【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚   作:いらえ丸

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炉安9課、再び

 虹龍迷宮。

 俺達がオーディションやってる間に生えてきた、割と真新しい屋外型の上位迷宮である。

 内部はどことなくハワイのキラウェア火山のようで、見渡す限り溶岩台地とむき出しの溶岩流。またファンタジックなことに、ところどころに岩の大樹のようなものが聳え立っててマグマ・リンゴみたいなのが実っている。全体的に、他の火山系迷宮より明るくて開放的な印象だ。

 出現エネミーはいつぞやの恐竜ダンジョンに似た魔龍オンリー。けれどもこれは暫定措置で、魔物学的に新種のこいつらの分類はまだ正式には決まっていない。というのも、ここの魔物が何とも判断しづらい見た目と性能をしているからである。

 

「来たぞ来たぞ大漁だ。作戦通り初手は俺がいくから、エリーゼはちょっと待ってな」

「分かってるわよ」

 

 射手スキルで見えた先、冷えて固まった溶岩の地平から魔物の群れが現れる。

 虹翼烏龍。一言で言うと、やや西洋ドラゴンナイズされた始祖鳥だ。あるいはジュラ紀の鳳凰か。左右一対の翼は七色に輝き、両足はチキンレッグとは程遠いモンスターレッグ。そんな極太足を動かして、ズドドドドドドと侵入者殺すべしと走ってきたのだ。

 

「お遊戯の時間だよ!」

 

 対し、俺は左の短銃杖と右の長銃杖を構えた。そして様々な属性の魔法を乱射。放たれた多属性魔法は狙い違わず烏龍達にヒットするも、その殆どは一切の衝撃を与える事なく水に石を落とすように魔物の体表に吸収された。孔雀の如く広げられた魔龍の翼が虹色の輝きを放っている。

 ややもせず、烏龍群は走りながらブレスを吐いてきた。ただのブレスではない。炎、水、雷、闇など様々な属性の混じった特殊ブレスである。当然、俺はそれを最小限の動きで回避しつつ避けきれないのは【魔力の盾】で【弾き返し】た。パリイしてなお属性ダメージが貫通してきてとっても痛い。

 この通り、虹翼烏龍は受けた攻撃属性を吸収し、攻撃に混ぜる特性を持っているのだ。また吸収属性は個体ごとに七つずつ存在する上、無属性状態では通常防御力がクソ高くて生半可な攻撃では歯が立たない。逆に属性を吸収する度に最大七段階まで柔らかくなる。あまつさえ属性吸収状態には時間制限があり、一定時間が経過すると無吸収ガチガチモードに戻るのだ。

 畢竟、虹翼烏龍の攻略法は七属性を食わせて柔らかくしてから瞬殺するのが王道なのである。こんな厄介な性質を持っていて、かつ龍殺し特攻が入るから魔龍扱いされているのだ、あの始祖鳥モドキは。

 だが、ぶっちゃけ俺達の敵ではない。

 

「ルクスリリア! ゴー!」

「ひゃっはー! 今日のアタシは一味も二味も違うッスよぉ!」

 

 やがて交戦距離になったと同時、神獣ラザニアを駆るルクスリリアが突撃した。巨大始祖鳥の群れに潜り込み、超高速で通り過ぎ、合間合間に粘着球やら魔法デバフやらを撒きまくる。その立ち回りは体内魔力の消費を全く気にしていないアクセル全開機動であった。

 決して攻撃せず妨害に徹する姿の何と頼もしいこと。お主こそ真のメスガキ無双よ。

 

「バッチグーじゃルクスリリア! 陰陽互根、【土行・蟻地獄】! 五行相生、【金行・鉄条網】!」

 

 そして、ルクスリリアが撒いた妨害に重ねるように、真なる仙氣眼を輝かせたイリハが大規模妨害陰陽術を二重発動した。

 次の瞬間、走ってくる始祖鳥の足元が砂漠化し、時計回りの砂流で以て中心の穴へと吸い込んでいく。続いて藻掻く始祖鳥を鉄の網で絡めとり、砂と鉄で金縛りにした。

 土行と金行の陰陽術コンボ。大多数の烏龍が吸収しなかった属性を見抜いた上での術式構築。ご先祖アイズを手に入れたイリハは真にリンジュの建国英雄に勝るとも劣らぬ陰陽術師になったのだ。

 

「よし、もう充分だな。エリーゼ!」

「ルクスリリア、上へ逃れなさい……!」

 

 空中で銃杖を構える俺の頭上。エリーゼが月光を束ねたような翼を広げ、虚空の狭間から八つのビット杖を展開する。

 次いで腰にあるリギウの偽宝剣に触れると、眩い光を伴いビット杖の数が十六個に倍増した。左右二挺の王笏と合わせ、都合十八個の魔法杖である。

 その先端を、斜め下で固まっている虹翼烏龍へと向け……。

 

一網打尽よ(・・・・・)……」

 

 都合十八の【魔導極砲】が散々にデバフを受けて蟻地獄に落ちている烏龍に殺到した。

 瞬間、大爆発。一発で王都一の魔工師の魔力がすっからかんになる魔法の十八発同時発射である。結果など言うまでもない。エリーゼにとっては有難い事に、純魔力属性は吸収対象ではなかったのだ。

 

「まだまだ来るぞ!」

 

