超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
多分、今までで1番長いサブタイですね。
後、今回はいつもと形式が違うのでご注意を。
それでは、 REDちゃんとヨメのラステイションイベント(ルウィー編) はじまります


REDちゃんとヨメのラステイションイベント(ルウィー編)

「REDちゃんと!」

 

「……アイエフの」

 

「ラブラブラステイションイベントコーナー!! って、どうしてちゃんと言ってくれないの!?」

 

 本番前にあれだけ練習したって言うのに、どうして合わせてくれないかな。

 せっかく振りつけから何まで考えて来たって言うのに。

 

「……正直、私がここに居る意味が分からないんだけど。それに、何かいつもと違う形式になってるし」

 

 ハイハイ、そう言うメタな発言はご法度だよ。

 しょうがないじゃん。

 夢人が居ないんだから、アタシ達でめちゃんこ盛り上げていかないとね。

 

「タイトルも微妙に違ってるし、そもそもラブラブってどう言う意味よ? とりあえず、さっさと終わらせて帰りましょう」

 

 もー、あいちゃんってばクールなんだから。

 これはもうアレだよね?

 収録を手早く済ませて2人の時間を作ろうぜ的な……

 

「はーい、そんな訳でまずは私の方から見ていくわよ――ラステイションイベント ルウィー編 始めるわよ」

 

「ちょっ、急に始めるのは!?」

 

 と、とりあえず、どうぞ!?

 

 

*     *     *

 

 

 持っていたディスクが光り始めた時点で私は自分の迂闊さを呪った。

 過去に2回、同じ光景を見ていたと言うのにどうして学習しなかったのかと。

 

 ――エネミーディスク。

 勝手に名付けたものだが、私はその脅威をプラネテューヌの魔窟とラステイションの工場で思い知っている。

 どう言う理屈か知らないが、ディスクが光るとモンスターが現れるのだ。

 本当によく分からないが、危険なことに変わりはない。

 そんなディスクと同じ現象を起こしていると言うことは、このディスクもエネミーディスクだったのだろう。

 

 だから、私は襲い掛かってくるであろうモンスターに備え……

 

「きゃあああああああ!?」

 

「うぇっぷ!?」

 

 突然悲鳴を上げながら現れた女性に、私はなすすべなく押し倒されてしまう。

 喧しい悲鳴のせいで耳の奥がキーンとなっている。

 しかも、倒れた時に頭を打ったせいか、すごく気持ち悪い。

 

「ここは!? えっ、嘘!? まさか外に出れたの!?」

 

 ぐわんぐわんと揺れる視界に映るのは、どう考えてもモンスターでない。

 言葉を話している時点で人間だと分かっているのだが、私は気持ち悪さで満足に声もかけられない。

 と言うより、人の上で暴れないで欲しい。

 余計に気持ち悪くなってしまうではないか。

 

「や、やったー!? ようやく外に出られましたー!?」

 

「……えっとさ、そろそろいい?」

 

「えっ、誰ですか!? い、いつの間にそんな所に!?」

 

「いや、さっきから待ってたんだけど……それよりも、早く退いてあげてくれない? あい姉ちゃん、顔色悪くなってるし」

 

「あっ――わわわわわっ!? ご、ごごごごごめんなさーい!?」

 

 リュータのおかげで、ようやく腹の上から重いものがなくなった。

 額を押さえながら上体を起こすと、目の前がチカチカと光っているような気がする。

 

「あい姉ちゃん、大丈夫?」

 

「ほ、本当にごめんなさい!? 私、全然気がつかなくて……」

 

「……ごめん、今ちょっと話しかけないで」

 

 気遣ってくるリュータと謝ってくる女性を手で制し、私は大きく息を吸う。

 気持ち悪さも一緒に吐き出すように、大きく息を吐くと少しは落ち着くことができた。

 改めて、私は目の前に居る女性へと顔を向ける。

 

「あーまー、色々と言いたいことや聞きたいことはあるけどさ、とりあえずあなたは誰?」

 

