【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚 作:いらえ丸
誤字報告も感謝です。ありがてぇ。
キャラ・ボスのご応募もありがとうございます。
日常回です。よろしくお願いさしすせそ。
休日は大事。
何で知ったか忘れたが、疲れた心身を効率良く癒やすには、証拠付の方法論が存在するらしい。
簡単に言うと、普段から身体を動かしてる人はゆっくり過ごし、頭を使う事が多い人は身体を動かす。すると、蓄積していた心身疲労をふっ飛ばせるというのである。
その点、迷宮探索は肉体労働の極みであり、且つ反射神経や思考回路を酷使する場面が多い生業だ。
俺はハクスラもレベリングも楽しんでやっているが、それはそれとして疲れるのは確かである。
銀細工ボディになってからというもの眠って取れない疲れはないが、それでも無自覚に溜め込まれたソレは存在するだろう。
然るに、軽く動いてゆっくり休むが肝要だ。
即ち、ピクニックである。
そんなこんなでお休みデー。王都は今日も晴天だ。
四季のある異世界である。季節は夏の始まりくらいで、日本で言うと梅雨ド真ん中といったところ。
日本に比べ、ラリスの王都は温暖で乾燥した気候である。ラリス城から各区にかけて大きな川が流れているが、何故だか全くジメジメしてない。
何が言いたいかというと、梅雨のない長夏は快適で、空が晴れならお出かけ日和という事だ。
「ここがその公園かしら?」
「でっかいッスね……!」
「ほぇ~、王都にこんなトコがあるなんてのぉ」
「なんだか落ち着く匂いがします」
そうしてやってきた場所は、西区にある大きな自然公園だった。
以前グーラとデートをした聖剣公園は芸術方向に寄っていたが、こっちの公園は整備された自然を楽しめるレジャースポットだ。
楽しみ方は人それぞれで、馬人が全力疾走できるダートコースや猫人がゴロゴロできるハンモックなんかがあるらしい。中には宿泊施設や飲食店等もあると言えば、その規模と雰囲気が伝わり易いだろうか。
「えー、大人一人、奴隷四人だから、十万二千ルァレね」
諸々込みの入場料を払い、公園に入る。中々に高価だが、まぁ仕方ない。
そうして足を踏み入れた自然公園は、先程まで歩いていた王都とは別世界の様相を呈していた。
「豊かな緑に鳥の声。いいのぅ、風流じゃのぅ」
「ふーりゅー?」
「なんか風がサラサラしてるな」
「ふふっ、なにそれ……」
「まぁ分からなくはないッスけど」
ゲート周辺は背の高い木々で覆われており、一歩進むごとに都会の喧騒が遠ざかって行くのを実感できる。
同じ木々でも迷宮のソレとは違い、ここの木は清涼感のある風を運んでくれる。
「おぉ~。すげぇ」
通りを抜けると、そこは草原だった。
キャンプ場めいたこの草原は好きに走り回ってもいいらしく、一面の緑の中では陽キャっぽい獣人グループが楽しそうにかけっこをしていた。
芝生エリアの真ん中には運動会で見たような天幕があり、飲み物や軽食を販売していた。
客層に関しても、聖剣公園とは異なっているようだ。こっちはファミリーや若者向けって印象。
「見て下さいあそこ、兎が走ってますよ」
「あれはラリスシロウサギね。臆病な性格らしいわよ」
「案内板に狩っちゃダメって書いてあったッスよ」
「そういえば、ウサギのエサ売っとったのぅ」
「買っときゃ良かったかな」
そんな中、俺達は舗装されたウォーキングコースを歩いていた。
その装備は迷宮用のソレではなく、がっつり休日用の普段着である。各々護身用の武器こそ携帯しているが、大鎌もぶちぬき丸も担いでいない。
「やっぱり、わしは王都の賑やかさより、こういう自然いっぱいの場所のが落ち着くのじゃ……」
「変な匂いしませんもんね。獣人の方が多いのも頷けます」
「焼き払ったら気持ちよさそう……ってエリーゼが考えてそうッス!」
「考えてないわ。けど、まぁ分からなくないわね……」
「竜族くんさぁ」
地図にあった通り、何となくグルッと回るコースを歩く。
人の手によって管理された自然は、そのへん鈍い俺が見ても素直に美しいと思えるくらいには完成度が高かった。
「へえ、ここには優秀な庭師がいるようね」
