【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚 作:いらえ丸
誤字報告ありがとうございます。感謝感謝!
キャラ・ボスのご応募もありがとうございます。
アンケートのご協力、ありがとうございました。
参考にさせて頂きます。
今回もあります。
調査ではなく、分岐ですね。
よろしくお願いさしすせそ。
「ん、わたし天才だった……?」
午前いっぱいを掃除に使って、現在はいつもの鍛錬場。
コロッセオ風広場の真ん中で、レノは剣身に映る自分を見てジュスティーヌさん仕込みのドヤ顔を浮かべていた。
とりあえず、モーションアシストはちゃんと付与されてると……。
「他のチートも見てみようか。ルクスリリア、よろしく」
「あいッス!」
どういう理屈か知らないが、俺の一党に加わった人はモーションアシストを含めた複数のチートが共有される仕様なのだ。幸い、レノも例外ではなかったようでひと安心である。
モーションアシスト以外のチートも検証が必要だろう。それらはルクスリリアに任せて、俺はその間にレノのステータスを見る事にした。
◆レノ◆
天使:レベル1
天翼戦士:レベル3
天使権能1:
天使権能2:
天使権能3:
天使権能4:
能動スキル:透視眼
能動スキル:音源探知
生命:88
魔力:79
膂力:10
技量:12
敏捷:48
頑強:14
知力:55
魔攻:19
魔防:20
ん? あれ? 思ってたんと違う。
何というか、エリーゼほどじゃないにしろ随分と極端なステータスである。
まず、この異様に高いHP・MPに、物魔の豆腐っぷり。そして初期イリハより貧弱な筋技は何事か。
敏捷と知力が高いのはイメージ通りだが、あの一撃必殺ギロチンとか異常火力弾幕を撃ってきてその魔攻の低さは予想外である。
いや、今一度確認してみると、驚いた事にレノのジョブは中位どころか初期職だった。ならこのステはむしろ高い方なのかもしれない。実際、転移直後の俺よりは強い訳だし。
にしても、なんでレベルもステも低いんだ? あまつさえ種族レベルまで。
見せられた記憶によると、これまでレノは数え切れないほど魔導人機に乗って戦ってきたはずだ。迷宮外の魔物は獲得経験値が渋いのは知ってるが、それでも少しくらいレベルアップするもんじゃないか?
忌まわしい記憶だが、そうでなくとも実験体の処理もさせられてきた訳だし。あの子達に経験値が詰まってなかったと考えるべきか。いずれにせよ腹の煮える話だが。
「ん~? なんか動き鈍くないッスか? 前戦った時はもっとビュンビュン動いてたッスよね」
「や、羽で飛ぶの久しぶりだから……」
「貴女、ずっと魔導人機に乗ってたというものね」
あるいは、魔導人機には搭乗時に経験値を獲得できなくなるみたいな仕様があったのかもしれない。
凄く強い代わりに重いデメリットがある武器やアイテムってのは、前世やったゲームで覚えがあり過ぎる。逃げられなくなる足装備許してねぇからな。
まぁ、ステに関してはいいだろう。それこそ迷宮でレベルアップすればいいだけだ。思ってたよりは強くなかっただけで、強い部分は超強いのだ。
「他のアシストも大丈夫っぽいな。身体の具合はどう?」
「不思議な感じ。思った通りに動く……」
「グーラの同類かのぅ?」
「え? ボクの何ですか?」
天使権能は一通り揃っている。念力とか発火とか色々と……。
ん? あ、いや、一つ足りない。夢魔に被せてたバケツを引き寄せたあの権能が入ってないやん。
記憶を見たので知っているのだが、とりあえず一つずつ確認していこう。
