【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚   作:いらえ丸

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 感想・評価など、ありがとうございます。気持ちが上がります。
 誤字報告もありがとうございます。感謝です。助かってます。

 前話にて、頂いた支援絵を掲載しています。まだご覧になっていない方はぜひ。

 アンケートのご協力、ありがとうございました。
 結果、エリーゼは特殊職ルートとなりました。

 感想欄を拝見して、いくつか「これいいなぁ」というアイデアがあったので、近いうちにそれのエピソード挟みます。
 今回のアンケでも参考にしたものがあります。

 話が進まないのは仕様です。本作はまったり進行していきます。


ロリでリテイク

 俺が転移したこの世界は、まさにオタクくんが夢見るファンタジー世界といった雰囲気の“ザ・異世界”だった。

 

 石造りの建物に石畳。移動手段はもっぱら徒歩か動物で、車やバイクや飛行機なんて見たことない。

 そこに住む人類は皆さん二足歩行のヒトガタ動物。エルフやドワーフやケモミミ美少女とかがわんさといる、割とカジュアル寄りのファンタジーだ。

 

 ファンタジー系の異世界。そこには、剣と並んで欠かせないモノがある。

 魔法である。

 

 魔法……というと、どのようなものを想像するだろうか。

 杖振ってポンと出す感じの奴だろうか。オサレな呪文を詠唱する感じの奴だろうか。あるいは念じれば出る感じの奴だろうか。

 実際、その扱いは作品によりけりだ。

 

 この世界の魔法は、割と頭を使う感じに近い。

 別に何やかや計算してやる訳じゃなく、その発動には明確なイメージが必要であるという話だ。ちゃんと想像して、その上で杖なり手なりから魔法を出すのだ。

 

 実際は他にも色々あるらしいが、俺ら冒険者が使う戦闘用魔法は「イメージ+詠唱+魔力」で発動する、割とコンパクトな感じの奴である。

 例えば、最も単純な魔法である“魔力の礫”。これは野球ボールサイズの青白い魔力弾を放つ魔法で、威力は低めで燃費のいい奴だ。実際結構使える。熟練の魔術師も愛用しているくらい使用者の多い人気魔法である。

 で、これを使うにはまず、頭の中でその魔法ができる様子を考える。つってもそこまで詳細じゃなくていいし、元素だの何素だのといった知識もいらない。魔力で出来た青白い球……でOKだ。それから魔法の名前を詠唱し、杖なり手なりから出すのである。ポーヒーってな具合に。

 最初は難しかったが、慣れたら他の事考えながらでも出来るようになった。何も考えなくてもティッシュぐるぐるにしてボール作れる感じである。 

 

 魔法の発動に慣れてくると、アレンジを利かせる事もできるようにもなる。これは“熟練度”が上がってからの話だな。

 例えば、俺が愛用している“清潔”という魔法。これは最初は一定範囲を綺麗な状態にするという魔法なのだが、熟練すると何処をどのようにどれだけ綺麗にするかを指定できるようになる。

 床に味噌汁を零したとする。普通に使うと、味噌汁が消滅して床が綺麗になる。ついでのように範囲内の床の汚れも全部綺麗になる。熟練した状態で使うと、味噌汁の汁部分だけ消して中の具をそのままにする事もできる。なお具は床で汚れる。これもイメージが大事だ。

 そんな感じだ。どんな感じだ? 我ながら分かりづらいが、まぁ大体そんな感じである。

 

 さて、このような魔法を使うにあたり、使用者の負担を減らしてくれるアイテムがある。魔法触媒だ。

 魔法触媒、杖がそうである。別に杖だけって訳じゃない。神殿では魔導書っぽいの持ってる人もいたし、同じ杖でも長いのとか短いのとか、木製とか銀製とかのもあった。中には箒持ってる人もいたな。 

 

 別に杖がなくても魔法は使える。俺も億劫な時は手で使う。けど、多くの魔法職は杖を持つ。その理由は単純で、杖が魔法の発動を補助してくれるからだ。

 色々原理があるらしいが、要するに能力補正が乗るか乗らないかだった。手だと知力も魔攻も補正ゼロでおまけに燃費も悪いのだ。

 戦いで魔法使うんなら、杖ありにしない理由はそんなにない。

 

 話は変わるが、この世界での魔法は魔法使いだけの特権という訳じゃあない。貴族じゃなくても、まして魔術師じゃなくても使える奴は普通に使える。

 冒険者以外にも野良魔術師はそれなりにいるし、非戦闘員でも工事現場とか医療の現場とかで働いていたりする。そうでなくても、それなりの料理屋には火起こし魔道具があるし、高級料理店の店主なんて炎魔法使いながら料理してたもんね。

