【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚   作:いらえ丸

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キャラ・ボスのご応募もありがとうございます。

一人称、イシグロ視点です。
よろしくお願いします。



再会のスターティングブロッリ!

 ラリス王による魔王軍ぶっ殺し発表から、大体一年と少しが経過した。

 晩夏の夜である。ここ最近、各地の英雄候補生を鍛えまくっていた俺達は、ゲパルト領は迷宮都市アイゼンにある超高級ホテルに宿泊していた。

 しかも貸し切りである。

 

 超高級ホテルのVIP専用棟で、俺は最高の贅沢を味わっていた。

 例えるなら、異世界ナイトプール。見上げた天井は有翼族が悠々飛べるほど高く、床はモダン&エレガントな大理石。広間の中央には水自体が光ってる魔法のプールがあり、舞い上がる水しぶきをムーディな魔導照明がキラキラ煌かせていた。外界から隔離された特別塔に、きゃっきゃと非日常感にはしゃぐロリボイスが響き渡る。

 

「いや~絶景かな、絶景かな」

 

 プールサイドの革張りソファーで、水着一丁の俺は同じく水着姿のグーラの肩を抱きつつ水泳ロリを眺めていた。

 プールではクニュフとヘカテが一生懸命泳いでいて、イリハはバーカウンターで色々やってる。隣のグーラは俺に体重を預けつつ読書中。全員、スク水である。スク水なのである。

 再現したスクール水着――厳密には旧スクだ。異世界にも似たような形の水着自体はあったのだが、こいつは素材にこそ拘った。勿論、胸にはそれぞれの名前が書かれた名札があり、その字は皆にカタカナで直筆してもらった。名札の文字に個性が出てて大変グッドだと思う。

 貸し切りナイトプールに旧スクロリ四人。あまりにも贅沢な夜である。

 

 そう、四人だ。今現在、我が同盟は二組に分かれて行動している。ここにいないルクスリリア組はランベール領のフォレ市にいる。草薙の門の監督の為に。

 草薙の門。オーディションで選抜した候補生を銀細工級にまで養成する為に結成した同盟である。フライシュ領のオーディションからこっち、俺達は英雄育成に力を注いでいた。

 ヘルガ達フライシュ組は、既に養成期間を終えて同盟を卒業している。今行っているのは、ランベール組とゲパルト組の育成だ。そのうちランベール領は後期育成期間で、ゲパルト組は基礎課程である。色んな事があったけど、今のところ順調だ。

 

「ふぅむ……」

 

 生足魅惑の褐色ケモミミ文学少女と密着しながら、俺はテーブルに置いてある紙束を手に取った。

 そこには現草薙の門メンバーと、卒業生の情報が記載されていた。

 

 英雄育成計画。

 元々の計画はクニュフが知っている未来の英雄に先行投資するというものだったが、紆余曲折あって野生の英雄候補を見出すべく志願者を選抜するオーディション形式をとる事にした。

 現状、オーディションはラリス王国のフライシュ領とランベール領とゲパルト領にて催し、都度その地の領主および第三王子に協力してもらっていた。

 結果として、オーディションは軒並み成功した。出自不明だった未来英雄以外にも、ルルやノエミといった野生英雄が見つかったのである。

 

 オーディションでは、異能を含めた才能の他にもラリスの定める“英雄指数”を最重要項目としていた。

 一次の集団面接では俺のステータス看破でざっくり選別し、二次で人格と瘴気耐性を測る。最後の三次で英雄指数を算定するのだ。これにより、狩りに秀で人品にも優れる英雄候補生を選抜したのである。

 例えるなら、性格・個性・特性に加えての色違い6V厳選だ。一つの領につき三人程度しか見つからなかったのもさもありなん。代わりとばかりに、選び抜かれた候補生は皆さん超絶巨大原石である。

 未来に投資できて俺も嬉しい、戦力拡充できて王家も嬉しい、現地英雄が増えて領主も嬉しいてハッピーハッピーハッピーやんケといったところ。

 