「じゃあ、次は権能使ってみて」
「ん、わかった。【
権能を使ってみるよう指示すると、ピッと立てられたロリ指の先にロウソク大の火が灯った。超自然発火能力――
これは下位天使でも使える権能で、文字通り念じて火を起こす事ができるのだ。グーラの炎がメラメラなら、こっちはユラユラといった感じ。何というか、暖炉とか囲炉裏を想起させる優しい火である。
この炎で攻撃する場合、武器や身体にエンチャしたりそのまま発射したりして使うらしい。ただ、火力はさほど高くない模様。
検証の結果、同属性に付帯される状態異常やグーラの炎のような膂力アップの効果はなかった。エンチャや投射の際に籠めるリソースによる与ダメの増減はあるが、レノの炎は単なる炎属性判定であった。
『あとはこれ……聞こえる?』
「こいつ直接脳内に……!?」
「そういう権能だからよ」
「なんか、うちの女王陛下のやつとは、ちょっと感じが違うッスね」
「むむむ……!」
「同じの使えないと、こっちに返事は届かないよ……?」
「でもこれ、戦術の幅が広がりますよ! 離れてても繋がるなら、すぐに応援を呼べます!」
続いて、念話の確認。
どうやら、同じ念話持ちじゃないと送受信はできないようで、レノから俺達への一方的なラジオ放送になってしまうようだった。
それでも、グーラの言う通りいざという時の連絡手段としてはかなり優秀である。あー、だから天使族は戦争強かったのか。
「見て、これ二番目に得意……」
言いながら、念力を使ってナイフジャグリングをするレノ。
イメージ的には、見えない手を使ってる感じだろうか。それにしても器用なものだ。
ていうか、どこぞの新人類の能力を思い出すな。実際には腕以外の形で使う事もできるんだろうが。夢魔と戦ってた時も竜巻みたいなん起こしてたし。色々と悪さのできそうな権能である。
「転移もできる。けど……」
パッパッパッと、レノはその場で何度かテレポートした。
しかし、なんだろう。違和感がある。俺と戦ってた時よりスムーズじゃないというか。以前はノータイムで転移してたのに、今はワンクッション挟んでるような。
「他にも使えたんだけど、奪われちゃった」
「あー、なるほど」
どうやら、引き寄せ能力やその他の権能はパレエスによって奪われてしまったらしい。
その影響で、念炎の火力や通話可能距離など全体的に出力も減ってしまったと。
なるほど、だいたい分かった。
炎エンチャ。無線通信。見えざる手。テレポート。
例え出力が低かろうと、どれも強力な手札であるのには違いない。それに、レベルアップで戻る可能性も無くはないだろう。
と、天使の攻撃手段といえば、権能の他にもう一つあるんだった。
そっちも調べておかないとな。
「じゃあ、次は光力っての使ってみて」
「ん、こんな感じ……?」
お席にどうぞの手の上に、水晶玉サイズの光が生成される。色は黄金というか白金というかで、どことなく電球を思わせる。
魔法やスキルで消費する不可視のエネルギーである魔力と異なり、光力はただ放出するだけで攻撃力や防御力が発生する便利パワーだ。また、これまた光力は聖属性魔法とは別物である。しかし、イリハに曰く光力は聖属性と同じく“陽の氣”に属しているそうな。ややこしい。
あと、権能の発動には光力を消費するらしい。単なるリソースとしても使われるのだ。
「見て、これ一番得意……」
「おぉ、かっけぇ」
光力の使い方は多岐にわたる。シンプルに飛び道具として発射したり、剣とか槍にして振り回したり、盾状にして防御に使ったり。
さすが楽園首席のレノだけあり、光力の扱いは実に見事だった。念力同様、光の力を手足のように使えている。
