【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚   作:いらえ丸

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 感想・評価など、ありがとうございます。お陰で執筆が捗っています。
 誤字報告もありがとうございます。本当に助かっています。
 キャラ・ボスのご応募もありがとうございます。

 今回も礼によって運営様からお叱りを受けたらそのように対応します。避難所行きですね。
 まぁ言うてそこまでの事は書いてないので大丈夫だと思います。
 よろしくお願いします。


神樹の杖のシャーロット

 シャーロット・ケナズ・ルーニアはロリババアである。

 同じロリババア枠でも、我が一党の面々とは事情が異なる。エリーゼのように、長きに渡り幽閉されていた訳でもない。イリハのように、借金奴隷として過酷な労働を強いられていた訳でもない。

 普通に家族がいて、普通に友達もいて、やりがいのある仕事をしていた一般人。種族相応、年齢相応の人生経験を持ち、それら全てを失ってなお前を向ける心の強いロリババアだ。

 

 対して、イシグロ・リキタカはロリコンである。

 それも、ロリの肩書や年齢に拘りのない意識低い系のロリコンだ。

 そんな俺だが、ルクスリリアに筆下ろししてもらって以降、かつてほど落ち着きのない童貞ではなくなっていた。

 間違っても女性の機微に敏いとは言えないが、シャロからお泊りのお誘いを受けてアレコレ言うのは野暮な事くらい分かる。

 

 そう、野暮な事は言いっこなし。

 今夜、俺はシャロを愛する。シャロはそれに応える。

 それだけだ。

 

 

 

 二人きりの夜。元主人の俺と元奴隷のシャーロットは、一緒に晩御飯の準備をした。

 飯の用意はあると言っていた通り、冷蔵魔道具にはちょうど二人分のスープがあった。他にも、下拵えを済ませた食材が保存されていたので、それらを温め、焼き、切り分けては盛り付けていった。

 まさに、共同作業。さながら新婚夫婦のよう。

 

「んっ、初めて食ったけどコレ美味いな」

「まぁ食材がいいからな」

 

 魔導照明の照らす中、小さなテーブルで向かい合い、同じペースでご飯を食べる。

 熱血イリハ教育を受けた結果、シャロの包丁捌きは中々に上達していた。ただ性格がそうさせるのか、味付けは全体的に濃いめだった。男の料理、なんかそういう印象。どことなく酒のアテになりそうな。

 

「あ、あんまジロジロ見んなよ……」

 

 食後、食器を片付けてから風呂に入った。順番ではなく、二人一緒にである。

 浴室では、手拭いを使ってお互いの身体を洗い合った。

 

「へえ、筋肉ってなぁ意外とフワッとしてんだな。なんか猫みてぇだ」

 

 脱衣時や洗われてる時などはオドオドしてたシャロだったが、いざ自分が洗う側になると、いい感じに緊張が抜けて余裕を取り戻していた。曰く、故郷では子供達を風呂に入れてた事もあったらしい。

 ロリたるシャーロットの身体は、全体的にムチムチしてて肉付きがよかった。かといって太ってる感はなく、ロリ巨乳というほど胸も大きくなかった。恐らく、ドワーフの血の影響だろう。

 そんなムチロリの洗体に対して、俺は全身全霊の意思力で以て抵抗していた。

 

「こっちは……まぁこんなもんだよな」

 

 その甲斐あり、俺は我が主砲の沈黙に成功した。

 見ようによっては可愛らしいキノコさんなので、シャロのこの反応もむべなるかなといったところ。

 が、流石に前を洗ってもらうと砲弾が装填されてしまうので、砲の整備は自分で行った。

 

「あぁ~、いい魔力だ。すっげぇ気分いいぜ……」

 

 風呂上がりは、ドライヤー魔法を使って彼女の髪を乾かした。

 ドライヤーの後は櫛を使って髪を整える。それでもモフッとしてるあたり、ドワーフの血を感じる。仕上げに【清潔】をかけて、完了だ。

 

「なんで亭主殿が嬉しそうなんだよ」

「シャロが幸せだと俺は嬉しいからね」

「あーはいはい、やっぱ変わってるよ、元ご主人様は」

 

 暖炉型魔道具の前、俺達は肩が触れる距離でソファーに座った。

 その頃には二人の距離は大分近くなっていたが、時が経つにつれてシャロの身体は徐々に強張っていった。

 

「あ、アレだな! やっぱラリスの魔道具は凄ぇな! 暖かさの調整まで出来るなんて、どんな仕組みしてんだかって感じだな!」

 

