【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚 作:いらえ丸
誤字報告もありがとうございます。いつもお世話になっております。
キャラ・ボスのご応募もありがとうございます。
一人称っす。
よろしくお願いします。
銃杖担うロリ
【朗報】魔王ちゃんはおしまい!
未来から来た猫又少女・クニュフの手によって、クソ未来は無事回避された。
クニュフ曰く、クソ未来においては何の脈略もなく三代目魔王を名乗る奴がディングのタカ派を率いてラリス王国に宣戦布告し、その後ドロ沼の第三次魔王戦争をおっ始めたそうである。
三代目魔王の力は凄まじく、これには結構呑気してたラリス王も一瞬遅れて全力対処する事となった。が、それこそヤバさを理解するのが一瞬遅く、なんやかんや現ラリス王は三代目魔王に殺されちゃったらしい。
ともかくとして、三代目魔王はそれくらい強く、厄介だったという話。
けれども、そんな未来を知ってたクニュフは過去に参ってこれに対処した。
結果としては大成功。二重の意味で産みの親だった邪眼のファンリーは殺害され、魔王誕生に必要だったデータを押収。もう三代目魔王が生まれてくる可能性はほぼゼロとなり、仮に生まれてきたとしても本来想定されていた力は無いだろうとの見通しだ。
ほなもう未来は安泰かぁ……とはならない。
何故なら、屍王とかいうポッと出の最強チートボスが残っているからだ。
断片的な情報を総括するに、屍王の強さは異常である。
ヴィーカさんに曰く、屍王は今は亡き勇者の一党が集結してやっと倒せるくらいであるらしく、事実彼は屍王とタイマン張って負けたそうだ。その戦いは生き残りが逃げる為の時間稼ぎだったらしい。
あまつさえ、ただでさえ強い屍王は卑怯卑劣な手を躊躇わないらしく、魔王とやり合って疲れてるラリスを漁夫って自分有利の三つ巴状況を生み出したのだという。その他、クニュフがあえて口にしないヤベー事をやりまくっていたそうな。
【悲報】まだまだ未来ヤバい。
魔王はなんとかなったが、屍王が残っている。これに対処せねば、異世界に住む俺と皆とのイチャラブハッピー生活が脅かされるだろう。
魔王同様に根から処したいところだが、これまたクニュフ曰く俺達に出来るのは備える事だけらしい。もどかしいね。
なので、英雄を探そうと思う。
単純な話だ。善なる心を持った英雄が増えたら、その分だけ対屍王の戦力が増えるのだ。
幸い、俺が授かったチートがあれば隠れた異能を見抜く事ができるし、そうでなくても得手不得手はハッキリする。この力を使い、異世界の未来にご奉仕するにゃん。
未来人であるクニュフはクソ未来で活躍する英雄を知っているのだ。将来急上昇する株が分かっているのだから、そこに投資してロリハーレムという最高の利益を享受しようと思う。
なにより、英雄育成は楽しいしな。いつぞやの槍使い少年の時とか、先の盾使いの百合森人の時とか。無論、責任は伴うが。
第三王子は政治で以て未来を守る。
俺は英雄育成計画で以て未来を守る。
面白いのが、二人とも別に
この世界に勇者はいない。だから仕方なく世界を救うのだ。やる気のない二人と、誰あろうこの世界の人々が。
で、だ。
英雄育成計画を始める前に、俺にはやっておかねばならない事があった。自己防衛だ。
具体的には、魂統合で弱体化したクニュフをレベリングしなくちゃあいけない。
何故なら、今の俺達は確実に旧魔王軍残党の残党にロックオンされているからだ。
ファンリーを殺し、その他幹部を二体も殺し、魔王誕生を阻止して尚、未だに解放軍を名乗る敗残兵の残党は暗躍している。
今現在のこいつらはラリス軍に追い立てられるネズミなれど、ネズミだってピンチになったら猫を噛むのだ。いつ何時、その汚らしい牙が俺ひいてはクニュフに向けられるか分かったものではない。
故に鍛える。クニュフを鍛える。
屍王に備える為に英雄を育成し、英雄育成を始める為に旧魔王軍残党に備える。旧魔王軍残党に備えるべくクニュフを鍛える。クニュフを鍛える為に、いつも通りハック&スラッシュするのである。
要するに、未来の英雄を育てる前に、身近な英雄と冒険しようという話だ。
