【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚   作:いらえ丸

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 感想・評価など、ありがとうございます。励みになってます。
 誤字報告も感謝です。助かっています。

 キャラ・ボスのご応募もありがとうございます。
 やる気に繋がっていますし、アイデアにもつながっています。

 今回、もし運営様から「ダメ!」と言われたら、このエピソードはR18版として短編で投稿します。キスシーンは大丈夫なはずです。
 別にチキンレースがしたい訳でも運営様に迷惑をかけたい訳でもありません。

 あと、今回主人公はとある“慣れ”が原因で失敗をします。
 失敗を糧に学びを得ます。
 皆様もお気を付けください。

 土日はがっつりティアキンをやりたいのであんまり書き溜めできねぇかもです。
 まぁ状況と気分次第です。


ロリコンデイズ

 後に聞かされた話によると、グーラには年齢不相応に性の知識が欠けていたのだという。

 俺は気づかなかったが、一昨日テントでわっしょいしてた時、なんと彼女は起きて俺等のどんぶらこを眺めていたというのだ。

 その上で、昨夜彼女は訊いてきた、「アレは何でござるか」と。二人は唖然としたらしい。

 

 グーラ、まさかの無知ロリであった。

 大好物である。

 いや、それはいい。

 

 無論、当時の俺はまさかそうとは全く思っていなかった。

 会話においては彼女のパーソナリティをゆっくりと探り、極力信頼を得る事を重視していたので、性についての話題はあえて振らなかったのだ。今思うと、少しくらいはするべきだったか。

 ある意味、若干慣れていたというのもある。何せ俺の卒業式は淫魔のルクスリリアが相手であり、二人目も140歳ロリ竜族のエリーゼだったので、流れに乗るだけでよかったのだ。

 それと、少しの思い込みも。エロ同人の読みすぎである。

 

 加えて、未だ引きずっている前の感覚もあった。

 何がどうとは、あえて言うまいが……それもいい。

 問題はそこじゃない。

 

 異世界での慣れと、未だ引きずっている前世の価値観。それと、俺の阿呆さ加減。

 

 思い知った、というべきか。

 異世界で生きるという事を。

 その意味を。

 

 ちゃらんぽらんでも、少しくらいちゃんとしないとな。

 楽しく生きるには。

 

 

 

 俺が借りた宿部屋は、全室に防音処理がされているらしい。

 さすがに前世地球の防音室ほど高性能ではないだろうが、それでも上階の話し声が下階に筒抜けなんて事はなかった。

 実際、俺が寝室で全力のカードキャプターさくらOPを熱唱しても、我が歌声は部屋外には漏れなかった。流石にグーラの耳には聞こえたらしいが、ルクスリリアとエリーゼは聞こえなかったと。それくらいには、防音してくれるのだ。

 とてもいいと思う。高いだけある、良い部屋だ。

 

 何より、ベッドがデカい。大きさはキングサイズといったところか。

 これなら四人で寝ても余裕だろう。

 

 来るべき時を待つ。ベッドの縁に座って、閉じた扉を正面から見るスタイルだ。少し前のめりすぎる気もするが、仕方ない。

 俺は少年期のワクワクと性欲に塗れたドキドキを矛盾なく同期させながら、彼女たちの到来を待った。

 

 コンコンコンコン。

 

 そうこうしていると、寝室のドアがノックされた。

 ついに来た。俺は新鮮な緊張を感じつつ、入室の許可を出した。

 

「失礼します……!」

 

 そうして現れたのは、グーラを真ん中にしたロリ三人組であった。

 三人は一様に下着の様な……いや、この世界における水着を着用していた。三人とも同じデザインなので、何かのユニフォームの様である。お揃いは良い文明だ。

 この世界の水着は、何かの動物の革で出来たヒラヒラしたビキニっぽい形状をしていて、まだ見た事はないが大衆浴場では皆これを着て入るらしい。

 

「どうッスか? ご主人♡ これ、エリーゼの荷物にあったんスよ~♡」

「こういうの好きだものね、アナタは……」

「お、おかしなところはありませんか……?」

 

