超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

119 / 129
はい、皆さんこんばんわ!
結局、遅くなってしまい申し訳ないです。
後、この章の本編はこの話で終わりです。
それでは、 強さの理由 はじまります


強さの理由

 巨大な斧――ポールアックスと呼ばれる黒い武器が風を切るごとに破壊されていく鉄骨。

 瓦礫となって積み上げられていく残骸。

 宙に舞う白い紙。

 そして、ズタズタになった紳士用のスーツを前にしてネプギアはあまりにも無力だった。

 

「チッ、ちょこまかとしおって!!」

 

「暴れるだけの低能。全然当たらない」

 

「何だとっ!!」

 

 現在進行形で続けられるジャッジとネリネの戦いにより、夢人が住んでいたアパートは全壊してしまった。

 幸い、住んでいたのが夢人だけなのが救いだろう。

 彼が寝る間も惜しんで書いた履歴書と企業から届けられた不採用通知、食費も節約して揃えたスーツ一式がゴミになっただけなのだから。

 

(――って、ボーっとしている場合じゃない!? 早く2人を止めないと!? でも、どうやって止めればいいの!?)

 

 正気を取り戻したネプギアであったが、目の前で繰り広げられる戦いに介入できずにいた。

 ネリネとジャッジ、共にネプギア1人で止められるほど弱くないことが分かっているからである。

 

「と、とにかく、何とかしないと!? 2人とも、落ち着いて……」

 

「うるさい!! 黙ってろ!!」

 

「静かにしてて。すぐに終わるから」

 

「ヒィッ!?」

 

 声を張り上げて仲裁しようとするネプギアに襲いかかるジャッジの罵声とネリネの鋭い視線。

 怯えて悲鳴を上げるネプギアに構うことなく、ジャッジはポールアックスをネリネに向かって振り下ろす。

 しかし、飛び散ったのはアパートの残骸のみ。

 ネリネ自身は軽やかな身のこなしで跳躍して回避に成功している。

 

「ぐっ、何故当たらん!!」

 

 いくらポールアックスを振っても掠りもしない現実に、ジャッジは苛立ちを隠せず叫んだ。

 すると、ネリネは呆れたようにため息をつく。

 

「ハア、低能の負け犬は何も分かってない」

 

「っ、貴様!!」

 

「――今のお前じゃ、ワタシに勝つのは無理」

 

 激昂したジャッジのポールアックスが横薙ぎに振るわれた。

 不思議と避けようともしないネリネに今度こそ直撃……したかに見える。

 だが、舞い上がった砂ぼこりが晴れると、そこには無傷のネリネがポールアックスの刃を片手で掴んで止めていたのである。

 

「何だとっ!? このっ!?」

 

「いくら力を入れようとしても無駄。お前じゃ、ワタシに勝てない」

 

 さらに力を込めるジャッジを嘲笑うかのように、ネリネは掴んでいたポールアックスの刃を砕いてみせた。

 呆気なく砕け散るポールアックスに呆然としている隙をつき、ネリネは素早くジャッジの懐に潜り込む。

 

「ふんっ!」

 

「っ、ガアアアアッ!?」

 

 軽く押し出すような仕草だったにもかかわらず、ネリネの攻撃によってジャッジの体は宙を舞う。

 アパートの跡地から吹き飛ばされ、森の木を何本も薙ぎ倒すほどの勢いだ。

 当然いくらパワードスーツを身に纏っていようとも、その一撃でジャッジは満身創痍になってしまう。

 

「な、何故、だ……どうして……」

 

 ジャッジは体中の痛みに顔を歪めながら考える。

 確かに、今のパワードスーツは夢人達と戦った時と比べものにならないくらい性能が低い。

 だが、それでもワンダーの予備パーツを利用して密かに再設計していたものだ。

 それを意図も容易く圧倒するネリネの強さに疑問を感じてしまう。

 

「まだ分からないの?」

 

