【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚   作:いらえ丸

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感想・評価など、ありがとうございます。お陰で継続できております。
誤字報告もありがとうございます。



エッジ・オブ・ケイオス(後)

 その日の王都アレクシストは、かつてない程の熱狂に包まれていた。

 中央区から続く大通り。普段は多くの馬車が通行しているその道には、今現在ガチガチに武装したラリス王国兵が行進している。その動きはつま先から頭頂部まで統制が取れており、如何にも精鋭といった威厳に満ちていた。

 国民の声に応えるように、ラリス王国を意味する旗が風に靡いている。

 

「魔王が宣戦布告してきたって、マジだったんだな。今になって実感湧いてきた」

「言うて何処に戦力隠してたんスかね? ディングが協力しないんならロクに数集まんねぇと思うんスけど。やっぱ人工魔物?」

「あるいは量産天使かもしれないな。胸糞の悪い……」

 

 その光景を、俺は宿の窓から眺めていた。

 軍隊の中心、超精鋭騎士に囲まれた位置には、白馬に乗って民衆に手を振る第三王子の姿がある。彼は頼もしい王族を完璧に演じていた。演技かどうか分かる程度には、俺は彼の人柄というものを知っているようだった。

 

 三代目魔王からの宣戦布告については、現ラリス王の口から直々に公にされた。

 王の演説会場にはディング魔族国の首相もいて、その時にディングと魔王軍は無関係である旨も説明された。結果、災厄前の熱狂あるいは現実逃避は、三代目魔王を名乗る空気を読めない個人へのヘイトに直結する事となった。

 そしてこの日、魔王との決戦へ向けての出征パレードが行われたのである。

 

 別に俺はこれを見たくて王都に来た訳じゃない。単に仕事と被っただけだ。主な任務としては、王子と仲間を繋ぐメッセンジャーである。

 サブクエストとして、物資の大規模運搬も担っている。食料やら嗜好品やら建材や何やら。それから砦の駐在メンバーのお使いも。この詩集はニーナさんだな。この洗髪剤はカリッセさんだなとガタイで分析。全部揃えるのにはかなりの時間を要した。

 

「生きて帰ってきてくださいよ、殿下」

 

 その呟きが聞こえた訳もなかろうが、近くを通った王子はこちらを視て微笑んだ。

 演技の笑みではなかった。

 

 

 

 冬になった。雪はまだ、降っていないが。

 ジッド砦に到着してから、早二か月が経過した。

 状況は悪化の一途を辿っている。

 

 ジッドの森の妖精は、日に日にその数を増していた。

 迷宮の魔物と異なり、こいつらは交配による繁殖が可能なのだ。また、別種妖精の捕食による等級上昇……即ち進化についても報告が上がっている。三級の増加に伴い、特級の発見報告が相次いでいた。

 その為、ここ最近は毎日のように出撃して妖精を狩っている。調査研究の方もキャパシティを超えており、現在は生け捕りや死骸の持ち帰りはせずにその場で消し炭にしていた。妖精の死骸を放置すると進化素材として活用されるからだ。

 

 特級の何がヤバいかというと、やはり常時展開している妖精領域だろう。

 妖精領域とは、特級妖精が常時展開しているバトルフィールド兼バリアである。一歩でも足を踏み入れたら主を倒さない限り出られなくなる上、そうでなくとも領域の境界は外部からの攻撃を無効化するのだ。

 問題なのは、妖精側がその性質を利用してくるところだ。具体的には奇襲である。気づかれないよう身を潜め、一気に接近して獲物を領域に捕らえる。定員の四人を確保したら外部干渉を受けないので安全地帯まで逃げて改めて戦うのだ。

 また、領域は妖精本体を中心に展開され続けるので、妖精が移動すると巻き込まれた側も移動させられるのだ。足の速い妖精なら走り回るだけで獲物を疲弊させられる。カエルを入れたガチャカプセルを振り回すのをイメージすればいい。銀細工なら平気だが、一般人はそれだけで死ねる。

 特級妖精はただでさえ上位迷宮の主レベルに強いというのに、こんな事されたら殺すしかなくなっちゃうよ。てな訳で俺は日夜妖精狩りをしているのである。

 

 では一級の妖精は放置していいかというと、そんな事は全然ない。

 先述の通り、一級が進化すると特級になるから優先的に狩る必要があるし、領域こそ持たずとも素で迷宮の主と同等の強さなのである。

 一級狩りに際して安牌を切るなら銀細工級六人一組で当たりたいところだが、はっきり言ってそんな余裕はなかった。

 

 あまつさえ、日を追うごとに等級関係なしに妖精全体にアップデートが入っているようなのである。

 戦い一つ取っても以前とは段違いに立ち回りが洗練され、連携も巧みになっている。その他にも擬態したり潜伏したり死んだふりしてきたり、野生動物っぽい知恵をつけ始めたのだ。

