IS 全知全能(に近いナニカ)が転生するようです 作:見知らぬ誰か
「アンタが禊 祓ね」
転校生がどうのとあった日の次の日、授業が終わり昼飯を食いに食堂に向かって歩いていると突然目の前にツインテールのちっこいやつ……つまり織斑一夏のセカンド幼馴染の『鳳(ふぁん) 鈴音(りんいん)』が前に現れた。
――リンインがあらわれた! はらいはどうする?――
1:無視
2:無視
3:逃げる
4:逃げる
――はらいは1と3をどうじにはつどうした!――
「………………」
俺は何も言わずに横を通り抜けようとしたが……
「逃がす訳ないでしょ」
――だがしっぱいした!――
更に行方を塞いできた。
「何で俺なんかに構う」
「アンタIS2機所有してるでしょ。各国がISを欲しがるのは当然じゃない。
それに、ISを使える男に世界は興味津々なのよ」
「じゃあ、各国の老害共に言っておけ『死人を出したくなきゃ黙ってろ』って」
俺は腰に佩いている4本の内の一つに手を掛けながらそう言った。
「国の馬鹿共に? そんなの聞くわけ無いでしょ」
「だろうな。ま、どうでも良いけど」
俺は話を打ち切って食堂に行こうとするがまだ行く手を阻む鈴音。
「まだ何か用か? ウチの彼女は待ち合わせに五月蝿いんだが……」
「へぇ……結構遊び人みたいな感じなのね。早々に女が居るなんて」
俺はその言葉にニヤリと笑って返した。
「残念ながら家でのお付き合いでな。国に報告することなんてないぞ」
「そうなの? ま、どうでも良いけどね」
そう言って鈴音は食堂へ向かった。一体何だったのだろうか……
「彼女と待ち合わせをしているのに他の女の子と話しているとは頂けないなぁ」
後ろから聞こえたそんな声……俺の彼女"役"の楯無の声だ。
「心配するなよ、めんどくせぇ国のアレコレだから」
「次の楯無を継ぐ人の子供が何人も居るのは勘弁よ?」
開いた扇子には絶対拒絶と書かれている……酷く達筆だな、おい。
「そこまでの節操なしじゃないから安心しろ」
「あらそう? 信用してるわよ?」
楯無はそう言って俺の手を取り食堂に引っ張っていく。
「なんだ? 随分と積極的じゃないか」
「別にカレシカノジョでは普通でしょ? 特に相手が居るのを分かっていても割り切れない奴を突き放すために……なんてね」
通路方を見ながら言う楯無……ああ、十六夜か……いっそ襲いかかられた方が処理しやすいんだがな。まぁ、そこまで馬鹿じゃないから見ているだけなんだろうな。
「あなたはカノジョが狙われてるのに嫉妬とかしないの?」
「そういう"役"って話だったろ。嫉妬する意味はない」
そう言った瞬間、左脇腹を抓られた……解せぬ。
「そう互いの家で決まってるのよ?」
「……はいはい」
俺は適当に返事をして楯無と食堂へ向かった。
※─※─※
その日の夜、部屋でまったりしていると携帯に親父から連絡が来た。
「どうした? 親父」
『ああ、ISの件で少しな』
IS? 何かあったんだろうか?
「それで?」
『不知用に新規開発していた超長距離用高火力砲《鴉(からす)》の開発が完了した』
「……それ、何に使うんだ?」
というか、不知の固有武装は何故鳥の名前なんだ……
『無論、普通に使えるぞ。リミッターを付けているからな』
「一つ聞くが、リミッターを外した場合……威力はどれぐらいになるんた?」
『地表に着弾すると広範囲に衝撃波を生み出すぐらいだな』
……衝撃砲(ショックカノン)だと!? どんだけのエネルギーを発射するんだよ……
「リミッター付きで?」
『確実に絶対防御を発動させるほど……と言ったところか』
……戦争でもおっ始める気か……ウチの馬鹿親父は……
「……で、それをどうするって?」
『明日、お前の不知に量子変換(インストール)するから時間開けておけよ』
そう言って親父は通話を切った。
「武蔵さん?」
スマホをベッドに投げるとシャワーから出てきた楯無が髪を拭きながら聞いてきた。
「ああ、親父だ……不知に新しい武装をインストールするんだと」
「ふぅん……アリーナ適当なの開けておくように調整しておくわ。新武装の試しもしたいでしょう?」
「迷惑を掛ける」
「気にしないでいいわ。そう言う役職だもの」
「うん、かっこいいこと言ってるけど服着てくれ……眼福通り越して目に毒だ」
俺は楯無から目を逸らしながらにそう言った……
今の楯無の姿は下着のみだ。淡い水色の下着のみ……胸に実る2つのたわわな果実がしっかり自己主張し、腰は細くくびれ、ヒップは適度に出て実にスタイルがいい……顔はシャワーで上気してやや頬が紅く髪もまだ完全に乾いていないため濡れておりそれがまた楯無の美しさを際立たせている……事細かに描写するほどはっきり言って美しい……
「えー、良いじゃない。私、貴方には何を見られても恥ずかしくないもの……この下着を取ったっていいのよ?」
楯無はそう言ってブラのホック(恐らく胸の下の方を触っているためフロントホック)に手を掛け、反対の手でパンツを少し下にずらす……
