超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
1カ月以上更新が滞ってしまい、すいませんでした。
PCの不調で続きを書くモチベが上がらず、積みゲーと積んでるアニメを消化してました。
それでは、 鋼・鉄・復・活 はじまります


鋼・鉄・復・活

「――ゲイムギョウ界と激突する。分かりやすく言えば、この大地が4つの大陸の上に落下すると言うことだ」

 

 重々しく告げるマジェコンヌ。

 だが、話をされているネプギア達はいまいちピンとこない。

 

「えーっと、どうしてギョウカイ墓場のシェアエナジーがなくなるとゲイムギョウ界に激突するんですか?」

 

「どうせ貴様らに詳しく説明した所で理解できんだろう? だったら、事実だけを受け止めておけ」

 

「いや、そうかもしれないけど……」

 

 困った顔で尋ねるネプギアの質問に、マジェコンヌはまともに答えようとしない。

 もっとも、ネプギア達の知識がマジェコンヌに追いついていないのは事実であるが。

 それでも納得しきれないユニが食い下がろうとする。

 

〔まあ、少しくらい説明してあげてもいいではありませんか〕

 

「……エヴァ」

 

〔あなたが説明しないのであれば、私の方から簡潔にお話しさせていただきます――そうですね、ギョウカイ墓場は大きな亀さんの背中に成り立つ世界なんです〕

 

『亀?』

 

 フォローを入れたエヴァの発した単語に、ネプギア達はさらに困惑してしまう。

 

〔いいですか? 大昔、世界は大きな亀さんの背中の上に成り立つと考えた人間がいました。その人は海には端があり、地震は亀さんが移動したせいで起こるものと考えたそうです〕

 

「いえ、あの、その意味が……」

 

〔実はギョウカイ墓場も同じなのです。さすがに大きな亀さんの背中にあるわけではありませんが、ギョウカイ墓場は甲羅の上のような小さな世界なのです。要するに、大地をある一定の区間だけ“切り取った”世界でギョウカイ墓場は成り立っているのですよ〕

 

「“切り取った”……って、もしかして『再誕』の力が関係しているのですか?」

 

 エヴァの説明は例えのせいもあって、ネプギア達には難解に聞こえた。

 しかし、聞き流せない部分に、ハッとしてネプギアはエヴァに尋ねる。

 

〔そうですね。そもそもギョウカイ墓場は『再誕』の力で切り取られた大地ですから。元々はゲイムギョウ界と同じ次元にあって……〕

 

「おい、そこまでにしておけ。どうせ今のコイツらに言った所で混乱するだけだ」

 

〔確かに……では、これだけは覚えておいてください。ギョウカイ墓場は蓄えたシェアエナジーによって世界を維持できる特別な大地であることを〕

 

 詳しく説明し始めようとしたエヴァを、マジェコンヌが諌めた。

 中途半端で終わった説明に不満げなネプギア達に構わず、強引にマジェコンヌは話を進めようとする。

 

「分かったな? 今はそれで納得をしておけ。どうせ後で嫌でも理解させられるのだからな」

 

「えっ、それってどう言う……」

 

「んんっ! とにかく、そう言う事情で貴様らを集めた訳だが、事態はそこまで切迫しておらん。ただ、このままの状態が続けば、ギョウカイ墓場もゲイムギョウ界もお終いと言う話だ」

 

 マジェコンヌの物言いに引っ掛かりを感じたネプギアであったが、無理やりな咳払いのせいで追及できなかった。

 すると、マジェコンヌはジト目でネプギア達を見回す。

 

「そこでだ。どうして貴様らを集めたかと言うとだな、このシェアエナジーが流出している先がマジック達が向かった先だからだ」

 

「っ、それってわたし達も夢人達の所に行けるってこと!?」

 

「理論的には可能だな」

 

 ラムの口にした疑問を、マジェコンヌは肯定した。

 それを聞いたネプギア達の顔はパアッと明るくなる。

 しかし、マジェコンヌと話を大人しく聞いていたネリネの顔は渋い。

 

「まあ、直接見れば分かるか。ついて来い」

 

 多くを語らず、マジェコンヌはネプギア達を問題の起こっている場所へと案内するのだった。

 

 

*     *     *

 

 

「ハア、ハア……うぐっ」

 

 剣を支えに膝立ちで息を荒げるレイヴィス。

 その姿は数分前と比べものにならないくらいボロボロであった。

 体中傷だらけで、服には赤い痕が数多く滲んでいる。

 

(いったい何なんだ!? この夢人の力はいったい!?)

