【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚 作:いらえ丸
誤字報告もありがとうございます。いつも助かっています。
キャラ・ボスのご応募もありがとうございます。
今回も観光回。
ちょっと短めです。分割しました。
翌朝、俺達は食休みに露天風呂に浸かっていた。
澄んだ青空に、柔らかい太陽。時折吹く風が白い湯気を散らし、ロリの大事なところが見え……そうなところで再度湯気が邪魔をする。
ご機嫌な朝風呂だ。
「う~ん」
そんな中、俺は昨夜発見したケモミミロリババアの痕跡に思いを馳せていた。
幼気の残穢からして、ケモロリちゃんはペントハウスの廊下には上がっていない。恐らく、俺が注文した料理を部屋に運んできて、靴箱らへんで他スタッフにパスしたのだろう。
ならばケモロリちゃんは上玉館の従業員なのかと思い、今朝から調査をしてみたのだが、館内にそれらしい人や気配を見つける事はできなかった。
流石に従業員用のエリアまで行くのはダメだろうと捜索を打ち切ったのだが、どうにも俺の頭には件の芳醇な香りが離れなかった。
「温泉って良いですねぇ……入ってるだけで魔力の流れが良くなっていきます」
「ええ、とても気分がいいわ……」
「いちいち湯を入れなくていいのが便利ッスね。サッと入ってサッと出れるッスよ」
目の保養に、一緒に入浴してる三人を見る。
昨日の夕暮れとは違う、朝日の煌めきが彼女等の裸をよりいっそう輝かせていた。
皆を見ていると、俺の脳裏にあるケモロリちゃんへの興味が徐々に薄れていくのが分かった。
冷静になって、思う。
そも、ケモロリちゃんと会ってどうするという話である。
俺が度し難いロリコンだからといって、何も目に付くロリ全てに発情するやべーやつではないのだ。実際、王都で見かけた子供達を目で追う事はあっても足で追う事はなかったのだから。
「ご主人、今日はどうするんスか?」
それより、今近くにある幸せを大事にする方が建設的である。
ケモロリちゃんとは、まぁ会えたらラッキーぐらいに考えておこう。
「今日は東区を見て回ろう」
そう、目的はあくまでも旅行。
ロリを求めてリンジュに来た訳じゃあないのである。
観光をしようじゃあないか。
〇
風呂上り、俺達はいつもの冒険者装備で街に出た。
上玉館周辺はまさに温泉街って感じで、賑やか且つ落ち着いた雰囲気に満ちていた。ただ歩いてるだけで楽しい、そんな街だ。
「やっぱ目立ってるッスね」
道行く人は浴衣に半纏スタイルが多く、鎧を着てる人はごく少数。中には同心や岡引っぽい人もいるのだが如何にもよそ者でございな俺達はパンピー以外からの視線も頂戴していた。
歩きながら、我が一党を見る。スク水みたいな装備のルクスリリア(合法ロリ)に、ダーク姫騎士って感じのエリーゼ(合法ロリ)。ケモミミフードが可愛いグーラ(ギリ合法ロリ)。そして、俺は革装備の全身レザー男(ロリコン)。
三人のロリはともかく、これらの装備はリンジュでは悪目立ちしているようだった。同業っぽい人も、俺やエリーゼのような鎧は着てないんだよな。
「お、そうだ」
ここで、俺は転移前の記憶を思い出した。
前世、旅行には旅行先に相応しい服を着るべしと主張する友人がいた。
彼は沖縄ではかりゆしシャツを。ハワイではアロハを着ていたものである。ファッションでも旅行を楽しんでいたのだ。
こういうのも郷に入りては理論に入るのだろうか。ともかく、これは良い案だと思った。
「皆、服を買いに行こう」
という訳で、装備屋にGOである。
温泉街を抜け、転移神殿周辺。目指すは冒険者向けの防具屋だ。
普通の服屋に行く事も考えたが、それだといざという時に問題がある。どうせ買うなら性能の高い奴がいいよねって事で。
