【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚 作:いらえ丸
誤字報告もありがとうございます。いつも感謝してます。
キャラ・ボスのご応募もありがとうございます。
夏休みの宿題を七月中に終わらせる系の計画性無し男である俺は、ドワルフに言われた銃の参考資料を翌日の午前に提出した。
描いてみたのは、覚えている範囲の実銃の三面図とその構造。それから何かの参考になるかと思って、架空の銃やデバイスも描いておいた。結果的に、その紙の厚みは黄色と黒のスケッチブックよりも厚くなってしまった。
これを参考に、レノ用光力銃を造るというのである。後の事はプロに任せて、こっちは完成を待つのみだ。とても楽しみ。
レノの専用武器はそんな感じだが、防具と装飾品の開発進捗は完成間近であるらしい。
我が一党は厨武器使ってナンボの方針なので、初心者時代から強力な装備で固める所存。当然として、その性能はレノの能力に最適化させている。
「ん、当たるね」
「ビューティフォー……」
ちなみに検証してみた結果、レノは二挺拳銃できるっぽい。
小型クロスボウを買ってみて二つ同時に使わせてみたところ、特にモタつく事なく使いこなしてみせたのだ。
面倒なリロードは念力で。飛んで走って的当てしまくるその姿、さながらデミヤかサバーニャか。
俺も真似してみたけど、これっぽっちも使いこなせなかった。世に言う二挺拳銃のデメリットをフルに体験した気分だ。リロードがね、ダメなんだよ。攻撃力は少なくとも八割減だな、うん。
「もうクロスボウ使うんじゃダメなんスかね?」
「弩を使うなんて考えられないわ。あんなの弓の下位互換じゃない」
「この世界ならではの感覚だよなぁ」
レノの装備とは別に、エリーゼの新しい杖もそろそろ出来上がる予定だ。
一党内で贔屓をしてるつもりはないが、彼女の場合は課金しただけフォームチェンジできるのだ。ならば課金せざるを得ない。多々買わなければ云々で。
あと、俺の新武器も鋭意製作中。
聖輪郷に行くまではステを上げるべく上位職を伸ばしていたが、ここでもう一度初心に戻って何でもできる器用万能を目指そうと思ったのだ。
魔法職を伸ばしたから空戦銃杖スタイルができる訳で、武闘家を伸ばしたから咄嗟の徒手格闘に対応できるのだ。長い目で見た場合、やはりオールラウンダーが強い気がするんだよな、この世界。
だからこそ、まだ育てていないジョブツリーに再度手を付けようって思ったのだ。
「これでようやく六人一党ですね。より連携を密にしましょう」
「なんか、レノにわしの役割取られそうなんじゃけど、気のせいかのぅ?」
「んな事ぁない」
着々と、戦う準備が整っていく。
そういえば、もう一ヵ月以上迷宮に潜ってないんだよな。
魔物を斬り裂く爽快感。レベルアップのエクスタシー。ライフワークのハクスラがだんだん恋しくなってきた。
何て言ってはみたものの、別に中毒になってる訳ではない。仕事でも勉強でも、しばらくやってないと「これでいいのかな?」って不安に似た感情が湧いてくるだろう。多分、それの亜種だ。
フライシュ領では、美味いもん食って美味いもん作って美味いお土産買い漁った。
その間もこれといって戦闘したりしなかったし、十分英気を養った。
そろそろ、本業に戻りたいところ。
「そんじゃ、出発ッスよ! 駆けよラザニア!」
それはそれとして、王都の用事を終えたら出発である。
目的地は、淫魔王国だ。
〇
場所が変われば匂いも変わる。
王都には王都の匂いがあって、リンジュにはリンジュの、聖輪郷には聖輪郷の匂いを感じる事ができる。
そして、淫魔だけが住む街は、とても不思議な匂いをしていた。
淫魔王国とは、ラリス王国のすぐ隣にある淫魔族単一国家である。
その国土の多くは牧畜用の土地で占められており、畜産業を主要産業にしている。
白黒の牛がモーと鳴き、芝の大地を牧羊犬が駆けまわる。そんな牧歌的国家の中心に、極めてファンタジックな都あり。
淫魔王国、唯一にして最大の都市。常夢のケフィアムである。
「マスター、あれなに?」