 風呂上り、水着姿の三人が寝室にやってきたのである。俺の股間の組み分け帽子がアップを始めるのを誰が咎められようか。

 ルクスリリアは普段から水着か下着かみたいなサマーメスガキファッションなので、露出度においての新鮮さはないが、それでもちゃんと水着を着てると攻撃力が高い。その胸は平坦であった。グリフィンドールに+1919点。

 エリーゼは逆に普段から布面積の多い服を着てるので、いざこういうのを着られると不意打ちで与ダメ倍増だ。その胸は平坦であった。レイブンクローに+1919点。

 グーラの場合、さっきまで見えてた局部が再度隠された事でバフがかかっている。褐色の肌が艶めかしい。その胸は平坦であった。ハッフルパフに+1919点。

 そして、三者三様に表情が違うのが実に良い。ルクスリリアはメスガキ風に笑み、エリーゼはドヤ顔ながら若干頬が赤く、グーラは緊張して表情が硬い。スリザリンに+1919点だ。

 

「良い……」

 

 そんな彼女らの艶姿を見て、我知らず率直過ぎる感想が漏れ出た。

 次いで、俺のホグワーツに点数が貯まり、自力でイッてはいけない御方が復活寸前になっていた。

 

「ルクスリリア、わかってるわね?」

「へーい、約束は守るッスよ~だ」

 

 今の俺はとうとうオダブツになった地球パンツでなく、異世界にて最高級品とされるトランクスモドキを履いている。

 そのトランクスモドキには、それはもう見事なテントが聳え立っていた。メラゾーマではない、メラである。

 すぐに気が付いた俺は反射的に抑えようとしたが、いいやいいさと開き直ってそのままにした。

 

「ほえ~」

 

 と、意外な事に、グーラは股間の膨らみをぽけぇっと眺めていた。まるで動物図鑑でヘンテコな生き物を見たかの様な表情だ。

 忌避感とか、そういうのはないっぽくてちょっぴり安心である。

 

「きひひ♡ 効果テキメンみたいッスね♡」

「そうね。グーラ、よく見ていなさい」

「は、はい……!」

 

 三人、数歩近づいてきて、立ち止まる。彼我の距離は鉄の剣では適正、下の剣では不適正の近さであった。

 何かあるらしいので待っていると、やおらエリーゼはベッドの縁で座っていた俺の傍までやってくると、すぐ隣に上って膝立ちになり、俺と横向きに視線を合わせた。

 ソファに座る人の隣で正座してる様な感じである。その状態で、エリーゼは俺の両頬に手を添え、ゆっくり顔を近づけてキスをしてきた。

 

「ん、んん……ちゅ♡ ちゅっ♡ んんっ♡」

 

 唇同士を重ね、その感触を楽しむ。その光景を、二人に見せつける様に。

 条件反射で目を瞑り、エリーゼの唇に応えていると、それは丁寧に定石をなぞっている事に気が付いた。薄目を開けると、エリーゼは俺とキスをしながらも時折グーラに目を向けている様だった。

 ここにきて、遅れながらこの意味に気が付いた。よく見ておくってそういう事か。つくづく気の利く先輩である。口を半開きにしているグーラの隣ではルクスリリアが実況解説をしていた。

 

「んっ♡ はむっ、れろぉ……♡ んちゅ♡ むゅぅ……♡、ちゅぷ♡、ちゅう……れろれろ♡ はぁっ、んぢゅ♡ じゅるぅ……♡」

 

 やがて舌を使う段階になると、エリーゼの頬は紅潮し、一心不乱に俺を求めてきた。

 異世界女子にも性癖がある。リリィはマゾだし、エリーゼはキス魔だ。普段、エリーゼとは事あるごとに唇を重ねているのだ。約24時間ぶりのキスはとても濃厚で、攻めっ気が強かった。

 長く細い舌が俺の口内を這い回り、奥歯の裏や舌の根っこを踊るように愛撫した。こっちの技量はルクスリリア以上である。

 