 ボロボロになって起き上がれないジャッジに、ネリネはゆっくりと近づいていく。

 

「お前はワタシに勝てない。これは絶対」

 

「っ、まだだ!! まだ勝負はついて……」

 

「無駄。いくらやっても時間の無駄」

 

 無表情のまま見つめてくるネリネを前に、ジャッジが吠えて立ち上がろうとした。

 しかし、節々で青白い光をスパークさせているパワードスーツはジャッジの意思を反映してくれない。

 

「それが分からないから、お前は負け犬の犬でしかない」

 

「貴様アァァァ!! またしてもフィーナ様のことを侮辱するつもりかァァ!!」

 

「問題ない――ワタシ、アイツのこと大嫌いだから」

 

 パワードスーツの頭部を握り潰さん勢いで鷲掴みにしながら、ネリネはジャッジに嫌悪感を隠さずに言い放つ。

 

「アイツのせいで夢人が辛い思いをした。アイツがあんな物を夢人に渡したから、夢人は……!」

 

 ミシミシッと音を立てるジャッジの頭部。

 その細腕からは想像できない怪力により、ジャッジのパワードスーツを素手で破壊していく。

 

「だから、ワタシは早く“あの力”を手に入れなきゃいけない。それを邪魔するのなら――絶対に許さない」

 

 パワードスーツの頭部を完全に握り潰し、ネリネは強い意志を持って宣言するのであった。

 

 

*     *     *

 

 

「えー、うぉっほん! これより、対ネリネ戦の作戦会議を始める」

 

 ……と言っても、この場に居るのは吾輩とブレイブ、それと実際に戦うフェルだけなんだがな。

 海岸で見つけたフェルと共にプラネテューヌの教会に戻り、男3人でネリネ打倒策を模索する。

 

「まずは現状の確認からするとしよう――まず、期限は1週間。それまでにネリネに勝てなければ、リンが死んでしまうと言うこと」

 

「次に、そのリンの力を使った所でネリネに完封負けしてしまったことだな」

 

「そして、リンの力を借りられない以上、ボク1人の力でネリネに勝たなきゃいけない、と」

 

 とりあえず、思いついたことを3人で言い合って確認してみた。

 改めて考えると、状況はかなり絶望的である。

 

「特訓をしようにも、1週間でネリネを超える力を手に入れるのは不可能だな。勘になってしまうが、彼女はまだ奥の手を残しているような気がする」

 

「ボクもそう思います。ずっと遊ばれてるって感じがしましたから」

 

 2人は実際にネリネと対峙したから分かるのだろう。

 確かに、吾輩から見ても得体の知れないミステリアスな雰囲気が漂っていたのは分かる。

 

「ならば、リンの治療から考えるべきか? フェル、今リンはどんな状態なんだ?」

 

「……ボクにもよく分からないんです。呼びかけても返事がないだけで、ボクにはまだリンが生きていることしか分からないんです」

 

 そっと右手の甲を撫でながら、フェルは寂しそうな顔でリンの現状を教えてくれた。

 痛ましいその顔を見て、質問をしたブレイブはもちろん、吾輩も心が苦しくなってくる。

 だが、そんな吾輩達の心配を裏切るように、フェルは顔を上げて口を開く。

 

「だから、ボクは絶対にリンを助けます。そのためにも、絶対ネリネに勝ちます」

 

 惨敗して落ち込んだ姿を見ていただけに、今のフェルには驚いてしまう。

 力の差が分かっていないわけではない。

 それを理解した上で、フェルはネリネに勝つと口にしたのだ。

 

「ふっ、お前ももう立派な男だな」

 

「い、いえ、そんなことは……」

 

「謙遜をする必要はない。1度口にした男の決意は重い。それでも貫く覚悟はあるか?」

 

「――はい!!」

 

 試すような問いかけをするブレイブに対し、フェルは即座に力強く返事をした。

 すると、ブレイブは嬉しそうに頷く。

 

「よくぞ、言い切った!! 俺達も協力を惜しまん!! 全力でネリネに挑み――そして、勝て!!」

 

「はい!!」

 

 ……吾輩、1人置いてけぼりをくらってしまった。

 2人の間に入れ?

