【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚 作:いらえ丸
誤字報告もありがとうございます。いつもお世話になっています。
キャラ・ボスのご応募もありがとうございます。
銀竜剣豪ヴィーカ。
彼の剣士は、この世界における英雄中の英雄である。
勇者一党の一人で、共に世界を救った竜族の男。現在、俺が下げている銀細工の意匠のモチーフになった御仁でもある。
輝くばかりの栄誉を手に入れた彼だったが、勇者アレクシオスの死後、英雄剣豪は歴史の表舞台から姿を消した。
以降の足跡は、放浪する彼のエピソードを集めた“銀竜録”という本のシリーズに詳しい。当然、歴女のグーラは熱心な銀竜録フォロワーだ。
例えるなら、異世界版ヘラクレス。
例えるなら、魔王を斃した後の勇者。
例えるなら、ラスボスより強い隠しボス。
まさに、生ける伝説。俗っぽい言い方をすると、エリーゼの祖父たるヴィーカさんはそういうポジションの偉人なのである。
望外にも、俺は伝説に謳われる竜の剣技をこの身をもって学ぶ事ができた。
完走した感想ですが、一言で言うと「強すぎて草」だった。
それも全く本気じゃない彼と戦っての感想である。太刀打ちどころか同じ土俵にも立ててない感。ヒカルの碁で佐為と打った時のアキラって、こんな気持ちだったのかな。
今になって振り返ると、先の模擬戦は試練や腕試しというより、俺に合った剣技の教導だったのだと思う。
無月流を基礎に、その応用を教えてくれた感じだろうか。攻守における戦技の使い方と、対強者戦における実際の立ち回り方。最後には、目指すべき技の極致を見せて頂いた。
それで言うと、いつか俺にも飛ぶ斬撃が出来るようになるのかもしれない。次会った時にトリクシィさんにやり方を教えてもらおう。
にしても、最近は俺が思う異世界最強ランキングの変動が激しい。
淫魔王国に行くまでゲルトラウデ師匠が最強だと思っていたところ、いきなり第三王子がぶっちぎってランクイン。で、ヴィーカさんは今の王子より強い説が浮上してきた。
というか、聖王子と銀竜剣豪は強さの質が違う気がするんだよな。ひと目見て「勝てる訳がない……!」ってなるのが王子なら、ヴィーカさんはよくよく観察しても全く強そうには見えないのである。実際、グーラの強者センサーは無反応だった。
静と動というか、陰と陽というか、そんな感じ。
とにかく、ヴィーカさんはすごい漢なのである。
そのすごい漢はエリーゼの祖父で、やがて俺の義祖父になる訳で。
そんな彼が、今なにをしているかというと……。
「……食え」
「あ、ありがとうございます」
焚火で肉を焼いていた。
時は少し遡る。
衝撃の名乗りの直後、愕然とする俺達を前に、どういう訳かヴィーカさんはそのまま何も言わず去ろうとした。
いやいや、これからお話するんじゃないのと、歩き出した彼を俺は慌てて呼び止めた。とりま、竜族相手なら酒だろうと高級酒など手渡して。
すると、彼は「少し待っていろ」と言って、マキア城周辺の森で巨大な鳥を狩ってきた。酒との交換なのだろうか。彼はそのまま鳥を解体し、焚火を起こして焼き始めたのである。
何とも、マイペースな英雄だった。
「ん~、昔を思い出す味じゃのぅ。わしも母上が狩ってきた獲物を捌いて食っとったのじゃ」
「あばばばば……! ボクは今、とんでもない状況にいます……!」
「どしたんスか? 話聞くッスよ」
そして、現在。
大英雄手ずから焼いてもらった肉を、英雄含む皆で食べていた。
中々の異常事態だが、イリハとルクスリリアはすんなり順応して、グーラは緊張のあまり半ばパニック状態。当のヴィーカさんは黙って鳥肉をアテに酒を呑んでいた。
