【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚   作:いらえ丸

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 感想・評価など、ありがとうございます。モチベに繋がってます。
 誤字報告もありがとうございます。感謝です。
 キャラ・ボスのご応募もありがとうございます。脳みそが良い感じに刺激されます。

 例によって、運営様からお叱りがきたら素直にごめんなさいするつもりです。
 淫語とか放送禁止用語とかは多分書いてませんし、直接的な表現も多分書いてないので大丈夫だとは思いますが、ダメだったら本エピソードだけ十八禁に移します。
 一応、局部も液体も直接表現してないので大丈夫なはず……。

 ちな主人公パワーアップイベントでもあります。


目一杯の祝福をロリに(後)

 房中術とは、異性間で行う陰陽術の鍛錬法の事である。

 男は陽の氣、女は陰の氣を持っていて、その二種類の氣を何かこう混ぜ混ぜすると良い事があるっぽい。心身を強壮にするとか、体内に在る氣が増えるとか。

 ただ、これ現代だとあんまりしない鍛錬法らしく、手間暇と難易度の割に凄く効率が悪いのだと。同じ時間の間、瞑想してる方が修行になるとかで。

 今はもっぱら、陰陽術師が夜の味変として楽しむ遊びになってるらしい。

 

「……という事なんじゃ」

「なるほど」

 

 と、襖開けて第一声、「夜伽に来たのじゃよ」と言ったイリハが説明してくれた訳である。

 それはいいのだが、俺は俺でこの夜這い行為は当人の意思によるものであるかという点が気になっていた。仲間内での同調圧力とか、なんかそういう雰囲気だったからという理由であれば俺は断腸の思いでチェンジを申し出るつもりだった。

 するとイリハは、入浴中に皆にお願いして二人きりにしてもらったのだと言った。間違いなく、自分の意思であると強調して。

 

「や、やはり、わしじゃと無理なんじゃろうか……?」

 

 などとションボリ耳を垂れて問うてくるイリハは、俺の急所に効果抜群だった。

 彼女の意思を確認するなり、俺はもじもじするイリハに激しく興奮していた。童貞でもあるまいに、とにかくビーストモードにならないよう心と股間を抑えていたのである。

 据え膳食わぬは男の恥。結局、俺はイリハに了承を伝え、上下の紳士にOKサインを出した訳である。

 

「うむ。ま、まずは……裸になるのじゃ」

 

 そう言って、イリハは俺の脱衣をサポートした。

 今回、俺は彼女の申し出に従い諸々をお任せしていた。房中術が如何なものか気になるし、何にせよイリハの自主性は尊重すべきと思ったからだ。

 あと、緊張しながら頑張るイリハが超級に可愛かったというのもある。

 

「ほぅ……!」

 

 やがて全裸になると、イリハは俺の身体を見て感嘆の息を吐いた。

 股間で自己主張するご立派様ではなく、我が鍛え上げられし大胸筋や三角筋に見惚れているようであった。

 

 これはリカルトさんから聞いた話なのだが、異世界女子は男性の筋肉が大好きであり、マッスルとはつまり異世界にて最強のセックスアピールらしいのだ。ていうか、筋肉がないと異性として見られないまであるっぽい。

 当然として、プロレスラー体型が好きな女子やフィジーク体型が好きな女子等で色々と好みが分かれるようだ。

 感覚的に、男性目線のおっぱいに近いという印象だ。細マッチョ好き=貧乳好きであり、ゴリマッチョ好き=巨乳好きにあたるのかな。

 

 それで言うと、俺はインナーマッスルが発達したバランス体型にあたる。バキバキではないが、しっかり動ける筋肉である。

 が、そんな俺でも異世界じゃヒョロめ判定だ。前世地球で見たムキムキ男性程度ならその辺にゴロゴロいるし、そもそも異世界人は全体的に大柄で骨太の傾向があるのだ。特に王都民。

 けれども身体に搭載された筋肉の質は確かである。俺はぽーっとしているイリハに対し、フンと胸を張ってみせた。

 

