IS 全知全能(に近いナニカ)が転生するようです   作:見知らぬ誰か

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第06話 しきたりと専用機

 畜生……なんなんだよ、あいつは!

 高々【超反射】なんて微妙な能力しか持ってない癖に【時間操作】という万能能力に楯突きやがって……調子に乗るんじゃねぇよ!

 つか、なんであいつが楯無をお姫さま抱っこして連れてくるんだ?訳分かんねぇ……

 しかも、『楯無の傍に居たら死ぬ』?『ISと能力でどうにでもなると思ったら大間違い』?あいつ、馬鹿じゃねぇの?能力とISさえありゃあ、出来ない事は無いっての。

 まぁ……良い……クラス代表決めるときに見せ付けてやる。

 

※─※─※

 

 俺と楯無は夕食を食べ終えて自室である2035室に居た。

 ……にしても……

 

「楯無、なんでお前は俺の膝の上に座っているのかな?」

「あら、重くないんだから良いでしょう?」

「いや、そう言う問題じゃ無いから」

「良いじゃない♪」

 

 楯無は俺に背中を預けるように後ろに倒れ込んでくる。

 

「ところで」

「何だ?」

「来週の週末、イギリスの代表候補生と他男性操縦者と試合やるそうじゃない」

「まぁ……成り行きでな」

「専用機はあるの?」

「連絡は無いから今のところは訓練機でやることになるんじゃないか?」

「あら、おかしいわね……」

「何が?」

「禊家はIS産業にもかなり食い込んでるから、アナタにISが無いのはおかしいわ」

 

 おいおい、聞いたこと……あ、何度か聞いたような気がするな。

 と、ここで俺のスマホの電話が鳴る。相手は……家の父親だ。

 

「ちょっと失礼します」

 

 俺はそう言ってから電話に出る。

 

「もしもし?」

『元気にしてたか?息子よ』

「おう、元気にしてる……って、俺が家出たの今日だろうが」

『そうだったか……もう、1年前の事に思えるな』

 

 因みに俺の父親は超が付く親バカだ。親バカ=過保護って認識は間違いでは無いよな。

 母親?あれはどっか抜けてる天然娘でしかも天才……頭の螺子が1、2本単位どころか100本単位で抜け落ち吹っ飛んでいる。

 そういや思い出した。母親が基本的にIS開発を行うんだが、兵装がイカレすぎた代物ばっかなのだ。例を上げれば近接武装『螺子』……めだかボックスの球磨川 禊が武器として使うような巨大な螺子とか、IS用リボルバー拳銃『クレイジー・リボルブ(CR)』……火薬量が1発辺り5キロもあるリボルバー拳銃なのだが……IS兵装なのに生身に影響あるって何?更にはオーバードウェポン『グラインドブレード』……普通に左腕吹っ飛ばして使う生身では使うはずのない代物を母親は開発した。左腕を吹っ飛ばして使う用途は一切不明……いや、まぁ……他のオーバードウェポンもしっかりあるんだけどね?グラインドブレードが異常に人気なんだとか……浪漫?

 

「んで?どうした親父」

『うむ、お前が近々試合をやると聞いてな、お前の専用機をうちから提供することにした』

「……ほぅ?それで?」

『兵装は作る専用機に積めるだけ積むから要らないのだけこちらに送り返してくれれば良いんだが、ISの名前を決めて欲しくてな』

「なんだってそんな事に?」

『ISはパートナーなのだ。操縦者に名前を考えて貰えると良いことがある……と椿姫(つばき)がな』

 

 椿姫……うちの母親の名前だ。因みに父親は武蔵……どこの超ド級戦艦か……。

 父親?名前が名前だから大艦巨砲主義でな……ISの兵装に三つ折りグレネード『OIGAMI』を開発したり、IS兵装『46センチ3連砲』とか作ったりと……ただの馬鹿だ。威力は申し分ないんだがな……威力が普通にそこらの軍用ISに搭載させる兵装を上回るってどうよ。

 

「そうだなぁ……あぁ、愛着のある名前ならあるぜ」

『なんだ?』

「Unknown」

『……『不明』……か』

「ゲームとかじゃ、結構愛着がある」

『ん……分かった。明日届けるから待っていてくれ』

「了解だ」

『……偶には帰って来いよ』

「……気が向いたらな」

 

 俺は電話を切った。

 

