【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚   作:いらえ丸

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感想・評価など、ありがとうございます。執筆の励みになっております。
誤字報告もありがとうございます。お世話になっております。

普段の文字数よりちょっと短め。
本エピソードの後半部分はR18の避難所の方にあります。
あとがきに内容を三行でまとめて載せておきます。


異世界いわく、ロリは正義

 季節は巡り、王都に吹く風が秋の匂いを運んでくる頃。

 去年は“酷暑夏”と言ってゲロほど暑かったが、今年の夏は逆に妙に涼しく、冬になったら豪雪確定寒冷期が訪れるとの事。

 旧魔王軍残党が何やらとソワソワしていても人の営みは続いている。王都の市場にはやがて来たる寒冷期を乗り越えられるよう一足早くコートや最新の暖房魔道具等が出回っていた。

 そんな中、クニュフとの結婚式を前にした俺達は、王都でハネムーンの続きをしていた。

 

「今日の為に用意していた黄金の水着ですわー! これで視線集めまくりモテまくりのヒトオス逆ナン大作戦ですわよ! おーっほっほっほっ!」

「サキュバシズム丸出しの水着で最高にイカしてると思うッス。超エロ~い」

「おーほほほほっ! 褒めても母乳は出ませんわー!」

「リーシャちゃんは屋外大丈夫なん? 日差し対策の乳液あるよ?」

「大丈夫だ、問題な……ぶほっ!? ニーナさん、そそそその水着はァ!」

「ええ、いつもとは少し変えてみました。今ケフィアムでは肌の露出を控えめにして要所だけを見せるファッションが人気なようでして。どうでしょうか?」

「ん、すごい水着。とても良いと思う。いっそう胸が強調されてて素晴らしい」

 

 涼しくなって銭湯欲が高まってきたので、せっかくだからと眼鏡淫魔ニーナさん達と一緒にニカノル大浴場に行った。

 残党関連で剣呑な王都なれど大浴場は平和そのもので、例によってレノはニーナさんの水着姿に夢中だった。この天使、おっぱい教の御使いなのだ。

 戦いの後の遊びというのもあり、皆さん大盛り上がりだった。夜の方も大盛り上がりで、例の如くクニュフは見抜きしていた。

 

「なぁにこれぇ」

「なにって、生まれ変わったアタイの符操霊(プネウマ)だぜ。ヘカのセンセに改造してもらったんだよ。あらよっと、へへっ! 前の奴よりずっと速ぇぜ!」

「つぶらな目が逆に怖いのじゃ……」

「いらへん戦闘能力とかぜ~んぶ抜いて、ちょちょっとカスタムして前のより飛行特化に仕上げてみたんや。符操霊の核はだいたい把握したでな。次は一からもっと凄いの組み上げてみるわ」

 

 満喫してたのは遊びだけではなく、開発もまた満足いくまで楽しんでいた。

 未来知識を得たヘカテはやりたい事いっぱい夢いっぱい。まず手を付けたのは、以前ランベール領で購入した符操霊――飛行特化イルカ――の改良もとい魔改造だった。

 クソ未来において、符操霊は廃れちゃってるそうな。理由は単純、費用対効果が悪いから。ザコ符操霊一体作るくらいなら別の召喚獣なり使い魔なり複数体を作る方がコスパ良しとの判断だ。なんなら使い魔も廃れてクソ未来は召喚獣一強だったとか。

 とはいえ研究データは残っていたとのことで、それを託された現在ヘカテは手始めにシャロのイルカを強化したのである。イルカに乗って空を行く姿、俺にとっては一番サーファーらしく見えるよ。ねだるな勝ち取れと言わんばかり。

 

