超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して 作:ホタチ丸
だいぶまた時間が空いて、4月になってしまいました。
ここまでは3月中に投稿するはずだったのにorz
それでは、 号外ゲイムギョウ界ニュース はじまります
……どうも、プラネテューヌで雑誌編集者をしておりましたデンゲキコです。
テンションが低い? そんなことないですよ。
私、気付いただけですから。
ここで愚痴愚痴言っててもリュータ君に申し訳ないので、早速本編の方に行きたいと思います。
それでは、 号外ゲイムギョウ界ニュース 始まります。
* * *
「まずは何から話し合うべきなのかしらね?」
重たい空気が流れるルウィー教会に集まっている私達。
そんな中、ノワールさんと言うラステイションから来た女性がふと言葉を漏らした。
しかし、それに答える声はない。
話し合うだけなら、もっと早く出来たので当然だろう。
出来ない理由は誰もが今の状況を直視したくないだけなのかもしれない。
――私達が牢屋から出された時には、全てが終わった後だった。
急にロムさんが苦しみだしたこと以外、特に問題が発生しなかった私達に比べ、ゲイムギョウ界全体には大きな波紋が広がっている。
その渦中に居る人物はここでなく、私達と入れ替わるように牢屋に入れられてしまった。
「ああもう! いつまでもこうしているわけにはいかないでしょう! 黙ってないで何とか言いなさいよ!」
ノワールさんの怒鳴り声だけが部屋に響く。
すると、ネプテューヌさんがいつものテンションからは想像できない弱々しい声で発言する。
「ねえ、ゆっくんはこれからどうなるの?」
その問いかけに答えられる人はいなかった。
いや、私も含めた全員が今の御波さんの様子を信じたくないと言った方がいいのかもしれない。
……あの赤い右腕で周りの全てを破壊していく姿を。
「アイツがどんな状態なのか分からない以上、外に出すわけにはいかないわ。それはあなたにも分かっているでしょ、ネプテューヌ?」
「でも……」
「だったら、どうすればいいって言うのよ? そんなの私の方が知りたいわよ」
縋りつくネプテューヌさんに対して冷たいとも言える態度を取るノワールさん。
でも、それは仕方がない。
あんな姿をゲイムギョウ界中に広められている御波さんを、外に出すことは不可能だ。
……そう、御波さんの暴れている映像は既にネットに拡散されてしまっているのだ。
どこから発信されたのか分からないが、映像からでも今の御波さんがどんなに危険なのかがよく伝わってくる。
おそらく、いえ確実に映像を流したのはシンさんでしょう。
シンさんの目的は分かりませんが、そのせいで御波さんはゲイムギョウ界中から危険視されることになってしまいました。
「それで、本当に誰も御波のアレに心当たりはないの? 特にネプテューヌ達はずっと一緒に居たんでしょ?」
「……わたし達も全然知らなかったです」
ノワールさんの問いかけに、付き合いの長いのであろうコンパさんが顔を俯かせたまま答えた。
付き合いが長いだけ、あの御波さんの姿がショックだったのだろう。
「力を隠してたって感じじゃなかったし、アタシにはどちらかと言うと暴走していたように見えたかな?」
「うん、あたしもそんな風に思えたかな」
直接御波さんの暴れている様子を見たREDさんとファルコムさんはそう評した。
ファルコムさんは眉間にしわを寄せたまま言葉を続ける。
「でも、ただ暴走しているんじゃなくて、あたしの動きを先読みするように動いていたんだ。あたしがどこを狙っても、必ず右腕でガードしていたし」
「つまり、ある程度理性があったってこと?」
「ううん、そんな様子はなかった。あたしやワンダーがいくら声をかけても、まったく反応しなかったし、普通に意識があるようには見えなかった……なんて言えばいいんだろう。まるで心を覗かれているような気がして、あたしも冷静じゃいられなくなってたんだ」
ファルコムさんが両肩を抱きしめ体を震わせていた。
確かに、映像越しでもあの御波さんに私も恐怖を抱いたけど、直接対峙したファルコムさんはそれ以上だったんだろう。
「それに何でか分かんないけど、シン兄ちゃんばっかり狙ってたし、それを止めようとしたワンダーが……」
「大丈夫だよ。きっと元通りになるから」
もう1人の目撃者であるリュータ君を、サイバーコネクトツーさんが慰めている。
……ワンダーと呼ばれたあの二輪車は大破していた。
素人の私でも修復は不可能なレベルに壊されていたと思う。