「触ってみる?」

「よ、よいのか……?」

 

 ヨシと答えると、イリハは恐る恐る手を伸ばしてきた。

 

「凄いのじゃ~……」

「遠慮しないでいいよ」

「じゃ、じゃあもうちょっと……」

 

 ぺたぺた、さすさす……。

 イリハは興味津々に、あるいはちょっと好色そうな顔をして男の胸を触っていた。

 

「これが主様の身体かぁ……。柔らかくて、硬くて……スケベなのじゃ……」

「イリハ?」

「あっ、いやすまぬ!」

 

 そうこうしていると緊張が解れていったようで、思う様筋肉を弄った後はイリハは俺が介助する暇もなく浴衣を脱いでみせた。

 

「あ、あんま見るもんじゃないのじゃ……」

 

 そう言う彼女だが、イリハの素肌こそ俺にとっては最高にドスケベ重点であった。

 初対面の時は痩せぎすだったイリハだが、今では元の肉と肌艶を取り戻し、女の子らしく全身が柔らかそうだった。

 また、恥ずかしそうに隠された胸は存外に大きく、我が一党の中では一位である。ロリ巨乳とは言えまいが、パッと見で分かる程度の僅かな膨らみがあったのだ。

 

「あ……」

 

 逆の立場になったイリハは、ようやく俺の斬魄刀に目が行ったようである。

 無論、現状は始解であり、卍解になったらもっと伸びる。日々鍛錬を欠かさぬ愛刀は、凝視された事で霊圧を増していた。

 

「よっ! よろしくお願いしますなのじゃ……!」

 

 アイサツは大事。シュバッと動いたイリハは布団の上で正座になり、聳え立つ御立派様に首を垂れた。

 これもうそういう構図じゃんね。そそるぜ、これは。

 

 

 

 

 

 

 行燈の淡い灯り、敷かれた布団、裸の男女。

 当然、何も起きないはずがなく……。

 

「主様、仰向けになって欲しいのじゃ」

 

 房中術の開始である。

 俺は言われるがまま仰向けになり、続きを待った。如何な異世界マッスルを手に入れた肉体とはいえ、寒いものは寒い。早く温かくなりたい。

 続いて、イリハはゆっくりと俺に覆いかぶさってきた。体重こそかけられていないが、肌と肌が触れあって気持ちがいい。

 

「主様は黒の氣が強すぎるのじゃ。なので、これを整えるのじゃ」

 

 今か今かと待ちわびる俺に対し、イリハは未だ緊張が勝っているようで、房中術の解説をしながらおずおずと施術を始めた。

 小さな手が耳を触り、側頭部を撫で、頬から首にかけて滑り、胸に下りて下腹部へ。所謂フェザータッチというやつで、マッサージとは雰囲気が違った。

 

「分かるかのぅ? 今、肌から氣を送って主様の氣の流れを整えておるのじゃ」

 

 知識を披露していると恥ずかしさが紛れるようで、イリハは徐々に饒舌になっていった。

 しまいにゃ聞いてもいないのに陰陽術の解説を始める始末。その間にも、彼女は俺の黒の氣とやらにアプローチを続けていた。

 

「んぅ……」

「ほら、どんどん主様の身体が温かくなってきたのじゃ。気付いておるか? 寒くないじゃろぅ?」

 

 施術の中、我知らず呻き声が漏れた。確かに、云われた通り寒くなくなってる。これは興奮というより、身体の奥底で起こっている事のように思えた。

 ヘソの下らへんをナデナデされる。今度はフェザータッチではなく、しっかりと掌の熱を感じる手技だ。

 気のせいだろうか、イリハの手から何か未知のエネルギー的なものが流れ込んでいるような。これが氣か? それともプラシーボ? ともかく、いつの間にか俺は彼女から齎される心地よさに夢中になっていた。

 

「身体の氣はな、強すぎても弱すぎてもいけないのじゃ。中庸こそが肝要……。主様は頑張り過ぎじゃ、今くらい休んでゆけ。目を瞑って自分の身体の中に意識を向けるのじゃ」

 

