超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
この作品を投稿してから1カ月が経過しました。
まあ、だからと言って別に特別なことはしないですけどね。
それでは、 便利な言い訳 はじまります


便利な言い訳

「へぇー、それじゃわたしとゆっくんは知り合いだったんだね」

 

「ああ……ってか、俺のことをゆっくんって呼ぶのは変わらないんだな」

 

「え、わたしって元からゆっくんのことをそう呼んでたの?」

 

 ネプテューヌは立てた人差し指を頬に添えると、夢人の話に納得するように頷きながら口元を緩める。

 名前すら思い出せなかったことに少なからず不安を覚えていたため、ネプテューヌは自分を知る人物がいることに安心感を感じていたのである。

 対して、夢人は以前までと変わらない愛称で呼ばれたことにネプテューヌが本当に記憶喪失なのかと疑問を抱いてしまう。

 

(でも、レイヴィスの話だと、このネプテューヌは俺の知っているネプテューヌで間違いないんだよな。記憶喪失、そんなことは言ってなかったんだけど)

 

 夢人はレイヴィスから聞いた『神次元ネプテューヌV』と言う物語を思い出していた。

 内容を事細かに説明されたわけではないが、レイヴィスの話の通りであるならば、目の前にいるネプテューヌは自分と同じように訳もわからず知らない場所に落とされた可能性が高いと判断したのである。

 いろいろと聞いていた話と食い違いはあるのだが、元々自分やレイヴィス達のような本来の物語に登場しない人物がいるため、夢人はそもそもあまり当てにしていなかった。

 アイエフからも釘を刺された通り、参考程度にしておくつもりだったのだ。

 

 しかし、今現在進行形でネプテューヌと2人で巻き込まれたことを考えると、夢人は自分がその神次元に来てしまったのだと思っている。

 少なくとも夢人は先ほどまでネプテューヌ達が争っていた場所も、今いる場所のことも知らない。

 ましてや、ネプテューヌ達が戦っていた理由すらもわからない。

 同じ境遇に巻き込まれ、自分よりも情報を知っているであろうネプテューヌも記憶喪失になっているため、結局のところ夢人は何ひとつ事情が飲み込めないのだ。

 

「はあ、そうだよ。あの時はレベルの高い恋愛フラグイベントだとか意味のわからないこと言って、そう呼びだしたんだよ……本当に覚えてないのか?」

 

「うーん、そう言われても全然身に覚えがないって言うか、まったくもって思い出せないんだよね」

 

 不思議そうに首を傾げるネプテューヌを見て、夢人はため息をつきながら言葉を続ける。

 すると、初めて愛称で呼ばれた時のことを思い出し、夢人は肩から力が抜けてしまう。

 それまで『変身』後の姿でしか会ったことがなかったネプテューヌのギャップに呆れていたことを思い出していたのだ。

 しかし、すぐに顔を引き締めるとネプテューヌの目を真っ直ぐに覗きこんで尋ね出す。

 

 本当に記憶を失っているのならば、夢人も他人事ではいられないからだ。

 今でこそ記憶は戻ったが、夢人も以前に全ての記憶を失ったことがある。

 その時のネプギアの泣き顔を忘れられない夢人は、念入りにネプテューヌに確認する。

 ネプテューヌが記憶喪失になって1番ショックを受けるのはネプギアに違いないと思っているからだ。

 仲睦まじい姉妹の姿を知っているから余計である。

 

 だが、記憶を失っているネプテューヌにしてみれば、いくら尋ねられても答えようがなかった。

 真剣な顔で尋ねてくる夢人に申し訳なく思いながら、ネプテューヌは困ったように笑うしかなかったのである。

 

「まあそのさ、前のわたしのことはわかんないけど、恋愛フラグが立っちゃうくらいゆっくんとは親密だったってことでしょ? だったら、ここは1つ2人の愛の力で……」

 

「いや、そりゃ無理だから」

 

 話題を変えようと、わざとらしくもじもじと恥ずかしそうにするネプテューヌの言葉を夢人は真顔で否定する。

 思わずぎょっと目を見開くと、ネプテューヌは慌てた口調で夢人へと問いただす。

 

「ねぷっ!? まさかの即答!? せめて最後まで言わせてよ!?」

 

「いや、面倒くさいし、お前と恋愛フラグ立てる気ないからさ」

 