 けれども、これで終わるようでは上位迷宮判定はされていない。俺達目掛け、蟻地獄に嵌らなかった始祖鳥が迫ってきた。

 接敵、激突、そして乱戦である。ルクスリリアは一度遠くに飛んでから急旋回して再突撃しデバフ爆撃を敢行し、イリハは陰行と陽行の術を同時発射して烏龍を削っている。エリーゼはビーム剣二刀流になって烏龍の虹翼を両断していた。

 

「ん! グーラ、そろそろこっち来て!」

 

 他方、一番強そうな始祖鳥と戦っていたレノが救援要請を出していた。どうやら相手は光力弾が効かないらしく、実弾魔法だけでは火力が足りないようだった。

 

「お任せください!」

 

 そこにザコを散らしていたグーラが接近する。

 鉄塊剣を振って小烏龍を跳ね飛ばし、最短最速でレノの下へ。そうして大きく跳び上がったグーラは、両手で持ったぶちぬき丸を振り上げた。

 

「いけそうです! やぁあああああああ!」

 

 ズバァアアアン! 黒炎黒雷発勁溜め斬りが、巨大始祖鳥の脳天に直撃。相手は死ぬ。

 物理ダメージがオーバーフローしたのか、グーラの攻撃を受けた古代鳳凰は剣が直撃した瞬間に爆発四散した。今のグーラはダメージ計算が終わる前に相手を殺してる感あるんだよな。

 また、今のグーラは以前より多くの魔力を使って立ち回っていた。その秘密は彼女の持つ剣……否、その柄頭に連結された短剣にある。

 

「う~ん、この殴殺劇」

 

 淫魔と天狐が足止めし、エリーゼとグーラが狩り、俺とレノがサポートする。そんな戦場を、俺は空飛ぶ槍に跨りながら俯瞰していた。

 精のタンクがデカくなって遠慮せず魔力を使いまくるようになったルクスリリアと、仙氣眼の潜在能力を引き出したイリハ。二人の強化アプデが来たかと思えば、今度は我が一党の最強の二人にもアプデが入ったのだ。この前二つ名ジョブが追加されたばっかなのに凄いな~って思うワケ。

 

「っと、全方位から第二波くるぞ!! 迎撃よぉ~い!」

「その前に指揮スキルを入れるわね。【竜吠】」

 

 それにしても、戦っている時のエリーゼは実に活き活きしている。

 いや、エリーゼだけではない。普段大人しいグーラはキリッとしててカッコいいし、イリハもりりしくて素敵だ。レノも的確にスナイプしてて痺憧。ルクスリリアはメスガキかわいい。

 そんな事を考えながら、俺はこうなる前の出来事を思い出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 深域武装とは、迷宮の主が稀にドロップするユニーク武装である。

 その形態は様々で、シンプルな直剣であったり複雑なギミック武器であったり、首輪やマフラーなどの装飾品であったりもする。前者はルクスリリアの大鎌で、後者はニーナさんの眼鏡が該当する。

 そして、深域武装は迷宮で死した戦士の魂の結晶説ってのがあるらしい。

 

 霊格極装とは、クソ未来で偶然見つかった深域武装の強化形態の事である。

 その強化方法は、深域武装との同調率がカンストした使用者が星髄石を壊して開かれる深域迷宮を攻略するというものだ。

 この同調率というのが厄介で、外部から計測する手段がない上にカンストの成否も使用者の体感ベースなのである。あまつさえ個人差が激しく、すぐに同調した奴がいれば歴戦の猛者でも全く馴染んでないなんて事もしばしばだとか。

 

 今現在、第三王子参加の研究チームが霊格極装について調べているようだが、イマイチ進展がないらしい。そもそも条件が厳しい上に消費アイテムも極めてレアなのだ。さもありなんではある。

 同調率とは何なのか、ラリスのエリート達は今日も今日とて地道に調べているのである。

 

 で、だ。

 

 そんな中、ユゥリンは一晩でやってくれました。

 同調率とは? その上げ方とは?

 実際に訊いてみた。

 

「結論から言いますね。深域武装は鏡だと思ってください。鏡に反射する自分の魂を見て受け入れるんです。ね? 簡単でしょう?」

 

 如何でしたか?

 いや分からんが。

 分からんが、それについてはユゥリンによるレポートが用意されていた。

 

「ほぉ~、意外と細かく書いとったんやな。目的から仮説、実験に結果・考察が分かりやすく纏められとるわ。学校行ってないのにコレはユゥリンちゃんあんた賢いでホンマ」

「まぁ確定って訳じゃないんで、参考までに」

 

 ユゥリン・レポートには、同調率を上げる為に昨晩何をしたかが時系列順に書いてあった。

 魔力を流してみたり、氣を繋いでみたりといったソフトなものから、血を垂らしたり腹を刺してみたり補助効果の縮小機能を使って小さくした槍を飲み込んでみたりといったハードなものまで。

 ユゥリンの筆致は淡々としていて、なんだか惨劇に見舞われる寸前の研究者の日誌みたいでやんした。

 

「そこで槍持ちながら瞑想してみたんですよ。ほら、魂魄昇竜の練習の時みたいな感じで」

「あ~」

 

