【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚 作:いらえ丸
今回、無駄に膨らんでしまった。
次回以降はもう少し抑えてスッキリさせたいですね。
光陰矢の如し。
この世界に来てから、だいたい三ヵ月の時が過ぎた。
その間、俺はダンジョンと宿屋を往復し、たまに休んでまたダンジョンという生活を繰り返していた。
まさに、リアルハクスラであった。
すると、あったよこの世界にも冒険者ランクが! との事で、俺はあれよあれよと昇格していった。
異世界お馴染み冒険者証。この世界の冒険者の身分証明証はオバロとかゴブスレみたいなドッグタグ風の紐付き板と、前世でよく見た名刺みたいな奴の二種類だった。
最初、渡されたのはドッグタグ風の奴だけで、なんとみすぼらしい木の板に名前が書いてあるだけのアイテムだった。それが一回昇格しただけで鉄のプレートになり、二回目で少し綺麗な鉄プレートになり、今ではハガレンの銀時計みたいな奴になった。なお時計機能はない。
名刺の方は一回目の昇格の際に書いてもらった。そこにはプレート同様名前や所属に加え、使える魔法や使える武器やらが書いてある。TRPGのキャラシみたいな感じだ。表に名前や身分が、裏に技能や経歴が載っている。
これら二つを見せて、あっしはこういうもんでございやすとなるのである。
ちなみに、この昇格は異世界転移から二ヵ月以内の出来事であり、以降昇格はしていない。
曰く、普通これ以上昇格はしないとか。一応あと二回昇格できるらしいのだが、一個上が国に数人のレベルで、最上位が初代国王限定ランクらしい。
つまり今の俺はゴブスレでいう銀等級に当たる訳だ。早すぎない?
で、一端の冒険者となった俺だが、前述の通り転移直後と同様ほぼ毎日ダンジョンに潜っていた。
駆け出し時代では禁止されていた敵強めのダンジョンにも潜った。聞いた通りそこのエネミーは中々強く、ダンジョン自体も広かった。
そこでは戦ってる最中に武器が壊れてしまい、俺は初めて撤退した。それから武器防具を新調して挑み、見事高難易度ダンジョンを踏破する事ができた。ボスを倒した時など脳汁がドバーっと出たものである。
そして、難易度の高いダンジョンは駆け出し時代に通っていたダンジョンよりずっとドロップが美味しかったので、味を占めた俺はさらにハクスラに没頭していった。
ザコ一体、ボス一体倒す度、経験値がじゃりんじゃりん溜っていくのが楽しかったのだ。当然、転移からずっと質素倹約を旨としているので、俺の持ち金もじゃりんじゃりんであった。
で、銀級になったタイミングでギルドから「頼むからお金を銀行に預けてくれ」とお願いされた――アイテムボックスに入れたお金はダンジョンで死ぬと消えてしまうらしいのだ――ので仕方なく預けたところ、いつの間にか目標金額を上回っている事に気が付いた。
レベルアップとジョブチェンジに夢中で、いつの間にか結構なお金持ちになっていたのである。
そろそろ、奴隷を買ってもいいかもしれない。
あーでも、キリのいいとこまでレベルアップしときたい。
そういう気持ちで、俺はちょっとずつ準備をしつつ、今日も今日とてダンジョンに向かうのであった。
〇
前世、俺は一度として喧嘩をした事はなかった。
小学校3年から6年までフルコンタクト空手を習ってはいたが、試合以外で人を殴った事はなかった。
武器を使った戦いなど、何をか言わんや。
そんな俺が異世界迷宮でソロ活できるのには理由がある。コンソールだけじゃない、それを軸としたチートじみた戦闘手段があったのだ。
以前にも言ったが、この世界はゲーム的だ。レベルがあり、ジョブがあり、スキルがある。そんなゲーム的な世界観だからこそだろうか。
あったのだ、救済措置が。
「っしゃア完璧ィ!」
迫りくる攻撃を“受け流し”、僅かな隙を見つけて“切り抜け”る。文字通り、流れるような動きであった。
