IS 全知全能(に近いナニカ)が転生するようです 作:見知らぬ誰か
クラス代表決定トーナメント戦第1回戦第3試合……東屋 嘉寿対茅場 祐樹戦。
2人はお互いのISを展開して正面から向き合っていた。
東屋はアメジスト色一色の専用機『アイギス』を纏い自分のISを展開した身長よりも大きい弓……弩弓『デメテル』に矢をつがえているだけ、茅場は赤多めと白のツートンカラーの専用機『ホロウ・モーメント』を纏い左腕には十字盾剣『クロス・リリース』を展開するだけで右手には剣のクロス・リリースも持っておらず、ただ自然体で宙に浮かんでいるだけだ。
もう既に開始の合図はされており、いつ動いても良いのだが2人は動いてもおらずただ向き合っていた。
「私としては、ここで勝とうが負けようがどうでも良いのだが……嘉寿、キミはどうしたいかね?」
「僕としては出来るだけ本気でやって欲しいんだけどなぁ……」
「ふむ……ならばそこそこは出すとしよう」
祐樹はクロス・リリースの剣を盾から抜き放ち左の盾を出す自然体の半身になる。
「……そこそこかぁ……」
嘉寿は矢をつがえていただけの弩弓を構え矢を引く。
「では、いくとしよう」
祐樹は盾を前に出して嘉寿に一気に接近しようとするが……
「……貫け、デメテル」
ギリッっと音を立たせるまで張られていた弦が矢を打ち出し青色の光を伴い祐樹に向かった。
その青色の光を纏った矢を祐樹は左の盾で防御するが……青色の矢は左の十字盾を貫通しホロウ・フラグメントのシールドエネルギーを削る。
「……初撃貫通……次」
嘉寿は腰の矢筒から複数本一気に矢を抜きその全てを弓につがえ、引き、放つ。
青の光を纏う複数本の矢は面的に祐樹に向かう。
「ムンッ!!」
祐樹はクロス・リリースで当たる矢を切り裂く。
「うわぁ……なんて反応速度と反射神経してるんだよ!?」
嘉寿は弩弓『デメテル』を収納し右手に輝く片刃直剣、輝剣『アテナ』を展開する。
「……あ、足りないなぁ……」
嘉寿は左手に片手直剣『アレス』を展開し背部に高出力ブースター『ヘルメス』を展開し祐樹に突撃する。
大盾剣対双剣……赤とアメジストがぶつかり合う。
「二刀流かね」
「さぁ?」
嘉寿は両の剣で神速の連撃を放ち、祐樹はその連撃を右の剣と左の十字盾で防御する。完全に嘉寿のワンサイドゲーム。祐樹のシールドエネルギーは徐々に徐々に減っていく。
「防戦一方だよ?どうしたの?」
「手数負けしているな」
祐樹はクリーンヒット一撃入れられるのを覚悟で嘉寿に右足の回し蹴りを放ち、隙が出来た瞬間距離を取り即座にクロス・リリースを収納し右手に黒の直剣『ブラックリベラル』と左手に白の直剣『ホワイトティアー』を展開し行動加速機能『モーションアクセラレート』を使って右手の攻撃を加速させ嘉寿に向けて攻撃する。
「ッ!?」
嘉寿は避けようとしたが避けきれず、クリーンヒットを喰らう。
そのクリーンヒット一撃だけで、嘉寿が祐樹に与えた初撃+掠りダメージと同じものを返された。
「うわぁ……威力たっかぁ……」
そこからは連撃の打ち合いだった。連撃を連撃で撃ち落とす戦闘……お互い、完全にそらしきれなかった斬撃がクリーンヒットとは行かずほんの少しずつシールドエネルギーを削っていく。
長く……長い戦い。そうなると予想していた戦闘は突撃に終わる。
「あ…………」
嘉寿が祐樹の攻撃を逸らしきる事が出来ずにそのまま連撃を受けてシールドエネルギーが0になった。
勝者、茅場 祐樹
試合時間、20分37秒
※─※─※
「………………zzZ」
「起きろ」
スパァン!