「は、はい。私、女神ホワイトハート様のメイドをしておりますフィナンシェと申す者です! この度は多大な迷惑をかけてしまい、誠に申し訳なく思って……」

 

「そう言うのは別にいいから。フィナンシェ、でいいのよね?」

 

「は、はい、そうです」

 

 女性――フィナンシェが恐縮して頭を下げようとするのをやめさせ、私は名前を確認する。

 まだ本調子でないのかと思っていたが、私の耳は至極正常だったらしい。

 その事実に頭を抱えたくなる。

 

「次に聞きたいんだけど、どうしてディスクの中に入ってたの? と言うか、何で出てきたの?」

 

「ディスクの中? 何を言っているんですか? 私、さっきまで変な部屋に居たんですけど……」

 

「いやいや、メイドの姉ちゃんがディスクから出てきたの、オレも見てたから」

 

「……本当、ですか?」

 

 リュータの言葉を聞いて、フィナンシェは困惑していた顔の頬が引きつってしまう。

 確かに、ディスクの中から出たなんて言われたら、そんな表情になっても仕方がない。

 私だって、きっと信じられないだろう。

 

「信じられないかもしれないけど、ディスクから出てきたことは事実よ。ところで、ディスクの中に入る前――あなたの言い方をすれば、変な部屋に入れられる前のことは覚えてる?」

 

「それは――って、こんなことをしている場合じゃなかったんです!? 早くあのことをブラン様に伝えないと!?」

 

 質問を変えて尋ねると、フィナンシェは急に慌てだした。

 バッと立ち上がって辺りを見渡しだす。

 

「って、ここどこなんですかー!? 工場ばっかりじゃないですか!?」

 

「そりゃ、ラステイションだもん。当たり前じゃんよ」

 

「ラステイション!? えっ、ルウィーじゃなかったんですか!?」

 

「……今更気付いたのね」

 

 少し考えれば分かることも、リュータに指摘されるまで気付かなかったフィナンシェは相当戸惑っていたのだろう。

 でも、少しくらいは気付いて欲しかった。

 ラステイションとルウィーの風景は明らかに違うのに。

 

「とりあえず、落ち着きなさいよ。何があったのか、順に話してみなさい」

 

「は、はい――実は2週間くらい前のことなんですが、私見てしまったんです。教会の近くの倉庫に変なロボットみたいなものがいっぱい置いてあるのを」

 

 自分で振った話題だが、まさか本当に話してくれるとは思わなかった。

 いや、フィナンシェが落ち着いてくれるなら別にいいのかな?

 

「それで急いでブラン様に報告しに行こうとした時、後ろの方からビカーッて何かが光ったと思ったら気を失ってしまって……それで気付いた時には変な部屋に閉じ込められてたんです」

 

 ビカーッて光については分からないけど、フィナンシェがディスクの中に入れられたのはそのタイミングで間違いないわね。

 目的は口封じで間違いないわ。

 でも、いったい誰がそんなことを……

 

「なあ、そのロボットみたいなのって、どんなのだったんだ?」

 

「え、えっと、暗くてよく分からなかったけど、丸いサッカーボールみたいのや戦車みたいなのがあったような……そう! なんか蛇っぽい尻尾をしていたロボットもありました! 斧とか持ってて本当に怖かったんですよ!」

 

 フィナンシェの説明を聞いて、私は嫌な予感がしてきた。

 私はそう言うロボットを見た気がする。

 ごく最近、このラステイションで。

 

「……あい姉ちゃん、メイドの姉ちゃんが言っているのって、アヴニールのロボットなんじゃないの?」

 

「……言わないで。本当にやめて」

 

 認めたくない現実から思いっきり逃避しているのに、どうしてこう言う時だけ頭を働かせるのかしら。

 リュータの馬鹿に言われなくても、そんなことは私にも分かってる。

 だから、気付かない振りをしてスルーしようとしていたのに……!

