【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚   作:いらえ丸

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炉帝大祭・本戦開始!(上)

 古の都・武侠国クーシェンは、地に落ちた天津島を城塞化して築かれた都市国家である。

 街の中心に聳えるクーシェン城は、一五〇〇年以上かけて増築と改装を繰り返してきた人工迷宮的建築物である。その構造は城に暮らす者さえ把握しきれていない程に広大だった。

 そんなクーシェン城には、戦いの為だけに造られた地下空間があった。

 

 武帝祭、本戦。

 クーシェン城の地下武闘場は、大勢の観客で賑わっていた。

 抽選が当たって観戦に来た家族。金の力で席を勝ち取った商人。関係者に招待された武侠達。身分も種族も異なる彼等は、一様に拳士達の試合を心待ちにしていた。

 観客席の北側には武帝祭に招待された来賓用スペースがあり、中には止まり木協会のアリエルや淫魔女王といった重鎮の姿も見られ、同席する一部の武王は絶世の美女二人に鼻の下を伸ばしていた。

 

 観客達が見つめる先、武闘場の中心には拳士同士が戦う為の舞台がある。

 それは、碁盤のような木製の試合場だった。広さはバスケットコート二つ分ほどで、異世界戦士的にはある程度自由に動けるくらいの広さと言えた。

 間もなく試合が始まる舞台では、観客を飽きさせないよう武侠会専属の音楽隊が勇壮な伝統音楽を奏でている。曲のクライマックスが近づいてくると、ざわついていた観客の話し声が静まっていった。

 

 そんな中、舞台の外で待機していたイシグロは、前世で何回か出た事のあるフルコン空手の大会を思い出していた。

 観客席の下、東西にある拳士用の出入り口には本戦に進出した拳士達が待機しており、各々気を高めていた。彼等は九人一組で集まって、中には四人でエントリーしてきた嵐極拳組を警戒している組もいた。

 イシグロの視線の先、関係者用の最前席にはルクスリリア達待機組が座っている。その隣には一般人に装った第三王子派閥の斥候メイドさんの姿があった。万が一の事もある。これなら安心して戦えるだろう。

 

「皆さんお待ちかね! 四年に一度の武闘大会、武帝祭の始まりです!」

 

 マイク要らずの大声を発し、如何にも審判ですといった男性が舞台に立つ。

 続いて、実際に審判だった男は武帝祭本戦の説明を始めた。

 

 武帝祭本戦は、合計八組のトーナメント戦で進行する。準々決勝、準決勝、決勝の順だ。

 武帝祭は師範・弟子同士による団体戦である。出場人数に関わらず最大九戦する予定で、先に五勝したチームが勝利となる。

 何でもありフル武装固定の決勝戦を除き、試合のルールは各試合開始前に公表され、決勝以外はランダムである。武闘場の南方に野球の得点板のような看板があり、そこにルールと出場拳士が載せられるのだ。

 出場拳士は事前に申請する決まりで、その順番は組の自由。しかし師範は最後の試合にのみ参加可能だ。また人数が九人以下の場合、師範以外の拳士が複数回戦うルールである。

 

「記念すべき本戦一戦目は、皆さんご存じ! 嵐極拳の一行です!」

 

 そして、本戦の第一試合は、ユゥリン率いる嵐極拳組の試合だった。

 次いで、第一試合の出場拳士とルールが公表される。武器なし、格闘のみ、場外あり。

 出場するのは……。

 

「西方、拳士イシグロ! 前へ!」

「はい」

 

 名を呼ばれ、舞台に上がったイシグロはすたすたと位置についた。時の人の登場に大盛り上がりする観客の歓声に、相対する対戦相手は顔をしかめていた。

 続いて、両者は来賓や観客に一礼し、最後にお互いにクーシェン流のお辞儀をした。

 

「用意……!」

 