 言われた通り、瞼を閉じる。

 すると、先ほどよりイリハの手のひらの感触が鮮明になった気がする。

 同じように謎のエネルギーも鮮明になった。魔力感覚とは違う、不思議な感じ。まるで俺とイリハの境界線がなくなっていくような、沈み込んでいくような……。

 快楽と言っていいのだろうか。この心地良さは何なのだろう。

 

「ほう、もう感じる事が出来たのか。主様には陰陽術の才があるのかもしれんのぅ」

 

 じんわり温かくて、気持ちいい。まるで人肌の温泉に沈んでいくかの様。

 眠くもないのにボーッとして、けれども五感は敏感になっていく。

 イリハの声、イリハの匂い、イリハの手の感触。デバフを食らってる訳でもなかろうが、俺は彼女に溶かされている気分になっていた。

 

「では、次の段階にいこうかの」

 

 手のひらの感触が離れる。腹に僅かな重み。

 薄目を開けると、すぐ眼前にイリハの顔があった。

 

「く、口を吸うぞ、主様……」

 

 そんな体勢のまま、イリハは目を閉じて唇を寄せてきた。

 俺は無意識に口を僅かに開け、彼女からの接吻を待った。

 

「んっ……」

 

 唇が重なる。瞬間、イリハの身体がビクンと跳ねたのが分かった。

 さっきまでの流麗な所作は何だったのか。イリハは軽いキスでフリーズしているようだった。

 

 一秒、二秒、小さな唇が固まっている。

 ここは少しリードするべきか。俺は優しくイリハを抱きしめ、あやすように背中を撫でた。

 

「んぅ……ちゅ、ちゅぅ……」

 

 すると、イリハは文字通り気を取り直し、閉じられた口を少し開けてキスを再開した。

 それから、ゆっくりゆっくりと人工呼吸でもするように、俺の口内に例の謎エネルギーを吹き込んできた。

 肌の接触よりも克明に、俺の体内に流れてくるのが分かる。

 

「ちゅぷ、んぁ……主様、舌を出すのじゃ。そう……んむっ、ちゅぅ……んちゅ、れろ……」

 

 イリハは俺の両耳を塞ぐと、文字通りに二人の呼吸を合わせた。

 目と目、舌と舌、口と口が合わさって、二つの鼻が同じだけの息を吸う。

 決して激しくもない交わりだが、俺の口内では二人の氣が複雑に絡まっていた。

 

「んぅ……ちゅうぅ、れろ、れろぉ……。ん、ちゅ……じゅる……」

 

 イリハの舌は、まるで猫のソレであった。表面にはきめ細やかなザラつきがあり、チロチロ動く先端は俺の中の唾液をこそぎ取るようであった。

 そんな舌が俺の舌先から根っこまでを流れるように往来する。粘膜の接触によって、二人の氣を混ぜているのだ。

 普段、皆としているような激しいベロチューとは質が違う。次に進まず、ずっとこうしていたくなるような安らぎを感じる。

 

「れろれろ……んちゅぅ、ぷはぁ……」

 

 口を離すと、俺達の間に透明な橋が架かった。

 俺の口内で撹拌された氣が、喉から胃を通して身体に馴染んでいくのが分かる。

 キスを終える頃には、俺は氣というモノを明確に感知できるようになっていた。

 

「どうじゃ? これが房中術の舌技じゃ。気持ちよかろ? もう主様は準備万端のようじゃな……よしっ」

 

 トロンとした目のイリハは、上ずった声で勝ち誇ったような言葉を紡いだ。

 確かに、イリハの房中術は凄かった。未だ俺の意識はボーッとして、ただただ心地よい状態を維持している。

 なにより、体内に感じるイリハの氣が得も言われぬ一体感を覚えさせてくるのである。

 