切り抜けスキルの勢いを利用して前衛エネミーの攻撃範囲を抜け、次いで飛んできた太い針を軸ずらしで避ける。背後からの体当たりを振り返る事なくジャスト回避。拡張された刹那の見切り、敵の弱点にクリティカル攻撃を入れた。
敵を倒した後はすぐに動く。足を止めず、同時に相手にする状況を作らない。跳躍して斬り、走って斬り、逃げ回ってから振り向いて斬る。それはさながら、迫りくる新選組に孤軍奮闘する幕末志士の様。こんなのお侍の戦い方じゃないが、誉れは元々持ってないのでノーカンである。
現代日本人じゃ絶対無理な動き。速さといい身のこなしといい、プロのアスリートでも絶対真似できない。前世基準、常人離れした立ち回りであった。異世界三ヵ月で、俺は既に前世オリンピック選手を優に超える身体能力を手に入れていた。
これもすべて、件の救済措置による恩恵だ。
「ふぅ……。こんなもんか」
敵を掃討し、一度剣をアイテムボックスに入れ、もう一度取り出す。そうすると剣身に付着した汚れが落ちる。異世界ライフハックだ。
綺麗になった剣を握り、ボス部屋らしき場所に足を踏み入れた。するとそこには、異世界初心者時代にボスとして戦ったナックルベアくんがいた。見るに、前より筋肉が増量していた。
熊型ボスと目が合う。奴は腕を上げて威嚇してきた。俺も剣を構え、獲物に向かって吠えた。威嚇には威嚇をぶつけんだよ。
「行くぞオラァアアアアアッ!」
「グゥォォォオオオオオオッ!」
そうして、数えるのも面倒になるくらい繰り返してきた死闘がはじまった。
斬る、避ける、逃げる。回り込んで斬る。さながらそれは、ボスと戦う死にゲー主人公の様。
ちょっとでも気を抜くと、マジで死ぬのだ。ガチでいく。
さて、話を戻そう。
救済措置についてだ。
最近のゲームって、昔のより親切になっている感じはないだろうか。難易度どうこうでなく、やりやすさという意味で。
ビッグタイトルの場合、そういうの顕著だと思う。より多くの人にプレイしやすいよう、色々と配慮された作りをしている。ラスアスの設定項目には度肝を抜かれたよね。エリー好き。
そういうのが、コンソールで使えるようになったのだ。
難易度変更でもない。無敵モードでもない。残機無限でもない。
それは……。
「ふんッ!」
素早い踏み込み、腰の入った刺突攻撃。俺の付き出した剣の切っ先は、見事ダンジョンボスの喉を貫いた。死闘の結果、俺が勝ったのだ。
当然として、俺に剣の技能などない。ついでに言うと今のは剣道の突きでもない。システムによる恩恵だ。ジョブ対応の武器を握ると自動発動する、恐らく俺固有の救済措置。
分かりやすく言うと、“モーションアシスト”だ。
モーションアシスト。
分かりやすいからそう言っているが、実際にはこれは“動作最適化”というらしい。コンソールにそう書いてあった。
これは文字通り俺の動きをアシストしてくれる機能だ。オンにすると、戦士ジョブの際に近接武器を持つと一端の戦士にしてくれて、剣士ジョブの際に抜剣すれば俺を一端の剣士にしてくれるのだ。
前述の通り、俺に剣術の心得はない。実際剣を振ったところで、せいぜい見様見真似ん女々しかチェストになっとが関ん山じゃ。おいは恥ずかしか。
しかし、モーションアシストをオンにすると、どうだ。剣を握る様、立ち姿も普段の俺のまま、けれどもいざチェスト姿勢を取ってみると薩摩ホグワーツ生の如き堂に入った蜻蛉の構えができるではないか。そんまま剣を振っと、そんたもう強そうなチェストがでくっど。よかね。
しかしこれは、一から十まで自動で動いてくれる訳じゃない。チェストしたいなら薩摩的構えを、ガトチュしたいなら剣を片手で持って例のポーズを取る必要がある。そこからその気で攻撃すると、チェストができるし牙突が撃てるのだ。
もっと簡単に言うと、アシスト使えば俺もプロボクサー顔負けのシャドーボクシングができる訳だ。一度鏡の前でシャドーしてみるといい、絶対変だから。その変さが、なくなるのである。