「急遽、明日俺のISが届くことになった」

「ISの名前に『Unknown』はどうかと思うわよ」

「1番愛着があるんだよ……2番は『見知らぬ誰か』だな」

「どの道『不明』ってのは共通って訳?」

「そーゆーこと」

 

 俺は普通に座っているのが怠くなって後ろにそのまま倒れる。楯無も俺に寄りかかって居たために俺を下にして寝転がるようになる。

 

「楯無」

「なぁに?」

「彼氏彼女の関係は人前だけで良いんじゃないか?」

「あら」

 

 楯無はこれまで仰向けだったものをうつ伏せに変える。

 その所為で楯無の母性の象徴が潰れ、Yシャツからでも胸の谷間が見える。

 

「夕食のときに言ったでしょう?私はアナタに興味があるって」

「言ったな」

「それに、私が興味を持ったのは何も君に気付かれた時じゃ無いのよ」

「ほぅ?」

「これも夕食の時に言ったけど更識と禊の長子の性別が別だった場合、更識は男運または女運に恵まれない……これは確定事項なのよ。

 だから、もし生まれた時点で性別が別だった場合……更識の長子に物心が着いた時点で禊の長子に会わせるのよ」

 

 再び新事実発覚……。まさかもう既に会っていたとは知らなかった……覚えて無いぞ、そんな事。

 

「そして……私がアナタを見たとき……私はアナタが好きになったわ」

「………………」

「驚いた?こんな私が……自分で言うのもおかしいけど、物事を達観したようななんでも分かり切っているような人間が一目惚れなんて」

「……酷く人間らしいとは感じるな。

 まぁ、その時点で告白されなかったは唯一の救いってところか、一目惚れが恋愛沙汰で一番厄介だし」

「そう?あなたは少し感性が違うのかしら」

 

 楯無はそう言って俺に跨る。

 

「なんだ?」

「……いいえ?何でも無いわ♪」

 

 楯無はそう言って立ち上がるとシャワールームへと向かった。

 一体何だったんだろうか……?

 

※─※─※

 

 で、日を跨いで次の日の2時限目終了直後。

 

「……ふぁ…………」

 

 俺は授業中からずっと読んでいた小説を今も読んでいた。

 小説のタイトル?『ご都合主義何てありはしない』というライトノベルだ。現在、21巻まで創刊していて俺が読んでいるのは13巻だ。ラノベでは珍しい神様転生もので、転生先は銃弾が飛び血飛沫が舞う普通の学園の日常だ。案外面白かったりするのだ、これが……

 因みに他の男子操縦者はクラスの女子に囲まれ、質問責めにあっている……頑張れ。

 そして、ふと教室を見回せば……気配を中途半端に殺して俺を見ている奴が1人……言うまでもなく、楯無だ。

 

「………………」

 

バシーン!

 

 ん……一夏の方から出席簿で叩かれた音が……

 

「休み時間は終わりだ。散れ」

 

 ……きっと、織斑先生は自分が完璧超人であることを認識させていたいだけなんだよ……きっと……

 

「さて……ところで織斑、お前のISだが準備まで時間がかかる」

「へ?」

 

 一夏が素っ頓狂な声をあげる。

 

「各国での余剰機体がない、だから学園で専用機を用意するそうだ」

「???」

 

 全く理解出来ない一夏。それに呆れたと言うように溜め息混じりにつぶやく。

 

「教科書6ページ、音読しろ」

「え、えーと……【現在、幅広く国家・企業に技術提供が行われているISですが、その中心たるコアを作る技術は一切開示されていません。現在世界中にあるIS467機、その全ての(以下省略)】……」

「つまりそう言うことだ。本来なら、IS専用機は国家あるいは企業に所属する人間しか与えられないが、お前……いや、お前男子操縦者の場合は状況が状況なので、データ収集を目的として専用機が用意されることになった。理解は出来たか?」

「まぁ……なんとか……」

「まぁ、先も言った様に男子操縦者には専用機が渡されるため、禊は第1アリーナ、東屋・十六夜・茅場は第3アリーナに放課後行くように」

 

 この後、篠ノ乃 箒の姉が篠ノ乃 束であることをバラすやつがあったが……省略。オモシロくないしね

 

※─※─※

 

「安心しましたわ。まさか訓練機で対戦しようとは思っていなかったでしょうけど」

 

 ……せなんとかさん、なんで殊ある毎に俺の所に来るんですか?行くのならあちらの十六夜の方にお願いします。

 