光力を振るってるレノの状態を確認すると、どうやら光力には独立したゲージがあるようで、消耗した分はMPを消費して回復してるっぽい。また、光力は一気に使いすぎると最大値が減るようで、最終的にはカツカツになってしまう仕様だった。
ただの思いつきだが、天使が日光浴をするのはMP消費なく光力を回復する為な気がする。これも検証しないとな。
「すげぇのはそうッスけど、もっとバーッて撃ってなかったッスか? その光」
「あれは魔導人機の性能。極天は権能とか光力を強化してくれる。素のわたしはこの程度……」
「魔導人機が使えない時は何を使ってたんですか?」
「生身で戦った経験は無い。だから武術の方は全然ダメ……」
「残念ながらウチに魔導人機は無いからな。色々試してみよう。とりあえず、これ使ってみて」
「ん、わかった」
ともかく、これからは生身の戦闘に慣れてもらわないといけない。
現在の彼女のジョブは“天翼戦士”という器用貧乏初期ジョブだ。剣は試してもらったので、お次は飛行可能種族が好む長柄武器を試してもらう。
槍を持ったレノは、アシスト任せの空中刺突動作をしてみせた。押して引く、押して引く。繰り返す度、その動きは徐々に洗練されていった。
「じゃあ、次は弓使ってみて」
「これどうやって使うの?」
「持てば分かるよ」
「ん、ほんとだ」
翼を広げて飛び上がり、ホバリングして矢を放つ。なんと、全矢命中だ。
他にも、鏃に火を纏わせたり、矢を番えず光矢を放つ事もできるっぽい。光力をエンチャする事で、矢の攻撃力が強化されるようだ。
「じゃあ、この杖使ってみて」
「ん、これは握った事ある」
続いて普遍的な魔法触媒を持たせると、レノは慣れたように光力技を行使した。
テニスのサーブみたいに光弾を撃ったり、新体操のリボンみたいに振り回してみたり。
なるほど、触媒があると光力の出力が上がるのか。
「綺麗に飛んでいます。ぎこちなさが無くなってきましたね」
「ルクスリリアの飛び方とは違うのじゃ」
「そのへんの翼人とも違うッスよね。どことなく天狗族に似てるッスか」
「翼の周りに魔力が観えないわ。魔力を使って飛んでいる訳ではないのね」
しばらく観察して気づいたのだが、レノの飛び方には他の有翼種族にはない特徴があった。
鳥人みたいに風に乗る感じでもなければ、魔力飛行のように無重力移動してる訳でもない。イリハみたいに推力で飛んでるのでもなくて、俺やグーラみたいに空中で走ってもいない。
フワフワ且つスイスイしてるんだよな、アレを何と言えばいいのか……。
「あっ、滑ってるのか」
そう、ソレだ。厳密に言うと違うのだが、レノは空中でスケートをするように飛行しているのだ。
加えて身体の向きを変えずに動けるので、弓を射る時も射撃姿勢を維持しながら移動できる。構えによる硬直がないのだ。
こいつぁすげぇアドだぜ。どーりで天使族が空の支配者やってた訳だ。
「回復魔法はどんな感じ?」
「ん、こう」
「あら、無詠唱じゃない」
飛行が終わったところで、治癒魔術を使ってもらう。すると、彼女は何の詠唱も無く治癒をかけてくれた。
その効果は流石にエリーゼのチートヒールほどではないっぽいのだが、燃費が極めて良いらしく殆ど魔力を消耗していなかった。
「えーっと、魔眼とかも使ってみてほしいんだけど……」
「ん、わかった」
猫又に付けられたという機能を使うよう促すと、レノは何の逡巡もなく起動してみせた。