 

 レイヴィスの視線は無傷のまま立っている夢人から離れない。

 同じように痛めつけられて地面に倒れ伏している日本一達を心配する余裕もなさそうだ。

 しかし、夢人は自身を見続けているレイヴィスや倒れている日本一に向いていない。

 

「お前を倒す!! 俺の邪魔をするな!!」

 

「……邪魔をする気はないのだがな」

 

 この場において、立っていたのは夢人とディックの2人だけだった。

 しかし、それは夢人がディックを狙っていなかったわけではない。

 むしろ、レイヴィス達のことなど無視して、夢人はディックだけを狙い続けている。

 今も休むことなく、赤黒い右腕でディックを襲い続けている。

 

「行くぞッ!!」

 

「むっ!」

 

 前屈みになると同時に地面を蹴り、夢人はディックの懐に飛び込む。

 そのまま夢人が突き出した右手の爪を、ディックはかろうじて避けることに成功する。

 だが、その頬には赤い線が走っていた。

 

「ッ、ダァッ!!」

 

「ぐっ!?」

 

「ふんッ!!」

 

 そのまま横薙ぎに振るわれる赤黒い右腕を、上体を無理やり後ろに倒すことで避けるディック。

 上半身の代わりに浮き上がった下半身の力を利用し、ディックは夢人の頭へ回し蹴りを放つ。

 しかし、その一撃は左腕でガードされてしまう。

 

「チッ!?」

 

 思わず舌打ちを鳴らすディック。

 今の夢人は明らかに先程までと違う。

 それは赤黒くなった右腕以外も使い始めたことである。

 

「もらったッ!!」

 

 回し蹴りを弾かれて体勢を崩したまま無防備になったディックに、夢人は赤黒い右腕を向けた。

 躊躇いは微塵も感じられない。

 ただ真っ直ぐ、鋼鉄すら破壊する右腕で生身のディックを襲う。

 

「っ、させるかーっ!!」

 

「ッ、チッ!?」

 

 しかし、そんな夢人の行動を、慌てて飛び出した日本一が邪魔をした。

 日本一の飛び蹴りを忌々しく思いながら、夢人は右腕の軌道を修正して防御する。

 その間にディックは素早く夢人から距離を取る。

 

「っと、そろそろ目を覚ましなよ!? 全然らしくないよっ!?」

 

「うるさいッ!!」

 

 右腕を蹴り上げ、日本一は華麗に宙返りをして夢人から離れた。

 先程の行動――ディックを殺していたかもしれない光景を思い、日本一は悲痛な顔で夢人に呼びかける。

 だが、夢人は耳を貸すことなく一蹴し、再びディックへと向き直る。

 

「この、分からず屋っ!!」

 

 話を聞きもしないことを悲しく思いながら、日本一は夢人を止めるべく動きだす。

 先程壊されたプリニーガンの残骸を夢人に投げつけると同時に駆け出した。

 

「せいやーっ!!」

 

「フンッ!!」

 

「……ふぇ? って、うわあああっ!?」

 

 日本一の狙い通り、夢人がプリニーガンを右腕で弾いたことで正面に隙が生まれた。

 右腕がカバーに入るよりも速く蹴りを叩き込もうとしたが、伸ばした足のつま先は空を切る。

 夢人がするりと体を横にずらして避けたからだ。

 目の前を横切ろうとする足首を右腕で掴むと、夢人は力任せに日本一を投げ飛ばす。

 

「でええいっ!!」

 

 投げ飛ばした日本一の方を向いている隙に、立ち上がったサイバーコネクトツーが夢人を背後から襲う。

 夢人が振り返る前にサイバーエッジを振り抜こうとして……

 

(――っ、また避けられた!?)