 

「ちょっと、本当に悲鳴を聞いたんでしょうね?」

 

「ええ、間違いなくこちらから――って、あいちゃん!? それにフィナンシェさんまで どうして!?」

 

 だけど、私の運命は常に悪い方へと流れていくらしい。

 さっきまで戦っていたはずのブラックハート様とグリーンハート様がいつの間にか私達の方へとやって来ていた。

 

「ど、どうしてリーンボックスの女神様が私の名前を知っているんですか!?」

 

「何を言っているんですの? ラステイションに渡る時に見送りにまで来てくれたじゃないですか」

 

 慌てふためくフィナンシェと眉をひそめるグリーンハート様の会話は噛み合っていなかった。

 フィナンシェは知らなくてグリーンハート様は知っている……まるでもう1人フィナンシェが居るみたいな話し振りな気がする。

 

「悪いんだけど、何が起こったのか説明してくれないかしら?」

 

「……はい」

 

 そんな2人の様子をいぶかしみながら、ブラックハート様は私に近寄って尋ねてきた。

 この時、私はもう諦めていた。

 また厄介なことに巻き込まれるのが確定したと……

 

 

*     *     *

 

 

「――やはり、あなた方が犯人でしたか!!」

 

 先に制御ルームに居たアヴニールの社長さんと秘書さんを、ガナッシュは忌々しそうに睨みつけた。

 状況はよく分からないけど、多分今もうるさく鳴り響いてる警報装置とかは社長さん達の仕業なんだろう。

 

「ふみゅ~、あたしもうゴ~ルしてもいいんだよね~? がくっ」

 

「ちょ、ちょっとプルルートさん!? 急に寄りかからないで!?」

 

 ガナッシュが扉の前で陣取っているせいで、後ろの方でプルルートとナナハが大変っぽい声だけが聞こえてくる。

 その内容を聞いて、ちょっと羨ましいと思ったのは仕方がないことだろう。

 アタシもそっちに居れば、偶然を装ってなっちゃんに寄りかかれたのに。

 

「犯人、か。お前がそれを言える立場なのか?」

 

「何を言っているんですか!! あなたの方こそ、何を考えて……」

 

「我が社の製品を私に黙ってルウィーへ横流ししていたこと、知らぬとは言わせんぞ?」

 

「っ、それは!?」

 

 あ、あれー?

 どうしてアタシ、こんなおじさんと眼鏡のシリアスな場面のキャラクターになっちゃってるの?

 アタシ、今からでも廊下でなっちゃんやぷるるんとイチャイチャしに行きたいんですけど……

 

「……確かに、その通りです。ですが、それは列記としたビジネスです。隠していたことは謝罪します。降格でもクビでも何でもしてくれて構いません」

 

 あっ、ダメっぽい。

 こんな重たい感じのシーンで空気を読まずに発言する勇気がアタシには足りない。

 ガナッシュは入り口の前で両手を強く握りしめて立ち尽くしたまま動かない。

 

「ですが、私からも言わせてもらいます!! 社長!! あなたはどうしてあんなものを作ったのですか!!」

 

「あんなものだと? いったい何のことだ?」

 

「とぼけないでいただきたい!! キラーマシンを始めとした破壊兵器のことです!!」

 

 おおっと、言われっぱなしだったガナッシュ選手がここに来て社長さんへと攻勢に出たぞ!

 これに対してディフェンスの社長さんはどう出る?

 

「あの兵器はお前が開発を進めていたはずだろ? それなのに、どうして私が関係してくるのだ?」

 

「今更そんなことを言って責任を逃れようとするのですか!! 確かに、あなたの言う通りキラーマシンは私が開発計画を立ち上げました!! ――しかし、本来のキラーマシンの設計からあなたが今の形に変えたのではありませんか!!」

 

 スルーしようとする社長さんを、ガナッシュ選手は逃がさない!

 猛然とタックルをするかのように噛みついていったー!

 

 ……って、もうこれやめよ。

 なんか1人でやってて虚しくなってきちゃった。

 

「そもそもキラーマシンはあんな破壊兵器ではなかった!! それを変えたのは社長、あなたの方でしょ!!」

 

「……確かに、私がキラーマシンの武装化を進めたのは事実だ。しかし、それは今後のラステイション……いや、ゲイムギョウ界にとっても必要だと判断したためだ」

 

「詭弁はよしてもらいたい!! あなたのその独善的な考えでラステイションの街は火の海になったんですよ!! 本当に理解しているんですか!!」

 

「そうだ。全ての責任は私にある」

 

 あ、あれ? アタシの気のせいかな?

