除してから儀式部屋内のお風呂に入った。

 湯舟の中、白濁色の湯が疲労を取り除いてくれる。大人二人がギリギリ入れるお風呂は、俺達二人には余裕があった。

 

「あ、そうだ。言い忘れてたッスけど、このお湯たぶん子宝温泉だと思うッス」

「子宝温泉? あれ? それ前に聞いた事あるような……」

「ッス。部屋の前の水路に流れてたのもこれッスよ。子宝温泉の主な効能は精力の向上ッス」

「あー、うん、なるほどなー」

 

 なんて話をしつつ、互いの身体を洗いっこする。

 お風呂にあった石鹸も淫魔王国産だったようで、色といい形といいスケベアトモスフィアを感じ取ってしまうのは俺がこの国に順応した証拠なんだろうか。

 

「じゃ、ぬるぬるタイム行くッスよ~♡ シャチョサン・ゲンキネ♡ オッキシタオ♡」

 

 案の定、風呂場には妙に質感の高いエアマットがあったので、ソレを使ってしこたまご奉仕してもらった。

 これまた案の定、使用したぬるぬる液は淫魔王国産だった。あまつさえ催淫効果付き。俺も気持ち良かったが、ルクスリリアこそ盛っていた。

 風呂を出ると、しっかりカウントされていた。

 

 

 

 この部屋に入って、どれくらいの時が経っただろう。

 体感それほど長い気はしないが、いずれにせよお腹が空くくらいには籠っていたようだ。

 そんな訳で、俺はお洒落なテーブルでご飯を食べた。これまた精の付きそうな干し果実である。甘くて美味しい。

 

「ん? 何か?」

「きひひ♡ なにも~♡」

 

 腹の中がパンパンだと言うルクスリリアは、対面で飯を食う俺を何故だか微笑ましそうに眺めていた。

 俺だけ食うのもなんだかなって感じだが、溜めた精を魔力に変換するのには時間がかかるらしいので致し方ない。

 

 食後、俺達はソファーでくつろいでいた。

 隣り合って密着するも、そこにスケベな雰囲気はなかった。指を絡めたりお話したりして、実に健全である。

 

「んっとね、ご主人」

 

 そんな中、やや声のボリュームを落としたルクスリリアが言葉を紡いだ。

 こういう声音の時は、ルクスリリアが真面目なお話をする兆候である。俺は彼女の声に耳を傾けた。

 

「ここ来る前、アタシ言ってたじゃないッスか。スケベなだけで、ご主人が好きってだけの淫魔って、どうなのーって話……」

 

 隣のルクスリリアは、俺と目を合わせないまま話を続ける。

 それは彼女が純淫魔候補になった日の出来事、連れ込み宿にて吐露された、彼女の懊悩だった。

 

「で、まぁなんか今みたいになっちゃったじゃないッスか。味分かんなくなって、大淫魔にもなれなくて、なんかこっち来るってなって……そんで、思ったんスよね」

 

 そっぽを見ながら、ギュッと腕を抱きしめられる。

 その頬は少し赤くなっていた。

 

「……アタシ、吸精とか関係なく、何があってもご主人と一緒ならそれでいいんだなーって。淫魔のアタシでも、ちゃんと愛せてたんスよね、うん」

 

 そして、彼女はおずおずと見上げてきた。

 その顔はほんのり赤く、羞恥に耐えるようなぎこちない笑みを浮かべていた。

 この娘は、茶化さずに本心を明かすのを恥ずかしがるのである。

 

「だから、今のままでもアタシ全然幸せだったんスよね~。なんちて、きひひ♡」

「そっか」

 

 こんなの言われたら、愛しさ百倍どころか百億倍である。

 俺はそのまま、ルクスリリアの頬を撫でた。すると、彼女は俺の手のひらに頬を擦り付けてきた。

 

 何にせよ、彼女の中で消化された懊悩があったのを知れてよかったと思う。

 

 残り、五十七。

 動いたり休んだりを繰り返し、儀式完遂まで約半分となった。

 それにしても、俺の腰の炎はいくら燃やしても尽きる気配がない。

 普段は一党人数分プラス一回くらいだというのに、今や二桁回を超えて久しい。

 どう考えても地球の常識じゃあり得ないだろう。あまつさえ一度目以降は量も質も変わっていない。

 

「きひひ♡ なにジロジロ見てんスかぁ? ご主人、ほんとにアタシの背中好きなんスねぇ♡」

 

 何度も、何度も、彼女の美しい肢体を満喫する。

 飽きるどころか、回を増すごとに俺はよりいっそう彼女を好きになっていた。

 これは若気の至りではない。感情が暴走してる訳でもない。浮ついた心地はあっても、俺はしっかり地に足ついた好意を抱いていた。

 なんて、快い重さなんだろう。

 