 あんな時代錯誤の熱血問答なんかに吾輩みたいな頭脳派が割って入れるわけなかろうが。

 

「それで問題はその勝つための方法なのだが、何か策はあるのか?」

 

『それは……』

 

 ほら、吾輩が現実的な問題を投げかけるだけで、揃って言い淀みよってからに。

 やる気を出したのはよいが、勢いだけでは何も解決できんのだ。

 

「仕方ない、ここは吾輩から1つスペシャルな提案をしよう」

 

「おおっ! 既に何らかの打開策を思いついていたのか!」

 

「その方法もズバリ――フェルが吾輩の力を使えば良いのだ!!」

 

『……はあ?』

 

 あまりにも素晴らしすぎる打開策に、2人は言葉も出ないようだ。

 ここは1から説明してやらねばならんな。

 

「まず、フェルに確認しよう。フェルの『人魔一体』とはモンスターであれば、リン以外でもその力を使うことができるのだな?」

 

「え、えっと、はい、そうですけど……」

 

「ならば、問題はクリアされたも同然。リンの代わりに、吾輩の力を使ってネリネと戦えば良いのだ」

 

 フェルが何を戸惑っているのか分からんが、これ以上の方策はないだろう。

 現状、そこらに居るモンスターを手懐ける時間もなければ、強さもたかが知れている。

 その点、頭脳派担当と言っても吾輩とて元犯罪組織の幹部。

 腕には多少の自信がある。

 つまり、リンの力を使えない以上、吾輩の力を使うのがベストの選択なのだ。

 

「あのな、トリック。それは……」

 

「皆まで言う必要はない。今フェルの力になれるのは吾輩だけ――ならばこそ、この力が役に立てるのなら本望だ!!」

 

 責任感の強いブレイブが吾輩1人に負担をかけるのをよしとしない気持ちはよく分かる。

 だが、1番モンスターに近い吾輩こそが適任なのだ。

 

「いや、それでは根本的な解決にならんことを忘れたのか?」

 

「……はへ?」

 

 呆れたように問いかけてくるブレイブの言葉を聞き、吾輩の熱は一気に冷めてしまった。

 

「その様子ではマジェコンヌ様の話をよく聞いていなかったらしいな。フェルの『人魔一体』はあくまでフェル個人の力量を最大限まで底上げする能力なのだぞ?」

 

「……え、えっと、つまり?」

 

「ハア、例えリンよりも強いお前の力を得た所で強さに変動はないと言うことだ」

 

「な、何だとー!?」

 

 ま、まさか吾輩の力を使ってもリンの時と大差がないと言うのか!?

 そんな話をマジェコンヌ様は何時したと言うのだ!?

 吾輩はずっとネリネを観察していたから、ちっとも聞いていなかったぞ!?

 マズイ!? これは非常にマズイぞ!?

 これでは吾輩の計画に多大なる支障を来してしまう!?

 

「むしろ、リンよりも遅いお前を取り込んで、フェルの最大の長所であるスピードが潰されてしまうのではないか?」

 

「それは……どうなんでしょう? ボクもリン以外の力を使ったことはありませんし」

 

「だが、マジェコンヌ様の話では体の成長もリンの動きに耐えられるようになっていると聞いている。それがトリックの力を使ったからと言って、いきなり怪力を発揮するようなことがないと思う……っと、そう言えば、仮にトリックの力を使った場合、フェルにいったいどうなってしまうんだ?」

 

 くっ、このままでは駄目だ!?

 何とか吾輩の力を使うことのメリットをアピールしなければ!?

