超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して 作:ホタチ丸
スマフォの生活にも慣れてきました。
でも、たまにガラケーのボタン操作が懐かしいと思ってしまう。
それでは、 罪の在り処 はじまります
日も昇り切っていない早朝。
ルウィーの教会周辺で動く影が多数あった。
「――準備はいいわね?」
その内の1人、声からして女性が確認するように全員の顔を見渡す。
返事の代わりに頷く全員を見て、女性はにやりと口角を吊り上げる。
「それじゃ、気付かれる前に作戦を開始するわ。特に――」
「もー、分かってるってば。ただわたしの主人公オーラで気付かれちゃうかもしれないけど、その時は……」
「全力で見捨てるわ。そうなった場合は――様達に任せます」
「って、酷くない!? ――のわたしへの対応についての改善要求を提案するよ!?」
ふざけたことを言っている者もいるが、誰も咎めようとしない。
その人物にとっては平常運転だと分かっているからだ。
むしろ、全体の緊張が程良くほぐれ、中には笑みを浮かべている者もいる。
「はいはい、――は静かにするですよ」
「そうだな。貴様の声は喧しくて耳に響くからな」
「こっちも酷い!? あれ、わたしって何時の間にこんな弄られキャラに転向しちゃったの!?」
「……本当、緊張感が長続きしないわね」
そんないつもの調子でいる影を見つめ、肩をすくめてボソリと呟く者がいた。
半目になって呆れているようにも見えるが、口元はわずかに緩んでいる。
「でも、こんな空気でもいいんじゃないでしょうか?」
「……そうね。ガチガチに緊張しているよりはずっといいわよね」
「はい! それにわたし、皆さんと一緒だと負ける気がしないんです!」
「それ、ふら……いえ、何でもないわ」
「ガウ?」
「――はいはい、そろそろ無駄話はやめてちょうだい」
最初に声をかけた女性が合図を出すと、全員がそろって黙りだす。
「では、作戦を開始します――頼みます、ホワイトハート様……それと、ネプテューヌ」
「ちょっ、そのおまけみたいな言い方については後で文句を言わせてもらうけど、任せといてよ。ねえ、ブラン?」
「ええ、必ず成功させてみせるわ」
強い決意を込めた瞳で教会を見据えながら、ブランは駆け出した。
後を追うように続くネプテューヌを見送ると、女性は残ったメンバーに言う。
「さあ、出来るだけ派手にいかせてもらいましょう!!」
* * *
「お、おい、何だアレ?」
「えっ、飛んでる?」
巡回中だったルウィーの教会職員が異変に気付けたのは、その妙な駆動音が聞こえてきたからだ。
魔王派騒動があったことで警戒を強めるようにホワイトハート……マジェコンヌからの指示を受けて見回りをしている最中であった。
何事もなく帰れると気を緩めていた職員達の前に、“ソイツ”は白い煙を吐き出しながら飛んでいく。
「こっちに来るぞ!?」
「いや、何だよアレ!?」
“ソイツ”は人の形をしているが、明らかに空を飛びながら移動している。
最初は他の国の女神かと思っていた職員達だが、すぐに間違いだと気付いた。
確かに“ソイツ”はプロセッサユニットのような翼を身に纏って飛んでいるようにも見える。
しかし、“ソイツ”は明らかに成人男性よりも大きく、あまりにもシルエットがゴツゴツと角ばっていた。
〔うおおおおおお!!〕
どこからか機械音のような雄叫びが響く。
職員達はそれが“ソイツ”から発せられていることをすぐに察することができた。
だが、驚き固まっている彼らはすぐに動くことができない。
〔すまない!! ハアッ!!〕
『っ!?』
“ソイツ”は謝罪の言葉を口にしながら、職員達の手前に向かって拳を振り下ろした。
轟音とともに粉塵が巻き起こり、職員達の聴覚と視覚を奪ってしまう。
「い、いったいこれは……」
「――ごめんね」
「っ、だ――っ!?」
突然の事態にうろたえる職員の背後から女性の声が聞こえてきた。
職員は慌てて振り向こうとしたが、首に強烈な手刀をくらってしまい意識を奪われてしまう。
「ふぅ、これで一先ずはオーケーかな?」
「そうだね」
