【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚   作:いらえ丸

288 / 322
感想・評価など、ありがとうございます。お陰で続けられております。
 誤字報告もいつもありがとうございます。本当に感謝しています。
 キャラ・ボスのご応募もありがとうございます。

今回は一人称、イシグロ視点です。
章始めなので一応こういうエピソード入れといた方がいいかなって思いました。よろしくお願いします。


六年目・英雄達のハネムーン編
はじめの1211段


 街が熱い。暑いじゃなく熱い。

 もはや熱い超えて痛いまである。

 

 ラリス王国には春夏秋冬が存在する。異世界の暦では、現在は初夏のはずだ。だというのに、今日この日の気温は下手な真夏日を超えているではないか。完全に異常気象のソレである。

 

 妖血娘真祖化計画の為、冬からこっち物資運搬中以外は常に涼しい地下ネザーレで過ごしていた分、夏の王都は水路の多さも相まって蒸し暑くって仕方がなかった。

 加えて言うと、王都の人口密度は上下を含めたネザーレを優に超えているので、空も大地も熱源のオンパレードの様相だ。

 俺を含め、皆してフラフラになりながら家路についた。実際には銀細工ボディ故に肉体へのダメージは殆ど無いのだが、こうも人が多いと精神的にダメージを負ってしまう。やっぱ慣れってあるんすね。

 

「フゥゥゥーッ! 久しぶりの我が家! ただいま帰ったッス~!」

「手洗いうがい、そんで冷房を付けよう。エリーゼ、魔道具に魔力溜めてくれ」

「分かったわ」

 

 そんな訳で、久々に借家に帰還して早々に暖炉型冷房魔道具を起動。イリハの風陰陽術を併用したらば、部屋は一気に涼しくなった。

 クーラーを付けた部屋にいる時の、この夏特有の安堵感よ。そんなはずもないのにHPが全快していく心地である。

 

「あぁ~、生のこの冷房感覚! てゆーか今日暑過ぎない? これも旧魔王軍の仕業に違いない! ゆ゛る゛さ゛ん゛!」

「いやいや、今年の夏は特別暑いってだけやで。酷暑夏っちゅーてな、周期的にそうなっとるんや。天文台は十年前から予測出し取ったよ」

「そうなのね。私は竜族だから平気だけれど、皆はどうかしら?」

「ん、問題ない。天使族は太陽と共に在る」

「暑いの自体は平気ッスけど、こうも蒸し蒸ししてると何となく怠いんスよね~。なんかこうスッキリしたもんが食いてぇッス。淫魔氷菓とか」

「いいですねぇ氷菓、ぜひとも涼しい部屋で頂きたいです。あ、ボクも平気です。炎と雷の魔族なので」

「狐のわしはもう無理じゃ。ちょっと歩いただけで心身の力の全てが失われたのじゃ。誰かキンキンに冷えたお茶を持ってきてほしいのじゃ~」

「森人のアタイも限界でぇ。こういう日は近くの川で水浴びしてたもんだがよ。つーかユゥの字は平気そうだな。お前さんも獣人だろ」

「甘いですねぇ。ワタシは全身に麒麟鱗と勁鱗を二重に纏っていたので、日光も湿気も余裕でした。嵐極拳は生活の質を上げてくれますよ。レッツ功夫」

 

 なんて話しつつ、各々リビングでぐったりし始める。

 最も涼しい冷房前ソファーをイリハとシャロが占領し、リリィとレノとユゥリンはダイニングテーブル。他方、グーラは安楽椅子に座って分厚い本を開いていた。

 

「なら、私はここに座ろうかしら。いいでしょう?」

 

 よっこらせっと俺もソファー横のチェアに座ると、我が膝にエリーゼが腰を下ろしてきた。

 彼女の玉肌はヒンヤリしてて実に気持ちがいい。癒やされるんじゃ。

 

「ふふっ、昔を思い出すわね……」

「そうだな。あんまり汗かいてないけど、大丈夫か?」

「平気よ。何なら、冷え過ぎないよう温めて頂戴」

「おう、そこイチャついてんじゃねぇや~い」

「見てるこっちまで暑くなるのじゃ~」

「羨ましいのかしら? いいわよ、暫くしたら代わってあげても」

「いや暑いから止めとくぜ」

「もっと身体冷やしてからじゃのぅ」

 

 なんか、一気に休憩モードに入ってしまった。

 冷房の利いた部屋の中、皆して全く中身のない会話などしつつ、起きてるんだか寝てるんだかといったダラダラ感の空気を享受する。

 ガチャリ。ふと開かれた扉を見ると、お盆を持ったヘカテーニャが入室してきた。

 