 審判の声が響き渡り、会場の歓声が収まる。静まりかえった武闘場の中心で、イシグロは改めて状況を確認した。

 今の自分に武装はない。防具は補助効果なしのカンフーシャツで、使っていい武器は己が肉体のみ。魔法も使用禁止だが、能動スキルは使用可能。

 対戦相手は黒豹族の男性で、パッと見で分かるくらいには強そうだった。恐らく銀細工下位くらい。イシグロと異なり、専業の武闘家に見える。それも対人戦に特化している雰囲気だ。

 彼我の距離はテニスコート一つ分、敏捷に優れた前衛戦士をして一足一刀の間合いである。例えイシグロであっても、ボヤボヤしてると開幕不意打ち会心からの連撃でバッサリだろう。

 イシグロは強いて常と同じ呼吸を保ち、脱力した。無論、最速で勝つ為だ。

 

「はじめぇ!」

 

 ジャアアアアアン!

 銅鑼が鳴る。歓声が沸く。武帝祭が始まった。

 

 試合開始直後、相手選手――黒豹男はコンパクトな演武をした後、全身に魔力を漲らせた。流派固有の自己バフである。事前の調査により、イシグロはその技を知り得ていた。

 一言で言うと、短期決戦用の時限強化技だ。その効果は純粋なスピードアップに加えて、攻撃を受けない限り技後硬直が無くなるというぶっ壊れスキルである。回避重視の異世界バトルにおいて、実に環境に適したスキルと言えよう。

 

 対し、イシグロは【勁鱗】を纏いながら、相手の出方を窺った。

 そうして、見当をつける。新しい技、使えるなと。

 

 この世界の対人戦、とりわけ徒手格闘は地球の格闘技とは全くの別物である。

 色々端折って結論を述べると、ローキックの応酬やジャブでの牽制合戦が大して役に立たないからだ。畢竟、異世界格闘において防御技は一方的に不利が付くだけで、あまり推奨されない行為なのである。

 もっと言うと、この世界の武闘家には種族特性やエスパーめいた権能が存在するので、ある種異能バトル的な側面さえあったりするのである。事実として、麒麟には自前のエネルギー鱗があるし、翼人は飛べるのだ。そうなると地球における格闘技の多くは死に技になってしまう。

 

「なんだ、その構えは……!」

 

 緊張の糸が張り詰めた……その時だ。

 黒豹が訝しみ。観客がざわつき、来賓席にいた“豪傑”のライドウが「むっ」と唸る。

 それは偏に、イシグロの構えが常識外れだったが為。

 

「スゥーッ! ハァーッ!」

 

 集中力を乱さぬ、逆腹式呼吸。左手を肩より上に、右手を臍より下に。その腰はあくまで低く、大地に根差す大樹のように。どっしりと、イシグロは不動の構えを取ってみせたのである。

 

 黒豹視点、それはおふざけポーズに見えた。隙だらけだ。打ってくれと言っているようなものだ。誘いの型? 守れているのか、それは? どだいそれでは回避ができぬではないか。

 無論のこと、異世界格闘技においても防御重視の武術や型は存在する。しかしそれは肉を切らせて骨を断つ的な趣が強く、イシグロのようなヒョロガリ人間族がやるべきではない行為だった。

 肉を切る間に、臓腑を穿つ。それほどまでに、魔物を屠る異界の拳は重く鋭く疾いのである。

 

「どしたん? 打ってこないん?」

 

 当惑する黒豹男に対し、イシグロはニヤニヤといやらしい笑みを浮かべてみせた。

 

「コケ脅し! クーシェン武術を舐めるなよ、ラリス人!」

 

 瞬間、黒豹男はジェット機めいて加速した。一歩で最速、二歩で完成、一打相手に浴びせれば、流れに乗って殴り倒せる。彼の流派はそういう拳だ。

 挑発に乗った訳ではなかった。だが、これを突破してこそ流派の本懐だと確信した。彼の拳法には、堅牢な防御術を打ち破る技が存在するのだ。

 

