【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚   作:いらえ丸

85 / 323
 感想・評価など、ありがとうございます。モチベに繋がってます。
 誤字報告もありがとうございます。感謝です。
 キャラ・ボスのご応募もありがとうございます。

 アンケートのご協力、ありがとうございました。
 結果、イリハはイシグロを「主様(ぬしさま)」と呼ぶ事になりました。

 今回からいつものノリに戻ります。
 本作は読んでる間ほんのり楽しい小説を目指しています。
 よろしくお願いします。



ロリ待ち焦がれ

 朝にイリハをお迎えし、今の時刻はお昼過ぎ。

 

 何やかやありつつ、無事にイリハを一党に加える事ができた俺たちは、一旦落ち着く為に現在宿泊中の上玉館へとやってきた。

 イリハを身請けする事は女将さんにも伝わっているので、元バイトのイリハはすんなりお客様にフォルムチェンジできた。

 とはいえ、勤務してた旅館で宿泊するのは気まずいかもしれない。今日明日はともかく、イリハの反応次第では宿を変える事を検討しようかな。

 

「ひぇえ~、この部屋、玄関までしか入った事なかったが、こうなっとったんじゃのぅ」

 

 ペントハウスに入ると、イリハはおずおずと周囲を見渡していた。

 イリハは長い間ここでバイトしていたらしいが、ペントハウスに上がった事はなかったという。曰く、従業員の中でもベテランしか入れない特別な部屋だったとか。せいぜい靴箱エリアまでなんだと。

 

「さて、いい時間だし飯にしよう。皆は何食べる?」

「んっと、じゃあ……」

 

 朝は食べたが昼はまだである。という訳で、部屋からルームサービスを注文する事に。

 皆、こういうのには慣れたもので、各々すぐに決まった。

 

「え、えっと、わしも選んで良いんかの?」

「何でもいいよ」

「う、うむ……」

 

 これまで労働奴隷だったイリハである。食べたい物を自分で選ぶというのは、あまり経験がないのかもしれない。

 うんうん悩むイリハに、食べ物好きなグーラがアレコレとお勧めを紹介していた。当初はグーラもかなり遠慮していたものだ。

 

「では、これを……」

 

 で、結局イリハは質素ないなり寿司セットを注文。

 少し待って運ばれてきた料理は、これまた豪勢だった。例えるなら満漢全席。大きな机に所狭しと綺麗な料理が並んでいる。

 そんな中、イリハのおいなりさんはちょっと見劣りするか。他のも食べていいとは言ったが、イリハは凄く美味しそうにいなりを食べていた。

 

「イリハはそれだけで大丈夫なんですか?」

「うむ! 凄く美味しくて大満足なのじゃ! というか、お主等は食べすぎじゃと思うぞ」

「そ、そうでしょうか?」

 

 確かに、言われてみればそうかもしれない。

 某笠松の英雄の如き胃袋を持つグーラは言うに及ばず、俺も俺で前より明らかに食べる量が増えている。

 ルクスリリアとエリーゼはそんなでもないが、体格の割には食べる方なんだと思う。

 

「お、美味しかったのじゃ~……」

 

 俺達がアホ程食べてる中、イリハはいなり寿司数個でお腹いっぱいになったようだった。

 そうだよな、女の子の食事量なんて普通こんなもんなんだよな。やはり、冒険者はレベルアップに応じてよく食うようになるのだ。

 

「ハムッ、ハフハフ、 ハフッ!」

 

 グーラは最初から大食いだったけどさ。

 いっぱい食べる君が好き。あと好き嫌いないの偉い。

 

「ふぅ~、食った食った」

「あ、お茶淹れてくるのじゃ」

 

 食後、イリハは部屋にあるミニ台所に行ってお茶を用意してくれた。

 急須を傾ける手つき、湯呑に茶を注ぐ動作は、なんか知らんがとても流麗に見えた。

 

「どうぞなのじゃ」

「ありがとう」

 

 そして、そっとお出しされた湯呑からは、香しい緑茶の香り。

 いざ飲んでみると、口の中に芳醇な甘みが広がった。僅かな苦さと渋さがアクセントになっていて、何というか超まろやか。

 てか、前に俺が「これ日本にもあったお茶なんだぜー」と言って皆に振る舞ったお茶より百倍美味いじゃん。茶葉は同じ筈なのに、ナンデ? 慢心、環境の違い。

 

「あら、上手じゃない。イリハ」

「そうなんスか? よく分かんねぇッス」

「はい。なんだか良い匂いがします!」

「ま、まぁ? わしはこれでも貴き生まれじゃし? 一通りのお作法は修めておるでのぅ。むふー!」

 