 緊張していく身体とは逆に、シャロは沈黙を厭うように喋り続けた。

 料理や入浴は日常の延長だったが、これから先の事は未経験なのだ。必死に余裕ぶろうとするシャロは、紛れもなく少女だった。

 

「シャロ」

「ひぅ……!」

 

 喋りが途切れたところで優しく手を握ると、シャロは小さな肩を大きく跳ねさせた。

 さっきまで裸で洗いっこしてたのに、こういうムードでお手々を握り合うのは恥ずかしいらしい。

 

「な、なんだろうな。いざアタイが亭主殿とってなると、えーっと……なんだ。うぅ……」

 

 言葉の途中でだんだん語気が弱くなり、やがて甲高い唸りになって消えた。

 手が触れている。彼女の心拍を感じる。ずっと暖炉に向けられていた顔が、ゆっくり俺を見上げてきた。深紅の瞳が、潤んでいた。

 空いている手を伸ばし、頬に手を当てる。すると、彼女はギュッと目を瞑った。

 二〇〇〇歳森人のキス待ち顔は、身悶えする程いじらしかった。

 

「ん……」

 

 そっと、唇を合わせる。

 キスというより、チューといった感じの接吻。触れてすぐに離れると、小さな鼻から熱い息が漏れていた。

 再度、見つめ合う。シャロの唇は、次を待ち望むように柔らかく窄められていた。

 

「んっ、ちゅ♡ んん……ん、はぁ……んむ♡」

 

 二度目、三度目と、何度もキスを繰り返す。

 角度を変え、控えめに音を立てる。プルンとした下唇を吸うと、シャロは「んっ」と鼻の奥から甘い声を漏らした。

 

「はぁ……♡ こ、これがキスってやつか……」

 

 唇を離すと、彼女は陶然とした面持ちで呟いた。

 無意識なのか、シャロは繋いでいる方とは逆の手で俺の身体を撫でていた。

 その手が、ギュッと俺の肩を掴む。

 

「此処だと、アレだからさ。ベッドまで……」

 

 俺はシャロの小さな身体をお姫様抱っこし、寝室へ向かった。

 胸の中にいた彼女は、さながら借りてきた猫のようだった。けれどもその身に強張りはなく、大きな瞳の中には少なからぬ期待があった。

 赤ちゃんにそうするように、シャロをベッドへ下ろす。ふぁさっと彼女の赤い髪が広がった。宙を彷徨う手を取って、恋人握りで添い寝姿勢になる。

 数秒見つめ合った後、どちらともなく唇を重ねた。それから、額を合わせて笑い合った。

 

「亭主殿はさ。自分で思ってるより良い男だよ。強くて、優しくて、アタイには釣り合わねぇくらい……」

 

 シャロの手が俺の頬を撫で、首筋に手を這わす、

 肩、胸と触り、心臓のある位置に掌を当てた。

 俺も俺で、けっこうドキドキしていた。

 

「まぁさ、アタイぁこんなナリだからよ。ずっと諦めてたんだよ……」

 

 俺の腹に、シャロの両足が絡まる。

 離さないとでも言うように、ぎゅ~っと締め付けられる。

 

「アタイみてぇな年増で良けりゃ、亭主殿の好きにしてくれ」

 

 再度、キスをした。

 僅かに空いた唇の隙間に舌を入れる。犬歯をなぞり、唇の裏を舐める。呆けたように出てきた舌を絡め取り。チロチロと愛撫した。

 チューというより、ベロチューである。舌を絡ませている間、シャロは俺の全てを受け入れていた。

 この時、悟る。シャロは総受け気質なのだ。

 

「んちゅう♡ ちゅぷ……んっ、んぅ♡ れろ……はぁ、んむ……ちゅっ♡ はぁ、はぁ……♡」

 

 ベロチューの後、頬や顎、首筋に唇を落とし、安心させるようにシャロの身体を解していく。

 すると、彼女はその一つ一つに敏感に反応した。合間合間に、シャロの寝間着を脱がしていく。

 

「ん、はぁ♡ だ、大丈夫だ……別に怖いとか、そういうのは無ぇからよ。それに、男のモンがどうなるかくらい知ってるさ。ほら、亭主殿も……」

 

 お返しとばかりに、シャロは俺の服に手をかけていった。

 するすると服が脱がされる。幼児の脱衣を手伝ってるみたいだった。

 だが、それはズボンの途中で停止した。

 