 他にも、牧場で穫れたミルクを魔法で保存する人がいたり、馬車と馬にバフかけて高速移動する商人がいたり、魔法使ってパフォーマンスする芸人もいたりする。

 

 この世界、人々の日常と魔法の間には切っても切れない縁があるのだ。

 おかげで現代人でも不便なく過ごせている。

 ありがたい事ですね。

 

 で、だ。

 

 一般人が使える魔道具があるという事は、魔道具を作る人がいる訳で、そういう人らは俺が使ってるみたいなコンパクト魔法とは少し違う体系の魔法を使うらしい。

 詳しくは知らないが、なんか普通の道具に文字とか何とか描いたり色々やったりして、魔道具を作るんだと。

 

 これに関しては、俺はさっぱりだ。

 原理は分からんが、便利だから使っている。

 そういうもんだろう。

 

 

 

「へっへっへっ、お久しぶりでさぁ旦那!」

「お久しぶりです、アダムスさん」

 

 鍛錬場で汗を流した日の翌日。

 エリーゼの専用武器を注文する為、俺たちはアダムスさんの店に来ていた。

 

 数日ぶりに会った――前に完成前の剣を見せてもらったのだ――武器工匠のアダムスさんは、相変わらずイケメンイケボイケエルフであった。

 そして、相変わらず映画の中盤で死にそうな商人キャラのような雰囲気をしていた。

 

「ご注文の剣はもう少し時間がかかりますぜ。今ちょうど“研ぎ”の段階でさぁ」

「ありがとうございます。今日は別の件で来たんですけど……」

「ほう、そうですかい。するってーと、後ろのお嬢ちゃん絡みかい?」

 

 言うと、ドワルフ――ドワーフみたいな雰囲気のエルフ――さんは俺の後ろで優雅に佇むエリーゼに視線をやった。

 視線に気づいたエリーゼは一度俺を見た。頷くと、これまた優雅に尊大に胸を張った。

 

「我が名はエリーゼ。イシグロ・リキタカの第二奴隷よ。姓はないわ」

「へっへっへっ、これはご丁寧にどうも……。竜族の奴隷たぁ、あっしぁ初めて見ましたぜ」

 

 ドワルフはその美しい双眸を細めてエリーゼを見ていた。いや、見ているのは彼女の角だ。彼にしては珍しく、ちょっと不躾な視線である。

 謎視線を向けられたエリーゼは、少しむすっとした顔になっていた。

 

「あの、エリーゼが何か?」

「おぅ、こいつぁ失礼。へへっ、見ての通りあっしぁ森人(エルフ)ですんで、こうもぎっしり詰まった魔力を見ると、目ぇ奪われちまうんでさ」

「そうでしたか」

「しかも銀髪ときた……。へへっ、これぁとんでもねぇ掘り出しモンだな、旦那」

 

 魔力感覚に敏感だというエルフには、何か感じるものがあるのかもしれない。

 実際、ルクスリリア視点のエリーゼは「なんスかね、もう全身から魔力がドバドバ出てる感じッスかね?」らしい。人間の俺にはよく分からん。

 

「で、本日ぁ竜族のお嬢さんの武器の注文って事でいいんですかい?」

「ええ、そのつもりです」

「へっへっへっ、竜族の使う武器ですかい……。で、何を使うんで? 剣かい? 杖かい? 竜族の武器たぁ、光栄な事でさぁ」

 

 と、何故かテンションを上げるドワルフ。

 多分、ドワルフさん的にはエリーゼは凄腕の魔術師か何かに見えてるんだろう。

 強者用の武器を作るのが好きらしいドワルフさんだ、エリーゼには相当な期待をしているのかもしれない。

 

「実は……」

 

 なので、少し申し訳ない気持ちになりつつ、エリーゼの事情についてお話しした。

 この通り魔力はあるが魔法は使えない事。その為に、“魔法装填”に特化した武器が欲しいんだよという話。

 俺が語る後ろで、エリーゼは腕組み姿勢で優雅に立っていた。ルクスリリアはこの前見せてもらった本を読んでいた。

 

「……という事なんです」

「はは~ん、そいつぁまた難儀な……あ、失礼。まぁそうでもねぇと説明つかねぇ魔力ではありますわな」

 