 件の英雄指数についてだが、俺からするとよく分からんかった。統計的に、これが高い奴はラリス的な英雄になりやすいらしい。

 驚くべき事に、歴代トップクラスの英雄指数を叩き出したのはフライシュ組のヘルガだった。少し接しただけで、ヘルガはコミュ力が高く義理人情に厚い人物である事が分かる。クソ未来の彼女の身に何があったかは知らないが、彼女の心根には紛れもない英雄の器があったのだ。

 オーディション開いてもなかなか来なかった時は内心そういう運命かと諦めていたが、駆け込みセーフでラッキーセーブ。彼女のお陰で真に英雄に必要な資質というのを理解できた。心じゃよ、である。

 

 ヘルガ以外の未来英雄で言うと、ゲパルト組の半森人メアリーと熊人アガフィと出会えたのは幸運だった。

 二人とも、クニュフが知っているクソ未来の大英雄で、終末においては伝説的な偉人扱いをされていたらしい。

 特に熊狩人アガフィの功績は凄まじく、クソ未来の彼女は故郷の山の近くを通ろうとした魔王軍のクソデカ召喚獣――夜煌宮で俺達が戦った奴――を弓の一矢で葬った上、これを警戒した三代目魔王に進軍ルートを迂回させたのである。お陰で多くの人が生き残る事が出来たのだ。以降に件の山を調査したところ、アガフィと思われる遺体が発見され、無名の英雄として伝説となったのである。さぞ高潔で慈悲深い人なんやろなぁといった具合に。

 なお、実物のアガフィは純朴な腹ぺこ巨乳美少女で、よく同期の八尺様メアリーに抱っこされている。検証の結果、彼女は自身の持つリソースを代償に膂力を引き上げる異能の持ち主だった。例の一矢は命を代償にした蜂の一刺しだったのだ。

 

 野生の英雄達の存在については、オーディションをやってよかったと思える一番の要因と言えた。

 クソ未来の歴史に残らなかった彼等彼女等は、英雄の器を持ちながらも悲惨な境遇に追い込まれていた。ノエミを筆頭に、一部はオーディション受けてなかったら死んでいただろうし、マジでやってよかったと思う。

 ともあれ、野生枠の皆もまた未来枠の英雄に勝るとも劣らぬ逸材だった。才能もそうだが、英雄指数もバッチリ高かったのだ。

 

 また、英雄育成計画については、第三王子を経由して止まり木等の外部組織とも連携し、関係者の推薦で参加してもらう運びとなった。推薦枠だな。

 それぞれ、シラノイさんと血の繋がりのない息子と、アリエルさん推薦の半竜双子と、ナターリアさん推薦の鹿人男の娘である。

 シラノイさんの義息子――カゲロウ君は、イリハの遠縁の枝家を出自とする没落令息である。零落した実家から紆余曲折あって第三王子派閥に拾われ、何やかんやうちに来たという流れだ。

 半竜双子と鹿人男の娘の三人は両盟主が持て余してたところを預かった。後者の育成については、特別に俺が付きっきりでフルコンタクト空手を教え込んだ。彼の異能は空手と好相性だったのだ。

 

 未来枠・野生枠・推薦枠とは別に、少年漫画的なノリで過去の敵が味方化した展開にも遭遇した。前上森人王を暗殺した裸足の猫又ことトゥイが第三王子の紹介で計画に参加する事になったのだ。

 事の始まりは第三王子に協力を仰いだ時だった。良ければでいいんだけどコイツの面倒見てと言われ、断れないまま会ってみたら因縁の猫又が「やっほー」と軽いノリで挨拶してきたのである。

 曰く、裸足の猫又ことトゥイは神樹防衛戦で捕縛された後、旧魔王軍の情報をゲロりまくってから圏外戦で恩赦を得、これまた何やかんや今に至るらしい。裏切りに躊躇いが無さすぎる。