元通りに戻る可能性は絶望的だろう。
「とにかく、御波に関してはここまでにしておきましょう。詳しいことが分かるまで牢屋の中で大人しくしてもらわないといけないけど……私達には他にもやらなきゃいけないことがあるもの」
「そうなりますと、後は逃げたシンさんの行方とネプギアちゃんの捜索」
「……国民への事情説明ね」
やや強引にノワールさんが話を切り上げると、グリーンハート様とホワイトハート様が話し合うべき問題を挙げてくれた。
……その中で、1番の問題は国民への事情説明でしょう。
ついこの間まで多くの信仰を集めていたホワイトハート様が偽物だったことに衝撃を受けたルウィーの教会職員も少なくない。
しかも、教会の監視カメラに記録されていたホワイトハート様の変装が解かれてマジェコンヌになる瞬間まで、御波さんの映像同様に拡散されている。
つまり、今のゲイムギョウ界は女神様を疑ってしまった罪悪感で多くの人間達が心を痛めてしまっている。
そんな状況でまともな信仰など集まるわけはなく、ホワイトハート様とグリーンハート様も辛そうにしている。
「説明したとしても、ブおと――失礼、御波夢人のことも話さなければならないでしょう」
「そうなると、ただでさえ悪い状況がさらに悪くなるな」
「で、でも、何も言わないのはもっとダメですよね」
今の状況を説明すると言うことは、つまり御波さんの脅威を女神様が認めることになるんですよね。
それはすなわち、MAGES.さんが言うように御波さんを取り巻く状況を悪化させてしまいます。
リーンボックスの時みたいな茶番劇でなく、ゲイムギョウ界全体の悪者として存在を広めてしまうことになります。
しかし、これに対して女神様が沈黙していても、何の解決にもならず不安が広がるだけです。
「鉄拳さんの言う通りですわね。グリーンハート様、私は早急に御波夢人を処罰することを進言いたします」
「み、ミモちゃん!? 何を言っているんですか!?」
2人の意見を聞き入れたミモザさんが出した結論に、コンパさんが慌てた声で反応した。
コンパさん以外も驚いた顔で見ているにもかかわらず、ミモザさんは淡々とグリーンハート様だけを見つめて口を開く。
「御波夢人の存在をあやふやにしたままでは、混乱は広がっていく一方です。ここは女神様がしっかりと処断したと発表し……」
「――ふざけんじゃないわよ!!」
ミモザさんの話を遮ったのは、アイエフさんの怒号だった。
椅子から立ち上がり、アイエフさんはズンズンとミモザさんに近づいて胸ぐらを掴み上げる。
「アンタ、いったい何考えてるのよ!! そんなことしたら、夢人の奴がどうなるかも分かんないの!!」
「……それが? あのブ男がどうなるのかなんて知らないわよ」
「ッ、アンタねえ!!」
「ちょっ、あい姉ちゃん落ち着いて!?」
「ミモリンも変なこと言っちゃダメだってば!?」
煽るようにアイエフさんの怒りに油を注ぐミモザさん。
遂には拳を振り上げそうになるアイエフさんを、近くに居たリュータ君とREDさんが慌てて止めてくれた。
REDさんが淡白なミモザさんを諌めようとするも……
「ふん、今優先しなくてはいけないのはブ男の進退よりもゲイムギョウ界の今後よ。私は何も間違ったことを言ってないわ」
まるで反省した様子も見せずに、鼻を鳴らすだけだった。
2人に押さえられながらも、そんなミモザさんが気に入らないアイエフさんの怒りは増していく。
「間違ったことは言ってないですって!! よくもまあ、そんなことが言えたわね!! アイツが泥を被ってまで救ってくれた恩を忘れて、その上で切り捨てようって言うの!! ふざけんじゃないわよ!!」
「……助けて欲しいなんて、ひと言も言ってないわ。全部、あの男が勝手にやったことよ。今の状況だって、自業自得じゃないの」
「アンタ、どこまで……」
「――あなたの方こそ、何で分からないのよ!!」
怒りに叫ぶアイエフさんに耐えかねたのか、今度はミモザさんが声を荒げた。
「ここであの男を擁護したら、どうなるのかぐらい考えなさい!! ただでさえ揺らいでいる女神様への信仰がさらに不安定になることぐらい簡単に分かるでしょう!!」
「だからって、全部夢人が悪いってことにして切り捨てるって言うの!! アイツがどんな思いでネプギアを助けるためにルウィーに来たのか分からないの!!」
「そんなの知らないわよ!! あなたの方こそ、あの男が自分のせいでゲイムギョウ界が混乱することを良しとすると本気で思っているの!! だとしたら、あなたはあの男の何を見ていたのよ!!」