 以前までは見つけ次第即討伐で良かったのが、現在は罠を張ったり誘導したりしないと狩れなくなってしまった。実に面倒である。魔物なら素直に襲い掛かってくれるというのに。

 

「これ、屍王の眷属と同じだよ。あいつらアンデッドのくせに戦うたびに行動が複雑になってったんだ」

 

 とは、クソ未来を生き抜いてきたクニュフの談である。

 ここにきて、妖精=災厄関連説が有力になってきた。それにしたって不気味だが。

 このまま妖精の知能が上がっていけば、俺等では対処しきれなくなるかもしれない。実際、現状でも人手不足なのである。

 

「ああ、イシグロ殿か。助かった。先日のバジリスク狩りで解毒薬が不足していてな。薬の素材も有難く受け取らせてもらう。本当に助かったよ」

 

 アリエルさんが守っているルーゴウンの森も似たような状況らしい。

 ルーゴウン砦周辺は一級妖精の数がジッド砦周辺とは比較にならないくらい多く、昨日潰したはずの巣が翌日には復活している事もザラなんだとか。

 人手が足りていないのは何処も一緒だ。妖精は他の砦にも現れて被害を出している。俺がいくら頑張ったとて、森から出てくる妖精を全部カバーできる訳はないのである。

 

「よ~しお前等! 今日もひと狩り頑張るぞ! ご安全に!」

「「「ご安全に!」」」

 

 それでも、妖精を狩り続けるしかない。

 朝起きて飯を食い、出撃して周囲の草原や森の浅いところを巡回。見つかった妖精を片っ端から殲滅し、魔法もしくは特殊な錬金油で焼却。斥候班から特級の発見報告があればソレも狩る。

 ゲーム的に言えば、古のダンジョンハクスラというより、オープンワールドのクエスト周回をやっている気分だった。

 そんな愉快なもんではないけど。

 

「お疲れ様です、ナターリアさん。ご無事で何よりです」

「あたし等はな。だが天文台に被害が出た。妖精共、弱ぇもんを率先して狙うようになりやがった。そしたら戦士が守るって学習しやがったんだ」

 

 未開拓領域の探索進捗はイマイチだ。

 妖精は森の奥から現れる。そこに大きな巣なり何なりがあるのは分かりきっているのだ。早いとこ道を作って調査を進めたいところだが、そう上手くはいかない。

 

 妖精の研究は進んでいるが、災厄への手がかりは掴めていない。屍王は影も形も出てこない。魔王と王子がどうなったのかもまだ分からない。

 ひたすら妖精を狩り、いつまで続くか分からない防衛戦を強いられている。当初は元気だった仲間達にも疲労の色が見えてきた。士気が高いのは幸いだが、このままではいずれ潰れてしまうだろう。

 まるで、尖兵戦の続きでもしているようであった。

 

「本格的な冬が来る前に、少数精鋭による偵察を行います」

 

 そんな中、本基地の総司令官であるデアンヌさんは、起死回生の遠征作戦を発令した。

 用意された会議室には、俺や天文台代表などの姿がある。デアンヌさんは皆の目を見て、卓上に広げられた地図を指差した。

 

「“未来視”の方にご協力頂いたところ、春の訪れと共に妖精のスタンピードが来るとの予言を賜りました。また、そのスタンピードの主……仮称・大妖精は、ジッドの森の最果てから現れるとも」

 

 彼女が指し示したのは、斥候班と遠征班が作成したジッドの森の地図の最南西だった。森はまだまだ続いているが、調査はそこまでしか終わっていないのだ。

 地図にも載っていない場所から、特級妖精を超える脅威と妖精の群れが攻めてくるという。現状でさえクソ忙しいというのに、悪夢のような予測だった。

 

「イシグロさんには、この大妖精を偵察して頂きます。それらしき対象を発見したら、接触せず観察し、情報を持ち帰ってきてください。ジッドの森は広大です。銀細工の足でも何日かかるか分かりません。準備は一任いたします」

 

 少数精鋭による大遠征。それが、俺に課せられた任務だった。

 命令だ。否はない。現状のままではどうしようもないのだ。大妖精なる脅威が迫っているなら、いち早く捕捉するに越したことはないだろう。

 やる価値自体は、あると思う。

 

「承知いたしました」

 

 別に、ソレを倒してしまっても構わんのだろう?