 しかし、イリハの中はどうか。彼女が流し込んできた氣は、殆ど俺の中にある。つまり、この溶けるような心地よさをイリハはまだ知らないのである。

 房中術が氣を交わらせる術であるならば、俺とイリハはもっと同調すべきなのではないか。

 お任せするとは言ったが、このままだと流石に痛いだろう。

 

 ぼんやりしたまま、己の中にある氣を意識する。

 うん、やれそうだ。

 

「イリハ」

 

 俺は早速とばかりにプラグインしようとしているイリハの手を取った。

 それから、えいやと集中して氣を流し込む。

 

「ぬ、主様……!?」

 

 どうやら上手くいったようである。

 そのまま上体を起こして、イリハの小さな身体を包み込んだ。

 手のひらと言わず、肌が触れる箇所の全てで氣を放射する。出来てるかどうか分からないが、とにかく思いと熱を伝えるイメージだ。

 

「んっ♡ はぁあ~♡」

 

 すると、イリハは仕事終わりにひとっ風呂浴びたような声を漏らした。まだまだ未熟な氣の運用だが、そこは量でカバーだ。技術もへったくれもない力押しは、イリハの氣に届いたようである。

 攻守逆転……否、選手交代である。俺はそのままイリハを後ろ抱きにして、モフッとした狐耳に囁いた。

 

「今度は俺の番。房中術、やってみていい?」

「主様? あっ、ん……んぅ……♡」

 

 そして、見様見真似の房中術を試みる。弱点を攻めるのでなく、互いの身体を沈め合うようにゆっくりと触れていく。

 氣の扱いはまだまだだが、要するにスローなやつの亜種だと思えばやりやすい。ソレに関して、俺は一家言あるのだ。エリーゼはそういうのが好きなので。

 

「おっきぃ♡ あぁ……主様の氣が、わしの丹田に入ってくるのが分かるのじゃ……。んぅ♡ 上手じゃのぅ、主様♡」

 

 なでなで、なでなで……。

 モフモフの耳。艶やかな髪。柔らかい頬っぺたに、華奢な首と肩。あえて弱点を攻めず、焦らしに焦らして高め合う。

 

「んぁ♡ はっ、はむ……ちゅぅ~♡ じゅる、ちゅ……あむ、ぢゅる、れろぉ♡」

 

 イリハの口が自然に開いたところで、今度は俺からキスをする。

 さっきしてもらったように、二人の口内で氣を循環させる。激しい舌遣いはいらない。大げさなリップ音も立てない。ただひたすら、お互いの氣を分かち合うのだ。

 

「んっ♡ はぁ……♡ こ、こんなに沢山の氣♡ すご……♡ お腹の中が温かいのじゃ♡ はぁ♡ んむ♡」

 

 じっくりと。焦る事なく少しずつイリハの氣と同調していく。

 ここまで来ると、俺は自分のモノだけでなくイリハの氣の状態をある程度感知できるようになっていた。

 お腹を触る。ヘソを中心に、輪になっている。口を中継して、氣の質が近づいていく。呼吸のタイミング、氣の流れ、魔力の揺らぎさえ、俺達は互いの全てを熟知していった。

 

「ぬ、主様ぁ……♡」

 

 二人の境界線がなくなる寸前。イリハが俺を呼んだ。何をしてほしいか、何をすべきかなど言われずとも分かる。

 どちらともなく、俺達はより深い繋がりを求めた。

 

「んっ♡ くふぅぅぅぅぅ……♡」

 

 瞬間、俺は房中術の深奥を垣間見た。

 甘く、深く、痺れるような、一切の激しさもない心身の結合。

 これはまさに、大自然の体現だった。

 

 深い山の奥、水が湧いて、低きに流れていく。

 雲が出来て、雨が降り、草木が芽吹き、花が咲く。そして、新たな生命が生まれる。

 そうか。陰陽とは、氣とは……。

 

 ――やっと気づいた。イリハは、俺の鞘だったんだな。

 

「主様♡ ぬしさ……はぁ♡ んっ、フゥゥゥゥ♡」

 