「しかも、ぶっちゃけられた!? と言うより、ゆっくん酷くない!? わたしみたいな美少女が恥じらう姿を見ても、何とも思わないの!?」

 

「うーん、思うところがないわけじゃないんだけどさ……」

 

 まくし立てるネプテューヌの言葉に、夢人は頬を掻きながら眉をひそめる。

 実際、夢人はネプテューヌの恥じらう姿を見て何とも思っていないわけじゃない。

 ただネプテューヌを通して、妹であり本命であるネプギアの姿がちらついてしまい、夢人はコメントし辛いのである。

 そんな煮え切らない態度をしている夢人を見て、ネプテューヌはやれやれと肩をすくめながら口を開く。

 

「もー、仕方ないなあ。ここはこのネプテューヌさんがヘタレなゆっくんのために一肌脱いじゃおうかな。ゆっくんたら、このままだと女の人よりも男の人が好きって感じになっちゃいそうだしね」

 

「おい、ちょっと待て!? 余計なお世話だし、俺はヘタレでもホモじゃないぞ!?」

 

「まったまたー、そんな恰好してて説得力があると思ってるの?」

 

「うぐっ!? だ、だから、これには深い理由があるんだよ!?」

 

 慌てだす夢人の姿に、ネプテューヌは内心でホッとしていた。

 夢人がまるで自分のことのように記憶がないことを心配してくれていることがわかっていたため、ネプテューヌとしては嬉しくもあったが、心苦しくもあったのである。

 だから、夢人が先ほどまでのようなシリアスな雰囲気ではなく、焦って自分の言葉を否定している姿の方が心情的に落ち着くのである。

 心配されるのは嬉しいけど、そのせいで知り合いだったかもしれない相手から距離を取られることがネプテューヌには辛く感じられた。

 だから、記憶喪失だからと言って心配しないでいいと言う夢人を気遣った結果、からかうような言葉になってしまったのだ。

 そのため慌てて弁解をしようとする夢人を無視して、ネプテューヌはにこにこと笑う。

 

「はいはい、ネタがあがってるのに言い訳するなんて見苦しいよ……そうだね、まずは特別レッスン1からいってみようか」

 

「だから、俺の話を……」

 

「それじゃ、ゆっくんもわたしに素敵なニックネームをつけてみよう!」

 

「はあっ!?」

 

 夢人は自分の言葉を遮り無駄にいい笑顔を浮かべながら親指を立てるネプテューヌに溜まらず驚きの声を上げてしまう。

 そんな目を大きく見開いて話しの流れが掴めないでいる夢人を無視して、ネプテューヌは楽しそうに言葉を続けていく。

 

「ほら、わたし達って所謂1つの運命共同体って言うか、一蓮托生って言うのかな? うーん、上手い表現が見つからないけど、崖から落ちそうになった相棒を気合を入れながら引っ張り上げるような関係になるんでしょ。だったら、わたしとゆっくんでもっと信頼度やシンクロ率を上げていかないといけないわけですよ。だから、まずは形からってことでお互いに愛称で呼びあおうよ」

 

「ちょっ、ちょっと待ってくれ!? そのいろいろと間違っていそうで間違ってない理論は何かおかしい!? そもそも愛称なんて付けなくても呼び捨てでもいいじゃないか!?」

 

「もー、だからゆっくんはヘタレなんだよ! もしかして女の子を呼び捨てにしているだけで優越感に浸っちゃうタイプ? そんな勘違いをしていると、ふとした瞬間その女の子が自分のことを好きなんじゃないかって勘違いしちゃうんだからね!」

 

「っ!?」

 

 慌てて変なことを言い始めたネプテューヌを止めようとした夢人であったが、その反論に思わず息をつまらせてしまい胸を押さえてしまう。

 夢人にはネプテューヌの指摘に心当たりがある。

 好かれているとまではいかなくても、告白して逃げられるような関係しかネプギアと築けなかったと勘違いしている夢人にネプテューヌの言葉は重く響いた。

 

 ――もしかして、自分がネプギアのことを愛称で呼んでいれば、告白の結果が変わったのではないか。

 割と本気でそんなことを考え出す夢人の顔を見て、ネプテューヌはニコニコと笑って頷く。

 

