超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

16 / 129
はい、皆さんこんばんわ!
今回もちょっと長くなりそうなので、分割させてもらいました。
それでは、 ゲームオーバー? はじまります


ゲームオーバー?

 ――それは咄嗟の行動であった。

 

 落ちていくネプテューヌを視界に捉えた途端、夢人は自然と駆け出していたのだ。

 何故女神同士で争っているのかわからずに戸惑っていた夢人であったが、自分のせいでネプテューヌが3人にあらぬ誤解を受けたことだけは理解していた。

 ブラックハート達が聞いた声はネプテューヌと同様に聞こえなかったものの、自分が名前を呼んだことで変わってしまった空気は夢人も敏感に察知していたのである。

 だからこそ、夢人は目の前で繰り広げられた3対1の一方的な戦いを止めることができないほど焦ってしまっていた。

 実際に体を張らなくても、声を張り上げて3人の誤解を解くことすら思い浮かばないほど冷静じゃなかった夢人は、ただ呆然とネプテューヌがやられる姿を見ていることしかできなかったのである。

 

(クソッ、間に合ってくれっ!!)

 

 正気に戻った途端、夢人に襲いかかったのは激しい後悔であった。

 夢人はあの時、自分がネプテューヌにまるで初対面であるような態度を取られたことに驚かなかったら、少なくともブラックハート達が険悪な態度になることはなかったはずだと考えていた。

 

 そんな後悔に後押しされた夢人は考えるまでもなく、ネプテューヌを助けようと体を動かしていたのである。

 後ろからグリーンハートが自分を呼び止める声が聞こえてきたが、夢人は迷うことなく大地から飛び降りてネプテューヌの後を追ったのだ。

 

 一方、ブラックハートの一撃をくらって弾き飛ばされたネプテューヌは気絶しているらしく、まったく動く様子を見せずに仰向けの体勢のまま落下し続けていた。

 だが、しばらくするとネプテューヌの体全体を包み込むように不思議な光が発生する。

 すぐに光は霧散したのだが、その姿を先ほどまでブラックハート達と戦いを繰り広げていたものから大きく変化させていたのである。

 

 まず目についた変化は、大人の女性であった彼女の体が年若い少女のように縮んでしまっていたのである。

 髪を編み込むほど長く伸びていた髪は、肩までの長さになってツンツンと外側にはねている。

 プロセッサユニットは完全に消えてしまい、露出が多く扇情的であった黒いボディスーツも、少女の姿になった彼女には大きく見える白色と紫色の配色が特徴的なパーカーワンピースになっている。

 青い十字が刻まれていた黒くて丸いアクセサリーも、白いコントローラーの十字キーのような物へと変わっていたのである。

 

(マズイっ!? ネプテューヌの『変身』が解けちまった!? 早く起こさないと!?)

 

 少女の姿に変化したネプテューヌを見て、夢人は焦り出す。

 ネプテューヌの後を追って飛び降りたものの、夢人に2人で無事に助かる方法があったわけではない。

 唯一の方法は、プロセッサユニットで空を飛ぶことができるネプテューヌだけである。

 その肝心のネプテューヌが気絶していては話しにならない。

 

 夢人は自分よりも下に位置するネプテューヌを捕まえようと、必死に手を伸ばし続ける。

 元々の体格差もあり、夢人の方が落下スピードが速いので徐々にネプテューヌに近づきつつあった。

 だが、風圧のせいで真っ直ぐに腕を伸ばすことができず、夢人はネプテューヌを捕まえられずにいたのだ。

 

(後、もう少し、もう少し……っ!?)

 

 まともに目を開けていられないほどの風圧を感じながらも、夢人はようやくネプテューヌに手が届きそうな距離に辿りついたことに気付いた。

 夢人は伸ばしきれない腕を必死にネプテューヌへと向け、何とか捕まえようとする。

 そして、遂にその指がパーカーワンピースに触れようとした時……

 

 ――落下している2人の体を囲むように細長い何かが現れたのである。

 

 それはまるで渦のように何度も2人を囲むように動き続けると、次第に体にきつく巻き付きだす。

 すると、自然にネプテューヌはそれに押し上げられ、夢人は下げられるので、当然2人の体はぶつかってしまう。

 

『ぐえっぷっ!?』

 