「いくぞ。対象指定、魔力過剰充填……【徹甲弾】!」

「あー、やっぱクニュちゃんのソレより消費魔力エグいな。先端の金剛鉄っぽい部分を自前の魔力だけで補おうとした結果やろなコレは……」

「あたしは首飾りありきだもんニャ~」

「土属性の魔法攻撃力がそのまま物理攻撃力に変換されてるのは面白いな。再現の時はこんな現象起こってなかったが」

「陰陽術的には土氣というか金氣じゃけども。主様の場合、単に遠間で攻撃したいなら素直に弓で射た方がよさそうじゃ」

「いやでも、痛い速い硬いがパッと出るのは強ぇッスよ。やろうと思えばアタシ等でも使えるようになったのはデカいッス」

「連射はいいけれど、単発は使ってても楽しくなさそうね。レノはどう?」

「ん、習得価値アリだと思う。けどやっぱり魔力がネックだから、いざという時用」

「いずれにせよボク等には無縁ですね。少し羨ましくはありますけど」

「実弾魔法なんて当たった瞬間に発勁張って滑らせればノーダメージの弱技ですよ。なにムキになってんですか」

「なるほど、それもそうですね!」

「そんなん出来るのぁグーラかユゥの字くらいなんだぜ」

 

 レベリングの合間に、実弾魔法の検証なんかも行った。

 以前までは【魔力の礫】や【鋼の礫】をアレンジして使っていたのが、実弾魔法として新規のマグナスフィア・アーカイオンが誕生したというのである。

 また俺とヘカテには“ガンスリンガー”なる実弾魔法専用ジョブまで生えてきたので早速育成。すると、レベル上げによって俺にも散弾や榴弾など派生技が増えていた。

 これは革命ですよってんで、趣味半分実用半分でドワルフに実弾魔法用の銃杖の作成を依頼した。完成が楽しみである。

 

「で、これがダーリンお待ちかね移動用リヴクラフト! 名付けて“マグナバイク”やー!」

「おお! おぉ~! めちゃくちゃカッケェ~! そうそう、こういうのでいいんだよこういうので! ひゃ~!」

「くふふ~、喜んでくれたみたいで嬉しいわぁ。まっ、こんなん使うより普通に馬乗った方が効率ええんやけどな」

「なんでッスか? 馬ってめちゃ草食うし水飲むしお世話大変なんスよ」

「これ一台でドウテイプレデター何頭分になると思う? 一回のメンテにどれくらいコストかかると思う? チビるで」

「ですがご主人様の浪費としては全然アリかと思います。ご主人様、あまり趣味らしい趣味がありませんから」

「うおをん! エンジン音も鼓動感もたまんねぇ! あぁ~コレコレ! バイクはこの音あってこそだよな! ヤバい泣きそう!」

「ふふっ、楽しそうな顔しちゃって」

 

 で、である。以前から開発してもらっていた移動用リヴクラフトの試作型がお披露目された。

 見た目は殆ど大型クルーザーバイクである。ハンドルを握り、タンクを通して魔力を籠めると車体全体が少し浮く仕様だ。後輪で前進後退、前輪で左右への方向転換が制御できる。魔力を籠めれば軽いジャンプくらいは可能なので、異世界のデコボコ道にも対応可能。

 単なる移動手段としては空戦車とかヴァルゼアの突撃槍のがめっぽう優秀だが、俺はこれのがめっぽう好きだ。そうそう、こういうのが欲しかったんだよこういうのが。相棒だったバイクとは操作感は全然違うが、それでもバイク感は味わえるのが最高である。

 

「……っと、今のが新しい技の仮称・発勁砲です。グーラさんの炎雷放出とヘカテさんのスカーレット・デトネイターを参考に、飛ぶ発勁をアレンジしてみました。決め技としてはまぁまぁ使えなくもないんじゃないでしょうか」

「破ァーッ! で、できたのじゃ! なんかできちゃったのじゃ……!」

「イリハ、やはり天才か……」

 

 続いて、ユゥリンは未来から託された奥義書から新たな発勁技を編みだした。

 イメージ的には飛ぶ発勁のスキルツリーに新しいのが生えてきた感じ。威力・射程重視の仮称・発勁砲である。

 ぶっちゃけ、カメハメハ的な遠隔必殺技である。俺とイリハは両手で溜めて撃ってたが、ユゥリンは片手でビッグバンなカメハメハを撃っていた。燃費は悪いが浪漫がある。これは是非習得せねば。

 

「お待たせッス♡ 待ったッスか?」

「いや、今来たとこ」

「まだ続けるのね。それ」

「ご主人様、その……ボク等の服はどうでしょうか? この日の為に仕立てて頂いた物なのですが……」

「わしのはラリスの職人がデザインしたリンジュ衣装じゃ。これはこれで可愛いじゃろ?」

「ん、意見を聞かせてほしい。適宜改善し、マスター好みの天使になる」

 