「うんうん、ゆっくんも納得したみたいだし、早速シンキングタイムといってみようか。ほーら、ゆっくん。好きなようにわたしのことを呼んでくれて構わんのだよ」

 

「えっ、あ、いや、急にそんなことを言われても……」

 

「ほーらほら、ネプえもんでもネプ公でも、ゆっくんの好きに呼んじゃってよ」

 

「う、うーん………………お義姉さん?」

 

 両腕を広げながら手首をクイックイッと自分の方へと招くように曲げてネプテューヌは夢人を急かす。

 ネプテューヌのことよりもネプギアのことを考えていた夢人は急に言葉を投げかけられて慌てふためいてしまう。

 何と言っていいのかわからない夢人であったが、期待するような目で自分を見つめるネプテューヌに何か言わねばならないと思い、咄嗟に自分の願望が込められた一言を口にしてしまった。

 すると、最初はポカンと何を言われたのかわからないようであったネプテューヌの頬が次第に引きつり出し、顔色も青くなって夢人から1歩引いてしまう。

 

「……うっわー、ゆっくんってそういう趣味の人だったの? いくらわたしの心が広いからって、女装した人にお姉さんなんて呼ばれたらさすがに引くわー」

 

「あっ、ま、待ってくれ!? そうじゃない!? そうじゃないんだよ!?」

 

 失言に気付いた夢人が必死に弁解しようとするのだが、ネプテューヌはまともに取り合おうとしない。

 それどころか、ネプテューヌの夢人を見る目は段々と優しくなっていく。

 

「わかってる。ゆっくんの言いたいことはちゃんとわかってるよ……わたしの中に甘やかしてくれる姉の姿を見ちゃったんだよね。そう思われるのはちょっと恥ずかしいし嬉しくもあるんだけど、さすがに女装している男の人を弟にするのはわたし的にNGな訳でさ。まずはその倒錯的な欲求を矯正してくことから始めようね。大丈夫、わたしはどんな変態趣味を持っていようとも最後までゆっくんの味方だからね」

 

「だから、違うって!? いいから、俺の話を……」

 

〔聞いて欲しいのは私の話です!!〕

 

 慈愛に満ちた目で見つめてくるネプテューヌに耐えきれず、夢人が声を張り上げて説明しようとした瞬間、ここにいないはずの第3者の叫びが木霊する。

 

 ……そう、2人は未だ真っ暗な空間にいたのである。

 

〔なんですか!! なんなんですか、お2人は!! 私の話も聞かずに、何でそんなのんびりとしていられるんですか!!〕

 

「えー、だって、目が覚めたらここから出られるんでしょ? だったら、慌てても仕方ないしさ」

 

〔だからと言って、普通はそんな風に開き直れません!! それよりも、何でお2人は私のことを無視していたんですか!!〕

 

「ぶっちゃけ、何だかすごく面倒くさそうな話しになりそうだった……もがもが」

 

「あ、あははは、ちょ、ちょっと2人で状況確認をしたかっただけですよ!? あ、あははははは」

 

 誰とも知れない怒声を適当に受け流すネプテューヌの口を塞ぎ、夢人はわざとらしく笑って誤魔化そうとするのであった。

 しかし、その顔には冷や汗が止めどなく流れており、夢人自身苦しい言い訳だと思っていることは明らかである。

 

〔はあ、もういいです。とにかく、私の話を最後まで聞いてください〕

 

「本当に悪い。ネプテューヌはともかく、俺も急にいろいろなことが起こり過ぎて冷静じゃなかった。わざと無視しているつもりはなかったんだけど、本当にごめん」

 

「あれ? ゆっくん、わたしはともかくって何?」

 

〔ふふ、いいんですよ。そうですね。ネプテューヌさんはともかく、普通の人なら喚き散らしても仕方ない状況なんですから〕

 

「あれれ? な、何で2人してわたしを引き合いに出しているのかな?」

 

 諦めたようにため息をつく姿の見えない誰かに、夢人は頭を下げて謝罪する。

 自分のこととネプテューヌのことで手いっぱいになっていたため、夢人は姿の見えない誰かの話にまで気が回らなかったのである。

 謝罪を受けたことで溜飲が下がった結果、声は優しく落ち着いた口調へと戻った。

 ……因みに、両者ともに引き合いに出されて困惑しているネプテューヌを意識して無視しているのは、下手につつくとまた話が進まなくなってしまうとわかっているからだ。

 