「ん? なんだこれ……」

 

 隆起している部分を避けてゆっくり脱がすと、ソレはボロンと解放された。

 

「……え?」

 

 そこにあったのは、浴室にて沈黙していた主砲ではなかった。

 弾数無限、連射式単装砲。既に砲弾は装填済み。

 それは、まさにご立派様だった。

 

「火かき棒……?」

 

 恐る恐る、指で砲門を小突かれる。

 硬度が上がった。

 

 大丈夫だ、まだ問題ない。

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、イシグロ一党が住む借家では……。

 

「オラ! 革命ッ!」

「ん、革命返し……!」

「革命です!」

「のじゃあああああ!?」

「もう終わりね、この国」

 

 ロリ組全員で大富豪をやっていた。

 カードは異世界産で、ルールはイシグロ由来の地球産。モノポリーモドキ以外にも、イシグロ一党はこういったモノで遊ぶ事が多かった。

 女三人いれば云々とは日本のことわざだが、ロリ五人でカードゲームをすればどうだろう。中々に姦しい。テーブルの上には、その他イシグロ産ボドゲや大量のお菓子やお酒やジュースやらが置かれていた。

 種族も年齢も異なるロリ達は、楽しそうに女子会をやっていた。

 

 今現在、彼女等の主人であるイシグロは、元奴隷仲間であるシャーロットの家に行っている。

 計画通りに進んでいるなら、今宵シャーロットは女になる事だろう。この一件、言い出したのはシャーロットだが、それを唆したのはルクスリリアだった。

 皆、シャーロットの胸に灯った感情には気付いていた。間違いなく、彼女は主人に惚れている。だが、自分達のように生涯全てを投げ打つ程の熱量はない。良くも悪くも、彼女は老成していたのだ。

 しかし、だからといって恋心を胸にしまわせるのは、長命種族の心に遅効性の毒を植え付ける事になる。将来後悔させない為、思い出を作らせようと思ったのである。その結果、()を越されたとしてもだ。

 

「にしても、大丈夫ッスかね~」

 

 器用にカードをシャッフルしながら、ルクスリリアが言う。

 イシグロに教えてもらったショットガン・シャッフルは、冒険者の技量ステータスを以てすれば容易に習熟できるものだった。

 

「大丈夫だと思います。ご主人様は優しい方ですから」

「あーいや、そっちじゃなくてッスねぇ……」

 

 グーラが「大丈夫」と言ったのは、イシグロがシャーロットを壊さないかというものだった。それについては、ルクスリリアも心配していない。イシグロは童貞を卒業して久しく、余程の事がない限り暴走しないはずだ。それは確信している。

 ならば何だと問う一同の前で山札をトントンしたルクスリリアは、さながら世界の真理を語る大賢者のように厳かな声音で言葉を紡いだ。

 

「森人の処女は……快楽堕ちしやすいんスよ」

 

 が、対する一同からは、「はあ」と気のない声が返ってきた。

 確かに、森人の処女は全身性感帯の激チョロ淫乱であるとはよく聞く噂だった。曰くめちゃくちゃキスに弱いだとか、曰くあまりにも簡単にビーチク絶頂するとか。

 けれども所詮は噂の域を出ず、出所不明で真偽不明の与太話である。それこそ「誰が証明した?」という謎説に過ぎないものであった。

 

「それは俗説でしょう? 桃色髪の女は淫乱、というのと同じ……」

 

 冷静に返すエリーゼの言葉の途中、発言者を含めた一同はイリハの方を見た。当の天狐は小首をかしげ、やがて視線の意味に気付いて耳と尻尾をピンと立てた。

 森人処女淫乱説と同じくらい、ピンク髪淫乱説は異世界全体に流布している。皆が眺めるイリハの髪は、桜の花を思わせる薄紅色だった。いわゆる淫ピである。

 

「わ、わしは淫乱では……!」

 

 抗議しようと腰を浮かせたイリハだったが、これまでの情事を思い出し、やがて顔を赤くして固まった。

 そして、座り直したイリハは配られた手札を弄りながら、

 

「主様だけじゃし……」

 

 という言葉と共に、ゲーム開始のカードを放った。

 これに関しては、誰も彼女を茶化す事はできなかった。かくいうエリーゼも相当なキス魔なのだ。最近では天使のレノもノリノリで、発情期中のケモロリコンビなど何をかいわんや。