外科手術によって強制的に付けられた追加機能。それは透視と地獄耳であり、使うと疲れるらしいので普段はオフにしているそうだ。前者は相手の脆弱箇所の視認と透視を応用した先読みが出来るようになり、後者は壁越しの探知ができるようになる。
「ちな、聖水ってどんな感じ?」
「戦闘には使えないけど……」
一応、天使族の基本能力である聖水も試してもらった。
指先からちょろちょろとコップに注がれたレノ・ウォーターは、パッと見普通の水と変わらなかった。曰く、もっと光力を籠めると少し輝くらしい。
「陽の水氣が入っておるな。身体には良さそうじゃ」
「飲んでみていい?」
「ん、いいよ」
「アタシも飲みたいッス!」
「ぼ、ボクもいいですか?」
「特に味は無いと思うわよ……?」
了解を得て、一口飲んでみる。
まろやかな舌触りに、純粋なるロリの風味。ていうかコレ、この世界では珍しい軟水だ。味はともかく、なんか懐かしい感覚がした。あと、どことなく落ち着く。聖水風呂と同じで精神を癒やす効果があるのかもしれない。
「水撒きとかするんに便利そうじゃの」
「できると思う……こんな感じ?」
「便利ですね。農村に一人いたらとても重宝されますよ」
「実際、聖輪郷の畑には聖水を使ってるらしいわね」
「だから聖輪郷の野菜って美味いんスかね」
ロリ達がお喋りしてる間、俺はレノの育成方針について沈思黙考していた。
ノリで決めてはいけない。真剣に考えねば……。
まず最初に、現状判明しているレノの性能をまとめてみよう。
ステータスは魔導士タイプ。種族特性由来の再生能力があり、HPの値も高いが、物魔の脆さがあるので数値ほどタフではない。
天使特有の飛行能力を持っている為、攻撃姿勢中も移動可能。
彼女の扱う光力は近・中・遠すべてに対応可能であり、レノ自身その扱いには一家言ある。
使える権能は炎とラジオとサイコキネシス。あと短距離テレポート。それぞれ、魔導人機に乗っていた時よりも出力が落ちているらしい。
回復魔術は得意だが、エリーゼほどの効果は発揮できない。
視覚と聴覚による特殊な感知能力はあるが、どちらもパッシブではない。
アシスト込みとはいえ、近接武器の扱いは普通に上手い。弓矢や光力による遠隔攻撃はかなりの命中精度。
おまけに飲料水も出せる。
「う~む」
思考を深めるべく、脳内にある天使の情報を掘り起こす。
天使族は平均戦闘力ランキング第三位の強種族だ。飛べてタフな特殊能力持ち、そりゃ強ぇでしょ。
そんな天使だが、天使族が扱う戦法には昔から一定の型があるそうだ。
最も数が多いのは、回復が出来る戦士。界隈でパラディンとかテンプラーとか言われる型だ。
この型で一番オーソドックスな武器は槍とかハルバード的な長柄武器で、飛行しながら突撃とか色々やるらしい。
これは権能の少ない下位や中位階級の天使に多い。言葉を選ばず言うと、後ろを守る肉壁である。
もう一つに、弓を使うアーチャータイプがある。
前衛天使の後ろから弓を射かける型で、光力を籠めた矢を撃ちまくる引き撃ち塩試合メーカーだ。
巡航飛行もホバリングも一撃離脱もできる爆撃機兼戦闘機兼近接航空支援機とか、そんなんどう考えてもズルい。
最後に、杖持ち型。戦争では部隊の最後列に陣取り、戦士型と弓型を援護していたそうな。
治癒に指揮に光力による爆撃等、カンスト賢者みたいな働きをしていたらしい。これは強い権能を持ちつつ光力・魔力共に豊富な高位天使に多いそうだ。
その他。普通に魔法を使う型や、治癒に特化した純ヒーラー型。中には肉体強化の権能を使った近距離パワー型なんかもあるらしい。
ちなみに、ジュスティーヌさんは魔法も治癒も近接物理もいける賢者モンク型だったそうな。変態ビルドかな?