「噴水だよ」
「マスター、なんで噴水があんな形してるの?」
「淫魔が造ったからだよ」
「マスター、なんであの水は白く濁ってるの?」
「そういう水だからだよ」
白亜の街の中心地、活気あふれる噴水広場。
ぽけーっとした表情で、レノはビュルビュルと断続的に放水している陰茎型噴水を見るでもなく眺めていた。
数ヵ月ぶりに来たケフィアムは、例によってとても清潔な街だった。
アレクシストが栄華を極めた混沌都市だとしたら、ここは魔導を極めた観光都市って印象だ。
観光都市というように、前来た時より人が多い。その多くは如何にも性豪そうなおじさんやお兄さん達で、中には同業者の姿もあった。
「皆さ~ん♡ 乳しぼり体験店はこちらでーす♡ 父しぼり体験店もこちらでーす♡」
「ほほう、おしぼり専門店かぁ。うぅん、悪くない。今朝からもうお股がビキちゃんだから、すぐにでもスッキリしたいところだったんだ」
「はぁい新規一名様
「ごぼぼぼ……! こ、こういうのでいいんだよ、こういうので……!」
「それ以上イけない」
周りを見ると淫魔淫魔淫魔。その中を肩もとい股間で風切って歩くおじさん達は、不思議な事に皆さん一角の人物に見えた。
なんか、独特の“凄み”があるのだ。“覚悟”してきてるっていうか。
「おい、
「おもしれー淫魔……」
と、見事に男をゲットした淫魔を物凄い形相で見つめてる淫魔を発見した。これが乳食系淫魔ちゃんですか。
目が合いそうになったので、バトル発生前に目を逸らす。ガビーンとショックを受ける乳食系淫魔さん、どうか強く生きてほしい。
「ん、ラリスとは全然違うね……」
「淫魔には男の精がいるんスよ。だから必死こいてボーイハントしてるんス」
「へえ」
ともかく、性の坩堝たる噴水広場に居続けるのはレノの教育に良くない気がする。俺達は二種のソーセージの香りから逃れるようにホテルの方へ歩き出した。
レノに性教育はまだ早い。彼女は歴戦の戦士ではあっても、実質異世界一年生なのだ。そういうのは、もう少し情緒が育った後でいいだろう。
しばらく歩いて、俺達は頭にラブとか付きそうなホテルに入っていった。交流会で宿泊したホテル・
「申し訳ございません。エロセクティブルームは埋まっておりまして」
「あら」
「今は乱交パーティを開催してまして」
「その情報いる?」
が、いざいざホテルに入ってみると、狙ってた部屋を取られていた。
主従で寝床を分ける都合上スイートにする訳にはいかないので、仕方なくそのランクより下の部屋に泊まる事に。
ついでに、コンシェルジュ淫魔さんに王城宛ての手紙をお渡しして、優美かつ淫靡な部屋に入室。うん、十分いい部屋だ。
「お風呂はついているようね」
「蒸し風呂はなさそうじゃの」
「確かプールにあったような気がします」
「すっかりハマッてんじゃん」
「夕食まで時間あるッスから、適当に遊び行くッスよ!」
物理的にお硬い防具を脱いで、私服に着替えてホテルを散策する。このホテルは単なる宿泊施設ではなく、金持ち用レジャー施設といった趣が強いのだ。
王道を往く淫魔風呂とか淫波マッサージ店は置いといて、ここは一つレノも楽しめる健全な遊びをしようと思う。
「おっ、けっこう流行ってるな。テーマパークに来たみたいだぜ」
カジノである。
会場には各種ゲームを楽しめるテーブルに、リアルじゃ見た事ないけど前世フィクションでなら何度も見たルーレットなんかも置いてあった。ディーラーはバニー衣装の淫魔さんである。
ここは王都にあるような賭場というよりは、ゲームセンターといった雰囲気が強い。実際、賭けるのは金ではなくチップで、儲けたチップは景品と交換する仕組みだ。ホントにゲームのカジノみたいだ。
「あら、竜族将棋があるじゃない。淫魔の腕がどの程度か、ちょっと試してあげようかしら」
「ん、いっぱいある」
「なんだかソワソワしますね」
「カムイバラじゃ賭場で破産する奴とか見てきたが、まぁこうやって遊ぶ分には楽しいもんじゃのぅ」
「あれ? もう中山さんのルーレットやってないんだ」
「だから中山さんって誰なんスか」
「おっぱいルーレットの事でしょうか? あれはラリスの方から苦情が来まして……」