そんな中、エリーゼだけは肉に口をつけていなかった。俯き加減に祖父をチラ見するばかりで、遠慮とも躊躇とも異なる複雑な表情の揺らぎを見せている。
「……後は任せた」
そうして謎の食事会が続き、自分の分を食べ終えたヴィーカさんは再び立ち去ろうとした。
と、そういう訳にもいかない。食事中の彼は話しかけるなオーラを放っていたが、今は大丈夫なはずである。俺は英雄焼肉を嚥下し、立ち上がって口を開いた。
「すみません。よろしければ、今回の件についてご説明願えませんか?」
「……依頼にあった通りだが」
「はい。ですが、第三王子からは現地の協力者から話を聞くよう伺っております」
「むぅ……」
再度、銀竜剣豪は焚火の前に胡坐を掻いた。俺もそれに続き、話を聞く姿勢になる。
腕を組みながらの仏頂面。鋭い目つきも相まって、一見静かに怒っているように見えるが、恐らくこの表情がデフォルトなのだろう。そういう人、日本にも居たし。
それに、これは絶好のチャンスである。指名依頼の理由を聞くというのは二の次で、実際にはエリーゼの事についてお話をしたいってのが本音である。
「……お前を確認しに来た」
で、俺を呼び出した理由がコレである。
エリーゼ含め、一党の皆も困惑しているようだった。
「自分をですか?」
「ああ……」
それこそどうしてと問いたいところだったが、彼はこれ以上答える気はないようだった。
とはいえ、すぐにこの場から離れるつもりもないようで、銀の英雄はなおも俺の目を見据えていた。
もしかして、この人って口下手だけど聞けば答えてくれるタイプの人なのでは?
そう思った俺は、問いを重ねる事にした。
「手紙の内容からして、ヴィーカ様は第三王子の協力者であると拝察しますが、間違いございませんか?」
「ああ……」
そこで、初めて銀竜剣豪の表情が変化した。
眉間に深い皺が寄り、眼光鋭く目が据わる。彼は、忌々しい過去を想い返すように燃える火を睨みつけた。
「……魔導人機は、大地を枯らす。アレは、この世界に在ってはならぬモノだ」
一息。彼は平坦な声音で言葉を継ぐ。
「故に、斬る。二度と蘇らぬように斬る。裏で糸を引く者も当然斬る……」
その言葉に、彼の視線に、殺意や敵意といった負の感情は見受けられなかった。ただ、決然とした覚悟だけが感じられた。
パチパチと、薪が爆ぜる音が響く。沈黙の後、眉間の皺を消した銀竜は静かに口を開いた。
「……適合者は斬らぬ」
「ご配慮痛み入ります」
なるほど、だいたい分かった。
口ぶりからして、ヴィーカさんは第三王子派閥というより、魔導人機アンチなんだな。故に、あくまでも戦いにおける協力者であると。装備や契約で素性を隠していたのも、今では当然だと思える。
また、その縁で彼視点の協力者である俺の情報も知っているのだろう。その上で、俺個人の心情に配慮してくれるというのは、嬉しいというか恐れ多いというか……。
ふと、ヴィーカさんの視線が焚火からエリーゼに移っている事に気が付いた。
言いたい事がある……というより、彼女の中の何かを見定めているかのような厳しい視線。対し、彼の孫娘であるエリーゼは身を縮こまらせていた。
三回目、良い頃合いだろう。俺は覚悟を決め、彼女の事について話す事にした。
「ヴィーカ様。現在、自分は此方のエリーゼと奴隷契約を結んでおります」
ギロリと、俺の双眸に鋭い眼光が突き刺さる。
いや、錯覚だ。実際彼の表情に変化はない。俺の心に後ろめたさがあるから、そんな感覚を覚えてしまったのだ。
大丈夫だ、緊張するが怖くはない。意を決し、俺は努めて胸を張った。
「いつか、自分と彼女があらゆる困難を排除できる程に強くなった暁には、自分は所有する全奴隷との契約を破棄し、皆と婚姻を結ぶつもりです」
あえて、強い声音を意識して言い切る。
ヴィーカさんは、なおも黙って俺を見ていた。
俺は一度息を飲んでから、乾きかけていた口を開いた。