閑話休題。
天使族の型を参考にしつつ、レノの育成方針について考えを巡らせる。
最も優先すべきはレノの意向である。故に、俺がするのは提案だ。
レノが望んでいるのは、家族を守る力である。ならば、彼女一人で完結するビルドにすべきだろう。
とはいえ、その過程で迷宮探索をする都合上、我が一党での組み合わせも考慮する必要がある。
一党の情報をまとめると、こうである。
ルクスリリアは飛行の物魔遊撃型。ボスのヘイト管理や、ザコ狩りなんかをしてもらっている。最近は俺へのバフも。
エリーゼは地上の魔法後衛型。魔法・回復・
グーラは地上の近接物理型。アホみたいなパワーとバカみたいなスピードを持つ大した天才アタッカーで、最近は鎖や飛ぶ斬撃で中距離にも適応した。
イリハは地上の物魔後衛型。陰陽術による幅広い属性攻撃に加え、深域武装による強力な支援で一党を支えてくれるオールラウンダーだ。ソリティアしまくったフルチャージ陰陽術はかなりの威力である。
で、頭目の俺は地上も空中も近も遠も可能な謎型だ。基本的には剣士として前に出るが、やろうと思えばタンクも射手も可能である。
改めて見ると、割とバランスの良い一党ではあると思う。
足りない役割で言うと斥候だが、それこそレノの意向に反するだろう。迷宮探索には合ってるかもしれないが、家族を守れる強さは得られない。
専属タンクも欲しいところだが、レノが盾持つのはなぁって感じだ。彼女の特性を潰してる気がする。どだいこの異世界のタンクは不遇な訳で。
「う~ん……」
ここはもう、奇をてらわず天使の型に当てはめちゃっていい気がする。
近接武器を持ったパラディンスタイル。利点は基本的に腐らない事。欠点はステータスの関係で脆い上に火力も出せない事。純粋に強くなれるので、彼女の意向には合ってるか。
弓を持った射手スタイル。利点は彼女の特性の多くを発揮しつつ、一党全体の援護ができる事。欠点は種族柄力と技のステータスが伸びにくいので、火力を出せる大弓が持てない事。そもそもロリだし、仕方ないね。
杖を持った賢者スタイル。利点は光力や権能が強化され、エリーゼの負担を減らせる事。欠点は役割がエリーゼとイリハにモロ被りする事。あと、そうなると前衛の負担がデカくなるか。
ぶっちゃけ、この三つなら何でもいい気がする。
あるいは、何か他の独自ビルドを……。
「あれ? 普通に弓じゃね……?」
うん、この中だと弓スタイルが一番いい気がする。
消去法で考えると、まず近接職は厳しいだろう。やっぱ彼女の特性を潰すのは勿体ないお化けが湧いて出る。
後衛の場合、火力にしろ回復にしろ「エリーゼでよくね?」になるし、剣が出来る魔法使いにしても「それイリハじゃん」っていうね。
それなら、後衛寄りの中衛として、前衛寄りの中衛であるルクスリリアを援護してもらう立ち位置がちょうどいい気がする。
何より、彼女の射撃能力とくればどうだ。
狙い撃つぜでワンホールショット。乱れ撃つぜで百発百中。これまで伊達に魔導人機に乗って戦ってきた訳ではないのだ。射撃武器ならお手の物って雰囲気である。あれ? 弓は初めて持ったはずだが……ままええわ。
彼女の特性を活かすなら、単なる射手ではない特殊弓兵にすべきか。回復ができる射手ジョブだってあるのだ。それこそ天使固有ジョブにもそういうのが在って然るべきだろう。
「武器はどうするか……」
弓一つとっても、色んな種類がある。
和弓っぽいのとか、森人が持ってそうなネイチャーボウとか。アーチェリーみたいなのもあるし、滑車付きの弓もある。
残念ながら、どこぞの名探偵天使の弓みたく剣になる弓はないだろうが。鷹の眼兄貴みたいな弓でもいいんだが……。
いや、遠隔武器=弓ってのは頭が固いか。
某運命の弓兵枠を思い出せ。財宝ぶっ放す金ピカとか、電気ビリビリおじさんとか、水鉄砲撃つ鯖だっていたじゃないか。
そうだ、投擲武器は……と思ったけど、この世界のブーメランとかチャクラムはメイン武器には相応しくない性能をしてるんだった。
う~ん、他の遠隔武器といえば、やっぱ……。
「魔導銃的なのがあればな……」
色んな創作作品にたまに出てくるマジカルガン。ジアビスの魔弾女史とか、六課の二丁拳銃ネキとか。魔力を弾丸にして発射する系のアレ。
この世界、火薬はあるのに銃がないんだよな。多分、ああいう複雑な機構の武器だと使い手の能力補正が乗らないから流行らないってのがありそうだけど。それこそ遠距離は弓とか魔法がある訳で。
レノが乗ってた魔導人機にはビームライフル的なのがあったが、アレは何なんだろうか。どのみち壊しちゃったから再現はできないだろうが。そもそも、あのビームライフルは使うと寿命削るらしいし、あっても使わせたくはない。
銃。魔導銃。光力銃か……。
魔力と違い、光力は魔法に変換する必要もなく対象にぶつけるだけでダメージを出せる。例のビームライフルが高火力だったのは、光力を収束させて発射してたからだと思う。
そうなると、武器カテゴリは何になるんだ? 杖か? 弩か? 新武器種か? できるか? 作れるか? 一回相談してみるか? 仮に完成したとして、使い物になるもんか?