 かつて、夜のダンジョンアタックにおいて俺は火力と立ち回りを重視したバトルスタイルを好んで用いていた。

 攻守のバランスを取り、上手に立ち回り、隙と見れば畳みかける瞬間火力型。

 けれど、イリハとの間に火力は必要なかった。立ち回りさえ、不必要だったのだ。

 

 激しい操作を要求するハイスピードアクションじゃあない。

 弱点を突き合うターン制バトルでもない。

 房中術とは、ポイントを溜めに溜め、お互いを強化し合い、シンクロ率を無限大にするたった二人の人類補完計画(バトルオーケストラ)だったのだ。

 

 己にカジャカジャし、相手にンダンダをかける。

 ヒートライザと、チャージあるいはコンセントレーション。それからホールドアップからの……交渉だ。

 普段の俺なら即総攻撃フィニッシュだっただろう。だが、あえてしない。まだお互いの氣が混ざり切っていないからだ。

 

 まだ同じ氣じゃない。まだまだ馴染ませる必要がある。

 肌だけでは足りない。俺はイリハの耳や尻尾にも氣を流し込んだ。彼女なら上手く合成できると信じて。

 

「ん~♡ あっ、拙いのじゃ♡ このままじゃと……尻尾出ちゃうのじゃ♡ あっ……♡」

 

 お互い達しかけた瞬間、ボンッとイリハの尻尾の数が増えた。

 そういえば、イリハの尻尾は全部で九本あるんだったな。ちょうどいいので、俺は彼女のモフモフ尻尾を一本一本撫で回した。

 

「ひぐ!? はっ♡ 主様♡ 尻尾はダメ♡ 尻尾はダメじゃ♡ 主様の氣が直に♡ 入ってきちゃうのじゃ~♡」

 

 驚愕のモフモフ度。イリハの尻尾は不思議な触感だった。

 というのも、元からある一本以外の尻尾には芯がなく、まるで綿アメを触っているような感触がしたのである。

 曰く、天狐の尻尾は氣の循環を補助する役割があり、触れる事のできる剥きだしの氣であるという。生活に邪魔だからと普段はしまっているが、本気で陰陽術を使う時は全て出すんだと。

 故に、俺は尻尾を重点的に整えた。尻尾の付け根、尾骨周辺を撫で、尻尾をシコシコし、耳を食みながら更に深く繋がった。

 

「あっ♡ あっ♡ はげしっ♡ 尻尾の付け根は♡ 反則じゃあ♡ んぅ~♡」

 

 それからも、俺はロクに動く事もなくイリハと同期し続けた。

 下から氣を流し込み、上から氣をもらい受ける。これぞ世界の循環である。

 今、本当の意味で、二人が一つになったのだ。

 

「主様♡ 主様♡ ギュッてして♡ んくぅぅぅ♡ 主様の氣♡ 濃すぎなのじゃ~♡」

 

 合体(がったい)

 

 全てが終わった後、イリハはくったりとトロけていて、全身に力が入らない状態になっていた。

 

「主様ぁ♡ ちゅー♡ ちゅーちゅーしたいのじゃ♡ あむっ、ちゅぅ~♡」

 

 そう言って、イリハは俺の首筋に吸い付いてきた。チューチューする様は乳飲み子のようで、まさに愛しさ百億倍である。

 俺はイリハの頭を撫で、彼女の存在の全てを褒めちぎり、父性というより母性で以て甘やかした。するとイリハはキャッキャと喜んだ後、猫がそうするようにゴロゴロと頬を擦り付けてきた。

 

「んぅ~……♡ ん、んにゃぁ~♡」

 

 やがて眠くなったらしいイリハに胸を貸してやると、イリハは俺の乳首に吸い付いてきた。どうやら、口にモノを入れると安心するようだった。

 そして、イリハは安らかな顔で眠りについた。

 

「さて……」

 

 ところで、俺はまだ一回しかファイナルフラッシュをしていない。心は最高に満ち足りたが、身体の方は未だに熱を保っていた。

 流石に、これ以上イリハとサンダーストームフォーメーションをする気は無いが、それはそれとしてこの火照りを治めずに眠るのは難しそうだ。

 それに、せっかく覚えた氣の扱いだ。忘れないうちに反復練習をしたい……。

 

