超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
約1か月ぶりの更新ですね。
本当、遅くなってすいませんでした。
それでは、 開・幕・引・金 はじまります


開・幕・引・金

『それでは、これより総合技術博覧会を開催いたします!』

 

 マイクで拡大されたガナッシュの声が会場中に響く。

 それを会場に集まった者達は拍手で受け入れる。

 

「……あーあ、結局始まっちゃったね」

 

「仕方ないだろう。何も知らない連中にとっては待ちに待ったイベントなのだからな」

 

 熱気に包まれていく会場を見て、ネプテューヌは困ったような顔で呟いた。

 隣に居たMAGES.が諌めるが、その表情は険しい。

 

 ……結局のところ、ネプテューヌ達は何もできずにこの日を迎えてしまったのである。

 総合技術博覧会はラステイションの人々にとって自らが造り上げた商品をアピールできる又とない機会。

 それを止めることはいくら女神であるノワールでも無理だったのだ。

 

『では、まずは我らが女神ブラックハート様のお言葉を頂戴したいと思います』

 

 ネプテューヌ達が愚痴をこぼしていると、ガナッシュに紹介されたブラックハート……女神化したノワールが姿を現した。

 いつものプロセッサユニットではなく、黒いドレスを身に纏ったノワールは会場に居る者達を見渡して口元を緩める。

 

『今日ここで総合技術博覧会を開くことができ、私も大変嬉しく思っています。それも先のアヴニールによる試作兵器の暴走により、ラステイションの街は多大な被害を受けました。ですが、皆さんの弛まぬ努力と情熱があってこそ総合技術博覧会が開催できましたことを私は誇りに……』

 

「――ふわぁ~、何だか眠くなっちゃったぁ」

 

「うんうん、分かる分かる。お偉いさんの話って、すっごく眠くなっちゃうよねー」

 

 真剣に耳を傾けている者達がいる中で、ネプテューヌ達はいつも通りだった。

 プルルートは眠そうにフラフラしており、REDに至ってはノワールの話をまったく聞いていない。

 

「おいおい、形だけでもいいからちゃんとしてくれよ? お前らにとっては何をのんきにとか思っているんだろうけど、わたしらにとっては今日は待ちに待った特別な日なんだからな」

 

「それは分かっているが……」

 

「まあまあ、レイヴィスもそう肩肘張ってないで。何も起きなければ、それはそれでいいことなんだから」

 

 苦笑気味にネプテューヌ達の様子を注意するシアンの言葉を聞いても、レイヴィスの眉間から皺が取れることはなかった。

 宥めながら楽観的な見方をしているサイバーコネクトツーも注意だけは怠っていない。

 何を考えているか分からない……そんな得体の知れない所がシンの行動に対する不安を強くしている。

 

「でもさー、シンって本当に何がしたいんだろうね? わたし達を騙して近づいたと思ったら、マジェコンヌも裏切って、さらにこんなことまでしちゃうとか普通じゃありえないよね?」

 

「……それは奴から直接聞くしかないな」

 

 誰もが考え何度も口にした疑問をネプテューヌが呟くと、レイヴィスは来賓席の方を睨みつける。

 そこには堂々とした態度で笑みを浮かべるシンの姿がある。

 今回、総合技術博覧会を開けるようになった事実上のスポンサーであるアヴニールの代表としてシンも会場に出席しているのだ。

 

「何とも歯痒い状況だな。見てみろ、あの顔を。こちらが手を出せないのが分かっていて笑っているぞ」

 

「でも、ここで下手に動くとこっちの立場が悪くなるだけだよ?」

 

「それが分かっているから、あの顔が余計に憎らしく見えてくるんじゃないか」

 

 レイヴィスと同様にシンを睨むMAGES.。

 止めてはいるが、サイバーコネクトツーも表情を曇らせている。

 

「うがー! もー、悩んだって仕方ないじゃん! こうなったら、アタシが直接聞きに行ってくる!」

 

「そーそー、こう言う時は竹やり持って直訴するしかないね!」

 

「あっ、それあたしも知っている~。確か……でんちゅ~でござるぅ~」

 