「はい、ど~ぞ。キンキンに冷えたお茶やよ~。例え銀細工でも水不足はマジで死ぬでな~」

「ん、歯磨き粉のいい匂い」

「それを言っちゃあ……」

 

 お盆の上には、二リットルサイズのポットと透明なガラス製のコップが人数分おかれていた。俺達が溶けてた間に薬草茶を作ってくれたらしい。

 香りからしてアイスミントティーだ。歯磨き粉みたいな清涼感が最高っすね。

 

「さってっとぉ! イリハさんが使い物にならなくなってるので、今日の晩御飯はワタシが用意しますね。皆さん、何か食べたいものありますか?」

「「「何でも~」」」

「それが一番困るんですよね、まぁいいですけど。リキタカさん食材出してください。そこから適当に作りますんで」

「あいよ~」

「あ~、アタイも溜まってる机仕事あるんだった。今から集中して片付けるから、晩飯まで声かけないでくれぇ……」

 

 茶をしばきつつ暫し涼んだところで、ユゥリンとシャロは別行動を開始する。ユゥリンは晩飯の仕込み、シャロは溜まってる書類仕事だ。

 カランと、ティーポットの氷が音を鳴らした。穏やかな時間が流れる。穏やかで、涼しくて、少しずつ気力が湧いてきた。

 

「色んな問題解決して家戻ってきたッスけど、ご主人これからどーすんスか~?」

「どうすっかなぁ俺もなぁ」

 

 お茶の効果によるものか、弛緩していた空気がしゃっきりし始めた頃、比較的元気なルクスリリアがダイニングテーブルに突っ伏しながら口を開いた。

 対し、俺の返事は生返事。彼女の言う「これから」とは、晩飯単位ではなく今後の活動についてである。ネザーレを出る前はアレやろうコレやろうと色々言ってたが、具体的にいつどこで何をするか決めていないのだ。

 

「まずは新婚旅行ではないでしょうか? ヘカテの寿命関係で有耶無耶になっていましたし」

「ゴメンなぁ。ウチが来てもうたばっかりに……」

「い、いえ! そういう事を言いたいのではなくて……!」「分かっとるって。やっぱ申し訳ないって気持ちはあったけど、今のはちょっと意地悪してみただけ」

「普通に考えて悪いの旧魔王軍じゃよな~。アレ等がいなければ戦わずに済んだじゃろ」

「そうしたら始祖の血を貰えなかったかもしれないわ。私としては、むしろあんな戦いで終わったのが不満ね。もっと心の躍る戦いがしたかったわ」

「ん、ヘカテもネザーレもリアルイーザ様も救われたから結果オーライ。終わり良ければ全て良し」

「ほんなら今から何したいか纏めるだけ纏めよか。ダーリン、黒板出して~」

「あいよ。エリーゼちょっと退いて」

「騎士らしく抱き上げなさいな」

 

 お望み通り、片手で銀竜を抱っこしながらもう片方の手で収納魔法から黒板とチョークを取り出す。

 面白いもので、収納前に黒板に書かれていた文字は外に出すと消えていた。異世界ライフハックの一つ、アイテムボックス式黒板消しである。

 

「ほな、優先順位付ける前に一旦適当に挙げてこか。とりま新婚旅行は決定として、他なんかある?」

 

 ゴスロリ姿のヘカテが司会進行役だ。黒板前に立った大学教授は、黒板に大きく「新婚旅行!」と書き足した。

 対する皆はというと、学級崩壊したクラスみたいなグデ~っとした態度で先生に注目していた。グーラはちゃんと本閉じててエラいね。

 

「はい先生。リヴクラフトの修理と整備、あと武器開発をすべきかと存じます」

「ダーリンも好きやねぇ。まぁウチ的にはバッチコイやけど」

 

 意見を求められたので、俺は率先して挙手する事にした。

 先の戦いで傷ついたリヴクラフトだが、現地整備こそ施したものの本格的な修復はまだである。加えて言うとエネルギー源たるヘカテの性能も上がったので、それ用の調整も必要だろう。

 欲を言えば、以前は時間がなくて断念したリヴクラフト用武器の開発を進めたいところ。今回の研究資金は自腹だが、レベリングついでに稼げば何の問題もない。

 願わくば俺でも乗れる新型リヴクラフトなんかも作ってほしいところだが、それはまた今度でいいだろう。

 

「はい。真祖の性能検証をしたいです。種族特性とか色々」

「検証すべき~じゃなくて、検証したい~ってとこがマジご主人っぽいッス」

 

