【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚 作:いらえ丸
誤字報告もありがとうございます。助かってます。
チュートリアル終了って感じですね。
別に何がどうって話じゃないですが。
銀細工持ち冒険者・石黒力隆はロリコンである。
俺が転移したのはダンジョンを擁する異世界の王国である。
ロリ奴隷ハーレムを築く為、黒剣のリキタカはダンジョンへ挑むのだ。
例の事件の後。
おじさんに断りを入れ、急いで神殿内のトイレに駆け込みいそいそとお着換えをした俺は、赤面しそうになる顔を制御しつつ再度受付の前に立つのであった。
心なしか、おじさんからの視線が温い気がする。気のせいだと思いたい。今の俺は出撃前の革鎧スタイルなので、何も恥ずかしいところはない。リリィも鎌担いでないし。大丈夫なはずだ。
「えー、あの、換金したいんですけど……」
いつもの換金ルーティンも、いつもみたいにスムーズにはできなかった。
未だ周囲の人らの視線が熱いし鋭い。リリィはこういうのに強いのか興味がないのか、相変わらず周囲をキョロキョロして注意力散漫といった感じ。これでパドック出たら確実に評価下がるだろうな。
「おう」
了解を得たので、アイテムボックスからドロップアイテムを出していく。
今回のは量が多いので、あらかじめサンタさんめいた袋に入れているのだ。パンパンニナッタソレを、一つ二つ三つと机の上に置いていく。
「ずいぶん多いな。おい、空いてる奴ちょっと手伝ってくれ」
「か、かしこまりました!」
おじさんからの応援要請に、後ろで見ていた若い職員が駆けつけサンタプレゼントを受付奥の換金台へと運んでいった。
基本、ダンジョン産のアイテムはお馴染み換金天秤に掛けて換金するのだが、巨像迷宮から排出されるのは全てダンジョン外からも出る鉱石なのである。仕様上、外で掘れる鉱石だと天秤が機能しないのだ。
「あと、これとこれとこれと……」
「どんだけあんだよ」
机いっぱいにサンタ袋を並べ、運んでもらう。
なくなると同時、さらに第二陣のサンタ袋を置いていく。
ただでさえ天秤を使わない人力換金は時間がかかるのに、この量だと相当だろう。その点でも巨像迷宮はクソだ。
ギルド名物・天秤型換金魔道具。
正式名称を“
前述の通り、この天秤はダンジョン産アイテムの金額を査定してくれる便利魔道具だ。
使い方は単純。片側の皿にドロップアイテムを載せると、その内包魔力量に応じて残る片側の皿に魔力的な謎エネルギーが溜まっていき、やがて平行になって査定完了となるのだ。で。計測した魔力量に応じて金額が決まると。
が、実はこれ、金策効率が悪い。物の価値とは時代によりけり。需要が高いアイテムは、天秤が示す金より高く売れる時がままある。そうなると素直に職員さんに渡した方が儲かる訳だが、これはちょっと時間がかかる。その点、天秤はスピーディに査定が終わるので、俺は天秤査定をよく使っていた。いうて、よほどの事がない限りそこまでの差額はないのである。宝秤くんは優秀なのだ。
ちなみに、宝秤の開発者は初代国王のパーティメンバーの一人である例の魔術師さんだ。鍛錬場を作った人と同じだ。
例によって現代の魔術師ではこの天秤は再現不可能らしく、宝秤は王都とかの古い転移神殿にしか設置されてないらしい。
「で、これが最後です」
「おう、重そうだな」
最後に、少し小ぶりなサンタ袋を机にドン。
これはかなり重いので、この場で鑑定してもらう事になった。中身は金ゴーレムのドロップアイテムだ。
「じゃあ俺が鑑定するが、いいか?」
「お願いします」