「スゥーッ……」

 

 ひと呼吸。イシグロの視界がスローモーションに切り替わる。その時、ロリコンの脳裏に過去の情景がフラッシュバックした。

 前世、親の勧めで通っていた空手道場。ぶっちゃけ、やる気はなかった。何なら道場には嫌な思い出の方が多く、寒い冬に行った寒稽古などクソメモリーの最たるものだった。しかして、イシグロの身体には否が応にも空手の技が刻まれる事となった。例えそれが、剣と魔法のファンタジー世界に来た後であっても、朽ちる事無く残っていたのだ。

 時が進み、場面が切り替わる。異世界にてユゥリンと繋がった時、イシグロは自身の内なる勁の本質に触れ、そして稲妻的な快楽と共に閃いたのである。

 この経験は新たな技のヒントになるかもしれない、と。

 

「死ぃねぇえええええ!」

 

 風を追い越し、拳が迫る。勢いのまま、掠めるように打ち抜くつもりだ。

 不動の姿勢とは即ち、誘いの構えに他ならない。両の腕に発勁由来の純白エフェクトが纏われる。上下に糸を巻くような円の軌道。外から内へ、内から外へ。さながら小さな嵐のように。

 刹那、迫りくる拳を……絡め取る(・・・・)

 

「なっ……!」

 

 パァン! と、空気の割れるような快音。

 小さな嵐に巻き取られ、対戦相手は拳を伸ばしたまま無防備状態を晒していた。高速機動の流れを、断ち切られたのだ。

 ガードではなかった。さりとて打撃でもなかった。イシグロは、一歩たりとも退いておらず、真正面から黒豹の拳を受けていた。紛れもなく、合理の結実として。

 それ、即ち……!

 

「マ・ワ・シ・受ケ……」

 

 ここではない異界にて、大陸を渡り、小国で栄え、やがて世界に冠たる技術体系と成った武道が存在する。名を空手と言う。

 イシグロの用いたソレは、空手道を代表する防御技にして、一生かけて練り上げ続ける基礎中の基礎。【弾き返し(パリィ)】でも【受け流し】でもない。地球由来の防御の神髄と、英雄を祖とする御業のハイブリッド・テクニック。

 

 空手道×嵐極拳。

 名付けて、“異界炉魔空手(イカイローマカラテ)”。

 この瞬間、異世界武術界の関節が外れた。

 

「見事なッッッ……!」

 

 来賓席にいたライドウが感嘆する。同時、時が動き出した。

 

「ぐふっ!?」

 

 受け手と逆の発勁拳が、黒豹の腹に突き刺さる。

 ゲーム的に言えば、初撃のダッシュ攻撃をカウンター技で狩られたようなもの。故にダメージは軽微だが、男は地を滑って後退した。意識は刈られていない。動かねば、退かねば。咄嗟の判断で黒豹は身を屈めて頭部を庇った。一刻も早く復帰して、再度流れに乗らねばならぬ。

 しかし、既にイシグロは必殺の構えに移っていた。ダンッ! 戦の舞台が揺れる、極端な踏み込み、音より疾く。武闘家系能動スキル【震脚】と【軽功】、それから嵐極拳の直線機動の合体歩法。彼我の距離を消し飛ばす間、矮小なる拳士は攻撃姿勢で懐に潜り込んでいた。

 

「イィヤァァァーッ!」

「アバーッ!」

 

 嵐極拳・発勁突き。

 最短最速最高効率の直突きが、男の腹にめり込んだ。先の被弾部位と同箇所に、それは直撃(クリーンヒット)した。

 黒豹男は場外に吹っ飛び、観客席の壁に激突した。激しい破砕音、堅牢な壁にヒビが入っている。撃ち抜く拳の直線上、男は白目を剥いていた。

 

「勝負あり!」

 