いつもの事だね。
巨像迷宮。
異世界転移一年目からお世話になってる屋外型の中位迷宮で、茫漠とした荒野で大きなゴーレム君達が休んでたり徘徊してたりするクッソ広大なクソダンジョンだ。
此処の何がクソと言われてるかというと、ボスを含めた全ての巨像がドロップするアイテムが迷宮産の聖遺物ではなく通常の鉱山で産出される鉱石であるところだ。
鉱石イイージャンと、地球人の感覚ならボロ儲けできる感じはするが、実際は異世界じゃあそうでもない。使いでのありそうなドデカい鉄鉱石よりも、何の使い道があるのか分からないボスドロップのがギルドは高く買い取ってくれるのである。
加えて言うと、見た目通りクッソ硬い巨像君には接触した武器の耐久値を下げるとかいうクソアーマーが完備されている上、その攻撃力は銀細工の前衛をワンパンできるくらいに痛い。動きが鈍いのは幸いだが、それで出るのが安い鉱石じゃ割に合わないのである。
そんな理由で、この迷宮はクソダンジョン判定されていた。最近――といっても俺が転移して一年目の事だが――になって、ランダムで出現するレア巨像が希少鉱石を落とす事が分かったものの、そのランダム性と死亡率による利益の不安定さからクソ判定は崩されていないクソダンジョンオブザイヤーの終身名誉クソダンジョンなのだ。
けどまぁ、俺からすると巨像迷宮はクソではない。
むしろ素敵ダンジョンだ。
何故ならば、経験値が美味いから。
「ルーン徹甲榴弾!」
BOOOOOOOOM! 俺の背丈より長い銃杖から、耳をつんざく発砲音が響き渡る。
放たれたルーン弾は音速を超え、ゴーレムの弱点部位を貫通し、次いで内部から大爆散。その一撃で以て、硬いで知られる巨像は青白い粒子となって舞い散った。
その全てが、狙撃手――クニュフの身体に吸収されていく。
「う~ん我ながらビューティフォー! これで経験値貰えるんだからボロい商売ニャ~!」
物干し竿のような特大銃杖を首飾りに戻し、伏射姿勢から元気よく立ち上がったクニュフはパーカーに付いた土埃を払った。
通常の遠隔魔法よりもさらに遠くからの実弾魔法による狙撃。クニュフに弱点部位看破のチートを共有すれば、たった一撃で一方的にゴーレムを倒せるのだ。金策効率を度外視すれば、これほど経験値稼ぎに有用な迷宮はなかった。
「ステータスは下がってたし異能も殆ど無くなっちゃったけど、こっちは無事というか強化されてるから実質プラスまであるね~」
人差し指で首飾りをクルクルするクニュフ。彼女の発言通り、今現在のヘーファの首飾りは以前のソレと比べてかなり変化していた。
具体的には……。
◆クニュフの首飾り◆
・異層権能=夢幻錬金
・補助効果1=自動修復
・補助効果2=土属性魔法強化(大)
・補助効果3=土属性魔法効率化(大)
・補助効果4=精神異常耐性(小)
・補助効果5=魔力回復(小)
・補助効果6=行動阻害耐性(大)
こんな感じに。
まず目についたのは、名称それ自体が変わっていたところだ。
元々、首飾りの名前は“ヘーファの首飾り”だったはずなのに、クニュフが魂統合をした直後から何故か名前が変わっていたのである。
変化があったのは名前だけではなく、異層権能はそのままに各種補助効果が追加されていた。それもクニュフに最適化されたような便利補助効果が。
おまけに、魂統合まで霊格極装だった首飾りは通常の深域武装に戻り、統合後のクニュフが首飾りを握った瞬間に同調率がカンストしたのである。試しに試練挑んでみたらあっさりクリア、と。
なんじゃこれという話だったが、多分コレという仮説は立てられる。この現象は、統合時に漏れ出た未来クニュフの魂の一部が首飾りに流入したせいではないかというものだ。
研究によると、深域武装は迷宮内で死んだ戦士の魂が凝集して武器の形を取ったモノとされている。また霊格極装は持ち主の半身であり、半身が死ぬと霊格極装は壊れるはずなのだ。で、霊格極装だった首飾りの持ち主だったクニュフは過去と未来の魂を統合はしたけど本当に死んだ訳ではなくって、その結果として色々とバグッて変な挙動をしたのでは、というものだ。