また、このモーションアシストはあくまでも通常攻撃及び防御行動にのみ適用されるものであるらしく、ジョブ由来の能動スキルには含まれないようなのだ。
例えるなら、通常攻撃はそのままボタン一つでブンブンする技で、スキル攻撃はダクソとかエルデンとかの戦技に近い感じだ。
無論、俺は貧弱一般人、多少補助輪がついてた程度で戦えるようになるわけもない。
俺には、モーションアシストの他にもいくつかコンソールを軸としたチートオプションがあるのである。
ホント、そうでもないと生き残れなかったと思う。
転移直後の頃である。
とにもかくにも行動だとなって、俺はあっちへこっちへ歩き回って情報を集めつつ、脳内の異世界ライブラリーから使えそうな情報を掘り出していた。
体内に魔力的な未知のエネルギーが流れてないかとか。この世界の文明レベルはどうなのだとか。そもそもリンゴは木から落ちるのかとか。色々をだ。
そして俺は念にパントマイムにと試行錯誤してやっと開けたコンソールを、これまた何か良いモンねぇかと弄りまくった。
結論として、このコンソールはステやレベルを確認する為だけのものではなかった。
装備やスキルの着脱。アイテムボックスの確認。次回レベルアップまでの必要経験値。色んな項目を参照したり弄る事ができた。
その中で見つけたのが、オプションの項目にあった“アクセシビリティ”であった。
アクセシビリティ。利用しやすさ。ゲーム以外にも見るが、ゲームでもよく見る項目である。
ゲーム画面に表示されるアイコンの大きさ設定とか、字幕の色とか、はたまた追跡シーンでのカメラ追従設定とか。その設定項目は作品ごとに異なり、それら全てはプレイヤーに快適なゲームプレイを提供するための措置である。
俺のゲーマー感覚が言っていた。これだ、と。
コンソール内のアクセシビリティの設定には、実に色んな項目があった。
前述のモーションアシストのオンオフ。危険攻撃の感覚アシスト。ジャスガ、ジャスト回避時間の延長などなど……。中には言語の自動翻訳というのもあり、それは最初からオンになっていた。神の手を感じざるを得ない。
ステータスといい、アクセシビリティの設定といい、実にゲーム的で、実に親切設計であった。
当然、異世界初心者の俺は俺に有利そうな項目のほぼ全てをオンにした。
するとどうだ。敵の攻撃の軌道は予知できるし、危険攻撃は「今から強いのいきまっせ」と事前に分かる。ちょっと集中すればジャスガも回避も余裕だし、上手く決まればクリ確で与ダメ倍増である。ついでにダンジョンも街も一度歩けば自動でマッピングしてくれる。
便利機能ガン積みロリコンマン。これぞ人生イージーモード。それが今の俺。チート野郎と笑いたきゃ笑え、俺は死にたくないんでね。
そう、異世界はゲーム的であってもゲームではないのだ。
攻撃食らうと痛いし、怪我をすると血が出るのだ。痛いのは普通に嫌である。ロリの為なら命を賭けられる俺ではあるが、別に死にたい訳ではない。
故に、俺は俺に極限まで環境を甘くする事にした。ゲームでは極力壊れを遠ざけてきたが、リアルとなれば話は別だ。ヨシツネもヴァルマンウェもびりびりショットもじゃんじゃん使っていく所存。
閑話休題。
モーションアシストや危機察知など、お陰で俺はあっという間に強くなった。
レベルが上がり、冒険者の階級も上がり、預金の方もかなりの額にまで膨らませる事ができた。
今や俺は駆け出し冒険者ではない。金も地位もゲットした、ギルドお墨付きの二つ名あり銀細工持ち冒険者なのである。
今後の事を考え、宿屋のグレードも上げた。武器も防具もワンランク上の物にした。顔が元のロリコン顔なので強そうには見えないだろうが、パッと見みすぼらしくはないだろう。
どこをどう見ても、立派な冒険者だ。
さて、そんな立派な冒険者となった俺は今。
奴隷商館の所に来ていた。