 ジャアアアアン! 黒豹の状態を確認し、試合終了の銅鑼が鳴る。

 構えを解いたイシグロは各方向に一礼し、しめやかに舞台を降りていった。

 

 異界炉魔空手。これは予選では見せなかった技だ。本戦で披露する為に温存していたのである。

 ゲームでも何でも、勝つだけならば分からん殺しが最適解なのだ。

 

 勝利の余韻も冷めぬ頃、次の対戦カードが露わになる。

 そこには、第一試合と同じ名前が載っていた。

 

「拳士イシグロ、前へ!」

「はい」

 

 嵐極拳は四人一組、故に拳士は何度も出る。

 事前の申請通り、連戦だ。イシグロは、全員叩きのめすつもりだった。

 流れは掴んだ。

 

「イシグロさん、よろしくお願いします」

「ああ、任せろ」

 

 何故、イシグロが前に立つか。それはユゥリンを消耗させない為だ。

 常識に照らし合わせれば、連戦など考えられない。だが、イシグロには分からん殺しで勝ち抜ける自信があり、例え対処されても別の手札の用意もあった。

 それに何より、ロリの前に立つロリコンは世界最強なのである。

 

「何だ今の技は? 反則ではないのか、それは」

 

 相対する拳士が問う。

 イシグロは、あえて再び空手を構えた。

 

「我が異界炉魔空手は魔技。全身の骨を折り殺してやる。死に際、貴様らは俺に哀願する。いっそ殺してくれとな」

 

 あえて、見得を切る。注目を集める。

 これでいいのだ。

 

「嵐極拳の技じゃないのか」

「……噛みまみた、嵐極拳です」

 

 締まらない男だった。

 

 

 

 

 

 

 準々決勝での嵐極拳チームは、全ての試合をイシグロが戦って勝利を得た。

 武器有りの試合では剣を使って堅実に倒し、魔法有りの試合では【魔力の盾】で【弾き返し(パリィ)】して会心(クリティカル)からの致命(フェイタリティ)で撃破。一応、どれも嵐極拳の動きではあった。

 武芸百般。観客席の誰もがそう思い。こうも思った。もうあいつ一人でいいんじゃないかな。

 

「え~、ルールの変更をお知らせしま~す。準決勝以降、一度戦った拳士は二回休む事になりました~」

 

 案の定、準決勝ではルールの変更が通達された。

 前代未聞の一大事、準々決勝第一試合の拳士チームはイシグロ一人に倒されたのだ。これは“強い弟子の育成”という武帝祭の趣旨から外れている。加えて言えば、尋常なルールで戦っているとはいえ、ある意味クーシェン武術界に傷をつける行いではあったのだ。

 しかし、民からしたら知らんし痛快じゃんって感じである。イシグロは民の英雄(ヒーロー)となり、武侠会の敵役(ヒール)になっていた。

 

「拳士グーラ、前へ!」

「はい!」

 

 準決勝、第一試合はイシグロが勝利し、次はグーラが呼び出された。

 素手限定、武器も魔法も禁止の硬派ルールだった。

 

「勝ったな……」

「のじゃ」

「ていうかワタシより普通に強いですもんね。グーラさんの嵐極拳……」

 

 イシグロ以外なら勝ち目がある。素手限定なら普通に勝てる。相手チームは、そう思っていた事だろう。しかし、現実は違う。むしろ逆だ。

 こと格闘戦において、グーラはイシグロ一党にて最強なのである。

 

「ぐばぁーっ!」

「え? あ、勝負あり!」

 

 銅鑼が鳴って一秒後、対戦相手は負けた。遅れて再び銅鑼が鳴り、負けた拳士に治癒師が集る。

 ゲルトラウデをして、天才と言わしめたグーラである。ユゥリン達が迷宮に行っている間、ずっと鍛錬してきた結果、ただでさえ強いグーラパンチは発勁を覚えた事で超強化され、アーツとクイックとバスター攻撃の全てに防御無視効果がついちゃったのだ。大剣だけでなく、素手攻撃までガー不になったグーラの明日はどっちだ。