 次もまた俺が挙手。

 せっかく真祖になったんだから、真祖に出来ること出来ない事を把握しておきたいよね。何をするにも性能確認は必須だと思う次第。

 

「はい。迷宮行ってレベリングがしたいです。そろそろ魔物を狩らないと鈍るぜ」

「いいじゃない。アナタらしくて好きよ」

「エリーゼが戦いたいだけですよね。まぁ腕が鈍らないようにするのはボクも賛成ですが」

 

 三度目もまた俺である。

 リヴクラフト開発に続いて真祖の性能確認とくれば、迷宮でハック&スラッシュも必須と考えられる。

 俺個人もレベリングしたいし、他の面々もレベリングさせたいんだよな。何気にまだルクスリリア達には二つ名系ジョブが生えてないのだ。

 

「え~っと? リヴクラフトに真祖特性の検証に迷宮探索にっと……これはアレやな、全部王都で出来るな」

「とりまアタシ的には暫くゴロゴロしてぇッス、暑いし。皆もっと他にないんスか?」

「ん、湯治に行きたい。温泉は良い文明」

「そういや前に言ってたのぅ。レノはどこの温泉に入ってみたいのじゃ?」

「や、特にない。けど露天風呂がいい。太陽の下で浸かるお風呂は最高」

「名湯って言うとリンジュですよね。温泉の後に食べるご飯が美味しいんです。山菜、天ぷら、鍋焼きうどん……」

「ええなぁ~。あぁ、一応ウチの実家があったトコは温泉町やで。ユノサキゆーんやけど、行った事ない?」

「ユノサキ! ヴィーカ様が浸かったと言う秘湯があるところですね! 行きたいです!」

「じゃあそこは確定だな。湯巡りの旅もいいと思う」

「リンジュもいいッスけど、ラリスのおすすめとかないんスか? 思えば国内はあんまり行ってないような気ぃするんスけど」

「ラリスは移動の時に宿に泊まる程度だものね」

「ん~、そうやなぁ。ウチ的にはランベール領の魔導都市フォレがおすすめやで」

「魔導都市! そそるぜ、これは……!」

「はて、ランベール? なんかどっかで聞いた名じゃな……」

「ん、デアンヌの家の領地。フォレには行った事ないけど他の町に寄った事はある」

「その魔導都市はどういうところがお勧めなのかしら?」

「あんな? 魔道具がな? ヤバいねん! ランベール魔術大学に何回か講師として呼ばれたんやけど、あそこの魔道具技術はお世辞抜きで世界一やで。魔法史館とかランベール大図書館とかあったり、文化的にも色々進んどってな。治安もええし」

「だ、大図書館ですか……!」

「ヘカテって魔術の事になると早口になるッスよね」

「いいね、そこも行こう。ところで、フォレには転移神殿はないの?」

「普通にあるはずやけど、それがどないしたん?」

「いやさ、そこにどんな迷宮があるのか気になるじゃん。まだまだ戦った事ない魔物とかいるだろうし、潜ってみたいなって。実はネザーレの転移神殿も気になるんだよなぁ」

「はえ~、迷宮狂いここにありやな」

「主様は実戦経験を重視しておるでのぅ」

「あ、旅行の前に最上位迷宮も潜っときたいな。勘が戻ったら皆で潜ろう」

「私はいいけれど、それは何故かしら?」

「いつヘカテに成長限界来ても大丈夫なように、星髄石を確保しとかないと」

「め、迷宮狂いここにありやな……」

「安心してくれ。潜るのはスタメンで行くから。ヘカテのレベリングは段階的にやってくよ」

「迷宮って潜った人の半分が死ぬ超危険地帯のはずなんやけど……」

「それは素人込みの統計だったはずです。銀細工だけの生還率はもっと高かったかと」

「旧魔王軍が暗躍しとるからのぅ。主様が力を求める気持ちはよう分かるのじゃ」

「そっか。皆を想っての事なんやね。えっと、何の話やったっけ?」

「ん、今後のスケジュール」

 

 そんな感じで、ファーストペンギンの後は次々とやりたい事が挙げられていった。

 たまにシャロやユゥリンがお茶を飲みに戻ってきて、彼女達もやりたい事を軽く書き足して帰っていく。まぁ二人ともコレといった強い願望はなかったのだが。

 

「よし、予定は未定やけど一旦これで決まりやろ!」

 

 箇条書きにしてぐちゃぐちゃになったメイン黒板の内容を、ヘカテ教授がサブ黒板に纏める。

 以下が我が黎明のスケジュールだ。

 

