超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
なかなか書く時間が取れず、遅れてしまってすいません。
それでは、 援・軍・到・着 はじまります


援・軍・到・着

 ――犯罪神とは何か。

 

 かつて、マジック達犯罪組織がその存在を旗頭として復活させようとした怪物。

 ひとたび甦れば、ゲイムギョウ界の全てを破壊し尽くすと言われている女神の倒すべき宿敵。

 

 ……と言うのが、真実を知らない多くの者のイメージである。

 犯罪神の本当の姿は、ただのシェアエナジーの集合体に過ぎない。

 女神を信仰することで生まれるシェアエナジーを正のシェアエナジーとするならば、負のシェアエナジーこそが犯罪神そのものなのだ。

 

 喜怒哀楽と言い表せられるように、人間の感情には必ず起伏が存在する。

 喜びがあれば哀しみがあり、怒りがあれば楽しみを覚える。

 これら、正と負の感情が混在となっているのだ。

 

 これはゲイムギョウ界全体にも言える。

 女神を称える声があれば、非難する声もある。

 つまり、そのような女神に対して否定的な感情が生み出した負のシェアエナジーこそが犯罪神なのだ。

 

 しかし、それだけだ。

 結局のところ、恐怖の対象とみなされてきた犯罪神も目に見えない力の塊だと言うことに変わりはない。

 加えて言えば、普通に過ごす人間には何の害もない。

 いくら強力な力になると言っても、シェアエナジーを扱える女神と違って、人間には感知することすらできない無用の長物なのだから。

 

 ……だが、女神のようにシェアエナジーに敏感な生物ならば、話は変わってくる。

 

 

*     *     *

 

 

(やれやれ、そろそろいいかな)

 

 ある程度の被害が拡散した所を見計らい、シンは懐からディスクを取り出す。

 そのままフリスビーを投げるかのように投擲すると、ディスクから複数のモンスターが姿を現した。

 

「それじゃ、手筈通りに頼むよ」

 

 パチンッと指を鳴らすと、モンスター達はシンが予め指示していた通りの動きをし始める。

 とあるモンスターは、そのまま夢人の方へ。

 またとあるモンスターは、逃げ惑う人々の元へ。

 残ったモンスターは、シンの周りを固めるように配置につく。

 

「邪魔を……するなァッ!!」

 

 夢人に襲いかかろうとしたモンスター達だったが、赤い右腕に一蹴されてしまう。

 大雑把に横に振るわれた夢人の右腕は、触れてもいないのにモンスター達を光の粒子へと変える。

 そんな不可思議な現象を前にして、シンはにやりと口角を吊り上げた。

 

(やっぱり、モンスターとの相性……いや、シェアエナジーとの相性が絶望的なまでにいいようだ。これは勝てないね)

 

 冷静に分析しながら、戦況を考察するシン。

 その中で自身が立てた仮説が正しかったことを悟り、自らの不利を認める。

 

 ……そもそもこの状況自体、シンには分かりきっていたことなのだ。

 夢人の右腕について分析していた段階で、自身の手札――モンスターが不利なことは百も承知である。

 しかし、それを理解していた上でシンがモンスターを夢人にけしかけたことには理由がある。

 

(これでデルフィナスも満足しただろうし、後は彼らが上手くやれたことを祈るとするか)

 

 ――シンにとっての勝利条件は、ただ生き残ることではない。

 デルフィナスの機嫌を損なわない程度に上手く立ち回りながら、自身の計画を進めて生き残ること。

 欲を張っているようにも思えるが、シンも自分の命をベットにして夢人に挑んでいる。

 なればこそ、最大限まで自分の命も利用して計画を進めることを決めたのだ。

 

「さて、出番だよ!」

 

 さらにもう1枚ディスクを取り出して、シンは放り投げた。

 ディスクから光を放ちながら、モンスターが登場するのは先程と同じ。

 しかし、今度のモンスターはシンが対夢人用に用意した特別なモンスターである。

 

「フシュルルル!」

 