 そう言い切れるほど、俺は自信家にはなれなかった。死亡フラグだし、縁起悪いからね。

 

「よろしくお願いします。あと、状況次第では別に倒してしまっても構いませんよ」

 

 倒してしまってもいいらしい。

 なら倒すか。言われたら、自然とそう思った。

 

 

 

 

 

 

 大妖精。かねてからラリスに協力的だった“未来視”の竜族曰く、それは特級を超える脅威の妖精らしい。

 既に件の大妖精は出現しているらしく、俺達の任務はこれの偵察である。あるいは討伐だ。

 

 無論の事、作戦決行に際しては然るべき準備を整えた。 

 遠征前にジッドの森にいる妖精を可能な限り掃討し、俺がいない間も防衛できるようにしておく。

 また、先述と同じ理由から、デアンヌさんは頼れる援軍を呼んでくれた。

 

「安心せよイシグロ殿。闇夜の狩猟は我々吸血鬼族の本能故な」

 

 ラドゥ侯爵と騎士団である。そこには元ヤン系吸血鬼ドラグーシュさんや吸血女騎士ベアトリスさんの姿もあった。

 元々ラドゥ侯爵は別の任務を回されていたのだが、この度フボール地方に援軍に来てくれたのだ。彼等には夜に妖精狩りをして頂く予定だ。昼と夜を併せて実質二倍である。これは素直に嬉しいですね。

 生憎もう一人の援軍は来ていないが、突然の連絡だったのでこればっかりは仕方ない。

 

 最後に、大妖精偵察班の編成だ。

 連れて行くのはもちろん森の移動に適した草薙の剣メンバーだ。

 

「まぁ俺だわな」

 

 当然、正位置。俺である。

 理由は言うまでもない。一党で最も汎用性が高く、遠距離から近距離までこなすオールラウンダーだからだ。

 ジョブ由来の斥候技能もあるしな。森の歩き方は未熟だが、ジョブシステムが俺に力を与えてくれる。

 

「道中どんな妖精が出てくるか分からんからのぅ。手札は多い方がいいのじゃ」

 

 二人目、イリハ。

 彼女を連れて行く理由は、偏に陰陽術による対応力の高さ故だ。剣術もできるし、仙氣眼による索敵もできるし、何気に万能なのだ、彼女は。

 よほどの耐性持ちじゃない限り、【天意流転法】で滅茶苦茶にできる。実際頼れる。斥候能力は微妙だが。

 

「ん、狙撃手と思われがちだけど、実は回復役もできます。ふんす」

 

 三人目、レノ。

 言ってしまえば回復役だな。彼女のヒーラー適性は実際エリーゼに次ぐレベルなので、いざという時の事を考えるなら入れない選択肢はなかった。

 地味に嬉しいのが彼女の【聖水】だな。天使権能の聖水は、普通の水と違って瘴気をばちこり落とせるのだ。長期間森に行くなら天使族は連れて行くべきである。

 

「これワタシ明らかに数合わせ……というか、遠征に不向きなグーラさんの代わりですよね。まぁいいですけど」

 

 四人目、ユゥリン。

 彼女は純粋な暴力要員だ。斥候技能は修めてないが、達人キャラのお約束として気配遮断をマスターしてるので地味に隠密行動は得意だったりする。何かと気配に敏感なので不意打ち警戒役もできる。

 単なる暴力要員ならグーラのが適任なのだが、彼女は種族柄燃費が悪いので長期遠征には不向きなのである。魔力も派手だから隠密行動も不向きだったり。

 

「世界の果てか~。不謹慎かもしれへんけど、ちょっとワクワクするわ~」

 

 五人目、ヘカテーニャ。

 彼女の役割は眷属による大規模索敵だが、同時に天文台の代役でもある。情報を纏めて持って帰るには、彼女のような学者キャラは適任なのだ。

 運動能力は眷属でカバーすればいいし、いざとなったらインベントリ内にあるエメスアルマに乗って戦えるしな。魔法も全属性撃てるので実際万能。隠密能力も魔術でカバーだ。

 

「強行偵察なら任せて! ゲリラ戦、撤退戦、突破戦、森の作戦行動なら何でもできちゃうよ~!」

 

 で、最後はクニュフだ。

 彼女こそがメイン斥候である。というのも、彼女は森での戦いのスペシャリストらしく、未知なる森林の歩き方を熟知しているのだ。

 森での戦い方は、犬人斥候ウィードさんに教わったらしい。そういえば最近あの人見てないな。王家の依頼受けてるって聞いたけど、無事だろうか。杞憂しても仕方ないので今も元気してると思っておこう。

 俺達は、この六人で大妖精なる存在の偵察に行くのである。

 

「未知の冒険は少し羨ましいけれど、何日もあの森にいるのは嫌ね……」

「ボクの分まで頼みましたよ、ユゥリン」

「迷ったら道戻って帰ってくるんだぞ~」

 

 その他のメンバーは拠点に居残りだ。

 勿論、彼女達にも各々役割がある。ルクスリリアは緊急時に【エンゲージリンク】で俺を呼び出す係で、エリーゼとグーラは拠点防衛。シャーロットはルーン彫刻による後方支援だ。