これについて、ヘカテ教授は「まぁ悪させぇへんっぽいし別にええんやない?」とのコメントを残している。
「前と比べて実際どうよ」
「すごい使いやすいよ~。ヘーファ時代が粘土板だとしたら今の首飾りは黒板だね」
「分かるような分からんような……」
持ち主が言うには、自分の名が冠された首飾りは以前までのソレより具合がいいらしい。
何だか知らんがとにかくヨシ! と、最終的にはそうなった次第である。
「はいもう一体撃破! いやぁ楽でいいねぇ。ここまで楽ちんだと腕が鈍りそうだよ~」
そんな武器でサーチ&デストロイしていると、クニュフのレベルはぐんぐん上がっていった。
統合の結果、彼女のステータスはクッソ低下してしまっており、同様にジョブレベルも初期値になっていた。
しかし、だ。ステータスもジョブも、首飾りと同じく面白い事になっていた。
◆クニュフ◆
猫又(邪仙):レベル2
暁の魔弾:レベル6
能動スキル1:無明影操術
生命:15
魔力:70
膂力:19
技量:33
敏捷:98
頑強:13
知力:73
魔攻:40
魔防:13
ステータスが下がっているのは置いておいて、統合直後から生えていたこの“暁の魔弾”なるジョブは、明らかに彼女固有の最上位職である。
暁の魔弾。あからさまにユニークジョブである。しかもこれ、俺の“迷宮狂い”やニーナさんの“風舞”といった二つ名ジョブにはない凄みというか、面白みがあったのだ。
なんとこのジョブ、実弾魔法に特化したジョブなのである。
実弾魔法とは、射撃魔法を基にクニュフがアレンジした物魔混合魔法の名称であり、言ってしまえばクニュフ個人の独自技術である。これと決まった魔法体系ではないはずなのだ。
さらに言うと、件の実弾魔法は俺とヘカテのステータスにも自動で追加されており、尚且つ実弾魔法特化のジョブまで解放されていた。
クニュフ当人だけでなく俺達にまで実弾魔法がインストールされているあたり、異世界全体にアプデが入ったとかそういうノリを感じざるを得ない。
また、暁の魔弾の固有スキルは【ルーン弾】の生成だった。
本来ならこれはクニュフがコピー異能でシャロのルーン因子をコピーして生成するもので、断じてスキルで生み出せるものではない。
今のところ一発しか出せないので狙撃用としてしか使われていないが、レベルアップでそのうち六発連射とかできそうである。
「ふぁ~、甘い甘い! 【遠視】と【照準】があればマジで外す気しないニャ~」
「ある程度ステータス上がったら土魔法特化のジョブ育成してパッシブの土属性強化スキル取ろうか。その次に鉄系魔法特化の魔法職があったはずだから、そっちも鍛えてみる価値あるな」
「おっ、未開拓領域? テンション上がるニャ~。テーマパークに来たみたいだぜ~」
「行った事ないだろ」
統合後のクニュフは最初から色んなジョブに就ける状態だったので、ついでにアーチャージョブをレベリングして射撃魔法とシナジーありそうな射手系スキルを覚えさせたりもした。
お陰でただでさえ百発百中だったクニュフの射撃精度は某デューク氏とか某野比氏並みになった。恐らく、知らんけど。
「まぁ【奈落降し】は使えなくなっちゃったのは割とショックだけどね」
代償とばかりに、以前までは使えていた【奈落降し】は使えなくなっていた。
奈落降しは俺の煉獄と同じジョブ固有スキルである。他の最上位職を試してみたのだが、奈落が使えるジョブは見当たらなかった。恐らく、統合の際に外れてしまったのだろう。理由は知らないけどね。
「つか最上位職の割にレベルアップ早過ぎんだろ。ゲームバランスはどうなってんだゲームバランスは」
「にゃは、これパパが言うとこのチートだよね~」
なんて考えながらゴーレムを駆逐していると、クソザコだったクニュフは今回だけでめちゃんこ強くなっていた。
暁の魔弾はレベルアップのスピード感が最上位職のソレではなく、さながら中位ジョブでございとばかりにアホほど捗るのだ。当然、最上位職なのでステータスの上がり幅もとんでもなく、一時は初期値だったクニュフはあっという間に強くなった。
これちょっと明らかにおかしい。けど、なんとなくだが思い当たるものがあった。これ、MMORPGとかの転生ってやつじゃないか?
