超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
新作であるUの発売日まで1週間きったんですね。
PVを見たら、あのハードブレイカーのやられる姿が忘れられなくなってしまいました。
……うん、本当はチョイ役だったっていうのはわかってるけど、何だか少し悲しくなってきたんです。
それでは、 流れ星のように はじまります


流れ星のように

 俺、御波夢人は他人よりもいろいろな経験をしている自負がある。

 ある日突然全裸でゲイムギョウ界に召喚されたことや、死を覚悟して記憶の全てを失った経験なんて、そう滅多に遭遇することではないだろう。

 と言うより、そんな物騒なことが溢れている世の中は嫌過ぎる。

 他にも、俺の常識では考えられないモンスターやロボット、挙句の果てに犯罪神なんて呼ばれる正直よくわからない奴とも戦ったことがある。

 俺の肖像権が創作物に奪われたり、周りから変態だとか気持ち悪いだとか罵られることなんてよくあることだ。

 思い返せば、涙が出てしまうほろ苦い思い出ばかりな気がする。

 ……そんないろいろな意味で経験豊富な俺だけど、今体験していることは未知の領域だった。

 

 ――メイド服を着て空から落ちるなんて夢にも思わなかったなぁ。

 

 って、いやいやいやいやいや!? これ、どうなってるの!?

 俺、さっきまでリビートリゾートにいたよな!?

 海で潮風を感じていたのに、今はもの凄い空気抵抗を感じるんだけど!?

 青空見て現実逃避なんてしている場合じゃない!?

 は、早く何とかしないと!?

 

「わああああああああああああ!?」

 

 と言っても、今の俺に出来ることなんて何もなく、情けなく悲鳴を上げることしかできない。

 動こうにも風の影響で体の向きすら変えることができない。

 仰向けの体勢のまま、頭から地面に落下するしかない未来が脳裏によぎり、俺は悟ってしまった。

 

 ……あ、これ死んだ。

 死ぬんだったら、あの時ネプギアが何を言いたかったのかを聞いてから死にたかったなぁ……

 

「なっ、もしかしてに……へぶっ!?」

 

「おごっ!?」

 

 俺の予想に反して、地面はかなりの柔らかさを誇っていた。

 ……いや、地面じゃないことはわかってる。

 よく聞き取れなかったけど、誰かと似ている声が聞こえてきたし、俺はその人物に助けられたんだ。

 その際、後頭部が弾むような何かにぶつかって首に痛みを覚えたけど、それだけで済んだのは本当にその人のおかげだ。

 そのままその人ともつれ合いながら転がり、俺が馬乗りの体勢で止まった。

 

 助けてくれた人には悪いけど、俺も自分のことが手いっぱいだった。

 空中からの落下と転がったことで脳が揺れ、気持ち悪さを感じながら妙に痛む顔を擦ることを優先してしまう。

 

「イタタタ……ここはどこなんだ?」

 

 視界に映った景色は、明らかにリビートリゾートではなかった。

 それどころか、俺が見たことも来たこともない場所だ。

 でこぼこして荒れている地面と砕けた水晶みたいなもの、折れている木々……って、いったいここで何があったんだ?

 なんだか、すごく物騒な感じがする場所だな。

 

「……落ちてくるのはヒロインだけだと思ってたわ」

 

 その声にハッとして、俺は聞こえてきた声の方を向いた。

 ここがどこで、自分が今どんな状況に陥っているのかもわからない俺であったが、そこにいた人物のことだけはわかった。

 

 ――ネプテューヌ。

 ネプギアの姉であり、プラネテューヌの女神である彼女が『変身』した姿で宙に浮いていたのである。

 

 

*     *     *

 

 

 自分が漏らしてしまった言葉に夢人が反応を示したことが、ネプテューヌの困惑を深めてしまう。

 ただ反応しただけならば問題なかった。

 しかし、夢人が明らかに自分の姿を見て驚いている様子に、ネプテューヌは戸惑いを隠せない。

 

(何なの? わたしがどうかしたのかしら?)