「やめろ」
「どうして?」
ブラのホックに手を掛けパンツを少しずらしたまま楯無はそう俺に問う。
「楯無は――「刀奈」――え?」
「更識 刀奈。それが私の真名……プライベートではそう呼んで……」
「……楯無襲名前の名前は何か特殊な意味があったりしないのか? 簡単に教えていい名前でもないだろう……」
楯無はブラとパンツに掛けた手を離し、俯きながらぼそぼそと話し始める。
「楯無襲名前の名前には確かに意味があるわ……」
「…………」
俺は何も言わずに楯無の話を聞く。
「私の真名は『家族にしか知られてはいけない名前』……私の真名を知った人は家族、ということよ」
「……そうか、随分重い物を背負うことに成ったんだな俺は」
俺は更識楯無、ひいては更識刀奈のことは嫌いではない。
無論それはインフィニット・ストラトスという作品のキャラクターであった……当初はな。人間性という点では更識楯無はISのヒロインの中では言い方はあまり良くないが、かなりの優良物件だ。
そこまでは小説を読んでいての話、ここからは俺自身が実際に考えたことだ。
これまで接してきての楯無ははっきり言って人との距離を取っているように見えた。踏み込まず、踏み込ませず……楯無の交友関係はとてつもなく狭い……虚さんに本音、新聞部部長の黛薫子、IS学園で交友関係にあるのはこの程度……下手するとその3人ですら交友関係ではないかもしれない。
そう思えるほど楯無は、刀奈は孤独だ。17歳というこの歳で家の当主にされれば普通の交友関係は築けないだろう。
そんな楯無が俺に真名を教えた……気を遣う必要のない相手として俺を選んだと、取っていいのだろうか……
「でも、家の決まりなんてどうでもいい……私は貴方に、祓に私という『更識刀奈』個人を見て欲しい。家のつながりじゃない、感情的な繋がりとして見て欲しい」
楯無は俺の方に近づくと俺に抱きつきそのままベッドに押し倒した。
楯無の身体は、震えていた。寒さからだろうか……それとも突き放されるかもしれない恐怖からだろうか……
「ねぇ、祓……貴方は私の事どう思ってるの……?」
恐る恐る俺の顔を見る楯無。目には涙が零れそうなほどに溜まっている。
普段の気さくな楯無とは全く違う……
「俺は……」
まだ、会って半月も経っていないのにその選択は……いや、簡単か……「他の選択肢」を「他の可能性」捨てることさえ出来れば。
何を迷うのか、まだなんの選択肢もない、未来なんて分からないこの状況で……返事を先延ばしにすることに意味なんてあるのか?
それに、答えはもう決まっている……他の可能性を考えた結果が先延ばし、それさえ無ければ……答えは決まってる。
「俺は楯無が……刀奈が好きだ」
「ほん……とう……?」
楯無の目に溜まっていた涙が零れ始めるどころかダムが決壊したように大粒の涙が大量に零れていく。
「ああ、本当だ」
「でも今日の昼、そういう役だって……」
「あれは……」
あれは……いや、あれも逃げてただけだよな……もしもの可能性とかを考えてた……
「……自信がなかったんだよ。俺なんかが刀奈なんかとって思ってさ」
「そんなの、関係ないのに……」
「ああ、今思えば関係なんて無かったよな」
俺は刀奈を抱き締め、刀奈の後頭部を優しく撫でる。
「祓……」
「なんだ?」
「暖かい……人ってこんなに温かいのね……」
刀奈が少し強めに腕を締める……人の温もりを思い出し、それを忘れぬようにしているのかもしれない……
「……そうだな」
そう答えると唐突に楯無が唇を重ねてきた。数秒触れるだけのキス……それでも十数秒にも、数分にも感じた……
刀奈の唇は柔らかく、ほんのり甘く感じた。
「甘いね……」
「それは本来、俺が言う言葉じゃないのか?」
「良いじゃない……私が言っても……」
少し途切れるような声で刀奈はそう言った……眠いのだろうか……
「このまま寝るか?」
「もし、祓が良いなら……一緒に……」
「ああ、いいよ」
俺は抱きついていた刀奈を離し、ベッドに寝かせると布団をかけた。さすがに服を着せるのは少し抵抗があったからな……俺は刀奈の「一緒に」という望みの通り布団に入った。
「ありがと……」
俺が布団に入ると刀奈は俺に抱きつき、静かな寝息を立て始めた。
「……おやすみ、刀奈。良い夢を」
俺も目を閉じて寝ようとするとすぐに意識は闇の中へ沈んでいった。
展開が急過ぎる、なんか変、どうしてこうなる、などの批判覚悟で投稿します。
あんまりに批判が多かったり、書き直し希望の人がいれば描き直そうかな……とか思う。
「Komm,susser Tod 甘き死よ、来たれ」聞きながら書いたらこんなことになった……でも、悔いはない。若干シリアスとか関係ない。
何はともあれ楯無メインヒロイン化決定です。束とかどうしよう(←何も考えてなかった馬鹿)
活動報告に連絡があります
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