 遠征中もヘルガ達には積極的に妖精を狩ってもらう。くれぐれも無理はしないよう言い含めて。

 

「それじゃあ出るッスよ! はいよーラザニア! 地面スレスレの低空飛行ッス!」

 

 作戦当日の朝。俺達はルクスリリアが手綱を握る空戦車に乗り込み、ホバークラフトのように地を滑走した。

 もっと高く飛びたいところだが、訳あって今はできないのだ。

 

「高度維持してこのまま突っ込め!」

 

 やがて整備した森の入口が見えてきて、勢いそのまま突っ込んでいった。

 太く大きな木が次々と通り過ぎていく。やはり、ラザニアの速度は圧倒的だ。地上スレスレを飛んでいるだけあり、体感スピードは凄まじい。

 

「じゃ、アタシはここで帰るんで。くれぐれも気をつけてほしいッス」

「ああ。ルクスリリアこそ帰り道も慎重にな。危なくなったら遠慮なく【エンゲージリンク】使うんだぞ」

 

 大樹の前に辿り着き、ルクスリリアと別れる。道はここで途切れていた。

 ふと、周囲を見渡す。地面は最低限荷車が通れる程度のデコボコ道で、木々の多くはジャイアント・セコイアめいて巨大である。見上げた空は樹冠に覆われ、朝だというのに青空が見えなかった。とても暗い。

 この先は未知ではないが未開拓の道なき道を進む事となる。入念に準備し、慎重かつ大胆に進まねば。

 

「妖精に気取られるといけない。探査魔術は使うなよ」

「わかっとるって。【眷属創造】……よし、散れ。フォーメーション維持したまま追従っと。やっぱ時代は自動操作よなぁ。常時同調しとったら普通に頭痛なるし」

 

 ヘカテの影から真っ黒な狼やカラスが出現し、散開する。

 こいつらは俺達と一定距離を保って周囲を警戒してくれる有能眷属だ。森にいる間は常に働いてもらう。

 

「一応隠形かけとくけど過信せんようにな。あくまで移動は静かに、や」

「りょ。それじゃ先導するから、皆ついてきて~」

「遅れたら影で飛ばしてほしいのじゃ」

 

 周囲を偵察したところで、改めて出発である。ガチモードのクニュフは猫のようなジャンプで大樹の太い枝に上った。俺達もジャンプして続く。

 それから、クニュフを先頭にした俺達は忍者のように木と木の間を飛び渡って行った。ちなみにヘカテは眷属の山猫に乗っている。

 此度の遠征は、可能な限り妖精に見つからないように進むのだ。空を飛べない都合上、多分これが一番速いと思います。

 

「ストップ。向かって右に特級が二体。どうするダーリン?」

「迂回しよう。クニュフ、いけそうか?」

「無問題ニャ」

 

 普段なら即討伐の妖精を迂回し、妖精同士の縄張り争いを無視し、ひたすら南西へ。

 俺のマッピングチートはこれまでの経路を記録してくれているが、俺個人の方向感覚は既に機能しなくなっていた。にもかかわらず、前を跳ぶクニュフの足取りに迷いはない。本当に頼りになる娘だ。

 

「ここらでいいだろう。上に行くぞレノ。背中合わせて慎重にな」

「ん、了解」

 

 少し開けたところで、俺とレノは垂直に飛んで森の上に出た。

 水面から顔を出すようにして周囲を見渡す。当然、視界いっぱい緑の地平線。呆れるくらい広大な森だ。

 南西の遠方を見ると、霧のようなものが見えた。あれが世界の境界線と言われている。

 

「ん、雲の向こうにガルーダ発見。今日も元気に飛び回ってる」

「そうか。もういい、下りるぞレノ」

 

 とある特級妖精を発見し、俺達はすごすごと皆のいる枝に下りて行った。

 要注意特級妖精・ガルーダ。こいつこそが、俺達が空を飛んで行けない最大の要因だった。

 

 ガルーダの見た目は黄金の巨大鳥で、その速さははっきり言って異常である。一度捕まったら最後、妖精領域に捕らえられて空中で西部劇のような引き回し刑が再現されてしまうのだ。実際、それで天文台の研究者に被害が出た。

 こいつはヤバい。絶滅させねばと腰を入れて狩り回っていたのだが、最後の一体になったガルーダは俺達から逃げ回りつつ妖精を狩りまくってパワーアップし、以降狩りたくても狩れない存在になってしまった。

 侯爵以外の援軍とはガルーダ狩りに最適な冒険者の事なのだが、結局遠征前に来る事はなかった。

 

「今日はここで休むニャ。仮眠取ったら出発するから」

 