粉塵が治まると、そこには倒れた職員達と2人の女性、加えて青いメタリックカラーのロボット――ファルコム、サイバーコネクトツー、アーマーモードのワンダーが立っていた。
「でも、本当によかったの? サイバーコネクトツーは無理に付き合わなくても……」
「気にしないでいいよ。私も色々とお世話になっているし、事情もちゃんと聞いてるからさ」
申し訳なさそうな顔をするファルコムに、ニカッと笑みを見せるサイバーコネクトツー。
迷ったり後悔しているようには、まったく見えない。
「何より、助けを求められたら応えるのが当たり前だもの。むしろ、遠慮なんかされたら私の方が困っちゃうよ」
その宣言にはサイバーコネクトツーの性格がよく出ていた。
短い付き合いではあるが、ファルコムもそれを察して頬を緩ませる。
「うん、ありがとう。それじゃ、もうひと暴れしてこようか」
「うん!」
「――ま、待ってください!?」
いつまでも休んでいられないと、ファルコムとサイバーコネクトツーは駆け出そうとした。
しかし、そんな2人を呼び止める声が聞こえてくる。
悲鳴にも近いその声の出所はワンダーの中。
「も、もう少し……や、休ませて……くれませんか?」
〔むっ、すまない。出来るだけ衝撃は抑えたつもりだったのだが〕
「め、目が回って……気持ち悪いですぅ……」
か細い声の懇願に、ファルコムとサイバーコネクトツーは顔を見合わせて苦笑してしまう。
「だから、無理にあたし達に付き合わなくてもよかったんだよ?」
「そうそう。後でリュータ達と一緒に合流しても……」
「だ、ダメですぅ……元はと言えば、私の不注意でこんなことになったんですから……うぷっ」
〔責任感が強いことはいいのだが、そのまま吐かないでもらえないか? さすがに臭うのは勘弁して欲しいぞ〕
ワンダーの中に居るのは夢人ではない。
自分からファルコム達と一緒に行動したいと志願した者がいたのである。
「だ、大丈夫ですぅ……こんなの気合で……うっ、ご、ごめんなさい……やっぱり、無理かも……」
〔お、おい、待て!? 今すぐ解除するから、少し待ってくれ!?〕
「ワンダー、早くしないと!?」
〔分かってる!?〕
消え入りそうな声に危険な予感を覚え、ワンダーは慌ててアーマーモードを解除した。
寒い街の空気を白く染める蒸気の噴出と共に、ワンダーの中から顔色を悪くしたメイド服姿の少女が現れる。
――そう、ワンダーを身に纏っていたのはフィナンシェだったのである。
「す、すみません……お手洗いに連れてって下さ……」
「あーもー、いいからしゃべらないで!?」
今にも口の中から色々と吐き出してしまいそうな顔をするフィナンシェに、サイバーコネクトツーはすぐさま駆け寄り抱きかかえる。
「ごめん!? ちょっと行ってくるから、後はよろしくね!?」
「分かったから、早く連れてってあげて」
「うん!? また後でね!?」
フィナンシェを連れて駆け出していくサイバーコネクトツーを見送るファルコムとワンダーは妙に居た堪れない気分になっていた。
特に、ワンダーは自分の加速のせいでフィナンシェがああなってしまったので、責任も感じてしまう。
〔……すまない。私がもう少し安全に配慮していれば、フィナンシェもああなることはなかったのだが〕
「……うん、それは仕方ないんじゃないかな? あまり気にしないでいいと思うよ」
ファルコムの慰めの言葉にも力はない。
正直、ファルコムも今のワンダーにかける言葉が見つからないからだ。
「うん、ちょっとハプニングがあったけど、早く次の場所に行こうか」
〔そうだな〕
話題を変えつつ、ファルコムはバイクに戻ったワンダーに跨って次の場所に移動する。
少しでもネプテューヌ達の行動が上手くいくように、ファルコム達は動かなければいけないのだから。
* * *
「――思い切って、明日とかに奇襲しかけちゃえばいいんじゃないの?」
時間は遡ること、ネプテューヌ達がNギアを介して作戦会議を行っていた時である。
ノワールから意見を言うように促されたネプテューヌが発した言葉に、全員が目を丸くしてしまった。
〔はい? あなた、今までの話聞いてなかったの?〕