 何か変な空気になって来た気がするんだけど。

 ガナッシュも社長さんも妙に意味あり気な台詞を言っているし。

 

「私は近い将来、ラステイションの発展のためにはキラーマシンの存在は必要不可欠だと考えていた。郊外へプラントを広げるためだけでなく、モンスターから街を守るための自衛手段にもなるとな」

 

「それは私にも理解できます。しかし、アレは明らかに過剰戦力です。だから、私は進言したはずです!! キラーマシンの非武装化――いえ、元の作業用マシーンとして再設計されるべきだと!!」

 

 難しい話しについていけなくなったアタシは、こっそりと秘書さんに近づく。

 置いてけぼりをくらったせいで寂しいのもあるが、ここで秘書さんとコミュニケーションを取ってヨメポイントを稼いでおこうと考えたからだ。

 

「ちょ、ちょーっとお話しいいですか?」

 

「何だ?」

 

「おー、思った以上にクールな反応。と言うより、冷たい感じ? まあ、それはともかく、2人が何を言っているのか分からなくて……」

 

「なるほどな。私に説明してもらおうと考えたわけか」

 

 クールなだけでなく理解力まであるなんて、さすが大人の女性って感じがムンムンしているだけはあるね。

 あいちゃんから可愛さを抜いてカッコよさをプラスしたらこんな感じになるのかな?

 

「それで何を聞きたいんだ?」

 

「えーっと、言い合ってるみたいなんだけど、結局どっちが悪者なの?」

 

 アタシは単刀直入ズバリと秘書さんに聞いてみた。

 正直、アタシはシアン達のこともあってガナッシュのことも社長さんのことも悪い奴だと思っていた。

 でも、キラーマシンが暴れた後にシアン達の前にやって来た社長さんやフィナンシェから聞いたガナッシュの話を聞いて、2人の印象が揺らいでしまったのである。

 

「難しい質問だな。貴様らの物差しで言えば、どちらも正しく間違ってもいたとでも言えばいいか」

 

 言い合いを続ける2人を見つめたまま、秘書さんは曖昧な答えを返してきた。

 よく分からないアタシが首を傾げていると、秘書さんは言葉を続ける。

 

「元々、あのキラーマシンと言う兵器は足場が不安定な場所での稼働を前提とした作業用マシーンとして設計されたものだった。間違っても斧やレーザー光線などは搭載される予定などなかった。そうだな、純粋な工事用ロボットだったと思ってくれればいい」

 

「へえ、あのキラーマシンが元は工事用ロボットだったなんて思わなかった――って、えええええ!?」

 

 秘書さんの話を聞いて、アタシは驚きを隠すことができなかった。

 あんな禍々しい死神を思わせるようなデザインのくせして工事用ロボットだったなんて絶対に信じられない。

 

「驚いているところ悪いが、話を続けるぞ――そのキラーマシンを設計から量産の計画や運用方法までを考えたのが、今一方的に社長へと噛みついているガナッシュだ。まあ、設計自体は奴が偶然発見したワンダーのデータから盗み見たものだったがな」

 

「ちょ、ちょっと待って。それじゃ、ガナッシュって本当はいい奴だったの?」

 

「いや、そうとも言い切れん。なにせ、ラステイションの街を焼いた原因を作ったキラーマシンを暴れさせたのがガナッシュ本人だからな」

 

 もー、全然意味が分からない!?

 ガナッシュはキラーマシンが作業用マシーンじゃなくて、兵器になったことを社長さんに怒っているんだよね?

 だったら、どうしてそのキラーマシンで街を破壊するかな?

 何それ、本当意味分からないよ!?