 ただでさえ暗い森が闇に覆われた頃、俺達は小休止を挟む事にした。

 ただ走っただけなので肉体面は平気だが、警戒し続けた精神の方は休息が必要である。

 地面に焚火台を置き、ザコトゥレントの薪で暖を取る。トゥレント焚火は妖精避けになるのだ。ついでにお香も炊いておく。こいつはアルラウネから採取した蜜で作ったものらしい。どちらも研究の産物である。災厄の手がかりじゃなく、先に活用方法を見つけていた。

 

「これは美味しそうじゃ……!」

「パパがいると出来立てが食べれていいニャね~」

 

 焚火を囲み、飯を食う。たとえ銀細工でも腹が減っては戦はできない。

 これはミスター・フライシュが腕によりをかけて作ってくれたスペシャルメニューで、とにかく心身の疲れに効く激うま飯である。今回はいくつか持たされている中で丼モノとミソスープを選んだ。

 レノの聖水で手を洗って、お行儀よくお箸を使って食べる。うん、マジで美味い。失った栄養がガンガン補填されていくのを実感できる。

 

「ほい、ヘカテ謹製のパーソナライズド暗視ポーション。イリハのはブドウ味だってさ」

「流石に真っ暗じゃと見えんからのぅ。うん、美味いのじゃ」

「ワタシは桃味でした。おぉ、見える見える……」

「真祖になってから前より夜目利くようになって便利やわホンマ」

「ん、だからって夜更かしはダメ。ヘカテはほっとくとすぐ徹夜で研究する」

 

 大休止を取ったら移動再開。夜の森は危険だが、俺達なら問題ない。

 南西へ、ただ南西へ。真っ暗な夜も純淫魔契約の目には見えている。暗闇の木々を跳び渡る姿、俺にとっては一番ニンジャらしく見えるよ。

 

「それにしても、さっきから未発見の花とか果物がいっぱいあるな。帰ったらまた研究や」

「綺麗は綺麗じゃが、美しくはないのぅ。本来あるべき循環が全く無いのじゃ」

「ん、虫もいない」

「虫いたらワタシ絶対来なかったですよマジで」

 

 ジッドの森には鳥も獣もいない。何なら虫もいない。それら全て、妖精に置き換わっているのだ。明らかにまともな生態系ではなかった。

 森のあちこちには謎フルーツが散見され、天文台の研究によるとジッド・フルーツの多くは食べられるらしい。食べる気にはなれないけど。

 

「結構進んだな。レノ、ガルーダの様子はどうだ」

「ん、気付いてないっぽい。相変わらず飛び回ってる」

 

 夜が明けても、俺達は移動と休憩を繰り返していた。翌日も、その翌日も同じだ。

 レノの聖水と俺の【清潔】のお陰で身綺麗ではあるが、身体にこびりついた瘴気は完全には拭いきれない。俺、帰ったらサウナ入ってシャワー浴びるんだ。心身の疲労や三大欲求より、今は風呂欲が勝っていた。

 

「ここらへん、なんか変やない? 明らかにちょっと前の森と雰囲気ちゃうねんけど」

「ん、特級が一体もいない」

「水氣が強くなってきておるのぅ」

 

 強行軍を始めて五日目の朝である。

 今朝も忍者移動で進んでいると、周囲から特級妖精がいなくなっている事に気付いた。昨日までわんさか見かけた特級が急に影も形もなくなっていた。

 

「霧が出てきたな、縁起悪い」

 

 暫く進むと、今度は霧に覆われた。前が見えなくなる程ではないが、少し目障りである。

 が、予定通りではあった。霧がかっている所まで来たという事は、ここはもう未開拓領域だという事。そろそろ世界の最果てなのだろう。

 何が起こるか、何が出てくるか分からない。警戒は最大まで上げておくべきだ。

 

「ん? 今、明確に氣の感じが変わったのじゃ」

「イリハ?」

 

 ややもあり、仙氣眼を輝かせたイリハが呟く。

 枝から地上に下りた彼女は、ぐるぐると周囲を見渡した後、地面に足で線を描いてみせた。

 

「此処からこっち側と、此処からあっち側。氣の視え方が全然違うのじゃ。風呂場と脱衣所みたいに」

「ん、分かるような分からないような例え」

「流石イリハちゃんやな。実際、瘴気濃度に変化ありや。この線の先は明確に薄くなっとる」

「薄くなってるのかニャ? 濃くなってるんじゃなくて?」

「ザコトゥレントもいなくなってますね」

 

 ジッドの森の境界線。俺達はイリハの引いた線を跨ぎ、スタミナを消耗しない程度の早さで駆け出した。すると、どんどん霧が濃くなってきた。霧の濃さに比例し、植生にも変化が出てくる。

 さんざん忍者移動に使わせてもらったジャイアント・セコイアが減っていき、細くて小さな木が増えてきた。一方で地面に生えている草は葉が太くなり、クニュフはこれを山刀で斬って進んだ。