 

 ネプテューヌはいぶかしみながら夢人を観察する。

 

 空中から突然降ってきたメイド服姿の変態。

 自分の姿を見て、何故か目を見開いて驚いている。

 ……未だぴくぴくと痙攣しているように動いているブラックハートの上に馬乗りになっているのに気付いてなさそう。

 

 はっきり言ってしまえば、ネプテューヌは夢人に見覚えなどない。

 メイド服を着る変態なんて、知り合いに欲しくもないと思っていた。

 だからこそ、ネプテューヌは夢人が自分の姿を見て驚いている理由がわからない。

 

 単純に女神に会ったから驚いているようには見えない。

 ネプテューヌはそう言った人達とも何度か会ったことがある。

 皆、すぐに女神である自分に対して身を低くして挨拶をしだす者ばかりである。

 自身が信仰の対象となっているため、そう言う風な態度を取られてしまうことには嫌でも慣れていた。

 

 しかし、夢人はまったくその場から動くことなくネプテューヌを見つめ続けているのである。

 稀に、女神を目の当たりにして呆然としてしまう者も確かに存在する。

 ネプテューヌも最初、夢人もそう言った類の反応なのだと思っていた。

 だが、夢人の顔色に当惑が浮かんでいることに気付くと、ネプテューヌは考え方の切り口を変えてみることにした。

 

(もしかして、ここがどこなのかわからないのかしら? さっきもそんなことを言っていたし……それでも、彼がわたしを見て驚いている理由がわからないわ)

 

 ネプテューヌ達が今いる場所は、普通の人間に来られるような場所ではない。

 しかし、夢人はあろうことか空からやって来た。

 ここより上には大地が存在していないはずなのに、である。

 これだけでも怪しすぎるというのに、夢人は今いる場所さえもわからない様子であった。

 

 自分の意思でここに来た可能性は限りなく低い。

 戸惑っている理由は、ここがどこなのかわからないから。

 何故だかわからないけど、自分を見て驚いている謎の多い変態――――それがネプテューヌの夢人に抱いた印象である。

 

 空から落ちてきたこともさることながら、メイド服姿と言う変態的な印象が強い。

 ネプテューヌ自身は冷静に考えようとするのだが、どうしても夢人に対して変態だと言う考えが浮かんでしまい、まともに思考を巡らすことができないでいた。

 しかも、その変態から熱い視線を送られており、ネプテューヌは軽く恐怖も抱いていたのである。

 

(と、とりあえず、彼が人間であることは間違いないし、話を聞いて下界に戻ってもらった方が……)

 

「あ、あああ、あああああああ……」

 

 ネプテューヌが夢人の態度にやや引き気味になりながらも話しかけようとした時、どこからかくぐもった声が響きだす。

 声の出所は夢人のスカートの中、つまり……

 

「きゃあああああああああああああああ!?」

 

「うおっ!? ……ぎゃぶっ!?」

 

 ようやく意識を取り戻したらしいブラックハートは甲高い声で悲鳴を上げながら上半身を起こすと、自分に馬乗りになっていた夢人を思いっきり突き飛ばす。

 突然の事態に夢人は顔面から地面へとぶつかり、無様にも尻を突き出している姿勢になってしまう。

 当然、スカートはまくれ上がり、憐れにもパンツを露出してしまっている夢人に、傍から見ていたネプテューヌ達は揃って1歩下がってしまった。

 

 一方、上半身を起こしたブラックハートは顔を真っ青にしてガタガタと震えながら両肩を強く抱きよせていた。

 

「な、何か、ふにって、生温かくて柔らかいものが……っ!? そ、それに、わ、私、い、今の今まで……っ!?」

 

 噛み合わない歯をカチカチと鳴らしながら、ブラックハートは先ほどまで自分が感じていた感触を忘れられずにいたのである。

 夢人が空から落ちるのが初めての体験であるように、ブラックハートも男性に馬乗りになられるのは未知の経験であったのだ。

 しかも、露出度の高いプロセッサユニットを装着している状態であったため、ブラックハートはより鮮明に夢人が馬乗りになっていた感触を肌で感じ取ってしまっていたのである。

 

「イテテテ……って、あれ?」

 

「ふ、ふふふ、ふふふふふふふ……」

 

 顔を真っ青にしたブラックハートが俯きだすと、夢人が体を起こして何が起こったのかを確認するために振りかえった。

 そこにいたのは、夢人がネプテューヌ同様に知っている人物である女神の1人であった。

 