花壇エリアに辿り着くと、芸術大好きエリーゼが感嘆の息を吐いていた。
よく手入れされた庭園に、色とりどりの花が咲いている。こぼれ落ちた花弁が水路に落ち、ゆっくりと流れていく。その光景を、ルクスリリア以外の皆は感動の面持ちで眺めていた。ちな、リリィは遠くで乳繰り合ってるカップルをノスタル爺みたいな顔で観戦していた。
前世、花は匂いが苦手で好きじゃなかったが、彼女達と一緒なら好きになれそうだった。不死でなくとも不老長寿になったのだ。こういう感性は大事にしようと思う。
「おっ、スズレンゲが咲いとるのじゃ。そろそろ散りそうじゃのぅ」
「これは、リンジュの花かしら?」
「うむ。痩せた田んぼにコレを植えるとな、次の年に土が元気を取り戻すんじゃよ。春になると一面に花が咲いてのぅ。それはもう綺麗なのじゃ」
「へぇ~」
「前から思ってたんスけど、花って何がいいんスかね? 故郷でも植えてる人多かったッス、食える訳でもねぇのに」
「花より団子だな。分からんでもないが」
「花も風も月だって、愛でようと思えば愛らしく思えるものよ」
「お腹空いてきました……」
「もうちょっと歩いたら食べような」
一通り花々を見た後は、道沿いに歩いて人気のない森林エリアの奥に行く。
やがて木々の間を抜けると、一本の大樹が聳え立つ小高い丘に辿り着いた。幸運なことに、そこには誰もいなかった。
「ここにしようか。手伝ってくれ」
「うッス!」
大きな木の下、いい感じに影になってるところにレジャーシートを敷く。
靴を脱いで車座になり、それから収納魔法からお弁当を出した。
お昼ご飯である。
「今日は色々作ったゾ~」
「ご主人様の故郷のご飯、とても楽しみです!」
「まぁ半分以上イリハに作ってもらったんだけども」
「醤油ってば便利でのぅ、ほんに」
言って、重箱弁当の一つを開封する。中には唐揚げや肉じゃがやお浸し等が入っている。あとキンピラゴボウ。
今回、弁当のおかずには俺とイリハが共同で和食を再現したものを詰めていた。
「あら、この豆美味しいわね。箸だと取りづらいけれど」
「これ殆ど醤油使ってんスよね? 全然味違うじゃないッスか。信じらんねぇッス」
「うむ。砂糖を入れて甘くもできるし、ニンニクや酒なんかを入れて色々と工夫できるのじゃ。冗談抜きに世紀の発明じゃぞコレは」
「逆にコレ無しだと俺の知ってる殆どの和食作れないんだよな。グーラはどう? 苦手なのあったら無理しなくていいから」
「んぐっ! いえ、どれも凄く美味しいです!」
大量の重箱を囲み、皆でお昼を食べる。迷宮とは違う、こういう豊かな自然の中で食べる飯はロリと一緒ならなお素晴らしい。水筒に入れた緑茶が染みる心地だった。
こういう公園も探せば日本にもありそうだが、地球のどこを探しても竜や淫魔やケモミミロリーズが見つかるはずはない。やはり、俺の世界の中心は彼女達なのだ。
「あぁ~、うんめぇなぁ~」
弁当の中身はおかずだけじゃない。主食には皆が握ってくれたおにぎりも入っている。
人並み程度には色んな美食を享受してきたが、俺は皆が握ってくれるおにぎりが前世含めて世界一好きだった。
「美味い! 美味い! 美味い! 美味い!」
「お~、凄い勢いで主様の氣が循環しておるのじゃ……」
「めっちゃ幸せそうッス」
「すみません。力が入りすぎてしまって」
「こうなるのは分かっていたのだから、くれぐれも文句を言わないで頂戴ね」
おにぎりの作成には個性が出るものらしく、ルクスリリアのは野球ボール状。エリーゼは三角の成り損ない。グーラは高強度爆弾おにぎり形をしていた。ちなみに、イリハ作は綺麗な三角である。
「ふぅ~、食った食った。リリィ、はいおしぼり」
「あざ~ッス」
食べ終えた後、収納魔法から新品のおしぼりを出し、皆に渡して手を拭う。
グーラとルクスリリアはデザートを食べていた。流石にこの場で酒を呑む気にはならないのか、エリーゼは食後のティータイム中だ。
サティスファクションである。満腹感に酔った俺は、その場に大の字になって寝転がった。五感全てでロリの息吹を感じる。
「主様、ちょっと上げるんじゃよ」
「ん? おぉ、ありがとう」