 

 必中だったはずの2振りの刃は空を切ってしまう。

 後ろに目がついていなければ、不可能な無駄のない回避だった。

 しかし、サイバーコネクトツーに驚愕していられるだけの時間はない。

 

「えっ、ちょっ!? そんな猫みたいに……って、嘘おおおお!?」

 

「アタタタ……何とか無事に――もがっ!?」

 

「んにゃ!?」

 

 両手両足を地面につけて呆然としていたサイバーコネクトツーの服の襟を摘み上げ、夢人は日本一と同じように放り投げる。

 しかも、それが日本一を投げ飛ばした方向と同じであったため、2人は互いに顔から激突してしまう。

 重なるように倒れる2人に興味を示すことなく、夢人は再びディックに標的を定める。

 

「っ、させないですの!!」

 

 だが、それをいち早く察知したがすとが阻もうとする。

 うつ伏せのまま杖だけを夢人に向けて魔法を放つ。

 頭上から降り注ぐ広範囲の光の柱、フォルクスリートを避ける手立ては夢人にない。

 

 ――しかし、そんな不可能を赤黒い右腕が可能にしてしまった。

 

「なっ!?」

 

 まさかの事態に、がすとも思わず絶句してしまう。

 避けられたり、防御されたりするのならば分かる。

 だが、夢人は赤黒い右腕で光の柱をかき消してしまったのである。

 鬱陶しいと言わんばかりに頭の上で薙いだ赤黒い右腕に当たった光の柱が霧散してしまう光景を見て、がすとは戦慄してしまう。

 

(ありえないですの!? いったい何をすれば、あんなことが出来るんですの!?)

 

 魔法に精通しているからこそ、がすとは先程の夢人が見せた防ぎ方が異常にしか思えなかった。

 普通、魔法はその効力を発揮するまで消えることがない。

 例えば、ヒールなら傷を修復し、フォルクスリートなら定めた範囲に重圧を落とすなど、1度発動すれば決められた効果を発揮する。

 しかし、先程の夢人は既に放たれたフォルクスリートを発生していたはずの重圧ごと、赤黒い右腕でかき消してしまったのだ。

 つまり、ただ光の柱をかき消しただけでなく、フォルクスリートと言う魔法自体を破壊したとしか、がすとには思えないのである。

 

 ……だが、無条件と言うわけではなかった。

 

「ごふっ!?」

 

 突然、夢人の口から血が噴き出した。

 よく見れば、赤黒くなった右腕からも血が流れ出している。

 吐血も流血もこれが初めてではない。

 その証拠に夢人の服は己の血で真っ赤に染まっていた。

 レイヴィス達の服を汚している血も大部分は夢人のものである。

 

「今度こそ、お前をッ!!」

 

「また来るか……!」

 

 しかし、それでも夢人はディックに向かって駆け出す。

 血塗れになっても止まらない夢人を前にして、ディックは苦々しく思いながら回避に全神経を集中させる。

 

 ……何故ならば、今のディックには武器である剣がないからだ。

 これでもし、剣があれば夢人を無力化できたかもしれない。

 だが、そんなifは別として、ディックはそれ以外の理由で今の夢人にやり辛さを感じている。

 

(っ、何だと言うんだ!? 何故、俺は殺されそうになっていると言うのに……)

 

「ガアアアアッ!!」

 

(――この男に敵意を抱けない!?)

 

 それはありえない感情の変化だった。

 ディックは当然、何の説明もなく理不尽に命を奪われるつもりはない。

 しかし、殺意を叩きつけてくる夢人に対して、ディックの中から闘争心が失われていく。

 まるで自分の中からごっそりと大切なものが消えていくような虚脱感を襲われていた。

 

「もう、やめろっ!!」

 

 そんなディックのピンチを救うべく、レイヴィスは再び作りだした剣を夢人に投擲する。

 だが、その悲痛な叫びや飛来する剣も夢人には届かない。

 

「邪魔だ!!」

 

(なっ、爆発しないで消えた!? いや、だがそれでも!!)