 またもや目を丸くしてきょとんとし出す夢人とは違い、ブラックハートは顔を伏せたまま低い声で笑い出す。

 嫌な予感を感じた夢人は頬を引きつらせながらブラックハートから距離を取ろうとする。

 しかし、未だ立ち上がっておらず、体を回転させて尻餅の体勢でいたことが災いしてしまう。

 ジャリッと夢人の体が砂を擦るような音が聞こえると、ブラックハートはガバッと顔を上げる。

 その表情は怒りに歪んでおり、ぎろりと夢人を睨みつけていた。

 

「よくも……よくもやってくれたわねっ!!」

 

「あ、いや、待てって!? いろいろと誤解はあるだろうけど、俺だって今の状況が……」

 

「誤解なわけないでしょっ!! この変態っ!!」

 

「ふごっ!?」

 

 憤怒の表情で自分を睨みつけるブラックハートを宥めようとする夢人であったが、言い訳すらできずに殴り飛ばされてしまう。

 ブラックハートからしてみれば、状況証拠だけでも夢人が怪しい変態だと断定するのは当然であるからだ。

 夢人にとって幸運だったのは、転がった際にブラックハートが大剣を手放していたことである。

 もしも、ブラックハートの手に大剣があったのならば、夢人は即座に斬り捨てられていただろう。

 

 ――しかし、それもすぐに現実になってしまう。

 ブラックハートは怒りに震える肩を揺らしながら、ゆっくりと愛用の大剣を拾い上げると、その切っ先を殴り飛ばした夢人へと向けた。

 

「許さない!! 絶対に許さないわよ、この変態が!!」

 

「お、おい、落ち着けって!?」

 

「そうですわ!? さすがにそれはいけませんわ!?」

 

「うるさいっ!! あなた達は黙ってて!!」

 

 鬼のような形相で、今にも夢人に斬りかからんとするブラックハート。

 さすがに止めようとするホワイトハートとグリーンハートの言葉を一蹴し、ブラックハートは大剣を夢人へ向けて振りかぶる。

 

 ――だが、ブラックハートの大剣は夢人との間に割り込んだネプテューヌの刀剣によって防がれてしまった。

 

「……どう言うつもりよ?」

 

「あなたの方こそ、自分が何をしようとしているのかわかっているのかしら? いくら変態が許せないと言っても、彼はわたし達女神が守るべき人間の1人なのよ」

 

「うっ」

 

 最初は自分の行動を阻害したネプテューヌを睨んでいたブラックハートであったが、その言い分を聞くと決まりが悪そうに顔をしかめてしまう。

 いくらブラックハートにとって許すことができない恥辱を与えた変態だとしても、夢人はあくまで人間である。

 女神としての誇りが高いブラックハートは、それをネプテューヌに指摘されて己の行いを恥じていたのだ。

 

「この変態が怪しいと思っているのはわたしも同じよ。でも、だからと言って人間を傷つけていいわけじゃないわ。ここはまず話を聞いてみましょう。そっちの2人もいいわね?」

 

「チッ、テメェに言われなくてもそれくらいわかってるよ」

 

「ええ、わたくしも異論はありませんわ」

 

 ブラックハートの怒気が鳴りをひそめたことを確認すると、ネプテューヌは残っている2人にも聞こえるように提案を持ちかけた。

 2人とも多少なりとも守護女神戦争が中断されることに思うことがないわけではないが、それ以上にこの場所に突然現れた夢人の存在が気になっていたのである。

 

「ああもう!! わかったわよ!! でも、その変態が本当に危ない奴だってわかったら、私が斬り伏せるからね!! いいわね!!」

 

「そもそもその変態はそんな格好をしているだけで、充分危険だと思いますけどね」

 

「そこっ!! 人の揚げ足を取るな!! 私の言いたいことはそう言うことじゃないわよ!!」

 

「んなのはどうでもいいだろ。どっちにしろ、その変態から話を聞かなきゃ始まんねえんだしよ」

 

 完全に怒りの矛先を見失ったブラックハートは八つ当たり気味に大剣を地面へと突き刺すと、両手で髪をかきむしりだす。

 それでも収まりがつかず、ブラックハートは眉を吊り上げながら夢人を指さして宣言する。

 だが、それを聞いて困ったように笑うグリーンハートのつぶやきに反応し、ブラックハートは即座に噛みつきだす。

 このままではいつまでも話が進まないと危惧したホワイトハートは、眉をひそめながら顎をしゃくって夢人を指す。

 ……そこには座りながら両手で頭を抱えて落ち込んでいる夢人の姿があった。

 