 うんうんと納得するドワルフ。

 曰く、エリーゼの魔力量は天才と一言で片づけるには首をかしげちゃう程らしい。世にはそういうトレードオフの才能の例がそれなりにあるんだとか。

 

「魔法装填特化武器ねぇ……。作った事ぁねぇが、そりゃできますぜ。へへっ、いやぁ燃えるじゃあないの」

 

 と、背もたれに体重を預けていたドワルフは、身を乗り出すようにして受付机に肘を置いた。

 

「まぁ詰める前に、まず“魔法装填”について話しとかねぇと不誠実ってモンだわな。旦那ぁ件の補助効果についてはどんくらいご存じで?」

「そうですね……」

 

 訊かれたので、俺が知っている範囲の事を話した。

 ルクスリリアの深域武装について、それに装填された魔法について。あと、後に少し調べて分かった範囲についてだ。

 

「……と、こんくらいですかね」

「へッヘッへっ、旦那ぁ勉強熱心でいらっしゃる」

 

 説明を終えると、ドワルフさんは感心したような声を上げた。

 

「まあ、そんだけ知ってりゃ話は早い。少し待っててくだせぇ」

 

 言うなり、席を立ったドワルフは店の奥に引っ込んでいった。

 しばらくの後、お盆の上にいくつかのアイテムを載せて戻ってきた。

 テーブルに置かれたお盆には、指輪とか短剣とかが載っていた。後ろのロリ二人も興味深げにお盆を見ている。驚くべき事に、その全てにうっすら魔力の反応があった。

 

「あー、ご存じの通り、魔法装填ってのぁ使う奴の業前に関係なく、魔力さえ籠めりゃ魔法を発動してくれる代物でさぁ。どんなへなちょこでも、どんな馬鹿でも、それなりの魔法を発動させる事ができる。その分、本職にゃ敵わねぇが、それでもあると便利ですわな」

「そうですね」

 

 いつものオタク語りをしつつ、ドワルフはお盆の上から一つの指輪をつまみ上げ、俺に差し出してきた。

 それは特に装飾のないシンプルな指輪で、美術品といった雰囲気のものではなかった。

 

「これは知り合いの魔工師が作った魔法の籠った指輪でさぁ。中にゃ“魔力の盾”が籠ってる。試しに使ってみてくだせぇ」

 

 促されるまま指輪をはめる。サイズは合っていなかったが、魔法のおかげでスルッとフィットした。それから、誰もいないトコに掌を向けて魔力を籠めてみる。

 すると、少しの魔力を消費し、青白い半透明の円盾が生成された。サイズはキャプテン・アメリカのアレくらい。覚えてはいるけどあまり使った経験のない“魔力の盾”だ。

 

「えー、なんかショボくないッスか? これならアタシが適当に素手で作った奴のが強そうッス」

「そうね……」

 

 けれど、俺が使った事のある盾と違い、気持ち多く魔力を消費したし、それになんか脆い気がする。その辺のワンちゃんエネミーの突進一発で壊れそうだ。

 

「次はこっちを使ってみてくだせぇ。中身は同じでさぁ」

「はい」

 

 さっきの指輪を外して、新しい指輪をはめる。それからさっきと同じように魔力を籠めてみた。

 すると、さっきと同じくらい魔力を消費し、さっきよりも頑丈そうな円盾が生成された。

 

「こっちの方が強靭ね」

「エリーゼにはそう見えるの?」

「ええ、魔力が綺麗に流れているわ」

 

 指輪を返すと、ドワルフは得意げな表情になって語った。

 

「この通り、同じ指輪で同じ魔法、同じくらいの魔力消費でも、モノによってはその効果の程は全然違うんでさぁ」

「それは何故ですか?」

「そりゃ勿論、魔工師の腕よ」

 

 言って、ドワルフは弱い方の指輪と強い方の指輪をそれぞれ別の手でつまむと、見えやすいように示してみせた。

 

「こっちの弱ェのぁ駆け出しのヒヨッコ魔工師の作。で、こっちの強ぇのが、熟練のモノホン魔工師の作。同じだけの魔力消費でも、職人が違えばダンチなんでぇ」

 

 よくは分からないが、なんとなくは分かる。

 要するに、同じ材料同じ器具同じ場所でも、料理人の腕が違えば作るご飯のおいしさが違うみたいな話だろう。

 どうやら、ファンタジー世界の魔法も熟練作と駆け出し作じゃ雲泥の差があるらしい。文字通り、レベルと熟練度が違う訳だ。

 