 

「街の被害はガナッシュも想定外だったのだろう。奴は奴なりに街の復興に力を入れていたしな。奴はあくまで兵器化したキラーマシンの危険性を証明しようとしただけなのかも知れん」

 

「でも、それで街を破壊するなんて……」

 

「ああ、確かにやり過ぎた。だからこそ、奴はキラーマシンの非武装化を叫んでいるのだよ――自分の身の潔白と共にな」

 

「へっ?」

 

 キョトンとするアタシを置いて、秘書さんは社長さんの方へと近寄る。

 

「社長、そろそろ……」

 

「そうだったな。ガナッシュ、これだけは正直に答えてくれ。この工場を維持していたのはお前じゃないんだな?」

 

「当たり前じゃないですか!! どうして私がそんなことを!!」

 

「……やはり、そうか」

 

 ガナッシュの怒声を聞くと、社長さんは苦虫を噛み潰したかのように顔を歪めた。

 何を納得したのか分からないけど、とても辛そうに見える。

 

「なら、どうしてこの工場が稼働していると知った?」

 

「部下から報告が上がったんですよ!! あなた達が不審な動きをしていると、だから私は……」

 

「その部下は今どうしている? いや、どこに居るんだ?」

 

「――そんなことはどうだっていい!!」

 

 質問を続ける社長さんを遮り、ガナッシュは怒りのまま近くの壁を叩いた。

 ギリッと歯を擦り合わせて、眼鏡の奥の瞳も吊り上っている。

 

「悪いのは全部あなたじゃないですか!! どうして私が責められるんですか!! 私のキラーマシンを勝手に兵器にしたのも、戦車や人型のロボット兵器なんてものを造ろうとしたのもあなただ!!」

 

「……そうだ。私が強い兵器を造り出そうとしたから、多くの者達や街に迷惑をかけてしまった。お前の言う通り、本当に責められるべきは私自身だろう」

 

「そう言って、また黙ったままのつもりですか!! 責任がどうだとか言いながら、裏ではまだ兵器の量産を続けているくせに!!」

 

 ……何だか2人の会話が噛み合ってないような気がしてきた。

 アタシの気のせいかもしれないけど、社長さんはわざとガナッシュの非難を浴びようとしているように見える。

 

「国防や自衛だと綺麗な言葉で言い繕っても、結局あなたがしたことは無駄に破壊兵器を増やしただけじゃないですか!! 博覧会のこともそうです!! あなたは無理やりテーマを武器や兵器に限定し、今よりもラステイションを混乱させ……」

 

「ごめんっ!!」

 

「――へぶっ!?」

 

 アタシは暴走しかけていたガナッシュの頬に、思いっきりヨーヨーをぶつけてやった。

 すると、ガナッシュは面白いように横に吹っ飛び、床に倒れてしまう。

 

「い、いったい何を……」

 

「それはこっちの台詞だよ!! ガナッシュ熱くなりすぎて、全然社長さんの話聞いてなかったじゃん!!」

 

 あのままじゃ、絶対に悪いことが起こってた。

 アタシの中のフラグセンサーがビンビンに反応してたもん。

 

「ってか、アタシ達に助けを頼んでおいて背景にするとは何事だ!! アタシ、全然話分かんなかったんだけど!!」

 

「えっ、いや、それは荒事になるかもしれないからと……」

 

「つまり、アタシ達は賑やかし要員か!! ますます許さん!!」

 

「ちょっ、痛いですってば!? そんな蹴らないでください!?」

 

 これは決して八つ当たりなんかじゃない。

 鬱憤晴らしでもない。

 アタシ達を置いてけぼりにして勝手に盛り上がっていたガナッシュに対する正当な怒りだー!!

 

「わぁ~、楽しそう~! あたしもやるぅ~!」

 

「おお、いいね! さすがぷるるん! ノリがいいよ!」

 

「や、やめてください!? 本当にやめてください!? わ、私、まだ死にたくないんです!?」

 

 復活したらしいぷるるんも制裁に参加すると、ガナッシュは大袈裟に悲鳴を上げた。

 まったく情けない。

 女の子2人に蹴られたぐらいで死ぬわけないのに。

 

「あれ、マジック? どうしてここに?」

 

「ナナハか。貴様も一緒なら、既に奴とは合流しているのだな?」

 

「う、うん。だけど、その前にこの状況は何なの? いや、廊下で聞いてたから少しは分かるけど……」

 

「何、そこの馬鹿がくだらない言い争いを止めただけだ」

 

 あれ、なっちゃんと秘書さんはお知り合いだったのかな?