「ぷはぁ……♡」

 

 しばらくねぶり合っていると、竜族の長い舌は引っ込んでいった。仕上げにとエリーゼは細く架かった唾液の橋を絡め取ると、ちゅっと俺の唇をついばんだ。

 それから、流れるように口元、頬、耳たぶにキスをされ、次いで耳元で囁かれた。

 

「リードしてあげるのよ。あの子、興味はあるの……」

 

 そう言って、エリーゼはそっと俺の背中を押した。促されるまま立ち上がると、見下ろす先に真ん丸な金の双眸があった。

 その目に、怯えとか嫌悪感みたいなのはないように思われた。さっきも、少し呆けてはいた様だが目を逸らしてはいなかったのだ。

 ともかく、エリーゼとのキスで俺は高まりに高まっていた。努めて冷静になりつつ、すぐ近くのグーラを見つめ返した。

 

「夜伽については?」

「はい、存じています。その……まだ、どうすればいいかは、よく分かっていませんが。精一杯、頑張らせていただきます……!」

 

 やはり、忌避感はない気がする。むしろ、何故だかやる気に満ちていた。それは彼女生来の真面目さからくるものだろうか。

 ふと、グーラの耳元――犬みたいな耳だ――に接近したルクスリリアは何事かひそひそ話をした。それから忍者の様に消えると、背後でベッドが軋む音がした。二人の先輩が見守っている。

 何を話したのかは分からないが、まぁ良い。

 

「じゃあ、まず目瞑って」

「はい」

 

 言うと、グーラはそのままの姿勢で目を閉じた。

 彼女の唇は一文字に引き結ばれており、キスに適した形ではない。拒んでいるというより、言ってた通りよく分かっていないのだろう。エリーゼのキスは滑らか過ぎてあまり参考になってなかったのかもしれない。

 俺はその唇に、そっとキスをした。

 

「ん……」

 

 ぴくん、と僅かに身体が揺れた。

 そして、がっつく事なく唇を離した。

 キスを止めても、グーラはじっと目を閉じたままだった。

 

「離れたら開けていいよ」

「あ、はい。わかりました」

 

 まるで新人研修でもしてるかの様である。いや、ある意味実際そうなのだろう。

 経緯を鑑みた上で、この様子だと夜伽の勉強をしているとは思えないし。

 

「別にずっと閉じたままじゃなくていい。うっすら開けててもいいし、途中目を開けてもいい」

「わかりました」

「じゃあ、次は少し長めに」

「はい。んっ……」

 

 それから、俺はできるだけ優しくグーラにキスの仕方を教えた。

 基本的な唇の使い方から、息を入れるタイミング、隅々までねっとりたっぷり教え込んだのである。

 

「ちゅ……ん、は……ちゅ……」

 

 グーラの唇は、二人よりもやや薄かった。その分口の温かさが鮮明で、ルクスリリアやエリーゼとは感触が違った。

 唇が擦れると、その熱がダイレクトに伝わる。エリーゼの口は体温相応に冷やっこいが、グーラは体も唇も熱っぽかった。

 

「次は舌出して」

「んっ……はい。ほうれふか……?」

 

 従順に、グーラは「んべ」っと舌を出した。舌診でもする様な構図である。

 言い方を間違えたか。ちょっと俺の意図とは違ったが、構わず彼女の舌に自身の舌を触れ合わせた。

 

「んぁ……れろ、じゅる……れろ、ちゅぱ……」

 

 また、舌も特徴的であった。

 種族柄だろう、グーラの舌は薄く平べったく、表面が細かくザラついていた。まるで犬の舌みたいだった。

 そんな舌と舌を絡めると、こちら側の何かが舐め取られる感覚がして新鮮だった。

 

「ん、ちゅ……れろれろぉ、じゅる……れろぉ、んはぁ……あ、れろ……」

 