 魂魄昇竜とは、俺が編み出した一時的なステータスの引き上げスキルである。

 その練習として、俺は俺自身の魂の知覚を試みていた。実際に魂が感じられているかは判然としないが、ともかく集中すると身体内部にステータスの源泉的な何かが在るのを把握できたのだ。

 ちなみに、我が一党で魂魄昇竜を使えるのは俺とグーラとユゥリンだけである。グーラは無意識にやっていて、ユゥリンは教えたら出来た。他はさっぱりだ。

 

「瞑想ルートはもう王子様の方で失敗したっぽいんですけど、ワタシ的にはこれが正解なんじゃないかって思ってたんですよ。そんでずぅ~っと瞑想してたら、なんか槍の中にワタシの魂? みたいなのがある気がして、安い鏡に映ったみたいな魂が。同時にその繋がりも感知できた訳です」

 

 で、これが同調率ってやつ? と思い、嵐極拳の奥義の一つである内勁繋ぎと魂魄昇竜の要領で槍との接続を試みたという。

 

「集中してたら魂とその繋がりがハッキリしてきたんで、それを掴んで引っ張ってこじ開けて半ば同化しました。多分この工程が同調率の向上方法なんだと思います。なので、同調率を上げるにはまず深域武装を鏡として自身の魂を知覚するところから始めればいいと思いますよ」

「う~ん?」

 

 深域武装は鏡です。鏡には自分の魂が映ります。それを認識して接続したら同調完了です。

 うん、分かるような分からないような。エリーゼ・グーラの未覚醒組は首を傾げ、ルクスリリア・イリハの覚醒組は納得半分懐疑半分といった面持ちだ。

 

「その、深域武装は鏡……というのが分からないわね。魂が映るってどういう事なのかしら……」

「ワタシもですけど、皆さん深域武装を戦いの道具って思いこんじゃってるんですよね。間違いではないんですけど、消耗品ではないというか」

「それはそうだけれど……」

 

 武器=消耗品というのは、俺には全く分からない考え方ではなかった。

 愛剣それ自体に思い入れを持ったとしても、それはあくまで使い勝手のいい実用品に対する愛着であって、それ以上でも以下でもないのだ。これに関して、エリーゼとグーラは同じなんだと思う。レノなどその典型だろう。

 一方、ルクスリリアとイリハはどうだろうか。ルクスリリアはたまに神獣ラザニアをブラッシングしてやってるし、イリハは意味など無いのに綾景之太刀を手入れしている。少なからず、ただの道具としては扱ってないような気がした。

 

「ワタシの所見なんですけど、深域武装ってあくまで武器の形を取っているだけの無垢な魂の結晶だと思うんです。使い続ければ自分の色に染まっていって、最終的に自分と同じ魂になるんです。あとはそれを認知して受け入れる感じですかね」

 

 深域武装は無垢な魂の結晶であり、使っていくうちに自分に近い魂に変化していく。

 そういう意味での鏡であり、同調率とは両者の魂の一致度なのかもしれない。

 いやだからって簡単に接続できるもんではないと思うが。

 

「それで、ユゥリンは星髄石を割って深域迷宮を踏破したのか」

「肯定です。そしたら中に真っ白なワタシがいて、何か話しかけてきたんですけど速攻でボコボコにして帰ってきました。楽なもんでしたよ」

「な、なんで返事せずに殴っちゃったのかニャ? 対話形式の深域迷宮もあるのに」

「眠かったんですよ」

 

 言って、ボールペンサイズになった白槍でペン回しをするユゥリン。高校の時に同じクラスだったペン回しマスター須藤君を超える技量だ。

 ちなみに、霊格極装となった彼女の槍の性能は、以下の通りである。

 

 

 

◆ヴォルフの白槍◆

 

・物理攻撃力:850

・属性攻撃力:50(聖)

 

・異層権能:次元招来

 

・補助効果1=不壊

・補助効果2=矢弾偏向(至適防御)

・補助効果3=魔法偏向(至適防御)

・補助効果4=形状変化(伸縮)

・補助効果5=形状変化(廓大)

・補助効果6=魔力収奪(小)

・補助効果7=投擲強化(大)

 

 

 

 パッと見で分かるが、元の性能から結構変化している。

 まず、防御時に自動でジャストガードしてくれる補助効果が消え、ジャスガ時に矢弾と魔法を受け流すという補助効果に切り替わっていた。また攻撃時に収奪したHPを膂力に変換する補助効果も魔力収奪に変化している。投擲強化も付いて栄養バランスもいい。今気づいたけど魔法装填も消えてるな。

 一方、異層権能の強化はないようだ。霊格極装になって強くなったんじゃなく、持ち主に使いやすい武器として変質した感じか。

 

「とりまさっそく試してみようか。場所はマキア城でいいだろう」

 

 という訳で、その日の迷宮探索はキャンセルしてユゥリン式同調率上昇プログラムを実施する事に。

 やり方はこうだ。最初に瞑想で深域武装の魂を感知。次に自分と深域武装間の繋がりを知覚。最後に内勁繋ぎと魂魄昇竜の要領で接続する。

 どれも難しそうだ。特に最後のは魂魄昇竜ができないエリーゼにはキツいのではないだろうか。

 

「出来ないのだけれど……」

「難しいですね……」

 