「でしょうね」
「賭博として成立してないだろうって言われちゃって……。ヤラセなんて無かったんですけどね。むしろヤラせてほしかったというか」
「う~ん、この」
お金をチップに交換し、好きに使っていいよと皆に渡す。
レシピで稼いだお金、まだ消費しきれてないからな。こういうお金は散財したくなる性分。不思議な感情である。
「おっ、サキュバスホールデムあるじゃん。最初はこれやろっかな」
「はいはいはい! あたしやりたいッス!」
「ルール覚えてるでしょう? レノもやってみなさいな」
「ん、やってみる」
という訳で、淫魔王国で最もポピュラーなカードゲームで遊ぶ事に。
この異世界、ボード以外にもこういったカードゲームも普通にある。ただし、カジノで使うのは普通の紙のカードではなく、補助効果付きのカード型魔道具だ。
効果は単純。頑丈で汚れない無臭カードである。地味に魔力を弾く素材を使われてるので、魔眼対策までされている優れモノだ。
「ん、これなら六割の確率でわたしが勝つ」
「かかったッスね! ロイヤル・スペルマ・スプラッシュ!」
「……お、おかしい。計算は合ってたはず」
賭けるチップも程々に、俺は勝ったり負けたりを楽しんだ。
基本、レノは知能ゲーム全般に強いのだが、運が絡むと一気にクソザコ化するようなのだ。この世界に運のステータスは無かったはずだが。
「あ、マゾブタだ俺」
「マゾブタね」
「マゾブタですね」
「マゾブタじゃな」
一方、俺は普通に負け越していた。
ちな、エリーゼは順当に強く、グーラは一発逆転の勝ち運があり、イリハは調子こいた瞬間に大負けするといった個性がある。あと、ルクスリリアは日によって強さが変わるらしく、今日は強い日だった模様。
「おぉ、チンチロあるんじゃな」
「チンチロ、なんかエッチな響きッスね……」
「お菓子の名前でしょうか」
「グーラは可愛いなぁ」
それからも、俺達は色んなゲームをして遊んだ。
普通に勝って普通に負けて。イカサマなんかせず楽しく過ごした。
まぁこんな場でイカサマしても大してメリットないだろうしな。
「ほう、イシグロさんはリンジュに行った事があるんですね。あ、それチーです」
「ええ。カムイバラにしか行った事はありませんが、食べ物も美味しくて温泉も良かったですよ」
しばらくして、皆がルーレットで遊んでる間、俺は淫魔王国版の麻雀をやっていた。
卓についてるのは俺とおじさんと淫魔ディーラー二人である。淫魔版というように、これは所謂脱衣麻雀だ。スケベ無しの普通の麻雀がなかったんだよね。
異世界麻雀は普段から皆と打ってるので、ルールはちゃんと分かっている。雀士淫魔さん、けっこうマジだ。
「よっしゃリーチです!」
「「「ボロン!」」」
「
「
「
「えぇ……」
遊びとはいえこれは麻雀。俺は容赦なくおじさんの得点をマイナスに追いやった。
哀れ、たった一度の敗北でおじさんはふんどし一丁になってしまった。
今度、皆とも脱衣麻雀をやろう。
「景品どれにする?」
そろそろ晩飯が近くなってきたので、程々のところで終了。
結局、俺達が集めた得点は最後の最後にルーレットで溶かしてしまった。残り少ないポイントで景品と交換する事に。残念ながら、交換できる景品に迷宮で使えるような強い武器とかは無かった。
「じゃあ、このソチンのぬいぐるみにするッスよ! 淫魔女王杯記念ッス!」
ちょっとした土産を貰って、何気に初のカジノ体験は終了した。
そういえば、王都のカジノ行った事ないんだよな。今度覗いてみよう。
あっちはガチで金賭けるらしいし、ヒリヒリした勝負ができそうだ。ハマらないよう気を付けなくちゃな。
「イシグロ様、先方からお返事が届いております」
「ありがとうございます。早いですね」
そうこうしていると、従業員淫魔さんが部屋に手紙を届けてくれた。
中を開けて読んでみると、淫魔女王の直筆で場所と時間の指定が書かれていた。時間っつっても、そんな厳密じゃあないが。
明日はエリーゼの検診と、レノの健康診断に行くのだ。
以前、淫魔女王はエリーゼの呪いはいつか治せると言ってたので、何か進展があればいいが……。