「好きなの買っていいよ」
「あざーッス!」
「どんなのがあるかしら」
「楽しそうですね、エリーゼ」
買い物開始を宣言すると、エリーゼを筆頭に三人姦しく服を見に行った。
服と言っても防具なので、ハンガーに掛けて並べてある訳ではない。マネキンに装備させて陳列してあるのだ。
「あら、良い色……。深みのある黒で、角度によって色が変わるのね……。グーラ、ちょっと横に立ってみて頂戴」
「はい、こうですか?」
「この防具は……魔族用ッスね。じゃアタシはこれでいいッス」
「待ちなさい、ちゃんと他を見てからじゃないと」
まぁテンション上がってるのはエリーゼだけなのだが……。
「別に何着でもいいよ」
「流石にそれは……」
今俺がいるのは冒険者向けの中古防具専門店である。
中古品といっても、多くは引退した高位冒険者が使っていた高級品ばかりである。ルクスリリアの防具ほどではないにしろ、どれもそれなりの性能でそれなりの値段だ。
何より嬉しいのが、こういった防具にはサイズ調整の魔法がマストで付いているところだ。ロリ用としてはとても便利である。自衛性能については微妙だが、もしヤバくなったら俺がコンソールで強制装着させればいい。一応、武器は携帯させる方針で。
「まぁこれでいいか」
俺は適当に無難な防具を選んだ。
見た目はまんま剣道着+羽織のセットである。性能は可もなく不可もない。恐らく技量系剣士用の防具なんだと思う。うん、尻尾孔も翼孔もない人間用だな。
購入した後、試着室で着替えさせてもらった。ついでに武器も無銘から橘&湊にしておこう。いいね、完全にサムライだ。
「にしても、お客様は奴隷にまでウチの商品を着させるんですか?」
「何か問題が?」
「あーいえ、何も問題はございません。ただ、お客様はお人好しだなぁと」
残念ながら、刀を買ってから俺の財布の紐は完全にバグってしまっているのだ。服の一着や二着、ナンボでも買ったるけぇの。
見ると、エリーゼは未だにアレでもないコレでもないと店内を動き回って商品を見分していた。
「これは、色は良いけれどデザインが好みじゃないわ、これは……悪くはないけれど、翼人用の孔が開いてるじゃない」
「アタシもうこれでいいんで、ご主人とこ行ってくるッス!」
「えと、あの……これ以上ご主人様をお待たせするのは……」
そんなやり取りを後方主人面で見ていると、ようやく何を買うか決まったようである。
購入後、促されるまま試着室の前に行き、皆のお着換えを待った。
「ふふ~ん、どうッスか?」
シャッとカーテンが取り払われると、はだけた着物を着たルクスリリアが現れた。
遊女? 花魁? というより、ソシャゲの期間限定オイラン衣装って感じの服だ。
巨乳用であろう胸元は盛大に露出しており、サイズ調整の補助効果でペタンコが丸見えである。谷間? そんなもの、うちにはないよ。
可愛いと思う。俺は満面のガイアスマイルでイイネをした。
「どうかしら、なかなか似合うとは思わない?」
続いて、エリーゼは上品なザ・和服って感じの着物で登場。
道行というのだったか、カッチリとした着物姿のエリーゼは上品オーラが満点だ。
一体どんなジョブ用なんだと思いたくなる服だが、これも立派な防具である。意外と動き難くはないようで、エリーゼは初着物に戸惑ってる感じはなかった。
最高にクールだ。俺は満面のプロデューサースマイルでイイネをした。
「失礼しま~す……」
カーテンを引いてエントリーしたグーラは、忍者装束を着ていた。
いや、忍者というか、くノ一のコスプレだ。二の腕も大腿も大胆に露出しており、褐色肌が映えるバエルでアグニカポイント+4545点である。
ニンジャのパッションを感じる。俺は満面のマクギリススマイルでイイネをした。
満足感と共に店を出る。