「つきましては、彼女との婚姻に際し、ヴィーカ様の許可を頂けますと幸いに存じます」
再度、決断的に言い切る。
しかし、対するヴィーカさんは冷たい印象の仏頂面を崩さなかった。
静寂が過る。再度、薪の爆ぜる音が響いた。
「……我の許可がいるのか?」
しばらく後、彼はぼやくようにそう云った。
こう来る事は何となく分かっていた。歳も種族も世界さえ、俺と彼では育んできた価値観が異なるのだ。こと婚姻ともなれば、現代地球においても地域や時代によりけりなのである。
けれど、俺にはどうしても譲れない事が一つだけ存在していた。
「祝福があった方が、彼女の心はより満たされる事と存じます」
「……そうか」
呟くように言って、彼はゆっくりと孫娘の方を向いた。
祖父と目が合ったエリーゼは小さく息を飲んだ後、おずおずと同じ色の目を合わせた。
「……エリーゼ」
「はい……」
曰く、彼とエリーゼは一度しか会った事がないらしい。
それどころか、宴の際に一度声をかけられただけで、ロクに会話を交わした事も無かったという。
そんな関係でも、エリーゼは銀竜剣豪を尊崇しているようだった。
――俯くな、前を向け。
弱さを認めろ。己を愛せ。
努々、忘れるな。我が孫よ――。
彼の言葉によって、百年の孤独を耐えられたから。
エリーゼにとって、銀竜剣豪こそが最高の英雄なのである。
「……むぅ」
ヴィーカさんは口を開こうとして、止めた。
それからもう一度、しっかりと彼女の目を見ながら云った。
「よく、励んだ……」
それは、お褒めの言葉だった。
エリーゼは目を丸くして、続く祖父の言葉に耳を傾けていた。
「鱗も翼もない身で、よくぞ生き抜いた。その在り方こそ、真の銀竜に相応しい。貴様の道だ。努々、忘れるな……」
「……はい」
ゴブリンスレイヤーさん並みの圧縮言語。
けれど、伝わった。
ヴィーカさんは、エリーゼの事情を知っているようだった。であれば、不妊の呪いについても把握しているのだろう。その上で、彼は良くも悪くも孫娘の生き方に干渉しないと宣言した。
迫害され、癒えない傷を負った孫娘に対し、あまりに冷たい態度のように思う。独りで立ち、自身で決断しろと突き放していると言える。
しかし、戦乱の世を生きた彼にとっては、それこそが竜族の在るべき姿なのだろう。
だからこそ、今なお生き続けている彼女に、恐らく彼なりの賛辞を贈ったのである。
何となく、分かった。彼が銀竜一族を名乗らなかった理由と、エリーゼを賞賛した理由は同じなのだ。
「……褒美に、これをやろう」
ふと思いついたように、ヴィーカさんは外套の内側から一本の剣を取り出し、エリーゼへと手渡した。
それは精緻な拵えの鞘に納まった小剣だった。目測だが、刃渡りは長めの短剣といったところで、鞘の大きさからして剣幅も狭そうだ。
特筆すべきは、その剣が放つ独特の雰囲気だった。どこをどう見ても、それは深域武装だったのである。
「お祖父様、これは……?」
「褒美だ」
「いえ、そうではなく……」
「むぅ……」
困惑したようなエリーゼの問いに、ヴィーカさんは一度唸ったきり答えなかった。
そのまま、何事もなかったかのように立ち上がる。続いて、俺達も立ち上がった。
今度こそ去るのだろう。
「……我に鱗はなかった。故に、折れぬ翼を求めた」
身長差の関係で、ヴィーカさんはエリーゼを見下ろしていた。
しかし、小さな同族を見下ろす瞳には、軽侮や哀れみの情は見受けられなかった。
「……分かったな?」
「お祖父様……」
祖父の言葉を聞いた孫娘は、初めてのプレゼントを胸に抱き、ふんわりと柔らかな笑顔を浮かべてみせた。
「一言、少ないですわ……」
「……むぅ」
不機嫌そうに見える、困ったような表情。
やがて、銀竜剣豪は僅かに口の端を歪めた。