 案の定、銀竜と混合魔族の二人は苦戦していた。

 二人共、第一段階の魂の感知に躓いているようだった。俺もやってみたけど全く分からんね。

 他方、試しにやってみたルクスリリアとイリハは「何となく分かるくないッスか?」「こう無言で話しかける感じじゃ」との事。いや出来るんかい。

 

「う~ん、言うて条件満たしてるでしょうしエリーゼさんとグーラさんの集中力があれば出来そうなもんですが……あっ」

 

 その時、ユゥリンに電流走る。

 

「瞑想の方法を変えましょうか。エリーゼさんは二刀流になってヴィーカ流剣術の型をやってください。グーラさんはぶちぬき丸と繋げた状態で素振りやってください。大人しくする瞑想じゃなくて、動きに没頭する瞑想です」

「それは何故かしら?」

「いいからいいから」

 

 言われた通り、二人は武器を構えた。

 エリーゼは剣杖を出してから偽宝剣で模造してビーム剣二刀流になり、ブオンブオンと振り回した。ヴィーカ流の技だ。

 グーラはぶちぬき丸の柄頭にレダの短剣の鎖を伸ばして連結し、その状態で切り上げと振り下ろしの無限ループを開始した。

 当初は訝しげだった二人も、いつもやってる稽古を続けていくうちに没頭していった。剣をどう構え、どう振るうか。教わった術理に従い、己の身体を動かしていく。

 

「あっ……」

 

 ややもあり、エリーゼが小さく声を上げた。

 偽宝剣の権能時間が終わり、自動的に鞘に戻る。その顔は何か大事な事を思い出したような、今まで気付けなかった事に気付いたような表情をしていた。

 グーラも剣を振り下ろした姿勢で固まっていた。同じような表情で。

 

「どうやら掴んだようだな……みたいなセリフ、言ってみたかったんですよね~」

「わかるマン」

 

 邪魔をしちゃいけないような、静謐な空気が流れる。

 やがて、エリーゼが俺の方を見て言った。

 

「今ならいけると思うわ。はっきり見えたもの、この剣に宿る私の魂が……」

「エリーゼもですか。ボクも今さっき、本当の意味でレダの短剣を握ったような気がしています」

 

 いける気がするなら、背中を押すに吝かではない。俺は残り少ない星髄石を手渡した。

 エリーゼは鞘と一体化している偽宝剣で石を砕き、グーラはダガーサイズに大きくしたレダの短剣で石を割った。

 次の瞬間、二人の深域武装は持ち主の手を離れ、一人でに動いて伝説の武器のように地面に突き立った。僅かに靄が見える事から、深域迷宮が開かれたのが分かる。

 成功したのだ。遅れて「おお」という見物組の声。二人は当然とした表情で頷き合っていた。

 

「どっちが先に終わるか、競走しない?」

「いいですね。勝った方がご主人様にキスをして頂くという事で」

 

 流石に気分が高揚しているのか、二人は意気揚々と深域武装の中へと入っていった。

 一、二、三秒後……。

 

「ぬわぁん、疲れました~」

「疲れたわ……」

「あ、ボクの勝ちみたいですね!」

 

 レダの短剣の靄からグーラが出てきた。その二秒後にエリーゼが帰還。

 どのみちこっちとの時間差はそんなにないが、競争はグーラの勝利だ。俺は寄ってきたグーラに顎クイをして優しくキスをした。褐色ケモロリの勝利のVに対してぐぬぬしてたエリーゼにはほっぺにキス。少し機嫌を直してくれた。

 

「ところで迷宮の中はどうだったのニャ?」

「ボクのはシンプルでしたよ。入ってすぐの場所に大きな岩みたいなのがあって、それを壊したら終わりでした。何度も叩いて壊しました」

「私は真っ白なお祖父様と一緒に戦ったわ。城程もあるとても大きな魔龍とね」

「うにゃ~、やっぱりあたしが知ってるのとは違うのニャ~」

 

 ともかく、二人共霊格極装にする事ができた。これはめでたい。

 ユゥリンも腕組み後方師匠面でうんうん頷いている。彼女達の接続プロセスを詳しく聞けばユゥリン・レポートの完成度も向上していくだろう。

 

「はえ~、やっぱ不思議なもんやなぁ深域武装ってのは」

「よくそんな恐ろしいもん振り回せるな。アタイは職人が作った武器しか使いたくないぜ」

「ん、同じく。この考え方の人は一生無理そうだね」

「実用主義的なラリス人だと特にニャ~。その点、愛刀を大事にするリンジュの人とかは得意なのかも」

 

 やっぱり第一歩は深域武装を武装として認識しない事から……なのかもしれない。

 それはそうとして、手に入れた武器は使わねばという話。

 で、今に至るのだが……。

 

「もう一度行くわよ、消し飛べ!」

「はあああああ!」

 

 ドッカァアアアアン! バッコォオオオオン! バババババババ!