先頭からロリコン侍、淫魔遊女、銀髪着物お嬢様、ケモミミくノ一。
周囲を見る。ヨシ、悪目立ちはしてないな。
「良い匂いッスね。これ何の匂いッスか?」
「油の匂いね。グーラ、分かるかしら?」
「はい。昨夜食べた天ぷらだと思います」
「んー、天ぷらの話されたら腹減ってきたな」
さて、そうこうしていると。店では意外と時間が経っていたようで、時刻はもうお昼である。
ほなお昼ご飯食うかと、イシグロ一行は良い感じの飯屋を求めて散策を開始した。
「ん? あれは、蕎麦?」
「そばとは何でしょう?」
「食べた事ないわね」
「いいから入ってみようぜッス!」
歩いていると、異世界語で「蕎麦切り」と書かれた店が目に入った。
気になったので入ってみると、俺が前世で知ってる蕎麦屋さんのまんまだった。案内されて席に着くと、メニューは壁に掛けられているスタイルだった。
メニューの種類は少ない。冬だというのに、どうやらかけそば君はいないらしく、盛りそばとトッピングだけの硬派さんである。
「皆はどうする?」
「わかんねぇんで、ご主人に任せるッス」
「ええ、アナタと同じのでいいわ」
「ボクも同じのでお願いします。トッピングもよく分からないので」
まぁ初蕎麦だもんなと思いつつ、店員さんに注文する。
「えーっと、盛り蕎麦を四人分お願いします。あ、一つは大盛で」
注文待ちの間、ふと他のお客さんを見る。彼等は蕎麦を汁に付け、勢いよくズルズル啜っていた。日本ではよく見る光景である。
が、エリーゼはズルズル音に僅かに顔をしかめていた。これも郷に入りては云々というやつで、何卒ご容赦願います。
「おまたせしました」
で、出されたのは丸い皿に盛られたお蕎麦。お盆の上にはつけ汁と山葵も添えて栄養バランスも良い。
皆に食べ方をレクチャーし、いただきますして早速食べてみるとこれがなかなか美味かった。
江戸時代のつけ汁は生臭いとか聞いた事あるが、リンジュのは全然そんな事なかった。ていうか、気にしてなかったけどこの汁普通に醤油ベースじゃん。近年生まれたらしい醤油くん、あっという間に普及してんだな。
「これは何かしら?」
「多分ワサビだと思う。けっこう刺激強めだから気を付けてな」
「刺激? 刺激ッスか。まぁこんな少量じゃあ、大したもんじゃンギャ!?」
そのままワサビを食べたルクスリリアが悶絶した。
「ん~~~~~っ!? 尋常じゃない辛さ! いや辛さかコレ? なんか鼻がつ~んってするッス!」
「ほらお茶飲みなお茶」
「あざッス……!」
ルクスリリアにお茶を渡す。メスガキはワサビに分からされたようである。ふん、雑魚か。
俺は皆にワサビの取り扱いを教える為、蕎麦にちょい付けして食べた後、次いでお汁に混ぜ混ぜして食べてみせた。
「なるほど、そう使うのね」
エリーゼもすっかり上達した箸捌きでワサビを蕎麦にトッピングし、つけ汁を付けて啜った。
「~~~っ!?」
瞬間、お嬢様らしからぬ顔芸を披露するエリーゼ。
目尻に涙が浮かび、身体がプルプル震えている。まさかドラゴンまで分からせてしまうとは、ワサビ……恐ろしい子。
「はいお茶」
震える手に湯呑を持たせてあげると、エリーゼはパーフェクトな真顔のままお茶を飲んだ。
「……凄まじい刺激ね」
「実際そうでもないよ」
ふと見ると、グーラは何食わぬ顔で蕎麦を啜っていた。
ズルズル啜る様はまさに蕎麦専用掃除機。グーラの吸引力に衰えはみられない。
「んっ、ふぅ……」
「どうだった?」
「はい! とっても美味しかったです!」
グーラの分のワサビは綺麗さっぱり無くなっていた。
どうやら、彼女はワサビまで無効化してしまうらしい。
無事、ワサビの三タテは回避されたようである。
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