 

 投げた剣は目暗ましの煙になることなく、夢人に近づくだけで光となって消えてしまう。

 シンが召喚したモンスターやがすとの魔法と同様に、赤黒い右腕に触れる前に消滅してしまったのである。

 まさか自分の剣も消されるとは思っていなかったが、レイヴィスはそこで止まらない。

 一気に駆け出し、夢人の腰目掛けてタックルをする。

 

「正気に戻れ!! お前は自分が何をしようとしているのか分かっているのか!!」

 

「うるさいッ!! 離せッ!!」

 

「っ、ネプギアは!! 今のお前を見て、ネプギアがどう思うのかを考えろっ!!」

 

「――ッ、ネプ……ギア……」

 

 引き剥がそうとする力を強める夢人に、レイヴィスは苦し紛れでネプギアの名前を出した。

 すると、夢人は先ほどまでの様子が嘘のように静かになってしまう。

 

「……そうだ……俺はネプギアを……」

 

 後ろに数歩よろけ、夢人は呟く。

 怒りに満ちていた表情を俯かせ、左手で顔を覆いながら。

 

「お前に何があったのかは分からない。だが、今のお前を見て、ネプギアが悲しむのは分かる。俺達も同じだ。だから……」

 

「――勝手なことを言うな」

 

「何?」

 

 このまま押し切ろうとするレイヴィスの説得を、夢人は冷たく切って捨てる。

 顔を覆っていた左手で髪を掻き上げ、赤黒く変わってしまった右手に目を向けながら口を開く。

 

「貴様らに俺達の何が理解できる? 俺もネプギアもずっと、ずっと一緒に居たかった。それだけだった。それだけでよかったんだ」

 

「おい、夢人!? しっかりしろ!?」

 

「なのに、どうしてだ? 何故、それまで否定されなければならない? 俺とネプギアが何をした? 俺達は一緒に居ることすら許されないとでも言うつもりかッ!!」

 

 瞬間、比喩でなく空気が震えたのをレイヴィス達は感じた。

 顔を上げた夢人は先程までよりも強い憎悪を表出していた。

 

「俺は許さないッ!! シンをッ!! そこの男をッ!! 邪魔をする貴様らをッ!! この世界をッ!!」

 

 それは呪詛の言葉だった。

 すると、まるでその声に応えるかのように、再び暗雲が夢人の真上で渦巻き始める。

 

「だから、もっとだッ!! もっと力をッ!! もっとッ!! もっとだッ!!」

 

「っ、ぐっ!? 何だ、これは!?」

 

「どうした!?」

 

 不意にディックが胸を押さえて膝をついてしまう。

 慌てて尋ねてくるレイヴィスにも答える余裕は今のディックにない。

 何故なら、この場にそぐわない感情――強烈な殺気を放つ夢人が近くに居ると言うのに、安らぎにも似た穏やかな気持ちを抱きかける自分に戸惑っていたのだから。

 

「何がどうなって――ぐっ!?」

 

「ぬっ!?」

 

 事態の急変に頭が追いつかないレイヴィス。

 だが、夢人は彼を待たない。

 暗雲から再び赤い稲妻が夢人に直撃し、目も開けていられない閃光が広がる。

 

「まさか、またなのか!?」

 

 咄嗟に顔を庇った腕を除け、レイヴィスは雷に打たれた夢人に目を向ける。

 示し合わせたように血のような赤黒い光しか認識出来ない夢人の瞳と目が合う。

 その光に見つめられてレイヴィスが背筋を凍らせていると、夢人は徐に赤黒くなった右腕を天に掲げる。

 

「――裁定者の槍よ」

 

 そう呟くとともに、握りしめられた右手を中心として赤い光の粒子が溢れだした。

 やがて、赤い光は巨大な戦斧――ポールアックスへと姿を変えた。

 見覚えのあるその武器を目にし、レイヴィス達は驚愕する。

 

「なっ!? それはジャッジ・ザ・ハードの!?」

 

「審判の時を刻め――断罪の……」

 

「っ、マズイですの!?」

 

 ポールアックスの刃に高まっていく魔力を感知し、がすとは叫んだ。

 しかし、夢人がポールアックスを振り下ろすのを誰もが見ていることしかできなかった。

 

「クリミナルハウンドッ!!」

 

 ――大地が揺れ、衝撃が走る。

 ポールアックスを突き刺した地面から波紋が広がるように、大地が隆起して舞い上がった岩石がレイヴィス達を襲う。

 

(剣を……いや、間に合わない!?)