転生システムのあるMMORPGにおいて、転生とはレベルを初期化する代わりにその分なんらかのボーナスを得られるというものが多かったように思う。
クニュフの話によると、統合の際に元々歪だった魂がピタッと嵌る感じがあったそうで、あるいはこの状態こそがパーフェクト・クニュフなのかもしれない。まぁ確かめる術はないのだが。例によってお手上げだ。
「パパ、あそこにいるのレアゴーレム君じゃない?」
「しかも純
ややもあり、そのへんの巨像をサーチ&デストロイしていた俺達は、マップの端っこで佇むレアゴーレムを発見した。
しかもラッキーな事に、レアエネミーの中でも最もレアなヒヒイロカネサムライゴーレム君だった。此方も抜かねば無作法というもの。
「さて、試し斬りさせてもらおうかな」
「パパ頑張って~」
ザコゴーレムはクニュフに任せていたので、レアゴーレムは俺が殺る。俺はジョブを居合特化侍系最上位職“絶刀士”に変更し、右の腰に打刀を装備した。会心特化の火力ソードだ。
やおら屈んで居合の姿勢で高速疾走、接近。ゴーレムが気付くが戻ってくれと言われてももう遅い。【先の先】、もらった!
「
チートを外して感覚を鋭くし、そのまま技量のみ上昇させる。
技量とは精密動作性の事であり、技量系武器の火力に直結する値である。膂力との違いは、基礎攻撃力よりもクリティカル威力に多くのボーナスが掛かるところで、クリ重視である刀カテゴリにおいては必須かつ好相性のステータスだ。
俺はそれを限界まで強化し、【軽功】を使って跳躍し、そして……!
「しゃあっ、いあいぎり!」
斬。濡れ手ぬぐいを断つ程の抵抗もなく、サムライゴーレムは真横に真っ二つとなり、一拍遅れて見事に爆発四散した。
侍系最上位職+クリ特化刀+魂魄昇竜+【先の先】等クリ火力系補助スキル+クリ特化能動スキル【絶刀術】。言うまでもない、相手は死ぬ。
あまりにも無法火力過ぎる。現状、煉獄を使わない手札の中で、最も威力の高い技だ。名前はまだない。
まぁでも、会心入らない相手には文字通り
「ふぅ、煉獄無しだとこれが一番ダメージ出るな」
息を吐き、周囲を見渡すと、荒れた大地に大量の希少鉱石が散らばっていた。
やはり、魂魄昇竜は強い。かなり修羅ってた未来の俺も使っていたようだし、クニュフ曰くグーラは膂力のみ無意識に使っていた技術らしい。俺は全能力を自由に選択し、任意のタイミングで使用する事ができる。間違いなく
けど、乱用すべきではないと思った。純粋に体力・魔力を消耗する上、なんだか魂的なモノが削れてる感じがするのだ。ここぞという時のバフとして使うのが安パイだな。
チート外しについては、これは慣れれば常時外しててもいいかな。前々から危機察知より先に危機を察知してた事とかまぁまぁあったし。とはいえ慣れるまでは封印だ。
「クニュフ、頼めるか?」
「りょ~。異能の平和利用ってね」
とりまドロップアイテムの回収である。
クニュフに石拾いをお願いすると、彼女自身の影が墨汁を垂らすように広がっていき、やがて地面に落ちてる全てのドロップ陽緋色金を飲み込んだ。そして手元に出した影空間に麻袋の口を広げると、中から袋へ希少鉱石がジャラジャラと入っていった。
これぞ、影空間の平和利用である。
「さて、このへんのザコはあらかた狩ったから、そろそろお昼にするか」
「わぁい! イリハちゃんのお弁当だ~!」
レベリングは順調。スキルビルドも順調。英雄育成計画の準備は、着々と整ってきている。
そんな感じで、俺とクニュフは次なるレベリングの為に腹ごしらえをするのであった。
「ん~。あ~、なんだっけなぁ……」
「どうした? クニュフ」
「な~んかパパに言い忘れてる事があるような無いような……なんだろう、思い出せない。あぁ~こういうの気持ち悪い~」
「まぁ思い出した時に言ってくれればいいよ」
「うん、そうするね~。はぁ、なんだっけな~」
なんて、他愛もない話をしつつ。
〇