いや待て、信頼性も将来性も未知な武器を習熟させるのは、今後のレノの事を考えるとよろしくない気がする。ていうか、仮に光力銃が出来たとして、それが使用できるジョブは何になるんだ? アーチャー? シューター? 専用ジョブ?
いやいや待て、それ以前に光力でしか攻撃できないのは問題だろう。やはり、光や炎が効かない相手用に物理矢が必要になってくるはずだ。
いやいやいや待て、これまでレノは光力ゴリ押しの魔導人機で戦ってきたし、光力メインで戦うのには慣れているはずだ。それに光は実質無属性みたいなもんだし大丈夫でしょ。物理は別途他所から持ってくればいい。いくら弓矢が上手とはいえ、慣れた動きのがいいに違いない。
「弓以外、銃以外、クロスボウは……無いな」
うん、クロスボウは無いわ。この世界のクロスボウはザコが使うクソザコ武器だ。俺的武器ランクは圧巻の最低ランクである。
弩くんの何がダメって、能力補正が乗らないのがダメ。リロードが長いのがダメ。壊れやすいのがダメ。初心者はともかく、今後強くなり続けるであろうレノには相応しくない。
いや俺は好きだけどね。ただこの世界の仕様には合ってないというだけで、ここじゃない異世界なら強武器のはずさ。
「一応、これも使ってみて」
「ん、わかった」
試しに、俺の銃杖を使わせてみる。
渡された銃杖を、レノはマフィアみたいに構えた。銃口を的に向け、光弾を……発射。
「これ、狙いやすいね」
「狙いやすいかぁ」
続けて貫通光弾や拡散光弾や連射光弾などを撃ちまくるレノ。どうやら、銃の形をした杖は射撃し易いようだ。
俺と同じ銃杖か。ガチでビームライフル試してみるか。素直に弓矢ルートに行くか……。
「なんかしっくりくる武器あった?」
「わかんない。マスターが決めて」
「そっかぁ」
責任重大である。
とりあえず、遠隔武器は確定。
選択肢としては、二つ。
信頼性の高い弓。
将来性が不明な銃。
さぁ、どうすべきだ……。
「マスター、悩んでる……?」
「割と楽しんでるッスよ」
「男は武器が好きなのよ。覚えておきなさい」
「ボクの剣もご主人様に考えて頂きました。安心してください、きっと良いものを選んで下さいますよ」
「わしん時はまず道場通いじゃったのぅ」
「ゲルトラウデ師匠、お元気でしょうか」
「師匠……?」
「主様含め、皆が習ってる武術の師匠じゃよ」
「こっちに支部作るとか言ってたッスよね?」
「王都民には合わない気がするのだけれど」
色々試して、うんうん悩んで……。
何も決まらず飯食って風呂入って夜の叡智を集結させて……。
こうして、その日は過ぎていくのであった。
まぁ急いでる訳じゃないし、ぼちぼち考えよう。
勿論、皆と相談しながら。
感想投げてくれると喜びます。
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作者のやる気に繋がります。
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武器の詳細は後に詰めます。
滑車付きとか、二挺持ちとか。
◆ざっくりパラメータ◆
・弓ルート
破壊力D
スピードC
射程距離A
持続力A
精密動作性A
成長性A
・銃ルート
破壊力A
スピードA
射程距離B
持続力D
精密動作性B
成長性A