「ジュスティーヌの奴にも言われたな……」
それから、今度は俺と目を合わせた。
沈黙。この頃には、俺も俺で緊張は解れていた。
「……旅に出るといい」
唐突な提言に、俺は内心首を傾げた。
それに気づいたのか否か、一度黙った彼は付け足すように言葉を継いだ。
「……長命の心は、酷く脆い。今の貴様のままでいたいのなら、貴様自身の心をこそ至上の宝として扱え」
どうやら、俺が純淫魔契約者である事は見抜いているらしい。もしくは王子から聞いたのか。
それは置いといて、彼の言う事は尤もなように思えた。何度も意識しているのだが、千年以上生きた不老不死の当事者から言われると重みが違う。
大人になる事だけが成長ではない。俺は彼の言葉を心に留め置いた。
「金言、感謝致します」
「……やはり、アレクとは似ても似つかぬ。奴はもっと愚かだった」
言って、彼は踵を返して歩き出した。
歩きつつ、その背中から一対の翼が生えてきた。それはパブリック・イメージ・ドラゴンの翼というより、幾本もの剣を束ねたような鋭利で金属質な翼だった。
ふと、癖になってる戦闘思考が過る。もしかしてその翼、近接格闘用の武器なんじゃ……?
「お祖父様……」
小さな孫娘の呟きに、祖父は肩越しに振り返った。
そして、やや視線を外しながら、云った。
「……子が出来たら呼べ」
言うが早いか、翼を広げた銀竜剣豪は、凄まじい勢いで飛び立って行った。その言葉を、俺は彼からの激励として受け取った。言われるまでもなく、そのつもりである。
あっと言う間に、英雄の影が見えなくなった。確実にラザニアより速い飛行。銀細工じゃなきゃ見逃しちゃうね。
「ほわぁ……! ボク、感動し過ぎて今の気持ちを表す言葉が見つかりません!」
「てか、どうやって呼べばいいんスかね……?」
「不死の人ってそういうトコあるんじゃよ」
剣を抱いたエリーゼは、彼が飛んで行った方向を眺めていた。
世界を救った英雄と、一族に迫害された奴隷。不思議な程に、その間に心の隔たりはなかったように思える時間だった。
「お祖父様、最後に少し感情が漏れていたわ……」
魔力感覚に鋭敏なエリーゼは、魔力に混じった感情を感じ取る事ができる。
フードを被っていた時は分からなかったようだが、外した事で見えるようになったのだろう。
「どんな?」
訊いてみると、彼女は少し唸ってから……。
「ふふっ、秘密……」
そう言って、茶目っ気たっぷりにウィンクしてみせた。
普段彼女がしないような、カワイイ全振りの仕草である。当然、俺のハートは撃ち抜かれた。
真の銀竜。そう、尊敬する英雄から称されたエリーゼは、いっそう自信に満ちた笑みを浮かべていた。
何にせよ、彼女に祝福があって良かったと、心から思える。
〇
第三王子からの初依頼は、移動時間を除けば一刻未満の短期間で終了した。
むしろ、後始末の方が時間かかったまである。
火の始末をして、ついでに積み上がったゴミを回収。キャンプでもバーベキューでも、その場にゴミを残す奴は極刑に値するからな。
それから、俺達は再度ラザニアの引く空戦車に乗って王都に戻った。
結局、転移神殿に着く頃には、空はすっかり暗くなっていた。
「よろしくお願いします」
「あいよ、確かに。これが報酬な」
で、いつもの受付おじさんに予め渡されていた依頼達成証を渡し、これにてお仕事完了である。
あまり健全でないお仕事だったが、まぁ仕方ない。一応、位階相応の依頼料は出ているのだが、内容が内容なだけに何となく後ろめたい気持ちになる。
「ん?」
さて帰ろうかと出口に向かったところで、酒場スペースの方に顔見知りの冒険者達を発見した。
武闘家、剣士、魔法使いの羊人少女一党である。彼女等の身体には少なくない傷が刻まれていた。如何にも迷宮帰りといった風体だが、その表情は晴れやかで、テンション高く酒を注文している。よく見ると、その胸には真新しい鋼鉄札が下げられていた。