よろしくお願いして、いつもの番号札を渡される。とはいえ、他冒険者はおじさんのトコにはいないので、最近御無沙汰な緑の1番だ。
「時間かかりそうだし、神殿で何か食べよっか」
「はいッス!」
天秤だとすぐだが人がやる換金は時間がかかる。その間、暇を潰す必要があるのだ。
前世だとそのへんで適当にスマホでも弄ってりゃなんとでもできるのだが、異世界でそれはできない。なので何処かで軽食でも食おうとなるのである。
さて、何処行こうかな……と思ったら。
「うお!?」
背後に低声。振り向くと、それはおじさんが袋の中身を見て上げた声であるらしかった。
俺だけでなく、他の人らもおじさんに目がいったようである。今度は地味なおじさんが注目を浴びる番だ。
「お、おうイシグロ! すまんがちょっと来てくれ!」
「はあ」
言われた通り向かうと、おじさんは袋の中の石――金ゴーレムが吐き出した色んな石――を机上の鑑定台に数個並べていた。
「悪いな。確認するが、お前が行ったのは巨像迷宮で合ってるよな?」
「はい」
「調べによると、あそこで取れるのは普通の鉱石のはずなんだが……」
「そう聞いています」
金ゴーレム産の石、そのうちのひとつを手に取って、おじさんは言った。
「えっとな……俺の目利きに間違いがなけりゃ、これは
その後も、おじさんは袋の中のアイテムを出しては名前を言って、出しては名前を言ってを繰り返した。
俺とルクスリリアは、「おじさんすげー」みたいなアホ面でそれを眺めていた。
実際、コンソールのアシストもなくスラスラ石の名前が出るのは何気に凄いと思うのだ。まさにプロの業である。
「で、これが最後か。これもさっき言った、
「凄いですね」
「凄いッス!」
「お、おう……? いや、それはいいんだが」
コトンと、銀の玉をテーブルに置いたおじさんは、神妙な顔で言った。
「悪いが、こいつらは換金できねぇ」
「え?」
固まる俺に、おじさんは続けた。
「前例がねぇんだ。巨像迷宮だけじゃねぇ、他の石系ダンジョンからもこういう希少金属は出た事がねぇんだ。だから、もし換金したいんならギルドと鍛冶組合と石商連のお偉方が会議した後じゃねぇと。あと、すぐ決まる保証もねぇな」
「はあ、そうなんですか」
まあ、なんとなく分かる。
言ってた通り、こういう銀玉とかは鉄や鋼同様に地上で手に入るモノではあるんだろう。けど、その名の通り希少な金属であり、そう数のあるもんじゃないと。
そうなると、値段をつけるのは慎重にならないといけない訳だ。それも、ドロップの前例がないのなら尚の事。各方面と協議して色んなルールやらなにやらを作る必要があるんだろう、知らんけど。
「えーっと、だな。それでなんだ、多分……いや恐らく、間違いなくこの中の一個はしばらくギルドで預かる事になると思う。さっき言った通り会議しなきゃいけねぇからな。実物がいるんだ。それは了承してくれ、必ず返す」
「それはいいですけど」
「あんがとよ。で、これまたさっき言った通り、これらは今すぐは換金できねぇ。あと、この石とかはできれば銀行に預けてくれ」
「はあ」
なんか面倒臭い事になってきたぞ。
こういう身体を重くするモノを持ち歩くのは嫌なんだが。
しかも何やら大事になってるし、周囲の視線……今度は職員連合様方からの視線が強くなってる気がする。
仕方ないので不承不承キラキラ石をアイテムボックスにしまっていると、おじさんは気まずそうな声音で言った。
「一応、それを武器屋に持ってけば普通に買うよりゃ安く済む。言えば自分好みの武器を作ってもらえるぞ」
「え? そうなんですか?」
初耳である。なんだそのモンハンシステム。俄然興味湧きますね。
俺はさっさと石をしまうと、おじさんの武器屋チュートリアルに聞き入った。