ぼんやり空を眺めていると、ゆっくり頭を持ち上げられた。次いで後頭部に柔らかい感触、膝枕だ。視線が合う、イリハの目が三日月に歪んでいた。
見下ろされながら、前髪を撫でられる。ただ柔らかいだけではない、細い大腿のモチモチとした感触が最高だった。
なんか、眠たくなってきた。
「あらあら、心地よさそうな顔しちゃって……」
「ん? おっ、何スか? 何スか? その微妙な表情はぁ?」
「そっちこそ何よ? 別に、なんでもないわ……」
「代わりたいんかの?」
「ご主人~、かまってちゃんのエリーゼが私も膝枕したいって言ってるッス~」
「ん~」
「かまっ……? まぁ、イリハにだけさせるのもね……?」
「ほいほい、ゆっくりじゃぞ~」
「じゃあ、ボクはご主人様の足に」
快い微睡みに揺蕩いながら返事をすると、少しの浮遊感の次に別の柔らかさを感じた。さっきよりも冷たい肌。エリーゼの太ももだ。
次に、俺の大腿に重み。俺に頭を預けたグーラと目が合う。可愛らしい三角耳を震わせて、嬉しそうにニコニコしている。
「どう?」
「めっちゃいい……」
「そう……」
冷たい手で頬を撫でられる。半分降りた瞼で見上げる彼女の瞳は、気のせいか淫靡に歪んでいた。
そして、一言。
「今のうちに、眠っておく方がいいわ……」
そう、耳元でささやかれた。
〇
昼食を食べてまったりした後は、軽く散策して小さな池で泳いでる魚なんかを眺めたりダートを走ったり蹴鞠したりした。
それから公園中央らへんに行き、予約していた宿泊施設のコテージにチェックイン。案内人の説明を聞き、諸々に同意した。
この夜、俺達は自然公園に泊まるのだ。
契約の内容はシンプルで、要するに公園荒らすなよという話。それ以外は好きにしていいとの事なので、誰もいなくなった夜の公園を走り回ったり、公園に住んでる夜行性の動物を観察したりして過ごした。
なんか、こういうの妙にテンション上がっちゃうんだよな。皆もソワソワしてて可愛かった。
勿論、夜の楽しみはそれだけじゃあない。
コテージに戻り、身体を清め、大きなベッドの寝室で腕組み待機。
そして、扉が開かれた。
「へへ~ん♡ どうッスか? って、聞くまでもないッスね♡」
そうして現れたのは、まさに美の化身だった。
たなびく裾に、純白のエプロン。忘れちゃいけないヘッドドレス。何を隠そう、ロリメイドである。
今回、皆には各々異なるタイプのメイド服を着てもらった。これらは衣服チートを思い立った後に、オーダーメイド専門の服屋に繕ってもらったものだ。侍女とその制服自体は異世界にも存在するので、注文自体それほど難しくなかった。
が、まだ届いていない他の注文品はほぼほぼ地球産コスチュームだ。セーラー服とか体操服とかその他色々。完成が楽しみである。
「いいねぇ~」
そんな事より、ロリメイドだ。
我知らず漏れた感嘆の声に、皆は各々異なる反応を返してくれた。
「ほらほら♡ ご主人、こういうの好きなんスよね? チラ♡ チラチラ~♡ きひひ♡ 目が怖いッスよ~♡」
メスガキ風に笑むルクスリリアは、水着と見紛うばかりの超ミニメイド服を着ていた。
尻尾と角は本物なので、まさしくリアルサキュバスメイドである。
「銀竜たるこの私に侍女の恰好をさせるなんて。大した度胸ね、アナタ……」
呆れたように呟くエリーゼは、スカート丈の長いメイド服を着ていた。
フリフリのないクラシカルなエプロンドレスは、彼女が着ると王侯貴族の如き高貴さを醸し出していた。
「な、なんだかムズムズします。この刺繍とかも、ちょっと可愛すぎるというか……」
恥ずかしそうに裾を握るグーラは、膝上丈のミニスカメイドさんだ。
みんな大好きケモミミメイドである。純白のニーソが彼女の褐色肌と合わさり最強に見える。
「はぁ~、ラリスとリンジュの融合って感じなんかのぅ?」
腰を捻って着心地を確かめているイリハは、おキツネ属性を活かして和メイドを着てもらった。
萌え袖になってる部分がヒラヒラしてて最高だ。キツネの尻尾も良いアクセントになっている。
「いいねぇ~」
「それしか言わなくなったッス♡」
時に、コスチュームプレイをするにあたって、脱衣は禁忌に値すると思っている。