 

「イリハ、頼んだぞ」

「任せるのじゃ」

 

 イシグロとグーラが出た後、ついにイリハの番が回ってきた。

 勁鱗の習得こそ一番だったが、彼女は素手格闘よわよわ勢を自称していた。実際、舞台の上で相対した拳士は「流石に勝ったかな」と安心していた。

 しかし、やりようはある。

 

「【烈風勁(レップーケイ)】! 【烈風勁】! 【烈風勁】! 【烈風勁】! 【烈風勁】! 【烈風勁】! 【烈風勁】!」

「ちっ、近付けねぇーッ!」

 

 弾幕ゲーである。

 下から上へ、イリハがブゥンと手団扇をすると、彼女の手の軌道に沿って地を這う飛ぶ発勁が放たれていた。

 名を【烈風勁】。完全に格ゲーの飛び道具である。対戦相手は防戦一方で、舞台狭しと駆け回って凌ぐのに手一杯といった様相だ。

 

 格闘が苦手なら、格闘戦なんてしなけりゃいいのだ。

 ユゥリン曰く、発勁を飛ばすのは「奥義中の奥義なんですけど……」らしいが、技の難易度など所詮は主観によるもので、習得速度には個人差があるのだ。その点、イリハからすると発勁突きより発勁飛ばしのが楽だったという話である。

 

「【二連烈風勁(ダボゥレップーケイ)】ッ!」

 

 大技発勁が解放されると、ニヤリと笑った対戦相手は手刀を構えてシュバッと跳びあがった。

 

「かかったなアホが!」

 

 ゴゴゴゴゴ……! 凄まじい気迫を伴い、空中クロスチョップがイリハに迫る。

 だが、イリハの方こそこの瞬間を待っていたのだ。

 

「嵐極拳、奥義……【嚇怒疾風勁(レイジングバーストストリーム)】!」

「なにっ、ぐわぁあああああ!」

 

 瞬間、イリハが纏う勁鱗から全方向に高出力発勁が噴出した。

 会心直撃である。空中にいた拳士は火山の噴火に飛び込んだ蠅のように撃ち落とされた。

 飛び道具で浮かせて、対空で狩る。格ゲーの基本である。

 

「まだまだぁ……!」

「【烈風勁】! 【烈風勁】! 【烈風勁】! 【烈風勁】! 【烈風勁】!」

「それしか出来ねぇのかクソ狐がぁああああ!?」

 

 そこからは、もう滅茶苦茶な発勁連打である。

 やがて飛ぶ発勁は重なり合って山となり、大きな大きな発勁となった。

 

「【真空・烈風勁】ッ……!」

「そんな! 悪夢だぁあああ!」

 

 発勁によるゴリ押し。

 これも嵐極拳である。

 

「勝負あり!」

 

 銅鑼が鳴る。唖然とする敵チームの前で、イシグロが立ち上がった。

 

「よし、行ってくる」

 

 イシグロが出る。観客は盛り上がり、来賓席のアリエルは済まし顔のまま内心でペンライトを振っていた。

 本戦は最短五戦でカタがつく。つまり、最速あと二回で終了だ。どうあがいても分からん殺しのイシグロと超暴力のグーラが出て来るのだ。相手チームは絶望した。

 そして、準決勝もまた、ユゥリン抜きで勝利した。

 

 二連続の最短試合。

 残すは午後の部、決勝である。

 

「勝つぞ、ユゥリン」

「はい。この為に、頑張ってきたんですから、最後はワタシが勝たないと……」

 

 言って、ユゥリンは武王達のいる来賓席を見上げた。

 そこに、姉の姿はなかった。

 

 決勝にて、見える予定である。







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