「あぁ。希少金属じゃあまり例のない話だが、他のダンジョンアイテムではよくされてる事だぞ。ほら、そのお嬢ちゃんの鎧とかも」
「ん? これッスか?」
おじさんが示したのは、ルクスリリアが着ているピクシーめいた革鎧だ。
確かにそうだ。この鎧は如何にも魔物っぽい奴の革で作られていて、ダンジョン外の動物の革で作られてるとは思えない強度と性能をしているのだ。
「だから、石の出所さえ保証されてれば、武器屋に持ってって良いモン作ってもらえると思うぜ。普通なら素材集めに時間食われるとこだが、実物持ってくんだから作成もすぐだ」
「ほえー」
なんとまあ、ビックリ情報であった。
つまり、俺はこれまでずっとモンハン鍛冶屋縛りをやってた訳だ。店売りの鉄系武器しか使っておらず、アーティラートや大砲モロコシやヴァイスorヴァーチやナルカミや天上天下天地無双刀の入手法を知らなかったのだ。
なんだそのマゾ縛りは。モンハンの楽しいところ抜きまくりじゃん。
「なるほど、お教え頂きありがとうございます」
「おう? まあ、ずっと知ってるもんだと思ってたからな……」
普通に知らない事である。
俺はこれまで、手に入れたドロップアイテムはあんまり考えず天秤に任せてたからな。加えて街での情報収集も奴隷の事ばっかだったから、そういうの全然なのである。モンスター素材にそんな使い道があるなら早めに教えてほしかったものである。
いや、今知ったのは逆に良かったかもしれない。多分、あのタイミングで奴隷商館行かなかったらルクスリリアに会えなかっただろうし、おじさんは運命のおじさんだ。
「何処かオススメのお店とかありますか?」
「ん? あぁいや、職員からはオススメできねぇんだわ。だが紹介状は書いてやるよ」
さて、希少金属を換金するにしろしないにしろ、他鉱石は全換金のつもりなのでいずれにせよ待つ必要がある。
なので、俺とルクスリリアはダンジョン踏破後もしばらく神殿で暇を潰すのであった。
〇
「ぬわーん! 疲れたッスもぉん!」
結局、宿屋に戻った頃には夜になっていた。
あの後、鑑定終わったとかで受付に行くと、何やらギルドの人に呼び出されて応接室的なところに連れて行かれていくつか質問をされたのだ。
この石をドロップしたのはどんな奴だった? とか。そのゴーレムはどんくらい強かった? とか、それはもう根掘り葉掘り。
根掘り葉掘りって言うけどよーという気持ちになりつつ受け答えしていると、今度はギルドの偉い人が来て再度説明をさせられる事になり、かと思えばゴーレムはどうやって倒したとかの突っ込んだ話になった。
「普通に一人で倒しました」
「嘘は……ついてないようですね」
しかもその部屋には嘘発見魔道具を持ち込まれていたので、やましい所はなくとも全然落ち着かないでやんの。こちとらダンジョン後で疲れとるんじゃい。
そうこうしていると時間は過ぎ、そのうちルクスリリアも立ったまま船を漕ぎ始めた。で、流石にもうOKとなって返されたのだが、神殿を出るとすっかり夜だ。
神殿前広場で呑んでる冒険者たちは元気だが、普段の俺ならおねむの時間だった。
帰り道、さんざんギルドへの文句を垂れ流しながら宿屋に着くと、さっさと風呂入ってベッドにインである。
「ダンジョンというか、偉い人との話で疲れたよ」
「ご主人も緊張とかするんスねー」
「そりゃあ……」
疲れた。ダンジョン潜るより疲れた。
主に心がお疲れなので、癒やしを求めてベッドの上でルクスリリアを抱き枕にする。
すっぽり収まる小さな身体は、俺の心身を癒やしてくれるのだ
「明日は休みにしよう」
「そうッスね~、……ん? 明日“は”……?」