 皆に褒められたイリハは、口を「ω」の形にしてドヤ顔になった。

 無い胸を張ってるのもポイント高いですね。狐耳がふにゃ~ってなってるのはそういう感情の現れなのか。興味深い。

 

「凄いなイリハ、今まで飲んだお茶の中で一番美味いよ」

「へひ!? さ、左様か、うむ……」

 

 素直に賞賛すると、彼女のドヤ顔は崩れて「ω」だった口元はもにょもにょと変形していき、目元といい口元といい凄く変な顔になっていた。

 

「くふっ、くへへへへ……」

 

 そして、ついに笑いを耐えられなくなったイリハは、視線を逸らして顔を真っ赤にしていた。

 美少女に対して使う表現ではない気はするが、クレヨンしんちゃんの笑い方にそっくりである。

 

 そんなイリハを、ルクスリリア達は各々違う表情で見ていた。案の定、ルクスリリアはメスガキスマイルだった。

 というか、すげぇチョロいぞ。先刻の高貴さは何処へ行ったのか、どうやらイリハはお褒めの言葉に弱いらしい。

 

 いいじゃん、である。

 

 

 

 

 

 

 さて、美味しいお茶も二杯目になった頃、俺達は今一度今後の方針について会議をする事にした。

 ホウレンソウの相談タイムである。

 

 というのも、当初リンジュには慰安旅行のつもりでやって来たのである。

 それがアレよアレよと騒動に巻き込まれ、気づけば新たなロリを迎える流れになったのだ。

 こうなると、このままリンジュでひと休みって訳にも行かない訳で。

 

「契約前にも言ったけど、俺は無理にイリハを迷宮に連れて行こうとは思ってないんだ」

 

 どうなるにせよ、ひとまずイリハの意思の確認からである。

 どこまで行ってもイリハは俺同様に一般人。戦士ではない。対し、ルクスリリアは元軍人で、エリーゼは戦闘種族の竜族。グーラは父の薫陶を受けた獣戦士だったのだ。

 そんな中、いきなりはいじゃあダンジョン行こうぜーとは言えない。彼女の言う、鍛える鍛えない以前のお話だ。

 

「けど、イリハが望むなら、君を一党に迎えようと思う。武装も整えるし、最大限の支援はするつもりだ。知ってるかどうかわからないけど、迷宮ってば凄い危ないんだよね。だから、改めてイリハの意見を聞きたいんだ」

 

 皆の視線が集中する。

 すると、イリハは真剣な顔になり、姿勢を正して答えた。

 

「先刻の通り、わしは今回の一件で思い知ったのじゃ。如何に己が弱く、吹けば飛ぶような存在であるかを。我が血を狙う輩を前に、九尾の威光など通じん……。故に、わしはこの身に流れる血に相応しい力を持ちたく思ったのじゃ」

 

 宝を前にした宣言と同じ。その思考は、俺にも理解できるものだった。

 イリハはお茶で舌を湿らせた後、今度は少し表情を和らげて続けた。

 

「実はな、母上の話によると、わしの父上は冒険者だったらしいのじゃ。昔、亡き父の話をしてた母上は、それはもう自慢げでのぅ」

「そうなんだ」

「故に、と言って良いのかのぅ……。力ある冒険者に憧れを抱く事は、変なんじゃろうか」

 

 もじもじと、少し恥ずかしそうにするイリハ。俺はそれを前向きな決意だと感じた。

 

「わしはお主等と共に迷宮に往きたい……。ちと他力本願な気もするが……その辺、万事よろしく頼むぞ、主様(ぬしさま)

「そうか。わかった」

 

 了解した。そうと決まれば話は早い。

 ならば、こちらも伝えねば不作法というもの。

 

 俺はルクスリリアにした時のように、俺の出自からチート能力についてをイリハにも話す事にした。

 突拍子もない話に、イリハは始めポカンとしていたが、俺が異世界人である事を伝えると何故か合点がいったような顔になった。

 

「なるほど、道理で主様の“氣”は変だったのじゃな」

「ん、氣が変?」

「のじゃ」

 

 どういう事? ていうか氣って?