1番最初に正気を取り戻したのは、不本意ながら会議の中心に居たノワールであった。
ノワールはいぶかしげな顔でネプテューヌの正気を疑う。
「もちろん、聞いてたよ。ノワールがボッチで、空気が読めなくて、そんでもって我がままだって話でしょ?」
〔……あ、あなたはどうしてそういちいちいちいち余計なことを喋らなきゃいられないのかしらねえ?〕
「じょ、冗談だよ!? 冗談だってば!?」
吊り上がった口の端をヒクヒクとさせながら笑うノワールを見て、ネプテューヌもさすがに慌てた。
本気で怒っていることを察し、真面目に説明しようと口を開く。
「いや、だってノワールもピー子やネプギア達を放っておけないでしょ? でも、ブランやベールみたいに待ってられないから反対しているって感じじゃん?」
〔まあ、そうね〕
ざっくりと自らの心情をネプテューヌに言い当てられ、ノワールは渋々と肯定した。
会話が進むのは喜ばしいはずなのに、ノワールの心にあるのはネプテューヌに見透かされたことに対する何とも言えない敗北感だけだった。
そんな気持ちがノワールの眉間に深い皺を刻む。
「だから――って、どうしてそんな顔をしているの?」
〔……気にしなくていいわ。それで?〕
「そう? まあ、いいか……だから、シンの言う通りに大人しく3日待たずにルウィーもピー子達も救いだせばいいんじゃないかなって思うわけだよ」
ネプテューヌの提案は、ノワールの考えに近かった。
ノワール自身、1人で行動したにしても人質の安全確保を優先するつもりでいたのである。
ある意味で、ネプテューヌはノワールの考えを代弁したとも言えるだろう。
「って、だから何でそんな怖い顔でわたしを睨んでいるの!? わたし、今は変なこと言ってないでしょ!?」
〔……別に睨んでなんかないわよ。ただ、あなたがムカつくだけだし〕
「理不尽!?」
だが、よりにもよって今までふざけていたネプテューヌと同意見だと言うことにノワールは不満を抑えきれなかった。
八つ当たり気味にネプテューヌを睨んでいたが、気持ちを切り替えるように大きな息を吐き出す。
〔ハア、これで2対2になったわけだけど、本当どうするのよ?〕
〔わたくしは先ほども言った通り、あまり賭けに出るべきではないと思いますわ〕
「わたしもよ。下手をすれば人質の救出どころか、わたし達でさえマジェコンヌに負けるかもしれないわ」
「うーわ、見事に別れちゃったねえ」
4者共に意見を変えようとせず、作戦会議は平行線になってしまった。
どちらにもメリット、それにデメリットがあることは4人とも分かっている。
だからこそ、どちらが最善なのかを決められないのだ。
「じゃあ、どうしようか? いっその事、4人でジャンケンでもしてみる? 勝った人の意見を聞くとかで」
〔そんな適当なことで決められるわけないじゃない〕
「でも、このままじゃ時間だけが過ぎてしまうわ」
〔まあ、ある意味で最終手段ですわよね。ですが、さすがにジャンケンで決めると言うのは……〕
〔――はいは~い!! あたしにいい考えがありま~す!!〕
まとまらない4人の会話に、元気よく混ざろうとしたのはプルルートであった。
本当にいい考えがあるのか、いつも以上に笑顔が輝いている。
「はい、じゃあぷるるんの意見を聞いてみようか?」
〔えっとね~、そもそもあたしもねぷちゃんやノワールちゃんと一緒だから、3対2で決まってたんだよぉ〕
「うん? ごめんなさい、ちょっと意味が分からないわ」
突然会話に混ざりだしたどころか、当然のように自分の意見を票数に入れるプルルートにブランは混乱してしまう。
それもそのはず、今は女神だけで話を進めていたのだから。
〔だから~、あたしもねぷちゃん達と同じだから……〕
「いや、そうじゃなくて、どうしてあなたが普通に意見しているのかを聞いているんだけど?」
〔ほえ? だってぇ、あたしも女神だし~〕
「……はあ?」
会話が成立していないことはもちろん、プルルートの女神発言にブランは思わず疑問の声を漏らしてしまった。
すると、その気持ちが分かると言わんばかりにノワールが頷きながら口を開く。
〔そうよね。それが普通の反応よね。とりあえず、この子のことは無視して構わないわ〕