 

「マジで霧が濃くなってきた。ここからはゆっくり進もう」

「だね。パパ前衛任せていい?」

 

 いよいよ霧で視界が悪くなってきたので、各々武器を手に歩いていく。一度風魔法で霧を散らそうと試みたが、暖簾に腕押しといったように効果がなかった。

 幸い、周囲には特級どころか二級や三級の妖精すらいない。不自然なくらい何もなかった。

 進行方向から風が吹いてくる。霧の向こうには、何かがあるのだ。

 

「ん?」

 

 その時、懐かしい音が聞こえた気がした。

 遠くから、風に混じって聞こえた。遠くで砂を擦り合わせたような、聞き覚えのある音。不思議と穏やかな気持ちになるような……。

 

 やがて、森の終わりが見えた。

 木と木の間から、眩いほどの光が差している。

 頷き合った俺達は、改めて警戒を強くして光に向かって行った。

 そして……。

 

「え……」

 

 誰かが、呆けた声を上げた。

 俺達の前に広がった光景。それは水だった。

 否、水と砂と空だ。風が吹き、波が立っている。

 水平線だ。

 

「あぁ、海か」

 

 森を抜けると、そこは海だった。

 が、残念ながら天気は生憎の曇り。海面も黒ずんで見える。砂浜も灰色っぽい。左右を見ると、ずっと先まで同じ光景が広がっていた。

 なるほど、世界の果ては海だったのか。納得である。

 

「な、なんやこれは……どういうこっちゃ? 世界の果ては、でっかい湖やったん……?」

「風も無いのに波立ってます。おかしいですよ。ヘカテさん、これどういう理屈なんですか?」

「凄まじき水氣じゃ……」

「ま、マスター、怖い……」

 

 他方、ロリ勢は呆気に取られていた。

 そういえば、この世界に来てから俺も海見た事ないな。思い返せば皆と海について話した事とかなかったし。

 あるいは俺達が初めて異世界の海を見たのかもしれないな。

 

「へぇ~、これがパパの言ってた海か~」

「知っているのかクニュフ」

「うん。昔、パパに教えてもらったの。世界の端っこには海っていうでっかい水溜まりがあって、海は塩水で出来てて、魚がいっぱい泳いでるんだよね。あれ? でも塩の匂いしないね」

「確かにあの磯臭さがないな。何でだ」

「……ん、それより調査優先。大妖精を探す」

「あ、そうやったそうやった。この海? っちゅうのも気になるけど、今は大事な任務の最中やったわ」

 

 ともあれ、海に見惚れている場合ではない。俺達は世界の脅威たる大妖精を偵察に来たのだ。

 周囲の砂浜を探索してみるが、それらしい影はなかった。少し掘ってみたが、貝やカニも見当たらない。

 それはそうと、調査しつつもヘカテを筆頭に皆さんはしゃいでいるようだった。この高揚感、どうせならルクスリリア達とも共有したかったな。

 

「あー、皆さんご注目」

「どうしたユゥリン」

「あそこ。来たみたいですよ。それっぽいの」

 

 道端で猫見つけたとばかりのユゥリンの声に、一気に戦闘意識のギアが上がる。

 彼女の視線の先、海辺から何かが流れてきた。パッと見、真っ黒な塊のようだった。スライムよりは形を成し、泥というには生物っぽい。あれが大妖精なのか?

 警戒しながら見ていると、黒塊はうにょうにょと形を変え、手足が生えて人型を成し、やがて二足で立ち上がった。

 黒いヒトガタに色がついていく。それはさながら、ゲームのポリゴンにテクスチャーを張っていくかのよう。

 

「ゴブー!」

 

 そして、ゴブリンになった。

 ゴブリンになったのだ。

 

「は? ゴブリン?」

「ん、新種の妖精。さっそく命名」

 

 身長はルクスリリアよりも小さく、一メートルあるかどうか。また身長の割に頭でっかち。肌はくすんだ緑色で、体毛は一切生えていない。胸膜は黄色っぽく、目も鼻も口も異様な程に大きかった。その姿は、どこからどう見てもゴブリンそのものだった。あまつさえ真新しい腰蓑を巻いている。

 いや、ゴブリンて。ジッドの森でも初めて見たし、ルーゴウンでも発見例のない妖精である。妖精なのか知らんけど、多分そうだろう。てか妖精ってあの黒塊から生まれるんだ。ゴブリンだけ?