 えっと、吾輩の力と言えば……

 

「舌が伸びる、とか?」

 

『……うわぁ』

 

 苦し紛れで絞り出した吾輩の特徴に、2人は露骨に嫌そうな声を出した。

 気持ちは分からなくもないが、そこまで退かないで欲しい。

 

「何と言うか、気持ち悪い以前に展開も読めてしまうな」

 

「ボクは伸ばした舌を難なく掴まれて振り回された揚句、放り投げられる所まで見えました」

 

「俺はそのまま地面に叩きつけられると思うのだが」

 

 こ、この2人はどうしてそんなに吾輩のことを信頼していないのだ!?

 頬を舐めるぐらいの根性は吾輩も持っているわ!? ――って、今大事なのはそこじゃない!?

 

「と、とにかく、生身で戦うのが得策でない以上、吾輩の力を使うことは大いに意味のあることだ!? それとも何か!? 吾輩の力を使う以外の方法をお前達は思いつくのか!?」

 

「……何をそんなに焦っているんだ? と言うより、何故そこまでしてフェルに自分の力を使わせようとする?」

 

「そんなの合法的に幼女をペロペロ出来るからに決まって――あっ」

 

「ハア、そんなところだと思った」

 

「あ、あはは、トリックさんもブレないですよね」

 

 し、しまったー!? 何たる誘導尋問!?

 まさかブレイブのような熱血馬鹿に頭脳派の吾輩が罠に嵌められてしまうだなんて!?

 いや、まだだ!? まだこの空気を払拭し、誤解を解くことは可能だ!?

 

「な、なーんてな。今のはほんの軽い冗談に決まっておるだろ? さすがの吾輩も今回ばかりはそんな空気でないことくらい分かって……」

 

「すまない。こんな奴でも何かいい案を出してくれると思っていたんだが」

 

「いや、それはブレイブさんの責任じゃありませんよ。元々、ボクが頑張らなきゃいけないことなんですから」

 

「――って、ちょっとちょっとー!? 2人とも聞いてるー!? 吾輩の話、ちゃんと聞いてるー!?」

 

 あ、あっれー!? どうして吾輩を居ない者扱いして話を進めているんだ!?

 ここは吾輩の冗談で空気がほっこりする場面であろうに!?

 

「それはそうと、俺も1つだけ気になっていることがある」

 

「気になっていること?」

 

「ああ――どうしてネリネが『人魔一体』を欲しがっているのかだ」

 

 ……ふーんだ、吾輩を除け者にするのなら、もうどうでもいい。

 勝手にシリアスな話でも続けていればいいのだ。

 

「ネリネは素の状態でも、かなりの強さを持っている。これはフェルも体験したから分かるな?」

 

「……はい」

 

「下手をすれば、女神に届くかもしれない力を持っていながら、何故『人魔一体』を求めるのかが俺には分からんのだ」

 

「そう、ですね。元から強いネリネにはあまり意味の無い力だとボクも思います」

 

 言われてみれば、確かにネリネが『人魔一体』を求める理由は謎だな。

 まあ、片腕が取れてもすぐにくっつくような謎を持っているネリネだ。

 さすが吾輩の幼女レーダーすらも欺く程の幼女だと言うことか。

 くっ、フェルの体を使ってペロペロする機会がなくなったのが非常に惜しまれる。

 

「だから、そこに何らかの打開策を見つけられるのではないかと思う」

 

「『人魔一体』の秘密……と言っても、ボクも詳しくはよく分からないんです。転生した『特典』で貰った物ですし、そもそもお兄さん達と会う前は使い方すらあやふやだったので」

 

 ふむ、『人魔一体』の秘密を暴くことがネリネに対抗するための近道か。

 確かに時間的な猶予やら諸々を考えると、それが1番現実的かつ実現可能な道であろう。

 しかし、使い手であるフェルですら知らない秘密を誰が知っていると言うのだ。

 