 昨日の敵は今日の友は少年漫画の王道だが、流石にちょっと敵過ぎる。身内を殺された新上森人王やアリエルさん、あとシャーロットがヨシとしたのでヨシとなったが、俺は今でも若干モニョッてたりする。それでいいならいいけどさって。

 

 閑話休題。

 

 英雄育成計画については、そんな感じ。

 もう少ししたら草薙の門の卒業生を集めた同盟を結成し、ヘルガに盟主をやってもらう予定だ。ナターリアさんが言うには、「ヘルガは戦士としては二流止まりだが、長としてはあたし以上の器だ」らしいし、彼女なら癖の強い卒業生を上手く纏めてくれるだろう。

 

「思った以上に難しかったな……」

 

 名簿を流し読みながら、誰に言うでもなく呟く。

 何が難しかったかって、他人にモノを教える事自体が、である。

 レベリングはともかく、基礎練習については想定外の連続で毎度頭を悩ませていた。チート任せのレベリングで超人化した俺が他人様に何を教えるというんだって話で。

 

 その点、我が愛すべき妻達は優秀だった。

 武術についてはユゥリンが、魔術についてはヘカテーニャがグンバツの指導者適性を発揮したのだ。その他にもエリーゼは魔力操作の達人だし、グーラは模擬戦教導がバチクソに上手だった。ルクスリリアは後期課程の追い込み鬼教官で本領を発揮してたしな。

 けど、やっぱその手のプロには敵わなかった。実際、一部の基礎教導はギルドの教導官やナターリアさんに手伝ってもらったし、そのうち俺はレベリング担当になってたもんよ。

 

「で、こっちは順調っと……」

 

 紙束を置いて、コンソールを開く。

 養成期間中に候補生達のレベリングに付き合っていた事もあり、引率してた俺達のステータスもかなり伸びていた。

 一方で、ルクスリリア等一部のレベルは伸び悩んでいる。恐らく、そろそろ限界突破イベントが起こるだろう。どんな異能が生えてくるか、今から楽しみである。

 併せて、霊格極装関連についても研究中だ。より効率的に同調率を上げられるよう、色々試しているのである。

 順調に戦力の拡充ができていると言えるだろう。

 

「ご主人様? どうなさいました?」

「ん~? いや何でも……」

 

 コンソールを消し、ソファーの背もたれに体重を預け、改めて今後について考えてみる。

 クソ未来の俺はフライシュ領のミルヒク市に家を建て、そこで家族と順風満帆に暮らしていたそうだ。

 そこに突如として新魔王が現れ、戦火の中で俺はクニュフを救い出す。やがて屍王が出現してすぐラリスを漁夫って全世界大荒れ。

 そして終末へ……。

 

 クニュフ曰く、クソ未来の俺は今の俺より強かったらしい。

 詳しく聞いたところによると、ユゥリンが死んだ後の俺は禁忌の儀式とか謎邪法とかで肉体改造によるダイジョーブ強化をしまくっていたという。屍王が迷宮を封鎖したせいでレベリングできなかったから、奴に抗するにはそうせざるを得なかったのだろう。

 当然、それら肉体改造の方法は現代のヘカテとシャロに共有されている。ファンリーと戦う前は王都から離れられなかったので出来なかったが、やろうと思えば今の俺にも適用できるそうだ。それを使えば数段飛ばしに強くなれるとも。

 しかし、その肉体改造には不可逆な代償を伴うらしい。それについては詳細を伏せられているが、どうせロクでもない代償に違いない。

 

 強さの理論値を目指すのであれば、やるべきだと思う。

 屍王は当代の災厄と言われているが、実際のところ正体不明の存在である。分かっているのは一定の知性と異常な強さを持っている事だけ。そんな奴をぶち殺そうというのだから、備えられるだけ備えるべきではあると思う。たとえどんな代償を支払っても。

 けど、しかし、である。俺が目指すのは、あくまでもオールハッピーなイチャラブ結婚生活なのだ。であるなら、口に出すのも憚られるような代償など支払うべきではないと思う次第。