 どう見ても最適化どころの騒ぎじゃありません。本当にありがとうございました。

 

「もうあの二人だけでいいんじゃないかな」

「何年も前から思ってたッスね~ソレ」

「とはいえじゃ。エリーゼは意識が攻勢に寄り過ぎてて危ういのじゃ。わし等がしっかり世話を焼いてやらんと」

「ん、グーラは?」

「グーラは……特に言う事ないのじゃ」

 

 なんて話しつつ、始祖鳥軍団と戦う俺達。

 見れば、珍しく空をグライドしている虹翼烏龍がエリーゼに突っ込んでいた。援護しようと思ったが、当の彼女に視線で制される。

 カミカゼ始祖鳥に対し、エリーゼは左手でクールタイム待ちの偽宝剣を取り出し……。

 

「ヴィーカ流剣術、【秋水】」

 

 剣杖を模造し、【魔力の剣】で切り裂いてみせた。

 次いで右手にも星灯りの剣杖を持ち、【斬滅の魔導剣】のX字斬りを見舞って始祖鳥を殺しきる。

 祖父から贈られた剣は、真に半身となって孫娘を守っていた。

 

 

 

◆リギウの偽宝剣◆

 

・物理攻撃力:1

 

・異層権能=究竟模造

 

・補助効果1=不壊

・補助効果2=自動最適化

・補助効果3=模造(星灯りの剣杖)

 

 

 

 最も大きな変化で言うと、異層権能だろう。

 以前までの権能、“極製模造”は手に持った武器を複製するというものだったが、現在の“究竟模造”は装備中の全武器の複製ができるようになった。

 これの何がヤバイかって、エリーゼが収納魔法からちょろっと出しているビット杖は装備中判定をされているので、究竟模造を使えば右手の杖に加えてビット杖まで複製してしまえるところだ。

 要するに、火力が二倍になったのである。しかも二つ名スキルで呪詛と祝福の重ね掛けできるし、ちょっとこれはバカアプデが過ぎる。代わりに究竟模造は時間制限制ではなく消費魔力制になったが、それでも【魔導極砲】十八発同時発射の火力は圧巻だ。

 あともう一つ、補助効果で剣杖の無制限模造が出来るようになったのは地味に偉い。時間制限だった二刀流が無限に遊べちまえるようになったのだ。うん、地味に偉い。

 

「硬いですね! けど……ふんッ! ふん! ふぅん!」

 

 他方、グーラはどうだ。

 彼女はレダの短剣が合体したぶちぬき丸を振り回し、無吸収状態でクッソ硬いはずの烏龍を何度も攻撃して殴殺していた。

 つまり、彼女の霊格極装にはそれだけの力があるって事なのだが。

 

 

 

◆レダの短剣◆

 

・物理攻撃力:500

 

・異層権能:魂威連結

 

・補助効果1:魔力収奪(中)

・補助効果2:形状変化(伸縮)

・補助効果3:形状変化(廓大)

・補助効果4:形状変化(分離)

・補助効果5:形状変化(融合)

・補助効果6:不壊

・補助効果7:膂力補正(大)

・補助効果8:膂力補正(中)

・補助効果9:膂力補正(小)

 

 

 

 これまた、レダの短剣も異層権能に大きな変化があった。

 レダの短剣は、ファッション用の手錠のような腕輪に短剣のキーホルダーが付いているようなデザインをしている。以前までの権能である“次元連結”は物体にくっつけて引っ張ったり蜘蛛男移動するものだった。要するに立ち回り補助の武器だったのだ。

 だが今は違う。かなり違う。新たな権能“魂威連結”は、連結した物体にレダの短剣の全性能を付与するというものに切り替わったのだ。また新たな補助効果“形状変化(分離)”により、腕輪と短剣部分を分離させられるので、“形状変化(融合)”と併せてワイヤレス接続ができるようになったのである。

 使い方はこうだ。レダの短剣を腕輪から分離させ、その柄頭をぶちぬき丸の柄頭とガッチャンコ。したらどうなる? ぶちぬき丸にレダの短剣の攻撃力と補助効果の全てが付与されるのだ。つっても形状変化系はレダの短剣のみに適用されるが、それでもグーラの攻撃に魔力収奪などが加わるのはデカいぞ。いやデカ過ぎるぞ。

 二代目であるシン・ぶちぬき丸の攻撃力が1500超えていたので、レダ接続時は2000超えてる訳だ。そこに特大剣補正や重量補正や武器自体の能力値補正や付与された補助効果の膂力補正なども乗るので、今のグーラの物理攻撃力はちょっとおかしな事になっている。

 代わりに、マイナス補助効果が消えた影響で以前までの巨人殺し的立体機動は難しくなってしまったが、火力が上がるんだから問題ない。今のレダの短剣を木に射出したら連結する前に木が爆散しちゃうんだよね怖くない?

 

「行くわよグーラ。突っ込みなさい」

「了解です。最高速度で……やぁ!」

 

 そんなこんな、霊格極装を手に入れた二人は今日も今日とて大暴れをするのであったとさ。

 いや二人がおかしいだけでルクスリリアとイリハもレベルキャップ解放&異能ゲットでめちゃ強化されてるんですけどね。

 

「レノはどうする? やっぱり霊格極装にする? その水晶」

「や、一回試して無理そうだったから別にいい。マスターは?」

「どうすっかなぁ俺もなぁ。前は槍を進化させるつもりだったけど、師匠と戦った後だとノコギリソードも悪くない気がするんだよなぁ」

 

 ユゥリンを発端とした霊格極装のお話については、そんな感じ。

 勿論、ユゥリン・レポートはヘカテ教授添削のもと、エージェント・メイドさんを介して第三王子に送付された。

 役に立つといいね。

 

 

 

 

 

 