「夢人のことをいつも馬鹿にして見下していたアンタに言われたくないわよ!!」
……2人の言い争いを聞いている私の胸は酷い痛みを覚えた。
どちらが正しいとか間違っているとか分からない。
ただ見方は違うが、2人とも御波さんのことを思っての発言なのだと思う。
「――2人とも、もうやめて!!」
そんな2人の言い争い止めたのはネプテューヌさんだった。
くぐもった涙声を張り上げ、ネプテューヌさんは顔を上げてアイエフさんとミモザさんを見る。
「2人がゆっくんのことを考えてるのは分かってる。でも、それで2人が喧嘩することはゆっくんも絶対に望んでないよ」
「……ごめん、ちょっと頭冷やしてくる」
「あ、あいちゃん! え、えっと、その……わたしもついて行くですぅ!」
顔を俯かせて退室していくアイエフさんを、コンパさんも追って行ってしまった。
残ったのは気難しそうに眉をひそめるミモザさんと、彼女を見つめる悲しそうな顔のネプテューヌさんだけ。
「……申し訳ございません。感情的になって結論を焦っていたようです」
「なら、あなたも1度顔を洗ってきた方がいいですわ。ついでに、ナナハさんやロムさん達の様子も見て来てくださいまし」
「……分かりました。失礼します」
グリーンハート様なりの気遣いなのだろう。
ミモザさんが退室すると、重たくなっていた空気が少しだけ軽くなった気がする。
「まあ、御波のことは保留しておくとして――他のことについて考えましょうか? 逃げたシンが向かう先に誰か心当たりとかないの?」
「唯一知ってそうなのはマジェコンヌだけど……」
「素直に話してくれるとは思いませんわね」
話題を変えて話し合うノワールさん達を尻目に、私はシンさんのことを思い出していた。
……最初はいつもニコニコしてていい人なんだと思っていた。
でも、あの時の冷たい目を思い出すたびに体が震えてくる。
アレは嘘でも冗談でもなく、あの時シンさんに従っていなければ、私は殺されていただろうと確信できる目だった。
「それにしても、シンは何が目的なのだろうな? 奴の行動原理がさっぱり分からん」
「したことと言えば、ネプテューヌさん達と一緒に旅をして裏切って、マジェコンヌさんのことも裏切ろうとしたんですよね? 本当に何がしたいんでしょう?」
MAGES.さんと鉄拳さんの言葉も頷ける。
女神様達の味方なら、わざわざ御波さんを陥れるような映像を拡散するはずがない。
でも、マジェコンヌさんの味方なら、ネプテューヌさん達に協力するような連絡をするはずもない。
いったい、シンさんは誰の味方なのでしょうか。
「……考えても答えが出そうにないわね」
「分かることはと言えば、放っておくと何をするか分からないってことよ。目的も何も捕まえてから吐かせればいいわ」
ため息をつくノワールさんの横で、ホワイトハート様が怒気を滲ませていた。
自分の国で好き勝手したシンさんが許せないのだろう。
「そうなると、後はネプギアちゃんの捜索ですが……」
「そっちも手掛かりなし、なんですよね」
グリーンハート様が次の議題について言い辛そうにしていると、ファルコムさんが言葉を引き継いだ。
その発言の通り、ネプギアさんの行方はシンさん以上に分からない。
なにせ、教会に居た職員の人達ですら、ネプギアさんを見た人はいないと言う話だ。
「うーん、でも、おかしな話ですよね。誰もそのネプギアさんって人を見ていないなんて」
「むしろ、本当にネプギアは教会に居たのか? こうも痕跡がないと、居なかったと言われた方が納得するのだが……」
サイバーコネクトツーサンが素直に疑問を口にすると、MAGES.さんがチラッと私の方を見てきた。
まるで責められているような罪悪感を覚えつつ、私はすっかり重くなってしまった口を開く。
「……ネプギアさんが、シンさんに連れて行かれたのは間違いないです。でも、その後どうなったのかはわからないんです」
「そう、か。どうやらそれもシンに直接問い質さねばならんらしいな」
私の言葉に納得したのか、MAGES.さんがそう締めくくった。
そのことに安堵してしまう私がいて、気持ちが沈んでしまう。
「結局、分からないことだらけね」
「後手に回っている以上、仕方ありませんわ。それでも少しずつ解決していきませんと」
「分かっているわよ、そんなこと――っと、ちょっとごめんなさいね」
正論で諭すグリーンハート様を鬱陶しそうな顔で見つめていたノワールさんでしたが、鳴り出した電子音を聞いて携帯を取り出す。