「……ん、どうでも良いし、話的にオモシロく無さそうだから……じゃ」

 

 俺はせなんとかさんを置いて食堂に向かった。

 

※─※─※

 

 俺は券売機でカレーラーメンと餃子を買いそれを受け取り適当な席に座るとすぐ空いていた前の席に誰かが座った。確認してみれば案の定というか、楯無だった。

 

「よう」

「専用機、今日渡されるんでしょう?」

「第1アリーナで受領予定だ」

「私も行って良いかしら?」

「禊は更識と繋がりがあるんだろ?問題ないと思うぞ」

「そう。分かったわ」

 

 そう言ってから和食御膳を食べる楯無。なんだろう、お嬢様だからか様になってるな。

 

「私がアナタの訓練みてあげましょうか?」

「クラス代表決定戦までのコーチング?」

「それ以外に何があるのかしら?」

「無いな。まぁ、やってくれるなら頼むよ」

「頼まれたわ」

 

※─※─※

 

 そして時は過ぎて放課後、第1アリーナ。そこに俺と楯無は来ていた。

 

「どんな機体かしらね」

「さぁ?」

 

 俺も楯無もISスーツを着てこの場に居る。俺のISスーツは家の父親と母親が社長と副社長をやっている『禊IS開発所』のオーダーメイド品だ。防弾防刃製に優れているものらしい……知らないけど

 

「おー……待たせた……な……」

 

 親父が来たらなんか俺の隣を見て固まった……と思ったらいきなり動き出した。

 

「た、楯無様!?な、何故ここに!?」

「あら、許婚の彼と居ては駄目かしら?」

 

 許婚……ねぇ……確かに間違っちゃ居ないが……世間からすればそう言う関係なんだよな……

 

「あ……そういう事でしたか」

「それより口調……年上に敬語を使われるのはちょっと違和感があるのだけど……」

「流石に禊の上にいるご当主に対し敬語なしと言うのは……」

「あら、私としては禊とは対等だと思って居たのだけど?」

「それは嬉しいのですが禊の当主は私ではなく妻ですので……」

 

 あ、禊の当主って母さんだったのかよ……何も知らんぞ、俺。

 

「それでも、禊と更識は対等であることに変わりは無いわ♪」

「……分かったよ楯無様」

「最初からそれでよかったのよ」

 

 漸くいつもどうりになる親父。

 

「で、親父。俺の専用機は?」

「ああ、こいつだ」

 

 親父は引っ張ってきたカートにかかっているシートをバサリと剥がした。

 そこに居たのは光を反射しない……言うなればマッドブラックとでも言うべき装甲をもつ触れれば斬れるような鋭角的なフォルムのISだった。

 

「型式番号『鋭零式』……名前はまだ未設定だが……そいつはお前が乗った時に設定してくれ……あと、兵装は今からトラックに載せられてくる奴にあるからその中から選んでくれ」

「了解」

「ま、まずは乗り込め」

 

 俺は跪いているそのISに乗り込んだ。

 直後、視界にこう、表示された。

 

《My name is?》

 

 俺はホロキーボードを呼び出し、名前を設定した。

 

《Unknown》

《Roger……Set up language.》

 

 言語設定……

 

《Japanese》

《了解》

 

 すると、視界に表示されていた英語が全て日本語に切り替わった。

 

「親父」

「なんだ?」

「初期設定までしてないとは聞いてないぞ」

「まぁな……椿姫に全部やらせるようにって言われていたからな。何もしなかった」

「あっそう」

 

 俺がアンノウンに寄りかかるとアーマーが体に装着されていく。

 俺は手(マニュピレータ)を開いたり閉じたりするが、それはほんの少しのタイムラグも起こさずに……それこそ、自分の手足のように、元から自分の物であったように動いた。

 ここで、ISの機能が起動され始める。

 

《皮膜装甲展開――異常なし

 推進機(スラスター)正常稼動――確認

 高機動用翼式推進機(ウイングスラスター)動作正常――問題なし

 慣性打消装置(PIC)正常作動――確認

 ハイパーセンサー最適化――終了》

 

 兵装は無いのか、初期展開では展開される兵装が決まっていないためか兵装は呼び出されない。

 そして、意識の裏側……ISのバックグラウンドではアンノウンに使われているコアのアンノウンになる前の情報を初期化(フォーマット)が行われているが……元々アンノウンに使われているコアはあまり使われていなかったためか初期化にそう時間は掛からず1分もすれば完了していて、最適化処理(フィッティング)が行われている。ISの処理性能って高いんだな……。