 まずは、王都で出来る事を終わらせる。

 リヴクラフトの調整に、武器の開発。ヘカテ初めてのプールや対人戦訓練等々。

 無論、空いた時間にハクスラもやる。週に一回は単独で潜る。育てたいジョブがいっぱいあるんでぇ。

 

 で、一通り終わったら新婚旅行だ。

 各地の観光名所を見て回り、色んなとこの転移神殿の迷宮を冷やかし、風光明媚な場所でピクニック。秋にはフライシュ祭に行って。冬にはリンジュで温泉巡り。他にも沢山盛りだくさん。

 ハネムーンなんてナンボ長くてもええのだ。急ぐ事なく、ゆったり楽しもう。

 

「ラリスにリンジュにネザーレに淫魔王国に……色んなトコ行くのぅ、ほんに」

「ん? てゆーかディング魔族国は候補にも入ってないッスね。今更ッスけど、何でッスか?」

「あ~うん、まぁ……あそこは旅行向きやないからなぁ」

 

 ルクスリリアの問いに、ヘカテは何とも言えないモニョ顔になった。

 そういえば、ディング魔族国には行った事ないな。本に曰く色んな魔族が住んでるカオス国家らしいが。

 

「ディングはなぁ、なんちゅーか騒がしいトコやでなぁ」

「治安が悪いんでしょうか?」

「それもある。けどウチ等なら何の問題もないねん。ただちょっとこう文化が違うというか、いや技術とかが遅れとる訳やないんやけども、むしろ新しいモンいっぱいあるんやけども……」

「良くも悪くも魔族の国なのね、要は」

 

 事前の情報通り、ディング魔族国は混沌としているようだ。今回はあくまでハネムーンなので、安心安全なところを行こうじゃないの。

 迷宮? あれは旅行資金集めの意味合いもあるから。

 

「さて、いい感じに身体冷えたところで俺もお風呂とか掃除しようかな。肉体強化の為に超越者の【天人合一】使っちゃうもんね」

「本棚を整理したいです。ネザーレで買った本が沢山あって」

 

 快適な環境で明るい未来の話をしたら腹の奥から元気が出てきた。なので行動開始である。

 長い間放置していた分、家中に埃が溜まっているのだ。大掃除は明日するとして、今日は浴場と寝室を中心に軽くね。俺の【清潔】が火を噴くぜ。

 

「はい! 今日の晩御飯は適当クーシェン飯です! だらけてた皆さんへの嫌がらせにコレとコレは激辛なのでぜひぜひ食べて下さいね!」

「先に辛いモンがどれか言っちゃうあたりにユゥの字の心根が出てらぁな」

 

 ちなみに、その日の夜ご飯はユゥリン特製のクーシェン料理だった。

 肉と野菜がレボリューション。久々のロリ中華はめちゃ美味だった。やっぱ、暑い日に辛いモンを……最高やな。

 

「そういえば、ヘカテって魔法薬作れるんだよな。なら調味料とかも作れたりする?」

「できるよ~。ソース作りは実習でもやるしな。学生が作ったソースに合う料理作れっていう食学科の実習なんかもあったりして、結構盛り上がるんよコレが」

 

 そんな風にクーシェン風あんかけ焼きそばを食べていると、ふと前世お世話になったインスタントな焼きそばを思い出した。

 錬金術師兼魔法薬師のヘカテがいれば、これまで手も足も出なかったお好み焼きとかに使うあの黒いソースとか再現できるんじゃないか?

 したら一気に料理のレパートリーが増えるぞ。

 今後はそこらへんにも積極的にチャレンジしていこう。夢が広がりんぐ。

 

「うん、おいしい!」

「あれぇ? 割と容赦なく辛めにしたはずなんですけど、皆さん平気そうですね」

 

 そんなこんな。

 暑い夏を乗り切る為、エネルギーを補給するのであった。

 

 

 

 

 

 

 夜である。熱帯夜である。

 そして、その夜もまた色々と熱かった。

 

 大人十人が眠れる特注ベッドの上には、一人の変態と八人の美少女の姿があった。

 夏というのもあり、皆さんあられもない姿である。今宵は掛け布団いらずだ。

 

「ふへへ♡ カッコよかったですよ、リキタカさん♡ 今宵の月のように♡」

「ホント飽きねぇな亭主殿は♡ こんな身体の何がいいんだか♡」

 