〔え~!? 何でなの~!?〕
〔だから、そう言う冗談はやめなさいって前に言ったじゃないの! 今は遊んでいるわけじゃないんだから、下がってなさい!〕
ノワールの言葉にショックを受けるプルルート。
怒鳴るノワールに押されて画面から消えるプルルートを見て、ブランは何を言えばいいのか分からなくなってしまう。
「……えっと、それじゃ話を戻していいのよね?」
〔ええ。ですが、その前にわたくしも皆さんに聞いておきたいことがありますわ〕
困惑しながらも話を戻そうとするブランを遮ったのは、真剣な顔をしたベールだった。
ベールはノワール達を見回し、最後に真っ直ぐに画面の向こうに居るネプテューヌ達を見つめる。
〔皆さんはどうお考えですか? わたくし達のようにピーシェちゃん達の安全を考えて3日待つか、それともシンさんが張り巡らしているであろう罠を回避するためにすぐに仕掛けるのか……どちらがよろしいと思いますか?〕
問いかけられた内容に、コンパ達は考えこむ。
しかし、そんな中で最初に迷いなく言い切る者がいた。
「当然、すぐに仕掛けるべきですわ」
その人物は、何を隠そうミモザであった。
ベールを信仰している彼女が、真逆の意見を迷いなく言い切ったのである。
「自ら動かなければ、何も変わらないし変えられもしませんわ。惰性で問題を先延ばしにするのなら、ブラックハート様の仰る通りに今すぐにでも仕掛けるべきです」
「……あ、あのぅ、それ言ったのわたしなんだけどなぁ?」
「ですから、グリーンハート様とホワイトハート様のご意見には賛同できません」
「って、やっぱり無視された!?」
ネプテューヌの茶々にも反応せず、ミモザは強く自分の意見を言い放つ。
すると、その啖呵を後ろで聞いていたMAGES.が口元をわずかに綻ばせる。
「確かに問題の先送りは悪手だろう。私も強行策を取るべきだと思うぞ」
「で、でも、それじゃロム達が……」
〔――そんな心配しなくても大丈夫だって!〕
うろたえながら心配を口にするブランを止めたのは、画面の向こうで笑うREDだった。
〔どんな罠が待ち構えていようとも、このREDちゃん! ヨメを助けるためなら、例え火のなか水のなか草のなか森のなか教会のなかだって助けに行っちゃうよ!〕
〔うん、それにロムだって守られるだけの子どもじゃないよ。私達が動けば、ロムだって自分から動いてくれると思う〕
RED、続いてナナハも強行策に賛成のようである。
それでも考えを変えられないブランは画面から目を逸らしてしまう。
だが、そこに居たのはRED達と同じ目をしたコンパと鉄拳であった。
「ブランさん、わたしもねぷねぷや皆と同じです。皆でロムちゃんやギアちゃん達を助けて、ルウィーも取り戻すです」
「微力ながら、わたしも精一杯お手伝いさせて頂きます。だから……」
「だからって、わたしは……」
〔――ブラン様〕
ブランは考えが揺らぐのを自覚しながらも、それを口に出すことはできなかった。
言い淀むように俯くブランに、画面の向こうからフィナンシェが声をかける。
〔私はブラン様の決定に従います。ですが、本当にブラン様はそれでいいんですか?〕
「フィナンシェ……」
〔あなたがルウィーの女神として責任を感じていることは分かります。囚われている人達の安全を第一に考えて、ブラックハート様にあらぬ疑いをかけられても意見を曲げないことはあなたの従者であることを改めて誇りに思えるほどです――しかし、だからこそ私はあなたが濡れ衣をかけられることが我慢できません!〕
胸元でギュッと手を握りしめながら、フィナンシェは強くブランに訴えた。
高ぶる感情のせいで、うっすらと涙も浮かんでいる。
〔いつものブラン様はどうしたんですか! そんな弱気なんてらしくないです! もっと……いつもみたいに私にその背中を見せてくださいよぉ〕
フィナンシェにとって、ブランは常に女神として前を向いて進む存在だった。
だからこそ、フィナンシェはその背中を支えたいと必死にブランを補佐してきたのである。
そんなブランが俯いて弱々しく立ち止まっているように見えたのが、フィナンシェには耐えられないのだ。
「……フィナンシェ」
〔ふぁい〕