転移神殿に戻り、いつも通り換金し、そうして出たギルドの外は真っ赤な夕陽に染まっていた。
相変わらず人でいっぱいの王都を借家に向かって真っすぐ帰る。聞き耳を立てずとも入ってくる話題は、どこもかしこも旧魔王軍残党で持ち切りだった。
これでも王都はかなり落ち着いてる方らしく、現状で新婚旅行の続きをするのは止めといた方がいいっぽい。
「あ、クニュフちゃんお帰り~! 今日も無事だったのね~」
「ども~、お疲れ様ニャ~」
そんな風に街の喧騒を横切っていると、俺の隣を歩いていたクニュフが顔見知りの女冒険者から声を掛けられていた。
魂統合の際に死んだ判定をされたクニュフだったが、改めて本名を使って冒険者登録を行う事となり、彼女は再度木札冒険者になったのだ。また、以前までは異能で隠していた尻尾も今は隠していない。「生まれつきこう」であると説明したら普通に受け入れられたのである。
「にゃはは、こうやって平和な王都を二人きりで歩けるなんて幸せ過ぎてちょっと怖いニャ~」
その他の変化としては、公然とイチャつくようになったところか。
今までは健全な距離を保っていたのだが、現在は全正妻公認恋人ムーブである。さっきから三本中一本の尻尾が俺の尻を撫で撫でし、残る二本を俺の腕に絡めていた。
「見てみてパパ~、あそこでスーツ着てる人いるよ~。この時代にはもう浸透してたんだね~」
「なんかビジネス用っていうか一般庶民用の正装って扱いになってるらしいな。ネイビーは不人気で真っ黒とダークグレーが人気なんだって。あとワインレッド」
「隣は……あれも女性用スーツ? すごいスカートひらひらしてるけど」
「スーツっていうか、どう見ても学生服なんだよなぁ。それもJKとかJCっぽい感じの」
ちなみに、まだ結婚はしていない。式には王子も参加してくれる予定なので、お忙しい彼の時間調整をしているのだ。
皆の時は淫魔王国でやって、ヘカテの時はネザーレで催した。で、今回はフライシュ領でやる予定である。その旨を話すと、当代フライシュ公爵――侯爵からランクアップした――は大層お喜びであった。
「パパのフロックコート姿、楽しみにしてるニャ♡」
そうやって好き好きオーラ全開で囁かれると、否応なくドキドキしてしまう。彼女の事は強いて父娘として接していたので、それが解除されると意識せざるを得なくなる。
そもそも、俺とクニュフに血の繋がりがない事に気付いたのは初めて抱きしめた時にドキドキしたからだ。実の娘にドキドキする訳ないからね。己の欲望を制御できるのが真のロリコンであり、ドキドキしていいよとなればこうもなろう。
「ただいま~っと、あれ? ユゥリンちゃんいないね~? シャロちゃんとヘカテちゃんも」
「ユゥリンは今日チィレンのとこで泊まるって言ってたのじゃ。大掃除するとか何とか。シャロとヘカテは貸し工場でオールするって言ってたのじゃ」
「あぁ~、前に符操霊魔改造するって言ってたね~」
「そいえば未来知識はまだ全体の半分も見てないって言ってたな」
借家に戻ると、皆さん噴水のある中庭で寛いでいらっしゃった。
しかも何故だか皆さん水着姿である。スイカが浮かんでいる噴水で、レノとリリィが気持ちよさそうに水浴び中。同じく水着姿のグーラはリクライニングチェアで本を読んでいた。同じくチェアでうつ伏せ中のエリーゼは、さっきまでイリハにマッサージをしてもらっていたようである。
「おかえりなさいませ、二人とも」
「ただいま~。てゆーか水着ナンデ? 今日そんな暑いかニャ?」
「なんでってそりゃ脱いだ方が気持ちいからッスよ。けどプール行くのメンドクサ~って感じッス」
「ん、水浴びもできる日光浴もできる。テオココジュースも添えて疑似的なバカンス気分」
「いいな。じゃあ俺は先にサウナで整うとするか」
「蒸し風呂ね。私も一緒に入ろうかしら」
迷宮行って金稼いで、皆のいる家に戻ってくる。これが幸せというものだろう。
今現在、世界中ドタバタしていて、新婚旅行の続きはできそうにない。