「だから、あまり変な騒ぎを起こしてくれるなって。後、それ微妙に違うからな」

 

 暴走しかけるREDを筆頭とした3人を、シアンが止める。

 そんな様子を眺めて、MAGES.は少しだけ冷静になれた。

 帽子で顔を隠し、MAGES.はため息をつく。

 

「ハア、後手に回らざるを得ない以上、相手の土俵で勝負するしかあるまい。ましてや、直接尋ねたところでまともに答えてくれるとは思えん」

 

 行き着く答えが毎回同じであることを、MAGES.は悔しく思う。

 だが、事実ネプテューヌ達に出来ることは何もない。

 それも全部、シンが己の保身に長けている証拠でもあった。

 逆に考えれば、そんなシンが行動を起こすと言うことは総合技術博覧会で何かを企んでいることに他ならない。

 

「せめて、何が目的なのか分かればいいんだけど……」

 

「ハア、わたしは頼むから無事に終わってくれることを祈っているよ」

 

 不安を口にするサイバーコネクトツーの隣で、シアンも弱々しく呟く。

 しかし、シアンも総合技術博覧会がただで終わるとは思っていない。

 それでも願わずにはいられなかったのだ。

 

『――はい、ありがとうございました。それでは次に今回の総合技術博覧会を開催するに当たり、多大なる支援をしてくださいましたアヴニール社長のシン様からもお言葉を頂きたいと思います』

 

「むっ、これは……」

 

「ある意味でチャンスだな」

 

 ノワールの話を聞き流していたMAGES.とレイヴィスだが、次にガナッシュの口から出たシンの名前に反応した。

 建前である可能性は高いが、それでもシンの思惑を探るいったんになるかもしれない。

 ネプテューヌ達も同じように考えたのか、ノワールが話していた時のだらけた雰囲気が一気に霧散する。

 

『ただいまご紹介にあずかりましたアヴニール社代表のシンと申します。こうして公の場で挨拶するのは初めてですので、少々緊張しております』

 

 見る者によっては好印象を与えるシンの挨拶だが、ネプテューヌ達にはどこか白々しく思えた。

 

『今日の良き日を迎えられましたことを嬉しく思うと同時に、まず私は皆様に謝罪をしたいと思います。我が社で開発した試作兵器が暴走した結果、皆様に多大なるご迷惑をおかけしましたことを深く謝罪します』

 

 さわやかな笑みを浮かべていた表情を引き締め、シンは深く頭を下げた。

 これを見た会場の人々は戸惑い、ざわざわとし出してしまう。

 

『この場を釈明会見の場に使うつもりはありませんが、少しだけお時間を頂戴したいと思います。まず、どうして私共があのような破壊活動を引き起こすであろう兵器を製造していました理由と、この度の総合技術博覧会は深く関係しております』

 

「えっと、これどうなって……」

 

「しっ、いいから今は黙っていろ」

 

 語り出すシンに困惑した声を出すネプテューヌだったが、すぐにMAGES.に遮られた。

 MAGES.は怖いくらい真剣な表情で、シンから語られる話に耳を傾ける。

 

『今回のテーマは“兵器”と言うことでしたが、何故かと疑問を持った方はいらっしゃいますでしょうか? これは問題を起こしてしまった前社長も常々考えておられたことですが、我々人間は女神様に些か頼り過ぎていませんでしょうか?』

 

 語りかけるように話すシンの問いかけに、誰もが顔を見合わせてしまう。

 

『女神様と言えども、お体は1つ。ラステイション全土で起こる問題を全て解決するのにはあまりにも時間がかかることを皆様もご存じのことかと思います。ですが、女神様のように特別な力を持たない我々は困難な問題に対して助力を請わねばならない時があります』

 

 シンの言葉に同意するように、何人かが頷く。

 当然だ。

 女神の信仰とは女神が困っている人々を助けることで生まれるのだから。

 

『前社長は女神様に依存してしまっている今の関係を嘆いておりました。助けられるだけでなく、私達も女神様を支えられるようにならねばと……』

 

「あれ? シンの言っていることって、間違ってないよね? あれれ?」

 