 そんな中、最近はワンちゃんプレイにハマッているグーラが咳払いした後に口を開いた。

 

「ですが、川の音が聞こえたら水があると言いますよね。事実、第一次魔王戦争で活躍した森人の“青い茨”のエリザベートは相当な男好きで有名で、自宅には彼女好みの勇士を何人も侍らせていたそうですよ」

「や、それは例外が目立って見えてるだけだと思う。それに、森人の文化では今でも貞淑さが美徳とされてる」

「貞操観念と淫乱度はカンケー無いと思うッス」

「そういえば、わしんトコの九尾英雄も妾の中に政略結婚で嫁いできた森人の女子(おなご)がおったとか。侍女の日記によると、初夜の前と後では主へ向ける態度が激変してたらしいのぅ」

「快楽堕ち! 快楽堕ちしたんスよ!」

「それはシュリ様が特別だっただけではないでしょうか?」

「ん、陰陽術の始祖なら房中術の達人でもおかしくない」

「いえ、あながち間違いでもないかもしれないわ……」

 

 何故だか続く猥談に、カードを放ったエリーゼが口を挟む。

 

「間違ってないって、どっちがッスか?」

「処女の森人が弱いって話よ」

「まだ続くんじゃな、これ」

「竜族は角で魔力を感知するわ。他の種族より、鋭くね。同じように、森人は全身で感じるらしいのよ。特に、肌が敏感と聞いた事があるわ」

 

 森人とは、肌身で以て森の恵みを授かる種族である。

 そういった背景もあり、意外と露出の多い恰好してる森人は珍しくなかった。

 

「あー、魔力もそうじゃが、森人は外氣の感知にも秀でておるらしいのぅ」

「魔力に氣……シャーロットもご主人様の好意を感じているのでしょうか?」

「私ほど鮮明とは思えないけれど、ある程度は感じるかもしれないわね」

 

 エリーゼは、それら鋭敏な感知力こそが森人処女淫乱説の正体なのではないかと言っているのだ。

 魔力に混ざる感情が視えるエリーゼは、過去イシグロからの好意に脳を焼かれた事がある。であれば、肌で魔力を感じる森人の場合、イシグロの好意を受けたシャーロットの場合、一体どうなってしまうのだろうか

 そういう話だった。

 

「マスターの魔力の精密操作性ってどの程度だっけ?」

「純淫魔契約を交わしてから、一気に上手くなってるわね」

「主様は初見で房中術使ってきたからのぅ。ありゃ普通に才能あるのじゃ」

「短剣を使うようになってから、以前よりも手先が器用になっていますよね」

「ていうか、ご主人は純淫魔契約者ッスから純粋にアッチも強ぇッス……ってオンギャアアア!? また最下位ッスゥウウウ!」

 

 そんな話をしていると、いつの間にか負けていたルクスリリアは、三連敗してチップ代わりのクッキーを全て奪われてしまった。

 

「まぁ……死にはせんじゃろ」

 

 自身の初夜を思い出し、イリハはこの話題を締め括った。

 それに、多少刺激的な方が良い思い出になるはずである。

 これで良いのだ。

 

 ロリ達の夜は、まだまだ続く。

 

 

 

 

 

 

「はあっ♡ はぁっ……♡ んあっ……も、もう限界♡ はぁあ~……♡」

 

 満身創痍である。

 全身汗だくになったシャロは、ガラガラに枯れた喉で荒い呼吸を繰り返していた。その身体は弛緩と痙攣の間を行き来し、目元には涙が溜まっていた。

 やり過ぎた訳ではない、と思う。

 

 当然だが、ルーキーを卒業した俺は、自身の精神に安全装置(セーフティ)をかけていた。

 純淫魔契約者特有の魔力は抑えたし。房中術も使っていない。受け身なシャロを慮り、激しくしたつもりもない。

 特殊な能力など使わなかった結果が、これだった。対戦よろしくお願いしますと思ったら、開始と共に勝利したのである。

 イメージとしては、リングに上がって拳を合わせたらノックアウトさせてしまったというか……。

 

「ん~っ♡ 亭主殿♡ キス♡ キスして♡ はむ、ちゅぅ♡ れろれろ、ちゅぱ……♡」

 

 抱っこ抱っこと両手を伸ばしてきたので、それに応えてシャロと濃厚なキスを交わす。

 俺の口の中に、シャロの熱い舌が入って来る。お互いの舌同士を舐め合うと、彼女はビクビクと全身を震わせていた。

 