〔ゴホン、えー、それでは不本意ながら申し遅れましたが、私の名前は……〕

 

「ちょ、ちょーっと待ったー!?」

 

〔っ、こ、今度はいったい何なんですか!? これからようやく本題に入ろうと……〕

 

「いやいやいや!? そんなことしている場合じゃないよ!? わたしとゆっくんの体、何か透けてきてない!?」

 

「は? そんなことあるわけ……って、本当に透けてる!?」

 

 ようやく話が始められると機嫌が良さそうな声が響くのだが、途中で慌てたネプテューヌの声にかき消されてしまう。

 再度話を中断された誰かは若干怒気を孕んだ声でネプテューヌを注意しようとするのだが、事態は夢人も巻き込んで騒がしくなる。

 何故なら、真っ暗な空間の中でもはっきりとしていた2人の姿が段々と薄れてきていたのだ。

 疑わしげであった夢人も自分の体が透けてきているのを確認すると、さすがにネプテューヌ同様に声を荒げてしまう。

 2人が自分の体に何が起こっているのかわからない中、1人全ての事情を理解している声の主は慌てだす。

 

〔そんなもう時間が!? まだ何も話せていないと言うのに!?〕

 

「ど、どどどどうなっちゃうの!? わたし達、このまま消えちゃうの!?」

 

〔仕方ありません!? 私が何者かの説明もできませんでしたけど、お2人にお願いしたいことがあるんです!!〕

 

「それっていったい……」

 

「ま、待って待って!? 何でゆっくんはそんなに落ち着いてられるの!? それに、天の声さんでも悪霊さんでもいいから、わたしの疑問に答えてよ!?」

 

 悔しそうに姿の見えない誰かは2人に力の限り声を出して頼み込む。

 それを夢人が落ち着いた様子で聞いていられるのは、ネプテューヌと違って何度か自分の体が消えてしまうような体験をしたことと、話の通りであるならばただ気絶から目覚めるだけだとわかっているからである。

 焦り過ぎてそこまで考えが回らないネプテューヌを置いてけぼりにして、声は途切れ途切れになりながらも言葉を夢人達に伝えていく。

 

〔私を……助け……ゲイムギョウ……彼女……マジェ……〕

 

「全然聞こえないよ!? というより、そんなことはいいからわたし達を助け……」

 

「ネプテューヌは少し黙っててくれ!? お前の声がうるさくて全然聞こえ……」

 

 聞こえづらくなっていく声に、ネプテューヌは大声で騒ぎだす。

 そのせいでより聞きとり辛くなった夢人は慌ててネプテューヌの口を再び押さえようとするのだが、その前に視界が眩しいくらいの真っ白に染まってしまう。

 それはネプテューヌも同様であり、声の主に対する不満を最後まで口にすることができなかった。

 声も完全に聞こえなくなり、2人の意識も段々と薄れていく。

 

 ――やがて、意識がなくなると同時に暗い空間から2人の姿は忽然と消えてしまうのであった。

 

 

*     *     *

 

 

(……う、うーん、何故か頭がひんやりする)

 

 意識を浮上させた夢人が最初に感じたのは、不自然に冷たい後頭部の感触であった。

 恐る恐る夢人が目を開けると、そこには自分の知らない天井が映り込む。

 ゆっくりと上半身を起こそうとすると、夢人は自分がソファーの上に横にされているのがわかった。

 よく見てみると、枕代わりに氷枕で寝かされていたらしく、腹の辺りには毛布もかけられていた。

 

「あ、目が覚めたですか?」

 

「え、あ、は……いっ!?」

 

 きょろきょろと寝かされていた部屋を夢人が眺めていると、後ろから誰かが声をかけてきた。

 声のしてきた方を向くと、夢人はそこにいた人物の姿を見て驚いてしまう。

 

 クリーム色の髪の毛にアルファベットのCを模したワッペンがついている黒いヘアバンド。

 ニットのセーターに赤を基調としたチェック柄の短めのスカート。

 ――一緒に冒険をした仲間であるコンパがそこにいたのである。

 

(ど、どうなってるんだ!? 確か、コンパは神次元だと赤ちゃんのはずじゃ……)

 

「ずっと眠っていたですけど、気分はどうですか? まだ痛いところはあるですか?」

 