 特大ベッドの中央で、俺は左右の腕にユゥリンとシャロを抱いて仰向けに寝ていた。

 他、下腿はレノの枕になってたりする。現状では寝返り一つ打てないが、銀細工ボディなら疲れが溜まる心配はいらない。余裕である。

 俺はロリにくっつかれると元気になるからな。心身ともに。

 

「好きですよ、リキタカさん♡ ちゅっ♡ 大好き♡ 好き♡ ちゅっ、ちゅぅ~♡」

「まぁ口にするともっかいしちまいそうだしな。おやすみ……ん、ちゅっ♡」

 

 ちゅっちゅっと、左右の頬に交互にキスされる。何だこれ幸せの体現か? 口の端が歪むのを禁じ得ない。

 本当に、異世界来てよかった。これからも頑張らないとなって思うワケ。

 

 異世界転移六年目。振り返れば、随分遠いところまで来たように思う、

 六年、である。JSが最高学年になり、JCが大学受験を前にガチッてる間、俺は只管にロリの尻を追い掛けてきた。

 その事について後悔はない。だが、反省はしていた。

 

「どうしたんですか? リキタカさん」

「いや、ちょっとな……幸せ過ぎて」

 

 思い出すのは、暗夜ネザーレでの戦い。

 マゼンタカラー猫又の奇襲&猛攻で、リアロリーザ様の命を失いそうになった。ロリコンにあるまじき失態である。

 事前に奴の存在に気付いていれば、始祖への不意打ちを防げたかもしれない。事前に人一人抱えて戦う練習を積んでおけばもっと上手く立ち回れたかもしれない。

 失敗したけど、何とかなった。生き残ったから、次はもっと上手くやる。同じ轍は踏まない。俺みたいな無能は、失敗から人一倍多くを学ばねばいけないのだ。

 

 そして、あの時。

 猫又によって窮地に立たされた時、俺は過去最高のポテンシャルを発揮していたように思う。

 過剰集中状態の全能感とも異なる、心身の奥底から溢れる得体の知れない力の奔流。まるで、これまで噛み合ってなかったパーツが一斉に動き出したような、そんな感覚。

 もし、いつでもあの状態になれるなら、今よりずっと強くなれるはず。レベルアップの他にも、まだまだパワーアップの余地があるのだ。

 だから、俺はあの感覚をモノにせねばならない。何をどうすればいいかは分からない。鍛錬法も分からない。けれど、いつか体得してみせる。

 俺は、誓ったのだ。皆の王に、最強のロリコンになる事を。

 

「幸せだからさ。これを守る為に、もっと強くなろうと思っただけだ」

「亭主殿……♡」

「リキタカさん……♡」

 

 よくあるアニソンの歌詞みたいな事を呟いて、俺は二人を強く抱きしめた。

 愛しい人の体温を感じると、よりいっそう決意が漲った。

 

「きひひ♡ な~んかカッコいい感じのこと言ってるッスけど~♡」

 

 ルクスリリアの声。次いで、ちょんと俺の先端に軽いデコピンが直撃する。我が愛すべき愚息はこの世の何よりも雄々しい姿を誇っていた。

 漲ったのは決意だけではなかったのである。ご立派ァ!

 

「ここ♡ 元気にさせながら言う台詞じゃないッスよね~♡ 二人のせいッスよ、もう♡」

「そういえば今日はまだこっち飲んでへんかったなぁ♡ ほな、いただきます♡ はむっ♡」

「ん、わたしは付け根の方♡ 役割分担♡」

 

 あれよあれよと、三人がかりで攻められる。

 徐々に激しくなる水音に反応し、眠っていた面々も起きてきた。左右のASMRに加え、さわさわと乳首も攻められる。

 今宵も長くなりそうだ。

 

 努めて修羅に落ちないよう、いい具合のバランスを保ちつつ、ハクスラ生活を楽しんでこうと思う次第。

 あんまり力んでたら続かないのだ。




 感想投げてくれると喜びます。



 現在、本作に登場するキャラクターを募集しています。
 ご興味のある方は是非、気軽にご応募ください。
 作者のやる気に繋がります。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=296177&uid=59551

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=297167&uid=59551



 こっちも投げてくれると喜びます。

 X(旧ツイッター)はじめました。よければフォローしてやってください。
 更新通知とか、更新の予告とかします。

https://twitter.com/iraemaru




 ちなみに、異世界の冷房魔道具はリアルのエアコンとは仕組みが全く異なります。理科の先生が見たら卒倒するような理屈で涼を得ています。
 この世界では多くの科学チートが無効化される仕様なので、現代知識では無双できません。頭が良い人ほど頭を抱えるかと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。