「いったぁ…………なんですか?暴力反対ですよ」
俺は負けてから他の試合に興味が無かったためアリーナのピットのベンチで横になって熟睡していたところを織斑先生に出席簿で叩かれ、起こされた。
「ふぁ……で、なんですか……?授業中でもありませんし、何か起こした訳でも無いんですけど?」
「お前の試合が不完全燃焼だったからエキシビジョンマッチで東屋とやることになった」
「えぇー…………面倒なんですが……」
真面目にめんどくせぇ……てか、誰が不完全燃焼なんだよ一体……
「決定事項だ、異論は認めん」
一体どこの教官か……あ、ドイツ軍の教官やってたんだっけ……どーでもいーけど
「なんつー理不尽」
「では、さっさと用意をしろ。もう既に準決勝、決勝戦は終了している」
声聞こえてたよね!?スルーですか!?ま……いっかぁ……世の中興味ないし。
「へいへい……あ、結局優勝は誰に?」
ま、いつでも聞けるから聞かんでも良いんだけど一応ね……
「織斑だ」
「そうですか……」
なんか、原作と変わってきてるなぁ……ま、どうでも良いか……
(来い黒鴇)
《おはようございます。祓様》(もう昼過ぎだからおはようだろ)
《祓様も私も寝ていたので》
(あっそ)
そんな短いやり取りの後、黒く黒い鋭く刺々しいISが展開される。
俺は不知の脚部をピットのカタパルトに接続しアリーナへと飛び立つ。
《敵IS『アイギス』は特殊装備ありの全距離対応型ISです。その武装は【神葬兵装『オリンポスシリーズ』】と名付けられ、多種多様な武器を搭載しています》
(あー……んあ?詰まるところ神の名前が付けられた武器?)
《神への侮辱も甚だしい武装ですよ。神を武器化したのに神葬兵装とかなめてるんでしようか?》
(神は神にしか殺せないってか?まぁ、良いや……始まるぞ)
ま、今回は黒鶯と黒鶴で良いかな……さっさと終わらせたいし……
※─※─※
「んー……?どうしたの?『有知(うち)』?」
無人ISのプロトタイプ『有知』が言葉を発するように振動していた。
「んー……んー……?あ……?もしかして?」
束はあるモニターを出す……そこに映るのは専用機『不知』を纏った祓が戦闘を始める瞬間だ。
「……そっかぁ……行きたいんだね?一緒に居たいんだね?彼と」
束は旅立つ子供を見守る親のような目で有知を見る。
その直後、有知を固定されていた拘束具群が外される。有知は自分の白い体と白い翼を大きく広げる。
「いってらっしゃい。私は子供の成長を……応援するよ?」
「La♪」
「……さぁ、無限の空に羽ばたいて?有知……親離れの時だ」
「La……LaLa♪」
束が秘密ラボの天井を開き空へ飛べるようにすると有知はそこから飛び立った。IS学園を目指して……
「……コア人格の表面化……か……これが全てのISに起こったら……彼女達は私をどうするかな……」
そんな束の声は無限に続く空間に溶けて誰にも聞こえない。
※─※─※
グギャン!ガギィッ!ジッ……ガギャッ!ギャリィッ!
俺は不斬不知を使用せず、通常の斬撃で戦闘をしていた。
不斬不知を使えば一瞬で終わる……だが、それでは詰まらない……多少の遊びを入れるのが面白いのだ。
「……や……ぁ……ッ!」
東屋が大炎剣『アプロディーテ』で何度も何度も斬ろうとするが俺は右手に持った黒鶯で受け流し、擦れ違うようにして俺は東屋と距離をとる。
「はぁ…………はぁ…………」
「ん、んー……んぁ?もうへばった?」
俺は東屋の攻撃を流すように斜めに構えていた黒鶯を下ろす。
《……弱いですね》
(……それはどういう意味だ)
《あのコアの適性は局所型で万能型ではないんですよ》
(適正距離は?)