「もしかして、やっぱりいい人なのかなぁ~?」

 

「……いや、これは多分違う」

 

 話を聞いているうちにシンの人物像が分からなくなってしまったREDとプルルートと違い、サイバーコネクトツーは首を横に振った。

 

『そのために前社長は女神様に依存しない防衛力の開発が急務だと考えておりました。全ては少しでも女神様の負担を我々で軽くできるようにと願った結果なのです』

 

「……違う。強力な兵器を開発することと女神の負担を軽くすることはイコールではない」

 

 あちらこちらでシンに同調するような感嘆の声を上げる者達を見て、MAGES.は苦々しく呟いた。

 それでは女神を兵器扱いしているのと同じである。

 しかし、シンの話にのめり込んでいる人達はそれに気付かない。

 

『だからこその兵器開発なのです。依存ではなく共存、それこそが我ら人間と女神様の本来あるべき姿なのだと思います。今日から新しいラステイションを始めようじゃありませんか』

 

 耳障りのいい言葉に踊らされ、人々は開幕以上に盛り上がった。

 叫ぶ者や口笛を吹く者、誰もが興奮した様子でシンをたたえている。

 

「……マズイな」

 

「……ああ、非常にマズイ状況だ」

 

 レイヴィスとMAGES.はこの話でシンの目的の1部に勘付いた。

 女神と並び立つまでなら問題ない。

 だが、次々と強力な兵器を開発し、自分達だけの手でラステイションを守れると驕った瞬間……

 

「――このままでは女神の信仰がなくなってしまう」

 

 

*     *     *

 

 

 どこまでも真っ白な空間。

 眠っている間だけ来ることが出来る不思議な場所。

 最近慣れてきたこの空間で、私は目の前で不貞腐れるように頬を膨らませている少女に声をかける。

 

「えっと、ドンマイ?」

 

「――ふざけんな!?」

 

 怒鳴り散らすネプギア似の少女……フィーナ。

 その姿は最初に会った頃の威圧するような雰囲気は微塵も残ってなかった。

 

「何よ何よなんなのよ!? あなた、本当にやる気あるの!?」

 

「いや、それを私に言われても……」

 

「だったら、さっさと私にあなたの力を寄こしなさいよ!?」

 

 フィーナの姿を見ていると、癇癪を起しているネプギアにしか見えなくて少し新鮮な気分になる。

 何とかしてあげたいけど、私じゃお手上げだ。

 

「ごめん、どうすればいいのかなんて私にも分からなくて」

 

「あなたの力でしょうが!? さっさとあの“プロテクト”を解きなさいよ!?」

 

 真っ白な空間に浮かぶ緑色の箱を指さし、フィーナは私の体を揺さ振り続ける。

 そして、勢い余ってフィーナは緑色の箱に触れてしまう。

 

「あっ」

 

「えっ――――――ピイイイィィィィィッ!?」

 

 すると、緑色の箱からほとばしった光がフィーナの体を包み込んだ。

 悲鳴を上げるフィーナに対して、私はその光を受けても何の痛みも感じない。

 やがて光が治まると、そこには少しだけ煤けたフィーナが残された。

 

「あう……」

 

「大丈夫?」

 

「……これが大丈夫に見えるのかしら?」

 

 へなへなとへたり込むフィーナだが、私のことを睨み続けている。

 いや、睨まれても私のせいじゃないんだけどなぁ。

 

「まったく、これじゃわざわざあなたの体を使う意味がないじゃない」

 

「……ごめん、役に立たなくて」

 

「分かってるのなら、さっさとそれをどうにかしなさいよ」

 

 謝っても慰めてくれないところとか、色々とネプギアと違うと感じる。

 私はフィーナが指さした緑色の箱を手に取る。

 手のひらに収まる程度の大きさの箱にはどこにも開け口はない。

 

「本当にコレで夢人を助けられるんだよね?」

 

「かも、よ。あくまで可能性の話よ」

 

 忌々しそうに箱ごと私を睨んでいたフィーナだが、返事をすると同時にプイッとそっぽを向いてしまった。

 