 ルクスリリアの精タンクが拡張され、エリーゼが霊格極装を手に入れてから、また月日が流れた。

 その日は皆でデートをしていた。災厄フィーバーで賑わう王都を歩き、何気ない日常を楽しんだ。

 そのついでに、俺達は馴染の防具屋に立ち寄った。注文していた装備を受け取る為である。

 

「おぉ~! かっこかわいい~!」

 

 防具屋の応接室で、俺達は新たな装備に身を包んだスタメンロリを見ていた。

 以前までの装備も良かったが、今の装備の彼女達も美しかった。何であれ新衣装はテンションが上がる。

 

「ふっふ~ん♡ どうッスか? このアタシの新装備は? シルヴィアナ様の衣装ってんで気に入ってたッスけど、何だかんだ自分の為の装備は気分がいいッスね!」

 

 最初はルクスリリアである。彼女の新たなる装備は例によって淫魔族伝統の激エロのモロレザーで、淫魔ちゃんマジ淫魔で最高だった。

 以前の装備はニーナさんの母である淫魔剣聖シルヴィアナ女史のお古――戦いでは一度も使ってないらしい――だったが、今度のは正真正銘彼女専用だ。

 専用装備。本人はいらないと言ってたが、おニューの装備は嬉しいらしく何だかんだ喜んでくれていた。

 

 

 

◆ルクスリリア専用超すごい革鎧◆

 

・物理防御力:600

・魔法防御力:650

 

・補助効果1:魔力回復(大)

・補助効果2:空中制動

・補助効果3:空中加速(大)

・補助効果4:魔法防御(中)

・補助効果5:全状態異常耐性(大)

・補助効果6:自動修復

・補助効果7:簡易伸縮

・補助効果8:魔法装填(極大快癒)

 

 

 

 ぶっちゃけ、基本性能自体はさほど向上していない。深域武装同様、着用者に最適化したのが新装備なのだ。

 主な変更点としては、使ってなかった魔法装填を外したところだ。その他、元々気に入っていた空中戦用の補助効果はそのままに治癒魔術を装填した。これは自分だけでなく他人にもかけられるやつなので、これでルクスリリアもヒーラーとしての働きができるだろう。

 

「私のはどうかしら? 王家の職人も良い仕事をするわね」

 

 エリーゼはというと、騎士然としていた前装備とは打って変わって純白の聖女といった様相である。

 籠手などの大きな金属パーツは控えめにし、輝銀魔石を使った金属部はアクセント程度にしてある。

 防具カテゴリーは鎧ではなくなったものの、そこにダウングレードの印象はない。むしろエリーゼの魂を覆っていた殻が割れ、彼女本来の気高さが露わになったかのようである。

 

 

 

◆月輪の法衣◆

 

・物理防御力:400

・魔法防御力:550

 

・補助効果1:全状態異常耐性(大)

・補助効果2:空中加速(大)

・補助効果3:自動修復

・補助効果4:魔法装填(血沸肉躍)

・補助効果5:魔法装填(魔力飛行)

・補助効果6:魔法装填(魔力大砦)

・補助効果7:魔法装填(聖光の極大快癒)

 

 

 

 性能的には、基礎防御力を犠牲に魔法装填を増加した感じだ。これまでアクセサリ枠の冠に乗せてた補助効果をこっちに移したのである。

 その分、新装備のアクセサリにはこれまで軽視してきた耐性系補助効果や指揮スキルバフなどが施してある。

 今までが万能固定砲台だとしたら、魔法回復バフデバフが可能になった真なる超聖女になったようなイメージだ。

 

「前回に引き続きボクにこのような上等な装備を仕立てて頂き、ありがとうございます。ご主人様」

 

 グーラの鎧についてだが、シルエット自体に変化はない。

 強いて見た目の変化を挙げるとしたら、マントに付いてたフードが無くなって英雄っぽい勇ましいマントになっているところだ。

 若き戦士が真の勇士になったような、そんな印象を受ける装備だった。

 

 

 

◆魔獣勇士の革鎧◆

 

・物理防御力:600

・魔法防御力:700

 

・補助効果1:自動修復

・補助効果2:魔力回復(大)

・補助効果3:簡易伸縮

・補助効果4:水属性耐性(小)

・補助効果5:飢餓耐性(小)

・補助効果6:魔法耐性(大)

・補助効果7:魔法防護(大)

 

 

 

 その性能は、シンプルに以前の装備を少し硬くした感じである。

 補助効果はマイナーだった耐性を捨てて魔法全般の防御力を重視した。致命傷に繋がる攻撃への耐性はアクセサリ枠のヒーローマントに任せてある。

 お迎え当初のグーラは、父の剣術を模倣してアクロバティックに動いていた。けれど、今の彼女は様々な武術を学んだ事でグーラ流とでも言うべき我流剣術を編み出している。静と動を併せ持つ歴戦の猛者になったのだ。この英雄的装備はそんな彼女にこそ相応しい。

 

「田舎生まれで御武家様とは程遠かったわしが、まさかこんな武具を纏う事になるとはのぅ」

 

 イリハの新装備は、エリーゼとは逆に既存装備に装甲を付け足したようなデザインになっている。

 両腕にブレーサー。両足にレガース。刀を使う陰陽術師から、陰陽術と剣術どちらも出来る陰陽剣士になったのだ。

 守られるべき巫女が成長し、勇ましい女武者になったような、そんな進化である。それでも神々しさは失われておらず、かえって増しているように思われた。

 