やるにしても半脱ぎで、願わくば設定やシチュエーションも大事にしたいところだ。
「えー、ごほん。じゃあ、今夜はお前達には夜伽の相手を命ずる」
てなわけで、最初は丁寧に奉仕してもらう。
俺は努めて尊大に命令し、改めてどっかりとベッドに腰を下ろした。
「では、ご主人様、失礼します……」
すると、あっと言う間に服を脱がされ、俺の五体に触れてくる。
初手ヘソ下クリティカルではなく、あくまでも末端からだ。手足の指から中心にかけて、静脈に作用するような撫で撫で攻撃である。
このご奉仕、事前の台本には「事務的に攻めてほしい」と書いておいたので、皆には極力無表情を保ってもらっていた。
丁寧に、淡々と。完全お仕事モードの事務的無表情プレイである。
「こっち向きなさい。ん、ちゅ……」
唇が合わさり、すぐに引っ込む。エリーゼからのキスもいつもより素っ気ない。さも「仕方なくしてあげてますよ」みたいな素振りと表情だ。
「んむっ? はむ、ちゅる♡ じぢゅ、れろ♡ むちゅ、ちゅぅ♡ はぁ、んむ♡ ちゅ~♡」
そんな彼女も半ば強引に舌をねじ込んでやると、すぐに両目をトロンとさせて応じてきた。
エリーゼの熱に中てられてか、皆もどんどん熱くなっていく。遠慮がちだった手作業も、次第に積極性を増していった。
「さっさとお済ませください、主様」
意外と演技派だったのがイリハだった。人生経験の成せる業か、その手遊びには効率的で遊びがなかった。
徐々に速く、激しくなる。口と乳首と大事なところが、淫靡な水音を響かせる。
そして、思った。すげぇいいじゃんコレ。
「では、拭いますね」
バースト後、手拭で綺麗にされる。それは水汚れを取る時と同じ手つきだった。
そんな中、演技大根勢のエリーゼ&グーラは、役そっちのけでくっついてきていた。
可愛すぎる、こんなん我慢できねぇ。
「並んでお尻向けて」
結局、先に制御が利かなくなったのは俺の方だった。
右から左へ、左から右へ。真ん中からランダムに。俺は心行くまでハック&スラッシュをした。
「はぁ♡ はぁ♡ まさか、指だけでこうも翻弄させるだなんて……♡」
純淫魔契約をしてから、俺には明確に精力が増してる実感があった。
それに加え、パワーアップしたのはそこだけじゃなかった。
謎の直感でいつどこを攻めればいいか丸分かりになり、心なしか舌と手先も器用になった気がするのだ。
その結果、俺は上と下と右と左で完璧なる四刀流ができるようになったのである。
「ご主人~♡ もういいッスよね? そろそろ上から欲しいッス♡ んっ♡ おぉぉぉぉぉ♡」
そうして、俺達のピクニックは終了した。
フルシンクロ。メイド服を脱がせず、汚さずに完了できた。体力の方は残っているが、これ以上攻めると皆の体力を削ってしまう。
にしても、複数メイド事務処理は思ってたより素晴らしい経験だった。
次はお揃いのメイド服を着てもらおうかな。
異世界生活の楽しみが、また一つ増えた。
〇
夕暮れ時、王都西区の門前にて。
時間的にそろそろ門を閉じる頃、衛兵の前に一人の男が現れた。
「もし。通っても、よろしいでしょうか?」
「ん?」
編笠を被ったその男は、リンジュ風の旅装をしていた。汚れ具合からして、ここに来るまで長い旅をしていたのは間違いない。
「失礼。身分の証明は可能でしょうか?」
「ええ。こういう者にございます」
問うと、男は懐から金細工を取り出してみせた。
それはリンジュ式の金細工だった。
「確認しました。どうぞ、お入りください」
「有難う存じます」
責務に忠実な門番は、他国の英傑といえど冷静に職分を全うする。金細工の男は、一礼して門を潜って行った。
しばらく歩き、男は王都の街並みを眺めみた。
雑多な建物。無関心な住民。力によって制御された混沌が、王の都の秩序を形作っていた。
普段の彼ならば、相容れぬとして唾棄するだろう光景だった。
「……美しいな」
けれど、今の男にとっては、限りなく尊いモノのように思えた。
再び、歩き出す。もし、この街で生を得たならばと、益体もない考えを巡らせながら。
その背では、
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