「魔工師の善し悪しは、籠められる魔法の種類とか威力とかまぁ色々で決まりますがね……。やっぱ、一番腕が出るのは魔力の消費量ですわな」

「なるほど……」

 

 これも、なんとなく分かる内容である。リソースの使い方の上手さって事だろう。

 それで言うと、弱いヒヨッコ指輪が消費5効果4。強いモノホン指輪が消費5効果8みたいな印象である。

 買うなら断然後者だし、前者は使いたくない。ありゃ盾というより傘だ。

 

「で、だ。中にはこんなのもあるんでさぁ。中身は同じ、職人もモノホン。どうぞ使ってみてくだせぇ」

 

 納得していると、今度もさっきと同じデザインの別の指輪を渡してきた。第三の指輪である。

 指輪をはめ、使う。すると、一瞬頭がクラッとするくらいの魔力を持って行かれ、“魔力の盾”が発動した。

 

「おぉ……なんかスゲェっす!」

「ええ。けれど、随分と雑ね……」

 

 発動したのは、確かに魔力の盾だった。

 しかし、その魔法盾はさっきのとは段違いにサイズが大きく、堅さも違う。色は同じ半透明の青白い盾だが、その表面にはバチバチと稲妻みたいなのが迸っている。いかにも強力そうである。

 ヒヨッコ盾がサランラップだとしたら、この盾は戦車の装甲だ。それくらい違う感じがする。これならダンジョンのボスの攻撃を受けても普通に保ちそうだ。

 凄い、凄い魔法である。けど……。

 

「うっ、これはキツい……」

 

 それにしたって消耗が激しい。

 気分が悪くなった俺は、さっさと指輪を外した。

 確かに凄い堅そうな盾を生成できたが、それでもこれは消費がデカ過ぎる。さっきの例えでいうと、消費100で効果50といったところか。実際、さっきの一回でMPゲージの三分の一が無くなった。マジか……。

 

「へっへっへっ、こいつぁまぁ所謂失敗作なんですわ。なんか、大事な工程の最中にくしゃみしちまったとかで……」

「なんでそんなものを……?」

「おもしれぇからよ」

 

 そう返したドワルフの瞳は、前世でよく見た類の輝きを放っていた。

 まるで、水星の魔女の話をするガノタの様。あるいは新作ガンプラの可動域のすばらしさを語るガノタの様。もしくは如何に初代ガンダムの脚本構成が優れていたかを熱弁するガノタの様。

 熱く、重く、とても楽しそうな、キラキラした瞳をしていたのだ。

 

「面白い、ですか……」

 

 言われてみて、俺もちょっと分かるマンと思った。

 指輪の性能はともかく、確かに面白い。何が面白いかというと、この“魔法装填”という補助効果の仕様がだ。

 

 要するに、この“魔法装填”というのは、ゴッドイーターのバレットエディットに近いものなのだと思う。

 最小の消費で、最大の効果を発揮できるよう試行錯誤する。腕前や工夫次第で、同じ魔法でも強弱や大小を設定できる。あっちを立てればこっちが立たず……。魔法の数値を弄って自分好みにカスタマイズしているのだ。

 え、なにそれ面白そう。やってみたいな……。

 

「わかる」

「へへへへっ、でしょう!?」

 

 一個目と、二個目と、三個目の指輪。同じ魔法で、違う効果。どれだけ数値を弄れるかはリソース次第、と……。

 なるほど……。

 

「そう、つまりだ! 魔力消費さえ気にしなけりゃ、モノホンの大魔術師が日に一回しか撃てねぇような大魔法だって……!」

「エリーゼなら、連発できる……」

「おう! へへへっ、さすがイシグロの旦那だ、話がわかる!」

「しかも魔法装填の仕様上、待ち時間中も違う魔法を撃つ事ができる……!」

「それも大魔法をでさぁ……!」

「……ええやん」

「でっしょー!?」

 

 俺とドワルフさんは、意気投合してテンションをぶち上げた。

 それはさながら、ニンテンドーダイレクトを一緒に見た友人同士の様。おもしろそう! わかる! ならアレもできるのかな? それいいねぇ! である。

 

「ご主人って、ああいう話好きなんスよねー」

「そうね、楽しそうだわ……」

 

 背後から、愛しのロリ奴隷の呆れたような会話が聞こえてきたが、その時の俺には全く響かなかった。

 だって、俺は俺が馬鹿な自覚があるもの。

 

 

 