 互いに胸を強打し合い、気絶しているはずのネプテューヌからも悲鳴が漏れだした。

 しかし、ネプテューヌの意識が戻ったわけではなく、閉じている瞼の奥で瞳がグルグルと回っている。

 夢人もただでさえ呼吸することが難しかった落下中に、引き上げられたネプテューヌの頭が胸を強打したことに加え、体をきつく縛るそれに圧迫されてしまい、肺の中に残っていた空気を全て吐き出してしまった。

 軽い酸欠状態に陥り、夢人は朦朧とする意識に抗うことができずに目を閉じてしまう。

 

「あらぁ~、ちょ~っと失敗しちゃったかしらねぇ」

 

 そんなどこか楽しげな間延びした声を聞きながら、夢人は意識を暗く沈ませていくのであった。

 2人を縛っている、刀身が鞭のようにしなっている剣を持つ女性の姿を見ることなく……

 

 

*     *     *

 

 

 ……背中と胸がすごく痛い。

 いや、他にも痛いところはあるんだけど、特にその2箇所が熱く腫れあがっているように痛む。

 何だか、まるで無理やりエビ反りにされたと思ったら、すごい勢いで何かにぶつかったような痛さを感じるよ。

 うぅぅ、背中辺りがミミズ腫れになってないかな?

 乙女の肌に傷が残ってないだろうか心配になりながらも、わたしは唸りながらゆっくりと意識を覚醒させていく。

 

「う、うーん……って、ここどこ?」

 

 わたしが目を開くと、目の前に真っ暗な空間だけが広がっていた。

 目隠しをされているわけでも瞼を閉じているわけでもないのに、わたしの視界は真っ暗としか言いようがない黒で塗りつぶされている。

 

「え、本当にここどこ? それに何でこんなに暗いのに、わたしの体はくっきりと見えてるんだろう?」

 

 真っ暗で何も見えないはずなのに、わたしは自分の体だけがはっきりと見えていることを疑問に思った。

 それはもう、どこからかライトアップされてますって感じで、ほつれている袖口までバッチリ見えてるよ。

 ……後で、直しておかないと。

 でもでも、わたしって裁縫得意じゃないし、袖口とスカートの端を縫い付けちゃったらどうしよう?

 うーん、結構お気に入りの服だから捨てるって選択肢はポイっと捨てちゃうし、妖精さんでもいいから誰かがわたしの寝ている間に直してくれないかな?

 

「って、そうじゃないよ。わたし、何でこんなところにいるんだろう……って、まさか!?」

 

 わたしの七色の脳細胞が全ての謎を解き明かしてくれた。

 真っ暗な空間、ポツンと1人にされている状況、輝いてるわたしの体……キーワードはすべて出そろっていたんだ!!

 ――そう、謎は全てまるっとするっとずるっとごりっとしていて、真実はいつだってわたしの中にあったんだよ!!

 

「わたし、体をいろいろと改造されちゃってるんだ!?」

 

 いつも通り平凡な生活を送っていたわたしだったけど、その可愛らしさに目をつけた変態に誘拐されたに違いない。

 だって、わたしってこんなに美少女なんだもん。

 しかも、昨今のヒロインからは考えられないほどの謙虚な態度や周りを魅了するスマイルを兼ね備えた、王道の愛され主人公タイプ。

 そんなわたしの魅力にノックアウトされた誘拐犯が、その変態的な欲求を満たすために改造を施したのが今の体。

 発光する体を持つ美少女、ピカテューヌにされちゃったんだ!?

 耳とか尻尾とか体色を黄色にされてないけど、ビリビリって発電できるようにはなってるかもしれない!?

 ……それはそれでいいかもしれないけど、ほっぺに赤い丸マークがつくのは嫌かも。

 って、そんなのんきなこと考えてる場合じゃないって!?

 こ、このままじゃわたし、手のひらに収まるぐらいのボールの中に無理やり詰め込められて出荷されちゃうよ!?

 そのままパチンコの景品としてショーケースに飾られちゃうかも!?

 

「は、早くここから出ないと!? 誰とも知らないご主人様の所でアーンなことやイヤーンなことをされちゃう!?」

 

 出口はわからなくても、わたしは慌ててこの暗闇から抜け出そうとする。

 自分の体しか見えないけど、この発光している体を使えば、必ず出口は見つかるはず。

 このまま変態が帰ってくるのをわざわざ待ってるほど、わたしは甘くないんだよ!