 勝利は圧倒的で然るべき。俺自身、家族、親戚、身内の誰も欠ける事なく、来たるべき災厄を乗り越える。

 それが俺のロリコン道だ。

 

 故に、俺はハクスラ生活を続けようと思う。レベルを上げて物理で殴る、これが王道なのである。

 時間はあるのだ。例の肉体改造も研究は進んでいるので、そのうちデメリット無しで施せるようになるかもしれない。もしやるとしたらその時だ。

 それに新魔王は実質倒したようなもんだし、ラリス王国も疲弊してない。何なら備えるだけ備えて何も無かったなんてパターンだって全然あり得る。もしそうなったら杞憂だったと笑い話にすればいい。

 

 何であれ、俺の目的は変わらない。最終目標も、戦う理由も。

 皆と共に生きる。生きる為に力を得る。力を得る為に、今こうして頑張っているのだ。

 英雄育成計画も、偉い人とのお話も、毎日毎日続けているトレーニングも。

 全てはロリの為に。

 

「ん、ちゅ♡」

 

 その時だ。頬に湿り気を帯びた熱を感じた。グーラである。ほっぺにキスをされたのだ。

 見れば、隣で読書していたグーラが本を置いて俺を見上げていた。いつもピンと立っている耳がほんの僅かに垂れている。

 

「難しそうなお顔をされていましたので。考え事のお邪魔でしたら、申し訳ございません」

「難しそうな?」

「ついさっきまでは楽しそうでした。けど今は辛そうです。なので……ちゅっ♡ ちゅ~♡」

 

 もう一度、もう一回、頬に優しいキスをされる。

 例えるなら、落ち込んでいる飼い主にボールを持ってくる犬のような、そんな雰囲気。

 

「グーラは可愛いなぁ」

「ん♡ ご主人様、今のはそういうのじゃ……♡」

 

 となると、もう愛しさ百倍である。もう何回倍々してるのか分からんが、ともかく愛しさが爆発した俺はグーラを膝の上に乗せた。

 対面座位の恰好である。旧スクの胸にある「グーラ」という文字がすぐ近くにあった。黄金の瞳には、気の抜けた男の顔が映っている。ふにゃりと、彼女の目尻が優しげに下がった。

 

「ご主人様がボク達の事を想っているように、ボク達もご主人様の事を一番に想っているんですよ。ご主人様には、いえ……ボク達はご主人様と一緒に幸せになりたいんです。分かっていただけますよね?」

「そうか……」

「ご主人様が不幸だとボクも不幸です」

「俺もだよ」

「なら……おあずけですね?」

「もどかしいな」

「首輪があった時からそうでしたよ。少し長引いただけですから、平気です」

 

 額を合わせ、小さく微笑み合う。彼女の背に腕を回し、旧スクの背の魅惑のUに手を添えた。可能な限り本家に寄せた紺色と褐色肌のコントラストは、例えようもないほど鮮やかだった。

 

「ちゅ♡ んふぅ……れろ♡ ぢゅる、ちゅぅ……♡ ちゅぱ♡ はぁ、んむ♡」

 

 そうしていると、グーラの方から唇を重ねてきた

 すぐに舌が伸びてきて、俺の口内に侵入してくる。獣系魔族であるグーラの舌は長く、熱い。重なった舌から、彼女の体温が伝わってくる。

 グーラの背を撫でる手は自然と下がっていき、二股に分かれた尻尾に触れた。彼女のフサフサの尻尾は上機嫌に揺れていた。

 

「んちゅ……はぁ♡ いいですよ、イリハも混ざってください」

「ええんかのぅ? じゃあ、お言葉に甘えて」

 

 すぐ近くから声。イリハである。

 盆の上の飲み物をテーブルに置き、同じくスク水姿の天狐はさっきまでグーラがいた位置と逆の方に座った。

 グーラが元の位置に戻ると、狼と狐に挟まれる構図になった。両手にロリだ、旧スクの。

 

「主様も、あとわし等も最近は働いてばっかじゃったから、少し疲れておるんじゃよ。仕事熱心なのは良いとして、今はゆっくり……ちゅ♡」

 