「……そんな変態変態って言わなくても」

 

「言われたくないのなら、その似合わない女装はやめておくべきだったわね」

 

 ぶつぶつと不平をこぼしていた夢人に、ネプテューヌは真顔で言ってのける。

 自分でもわかっていたことを改めて指摘され、夢人はガクッと肩を落としてしまう。

 だが、落ち込んでばかりはいられないと、夢人はのろのろと顔を上げてネプテューヌを見つめながら口を開く。

 

「わかってるよ。とりあえず、ありがとうなネプテューヌ。あのままだと俺、本当に斬り伏せられちまうところ……」

 

「あなた、何でわたしの名前を知ってるの?」

 

「……へ?」

 

 夢人の言葉を遮り、ネプテューヌは目を丸くして疑問を口にする。

 それはネプテューヌだけでなく、他の3人も同様であった。

 この場に夢人が現れてから、ネプテューヌは名乗りも呼ばれもしなかったのだ。

 それなのにも関わらずネプテューヌの名前を知っていたことから、4人は夢人に対する警戒を強めた。

 

 対して、夢人はどうしてネプテューヌ達が驚いているのかがわからない。

 ネプギアやアイエフ達に比べれば浅い付き合いになるが、それでも一緒に戦った大切な仲間である。

 しかし、今のネプテューヌの問いかけはまるで自分のことを知らないと言っているも同然であり、夢人は戸惑ってしまう。

 

 ――その時、再び誰かの声が響きだす。

 

「その人間はネプテューヌの仲間だ。名前を知っていたことが何よりの証拠じゃないか」

 

『っ!?』

 

 誰とも知れない声にネプテューヌを除く3人の女神はハッとしてしまう。

 声の内容が真実であるならば、いろいろと辻褄が合うのだ。

 

「……なるほど。先ほどまでの自信はその変態を切り札として用意していたからなのですね」

 

「口では女神として人間を傷つけられねえって言っときながら、その変態を囮にしてわたし達を罠に嵌めようとしてたのかよっ!! テメェ、それでも女神なのかよっ!!」

 

「随分と姑息な手段をとるじゃない。まさかあなたがそんな卑怯な真似を平然とするような奴だとは思わなかったわ」

 

 グリーンハートは鋭く目を細め、ホワイトハートは歯をむき出しにしながらぎろりと睨み、ブラックハートは冷めた目で、それぞれネプテューヌを見つめる。

 3人とも抱いている感情に違いはあれど、ネプテューヌに怒りを覚えているのだ。

 

「ま、待って!? わたしはこんな変態なんて……」

 

「しらばっくれてんじゃねえよ!!」

 

「ぐっ!?」

 

 根も葉もない言いがかりを付けられたネプテューヌが反論しようとするが、それよりも早くホワイトハートが飛び出した。

 ホワイトハートは軽く跳躍しながら、思いっきり斧をネプテューヌへと振り下ろしたのである。

 間一髪のところで斧を刀剣で受け止めたネプテューヌであったが、その表情を苦痛に歪めて片膝をついてしまう。

 

「女神として恥ずかしくねえのかよ!! わたし達がしている守護女神戦争は真の女神を決める戦いだ!! それに変態と言えども、人間を巻き込んでんじゃねえ!!」

 

「だ、だから、わたしの話を……」

 

「――言い訳は不要ですわよ」

 

「っ、かはっ!?」

 

 怒りの感情をむき出しにするホワイトハートを宥めようとするネプテューヌであったが、その言葉が最後まで続くことはなかった。

 ホワイトハートの横から飛翔してきたグリーンハートが槍の石突きでネプテューヌの脇腹を強打したからだ。

 正面のホワイトハートにばかり気を取られてしまい、横からきたグリーンハートの攻撃に反応することが遅れたネプテューヌは苦しそうに息を吐きだしながら横に転がってしまう。

 

 ――しかし、そこには大剣を持ち構えていたブラックハートの姿があった。

 

「正直、あなたのことを見損なったわ。これでも私、あなたのことを……いいえ、もうそんなことは関係ないわね。私は女神として、卑怯な真似をしてまで勝とうとしたあなたを許さないっ!!」

 

 自分の方へと転がってくるネプテューヌを悲しそうに見つめながらブラックハートは小さな声でつぶやく。

 しかし、すぐに顔を引き締め大剣を横に振り払うと、真っ直ぐにネプテューヌへと弾丸のように飛び出す。

 その大剣の刃にブラックハートの感情を表すように紅蓮の炎が渦を巻いていた。

 