高級奴隷専門の老舗奴隷商会。その王都西区支部。
目の前には如何にも高そうな大きな館。まるで北海道の赤れんがの様だ。ついでに大きな扉の前には槍を持った人までいる。
前の世界なら観光スポットになりそうな見てくれだが、中身は奴隷を扱う店舗である。その造りは重厚で、その守りは厳重であった。
「よし……!」
お金はある。身分証明書もある。ギルドからの紹介状も書いてもらったし、服もこの日の為にお高い服屋で見繕ってもらった。今の俺は誰が見ても紳士なはずである。まぁ元から心はロリコンという名の紳士ではあるが、今日ばかりは見てくれもそうだ。
そう、俺は異世界ロリコン紳士だ。俺の夢はあくまでもロリと叡智な行為をする事。前世では絶対にできなかった事を、合法でやるのだ。何も問題はない。今更だ、現代日本で積み上げて来た倫理観など、捨ててしまえ。
俺は、決意を固めて一歩踏み出した。
〇
前世、奴隷といえば古代ローマというイメージがあった。
いつだったか、図書館で読んだ本によると、古代ローマ人にとっての奴隷とは現代人にとっての家電製品に近い存在であったとか。
庭を掃除する奴隷。公衆トイレの番をする奴隷。中には宴会でおもしろ話を披露する奴隷なんかもいたらしい。
そして、今俺が求めているのは、俺の愛玩用のロリ奴隷。要するに、性奴隷だ。
犯罪的だが、異世界無罪である。地球と異世界の法律をごっちゃにしてはいけない。この心の根にこびりついた枷からは、とっととオサラバしたいところである。
「お待たせしました。支部長のクリシュトーと申します」
奴隷商館の一室。向かい合わせのソファーとお茶のセット。それと控えめな調度品が置かれたそこは、三ヵ月の異世界体験で最も現代的……というか、洗練された印象の部屋であった。
そんな部屋で握手を求めてきたのは、アルカイックスマイルの髭ダンディであった。店主と名乗った男は奴隷商人と聞いてイメージしていた種付けおじさんスタイルというより、演劇とか映画とかに出ていそうな英国紳士スタイルの人間族のおじさんだった。
「イシグロ・リキタカです。イシグロが苗字で、リキタカが名前です」
俺も握手を返し――握手は「敵意はありませんよ」という意思表示らしい――、次いでお互い向かい合って座った。
そのまま軽い自己紹介とトーク。どうやらあちらは俺の事を知っていたらしく、何か会えて光栄です的な事を言われたが、俺からすると早く商談を進めたくて仕方が無かった。
ぶっちゃけ、俺の股間は限界であった。なにせ転移後はずっとダンジョンアタックをやってたので、これまで一度もブラストバーンをしていないのである。さっきから期待と興奮と緊張で思考回路がスピード違反を連発している。
「ところで、商品についてなんですけど……」
なので、ぶっこんだ。もう我慢できねぇ。
そしてそのまま、俺が此処に来た理由と欲しい奴隷についての要望をぶちまけていった。ハーレム形成の為にもこの店には今後もお世話になりたいので、一から十まで俺の性癖と欲望を垂れ流させてもらった。
兎にも角にも今すぐ可愛い子を紹介してほしいのである。
「ふむ……」
できるだけ丁寧に、かつ誤解を生まないよう俺のロリコン道を説くと、対する奴隷商人は表情そのまま考えるような仕草をした。
その目は俺の目とばっちり合っており、何やら値踏みされているみたいで居心地が悪かった。ポリを見ると怯む俺、そういう風に見られるとさっきまで猛っていた股間のリザードンもヒトカゲになってしまいそうである。
けれども俺は強い心を維持した。そうだよ俺はロリコンだよ悪いかよコラと開き直ってやった。いいじゃねぇか合法なんだろという心の中の海賊魂が気炎を上げている。新世界は目の前だ。
やがて、老舗高級奴隷商館の主は、こう云った。
「……申し訳ありませんが、当店にイシグロ様のご希望に添える商品はございません」
………………。
…………。
……。
ひょ?