 

 

◆十尾の戦衣◆

 

・物理防御力:700

・魔法防御力:400

 

・補助効果1:自動修復

・補助効果2:環境適応(小)

・補助効果3:全状態異常耐性(大)

・補助効果4:魔力回復(大)

・補助効果5:魔法防護(大)

・補助効果6:精神異常耐性(小)

・補助効果7:魔法装填(極大治癒)

 

 

 

 物理防御力を底上げし、前衛っぽく仕上げたのがイリハの新装備だ。

 補助効果については細かいところを調整し、不必要な部分を少し削った。レベルアップで基礎体力が向上した彼女に生半可な体温保護などいらんのだ。

 無月流剣術に加え、嵐極拳の発勁技術を使いこなしている彼女をただの後衛に配置するのは勿体ないオバケが出るだろう。実際、今のイリハは飛ぶ発勁斬撃で体幹削って陰陽術決めたり陰陽術で足止めして発勁砲撃ったりみたいな戦法取ったりもするからね。

 

「ん、光力銃のホルスターもマガジンホルダーもいい感じ。それに前より光力が通しやすくなってる。パイモ天才」

 

 レノの装備は、前と同じく近未来SFのサイバー戦闘服のようだった。

 ホルスターを兼ねた腰のバインダーに、マガジンホルダーの冷却ボックスと照明弾収納ポーチ。機能性に富み、それでいて神秘的な意匠。

 天使にSF要素がついたのではなく、神秘と最新技術が矛盾なく同居している印象だ。これで熾天使化したら、それはもう空の女王に見えるのではなかろうか。

 

 

 

◆四天装甲・アルトキュムラス◆

 

・物理防御力:350

・魔法防御力:700

 

・補助効果1:全状態異常耐性(大)

・補助効果2:空中加速(大)

・補助効果3:自動修復

・補助効果4:光力制御(大)

・補助効果5:蓄光補助(大)

・補助効果6:闇属性耐性(小)

・補助効果7:簡易聖印(要約法儀式)

・補助効果8:蓄光防護(大)

 

 

 

 技術の進歩で魔法防御力が跳ね上がったのを除き、彼女の装備も例によって既存防具のアップデート版だ。

 最も大きな違いとしては、鎧自体にパイモ式の簡易聖印を施してもらった点だろう。これにより、光力の巡りがよくなってテレポートや聖水生成の反応速度がコンマ以下秒単位で速くなった。

 今の彼女に、魔導人機を降りた頃のぎこちなさはない。自分の足で立って、自分の翼で飛んでいる。この装備はそんな彼女を支えるための鎧だった。

 

「パパもママも素敵ニャ~♡」

「はは~ん、亭主殿と並べばますます見栄えがいいじゃあねぇか。他の銀細工とは明らかに武威が違ぇや」

「よく似合ってて可愛いと思いますよ。値段については全然可愛くないですが」

「王族級やもんな。多分、銀細工ん中で一番気合入った装備しとると思うで」

 

 並び立つ皆の新装備は、シャーロット達にも好評だった。

 なんとなくだが、ソシャゲで例えると全員一つレア度が上がった様相である。俺の黎明装備と同じで、アニバーサリーイベントガチャで出る感じの。俺だったら完凸まで回すねコレ。

 実際、この世界の装備ランク的にもワンランク上がっている。銀細工上位の装備から、現時点の天井である王族級になったのだ。

 とはいえ、王族級になってもその性能は既存の装備に毛が生えた程度の差しかない。なのに費用は倍以上、作成時間も倍以上。けれど毛一本だけでも強くなれるなら、どれだけ費用対効果が悪かろうと用意したいと思った。

 なお、この装備制作には第三王子配下の防具制作チームががっつり関わっている。セオドロスさんはアドバイザーというかオブザーバー的なポジションにいたらしい。あと俺への受け渡し役。王族が公に俺を支援する訳にはいかないからね、仕方ないね。

 

「間に合ってよかったな……」

 

 本当に、そう思う。

 こうして、俺達は決戦の準備を整えていった。

 一歩ずつ、着実に……。

 

「レノ! 久しぶり! 本当に久しぶりね! 元気にしてた?」

「ん、元気。ファリナこそ元気?」

「もちろん! すっごく良い暮らしさせてもらってるんだから! でねでね、レノちゃんにお話したい事がいっぱいあるの! あるんだよ~!」

 

 なんて思っていたら、新装備を整えたその日のうちに懐かしい顔と再会した。

 第三王子に保護されていた、レノの家族である三位一体楽園天使・ファリナさんである。

 彼女は訳あって一つの身体に三つの魂を同居させている。ちょこちょこ口調を変えているのは、その中の三人が身体の操縦権を交代しながら喋っているからだ。

 曰く、なんとびっくり楽園天使の中には地上の人と結婚した子もいるらしい。相手を調査してもシロだったので純粋に良かったと思う。そのへんもっと聞きたいぜ。

 

「やっほ~リリィおひさ~。な~んかリーザちゃんがまたラリスの偉い人に呼び出されちゃって、王都が一番安全だから~ってあーしもこっち来ちゃった。てか宿が西区最高級なんだけど、ウケるくない?」