 

 迫りくる巨大な岩を前にして、レイヴィスは動けないでいた。

 ポールアックスが生み出した衝撃のせいで、彼の足がまるで縫い付けられているかのように地面から離れないのである。

 それはディックも同じであり、2人は眼前に迫る大岩を見つめることしかできない。

 

 ――その時、2人を庇うように大きな影が割って入ってくる。

 

〔うおおおっ!!〕

 

 影は叫びながら拳だけで大岩を砕いてしまう。

 それもそのはず、影は明らかに人ではなかったのだから。

 

〔すまない、遅くなった〕

 

 影は謝罪を口にしながら、顔だけ唖然としているレイヴィス達へと振り返る。

 

「……ワンダー、なのか?」

 

〔そうだ。間に合ったようで安心したぞ〕

 

 影――ワンダーはレイヴィスの問いに肯定を示した。

 だが、その姿はバイク状態のビークルモードでも、人型になれるアーマーモードでもない。

 体長3mを超える翼を持った人型ロボット。

 細部とカラーリングは異なるが、その姿はかつてのワンダーの姿そのもの……ハードブレイカーのものだった。

 

 

*     *     *

 

 

「何よ……これ……!?」

 

 その光景を見て、ユニは絞り出すように声を漏らした。

 ユニだけでない。

 一緒にマジェコンヌに連れられてやってきたネプギア達も絶句している。

 

「見ての通りだ。これがさっきエヴァが説明したギョウカイ墓場の端さ。そして、アレが……」

 

〔マジックさん達のいる場所に繋がっている穴です〕

 

 無慈悲に告げられた真実を前に、ネプギア達は何も言えなかった。

 全員、ここに連れて来られる前までは希望に溢れていた顔が一転して青ざめている。

 それもそのはず、宙に浮かんだ穴はアカリが開けたものとはあまりにも違いすぎたのだから。

 

 ――灰色。

 世界が色を失くしたかのように、渦を巻いている穴を中心として灰色としか認識できない空間が存在しているのだ。

 唯一穴の中に赤い閃光のようなものが見えるが、それ以外の色は全くない。

 

「どうしてこんな……」

 

〔先程も説明した通り、ギョウカイ墓場は蓄えられているシェアエナジーで維持されている狭い世界です。本来であれば、空間を歪曲させて世界の端と端を繋げているのですが、現在の急激なシェアエナジーの低下によってそれが不可能になっているのが目の前の現象です〕

 

「要はこの灰色の空間がギョウカイ墓場全体に広がった時が、ゲイムギョウ界と激突する時と言うわけだな」

 

 淡々と説明するエヴァとマジェコンヌに、ネプギア達は二の句が継げないでいた。

 現実にギョウカイ墓場の崩壊を目撃して危機感が急激に募っていたのである。

 

「で、でも、まだ大丈夫なのよね? まだゲイムギョウ界にぶつからないのよね?」

 

「計算上はな。このペースなら、後1年以上は……」

 

 ラムがビクビクしながらマジェコンヌに尋ねている傍から、灰色の空間に変化が起こる。

 渦の中から飛び出した赤い閃光がバチバチと、まだ色の残っている空間に広がる。

 すると、赤い閃光に色を奪われ、灰色の空間がネプギア達の見ている前で、それまでの3倍以上の大きさまで拡大してしまう。

 

〔……情報を修正します。このままのペースですと、1ヶ月も掛からずギョウカイ墓場はゲイムギョウ界と激突すると出ました〕

 

「うむ、さすがにマズイな」

 

「いや、マズイってレベルじゃないでしょ!? 緊急事態じゃないですか!?」

 

 冷静に残酷な現実を告げるエヴァとマジェコンヌに、ユニは堪らず叫んだ。

 むしろ、冷静なのは2人を除くとネリネだけである。

 