「呪い、解けるといいね。エリーゼ」
「ええ、ありがとう」
そんな訳で、明日に備えて早く寝よう。
早めに寝るだけで、まぁやる事はやるんだけどね。
〇
「おやすみッス、ご主人♡ ん~、ちゅっ……♡」
深夜、事後。
今夜も素晴らしい体験だった。みんな違ってみんないい。
静かな夜に賢者タイムに突入すると、色んな事が思い浮かぶ。
真っ先に浮かび上がるのは、ロリの事だった。
――ロリ。
例え魂魄百万回生まれ変わっても、俺はロリコンである。
何故、俺はロリコンなのか。ロリコンのロリコンたる所以とはつまり、ロリのロリたる所以に外ならない。
要するに、俺はロリのロリ性に惹かれるのである。
ロリ性とは何か。
それはロリのイデアである。
ロリ性とは時空を超越した絶対的な実在であると同時に、禅やカラテめいて奥ゆかしい概念なのである。
考えるな、感じろ。
しかし日本で触れてはならぬ。逮捕されちゃうからね。
異世界なら合法だけど。
俺はロリの全てが好きだ。隙さえあれば少佐のように演説できる。
俗な話。俺は中でもロリ脚が好きだった。何故なら、女性を体現する胸や尻より、脚こそ如実にロリ性が出るからだ。
ルクスリリアの脚は、細くも肉付きのいいムチムチレッグだ。
エリーゼの脚は、彫像のように洗練された造形である。
グーラの脚は、野生動物のようにしなやかな筋肉を内包している。
イリハの脚は、意外とモチモチした触り心地をしてるのだ。
その時、ふとレノの脚が脳裏に過った。
折れてしまいそうなほど細いあの脚は、いったいどんな触り心地なんだろう。気にならないといえば、ウソになる。
けれど、彼女にこの劣情をぶつける事は許されない。何故なら、年齢的には合法でも、かわいそうなのはいけないからだ。
彼女はまだ性の何たるかを知らないし、なにより情緒が育ってない。ファリナさんからもそのように聞かされている。
ルクスリリアは言わずもがな、イリハとエリーゼ、何だかんだグーラも知らないだけで、性が如何なるものかは理解していた。
畢竟、弱者に厳しいこの世界が幼女モラトリアムを許さないのである。
けれど、レノは違う。情緒が未発達で、知識が偏っていて、彼女の中には人生の決断に必要な価値基準が未だ定まっていないのだ。
そんな娘を手籠めにするなんてのは、それこそサイコガン案件である。
これに関しては、俺一人のエゴで決まった訳ではない。ファリナさんを含めた家族会議でそうなったのだ。
彼女の生涯の為、自分の意見を持てるように、その時が来るまでゆっくり育むべきである。
別に、光源氏をしようってんじゃない。
あの日、レノは他ならぬ俺と「恋をしたい」と言ってくれた。もしそうなったなら、それはとても光栄な事だ。
だが、それはもしもの話だ。事実、ルクスリリアによるとレノはまだ芽生えていない。
他者を助けると決めたなら、果たさなきゃいけない責任がある。
ヴィラン倒してハイサヨナラは、あまりにも無責任だろう。
俺はただのロリコンで、ヒーローなんかじゃあないのである。
「ん……?」
「どした?」
「いや、誰かに見られた気がしたんスけど……」
なんて考えつつ微睡んでいると、ルクスリリアが目を覚ました。
曰く、ホテルの中から新鮮なスケベオーラを感じ取ったらしい。
多分それ、上階の乱パだぞと。
「そッスね。なんか初々しい感じしたんスけど、大方どっかの処女淫魔が水揚げされたとかッスよね」
「そういうの分かるのか」
「童貞スメルも分かるッスよ~。あの時のご主人は可愛かったッスね~」
「お互い様」
「あたしで童貞捨てたくせに♡」
「お互い様だって」
「きひひ……♡」
もぞもぞ抱き合って、軽くキスを交わしたりして。
そうして、淫魔王国の夜は過ぎていくのであった。
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作者のやる気に繋がります。
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大三元も国士無双も出せた事ないですね、自分。