「はあああああああああっ!! でりゃあああああああっ!!」

 

「っ!? きゃあああああああっ!?」

 

 上手く呼吸ができずに霞む意識の中、かろうじて自分に迫ってくるブラックハートの姿を視認できたネプテューヌは何とか刀剣で防御しようとした。

 ……しかし、刀剣を大剣の盾とすることには成功したのだが、満足に力が入らないネプテューヌはブラックハートに押し飛ばされてしまう。

 ネプテューヌは何度も地面をバウンドしながら転がり、やがて戦いの舞台となっている大地から完全に弾き飛ばされてしまった。

 

「っ、ネプテューヌ!?」

 

「ちょっ、何をしようと……って、お待ちなさい!?」

 

 ネプテューヌが大地から落ちそうになっている姿を見て、夢人はようやく正気に戻ることができた。

 目の前で起きていた突然の事態に思考が停止していたのである。

 

 急に立ち上がり走り出した夢人を止めようとしたグリーンハートであったが、それは1歩遅い結果になってしまう。

 何故なら、夢人は躊躇うことなくネプテューヌを追って大地から飛び降りてしまったのだ。

 

「なっ、何考えてやがんだ、あの変態は!?」

 

「早く助けなきゃ!?」

 

「……駄目、ですわ」

 

 これにはさすがにブラックハートとホワイトハートも慌てだし、すぐに夢人を救出しようと同じように飛びだそうとした。

 しかし、先に大地から下を覗き込んでいたグリーンハートは表情を暗くして無念そうに俯きだす。

 

 グリーンハートの視線の先には、既に落ちていったネプテューヌと夢人の姿はなく、白い雲が浮かんでいるだけであった。

 

「……クソッ、何だってあんな真似しやがったんだよ」

 

「……あの変態、ネプテューヌの信者だったのかもしれないわね」

 

「だとしても、何でわざわざ自殺するような真似しやがるってんだよ!!」

 

「知らないわよ、そんなことっ!!」

 

 悔しそうに唇を噛みながらホワイトハートとブラックハートは夢人の消えていった雲を見つめていた。

 しかし、互いにやるせない気持ちを吐きだし、険しい表情で睨み合ってしまう。

 ここから下界に落ちてしまえば、女神ですら助かるかわからないというのに、人間である夢人が助かるはずがないとわかってしまうのが2人には辛かったのである。

 しばらく睨み合っていた2人であったが、やがて同じように背中を向けあう。

 

「……今日はこれ以上戦う気になれないわ」

 

「……同感だ」

 

 短くそう言いあうと、グリーンハートをその場に残して互いに別々の方向へと飛んで行ってしまう。

 2人の姿が完全に見えなくなると、グリーンハートは疲れたようにため息をついてしまう。

 

「はあ、わたくし達はこのような結末を求めていたというわけではありませんでしたのに……仕方ありません。わたくしもいつまでもここにいないで1度……あら?」

 

 夢人がネプテューヌを追って飛び降りるのを止められなかったことを悔やんでいたグリーンハートはしばらくその場にとどまっていた。

 しかし、いつまでもボーっとしているわけにもいかないと思い、先に飛んで行ってしまった2人のようにここを離れようとする。

 

 ――その時、グリーンハートの目にあるものが映り込む。

 

「これは、あの殿方の持っていたものでしょうか?」

 

 いつの間にか見覚えのないものが地面に落ちていたのを発見したグリーンハートは、それに近づいて拾い上げた。

 自分達が戦っている最中には絶対になかったはずのものなので、グリーンハートはそれが夢人のものだということは疑問を口にしながらも分かっている。

 

「これはいったい……っ!?」

 

 それが何なのかを確かめるグリーンハートであったが、突然目を見開いて驚愕の表情を浮かべてしまった。

 ……やがて、グリーンハートはそのまま夢人の所持品だと思しきものを持って、先にいなくなった2人同様にどこかへと飛んで行ってしまう。

 その表情は険しく何かを考え込んでいるようであった。




という訳で、今回は以上!
これでようやくRe;Birth1のプロローグが終わりましたね。
次回からようやく他の子達も登場させていきますよ。
それでは、 次回 「便利な言い訳」 をお楽しみに!
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