 それはそうと、ゴブリンを見た瞬間に俺の頭の中で薄汚れた鉄兜の冒険者がしきりに警鐘を鳴らしていた。まぁ作品によっては仲間だったりコミカルキャラだったり、何なら主人公だったりするけども。

 この世界に限って友好ゴブとは思えない。下手に優しく接してバカを見たくはないので、俺はこいつを問答無用で敵認定する事にした。ゴブリン殺すべし、慈悲はない。

 

「いや、まだまだ来るみたいですよ。警戒してください」

 

 なんて思ってたら、海辺のあちこちで謎の黒塊群が集団漂着していた。

 程なくして、ソレ等は見覚えのある妖精に変じていった。ミノタウロス、アルミラージ、コボルト、まだまだ続く。黒い塊は他にもどんどん流れてきて、見覚えのある妖精に姿を変えた。

 

「マジ最悪ニャ。笑っちゃうね~、マジで」

「あ、ああ。こんなんじゃ、いくら戦っても終わりっこないぞ……」

 

 その光景を見て、俺は危うく絶望しそうになった。

 だが、踏み止まる。何故なら俺はロリコンで、近くにロリがいるからだ。

 まだまだ希望を捨てるには早すぎる。

 

「とりあえず、此処にいる妖精は全滅させ……」

 

 拙速イズジャスティス。俺は呆気に取られている皆に指示を出そうとした。

 その時、俺の生存本能が警鐘を鳴らした。脅威が異常なスピードで接近してくる。あまりにも速い。加えてデカい。やがて敵味方反応レーダーに感があり、遅れて危機察知チートも反応する。

 ヤバいのが、来る……!

 

「全員! 後ろに下がれ!」

 

 バッシャアアアアアアン!

 俺達が退避したのと、ソレが現れたのは同時だった。

 例えるなら、巨大ワニの集団が水辺にいる全ての獲物に襲い掛かったような。水しぶきの中からゴブリンが飲み込まれていくのが見える。今のは俺達への攻撃ではない。砂浜にいる妖精への捕食行為だ。

 続いて、陸上に上がったソレは取り逃がした妖精を八体同時に丸呑みした。

 

「だ、大妖精って、こいつの事やんな? 多分。すっごい強そうやし」

「ね、ねぇ、パパ。あの魔龍って……」

「ああ……」

 

 見上げる程の巨躯。海水を反射し、キラキラ光る鱗。巨大な胴体に、根本で分かれた首と頭。鋭い牙の隙間から、ミノタウロスの腕がはみ出ていて、次の瞬間には巨大な口に飲み込まれていた。

 その姿に見覚えはないが馴染はある。超有名な神話生物。その退治方法もまた有名だ。ゲームでもアニメでも漫画でもラノベでも、あらゆるメディア媒体で大ボスとして扱われているソレは、まさに……。

 

「かなりヒュドラだよこいつ!」

 

 ヒュドラである。

 首の本数には諸説あるが、有名なのは九本バージョンだろう。けど今俺達の前にいる妖精ヒュドラの首は八本だった。かといってヤマタノオロチ感はない。ともかく第一印象がヒュドラだったのでこいつはヒュドラだ。

 

「「「GRRRRAAAAAAAAH!」」」

 

 都合八つの口が咆哮する。

 次いで巨大な身体が光を纏い、さっきの黒塊のようにぐねぐねと形を変えた。妖精による妖精食い。それによって起こる事象とはつまりそういう事で、残念ながら知ってるだけで見覚えはなかった。

 

「逃げろ進化するぞ……!」

 

 だから、反応が遅れてしまった。

 俺視点、なまじ脅威に思えなかったからというのは言い訳か。ともかく、再度形を成したヒュドラの首は九本になっていた。

 他の妖精を捕食した事で、進化したのである。

 

「ぐあ!? クソ、やられた!」

 

 次の瞬間、俺は弾き飛ばされた。

 痛みはない。問答無用でワープさせられたように、砂浜の外、森の入口へ飛ばされたのである。

 

「妖精領域や! 捕食で特級に進化して、定員オーバーで弾かれたんや!」

 

 見れば、ヘカテーニャも領域外に押し出されていた。

 海と砂の境界線上に、完全体ヒュドラが聳え立っている。その周辺で皆は武器を構えていた。するといきなりヒュドラが毒っぽいブレスを吐き出して、皆はそれを回避した。

 脊髄反射だった。俺は救援しようと前に出て、思い切り結界と激突した。妖精領域の定員は四人。もう入れないし、外からの援護射撃も通らない。

 俺は結界を殴り、叫んだ。

 

「クニュフ! とりあえず距離取れ! 巨体相応に領域も広い! 毒には絶対に当たるな! それから……!」

「ご主人! 緊急事態ッス! 今砦の方でぎゃあああ!? なんじゃこれッスぅ!?」

「リリィ!?」

 

 背後に声。振り向くと、そこには驚愕一色の顔をしたルクスリリアがいた。【エンゲージリンク】で俺のところまで飛んできたのだろう。

 ルクスリリアが転移してきたという事は、砦の方で緊急事態が起こったのだ。とにかく冷静になれ、俺。

 