 人の顔のような体に2本の腕がついたモンスター……WDヘッド。

 特異な姿こそしているが、フェンリルや牛鬼ほど大きくない。

 攻撃手段もリーチのまったく足りない両腕を振り回しながらの体当たりしかない上、スライヌやシカベーダー達のように素早くもない。

 弓や銃、魔法などの遠距離での攻撃手段を使えば、一般人でも簡単に討伐できるようなモンスターである。

 

 ――ただ1点、その凶悪すぎる特徴を除けば。

 

「頼んだよ、君達!」

 

「フシューッ!!」

 

 にやりと笑ったシンの指示に従い、1体のWDヘッドが夢人へと突撃していく。

 だが、夢人は警戒しない。

 先程までのモンスター達同様、赤い右腕で薙ぎ払おうとする。

 

「シ――ッ!?」

 

 WDヘッドに構わず、シンに近づこうとした夢人を爆風が襲う。

 誰かが夢人に爆弾を投げつけたわけではない。

 爆風の発生源は、夢人が歯牙にもかけなかった存在――WDヘッドだ。

 

 ……この爆発する特徴こそ、WDヘッドが危険なモンスターである証拠だ。

 頭のような体から常に蒸気を噴き出している姿は正に爆弾そのものである。

 中途半端にダメージを与えると、今のように爆発するので手に負えない。

 今回はシンの指示通り、夢人に近づくと同時に自爆したのである。

 

(よしっ……!)

 

 爆風でよろめく夢人を見て、シンは確かな手応えを感じた。

 とある理由でモンスターを使役して戦わせるスタイルを貫かなければならないシンと、今の夢人は最悪の相性である。

 しかし、相性が最悪なだけで、今の夢人も無敵ではない。

 現にシンはルウィーで夢人がサイタマに倒されている姿を目撃している。

 そこから得た対夢人用の戦法こそ、今のWDヘッドによる自爆攻撃だ。

 

(確かに、その赤くなった右腕は脅威に値する。でも、所詮それは右腕だけ……他の部分が人間のままならば、いくらでもやり様はある!)

 

 いくらワンダーのボディを破壊する力やモンスターを光の粒子に変えてしまう能力があっても、それは右腕に近づいた場合の話。

 その前に自爆してしまえば、夢人に防ぐ手段はない。

 夢人の他の部分は人間のままなのだ。

 体全体で衝撃を受ける爆風を防ぐことはできない。

 ダメージが積み重なれば、当然サイタマの技を食らった時同様に気絶するとシンは考えている。

 

「じゃあ、どんどん頼むよ!」

 

「フシャーッ!!」

 

 待機していた残りのWDヘッド達を、シンは夢人に突撃させる。

 勢いよく飛ぶ出していく爆弾モンスター達に、夢人は初めて顔を歪めて後ろに飛ぶ。

 

「ぐっ!?」

 

 爆風に脅威を感じ、WDヘッドから距離を取りたい夢人。

 しかし、WDヘッドは夢人を逃がさないように追いかける。

 

「あれあれ、どうしたんだい? 俺のことを許さないんじゃなかったのかい?」

 

「――ッ、シンッ!!」

 

 今の冷静な判断を下せない暴走状態の夢人は、簡単にシンの挑発に乗ってしまう。

 だが、それは自らWDヘッドに近づくことになり……

 

「ッぁ!? んぐっ!?」

 

 爆風に身を晒してしまう結果になった。

 襲い掛かってくる爆風の熱に肌が燃え、衝撃で吹き飛んでくる石つぶてが夢人を傷つける。

 それでも夢人は止まらず、シンに向かっていく。

 

「シィィィィィンンンッ!!」

 

「ご苦労様。そして――残念賞だ」

 

「チッ!?」

 

 横から飛び出してきたフェンリルが壁となり、夢人の右腕はシンに届くことはなかった。

 このフェンリル、シンが最初にディスクから呼び出して待機させていた1匹である。

 粒子となったフェンリルが完全に姿を消す頃には、既にシンは退避を完了させていた。

 

「そして、これでチェックメイトだ」

 

 指で拳銃のような形を作ると、シンは気障っぽく宣言する。

 すると、残りのWDヘッド達が夢人を取り囲む。

 自爆される前に夢人は退避しようとするが、その前に1体のWDヘッドにくの字に曲がった白い鉄板がぶつかった。

 衝撃により自爆する個体が他のWDヘッドを巻き込み、夢人は爆風の中に取り残されてしまう。

 

「ふぅ、ご苦労様」

 

「シャッ!」

 

 シンの労いの言葉に答えたのは、顔にWDヘッドに投げつけた鉄板を取り付け直したオレンジ色の小人のようなモンスター……ブーメランである。

 着脱可能な顔の鉄板を投げることが出来るブーメランを、シンは最初から潜ませていたのだ。

 全てのWDヘッドが夢人を取り囲む瞬間を待ちながら。

 

(まあ、これだけ傷めつければ気絶してくれるかな?)