《近接型です。万能型にしてる所為で近接能力ががた落ちしてますが……》
(あっそ……)
《まぁ、人間の考える事自体理解出来ません。束様は宇宙へ行くためにインフィニット・ストラトス(無限の成層圏)を作ったと言うのに……》
……まぁ、良いや。
《あ……未確認機捕捉……上空300メートル》
(………………)
《アンノウン落下中……落下地点はここ第3アリーナ中央です。アリーナエネルギーシールド接触まで2秒》
アリーナの上を見る……確かに何かが落ちてきている。
そして……それはアリーナのエネルギーシールドを貫通してアリーナ中央に降り立った。
直後、オープンチャネルで管制室から通信が入る。
『未確認のISが侵入!東屋くん、禊くんは急いでピットに戻ってください。未確認ISは教師陣が押さえます!』
「別に良いんですけど……ピットのシャッター閉まってるんですが」
『え……アリーナのロックレベル4!?そんな!?』
「教師陣が来るまで耐えて見せますよ」
俺がオープンチャネルを閉じると同時にプライベートチャネルが入る。
『もすもすー終日~?』
「誰ですか?」
『みんなのアイドル・篠ノ乃 束だよ~♪今、君の前に白いISが居ないかい?』
「ええ、居ますけど?」
『そのISがね?君の事を気に入ったみたいだから~一緒に居てあげてね~
あ、襲ってくるなら頭の部分にある制御装置を吹っ飛ばせば良いから~
た~だ~し!大上段からの切り下ろしは駄目だからね~じゃっまたねー!』
……切れた。そしてなんかISに気に入られたらしい。束辺りにも気に入られたっぽい?良く分からないけどさ。
んでなんか……あの白いISが突っ込んできた。頭の所吹っ飛ばせば良いんだっけ?
「不斬不知式――」
俺は黒鶯を腰の鞘に仕舞い、居合いの構えを取る。
そして、刀の間合いに入った瞬間、鞘から神速の居合い斬りを放つ。
「――丙壱ノ型(へいいちのかた)」
横一閃の居合い斬り。
そして、頭の部分が飛び白いISが一切動かなくなった瞬間、俺は気付けば白い何かが降る白い世界に居た。隣には身長が150ほどの黒い和服の少女……もとい、『不知』コア人格/【不知】を司る神『らぬか』が下神『黒鴇』が居た。
「黒鴇、ここは?」
「未確認IS……IS名称『有知』のコア人格【白鴇】が持っている固有空間(プライベートエリア)です。例を言うなら最近使わない祓様の精神空間です」
「なるほどな……」
その空間を見回していたとき、俺の正面にソレは現れた。
「……コア人格の登場です」
白い髪に白い瞳、そして白い和服を着た黒鴇と同じぐらいの背の少女が目の前に現れた。
「初めまして禊様……そして、お久しぶり、黒鴇」
「初めまして」
「お久しぶりです、白鴇。有知神様の相手はしなくて良いんですか?」
ふぅむ……白鴇も神様だったのか……
「『りねき』様の自由奔放さには疲れた。だから休暇を貰って来た……100万年程」
「ああ……私も『らぬか』様の他人奔放さ加減に疲れたので休暇貰いました……同じく150万年程でしたかね……?」
んーと?黒鴇が上神が『らぬか』で、白鴇の上神が『りねき』?ただの次の音か……なんか安直だな……神世界ってそんなものか?
そして休暇の期間がおかしいだろ……なんで万単位なのか……まぁ、確かに神からすれば万なんて一瞬なんだろうな……なんか残念。
「それで白鴇、一体何しに来たんですか?誰かの転生者に憑くようにしたんですか?」
黒鴇が白鴇に聞く。
「んー……まぁ、転生者に憑くのも良いかもしれないけど……残念なの多いからISとして禊様に……と思った訳で来てみた次第」
「はぁ……まぁ良いんじゃないですか?祓様も恐ろしく暇らしいですので」
「え……面白く無いの?」
勝手に言うなよ……まぁ、確かにそうではあるんだがな……
「至極面白くない……俺の神格化とか出来たらなぁ……」
「神格は年月を経て、長い時間生きる事である程度得られるよ?」
「ある程度……ね……」
「まぁ……とにかく、私が来たんだから暇にはしないわ。暇なら追い出して?」
「別に追い出したりはしねぇよ」
「じゃ、よろしくね」
そんな訳で、仲間(?)が増えたのです。神が仲間ってどうなんだろうなぁ……。
まもなく、登場人物設定を1話にまとめます