 残り、四十九。

 半分を切ったところで、ここらで一度趣向を変えてみる事にした。

 儀式部屋には吸精を捗らせる為に色んなアイテムが置かれている。そして、英国味を感じる洒落たドレッサーの中には、入れ物にそぐわぬハードめのスケベグッズが置いてあった。鞭に目隠しに拘束具。その他色々……

 一応、【清潔】をかけてから、一通り使ってみる事にした。

 

「君、この壺にどんだけの価値があると思ってるのか分かってるのかね? 君の給金じゃあ全く届かないよ?」

「ひぃ~! お許しくださいご主人さマォオオオオオ!?」

 

 案の定、ルクスリリアはSモード時よりMモードの方が活き活きしていた。

 可哀想ないじめ系漫画とかは苦手な俺だが、プレイとしての辱めなら大好きである。

 そうしてしばらく、俺は傍若無人な貴族に、ルクスリリアは弱みを握られたメイドになって楽しんだ。

 今度、皆ともやろう。

 

 残り、三十八。

 疲れて眠った後、歯磨きして掃除して入浴して飯食って再開。

 今度はさっきとは一転、甘々いちゃラブコースだった。

 

「アタシを抱いてくれるトコ♡ ん~、ちゅっ♡」

 

 お互いの好きなところを言ってからキスをするという、バカップル全開な事なんかもしてみた。

 これがなかなか心の愛撫力が強く。誰の目もないのでメスガキルクスリリアさんはお休みになっていた。

 何だかんだ言いつつ、やっぱ純愛モノがナンバーワンよ。

 

 残り、二十一。

 この頃は、お互いを好きに使っていたように記憶している。

 ルクスリリアが疲れたら俺が上に、俺が疲れたら彼女が上に。

 あまりにも退廃的で、完全に溺れていた。怠惰と色欲が共存していて、二人以外の何もかもがどうでもよくなっていた。

 

 残り、十四。

 これくらいから、ルクスリリアは吸精を受ける度に苦しげに呻くようになった。

 曰く、限界を超えて精を溜められてるみたいだという。これも試練の一環なのだろう。俺達はラストスパートへ向けて速度を上げた。

 味覚回復まで、もう少しの辛抱だ。

 

 残り、九か八。

 もう、言葉なんか無かった。

 俺は俺でルクスリリアという存在を慈しみ、ルクスリリアも同じように俺という存在を離すまいとしていた。

 声は発せど、言葉にあらず。いつどのタイミングでカウントされたかも分からない。

 それでも、二人はひたすらに愛し続けていた。

 

 そして、残りあと少し。

 この段になって、俺達は互いの身体に異変が起こっている事に気が付いていた。

 ルクスリリアの全身には以前進化キャンセルされた時にあったような文様が浮かび上がり、それはうっすらと光を放っていた。

 それは契約者たる俺も同様で、身体中に人修羅のような線が走っていた。試しに照明消してみたらぼんやり光ってて幻想的だった。

 

「ルクスリリア……」

「ご主人……♡」

 

 すると、どうだ。

 俺達は文様の刻まれた姿に恋をして、再び一度目の時のように愛し合い始めた。

 ねっとり、ゆっくり。互いを手懐けるように、慎重に。

 

 俺達を動かしていたのは、単なる欲望や激情ではなかった。

 儀式を成功させる為の使命感や、義務感といったものも剥がれていた。

 そうして残ったのは、純粋なる施しの分かち合いであった。

 

 ただ静かに、営む。

 粛々と、神聖な儀式を行うように、二人は静謐を保っていた。

 

 魔力感覚に鈍感な俺でも、俺と彼女の間に強い魔力の結びつきを感じる。

 最後の最後、その線はやがて、がっちりと繋がった。

 

「あは~♡ 来る来る来る! なんか来るッス! ひっ♡ ひっ♡ ふぅ~♡」

 

 瞬間、二人の身体に刻まれた魔術文様が眩いほどの強い光を放った。

 確認しなくても、分かる。

 これが百回目だ。

 

「んぅ~っ♡ はぁあああ……♡」

 

 光が収まる。それと同時、身体にあった文様は末端から薄れていき、やがて彼女の下腹部で消失した。見ると、俺の身体にあった文様も消えていた。

 これで中淫魔で止まっていた彼女は純淫魔へと進化し、俺は契約者として不老長寿を得たという訳か。

 

「リリィ?」

 

 ルクスリリアを見る。彼女は、涙を流していた。

 大きな瞳を潤ませ、その端から透明な雫が溢れている。泣きながら、笑っていたのだ。

 心底、満ち足りたように。

 

「い、今、ご主人の味がしたッス♡ こんな美味いモン初めて食ったッスよ♡ あぁ~、やっぱり最高ッス♡ 生きててよかった~♡」

 

 ともかく、ルクスリリアが幸せなら、俺も幸せである。

 俺達はこの部屋で何度目になるだろう抱擁を交わした。

 完治した悦びと、乗り越えた達成感。色んな感情が溢れかえって、その結果として抱き合っていた。

 

「きひひ♡ ご主人♡ 気づいてるッスか?」

 

 耳元に、涙混じりの声。

 

「勃ってるッスよ♡」

 

 その後、俺達は儀式の続きをした。

 覚えてないけど、最低でも三回は。

 

「ぞのォ……!?」

 

 あれ、五回だったっけ?