 言って、イリハも俺の頬にキスをしてくれた。次いで逆からも柔らかな唇の感触。俺は今、二人のケモロリからほっぺにチューをされているのだ。

 さっきまでの思考はどこへやら。自然と顔が緩んでいく。キスはいい。身体も元気になるが、何より心が元気になる。

 ふと、テーブルの上に置かれたジュースが目に入った。イリハがバーカウンターで作っていたフルーツ系のドリンクだ。

 

「喉乾いたな。イリハ」

「この甘えん坊め♡ ん……はむ♡ ちゅぅぅぅ……」

 

 俺のお願いを汲み取ったイリハは、件のジュースを口に含んでから直接口移しで飲ませてくれた。

 天狐の唇を割って流し込まれたのは、柑橘系のジュースだった。彼女の口は小さいので移せる量もごく僅か。すぐに飲み終えた俺はしかし、なおもイリハの舌を吸っていた。小さな天狐の舌は、この上なく甘くて美味しい。

 

「ボクからもどうぞ♡ はむ♡」

 

 続いて、グーラからも口移しをしてもらう。彼女のジュースは酸味の強い爽やかな味をしていた。

 左を向いてイリハとキス。右を向いてグーラとキス。そのうちジュースそっちのけで唇を重ねまくっていた。

 三人が各々の後頭部に手を添えて、俺を中心としたダブルベロチューを敢行する。ああ、幸せ過ぎる。

 

「あ~っ! パパもう始めてる~! 仲良しする時はあたしの前でやってって言ったじゃん!」

「泳ぐん疲れたし、ウチもちょい休憩しよかなっと」

 

 そうなると水着越しにもアッチが目立ってしまう訳で、プールで泳いでいたクニュフとヘカテが水を滴らせながら上がってきた。

 先述の通り、二人も旧スク姿である。ちなみにポリっぽい素材はヘカテ先生の錬金術で作ってもらったものだ。あくまでポリっぽい水着なので本物ではないが、大発明である事には違いはない。それで真っ先に作ったのがスク水っていうね。

 

「ほな、ウチは血ぃやのうてこっち貰おかな♡」

「手伝うニャ♡ はぁい脱ぎ脱ぎしましょうね~♡」

 

 そうこうしていると、スク水の二人は俺の水着に手を伸ばし、あっという間に露出させた。

 降臨したご立派様から、純淫魔契約により強化されたフェロモンが放散された。これを嗅いだ四人は一斉に目をハートにした。

 

「……っと、せっかくやし、つい昨日完成した新技お披露目しよっかな」

 

 今か今かと待ってたら、ヘカテに謎の魔力反応。やがて彼女の灰の頭にクニュフみたいな猫耳が屹立した。

 いつぞや見た、真祖の変身能力を用いた猫耳モードである。しかも今回は尻尾もついているではないか。仮の猫耳がピクッとなると、俺の前尻尾もビクンとなった。

 

「どや? 可愛いやろ? ダーリンこういうん好きや思って、こっそり練習しとったんよ」

「ああ、最高だ。可愛いよヘカテ」

「くふふ~、まぁ耳も尻尾もハリボテなんやけどな。幻影ちゃうから触っても解けへんで?」

 

 ダブルキャットの耳をふにふにしつつ、センシティブな先っちょで異なる舌の感触を味わう。

 吸血鬼族のヘカテの舌は冷たく、シルクのように滑らか。クニュフの舌は温かく、それこそ猫のようにザラついている。どちらも異性を虜にすべく進化した種族特性らしい。

 

「ご主人様♡ ボクの耳も触ってください♡ はむ♡ ぢゅぷ、れろれろ♡ ぢゅぅう♡」

「わしの尻尾なんて九本あるんじゃぞ♡ 主様だけモフり放題じゃ♡」

 

 下のを舐められながら、上でも舐め合う。貸切のナイトプールに卑猥な水音が反響する。

 狼、狐、猫に猫耳吸血鬼。俺は四種のスク水獣の愛撫を受けていた。

 スク水だ。旧スクなのだ。であれば、ちょっとやりたい事がある。

 