 それはそうと、最近は未来だ何だと皆との時間を作れてなかったので迷宮スタメンだけでデートをした。

 何日も泊まりで王都を回り、美味しいものを食べたり店を冷やかしたりした。もっともっと仲良くなって帰ってきた俺達を見て、クニュフの方こそ嬉しそうにしていた。

 なお、その間シャロ達はルーン関連のお仕事である。ユゥリンは護衛で、ヘカテは論文。そんな皆をクニュフがサポートしてたとか。

 

 だが、そんな幸せな時間は長くは続かなかった。

 別れは突然に訪れたのだ。

 ついに、ついにこの時が来てしまったのである。

 

「あぁ……さらば巨像迷宮君、また会う日まで……」

 

 いつもみたいに迷宮に潜った翌朝、巨像迷宮が消えていた。クニュフの知る歴史より早く――十中八九俺達が潜りまくったせいだが――枯渇してしまったのである。

 希少鉱石を産出しまくる迷宮が無くなったのは実利的にも悲しいが、巨像迷宮には思い出が詰まっているので感情的にも普通に寂しい。

 転移直後、俺が初めて撤退した迷宮だし、死ぬほど武器を壊されまくって収支がマイナスになった事もあるし、それでも踏破時には脳汁がドバドバ出たものだ。

 ルクスリリアとエリーゼの三人で淫魔ソーセージを焼いた思い出。あの時の決意を俺は忘れはしない。

 

「うっす、戻ったぜ~。サクッと潜ってみた感じ、瘴気濃いめ敵硬め数量少なめって感じだったわ。とりま剣より魔法が効くっぽい」

「迷路構造って感じじゃなかったな。けど所々に小迷宮みたいなんが在ったから複合型だろう」

「聖遺物は? 聖遺物の詳細が知りたいわ! 聖遺物の話を聞かせて頂戴!」

 

 なのだが、俺以外はあんまり気にしてなかった。

 新しい迷宮が生えてきて、皆さん彼(?)の事を忘れそっちに夢中だ。むしろクソダンジョン消えて枠一個空いたじゃんくらいのノリ。全部全部、巨像迷宮さんのお陰じゃないか。

 

「おい、イシグロは潜らねぇのか? このままだと、オレが先に踏破しちまうぜー?」

「ええ。しばらくは巨像迷宮の思い出に浸らせてください」

「い、異常迷宮愛者……!」

 

 なお、俺は新しく生えてきた迷宮に行く予定はなかった。

 何故なら、結婚式が近いから。

 

「娘のウェディングドレス姿、楽しみにしててね♡ パパ♡」

 

 そういう事である。

 

 

 

 秋は実りの季節であり、農業ガチ勢たるフライシュ領にとっては各地で収穫祭など多くの祭が開催される賑やかな季節だ。

 それはフライシュ領内で唯一転移神殿を擁するリント市も同様で、お料理バトルトーナメントも相まって街中がハッピーな雰囲気に包まれていた。

 あまつさえ、土地を治めるフライシュ家は数々の武勲と実力により侯爵から公爵へと爵位をランクアップさせた事で領民達はよく分からんけどめでたいと祭に昇爵にと大フィーバーである。

 

「……その命ある限り、真心を尽くす事を誓いますか」

「「誓います」」

 

 そんなハッピー・フライシュ・リントの中心で、俺とクニュフは永遠の愛を誓った。

 ラリス貴族御用達のラグジュアリーホテルである。歴史のある中庭で、お互い専用の衣装に身を包んだ二人は沢山の人々に祝福されていた。

 

「式が忙しくて言うの遅れたけど、すごく似合ってるよ」

「皆が考えてくれたドレスだもん♡ パパも、すっごく似合ってるよ♡」

 

 クニュフのウェディングドレスはエリーゼを中心とした身内コーデらしく、シンプルながら美しくも可愛らしかった。

 また、ファンリーの係累を示す三本の尻尾は立場のあるゲストの前でも隠す事なく表に出している。

 