 なんか初めてのワードが出て来たぞ。

 

「わしは魔眼持ちでな。この“仙氣眼”で氣が視えるのじゃ。よう分からんが、これは九尾の血統にしか発現しない魔眼らしくてのぅ」

 

 これについては、少しだけ聞いた。恐らく、猫又の狙いはイリハの魔眼だったのだろうと。摘出される寸前だったっぽいし。

 で、だ。それはそれとして、俺が異世界人ってのに納得してた風だった理由は何なのだろう。

 

「なんじゃろうな? 主様、他とちょっと違うんじゃよなぁ。いや殆ど同じなんじゃが、こう……雰囲気が」

「ふんいき……」

 

 どうやら、それは仙氣眼持ち特有の感覚らしい。

 それから、イリハは件の仙氣眼を俺達一党に順繰りに向けた。その眼はうっすら発光している。

 

「ヒトの氣には個性があるんじゃ。ルクスリリアは黒が強くて黄色もそこそこ、流れが速い。エリーゼは胸の赤が大きくて、流れが綺麗じゃ。グーラはお腹の中心の黄色がグルグルしておる」

「黒ッスか」

「赤ねぇ」

「黄色ですか」

 

 言われた身としては何じゃソレって感じだろう。皆何とも言えない顔をしていた。

 

「主様は黒が強くて、全体的に流れが穏やかじゃ。それだけじゃなくて、ホントにちょっと他とは違う感じするんじゃよ。同じ水でも、井戸水と川の水って感じかのぅ……」

「病気とか?」

「いやぁ、悪い感じはないんじゃ。ただ、そんな印象ってだけの話でのぅ」

 

 まぁイリハが言うならそうなんだろう。

 実際、異質なのはそうだろうし。悪いものじゃないなら放置でいい。

 ていうか、それより気になるワードがあってですね。

 

「イリハ、その“氣”っていうのは?」

「ん? 主様知らんかったか? ん~、なんて言えばいいんかのぅ?」

 

 腕組みしてうんうん唸るイリハ。視えるし使えるし親しんでいるが、人に説明する事は苦手っぽい。

 俺が目を向けると、銀のエリーゼペディアは口を開いた。

 

「詳しくは知らないけれど、リンジュ発祥の魔術体系……“陰陽術”で基礎となる要素の事よ。魔力とは別と聞いたけれど」

 

 視線がパスされると、イリハは髪をクルクルやりながら言った。

 

「ぶっちゃけ、わしもよく分かっとらんのじゃよな。母上が言うには、命の力的な? 心の力的な? 陰陽術はこの氣を魔力で制御して、色々と術を使うんじゃよ」

「MPとは違うって事かな」

「えむぴー? まぁ知らんが……」

 

 そんでもって、と続ける。

 

「さっきも言ったが、陰陽術は魔力を使って式を編み、氣を操って術と成すのじゃ。一般的な魔術程強くはないが、色々と応用が利くんじゃよ。こんな風に……」

 

 イリハは机の上に手を置いて、両の掌を上にしてみせた。

 その時、イリハの掌にクッソ微細な違和感を覚えた。

 

「分かるかのぅ。今、右に木行の氣を出して、左に火行の氣を出しておるんじゃが……」

「ええ。ほんの僅かだけど、魔力が渦巻いているのが視えるわ」

「ん~、アタシはいまいちッスね。グーラは?」

「ぼ、ボクにもあんまり……」

「それにしても見事な魔力操作ね……」

「そ、そうかのぅ?」

 

 魔力に敏感な魔族二人はイマイチで、エリーゼにさえ少し視えるくらいの魔力。

 俺とて、言われて初めて気づくようなモノだった。それこそ気のせいかと思ったくらいである。

 

「ごほん……。で、これらに術式を組み込むとじゃな」

 

 ポンッと、イリハの両手にそれぞれ風と火の玉が生成された。

 両方ともピンポン玉サイズだ。

 

「詠唱も無しに……凄まじいわね」

「無詠唱。なるほど……」

「詠唱? まぁそれはどうでもいい事なんじゃが」

 

 今のイリハの魔法を見て、俺でもやろうと思えばできると思った。

 しかし、それには凄く膨大な熟練度と集中力が必要なのが分かった。

 大小に拘わらず、規格から外れた魔法には相応の魔力を消費するのである。野球ボールサイズがデフォルトなら、バスケットボールサイズにするのもピンポン玉サイズにするのも同じくらい魔力を使う。むしろ、小さくする方が難しいまである。

 

 俺が転移したこのファンタジー異世界。魔法を制御するには、大きく以下の三つの要素が重要になる。

 まず、“知力”のステータス。知力とはいうが賢さという訳ではなく、単純に魔力操作能力の事だ。これが高いと発射後の魔法とかも操作できるんだな。ヤムチャのように。

 もう一つ、“熟練度”だ。これはスキルと同じで、同じ魔法を使いまくる事で消費と制御能力を良くできる。普段からお世話になってる【清潔】だが、最初は雑に綺麗にさせる事しかできなかったのだが。今となってはかいた汗を残して土汚れだけ除去する事ができるようになった。冒険者引退したら掃除屋さんでも始めようかしら。