「クニュフ、水抜き穴開けて」

「え? こ、これでいいのかニャ?」

 

 唐突なお願いに、クニュフは戸惑いながらも応じてくれた。膝立ちになったクニュフがスカートをたくしあげるように水抜き穴を開ける。すると、あまりにも魅惑的なおヘソが見えた。

 旧スクには前部に水抜き用のスリットがあるのだ。声を大にして言いたい。旧スクは、これがいいのだ。

 

「あ~なるほど、そういう事かいな。ダーリンの考える事は分からんなぁ」

「えぇ~っと、こう? ひゃっ♡」

 

 あとはもう、言うまでもない。俺のレスキューポールは水抜き穴にレスキューされた。ぷにぷにのお腹が気持ちいい。

 

「ちゅぅ……ぷはぁ♡ ご主人様、もうそろそろですね♡ いつもの匂いがしてますよ♡」

 

 唇を離したグーラに耳元で囁かれる。俺がもう限界であると分かっているのだ。

 そうして、耳朶と唇が触れる距離で一言……。

 

「早くなんとかして、赤ちゃん作りましょうね♡」

 

 その言葉が最後の引き金になった。

 水抜き穴は文字通りの水抜き穴となり、漏れ出るモノを吸精鬼と化したヘカテーニャが舐め取っていく。くすぐったいのか、クニュフはけらけらと笑っていた。

 今のは宴が始まった号砲である。そのまま濡れた皆とプールに入り、縁の方を向いて並んでもらった。四人のお尻が浮力で浮いている。昔々、水泳の授業でやったバタ足練習のようだ。

 俺は皆の後ろに立ち、四対の足を触りながら“どれにしようかな”をやっていた。四人共、皆違って皆いい。むき出しの足に、スク水が食い込んだ小さなお尻。脇から腰にかけて、肌にぴったり張り付いたスク水の皺が淫らな陰影を成している。

 肌の滑らかさと生地のマット感。この境界線こそが、真に旧スクを芸術たらしめているのだろう。俺は知能指数が高いから分かる。

 

「いつでもいいですよ♡ ご主人様♡」

「ほれほれ♡ 一本に戻した方がやりやすかろぅ♡」

「もちろん尻尾フリフリ機能も付けてあるんやで♡ はい、ふりふり~♡」

「猫系はそういう事しないのニャ♡ 誘う時はこうやって……♡」

 

 バタ足ならぬバタ尻尾。背後にいた俺は彼女等の水しぶきを全身で浴びていた。

 此方も浴びせねば、無作法というもの。

 

 そうして、俺は心行くまで異世界ナイトプールを楽しむのであった。

 

 

 

 

 

 

 翌朝、俺達はアイゼン市の門前にいた。

 晴れ渡る空。草薙の制服を纏うロリ四人。それからスーツ姿の俺。

 そして、ケッテンクラート。

 

 え? 異世界でケッテンクラートを?

 できらぁ!

 

 という訳で、ヘカテーニャ先生が独自技術で再現してくれました。

 ケッテンクラートとは、昔のドイツが開発したバイクの前輪とキャタピラを悪魔合体させたような見た目の車両である。オタク的には終末世界を二人の少女が旅行する作品が有名か。

 一応、マグナバイクの一種という事になっている。移動用リヴクラフトなのだ。

 

「で、これが炉心のセーフティを外す鍵や。これ差し込んでから起動するんやで」

「おう。そのへんはバッチリだ」

 

 とはいえ、性能はリアルのソレと全然違う。車というよりホバークラフトである。

 これはマグナバイクの性能を一部制限し、地上における走行安定性と乗員数増加を図った、言ってしまえばマイルド路線のマグナバイクだ。ケッテンクラートを再現しようとしたのではなく、結果としてケッテンクラートみたいなシルエットになったのである。

 

「それじゃ、仮称・異世界ケッテンクラート、起動!」

 