リリィのレベリング。召喚獣との出会い。ハイジのアレ。ダンジョンでは色んな事があった。
なにより金ゴーレムの存在を知れたので、楽しみのない巨像迷宮も楽しくなってきたところだったが、ついさっきの事で少し間を空けたくなってしまった。
せっかくの脳汁ドバー状態に冷や水ぶっかけられた気分である。そういえば、前も巨像迷宮踏破後に冷や水かけられたな……。
あー、うん、これ以上考えないようにしよう。
「リリィは可愛いなぁ」
「わ、ちょっとご主人! 急に尻尾握らないでほしいッス!」
「ごめんごめん」
それより、突如知らされたモンハン鍛冶案件である。
曰く、素材を持っていけば武器屋で安く良いオーダーメイド武器を作ってくれるらしいのだ。
そんなん、いちハンターとしては使わざるを得ない。
願わくば、自動修復付きかとても頑丈な剣が欲しい。
あるいは、もっと堅くて動きやすい鎧でもいいだろう。
RPGでお馴染みの指輪とか首飾りとかのアクセ系とかもいいかもしれない。あ、だから指輪とかしてる冒険者多かったのか。
ワクワクが止まらないな。
思えば、今俺が思い浮かべたようなモノは店に陳列されてなかったように思う。良いモンは完全受注生産なのかもしれない。
リリィの鎧もオーダーメイドの奴らしいし、そろそろ俺もオーダーメイド武具に目を向けるべきだな。
「きひひっ♡ どこ触ってんスかご主人♡」
ベッドの上、二人して動くでもなく身体をまさぐり合う。
お互い疲れてるので、激しい運動は抜きだ。
たまにはこういうのもいいだろう。
「ご主人♡ お返しッス♡」
俺が異世界に来て、だいたい三ヵ月と少し。
戦って金稼いで、貯金して情報集めて、そんでリリィを購入する事ができた。
当初、俺はロリ奴隷はフェラーリかロールスロイスだと思っていた。けど、違ったのだ。
夢の為、ロリハーレムの為の貯金はまだまだある。今にして思うと、もうそんなに急いで金策しなくていいのではないか、と思う。
追加購入の為、それなりに蓄えはほしいが、まさか俺の貯金がすっからかんになるレベルの高級奴隷なんてそうはいないだろう。
「あは~♡ ご主人、乳首立ってるッスよ~♡」
それはそれとして、何だかんだダンジョンアタックは楽しいので、続けたい。
ホントにロリ奴隷ハーレムだけ作りたいなら、リリィを置いて一人でダンジョン潜る方が安全だし確実だろう。けど、俺の少年心はリリィと一緒に潜りたいと言っている。幸い、俺の奴隷はそれを了承してくれているし、積極的だ。
好きな女の子と冒険なんて、全男が憧れるシチュだろう。
「は~い御開帳~♡ あは~♡」
なら、せめて武器や防具くらい良いモノを揃えるべきだろう。危険を冒すのが冒険だが、極力危険を冒さないようにするのも冒険だ。
ケチって金策せず、使って金策して、ダンジョンで楽しく遊ぼう。
いや、ダンジョンだけじゃない。
ダンジョンで食べたハイジのアレ。淫魔王国のチーズはとても美味しかった。異世界飯にも興味出てきた。
あと王都の観光もしてみたい。俺は西区しか行ってないから、他の区や王都以外も気になる。
大衆浴場も入ってみたいな。パッと見、西区で一番の銭湯は転移神殿に勝るとも劣らぬ大きさだったのだ。スーパー銭湯は好きなので、異世界銭湯にも興味がある。
やってみたい事が多いな。
「明日、武器屋見に行こうか」
「了解ッス~♡ じゃ、さっそく♡ いっただっきま~す♡ ん~、ちゅっ♡」
そんな訳で、ルクスリリアとの初めてのダンジョンアタックは完了した。
宿に帰るまでがハクスラである。
あと、結局このあとめちゃくちゃ吸精された。
きもちよかった、まる。
感想投げてくれると喜びます。
タイトルにハクスラとありますが、実際はハクスラ以外も結構やる感じですね。