 最後に触媒。魔法の杖だな。知力とか魔力とかの能力補正もあるが、これがあるのと無いのとでは魔力の制御のし易さが全然違う。杖ありがオートマなら、杖無しはマニュアルって具合に。実際、魔術師でも好みで触媒違うらしいし。

 

 で、イリハの言う陰陽術の場合、普段俺等が使ってる魔法より細かく操作できる……という認識で合ってるのだろうか。

 イリハ個人の能力ってのもあるんだろうが。どうなんだろう。まだ理解しきれてないな。

 

「単純な撃ち合いの場合、ラリス魔術のが強力じゃ。しかし、陰陽術は少しの魔力で使える。式さえ決まれば制御も楽じゃ」

「なるほど」

「無論、これだけじゃないぞ」

 

 やはり、ジェネリック魔術って事なのか。

 勝手にそう納得していると、イリハはこれまたドヤ顔になって続けた。

 

「陰陽術は千変万化。使い手次第で如何様にも姿を変える……。例えば、このように」

 

 言って、イリハは風と火の手を合掌すると、俺等に見えやすいように開いてみせた。

 すると、掌の間では野球ボールサイズになった火炎玉が燃えていた。

 

「木の氣で火の氣を強化したのじゃ。この炎を作るには、ラリス魔術では今の倍以上の魔力消費が必要じゃな」

「えぇ……陰陽術、侮れないわね」

 

 よく分かってないなりに驚く三人を放っておいて、エリーゼは半ば感動している面持ちで賞賛した。

 イリハは凄く気持ちよさそうな顔になっていた。

 

「そして、術者の業前次第じゃが……こういう事もできるのじゃ」

 

 右手に火炎玉を維持しつつ、離した左手に冷気の玉を生成。再度合掌し、開く。すると、火炎玉が更に大きくなった。

 次いで、同じように左手に白い結晶を生成すると、また合掌。また火炎玉がデカくなる。

 これまた左手に金色のキラキラ石を作り、融合。すると、最初はピンボールだった火の玉はバスケットボールサイズへと成長した。

 

「と、とんでもないわね……」

「じゃろじゃろ。で、母上くらいになるとここから凄まじい陰陽術が使えるんじゃが……まぁわしには無理じゃな、魔力が足らん」

 

 パンッと再度合掌すると、大きくなった火の玉は消失した。

 ふぅ、とイリハは少し疲れたような息を吐く。ごく少ない魔力消費であっても、イリハにとってはキツかったらしい。

 

「他にもそこに陰の氣とか陽の氣とか、虚とか実とか色々混じってややこしくなるんじゃが、陰陽術はこんな感じじゃな」

「私にもできるかしら……」

「素質と練習次第じゃな。まず氣を認識するところから始まるんじゃが……。すまん、エリーゼには多分無理じゃと思う」

「それはどうして?」

「いや、お主さっきから体内魔力だけで近くの氣押しのけとるんじゃもの」

 

 ふむふむ……。

 なるほど、だいたい分かった。

 要するに、陰陽術はシナジー重視の魔法って事だな。

 

 凄くザックリした認識だが、RPG的に言うと陰陽術師はターンが経てば経つだけ強くなるんだと思う。単純火力の魔術師と、応用力の陰陽術といったところか。

 恐らくだが、陰陽術師と魔術師が戦った場合、タイマンだと魔術師が圧倒するんだろう。二対二でも同様。けど三対三なら、四対四ならどうか。役割分担と連携で、式ソリティアした陰陽術師はとんでもないシナジー術を行使できるんじゃないだろうか。

 

「実に面白い……」

 

 いいねぇ、である。

 なんだろう、この感じ。

 ワクワクしてきたぞ。

 

「な、なんじゃいきなり?」

「ああいう人なんスよ」

 

 ともかく、氣と陰陽術については何となく分かった。次はイリハ個人のステータスを見てみよう。

 俺はコンソールを開き、仲間タブから新規生成されたイリハの欄をタップした。

 

 

 

◆イリハ◆

 

 天狐:レベル3

 陰陽術師:レベル4

 

 補助スキル:仙氣眼

 

 能動スキル1:呼氣法

 能動スキル2:吸氣法

 

 生命:14

 魔力:16

 膂力:11

 技量:29

 敏捷:13

 頑強:12

 知力:85

 魔攻:15

 魔防:19

 

 

 