 ――フィーナはこの箱の中身を手に入れるために私の体に入って来た。

 そもそも私達と違って、生身の肉体を持たない『再誕』の女神はシェアエナジーさえあれば存在できるらしい。

 だから、今まで夢人のブレスレットの中に自分を構成していたシェアエナジーを1部含ませていたと聞いた。

 フィーナ曰く、データの劣化もあって今まで意識もなかったらしい。

 それが夢人の異変によって目覚めたと言っていた。

 でも、実際私にはよく分かっていない。

 これがチカ姉さんなら、すぐに理解できたと思うんだけど。

 

「そう言えば、総合技術博覧会とやらにはいかなくてよかったの?」

 

「……うん。私が行っても何もできないから」

 

「ふーん、まあ別にいいけど」

 

 自分から話題を振って来たのにも関わらず、フィーナは興味なさげだ。

 体調が悪いと仮病を使って、私は留守番しているのである。

 あっちにはレイヴィスや皆もいるし、大丈夫だと思う。

 それよりも私はこの箱を開ける方法を考えなきゃ。

 

「フィーナも本当にどうやって開けるのか分からないの?」

 

「分かってたら、何度も痛い思いをするわけないじゃない。まったく、ゲイムキャラも本当に余計なことをしてくれるわね」

 

「それもそうだね」

 

 ジト目になったフィーナの言葉に納得しながら、再び箱を開ける方法を考える。

 フィーナが言うには、この箱からゲイムキャラの力を感じるらしい。

 おそらくこの箱を開ければ、何らかの力を手に入れられることは確かみたいだ。

 でも、この箱にはやっぱりどこにも開けられそうな箇所はない。

 

「……フィーナはさ、夢人を助けられるんだよね?」

 

「何度も聞くんじゃないわよ。どんな手段を使ってでも、助けるに決まってるじゃない」

 

「そう、だよね」

 

 自信満々で鼻を鳴らすフィーナと違い、私の声は小さかった。

 急に目の奥がツーンとしてくる。

 私は箱を手放して瞼を擦った。

 

「心配しなくても父様ならまだ大丈夫よ」

 

 そんな私の不安を察してなのか、フィーナが優しい声を出す。

 

「今の父様は外部からの刺激がない限り、ずっとあのままの状態のはずよ。これは前にも言ったじゃないの。だから、あなたは父様を心配するよりもその箱の開け方を考えなさい」

 

「……うん、ごめん」

 

 励ましてくれたフィーナに謝るも、私の頭から夢人のことが消えることはない。

 再び手に取った箱は、さっきよりも重くて硬いような気がした。

 

 

*     *     *

 

 

「――うむ、そろそろ頃合いか」

 

 ルウィーの教会地下にある牢屋。

 その1室に閉じ込められているマジェコンヌがにやりと口の端を吊り上げた。

 

「ほえ? 何がですか?」

 

「何が、じゃない。そろそろ奴らの監視の目も緩むだろうから、さっさと抜け出すって話だよ」

 

「おお! ようやく外に出られるのですね!」

 

 一緒に閉じ込められていたボッツのとぼけた発言に頭を痛めつつも、マジェコンヌは予てより考えていた脱獄を敢行しようと考えていた。

 

 ……思えば、マジェコンヌは不運だった。

 ブランに化けて教会職員を操っている途中、急に体中から力が抜け落ちて元の姿に戻ってしまった。

 急に姿を変えたマジェコンヌに驚きながらも、職員はすぐにマジェコンヌを捕縛。

 そのまま女神に化けていた犯罪者として投獄され、今に至っている。

 

「でも、名残惜しいなぁ。せっかくマジェコンヌ様と2人っきりで愛を確かめ合っていたのに……」

 

「誰が愛を確かめ合っていたって? ふざけんのもいい加減にしな!」

 

「――ぐふっ!? ありがとうございます!」

 

 変な妄想を膨らますボッツを殴るが、逆に頬を染めてお礼を言う始末。

 さすがにマジェコンヌもこの反応には引いてしまう。

 