 随分と親しそうに話をしているような……後、何気にアタシのことを馬鹿呼ばわりしているし。

 

「とりあえず、外に居る奴とも合流して話をするべきだろうな。社長もそれで構いませんね?」

 

「……ああ。彼女達も当事者のようだし、聞いてもらった方がよいだろう」

 

 でもでも、これがフラグのきっかけって言うのはベタな始まり方だけど全然ありだよね。

 無関心って言うのが、フラグ管理で1番の敵だもん。

 まずは馬鹿と罵られようとも、いずれは……って、いつの間にか話まとまっちゃった感じ?

 

「ま、待ってください!? 私はまだ納得して……」

 

「うるさい人は~、え~いっ!」

 

「――ごぼっ!?」

 

 蒸し返そうとするガナッシュの鳩尾付近を、ぷるるんが抉り込むように蹴り抜いた。

 ぷるるんって、意外と笑顔のままえげつないこと普通にしちゃうんだね。

 そこに痺れる憧れ――っ、あれ? ぷるるんの顔見てたら、急に背筋が凍ったような気がするんだけど。

 き、気のせい、だよね?

 

 

*     *     *

 

 

「――てな訳で、この後社長さん達と一緒に外に出たアタシ達を待っていたのが、何とリーンボックスで姿を消したあいちゃんだったんだよね! いやもう、アタシ運命感じちゃったなー!」

 

「嫌な運命もあったもんじゃないわね。どこかで本格的にお払いしてきた方がいいかしら?」

 

 もー、あいちゃんってば相変わらずツンデレ対応なんだから。

 そんな塩対応ばっかりされていると、アタシも余計にデレさせるために燃えてきちゃうよ。

 

「それに、重要なのは私じゃなくてフィナンシェの方でしょうが。ほら、彼女の方が重要人物っぽいし」

 

「それはそうだけど、アタシとしてはあいちゃんにまた会えてスッゴク嬉しかったんだよ。だって、何も言わずにいなくなっちゃんだもん。アタシ達、一緒に冒険した仲だって言うのにさー」

 

「……悪かったわよ。でも、それにはちゃんと理由があるの」

 

 そんなプイッと顔を横に向けないでよ。

 アタシだって、そんな嫌味で言っているわけじゃないのになあ。

 もー、あいちゃんも気難しい年頃なんだから。

 

「それよりもさ、ちゃんと見てくれた? アタシの大活躍! 話がまとまったのもアタシのおかげって感じだったでしょ?」

 

「どこがよ。アンタはただ逆ギレして話を濁しただけじゃない。本当の話し合いはこれからでしょうが」

 

 そう言う憂鬱になりそうなことは言わないで欲しかったなあ。

 なんかまた難しい話ばかりが続いて背景になりそうだし。

 どうせ話し合うんだったら、アタシにも分かるレベルで最初から説明してくれてもいいと思うんだ。

 

「とにかく、また厄介な問題に巻き込まれたわよね。本当、アンタ達に出会ってから災難続きよ」

 

「またまたー、そんなこと言っちゃって本当はアタシ達と一緒に居ることが嬉しかったりするんじゃ……」

 

「――じゃあ、今回はここで終わりね。それじゃ、さようなら」

 

 って、本当に帰ろうとしないでよ!?

 いくらあいちゃんが照れ屋だからって、アタシのハートも傷つかないわけじゃないんだからね!?

 

 そ、それじゃ、REDちゃんとヨメのラブラブラステイションイベントでした!?

 次回もまたよろしく――って、あいちゃん置いてかないでってば!?




と言う訳で、今回は以上!
この後何が起こったのかは次章へと続きます。
まあ、次回はその前に超次元編のフェル達の話ですが。
それでは、 次回 「クリスティン漂流記(超次元編)」 をお楽しみに!
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