 ずっとぎこちなかった唇の扱いに対し、彼女はあっという間に舌技をマスターした。

 薄く平べったい舌は驚くほど器用に動き、エリーゼほどはなくとも長かった。そんな舌のある口を愛撫すると、それを学習したグーラは同じ事を返してくれた。グーラのザラついた舌に舌裏を舐められると、快感で背筋がぞわりとした。

 

「んっ、ふぅ……こ、これで合ってますか?」

「ああ、凄い良かった」

「えへへ……なら、良かったです……!」

 

 キスの後、やや上気したグーラの笑みは、まるでテストの点数を褒められた子供の様だった。

 舌技の淫靡さと純真な反応のギャップで、頭がくらくらしそうだった。

 

「んん~! ご主人♡ そろそろアタシにも欲しいッス~♡」

「ええ……わかってはいたけれど、そう見せつけられるとね……」

 

 見つめ合っていると、後ろから二人に声をかけられた。

 そう、ここは二人だけの空間ではないのだ。

 俺はグーラを伴い、二人の待つベッドへと誘った。

 

 夜伽はキスだけじゃないのだ。

 

 

 

 それから、俺はベッドの上で大自然の息吹(ブレスオブザワイルド)を思う存分堪能した。

 始まりの台地の端から端までを攻略し、シーカータワーを登攀してもらった。皆で協力して祠チャレンジに挑み、がんばりゲージを消費して神獣ダンジョンを制覇したのだ。

 最後には俺の暴れ馬に拍車をかけ、ビタロックからの槍溜め攻撃でフィニッシュした。

 

 勿論、今回の中心はグーラだった。

 緊張しているグーラ相手に、最初から激しいプレイをした訳ではない。けれども想定より反応が大きい時があったりもした。

 何だろうと探っていると、不意にルクスリリアが勘付いて「グーラは吸われるのが好きなんスね!」と言った。淫魔は工口にて最強である。俺はアドバイスに従い、積極的にグーラの全身に口づけた。

 

 すると、こうかはばつぐんだった。二人はこれを面白がり、今度は三人がかりで彼女の全身を吸引しまくった。わざと大きな音を立てると、グーラは素直に反応した。

 エリーゼがキス魔だった様に、グーラは全身リップフェチだったのだ。いや、厳密に言うと違うっぽい。恐らく彼女は、“求められる”事が好きだったのだ。

 

「はぁ……んっ、これが夜伽なのですね……。とても心地よいです……」

 

 魔族の性質で、つけたキスマークはすぐに消退してしまう。グーラはそれを、名残惜しそうな表情で見ていた。

 

「ど、どうでしたか、ご主人様……? ボク、ちゃんとできてましたか……?」

「ああ、できてた。凄い可愛かったよ」

「えへへ……んっ、ちゅ♡」

 

 それから、自然と瞼を閉じたグーラに、俺は軽くキスをした。

 

 結局、その晩は計3ラウンドしかファイトしなかった。

 けれども、とても濃厚な時間になった。

 

 異世界来てよかった。つくづくそう思う。

 

 

 

 

 

 

 朝起きると、俺はエリーゼを後ろから抱きしめていた。

 今のラリス王国は夏である。耐えられるとはいえ、いくら異世界ナイズドされた俺でも暑いものは暑い。

 その点、エリーゼは竜族の特性で体温が常時低いので、こうして抱っこするとほんのり冷やっこい抱き枕になってくれるのだ。

 

 広いベッドの隣では、だらしない顔でグースカ眠るルクスリリアと、そのお腹を枕に眠るグーラの姿があった。

 グーラはそれこそ犬っぽく身体を丸めて眠っていた。その寝顔は安らかで、あどけなかった。

 

「かわいい……」

 

 普通に手が届く距離である。俺は片手でエリーゼを抱きながら、もう片方の手を伸ばしてグーラの頭を撫でた。

 敏感な耳に触れない様、艶のある黒髪を撫でる。サラサラとした感触が心地よい。

 