 その後、例によってドワルフさんとのお話は長く続いた。

 途中、奴隷二人に小遣いを渡して適当に飯を買ってきてもらい、皆で食べたりした。

 

「これは、食器も無しにどう食べるのかしら?」

「そのままかぶりつけばいいんスよ」

「そう……。少し恥ずかしいわ……」

 

 という、エリーゼのお嬢様ムーブイベントなどもありつつ、食後もエリーゼの専用武器についてああでもないこうでもないと盛り上がった。

 素材については、前回持ってきたはいいものの使う事のなかった輝銀魔石(シルウィタイト)を使うとして、最も時間を食ったのは装填する魔法についての話題だった。

 

 最高の素材で作るとしても、装填できる魔法の数にはそれなりの制限があった。

 魔法用武器で、強い魔法なら6つ、弱い魔法なら8つ。近接戦で使うんなら強度の関係で4つが限界。小さい近接武器なら2つが限界だった。

 せっかく作った専用武器は大事にしたいので“自動修復”を付けるとして、それ以外の補助効果の付与はできそうにない。もしするとしたら、魔法の数を減らす必要があると……。

 

「俺としては、各属性の追尾系魔法をガン積みした奴がイイと思うんだよね。ミサイルカーニバルのロマンって奴で」

「いいや、ここはひとつの属性の魔法を全部載せした特化型がいいでしょう。属性特化のロマンでさぁ」

 

 と言った感じで、食後も色んな話をした。

 装填する魔法について、形状について、その他色々……。

 

 なんか、久しぶりにこういう話をした気がする。

 喧嘩みたいになっているが、喧嘩ではない。

 前世ではよくあった、好きなモノのプレゼン合戦である。

 お互い、こういう言い合いを楽しんでいるのだ。

 

 やっぱ、好きなモノについて語り合える相手がいるのは良いものだと思う。

 

 

 

 結局、帰る頃には夕方になっていた。

 前はスキルについて話すだけだったが、今回は魔法なり形状なり話題が多くて時間がかかったのだ。

 それとついでのように例の戦車装甲指輪も購入した。一度エリーゼに試させてみたら、全然余裕だったのだ。俺もドワルフもルクスリリアもドン引きした。

 

「ずいぶんと楽しそうだったわね」

「ごめんごめん……」

「皮肉じゃないわ……」

 

 暇過ぎて眠ってしまったルクスリリアをおんぶしつつ、帰路を歩く。

 隣を歩くエリーゼは。会議中武器の話題に乗ってくる事はなかった。自分が使う武器だというのに、あんまり関心がなさそうだったのである。

 

「でも、ホントに良かったの? 形も魔法も俺等で決めちゃって」

「いいのよ……」

 

 言って、エリーゼは俺を見上げた。

 いや、見ているのは俺ではない。俺におんぶされたルクスリリアの寝顔だ。

 

「私も、アナタから貰いたいのよ」

 

 そういえば、深域武装欲しがってたもんな。

 つまり、欲しかったのはあの大鎌ではなく……。

 

「ああ、なら……」

「次は、ルクスリリアに何か買ってあげて。この子が喜ぶ物を……」

 

 言いかけた俺の言葉を制するように、エリーゼは言葉を重ねた。

 

「竜族は欲しがりだけれど、何より身内を大事にするのよ……」

 

 その言葉を聞いて、俺は何だか嬉しくなった。

 俺が求めているのはロリハーレムだが、決して大奥みたいなものを築きたい訳ではないのである。

 可哀想なのは、嫌だ。

 

「そうする」

「そうなさい」

 

 帰り道、夕陽の街に三人の影が重なった。

 

 趣味を語り合う友も素晴らしいが、それはそれ。

 やっぱりロリは最高である。




 感想投げてくれると喜びます。


◆エリーゼと世界設定の情報補足◆

・魔法職になっても、魔法は使えない。
・レベルアップで習得する、魔力を消費するスキルは使用可能(手当て等)。
・この世界に銃はありません。銃の形をした杖なら作れるが、魔力を籠めた魔弾は不可能、
・武器と認識されないものは、モーションアシストの恩恵を受けられない。
・魔法装填に籠められる魔法は、職人の腕前次第。その職人の力を超えている魔法は装填不可能。
・魔法を装填できる物は、基本的に「武器・防具・装飾品」の三つ。




【挿絵表示】




 ぴょー様より、素敵な支援絵を頂きました。
 イイ、実にイイ……。
 あ^~、心がぴょんぴょんするんじゃ^~。
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