「ここはもう1度マジェコンヌ様の所に行くしかないようだな」

 

「追い返されるのがオチではないか?」

 

「それでもここで結論を出せないまま話し合っているよりはマシだろう」

 

 フェルもブレイブの意見に同意らしく、力強く頷いている。

 仕方なく、吾輩も重い腰を上げて共にギョウカイ墓場に戻ろうと思う。

 フェルの体を使ったネリネちゃんペロペロ作戦がとん挫したせいで、やる気は著しく低下しているがここで単独行動に出るほど吾輩も馬鹿ではない。

 この周りの空気を読む所が、頭はいいのに野蛮なイメージが付きまとうジャッジと頭脳派の吾輩の違いだろう。

 

「じゃあ、早速イストワ―ルさんに……」

 

「――た、大変です!?」

 

 血相を変えて部屋に入って来た幼――ゴホン、プラネテューヌの教祖であるイストワ―ルに、吾輩達は驚いてしまう。

 どうせなら、飛び込んできた勢いで吾輩の胸に来ればよかったのになどとは考えていない。

 

「3人だけですか!? ネプテューヌさん達がどこに居るのか分かりませんか!?」

 

「とりあえず、落ち着いて話せ。いったい何があったと言うのだ?」

 

「これが落ち着いてなんか居られるわけありません!? 今、ギョウカイ墓場のマジェコンヌさんから連絡があって――」

 

 

*     *     *

 

 

 その頃、ユニとラムは夢人のアパートに向かっていた。

 ゲイムキャラ達を探すネプテューヌ達とは別に、ネリネに引っ張って連れて行かれたネプギアが心配だったからノワールに送りだされたのである。

 因みに、自分もついて行きたいと言っていたネプテューヌはアイエフに連行されてゲイムキャラ探しをしている。

 

 ……そんな2人が目にしたのは残骸となったアパートと頭部を破壊されて大破しているジャッジのパワードスーツである。

 

「何よ、これー!? いったい何があったって言うの!?」

 

「そんなのアタシに聞くんじゃないわよ!?」

 

 呆然としていた2人だったが、我に返った途端に叫び出す。

 状況が理解できず、叫ばずにはいられなかったのだ。

 

「あっ、ユニちゃんとラムちゃん。どうしてこんな所に……」

 

『ネプギアアアアァァァ!!』

 

「えっ、ちょっ!? 何でそんな怒って――きゃあああっ!?」

 

 ネプギアの不運は混乱して興奮状態だった2人に話しかけたことだろう。

 詰め寄って来た2人に押し倒され、すごい顔で睨まれてしまう。

 

「無事だったのはいいとして、いったい何が起こったのよ!? ってか、何で夢人のアパートはぶっ壊れてるの!?」

 

「それに何でジャッジのアレがあるのよ!? アレは壊したって言ってたじゃない!? どうなの、ネプギア!?」

 

「ふ、2人とも落ち着いて……」

 

『いいから答えなさいよ!!』

 

「だったら、私の話もちゃんと聞いてよ!?」

 

 質問ばかりで少しも自分の話を聞こうとしないユニとラムに、ネプギアも涙目である。

 1人で過ごしていた夢人のことを思ってセンチメンタルな気持ちになっていたのも束の間、急にジャッジが襲ってきて混乱していたのはネプギアも同じなのだ。

 すると、アパート跡地の方からネリネが首を傾げながらネプギア達に近づいてくる。

 

「またうるさいのが来たの?」

 

「誰がうるさいって!!」

 

「元はと言えば、アンタが悪いんじゃない!!」

 

「……やっぱり、うるさい馬鹿が来ただけ」

 

 馬鹿にした態度を取るネリネに、ユニもラムも感情のまま怒りをあらわにする。

 だが、それでもネリネは何も感じていないようで大きく息を吐くだけだった。

 

「あーもー、3人とも落ち着いて!? 私が説明するから!?」

 