それ以前にクソ未来にならぬようクニュフのレベリングをしなきゃいけないし、終わったら英雄育成計画をはじめなければ。
全ては家内安全の為である。
「こういうの、いいよね。パパ♡」
「ああ。全く以て」
なんて考えながら、俺は愛しの家族と何気ない日常を過ごすのであった。
〇
真夏の夜である。
俺達の寝室には、キングサイズを超えた皇帝サイズとでもいうべき超特大ベッドが設えてある。皆と一緒に寝る用だ。
当然として、今宵も使用していた。
「はぁ……んむっ♡ ぢゅぷ♡ じゅぼ、じゅぼ、じゅぼ♡ ぢゅぅううう………ぷはぁ♡ はい、綺麗になったッスけど♡ 余計元気になっちゃったッスね♡ れろぉ~♡」
「ん……ちゅ♡ もう、おやすみのキスって約束だったでしょう♡ 舌を絡めたらダメじゃない♡」
「初めて会った時より活気に満ち満ちておるのぅ♡ 主様は♡」
事後、俺はルクスリリアにお掃除してもらっていた。
彼女をお迎えしてこっち特別な理由がなければ毎日のように交わっているのだが、自分でもビックリするくらい飽きが来ない。なんなら日に日に夜の営みが楽しみになっているまであった。
それは俺と彼女以外も同様で、エリーゼからヘカテまで皆さん皆での情事に首ったけである。
「はぁ、はぁ……♡ 相変わらず凄いね♡ パパ達の夜♡ まだ一回も触ってないのに♡ 見てるだけで……くぅ~♡」
で、だ。そんな素晴らしい光景を、影から覗き見する猫の姿があった。誰あろう、クニュフである。
結婚もまだだが、彼女とはそういう行為もまだである。一度お誘いしてみたが、とある理由でお預けされている。彼女自身、俺達を見て満足しているようであった。
「ん、そこまで発情してるなら混ざればいいのに」
「もう発情期抑制剤は飲んでないんですよね? 反動凄いんじゃないですか?」
「だ、だって♡ 初めては式の日の夜がいいし♡ 好きな人同士が仲良くしてるの見るのも大好きだし♡ それに……♡」
「それに、何スか?」
お掃除を終えたルクスリリアが問うと、クニュフは鼻の下を伸ばしながら答えた。
「快楽は我慢したら我慢しただけ気持ちいいんだから♡」
……らしい。
とにかく式まで我慢して、一気に解放したいそうだ。
既に把握している事だが、皆にはそれぞれ性癖がある。
ルクスリリアはソフトサドマゾだし、エリーゼはキス魔だし、グーラは全身リップフェチだし。それで言うと、クニュフは精神的マゾヒストだった。
隷属願望に加え、放置プレイ&見抜きフェチ。痛いのが好きというより、下の者とか物として扱われたいとか何とか。
「だからね♡ 初めての時は優しくしないでね、パパ♡ 道具みたいに扱ってくれると嬉しいニャ~♡」
「く、クニュフがそう言うなら……」
まぁ……うん、性癖なら仕方ないね。
仕方ない……とは思うけど、義理とはいえ両親だった男女の営みにコーフンするのってマゾ性癖関係なしに普通に上級者だと思うよ。いや別にいいんだけどね。
そんな感じで、俺達の日常が戻ってきたのであったとさ。
二重の意味で、クニュフとの結婚式が楽しみである。
「……あっ! 思い出した! 思い出したよパパ!」
「どうした急に」
「巨像迷宮! あそこ、未来だとそろそろ枯渇するんだって! 潜るなら今のうちだよ!」
「……マ!?」
それはそうと……。
まだまだ、俺達のハクスラ生活は続きそうだった。
しゃあっ、更新!
書籍版一巻が発売され、続刊企画も進行中です!
よろしくお願いします!
【挿絵表示】
というわけで店舗特典情報!
ゲーマーズ様は、書き下ろしSSとルクスリリアとエリーゼのアクリルスタンドになります。
→ゲーマーズ様はこちら
とらのあな様は、書き下ろしSSとタペストリーになります。
→とらのあな様はこちら
メロンブックス様は、書き下ろしSSとタペストリーになります。
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