 

 普通の人間であるなら大怪我どころの話では済まない惨状を作り上げても、シンは軽く考えていた。

 たび重なるWDヘッドの自爆により、総合技術博覧会会場の周辺は酷い状況だった。

 しかし、焼け野原を作ってもシンは全く気にしていない。

 加えれば、シンは夢人がどんな状態であろうとも生きてさえいれば、デルフィナスも満足するだろうとしか考えていない。

 

「……ぐぅっ」

 

「おいおい、どうしてアレで立っていられるのかなぁ?」

 

 黒煙が晴れると、シンの予想に反して立ったままの夢人がそこに居た。

 しかし、体中傷だらけで血を噴き出し、フラフラと今にも倒れそうである。

 

「やれやれ、おまけの1回で倒れてもらいたいものだね」

 

 肩をすくめながら、シンは新しいディスクを取り出す。

 当然、ディスクの中から呼び出されたのはWDヘッド。

 

「今度こそ、本当にチェックメイトだ。大人しく眠ってくれたまえ」

 

 向かってくるWDヘッドに対して、夢人は避ける素振りも見せない。

 動くことすらままならず、俯いたまま立ち尽くすだけだった。

 そんな夢人の姿に、自身の勝利を確信していたシンは……

 

「――ウゥゥアアアァァァッ!!」

 

「っ!?」

 

 突然、空を見上げて雄叫びを上げる夢人に悪寒を感じてしまう。

 理屈ではなく、本能的に背筋が凍りつくような感覚に襲われたのだ。

 

 ……その時、夢人の体内の中で水晶の1つが弾け飛ぶ。

 

「フシュ……」

 

 口からも蒸気を噴き出して爆発寸前だったWDヘッドだったが、急にその動きを止めてしまった。

 振り上げていた両腕をだらんと垂らしながら、WDヘッドはシンへと振り返る。

 

(何だ? いったい何が起きているんだ?)

 

 嫌な予感を感じつつ、シンは命令外の行動を取るWDヘッドを観察する。

 いつもは相手に噛みつかんばかりに上を向く体が、今は俯くように下を向いていた。

 だが、変化はそれだけではない。

 WDヘッドの体が徐々に赤黒く変色していっているのだ。

 

(赤く……染まった、だと? そんな変化、俺は知らな――っ!?)

 

 WDヘッドに起こった未知の変化に気を取られていると、シンの顔の横を何かが通り過ぎた。

 慌てて身を翻して避けると、そこにはWDヘッド同様に体を赤黒く染めたブーメランが自身に鉄板を投げつけたことを嫌でも理解してしまう。

 

(モンスターが俺に攻撃を? 馬鹿な、いったいどう言う――っ、まさか!?)

 

 本来であれば絶対にあり得ないブーメランの行動に、シンは珍しく動揺してしまうが、すぐに原因が何にあるのかを悟る。

 この状況で夢人が関係していない訳がないからだ。

 

「アァ……グゥッ!?」

 

 その夢人本人はと言うと、雄叫びを上げた直後に顔を歪めて体を丸めていた。

 うめき声を漏らしながら、痛みに耐えているようであった。

 同時に爆風によって負った傷が見る見るうちにふさがっていく。

 

(傷が治っていく……いや、何か違う?)