「……分かったわよ」

 

「……ちゃんと説明しなさいよね」

 

 今にも武器を取り出しそうなユニとラムを宥めるために、ネプギアはやけくそになりながら叫ぶ。

 2人は渋々ながらもそれに従い、ネプギアもようやく起き上がることが出来た。

 

「えっとね、まず私とネリネちゃんが夢人さんの部屋に居たら……」

 

「っ、これは!?」

 

「えっ、どうかしたの――って、イタタタッ!? ちょっと引っ張らないで!?」

 

「早く行かないと!?」

 

 らしくない表情で焦りを見せるネリネはネプギアの手を引っ張ってどこかに連れて行こうとした。

 しかし、ネプギアは痛がるだけで動かない。

 それは反対側からネプギアを引っ張るユニとラムがいたからである。

 

「ちょっと待ちなさいよ! 今度はネプギアをどこに連れていく気よ!」

 

「そーよ! もう勝手な真似は許さないわよ!」

 

 好き勝手に行動するネリネの思い通りにさせるものかと、ユニとラムはネプギアを連れていかせないようにしっかりと腕を引っ張る。

 だが、綱引きの紐扱いを受けるネプギアは堪ったものではない。

 

「痛い痛い痛い!? どっちでもいいから、早く離して!?」

 

「そっちが離しなさいよ! アタシ達はネプギアから話を聞くまで離す気はないわ!」

 

「ワタシも絶対に離さない! ネプギアを連れて早く戻らなきゃいけないから!」

 

「どこに戻るって言うのよ!」

 

「――いいから腕を引っ張らないでー!?」

 

 ネプギアを引っ張り合いながら、ユニ達とネリネは言い合いを続けた。

 痛みを訴えるネプギアの言葉を無視して。

 

 ……だが、それもネリネの次の言葉を聞くまでであった。

 

「早く夢人を助けないと――このままじゃ、夢人が死んじゃうの!!」

 

 泣きそうな顔で訴えるネリネの言葉に、ユニとラムはネプギアの腕を離してしまう。

 力が抜けた隙をつき、ネリネはユニ達同様に呆然としているネプギアを連れて走って行ってしまった。

 その後ろ姿を見送り、ラムはポツリと呟く。

 

「夢人が死ぬって、どう言うことよ?」

 

「そんなの分かるわけ――うん?」

 

 2人がネリネの言葉を信じ切れずにいると、ユニの携帯端末が音を鳴らし始めた。

 誰かから着信が来たのである。

 通話を開始した端末から聞こえてきた声は焦ったイストワ―ルのものであった。

 

〔ユニさんですか!? そこにネプギアさんはいらっしゃいませんか!?〕

 

「え、えっと、イストワ―ルさん? いったい何があったんですか?」

 

 余裕のないイストワ―ルの声に戸惑いながらも、ユニは落ち着いて事情を聞こうとする。

 

〔ギョウカイ墓場で緊急事態が発生したんです!? 突然、次元の穴が開いて大量のシェアエナジーが流出してしまっているんです!? だから、至急ユニさん達もギョウカイ墓場に……〕

 

「ちょ、ちょっと待ってください!? 次元の穴!? それにシェアエナジーが流出って、どう言うことなんですか!?」

 

 要領を得られず、ユニはより詳しい説明をイストワ―ルに要求した。

 しかし、イストワ―ルの方もちゃんと説明している余裕がなく……

 

〔とにかく、早く教会に戻って来てください!? このままでは、ギョウカイ墓場が消滅してしまうんです!?〕

 

 ――それが引き起こす事実だけを伝えるのであった。




と言う訳で、今回はここまで!
メインは超次次元の方ですからね。
超次元側の話はここまでにして、次回からはあちらの方に話を戻していきますよ。
……と言っても、次回は前章ラストからの夢人君のことについてですが。
それでは、 次回 「号外ゲイムギョウ界ニュース」 をお楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。