「そこにいるのは分かっている。姿を現せ」

 

 あえて低声を出すと、部屋の戸がすすーっと開いて、愛しの三人が入ってきた。

 

「きひひ♡ いやぁ、今晩のご主人も凄かったッスねぇ♡」

「その術、もちろん私にも試してくれるのよね……♡」

「うぅ……ぼ、ボクもご主人様にナデナデして欲しいです♡」

 

 見れば、三人は既に出来上がっていた。

 覗きなど、いけない子である。おしおきが必要だ。

 

 その晩、俺は思う存分三人を氣の実験台にした。

 

 

 

 

 

 

 未明、イリハは微睡みと共に目を覚ました。

 これまでの労働奴隷生活の影響で、疲労が残留してなお心身が反応して起床してしまったのである。

 そして、例によって反射的に起き上がろうとしたのだが……。

 

「んぅ……?」

 

 違和感があった。敷布団も掛布団も、ふかふかで温かい。おかしい、自分は物置の古い座布団で眠ったはずだ。

 それに、イリハの頭を預けている枕が熱く、不思議な匂いがした。

 

「え……えぇ?」

 

 ハッとなった。イリハは主人の二の腕を枕にしていたのである。しかも、イリハのすぐ隣には昨夜この場にいなかったはずのグーラが眠っていた。

 少し上体を上げて奥を見てみると、ルクスリリアとエリーゼが同じように眠っていた。

 

 つまり、そういう事であった。

 

 イリハはこの段になって、昨晩彼女等に何とも言えない表情で送り出された理由に思い至ったのである。

 黒剣の強さを甘く見ていたのは、確かだ。性豪とは分かっていたが、ああも氣を用いた上で三連戦をする余力があったとは……。

 それに、まさかあの一夜で房中術の基礎を身に付けるとは思いもよらなかった。

 

 昨夜の事を思い出す。房中術を施していたら、いつのまにか施されていたのだ。

 徐々に彼色に染まる氣は燃えるように熱く、それでいて甘露だった。最後らへんなどもはや記憶が曖昧であり、ただただ全身が溶け合うような一体感だけがあった。イシグロという男、氣の扱いは未熟だったが、房中術だけは滅茶苦茶に上手かったのである。

 性豪に房中術。こういうの、リンジュでは何と言うのだったか。鬼人に棍棒? 虎人に翼? なんかそんな感じの……。

 

「ん?」

 

 ふと、思いつく事があった。もしかして、である。

 イリハは仙氣眼を開き、改めて布団の中の皆を眺め見た。

 

「うおっまぶしっ……!」

 

 視界いっぱい、氣氣氣……。

 皆、ビッカビカであった。ルクスリリアもエリーゼもグーラも、そして主人のイシグロも体内体外氣まみれ。しかも驚く程に調律されているではないか。

 鬼人に金棒どころではない、銀竜に剣である。どうやら、イリハはとんでもない怪物を覚醒させてしまったようだ。

 

「んぅ~? まぁいいんじゃけど……」

 

 まぁ、嫌ではないし、それはいい。

 それはそれとして、眠るイリハのすぐ隣で他の女を抱くとはどういう事か。負の感情こそないが、ちょっとモニョッてしまう。

 起こしてくれてもよかったのでは?

 

「主様め。あむっ、ちゅぅ~……!」

 

 イリハは嫉妬の理由に思い至る事なく、幸せそうに眠る主人の胸に吸い付くのであった。

 軽く痛みを与えるくらい、強く。




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◆黒剣一党の胸ランキング◆

・一位:グーラ
 永遠のゼロ

・二位:エリーゼ
 パッと見では分からない

・三位:ルクスリリア
 服越しに僅かな感触

・四位:イリハ
 ギリAランク帯

・五位:イシグロ
 迷宮で鍛えられた胸
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