 ここで、アリーナの搬入口から禊IS開発所で開発したであろう兵装を積んだトラックが3台入ってくる。

 

「祓、歩けるか?」

「ん……やってみる」

 

 俺は膝立ちの状態から立ち上がり、歩いてみる……が、自分の感覚と少し違う為によろけるが、10歩も歩けば慣れて歩けるようになった。

 

「適応早いわね」

「そんなにか?」

「私、不自由なく歩くのに半日掛かったもの」

「……まぁ、ひとそれぞれじゃないか?」

 

 俺と親父、楯無がトラックの前に着くとトラックのカバーが開き、中にある大量の兵装が登場する。

 クレイジー・リボルブから何から何まで全て揃っている。

 

「まぁ、好きな物を選べ」

「了解」

 

 まぁ……とにかく……クレイジー・リボルブは2丁入れておこう……威力は保証するし……それから特殊アサルトライフル『烈火・砲爆』……3砲身マシンガン『クリップ・クラップ』……グレネードスナイパーライフル『轟爆』……超高速連写サブマシンガン『狛尾』……遠距離兵装はこれぐらいでいいかな?

 近距離兵装は……螺子50本……タクティカルナイフ『クラウン』2本……長剣『クリミナル』『ブラックスパイク』……これぐらい?

 俺はピックアップした兵装を全て量子化(インストール)し、使用可能な状態にまでする。

 最適化完了まではまだかなりありそうな感じだ。

 

「決まったのか?」

「ああ、決まったよ」

 

 俺はそう言いながら両手に大きな螺子を呼び出す。

 

「物好きだな」

「オモシロくなりそうじゃん?」

「なら、祓くん?私と模擬戦やってみる?」

 

 その楯無の提案に俺はニヤリと笑い、答えた。

 

「お願いします。楯無♪」

 

 俺はそう言って宙に浮く……それに追従するように楯無も専用機『ミステリアス・レイディ』を展開しガトリング内蔵ランス『蒼流旋』を構える。

 対して俺は螺子を両手とも持っているが、構えはせずにダラリと下げ自然体。

 お互いに何も無かったが、それでも同時に動いた。

 俺はウイングスラスターを全開にして加速し、右手の螺子を突き出し……螺子を伸ばした。

 

「ッ!?」

 

 楯無はなんとか避けるが少し体勢を崩す。俺はその隙を逃さずに左手の螺子を突き出し同時に伸ばしたが……それはナノマシンによって制御された水の装甲『アクア・ヴェール』で防がれた。

 

「ちぇー……一撃入ったと思ったのに」

「残念ね」

 

 楯無は蒼流旋に内蔵されているガトリングをこちらに向けて撃ってきた。

 俺は回避行動をとるも完全には避けきれずに何発か被弾しシールドエネルギーが削られる。

 お互いにそこそこの距離があるため、俺は近接用の兵装の螺子を収納し特殊アサルトライフル『烈火・砲爆』を右手に展開して撃ちまくる。

 

「クッ!?」

 

 楯無はアクア・ヴェールで防ぐも烈火・砲爆の着弾による爆発で徐々ににアクア・ヴェールが減らされる。

 

「これならっ!」

「残念♪」

 

 烈火・砲爆で蒸発した蒸気冷やされ、俺の周りを漂い濃い霧を生み出していた……やっべぇ……策にハマった?

 

「まぁ……喰らっておきなさい?清き熱情(クリアパッション)」

 

 霧が一気に加熱され、俺のシールドエネルギーを一気に喰らい尽くしそれを0にした。

 

「手加減してくれたって良くね?」

「あら、ミストルティンの槍っていう気化爆弾4つ分の攻撃もあったのだから手加減したわよ?」

「……そうかい」

 

 俺と楯無が地上に降りると同時にアンノウンが光始め、それが終わるとより一層鋭角的なフォルムとなったアンノウンを俺は纏っていた。

 

《フォーマットとフィッティングが終了しました。確認ボタンを押して下さい》

 

 迷う事なく俺は確認ボタンを押した。これで漸くこいつは俺の専用機になった訳だ。

 俺がISを解除するとアンノウンは黒い睡蓮を模したネックレストップになっていた。まぁ、相変わらず光を吸い込むようなマッドブラックではあったが……俺に光を反射するような黒は要らない。似合わないしな。




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