 さあ、自由への逃亡だって思いながら1歩目を踏みだすと……

 

「ふぎゅっ!?」

 

 ――――とっても柔らかかったです。

 

 いやいやいや、何でこんなに地面が柔らかいの!?

 しかも、変な声までしたよね!?

 

「むぎゅっ!? うぎゅっ!? みぎゅっ!?」

 

「あ、何だか楽しいかも」

 

 もしかして変なものを踏んでしまったのかと思い、その感触を何度も足の裏で確かめた。

 すると、踏んでいるものは面白いように音を出してくる。

 ……ああ、これはアレかな。

 踏むと音が飛び出すのと同時にいつもより高くジャンプできるブロック。

 つまり、これがこの空間を抜け出すための唯一の道なんだね。

 よーっし、そうとわかったら思いっきり踏み抜かないと……

 

「……おい」

 

「ねぷっ!?」

 

 わたしが位置の最終確認をするために踏み踏みしていると、急に足首に圧迫感を感じた。

 同時に誰かの低い声が聞こえてきて、わたしは思わず悲鳴を上げてしまう。

 

「いつまでも人の頭を踏みつけてるんじゃねえええ!!」

 

「きゃあああ!? ……うぶっ!?」

 

 怒鳴り声が響くと、わたしの足は引っ張られてしまった。

 そのままバランスを崩したわたしは背中から倒れてしまい、痛かった背中が余計に痛くなってしまう。

 

「イタタタ……いったい何が……っ!?」

 

 衝撃に備えて閉じてしまった瞳を開けると、そこには暗闇以外のものが存在していた。

 さっきまではいなかったはずの人物。

 わたしの体と同じように暗いこの空間の中でも着ている服さえ、くっきりとわかってしまう程クリアに見える。

 わたしを睨むように血走った目を鋭くさせている――メイド服姿の男の人。

 

「で、出たー!? 変態女装男!?」

 

「誰が変態だ!!」

 

「ねぷっ!?」

 

 見たまんまの感想を口にすると、変態女装男は容赦なく倒れているわたしの額にチョップを下してきた。

 眉間に落とされたせいで、割と本気で痛い。

 

「まったく、この格好のことは否定できないけど、いい加減変態呼ばわりはやめてくれよ。結構グサってくるんだからさ」

 

 変態女装男は額に手を当てながらため息をつく。

 その口ぶりは、まるでわたしと知り合いだと言わんばかりの気安さがある。

 ……え、こんな変態女装男ってわたしの知り合いにいたっけ?

 あれ? そもそもわたしって誰だっけ?

 

「え、えーっと、つかぬことをお聞きしますが、わたし達って初対面ですよね?」

 

「……はい?」

 

「と言うより、わたしって誰なのかなって」

 

 上半身を起こして口にした言葉は何故か敬語になってしまった。

 自分でも知らないうちに焦っていたんだと思う。

 尋ねてみると、女装変態男は目をパチクリとさせてわたしを疑わしげに見つめだす。

 そんな視線に耐えられず、わたしは指を頬に添えながら笑って場を和ませようとしたが失敗してしまい、引きつった笑みを浮かべてしまう。

 

「いや、何を言ってるんだよ? 俺とお前は初対面じゃないし……って、そう言えば、さっきも似たようなこと言ってたな。ネプテューヌ、お前達にいったい何があったんだ?」

 

 ぶつぶつと思案顔で女装変態男が、わたしの名前だと思われる言葉を投げかけた。

 ネプテューヌ、ネプテューヌネプテューヌ――うん、何だかわからないけど、しっくりくる。

 そっか、わたしの名前ってネプテューヌって言うんだ。

 

「そんなことを急に聞かれても困っちゃうんだよね。今の今まで自分の名前すらわからなかったんだし、さっきとかお前達とか何があったのかもわかんないんだよね」

 

「お前、それって……いや、まだ頭の中が混乱しているだけかもしれないな。そりゃ、あの3人から訳のわからない言いがかりを付けられてリンチにされた挙句、空から落とされれば思い出したくなくなる気持ちもわからなくはないからな」

 

「……えっ? わたしイジメにでもあってたの? しかも、空から落とされたって……あれ?」

 

 納得するように頷く女装変態男の言葉を理解すると、わたしっていったい何者なのかって言う疑問が膨らんでしまう。

 って、そんなことよりももっと重要なことがある。

 

「ね、ねえ、わたしって空から落ちたんだよね?」

 