 ふむ、エリーゼ曰く凄まじい制御力らしいが、エリーゼほどステがバグってる訳ではないのか。

 それより、氣の操作能力に関しては仙氣眼による恩恵と考えた方が自然か。能動スキルも気になる……。

 

 知力以外は、軒並み低いな。

 技量は多少マシ程度で……いや、でも転移直後の俺よりは全然強い。

 うん、余裕で行けるな。

 

「あっ」

 

 ふと、イリハは変化術が得意であるという事を思い出した。

 なら、変化の応用で多重影分身的な事も可能なのでは……と。

 やはり天才か……。

 

「いや、できんよ。なんじゃそれ、怖っ……」

「てか殴ってくる幻とか最強じゃないッスか」

「グレモリアさんの深域武装でも実体はなかったですもんね」

「そこまでいくと竜族権能ね」

 

 できないらしい。

 曰く、アレは母を真似てるから上手いのであって、離れた瞬間解けてしまうと。

 そも、それなら普通に通常魔術の幻術を使えばいいという話。変化術ェ……。

 

「あと、結界も少々。けどコレ脆いんじゃよなぁ」

 

 という訳で、一度テストしてみる。

 お盆サイズの結界に、グーラが対峙。

 

「えい」

「わっと……!」

 

 哀れ、イリハの結界はグーラのデコピン一発で壊れてしまった。

 どれだけ上手に作れても、壁が薄いんじゃ仕方ない。

 

 う~ん、やはり魔力か。

 排気量が足らんのだな。どれだけ運転が上手くても、カブじゃハヤブサに勝てないのだ。

 とりま、ボアアップと行きたいところだが……。

 

「ふむ」

 

 一旦、我が一党の構成を整理しよう。

 俺は前衛後衛できるとしてだ。ルクスリリアが物魔遊撃。グーラが物理前衛。エリーゼが魔法後衛。

 そこに陰陽術師のイリハを入れるとしたら、それはエリーゼと同様魔法後衛になる訳だ。

 

 しかしだ。ぶっちゃけ、魔法アタッカーはエリーゼで事足りてるし、後衛サポーターもエリーゼで良くねってなってるんだよな。

 俺個人の気持ちとしては、できればルクスリリアのように安定した中衛が欲しいというか。真ん中でリリィとグーラとエリーゼを支えてほしいんだよなぁ。したら俺ももっと動きやすくなるし……。

 

 イリハのステを見る。

 知力の次は技量が高い。

 ふむ、技量か……。

 

 技量とは精密動作性の事で、武器種によっては火力に直結する事もある。主にレイピアとかナイフとかその辺だな。

 膂力特化のマッチョが振り回すナイフより、技量特化のヒョロガリが振るナイフのが火力が高いのだ。

 あと、刀も技量武器だったか。

 

「ん?」

 

 ピコンと、俺の脳裏で思いつくジョブがあった。

 自衛力が高く、支援ができて、イリハの特性が活かせるジョブ……。

 陰陽術を使う魔法戦士的なものは、無いのだろうか。

 

「イリハ、陰陽術師って杖以外の武器は持たないの?」

「ん? あぁ、山に入る陰陽術師には刀とか持ってる人もおったかのぅ。こう、陰陽術を使って刀に氣を纏わせたりとか……」

「それだ!」

「なんじゃぁ……!?」

 

 魔法剣士か、陰陽術剣士か知らないが、そういうのがあるなら話は早い。

 イリハの器用貧乏を、器用万能にしようじゃないか。

 だが、それより先に諸々の確認だな。

 

「よし、食後休憩も終わった事だし、鍛錬場に行こう!」

 

 俺は美味しいお茶を一気飲みし、勢いよく立ち上がった。

 知ってたとばかりに、ルクスリリア達も続く。

 

「え? 今からかの?」

「それは、ご主人様ですからね」

「きひひっ、黒剣一党の洗礼ッスよ」

「ええ、きっと驚くわよ」

「こ、怖いのじゃ……」

 

 と、いう訳で……。

 俺達は迷宮用装備に身を包み、転移神殿へと向かうのであった。

 イリハ強化計画、開始である。




 感想投げてくれると喜びます。



 現在、本作に登場するキャラクターを募集しています。
 ご興味のある方は是非、気軽にご応募ください。
 作者のやる気に繋がります。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=296177&uid=59551

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=297167&uid=59551



 こっちも投げてくれると喜びます。

 旧ツイッターはじめました。よければフォローしてやってください。

https://twitter.com/iraemaru



・イシグロ=人間族
・ルクスリリア=淫魔(魔族)
・エリーゼ=竜族
・グーラ=混合魔族(獄炎犬+轟雷狼)
・イリハ=天狐(獣人)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。