「ようクソガキ共、とうとうここまで生き残ったか。おじさん、賭けに負けちまったぜ」
「カリッセさん、昇格おめでとうございます。もし、前衛をお求めの時がありましたら、気軽にお声かけくださいね」
「一杯だけなら奢ってやるよ! おーい、お姉さ~ん! こいつらに一番キツい火酒おなしゃーす!」
彼女達はそのまま宴会をおっ始めるようだった。
力を認められたのか、そこにラフィさんやリカルトさん、それからニーナさんといった銀細工達が集まって軽く賛辞など贈っている。
「皆さん、昇格おめでとうございます」
「あ、イシグロさん! はい! 今日、目標にしてた迷宮を踏破して、それで認められたんです!」
彼女等とは顔見知りなので、一応俺もお祝いする。
この子達、冒険者にしては真っ当な人格してるというか、今に至るまで全然擦れてないんだよな。
なんか、直接応援したくなる気持ちが芽生えてきたゾ。
「昇格祝いに、よろしければどうぞ」
「いやぁ! どうもありが……うぇえッ!?」
なので、ヴィーカさんに渡し損ねた高級酒の一つをプレゼントする事にした。
他にもいっぱい買ったのだが、結局酒一本しか使わなかったな。ぶっちゃけ準備に費やした分だけで赤字である。
「こ、これ今日の稼ぎより高ぇんですが……いいんですか?」
「で、でもくれたモンだし、三等分で……」
「バカ! 先にお礼でしょ! ありがとうございます! イシグロさん!」
「いえ」
言って、俺はニーナさんやラフィさんといった冒険者とも軽く挨拶を交わした後、さっさとその場を立ち去る事にした。
そういえば、最近ニーナさんと模擬戦やってないな。キリの良いとこまでレベリングしたら、こっちからお願いしてみようかしら。
「なんかご主人があーゆー事すんの珍しいッスね」
「自覚あるけど、俺けっこう利己的だからなぁ」
「でも、なんだか嬉しそうですよ」
「良い事すると気分ええじゃろ」
「弱者への施しは強者の特権よ。存分に味わいなさい」
「そうかな、そうかも……」
王都の夜を歩きながら、今日あった事を思い返す。
銀竜剣豪との戦いに、英雄とのお食事。それから、彼とエリーゼの再会。
「旅か……」
銀竜剣豪の言う、長命種の心得。
俺自身の心を大事にすべきというのは、確かにその通りだと思った。
今はゴタついているが、一段落したら異世界をフラフラするのもありかもしれない。
そうでなくとも、新しいモノや興味の湧いたモノには物怖じせずにチャレンジしてく姿勢は大事だろう。
豊かで安定した生活を目指しつつ、努めて程よい刺激を求める。
どちらに偏り過ぎるのではなく、両方を楽しんで生きるのがベターと言えるか。
「おや?」
ぐぅ~、と。
その時、すぐ近くで腹の虫の鳴き声が聞こえた。
例によって例の如く、その音源はグーラだった。彼女の顔はほんのり赤くなっていた。
「お腹が空きました……」
「緊張し過ぎてロクに食ってなかったッスもんね、グーラ」
「言うて、夕飯は何の用意もしとらんから時間かかるのじゃ」
「今日は外食しましょう」
「そうだな。じゃ、せっかくだし行った事ない店にしようか」
とりあえず、一歩。
俺は、新しい未知へと歩き出したのだった。
心を豊かにする為に。
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作者のやる気に繋がります。
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蛇足な補足しておくと、ヴィーカは古代の人なので異世界人の中でもシビア寄りの価値観を持ってたりします。
あと、竜族は基本不老不死なのでヴィーカの見てくれは20代くらいです。