「ホテルマンとか誘惑してないッスよね? そういうのマジで頼むッスよ……」

 

 あと、ルクスリリアの母であるラグニアさんとも再会した。

 旅券を手に入れて以降、彼女はリアルイーザ様に護衛されながら婚活旅をしている。なお。今のところ何の成果もあげられてないようだが、本人は旅自体が楽しいようであっけらかんとしていた。

 

「あっ、そうそうあーしこの前ヴィーカ様とまた会って~、やっぱマジかっけぇねあの人。つかリーザちゃんガチでリアルイーザ様だったんだけど、復活したんだって~。ウケるくない?」

「ウケるのはいいッスけどあの二人にだけは失礼しないでほしいッス……! マジで本当にお願いッスからマジで……!」

 

 リアルイーザ様も王都入りしているのか。そう聞いた瞬間、我知らず俺は身構えてしまった。

 とうとう近いうち呼び出されるのだろう。装備は間に合った。ルクスリリアとイリハのレベルキャップは解放した。天群雲はまだまだ育てたいところだが、人事は尽くしたと思いたい。

 

「つか親戚集まったんだし、チィちゃんも呼んで遊び行こうよ! 雨でムラムラ? の子も誘ってさ!」

「あはは、天群雲ですよラグニアさん」

「おう呑もうぜ遊ぼうぜ。ほら、ちょうどいいところにヘルガがいるじゃねぇか。お~い」

「うわぁあああなんかめちゃくちゃ恥ずかしいッスぅうううう!」

「いいお母さんじゃないですか。行きますよルクスリリア」

 

 つっても、だ。

 今はまだ休養中だし、親戚達とも再会したのだ。仕事の事は忘れて、互いの壮健を寿ごう。

 その為に生きて、人類の敵と戦いに行くのだ。むしろ気合が入るというもの。

 

「せっかくですし、他の皆も呼びましょうか。今日は呑み放題です。もちろん奢りますよ」

「やったー! イシグロくん最高~!」

「盟主様、今から私が呼んできます。場所をお教えいただけますか?」

「おい、あそこにいるのメイヴじゃねぇか? 盟主様、あいつ等も呼んでいいすか?」

 

 尖兵戦の時みたいに気を張ってばかりじゃ潰れちまうからな。

 

 

 

 

 

 

 その日の夜だった。

 宴会後、新装備で仲良ししている最中、我が家にエージェント・メイドさんが訪ねてきた。

 

「我が主からの召喚状となります。一読の上、誰にも見られないよう処分してください」

 

 ついに、王子からの呼び出しが来た。

 災厄が見つかったんだろうか。

 屍王が出てきたんだろうか。

 それとも、魔王軍残党の最後っ屁が来たのだろうか。

 

 分からない。分からない、が。

 精一杯、俺に出来る事をしようと思う。

 

 俺達は今日を楽しんだ。

 明日も勝ち取って、生きるのだ。

 皆と一緒に。




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◆霊格極装◆
・リギウの偽宝剣
 装備中の全武器を複製可能。一つの杖が二つに、八つのビット杖が十六個になる都合十八個の一斉掃射が可能に。
 ただし、複製機能は時間制限ではなく消費魔力制になったので、魔導極砲フルバーストは一回で終了する。ガトリング弾幕ならある程度継続可能。
 また剣杖は無制限で複製可能に。常時二刀流や咄嗟の抜刀ができるようになる。

・レダの短剣
 腕輪に剣のキーホルダーが付いたような武器。
・新たな権能は、連結した物体にレダの短剣の攻撃力と補助効果を付与するというもの。攻撃力100の剣に連結すると、レダの攻撃力500が加わり600になる。
・また、腕輪とキーホルダーが分離可能になったため、連結時は切り離した短剣の柄とぶちぬき丸の柄を合体・融合させる。見た目はぶちぬき丸の柄頭が短剣の刃っぽくなってるような感じ。



◆各キャラの技術面での成長◆
・ルクスリリア
 以前=最高の最低限の仕事をするいやがらせ要員
 現在=戦場を飛び回りながら全体を見て必要なところに必要なだけの火力・妨害・治癒など様々な支援を行う万能サポート要員

・エリーゼ
 以前= 魔力任せに装填魔法をぶっ話す半固定砲台兼回復・支援役。
 現在=戦況の流れを読み、予め的確な場所に移動してから大火力を放つ移動砲台兼回復・支援役。

・グーラ
 以前=父の剣を真似し、古獣人剣術でアクロバティックに動き回る死にゲーボススタイル。
 現在=静と動の均整が取れた達人タイプ。突っ込むときは最短で接近し、守る時は余裕を持った足運びで動き、翻弄する時は獣人剣術で立ち回る。結果的にちょっとヴィーカっぽい動きになった。

・イリハ
 以前=陰陽術を唱えつつ、無月流剣術で身を守る。
 現在=全距離で陰陽術を使いながら式を編みつつ、跳ぶ発勁と剣術で立ち回る。仮にシュリと戦ったらギリ勝てる。ただしシュリはあくまで陰陽術クリエイターなので戦い自体そこまで得意ではない。

・レノ
 以前=空中で動きながらカウンタースナイプ。
 現在=光力弾を使いつつ、たまに熾天使化して場を荒らし、神愛の守りで味方を守ったりタンクをやったりする。味方の治癒も可能。
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