「ごめんなさい――そして、ありがとう」
涙ながらのフィナンシェの激励は、ブランを確かに動かした。
リーンボックスに逃げて来て以来、初めてブランの瞳に決意の炎が灯る。
「皆にも謝らせて。わたしのせいで、ゲイムギョウ界全体を混乱させてしまって本当にごめんなさい」
〔ブラン様!? それは私の不注意が……〕
「いいのよ。あなたが入れ替わっていたことに気付きもしなかったわたしが悪いの」
急に頭を下げて謝りだすブラン。
フィナンシェが慌てて口を挟もうとするが、ブランは首を横に振って答える。
「そんなわたしがこんなことを頼むのは恥知らずだって充分わかってる。でも、皆にお願いがあるの――どうかわたしに……ロム達を助けて、ルウィーを取り戻すために力を貸してください。お願いします」
それはブランの今まで素直に言い出せなかった気持ちだった。
周りを疑っていたのは、ノワールだけじゃない。
協力関係を結びながらも、心の中ではネプテューヌ達を信じられなかったのだ。
〔……今更よね。頭下げて頼めば、言うこと聞いてくれるとでも思ってるの?〕
「足りないのなら、土下座だってしてみせる。守護女神戦争だって、わたしの負けで構わない。だから、ロムやルウィーの人達を助けるために力を貸してください」
目を細めながら皮肉をぶつけてくるノワールにも、ブランは変わらず頭を下げ続けている。
今のブランは本当にロムやルウィーの人達を守るためなら、全てを投げ出しても構わないと考えている。
そんな熱意が伝わったのか、ノワールは呆れたようにため息をつく。
〔ハア、そこまで言うのなら仕方ないわね。あなたの尻拭いってのは気に入らないけど、私も女神としてルウィーの問題を無視なんてできないもの〕
〔まったく、素直じゃありませんわね。ここは力を合わせて頑張りましょうと言えばいいじゃありませんか〕
〔それじゃ、私があなた達と友達になったみたいじゃない。嫌よ、あなた達みたいなのと友達になるなんて〕
「もー、相変わらずノワールはツンデレ語録の会話しかできないんだから。でも、安心してね。わたし達はちゃんとノワールの言いたいことを理解してるからさ」
「……あなた達」
顔を上げたブランの前に映るのは、じゃれあうように会話をする3人の女神。
先ほどまでの険悪なムードは少しも感じられなかった。
〔うふふ、そのお願い、わたくしもしっかりと聞き届けましたわ〕
「グリーンハート様、では……」
〔ええ、これで全員の意見が一致しましたわね〕
ミモザの問いかけに、ベールは頷いて答えた。
ベールの言う通り、誰も異論を唱える者はいない。
「ほらほら、ブランも何固まっちゃってるの?」
「えっ、だって、こんなあっさりと聞いてもらえるとは思ってなくて……」
〔ふん、私は別にあなたの頼みを聞いたから動くわけじゃないわよ。あなたの国のことなんだし、精々私の脚を引っ張らないように頑張りなさいよ〕
〔本当、素直じゃありませんわね〕
守護女神戦争で争う敵同士だった事実は変わらない。
だが、今の彼女達は女神として大事なもの――ゲイムギョウ界に生きる人達の平和を守るために1つになろうとしている。
不器用な歩み寄りだが、それでも4人の胸に温かな感情が芽生えたのは間違いない。
「皆――ありがとう」
帽子で顔を隠し、ブランは全員にお礼を言うのであった。
その声を涙で震わせながら……
* * *
そんなこともありマジェコンヌにネプテューヌ達が奇襲を仕掛けている一方で、もう1組動いている男女がいた。
「ほら、今のうちに侵入するわよ」
「ああ」
ファルコム達が派手に騒ぎを起こして注目を浴びる囮になっている間に、教会のすぐ傍にまで近づいて潜入を開始する2人組。
先導するアイエフの後を、夢人は体の痛みを我慢しながらついていくのであった。
(待っててくれ、ネプギア。必ず助けるから)
お守り代わりに預かった白い十字の髪飾りを強く握りしめ、夢人は囚われているネプギアの元へと急ぐのであった。
と言う訳で、今回は以上!
今章はどんどん話を進めていこう。
それと言うのも、前章までの半分くらいで収まりそうですし。
それでは、 次回 「ニートの意味」 をお楽しみに!