「チッ、こっちはお前と離れられて清々するよ。まったく、どうして私がこんな奴と一緒の牢屋に入れられなきゃいけないんだい」

 

「あっ、それはボクがお願いして……」

 

「死ねっ!!」

 

「――ガフッ!?」

 

 ボッツを蹴り飛ばすことで少しだけ気分が晴れたマジェコンヌは、次に鉄格子の方へと向き直る。

 マジェコンヌが鍵穴へと手を向けると、赤黒い稲妻が発生すると同時にカチッと音が鳴る。

 すると、固く閉じていた牢屋の扉がひとりでに開く。

 

「アーッハッハッハッ!! この程度で私を捕らえておくつもりだったのか!!」

 

 上機嫌に高笑いをしながら、マジェコンヌは牢屋から久しぶりに外へ出た。

 目立つようなことをしているが、それは女神など相手にならないと言う自信の表れなのかもしれない。

 

「早速上に居る女神どもを倒しに行くとでもするか。クククッ、そしてまた教会を占拠するのも面白、い……?」

 

 しかし、マジェコンヌの勢いはそこまでだった。

 突然体の中から何かが抜け落ちていくような感覚に陥り、思わず膝をついてしまう。

 

「な、なんだ、これは……」

 

 何が起こっているのか理解できず、マジェコンヌは戸惑ってしまう。

 だが、唯一知っていることはある。

 それはこの感覚を味わうのが2度目であると言うことだ。

 

「マジェコンヌ様? いったいどうし――ヒィッ!?」

 

 頬を染めて悶絶していたボッツが復活してマジェコンヌに近寄ると、近くの牢屋から爆発音のような音が響いてきた。

 思わず悲鳴を上げたボッツがそちらの方に顔を向けると、そこには鉄格子を掴む赤い爬虫類のような手のひらが見えた。

 

「な、ななななんですか、アレ!?」

 

「私に聞くな!?」

 

 赤い手はまるで紙を折り曲げるかのように鉄格子を歪めた。

 ちょうど人1人分が通り抜けられるように歪めた穴から、赤い手の持ち主――夢人が姿を現す。

 

「――さっきの音はいったい何だ!? 何が起こった!?」

 

「マズイ!? 早くこの場を離れるぞ!? さっさと私を運ばんか!?」

 

「わ、分かりました!?」

 

 職員であろう近づいてくる足音を聞きとり、マジェコンヌは慌ててボッツに指示を出す。

 治まらない虚脱感のせいで立つことさえままならないのだ。

 

「コラッ!? どこを触ってる!?」

 

「すいま――ふげっ!? ありがとうございます!?」

 

 どさくさに紛れてマジェコンヌの体に触れて叩かれながらも、どこか幸せそうにボッツは足音が聞こえてくる方向の逆の方向に駆けていく。

 おかげで職員がマジェコンヌ達の姿を目撃することはなかった。

 

「お、おい、お前!? 何で牢屋から出ている!?」

 

 職員が爆音の発生した場所に辿りついてみたものは俯いたまま立ち尽くす夢人だけ。

 その赤い腕を見て恐怖を抱いて声を上ずらせながらも、職員は強気な態度で夢人に問いかける。

 

「……どこだ……どこにいる……」

 

「何を言っている!? さっさと牢屋に戻――っ!?」

 

 ぶつぶつと呟く夢人に、職員は命令した。

 だが、強気な態度もそこまでが限度だった。

 俯いていた夢人が顔を上げ、職員の顔を見たのである。

 その血に濡れたような赤黒い瞳で見つめられ、職員は恐怖に慄いて尻餅をついてしまう。

 

「おい」

 

「ヒィッ!?」

 

「答えろ」

 

 前に暴走した時よりも理性的な声色だが、夢人のそれは有無を言わせぬ恐怖を伴わせていた。

 悲鳴を上げる職員を見下ろし、夢人は口を開く。

 

「シンは……シンはどこに居る?」




と言う訳で、今回はここまで!
最近、撮り溜めていたアニメを一気に見てました。
今日のコンクリ最終回、楽しみだなぁ。
それでは、 次回 「再・会・落・下」 をお楽しみに!
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