待て待て、マテマテマテ……いや、そんな馬鹿な。
俺はたまの休日に、色んなところで色んな情報を集めてきた。奴隷を買えるようなところの情報を中心に色々とだ。
で、皆が言うのだ。此処が一番だと。この店が王都で一番の奴隷商会で、最もお高い性奴隷を販売するお店なのだと。
そんな王都民みんなに聴きました最高の奴隷商会は何処? で一位なのが、此処なのだ。
にも関わらず、ない? 俺の求める奴隷が?
「あ、あの……いない、というのは……どういう……?」
まさか、金ないとか思われてる?
そんな事はないはずだ。おじさんに代筆してもらった紹介状も見せたし、冒険者証も見せた。なんなら、俺は最高のロリ奴隷を買う為に最上級奴隷を買えるくらいの貯金があるのだ。なんなら証拠見せたろかという気分である。
「申し訳ございません。ご存じの通り、当店は高級奴隷専門でして、イシグロ様のご要望を叶えられる奴隷は扱っていないのです」
「ん? え? なんで?」
完全に素が出た。多分、今の俺はめちゃくちゃアホ面をしている事だろう。
対する店主はポーカーフェイスとアルカイックスマイルを悪魔合体させたような表情をしている。どういう顔だ。
「失礼ながら、イシグロ様はここよりずっと遠い国の出身とお見受けします」
「はい」
「この国における美しい女性とは、人間族の20代女性を基準としているのです。勿論、種族による好みの違いもあるのですが、人間族含め多くの種族の方は健康的で豊満な人間族の女性を好む傾向にあるのです。その点、イシグロ様の好みは……」
「あぁ……」
あぁ、つまり、アレだ。
ロリコンバイバイだ。
前世、俺にはしょうもない悩みがあった。
アニメにしても、ゲームにしても、ロリキャラが巨乳ヒロインの添え物にされてはいないかという話だ。
勿論、人気投票で一位になるロリもいる。コッコロちゃんとかキョウカちゃんとかね。けど、多くの場合一番人気は巨乳の女の子じゃなかろうか。
となると、沢山女の子が出る系の作品で中心にされるのは巨乳ヒロイン。右を向けば巨尻。左を向けばムチムチ太もも。哀れ、華奢なロリはライザのキックで吹き飛ばされてしまった。
白米が金髪巨乳。汁物が黒髪清楚。主菜が銀髪巨乳で、ロリは副菜扱いされてる気がする。違うのだ、ロリこそメインディッシュなのだ。
「あの……未成熟で小柄な女性を愛好する方はいないのでしょうか?」
「ドワーフの男性などは小柄な女性にも魅力を感じるようです。しかし、同じドワーフ族同士でも、男性は同族の女性に豊満な肉体を求める傾向にあるようです。聞くところによると、ドワーフ美女の条件は第一に身体全体の豊満さで、第二に高い背丈であるようです」
この世界のドワーフは、男が髭もじゃガチムチ小男で女が髪の毛もふもふロリという紳士諸兄に優しい種族である。
そんな種族の男性でも、同族女性に求めるのがムチムチボインとは……なんてこった。ドワーフ女のムチムチボインという事は、ロリというより背の低い豊満女性ではないか。ウマが合わないぞドワーフ男。
「そ、そうですか……」
よもやよもやだ。
まさか、異世界でもそうだとは思わなかった。
前世、ロリコンは一定数いたのだ。古代ギリシャでも古代ローマでも性癖のうちのひとつだったのだ。なら異世界でもロリコン用にロリ奴隷もいるとばかり思っていた。
口ぶりからして、いるにはいるのだろう。しかし悲しい哉、高級店にはいない。いるとすればもっと大衆向けの、もっと質の低い奴隷商会に。