「へっ? あ、いや、痛いところなんて……っ、痛っ!?」

 

 レイヴィスから聞いていた話との食い違いに夢人が混乱していると、コンパは優しく気遣うように声をかける。

 慌てて意識を戻すと、夢人は髪を掻きながら返事をしようとしたのだが、突然頭痛に襲われてしまう。

 すると、コンパは急いで夢人へと近づいて頭を押さえようとする両腕を掴んだ。

 

「あ、頭がまだ痛いんですか!? よく診せてくださいです!!」

 

「あ、ああ。何でか知らないけど、この後ろ辺りが痛いんだ」

 

「触っちゃ駄目です!! 結構大きなコブになっているんですから!! もうしばらく冷やしておいてください!!」

 

 自分が知っているコンパよりも慌てているように見える目の前のコンパに戸惑いを覚えながらも、夢人は痛む箇所を報告する。

 話を聞いたコンパは有無を言わせない強い口調で夢人に氷枕を無理やり手渡した。

 どうしてコブができているのかわからない夢人であったが、指示通り氷枕を後頭部に当てると、コンパにほほ笑みながら礼を言うのであった。

 

「わかった。ありがとうな」

 

「お礼なんていいですよ。こう見えて、わたし看護学校に通ってるんですから……って、そうでした。わたしの名前はコンパって言うです。えっと、それでその……」

 

「あ、そっか。俺の名前は御波夢人。夢人でいいよ」

 

「はいです。オカマさんは夢人さんって言うんですね」

 

「って、ちょっと待て!? 誰がオカマだって!?」

 

 誇らしげに胸を張りながら自己紹介をしたコンパであったが、何故か急にチラチラと夢人を見てしまう。

 それを名前がわからないせいだと判断した夢人であったが、コンパの困惑は予想の斜め上であった。

 

「え、え、え? だ、だって、男の人でそんな恰好をしているなんて、オカマさん以外に考えられないような……」

 

「だから、俺はオカマじゃ……ぐっ!?」

 

 メイド服姿を着ていたことで完全にオカマだと勘違いしたコンパの間違いを正そうとした瞬間、夢人の頭に鈍い痛みが走ってしまう。

 興奮したことで添える程度であった氷枕を強くコブに押し当ててしまったせいだ。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「……だ、大丈夫だから。とりあえず、俺はオカマじゃないからな」

 

「わ、わかったです。で、でも、それならどうしてそんな恰好を?」

 

 痛みのせいで目尻に涙を浮かべている夢人に、コンパは戸惑いながらもその服装の理由を尋ねる。

 しかし、夢人にはコンパにどう説明したらいいのかわからなかった。

 

(振られた相手に振り向いて欲しかったから……なんて言ったら、ネプテューヌみたいに俺がホモだと思われるかもしれない。ってか、そんなこと恥ずかしすぎて言えるか!? でも、何か言わないと……っ、そうだっ!!)

 

 この状況でコンパに何と言ったとしても変態の言い訳にしかならないとわかっている夢人は内心で焦りを感じていた。

 しかも、相手は一緒に冒険をしたコンパではなく、別次元に存在している初対面のコンパである。

 メイド服を着ている時点でアウトだが、夢人はこれ以上目の前にいるコンパから変態から見られない言い訳を必死に考えていた。

 そして、実際に思いついたそれを実行に移すのであった。

 

「あ、あー、あたまがいたい。ど、どーしてこんなふくをきているのか、なにもおもいだせないなあ」

 

 ……わざとらしく棒読みで夢人はコンパから視線をそらしながら口にする。

 都合よく頭も痛いので何も覚えていないと言うことにして、お茶を濁そうとしているのだ。

 

 ――しかし、夢人はその行動がコンパにどう受け取られてしまうのかを失念していた。

 

「そ、そんなっ!? た、大変です!? 夢人さん、それって記憶喪失ってことです!?」

 

「……へっ?」

 

 ……御波夢人、別次元で新しく“記憶喪失”というレッテルを張られた瞬間であった。




と言う訳で、今回はここまで!
……うーん、できることなら毎日投稿ができるように時間が欲しいと思ってしまう今日この頃。
前作を投稿していた時を思い出すと、弛んでいるように感じるので気を引き締めませんと。
それでは、 次回 「ニートLv.1」 をお楽しみに!
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