 

 遠目から見ても消えていく夢人の傷に、シンは妙な違和感を覚えた。

 明らかに自然治癒の速度を超えている回復速度はもちろんだが、その過程が不自然だった。

 まるで映像を逆再生して観た時のような違和感を、シンは夢人の治癒に感じてしまう。

 

「グルルルッ……!」

 

「――なっ!?」

 

 しかし、それ以上ゆっくり考えていられる時間はシンに残されていなかった。

 聞き覚えのある唸り声に振り向くと、そこにはWDヘッドやブーメラン同様に赤黒く染まった自身が呼び出したモンスター達が居たのだから。

 

(あ、あはは、これはまいったね)

 

 気が付けば、立場が逆転してしまっていた。

 自身を取り囲む赤黒く変色したモンスター達を見回し、シンは頬を引きつらせてしまう。

 

(どう見ても厄介なことになっているよ。本当、ままならないものだね)

 

 リスクを承知の上で甘んじて襲撃を受けたものの、さすがに今の状況は想定外だった。

 許されるのなら、シンは思いっきりため息をついて現実逃避をしてしまいたくなってしまう。

 

「ガアアアッ!!」

 

「っと、考え事をしている暇もないか!?」

 

 だが、赤黒く変色したモンスター達はシンに考える時間を与えない。

 シンは飛びかかって来たフェンリルを前転することで避ける。

 次にハンドアックスを振り上げる牛鬼を目で捉えると、肩から倒れるように横へ転がる。

 

(さすがにこの数はきつい!? どうにかして包囲網を抜けないと!?)

 

 地面を転がりながら襲い掛かってくるモンスター達の攻撃を何とか避け続けるシンは焦っていた。

 立ち上がる暇すらないのだ。

 致命傷こそ受けていないが、ブーメランの鉄板やフェンリルの爪が掠り、牛鬼のハンドアックスで巻き上げられた石つぶてが体中を襲っている。

 

 ……しかし、打開策を思いつく前に、シンはそいつに背中からぶつかってしまった。

 

「フシューッ!!」

 

「っ、しまっ――」

 

 失態に気付いたシンが振り向くよりも早く、その視界を強烈な光が覆った。

 同時に背中から熱と衝撃を受け、シンの体が宙を舞う。

 

 ――それはWDヘッドが自爆した衝撃だった。

 皮肉にも、対夢人用に考えていた戦法を身を持って体験してしまったのである。

 

「っあ、がっ!?」

 

 受け身すら取れず胸から地面に落下したシンは、その勢いのまま2転3転と地面を転がる。

 無残に焼け落ちた服の背中から覗く肌は、焼け爛れて痛々しい。

 ぬるりと額から流れる血を感じられるだけの意識は繋ぎ止めたシンだったが、手も足も動かせそうになかった。

 

「シン……!」

 

(……ああ……ここ、まで……なの……か)

 

 そんな身動き1つ取れないシンに、夢人は赤黒く染まった瞳を爛々と輝かせながら近づく。

 混濁していく意識の中で、シンは己の最後を悟る。

 抵抗する気力すら湧きあがらず、静かに目を閉じてとある存在を思い浮かべる。

 

「――トリャアアアアアッ!!」

 

「あぐっ!?」

 

 しかし、予測していた死の一撃はやってこなかった。

 代わりに聞こえてきたのは、知らない女性の声と鈍い音……そして、夢人のうめき声だった。

 

「やーっと見つけたと思ったら、随分と変なことになっているね」

 

「いやいや、アレを変な状態で片づけるのは無理があるですの」

 

「それよりもこっちの人を心配してよ!? 大丈夫ですか!? しっかりしてください!?」

 

 体を揺すられ目を開くと、そこにはやはりシンの知らない3人の女性が居た。

 悲痛な顔で呼びかけてくる青いロングの髪の女性――5pb.はシンの容態に慌てているが、垂れた兎耳のような帽子を被った少女――がすとは冷静にポケットから緑色の液体の入った瓶を取り出す。

 

「これで火傷はどうにかできるですの。少ししみますけど、男は黙って我慢ですの」

 

「ぐっ……」

 

「とりあえず、これで応急処置は終わりですの。5pb.は早くこの人を安全な所に運んで欲しいですの」

 

「分かった!」

 

 感覚の麻痺していた背中に冷たさを感じながら、シンは5pb.に支えられながら歩く。

 そんな無防備なシンに向かって行こうとする夢人であったが……

 

「――ちょっとちょっと。アタシ達を無視するなんて、酷いんじゃないの?」

 