別に高く買いたい訳でもない。高級奴隷というブランドに価値を感じている訳でもない。けど、俺は知っているのだ。大衆用奴隷売買に、質のいい奴隷はそうそういないという事を。
「ふむ……」
ちょうど異世界一ヵ月目の頃だった。俺はロリ奴隷購入の為、本格的に情報を集めはじめたのだ。
そして、人の多いところをブラブラしていると、広場で何やらオークションみたいなのが開かれていたのだ。行ってみると、そこには体育館のステージみたいな場所があって、壇上では複数の男女が並んでいた。
その人たちは全裸で、胸の前に板を持たされていた。そこは奴隷市場だった。話を聞くと、その奴隷オークションは中級の奴隷即売所であるらしかった。
出品されていた奴隷の多くは男性で、如何にも労働用という雰囲気だった。たまに女性もいたが、前世基準でも異世界基準でもあんまり美人ではなかった。中には背の低いドワーフ女子やケモミミ女子もいたのだが、ちょっとう~んってなる子ばかりだった。
そういう経験もあって、俺はこの高級奴隷商会に来たのだ。ここなら、めっちゃ可愛いロリ奴隷がいると思って。
俺視点、この世界は美男美女が多い傾向にあると思う。
前で言うとクラスで五指に入る女子が集まってる感じだ。無論、一本目と五本目にはまぁまぁ差がある。また、それはあくまで傾向であって例外がない訳でもないのだ。
何を偉そうにとなるところだが、せっかく奴隷を買えるのだ。ならクラス一位のロリ美少女がいいでしょうよという気持ちである。五位でも全然イケるのだが、そのオークションには圏外女子しかいなかったのだ。
「ふむ、イシグロ様」
「なんですか」
そう、此処にはいないらしい。
いないなら、俺の次の行動は決まった。可愛いロリ奴隷を求め、掘り出し物を探しにいくのだ。
あのオークションで出品されていなかっただけで、何処かにはいるはずなのだ。可愛い子は、きっと。
だからもうこの店に用はなかった。申し訳ないが、ご縁が無かったという事でお暇させてもらおう。
「現在、当店には適当な商品はありませんが……」
さてどうやって切り出そうかと思っていると、おじさんが平坦な声で云った。
さっさと話を終わらせたくて、ぞんざいな返事しちゃったよね。
「幼い容姿の、背の低いサキュバスなら預かっています」
ん?
背の低い、サキュバス? 幼い容姿って事は、ロリのサキュバス?
情報はある。この世界のサキュバスは、生まれて一年で成長が完了するらしいのだ。そして、その多くはムチムチボインの男ウケMAX体型をしているのだと。
また、サキュバスは魔族のうちの一種であり、他種族のオスの精を吸って生きるらしい。誘惑の魔法に長け、本能的に淫蕩を好み、常に他種族のオスを狙っているとか。
ついでに全員美形らしい。それで低身長ってんなら、つまりロリ美少女……ってコト!?
「サキュバス、ですか……?」
「はい。ちょうど、このくらいの大きさの」
言って、店主は手を上げて件のサキュバスちゃんの身長を教えてくれた。
それは、ロリコン計測で高さ約138センチだった。
身長140未満のサキュバス……。
エッチな事が大好きな、美少女……。
ロリ奴隷の、エッチな美少女……!?
「彼女はサキュバスの中では落ちこぼれと伺っています」
「落ちこぼれ、というと?」
一拍空けて、奴隷商人は云った。
「処女という事です」
………………。
…………。
……。
来てよかった。
感想投げてくれると喜びます。
本作を書くにあたり、「古代ローマ人の24時間」と「奴隷のしつけ方」という書籍を参考にしています。
あくまで参考です。いらないトコは削ってこねてアレコレしてます。ご都合主義です。