 

「らごォーッ!」

 

 七回以上だった気もする。

 

「ズゴッ!? クゥゥゥゥ……♡」

 

 とにかく、沢山。

 

 そういえば……。

 純淫魔の契約者は、淫魔の性質が混じって精力が強くなるらしいんだよな。

 あー、なるほど、はいはい。

 

 是非もないよね。

 

 

 

 

 

 

 王城地下。儀式の間に繋がる扉の前には、並んで椅子に座すエリーゼ達の姿があった。

 彼女達は主人とその相棒の無事を祈りつつ、各々気を紛らわせるように暇を潰していた。

 その面持ちは信頼半分、不安半分といったところ。

 

 そんな彼女達を、護衛の淫魔騎士が見ていた。

 この三日間、彼女達はずっとここで過ごしていたのだ。儀式を完遂して戻ってきた主人をいつでも出迎えられるように。

 本当に、イシグロの一党は愛し合ってるんだなと。ぶっちゃけ凄い羨ましいなと。淫魔騎士は真面目っぽい表情を維持しつつ、内心嫉妬の炎を燃やしていた。自分もヒトオスチンポコ欲しい。

 

「おや?」

 

 その時、淫魔騎士の持っていた魔道具に反応があった。

 どうやら、イシグロ達は儀式の間を出たらしい。反応的に儀式は無事に成功したようだ。

 まさか一度で突破するとは……。淫魔騎士は誰にも悟られぬよう息を呑んだ。あのヒトオス、どんなチンポコしてんだろう。一回くらい舐めさせてくれないかな、無理だろうなー。

 

「皆さん、イシグロさんは儀式を完遂したようですよ」

 

 それはともかく、イシグロの事を伝えると、彼の一党員達は安堵したようだった。

 

「ずいぶんと待たせてくれたわね……」

 

 余裕げな鼻息ひとつ。銀竜の少女はパタンと本を閉じた。

 

「はぁ~。なんだか、緊張しました……」

 

 耳をピコピコしながら、獣の少女は本を抱きしめていた。

 

「まぁ成功するとは思っとったんじゃが痛ぁッ!?」

 

 編み物をしていた狐人の少女は、安堵した拍子に手元が狂って指に針を刺していた。

 

 やがてゆっくりと扉が開き、中から、一人の男が姿を現した。

 その腕に、矮躯の淫魔を抱いて。

 

「皆、久しぶり」

 

 安らかに眠るルクスリリアをお姫様抱っこし、イシグロは一党の皆に爽やかナイスガイな笑顔を見せた。

 そんな頭目を見て、並みならぬ異能を持つ少女たちは瞠目した。

 

「アナタ、その魔力は……!?」

 

 銀竜のエリーゼは、イシグロの体内に巡る魔力の質に驚愕した。

 

「クンクンクン♡ くぅ~ん♡ あぁ、素敵な匂いですご主人様♡」

 

 獣系魔族のグーラは、イシグロの放つ匂いに強い雄の色香を嗅ぎ取った。

 

「うおっまぶし!」

 

 九尾天狐のイリハは、イシグロの中の氣の輝きに目を焼かれていた。

 

 純淫魔契約、完了。

 これにより、ルクスリリアは純淫魔に進化し、イシグロはワンランク上の漢に成ったのだ。

 

「……すごい漢だ」

 

 そして、淫魔を姫抱きするイシグロの肉体を見て、淫魔騎士は呆然と呟いた。

 すごい、凄すぎる。こんなの生まれて初めて見た。面構えに覇気はなく、背も低く、身体の線も細い男。それでも、イシグロはすごい漢だった。

 例えるなら、勇者アレクシオスの如き雄々しさ。

 

 色とか形とかサイズとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてない。

 まさに、勇ある者の象徴。真なる聖剣テイラウス。伝説級の珍宝。

 その股間は、光り輝いて見えた。

 

「アナタ……」

「なに?」

 

 それはそれとして、エリーゼは言っておく事にした。

 

「……服を着なさいな」

 

 勇者は、少し赤面した。




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