「どうかしたの? こっちは色々あって大変――って、はい? ごめん、もう1度言ってくれない?」
ノワールさんが信じられないと言った顔で聞き返している。
その顔を見るだけで、話の内容がろくでもないことだと予想がついてしまう。
通話を終えたノワールさんが苦虫を噛み潰したような顔で口を開く。
「……シンの居場所が分かったわ」
「それはいったいどこなの?」
「ラステイションよ」
進展があって喜ぶべきことなのに、ノワールさんの表情は優れない。
その理由はすぐにノワールさんの口から飛び出した。
「――しかも、アヴニールの新社長になってるのよ」
* * *
「これはいったい何の真似だ?」
プラネテューヌの私が勤めている出版社。
ルウィーから1人戻って来た私はすぐさま上司にあるものを提出した。
「……辞表届けです。今日限りで、やめさせてもらいます」
――辞表。
初めて書いたこともあり、間違った部分もあるかもしれないけど、精一杯の誠意を込めたつもりだ。
それが私を採用してくれた上司や先輩達に対する礼儀だから。
「そう言う意味じゃなくてだな、急にこんなもん出して来てどう言うつもりだって聞いているんだよ?」
上司の困惑した声にも、私は顔を上げずに頭を下げ続ける。
私だって、ついこの間まではこんなことになるなんて想像もつかなかった。
でも、そうしなきゃいけない理由が私にはある。
「……前に私が特集を書いたリーンボックスの事件、ありますよね?」
「ああ、お前が珍しく記事に書ける内容を持ってきた奴だな」
「……アレ、実はやらせも同然だったんです」
「ハア?」
最後になるだろうから、上司には全部正直に話をしたかった。
「魔王派なんて、本当は存在しないんです。でっち上げただけなんです。本当は協会の派閥とそれに取って替わろうとした団体の争いを止めるために、わざと泥を被った人がいただけなんです」
信じてもらえなくても、争いを止めようと尽力した御波さんがいたことは伝えたかった。
「それを私が余計な脚色を入れて大事になるように記事を書いたんです……! 私、記者失格です……!」
――真実を伝える憧れの職業だった。
でも、私は読んでもらえる記事を書くために、いくら御波さんから頼まれたからと言い訳しても取り返しのつかないことをしてしまった。
今のゲイムギョウ界では、1度否定された魔王派の存在が噂されている。
ルウィーで暴れた御波さんの映像のせいだ。
あの禍々しい右腕から、御波さんがその魔王のようにネットで扱われている。
……私が広めてしまったデマが御波さんを苦しめてしまった。
御波さんは魔王なんて存在じゃない。
私の知っている御波さんは誰かのために全力で頑張れる人だった。
そんな人が魔王なんて呼ばれるようになったのは、私が魔王派なんて架空の団体を広める記事を書いてしまったせいだ。
こんな私が真実を伝えるなんて、もう2度と出来っこない。
「だから、今までお世話になりました……! 失礼しますぅ……!」
「お、おい、待て!?」
呼び止める上司の声に耳をかさず、私は飛び出した。
話の途中から流れだした涙は止まりそうになかった。
* * *
……私は自覚してなかった。
なりたかった記者になれて、浮かれていたんです。
私が好き勝手書いた記事のせいで、どんな影響がゲイムギョウ界に広がるのかを。
そのせいで私は周りを混乱させて、御波さんを追い込む結果になってしまった。
もう、御波さん達に会わせる顔がありません。
本当はちゃんと謝りたい。
でも、私はそんなことも出来ずにネプテューヌさん達からも逃げた臆病者でした。
……本当にごめんなさい。
…………
……リュータ君も、こんなことに付き合わせちゃって、ごめんなさい。
これは私なりのケジメなんです。
私の書いた記事のせいで広がった混乱に比べれば、無責任にも程があることは分かっています。
でも、今の私にはこれぐらいしか償う方法が思いつかないんです。
だから、金輪際私は記事を書きません。
記者として復帰しようとも絶対に考えません。
それだけは誓います。
こんな身勝手なことが許される立場じゃないことはもちろん分かってます。
でも、もう無理なんです。
また私の書いた記事のせいで混乱が広がり、誰かが被害を被ると考えると……
――本当に、ごめんなさい。
と言う訳で、今回はここまで!
まあ、この章は次章への繋ぎのような意味もあるので短めです。
次章は書き始めて初、超次次元側と超次元側がリンクした話になります。
メインはもちろん超次次元側ですがね。
それでは、 次回 「電・撃・就・任」 をお楽しみに!