 俺は異世界ケッテンクラートの運転席に座り、カギを差し込んで魔力を通した。すると、後部のキャタピラ部分が僅かに浮き上がり、見ていた衛兵が「おお」と唸った。起動成功である。

 

「行ってきま~す」

「行ってきますニャ~」

 

 後部座席に皆を乗せ、ハンドルを握り込んだ俺は異世界ケッテンクラートを前進させた。走りながら後ろに手を振ると、アイゼン市の兵士も手を振り返してくれた。

 実際乗ってみた感じ、ルクスリリアがいない時用の多人数移動用マシンとしては及第点だと思う。

 まぁでも、ガチで速く移動したいならヘカテーニャに召喚獣作ってもらうか飛行眷属を召喚して飛んだ方が速いのだが、そこはロマンが勝つわけで。

 ケッテンクラートが嫌いな男子なんかいないのだ。知らんけど。

 

「これは凄いのじゃ! 馬車と違ってぐわんぐわんせんのがええのぅ!」

「ボクみたいな獣系魔族でも、これくらいの音なら安眠できますね」

「特に力入れたんがそこでなぁ。炉心の振動も全然ないやろ? これは内部の魔術機構に秘密があって……」

「ところで何で屋根付けてないの~? あった方が絶対快適じゃん」

「即応性」

「にゃはは、パパったら常在戦場なんだから~。うん、実際そうだね。ここからなら狙い放題撃ち放題ニャ」

 

 坂道砂利道ガタガタ道も何のその。自動車と同じくらいのスピードで、異世界ケッテンクラートがラリス街道を突っ走る。通り過ぎる人が二度見してくるが、そこに嫌悪や忌避の色はない。

 ナーロッパロードを自動車スピードで走るのは速過ぎと思うかもしれないが、追い越してくる人とか普通にいるのがこの世界だ。並走してきた飛脚馬人が「いい馬車だな! だが俺のが速ぇぜ!」って話しかけてきて草である。

 マグナバイクのツーリングもいいが、こうやって皆でドライブするのもいいもんだ。空も大地も美しく、景色を見てるだけで癒される。

 

「さて、今から河の上走るぞ。本濡らさないようにな」

「ゆっくりお願いしますね」

「ちゃくす~い……今!」

 

 改めて、決意を漲らせる。

 英雄候補生を集める。自分自身を強化する。政治的な後ろ盾を得る。屍王とかいうクソ野郎に、この世界を滅ぼされないように。

 グーラが言ってくれたように、早くなんとかして赤ちゃんを作るのだ。

 

「ふぅ~! ケッテンクラート最高~!」

「すいーって動いて気持ちいいですね! これならリンジュまで一直線です!」

「温泉! 温泉が楽しみなのじゃ!」

「イリハママほんと温泉好きニャ~」

「覚えとき? 歳取るとどんどん温泉でゆっくりするんが好きになってくねん」

 

 次なる目的地は、東の国・リンジュ。

 首都カムイバラで、ルクスリリア達と合流するのだ。

 再会が楽しみである。




 しゃあっ、更新!
 書籍版一巻が発売され、続刊企画も進行中です!
 よろしくお願いします!


【挿絵表示】


 というわけで店舗特典情報!
 ゲーマーズ様は、書き下ろしSSとルクスリリアとエリーゼのアクリルスタンドになります。
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 とらのあな様は、書き下ろしSSとタペストリーになります。
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 その他、各電子書籍販売サイト様でも配信されます。



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・異世界ケッテンクラート
 運転手含めて最大十人乗り(後部座席はロリ用なので大人は九人も乗れない)。シルエットがそれっぽいだけで実際は全然異なる。ホバー移動なので水の上も走れる。
 後部座席となる炉心および浮遊・前後推進装置と、前部座席のバイクハンドル・左右推進機構で構成される。
 コストはマグナバイク以上。エメスアルマ以下。召喚獣や使い魔の作成コストの方がはるかに安い富豪用道楽マシン。
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