「ど、どどどどうしよう!? も、もしかして私達が何かしちゃったのかな!?」

 

「お、落ち着いてよ!? わたし達来たばかりだし、何もやってないし!?」

 

「あーあー!? 吾輩は知ーらない!? 吾輩は何も見てないし、聞いてないからな!?」

 

「こんな時にふざけている場合か!? とにかく、この現象を早く止めなければ!?」

 

「そんなのどうすればいいのよ!?」

 

 ネプギア達は慌てふためき混乱することしかできなかった。

 そんな彼女達を見て、ネリネはため息をつく。

 

「バカばっか」

 

「言ってやるな。私もここまで早くなるとは予想外だった」

 

「そんなことはどうでもいい。これを解決するための方法は1つだけのはず」

 

「っ、それっていったい!?」

 

 マジェコンヌを睨むネリネが口にした言葉に、フェルは大きく反応した。

 ギャーギャー騒いでいたネプギア達も静かになり、その解決策を聞き逃さないように黙る。

 

「――ワタシが無能の力を使えばいい。それで解決する」

 

 ネリネの出した解決策に全員が驚くが、1番衝撃を受けたのはフェルだったろう。

 その力を持っている本人でも、目の前の現象をどうにかする方法など想像もつかなかったのだから。

 

「駄目だ。それだけは出来ない」

 

「……どうして?」

 

「今の貴様が使った所で、そこの小僧と同じように暴走するのが目に見えているからだ」

 

 断言するマジェコンヌを睨んでいたネリネが、瞬時にフェルをギロリと見据えた。

 忌々しそうに唇を噛みしめ、フェルだけを見つめる。

 その視線に耐えられず、フェルは息を呑んで後ずさってしまう。

 

「なら、いい。もうここに用はない」

 

「あっ、ネリネちゃん!? どこに行くの!?」

 

 怯えた表情をするフェルに興味を失くしたのか、ネリネはネプギアの声に答えることなくどこかへ行ってしまった。

 

「放っておけ。どうせ行き先は分かっている。今はそれよりも貴様らにこれを対処してもらわなければならない」

 

「……その方法とはいったい?」

 

「簡単なことだ。ここを通って、元凶を大人しくさせて来いと言う話だ」

 

 ブレイブの問いかけに、マジェコンヌは渦を指さして答えた。

 シェアエナジーの急激な低下が原因なら、その根本から対処する……単純明快な解決方法だ。

 

「ただ少し問題があってな。この渦はアカリが作ったものほど安全ではない。しかも、ギョウカイ墓場に蓄えられていた負のシェアエナジーが満たされている。つまり、貴様ら女神候補生が通ろうものならば……」

 

「ならば?」

 

「マジック達の所に着く頃にはシェアエナジーがなくなり、干物のような状態になっているかもしれないな」

 

「何ですか、それ!?」

 

 冗談のように言うマジェコンヌに、ネプギア達は冷や汗が止まらない。

 思わずペラペラになってしまった自分達を想像してしまったからだ。

 

「冗談ではない。むしろ、干物の方がマシな状態だ。運が悪ければ、塵も残さず負のシェアエナジーの波に溶けて消滅してしまうかもしれないからな」

 

「笑えないし、怖いわよ!? じゃあ、どうすればいいのよ!?」

 

「うむ、この渦を通れるのは負のシェアエナジーに耐性があり、向こうで問題に対処できる力がある者だけだ。つまり……」

 

 その条件に合致する人物は1人だけだった。

 マジェコンヌの視線につられて、ネプギア達もその人物に目を向ける。

 ……多大な不安を抱えて。

 

「えっ? まさか……吾輩、だけ?」

 

 ――そう、トリック・ザ・ハードである。




と言う訳で、今回はここまで!
……オルフェンズも亜人も1期を観終わる前に2期が始まってしまったorz
まあ、PCの問題と言うよりもネット環境を無線にしてから、よく回線が途切れてしまうのが地味にストレス。
固まってからの再起動に慣れてしまった自分が悲しい。
それでは、 次回 「少・女・覚・悟」 をお楽しみに!
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