 そうしていると、ルクスリリアも目が覚めた様で、しばしぼんやりした後にグーラの頭をなでなでした。

 エリーゼも起きた様で、手を伸ばしてグーラに指を握らせていた。

 グーラは三人がかりで愛でられていた。

 

「ん、んぅ……?」

 

 やがて黒い犬耳が震えると、グーラの瞼がゆっくり開きはじめた。

 未だ眠そうな半眼が、ぼーっと俺を見ていた。

 

「父さん……?」

 

 呟いて、しばし……。

 丸い瞳が全開になり、グーラはバッと身を起こした。その拍子にお腹に掌底を食らったルクスリリアが「ぐえ!」と呻いた。

 

「すすすすみません! いえ、あの今のは違くて! ついご主人様と父を見間違えただけで他意はなく……!」

 

 凄い勢いで言葉を発するグーラの褐色肌は、かなり分かりやすく赤くなっていた。

 これ、アレだ。学校の教師を間違えて呼んでしまうアレだ。

 前世、それをやった彼ら彼女らは皆一様に恥ずかしがっていたものである。

 

「気にしてないよ」

「あ、あのあの……! あぁすみません! 以後気を付けます……!」

 

 それと同じなのだろうか、グーラは羞恥に悶えていた。

 昨晩、裸になる事もキスもその先も羞恥ゼロで行っていた彼女が、割と共感しやすい事で恥ずかしがっていた。

 ちょっとオーバーな気もするが……。

 

「それより。おはよう、グーラ」

「え、あ、はい!? あ、おはようございます……! ご主人様……!」

 

 かわいい、素直にそう思った。徐々に引いてきているが、グーラはまだちょっと顔が赤い。

 ある意味でギャップ萌えである。性に関して羞恥は働かないくせに、こういう事には過剰に反応するの、それはそれでとても良いと思う。

 それから、なんだか安心した。

 

「いやー、にしても昨夜のグーラは凄かったッスね~。あそこまで分かりやすい弱点あるとは思ってなかったッスよ~♡」

「あ、えっと……申し訳ありません?」

「謝る事じゃないわ、グーラ。ルクスリリアがからかってるだけよ」

「からかうですか?」

「くぁ~! グーラ煽りが通じねぇッスよご主人~!」

 

 ベッドの上、各々起床したロリたちがわちゃわちゃやっていた。

 そんな中、耳をぴこぴこさせたグーラが俺を見ていた。

 

「あの、その……」

 

 もじもじしている。言うのを恥ずかしがっているというより、どう言えばいいかを悩んでいる様だった。

 それから、自分のお腹を押さえて、云った。

 

「ぶ、無事に生まれたら……この子の分もご飯を恵んでは頂けませんか……?」

「……え?」

 

 瞬間、俺に電流走る。

 

 お腹に当てられた手……。

 昨夜の営み……。

 これまでの事も……。

 

 ………………。

 …………。

 ……。

 

 あ、そっかぁ……。

 

 ルクスリリアは淫魔なので、タイミングは自由自在である。

 エリーゼは呪いで受胎不可。

 けど、グーラは違う。彼女には一切なし。オールフリー。

 

 これまた、俺の脳裏に再生された、存在しない記憶……。

 日に日にお腹を大きくするグーラ。生まれた子供を抱き上げるエリーゼ。遊び回る子供の相手をするルクスリリア。何故かスーツを着て会社から帰ってくる俺に、おかえりなさいという子供&妻たち……。

 

 ハッと、妄想から帰ってきた。

 妄想であった。夢の様な光景だった。

 なんだ、なんだこの、何なのだ……?