 ライダースーツの女性――日本一が首に巻いていたマフラーで器用に夢人の左腕を拘束する。

 

「へぇ、そんなこともできたんですの。と言うよりも、その無駄に長いマフラーに意味があったこと自体驚きですの」

 

「ふっふっふっ、実はこう言うシチュエーション憧れてたんだよねー! ほら、なんかカッコよくない?」

 

「……あ、やっぱりただの馬鹿だったですの」

 

 ドヤ顔で嬉しそうに語る日本一を見て、がすとは呆れて半目になってしまう。

 役に立っているのが事実だが、その理由がくだらなかった。

 

「ふんっ」

 

「って、ええええ!? ちょっと何してくれてるの!?」

 

 コント染みた掛け合いをする2人を無視し、夢人は鋭く尖った右手の爪で左腕を拘束しているマフラーを斬ってしまう。

 意図も簡単に拘束から逃れた夢人に、日本一は怒鳴り散らかす。

 

「このマフラー、お気に入りだったんだからね!? 特注サイズで、どこにも売ってないのに!? どうしてくれるの!?」

 

「……今はそんなことを気にしている状況じゃないですの。日本一、空気読めですの」

 

「何をー!? じゃあ、がすとはその帽子をズタズタにされても怒らないって言うの!?」

 

「がすとのこれにはちゃんと予備があるですの。って言うか、そもそも大事な物ならちゃんと考えて使えですの」

 

 緊張感の抜けるような会話を続ける2人に、夢人は苛立ちを募らせる。

 歯を剥き出しにして2人を睨みつける。

 

「……さて、おふざけはここまでにするですの」

 

「そうみたいだね。マフラーの弁償代は元に戻してからってことにしておくよ」

 

「そんなのどうでもいいですの」

 

 腰を落とす日本一と、杖を構えるがすと。

 口調は軽いが、臨戦態勢を整えながら夢人の前に立ちふさがる。

 

「――そいつで最後か」

 

 緊張感が高まる中、ゆっくりと歩きながら近づく男性が居た。

 薄汚れたマントを身に纏った剣士――ディックである。

 

「お、前は……ッ!」

 

 ディックの顔を捉えた途端、夢人から放たれる殺気は倍増した。

 その変化に、日本一とがすとは身を強張らせてしまう。

 だが、向けられている当人は……

 

「うん? どこかで会ったことがあったか?」

 

 ……首を傾げて、やはりコイツも空気を台無しにするのであった。

 

 

*     *     *

 

 

「はあ……はあ……ぴいちゃん、待って」

 

「ロム、おそい!! もっとはやく!!」

 

 ラステイションの街をロムとピーシェは走っていた。

 逃げ惑う人々の間をすり抜けて、騒ぎの中心に近づくために。

 

「今からでも戻らない? きっとナナハちゃん、心配しているよ?」

 

「やだ! ぴい、ぜったいにぷるるととねぷてぬのところいくの!」

 

 一緒に留守番をしていたナナハに黙って出てしまったことに対する後ろめたさと、ピーシェの安全を考慮したロムの提案は即座に却下された。

 首を横に大きく振り、頑としてピーシェは退かない。

 

「わるいやつ、ぴいがぜんぶやっつける!! そしたら、ねぷてぬもぷるるともみんなげんきになる!!」

 

「ぴいちゃん……」

 

 ピーシェも決して考えなしで飛び出したわけではない。

 夢人のことがあって、沈んでいるネプテューヌやプルルート達を元気づけたいのだ。

 そんなピーシェの思いを聞き、ロムは気だるい感覚に襲われながらも力強く頷く。

 

「うん、じゃあ一緒に行こう(ぎゅっ)」

 

「おー!!」

 

(ぴいちゃんはわたしが守る。わたしも女神なんだから)

 

 はぐれないようにピーシェと手を繋ぎ、ロムは総合技術博覧会の会場へと進む。

 その胸に小さな勇気を灯らせて。




と言う訳で、今回はここまで!
……書いている途中にモンスターは思いだしたのに名前が出てきませんでしたorz
WDヘッドとか……うん、全然名前出てこなかったです。
それでは、 次回 「激・突・枯・渇」 をお楽しみに!
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