「え、ああ、そうだ。俺も何とか助けようと追いかけて、そしてようやく気絶したお前を捕まえようとした瞬間、何故かよく思い出せないけど気絶しちまったんだよ」

 

「……それって、わたし達助かってないよね?」

 

「……あっ」

 

 わたしの指摘に女装変態男の顔が固まってしまう。

 ……うん、冷静に考えてみると、変態がわたしを誘拐して改造するなんて特撮やアニメみたいなことが起こるわけないよね。

 もっと現実的に考えてみれば、答えはすぐにわかったんだ。

 空から落ちたこと、2人して助かった記憶がないこと、出口の見えない真っ暗な空間……答えはズバリ1つしかなかったんだ。

 

「ここ、もしかして死後の世界なんじゃないかな?」

 

 言葉にすると、余計に現実味が湧いてくる。

 わたし達の体だけはっきりと見えるのは、もう死んじゃって幽霊になっているからじゃないかな。

 そう考えると、この現実離れした空間とわたし達以外誰もいないのことも説明がつく。

 きっとこの空間は死後の世界の案内人を待つ場所なんじゃ……

 

〔遅れてしまい、申し訳ございま……〕

 

『で、出たー!?』

 

 ――そう考えた瞬間、わたし達以外の声が響きだす。

 驚いたわたし達は声をそろえて叫んでしまう。

 

 ってか、遅れたって何!?

 死後の世界への案内が遅れたって言うの!?

 それじゃ、わたし達ってやっぱり死んじゃってるの!?

 と言うより、この天の声っていったい何者なの!?

 天使!? 悪魔!? それとも神様!?

 誰でもいいけど、地獄だけは嫌だよ!?

 

〔え、えっと、あの……〕

 

「お、おおおおお落ち着けネプテューヌ!? い、いい今思い出したけど、俺達誰かに助けられた気がするぞ!?」

 

「そ、そそそそそうなの!? だ、だったら、わたし達まだ死んでないよね!?」

 

〔確かにお2人とも、ただ気絶しているだけですよ〕

 

 天の声さんが困惑していると、女装変態男が衝撃的な一言を発した。

 でも、それが真実なら、まだわたし達には希望が残ってる!!

 光さす世界に戻ることができるはず!!

 それを裏付けるように天の声さんもわたし達がまだ死んでないことを教えてくれた。

 

〔ですから、とりあえず私の話を……〕

 

「そ、そうとわかったら、早く起きないと!?」

 

「だ、だけど、どうすれば目を覚ますことができるんだ!?」

 

〔いえ、あの落ち着いてください。私の話が終われば、すぐにお2人も目覚めるはず……〕

 

『そう言うことか!!』

 

 どうすればいいのかわからずに慌てていたわたし達に、天の声さんが天啓を授けてくれた。

 

 ――つまり、唐突なバトルパート突入ってことだよね!!

 姿が見えない天の声さんを倒せば、わたし達は元の世界に戻ることができる。

 天の声さんが何者かわからない以上、ここでおとなしく話しを聞いちゃうと、もしかしたらそのまま永遠の眠りにつかされちゃうかもしれない。

 だとしたら、わたし達が生き残る確実な方法は天の声さんを倒すことだけだよ!

 

 おそらく同じ考えに至ったんだと思う変態女装男とアイコンタクトを交わすと、お互いにすぐに行動に移す。

 わたし達は両手のひらを合わせ、激しくこすりだす。

 ここでポイントは祈るように頭を傾けること。

 そして、こう言う状況に置いて最も効果を発揮するであろう言葉を大きな声で叫ぶ。

 

『悪霊退散!! 悪霊退散!! 悪霊たいさーん!!』

 

 わたし達を死の世界に導くかもしれない天の声さん――もとい、悪霊を調伏しようとわたし達は必死に祈り続ける。

 専門家じゃないけど、こんな感じの祈祷の真似ごとをすれば、少なからず悪霊にダメージを与えられると思う。

 後は、わたし達の祈りが届くかどうかの勝負!

 絶対に負けられない戦いが、今ここに……

 

〔私は悪霊じゃ…………もう、2人ともいい加減にしなさい!!〕

 

 ……始まる前に怒られてしまった。




という訳で、今回はここまで!
うーん、そろそろこの作品を投稿して一カ月になるんですね。
それなのにまだOPが終わった段階だなんてorz
よし、次回は予定よりも先に進めていきましょう。
それでは、 次回 「便利な言い訳」 をお楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。