「んっ、ふぅうううううう♡」

 

 結果、シャロは自滅した。

 チョロ過ぎでは。

 

「はぁ、はぁ……♡ さ、さすが亭主殿だ♡ こんなのされちまったら戻ってこれなくなっちまうよ……♡」

 

 そうして、シャロはくたりと脱力してしまった。

 一度、状況を確認してみる。セミダブルくらいのベッドがぐちゃぐちゃになっていた。

 

「シャロ、【清潔】かけるよ」

「ん♡ ありがと……♡」

 

 熟達の域を超えた練度の【清潔】を行使し、汗やら何やらを除去する。肌を過る魔力を受けて、シャロは気持ちよさそうな顔をしていた。ついでに武闘家系スキルの【手当て】をかけると、彼女の荒い呼吸は徐々に落ち着いていった。

 脱力しているシャロの隣に横たわると、彼女は身体全体を寄せてぴったりとくっついてきた。その身体はポーッと火照っている。

 

「ルクスリリア達ぁ、こんなん毎日やってんのかよ♡ 迷宮行く前のアタイだったら一発で潰れてたぞ♡」

 

 耳元で囁かれる。茶化すような声音だった。笹の葉のような彼女の耳は、上機嫌そうにピコピコと跳ねていた。

 

「あったけぇなぁ……♡」

 

 身体を寄り添わせ、甘えた声を漏らすシャーロット。

 疲れの為か、少しずつ眠気が勝っていっているようだった。

 すごく満足そうなのは大変よろしいのだが、俺の方はすごく困っていた。

 

「あの……」

「ん~? なに~?」

 

 猫が愛情を示すように、スリスリと顔を擦り付けて来る。

 何度も何度も、ほっぺに可愛くチューをしてくる。

 その時、ムチッとした彼女の脹脛がソレに当たった。

 

「あれ? こいつぁ……」

 

 恐る恐る、下を見やるシャロさん。

 そこには、哀しみの涙を流す暴れん棒の姿があった。

 視線を戻す。目が合う。その瞳は、困惑一色だった。

 本当に申し訳ない。

 

「その、まだ本番前なんだ……」

「前……?」

「むしろここからが本当の戦いというか……」

 

 そう、まだだったのだ。

 一回戦すら始まっていなかった。

 俺はようやく登り始めたばかりなのだ。この果てしなく長い炉利魂坂をよ。

 

「えっ、でもアタイめちゃくちゃにされて……」

 

 今一度、下を見る。そして気づいたらしい。

 圧倒的に、明確に。

 太さ(・・)が違う事に。

 

「今までのは……指ですね」

「んくぅ~……っ!」

 

 真実を悟ったシャロは、慙愧に堪えぬと顔を覆った。激しく上下に動く耳が真っ赤に染まっている。

 それはもう、色々と違うはずである。度々意識をやっていたので、気付けなかったのだ。

 そうはならんやろって話だが、なっとるやろがいって感じである。

 シャーロットは、まだ乙女だった。

 

「亭主殿……」

「うん」

「その……な?」

「はい」

 

 やがて、何かしら覚悟を決めたらしいシャロは、

 

「しゃ、シャロ初めてだから♡ 優しくしてほしいな~♡」

 

 いつか見た媚び演技をしてみせた。

 常より高い声。あからさまに甘えた瞳。時間差で赤くなる頬。

 久しぶりのブリッ子を見た。

 

「な、な~んて……」

 

 無理すんなと言いたいが、無理してるトコが可愛いのだ。

 媚び媚び攻撃によって、俺の股間の祠は破壊された。

 こうして、俺達の長い夜が始まったのである。

 

 28-3

 

 この数字が何を意味するか。

 心が綺麗な人には、分からないだろう。

 

 

 

 夜、寝室で。

 愛し合った二人が見つめ合う。

 

「なあ、亭主殿」

「ん?」

「もしよかったらだけどよ」

「ああ」

「アタイが工匠になって、色々と片付いたらさ。まぁ皆の後でいいんだけど、その……」

「うん」

「この期に及んで、厚かましい話なんだけどさ……」

 

 シャーロットは、自身の腹を撫でながら、云った。

 

「後継者、仕込んでくれねぇか……?」

 

 33-4

 

 翌日、シャーロットは杖を突いて歩く事となった。

 上森神樹(アルヴヘイム)のルーンの杖を。




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 ちゃんと書いたキャラ表とか、雑記ではない設定資料集とか?
 これといってまだ決めてませんが。
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