 

 ふと、皆の顔を見てみる。

 ルクスリリアはニヤニヤしていた。

 エリーゼはちょっぴり呆れた顔をしていた。

 グーラは、お腹を撫でながら、じっと俺を見ていた。

 

「子供……」

 

 行った事こそないが、西区には色んな娼館がある。話によると、中には魔族オンリー娼館とか獣人オンリー娼館とかがあるらしい。

 人間と違ってポーションの効きづらい魔族である。あるかどうかは知らないが、避妊ポーション的なモノやコンドーム的なアイテム以外にも異世界では色んな避妊法があるのだろう。それこそ、魔法とか。

 にも関わらず、そんなの使わずハイメガ粒子砲をブッパした俺は、何なのだろう。もうそういう事じゃん、である。

 

 全く考えてなかった。

 というか、慣れ過ぎて忘れていた。

 これまでずっとそうだったのである。が、忘れちゃいけない事だろう。

 そう、やればできるのだ。

 

 俺は、コンマ以下秒の思考の末、覚悟を決めた。

 

「も。もちろん! いくらでも!」

 

 対し、グーラは安堵したかの様に微笑んだ。

 それこそ、彼女は覚悟してきたのだろう。その上で、先を見ているのだ。

 

「安心しました……良かったです。ボクは、母になれるんですね……」

 

 そう、グーラは嬉しそうに破顔した。

 その表情は、あまりにも可愛すぎた。

 あまりにも可愛かった衝撃で、俺は自己批判を止めて呆けてしまった。

 

 そういえばと、図書館で奴隷について調べていた時、こんな事が書いてあったのを思い出した。

 

 この世界において、奴隷が主人の子を産むというのは割とよくある事である。

 生まれた子とその母は家族(ファミリア)内での身分がランクアップし、一定の権利を得るようになる。

 要するに、主人の子供を産んだ奴隷は、ただの奴隷身分から家族長の妾になれるという訳だ。

 奴隷にとって、子供を産むというのは唯一の出世ルートなのである。 

 

 が、なんとなく、多分だが……。

 グーラはそういう理由で微笑んだ訳じゃ、ない気がする。

 アホな俺の思い込みかもしれないが……。

 

 まだ戸惑う事の多い異世界の価値観、そういうものはそういうものと受容してきた。

 この世界では、子が生まれるという事は、俺が思ってるよりも喜ばしい事なのかもしれない。

 

「り、リリィ……」

「なんスか?」

「子供って、産みたいと思う?」

「まあ、いつかはとは思うッスけど。今はいいッスかね」

「お、俺の……?」

「当たり前じゃないッスか。ご主人、どうしたってアタシより先に死ぬッスもん。そんくらいの情けは欲しいッス」

「そ、そうか……。エリーゼは?」

「……欲しいわ、アナタとの子が。けれど、できないのよ」

「そうか……」

 

 何故だか……。

 なんか、俺の中のつっかえが一個取り除かれた気がした。

 あと、取り組むべき課題も見えてきた。

 

 まだどうにも噛み合う感じはないが、俺は自分の夢というものを、もう少し真剣に捉えるべきだと思った。

 これまでは、なまじ現実味が無さすぎて地に足ついた感じはなかったが、異世界(ここ)だと叶うのだ。叶っているのだ。

 

 負うべき責任は、沢山ある。

 やっと自覚できた。あまりにも遅いが、気づけただけヨシとしておこう。

 今、できる事はやっておこう。そう心に留め置いた。

 

 

 

「ちなみに、グーラは孕んでないと思うッスよ」

「え? そうなの?」

「ど、どういう事ですか……!?」

「いや、獄炎犬(ヘルハウンド)轟雷狼(らいじゅう)も発情期にならないと無理ッスし、その混合魔族(キメラ)なら両方かどっちかの性質受け継いでるはずなんで、今のグーラはどのみち孕めないッス。淫魔の眼でも孕んでるようには見えないッスよ。それに、まだ来た事ないッスよね? 発情期」

「来て、いませんね……」

「なら無理ッス。ま、個人差あるんで、グーラは遅いだけッスよ」

「……そう、でしたか」

「でもアナタ、その気はあるのでしょう……?」

「そ、そうだな……」

「まっ、こっちはまだ腹ぁ決まってないッスね! 分かってたッスけど! きひひっ!」

 

 聊か遅すぎる気もするが……。

 ともかく、俺はハーレムの責任を自覚するのであった。




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 コンドームバトラーゴローは名作だってはっきりわかんだね。
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