「あぁリキタカ君の式は何度見ても涙が出るほど美しいな。ぶぇぇぇぇ……」

「アリエルちゃん、貴女今すごい顔してるわよ。ほら、鼻チーンしちゃいなさい」

「おいおいおい、気ぃ付いたらもう九人目じゃあねぇか。うちの一人くらい混ぜても構わんだろ、もう」

「真祖に続き先祖返りの猫又族とは。まさしく英雄かくあるべしであるな」

 

 式には前回同様たくさんのゲストが足を運んでくれていた。

 戦友枠で来てくれた止まり木協会のアリエルさんに、先代鬣犬人族長のナターリアさん。勿論というか恐縮というか、領主である当代フライシュ公爵とその弟・ミラクムさんの姿もあって、他国からは淫魔女王やリンジュのお偉方に加えネザーレのラドゥ侯爵や騎士ドラグーシュ氏も参列してくれた。

 

「おめでとう、イシグロさん。クニュフさんもお幸せにね」

 

 そして、約束通り第三王子も来てくれた。

 クニュフが旧魔王軍と関係があるのは明らかである。そんな彼女の結婚式で第三王子が直接祝辞を述べたのだ。これにより、俺だけでなくクニュフ個人に強固な後ろ盾がついた事となる。

 ピュアにめでたい結婚式に政治的なアレコレを持ち込みたくはなかったが、フライシュ領での式を希望したのはクニュフ当人である。

 理由は簡単で、飯が美味いからだ。

 

「うむ! めでたい式には美食が不可欠である! さぁ、思う存分に食すがよい!」

「兄ちゃん兄ちゃん! これミラが作ったんだぞ! 食べてみてほしいのだ!」

 

 会場では、前当主ミスター・フライシュ手ずから作った料理の数々が並んでいた。例によってめちゃくちゃ美味しく、中には以前に俺が提供したレシピの料理なんかもちらほら。

 ちなみに、ナターリアさんの娘兼俺の妹であるリュドミーラは大学の実習として手伝いをしていたらしい。もう俺より背ぇ高くなってて嬉しいよ。なお、成長すれど中身はそのままな模様。

 

「今日からクニュフもイシグロ家の女よ。我が家に恥じぬ振る舞いを心がける事ね」

「まぁまぁ堅い話はなしッス。とりま酒呑むッスよ~」

「あぁクニュフに酒を近づけるべきでは……」

「にゃはは、匂いだけなら大丈夫だって~」

 

 王族入りの結婚式とは思えないくらい、肩ひじ張らない終始楽しい式だった。

 話によると、最近はこのタイプの結婚式がちょくちょく行われているらしい。まぁお金持ってる人が真似するノリだそうだが。

 

「今頃、リント中の酒場では亭主殿の名で乾杯されてるんだろうなぁ」

「ん、実に太っ腹」

「これも一種の投資やでレノちゃん。嫌われるより好かれる方が何かと得なんや」

「まぁ半年もすれば忘れられるとは思いますけど」

「何にせよ皆が幸せなのが一番じゃよ」

 

 結婚式の当日は、俺が出した金でフライシュ中にお酒が振舞われた。リント市の酒場だけじゃなく、小さな村にもデリバリーしてもらった。

 フライシュの人達にイシグロ家の名前を認知してもらう為だ。ラジオもテレビもネットもないので、名前を憶えてもらうにはこういうポピュリズム的行為が有効……らしい。

 

「改めまして、これからも末永くよろしくね♡ パパ♡」

「もちろん。末永くな」

 

 楽しい結婚式をしている間も、屍王を筆頭にまだまだ問題は山積み谷積み折り重なっている。

 けど、今ばかりは立ち止まってもいいだろう。息抜きしないと進めない。踏み出す前には英気が要る。英気を養うには休む必要があるのだ。

 愛を育む事もまた、当然に。




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 以下、後半のネタバレあり。
 ネタバレが嫌って方は避難所へ。






・初夜。M全開でスタンバってたクニュフだったが、知識に偏りがあるのでノーマルな夫婦の営みを教わる事に。
・クニュフに「パパ専用のママ兼娘兼娼婦になりたい」と言われ、枷が外れスローハンド(意味深)と化すイシグロ。
・二人は幸せな初夜を経て終了。
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