「何があった? 落ち着いて、教えてくれ」

「そ、そうッス! エリーゼが! エリーゼとクラウディアがガルーダに捕まって連れてかれたッス!」

「……え?」

 

 頭が真っ白になった。

 歯を食いしばり、慌てて気を取り直す。呆然自失になってる場合じゃない。

 

「あぁどっから話せばいいか! 詳しくはあとで! とにかく妖精が攻めてきたんス! 特級がうじゃうじゃいて完全に戦力不足ッス! 他の砦もヤバいらしくって……!」

 

 よほどのピンチなのか、ルクスリリアはかつてないほど慌てていた。

 エリーゼとクラウディアが攫われて、砦が襲撃を受けている。脳内で情報を纏めた瞬間、俺の背筋に冷たいモノが過った。

 あまりにも、タイミングが良すぎる。統率個体? 内通者? 誰かが砦の様子を遠くから見ているのか? それ以前に、エリーゼを狙ったあたり明らかにガルーダに指示を出すなり操るなりしているだろう。

 人の悪意。この事態の根源に、俺はそれがある事を直感した。

 

「だが……」

 

 思考の隙間、領域に囚われた皆を見る。

 ヒュドラを退けたとしても他の妖精に襲われるかもしれない。帰りは大丈夫か? 食料は足りるか? 治療薬は?

 皆を放って、砦の救援に行くべきだろうか。本当にそれでいいのか? 後悔はしないか? 俺の心には迷いがあった。

 

「聞こえとったぞ主様! ここは任せて早う行ってくるのじゃ!」

 

 思考と直感に慄く俺の耳に、聞き逃すはずもないロリババアボイスが響き渡る。

 妖精の領域内で、炎の翼を広げたイリハが炎ヒュドラの噛みつき攻撃を躱していた。

 その動きは、迷宮のボスと対峙している時と同じだった。

 

「ん、急いで戻って! 今ここにマスターがいても仕方ない……!」

「帰り道はあたしが案内できる! 心配いらないよ、パパ!」

 

 広い戦場というのもあってか、各々の動きは極めて洗練され、またノビノビとしていた。

 

「しゃあっ、発勁斬り!」

 

 ズバァン! 次の瞬間、九つあるヒュドラの首の一本が断ち切られた。槍の穂先を伸ばしたユゥリンが斬ったのだ。

 しかし、切断されたヒュドラの断面は泡立つように再生を始めていた。やはり持ってるか、再生力。

 

「安心してください。こいつ見てくれの割にそこまで強くないですよ。厄介なのは魔物並みの再生力ですが、普段から魔物を相手にしてる身からすると大した脅威じゃありません」

 

 皆、あまりにも頼もしかった。

 そうだ。今更だが、俺の妻達は強いのだ。俺と一緒に迷宮に潜り、戦い抜いてきた猛者なのだ。たかが再生能力持ちのヒュドラ程度、余裕で倒せるに決まっている。

 

「わかった! ルクスリリア、【エンゲージリンク】は後どれくらいで使えるようになる?」

「距離ヤバかったんで、数日は使えないッスね。魔力の方は余裕あるッス」

「そうか、ならラザニアに三人乗りしよう。長期戦になる、久しぶりに鞍付けるぞ」

「あいッス! 出ろラザニア!」

「一応ここに眷属隠しとくでな! ヒュドラ倒したら報告してー!」

 

 そうと決まれば後は早い。俺は収納魔法から専用の鞍を出し、召喚されたラザニアに取り付けていった。

 先頭のルクスリリアが手綱を握り、その後ろにヘカテーニャ。最後尾に俺が跨って準備完了だ。

 それから、俺はヒュドラと戦っている皆の方を向いた。

 

「クニュフ! そいつは傷口を焼けば再生止まるかもしれない! 毒にも気を付けろ! 既存の解毒薬は効かないかもしれない! 絶対当たるな!」

「大丈夫! ヘラクレスの難行は覚えてるよ! カニが邪魔してきても踏み潰しちゃうんだから!」

「それより早く行ってください。帰る所がなくなる方がヤバいでしょう」

「分かった! 皆、そいつ倒したら真っすぐ帰ってくるんだぞ! 無理に素材持ち帰らなくていい! あぁ荷物もここに置いとくからな! 帰り道に木の実とか食べるなよ!」

「ん、了解」

「喉乾いても海の水は飲むなよ! 歯ぁ磨けよ! 聖水で身体洗うんだぞ!」

「いいから早う行くのじゃ!」

「ッス! 駆けよラザニア! 思いっきりぃ!」

 

 そうして、俺達を乗せた神獣は飛び出して行った。

 皆を助けに。




 しゃあっ、更新!
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 よろしくお願いします!


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