超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
まずは報告で、ご覧の通り今作もすでに6人の方に評価していただきました。
評価をしてくださった皆様、本当にありがとうございます!
これからもご期待に添えるように頑張らせていただきます。
……でもまあ、今回も遅くなった割には文量の都合で区切ってしまったんですけどね。
それでは、 2度あることは3度目も はじまります


2度あることは3度目も

「もー! 戦えないんだったら、ちゃんと言っておいてよね!」

 

「……申し訳ございませんでした」

 

「スライヌさん達だったからよかったですが、モンスターさん達との戦いは本当に危ないんですからね」

 

「……以後、気をつけます」

 

 ……2人からの忠告が耳に痛いです。

 スライヌにやられて気絶してしまった俺に待っていたのは、心配そうな顔をしている2人だった。

 しかも、コンパに至っては俺の体に付着していたスライヌの粘液なのか体液なのかわからないゲル状の青い物体を丁寧に拭ってくれていた。

 ネプテューヌもネプテューヌで、周りを警戒していてくれたらしく、本当に俺は2人に頭が上がらない。

 ……と言うより、自分の惨めさに泣きたくなってくる。

 

「でもでも、わたし達は戦えないからってノシしたりするようなブラックなパーティーじゃないからさ。ゆっくんのことは、ちゃんとわたし達が守ってあげるからね」

 

「ですです。ゆっくんさんの分まで、わたし達がモンスターさん達と戦うです」

 

「……ありがとう、ございますぅ」

 

 ニコニコと笑いながら前を歩く2人の言葉に、俺は顔を俯かせて本当に泣きたくなってきた。

 

 ……どこからどう聞いても戦力外通知です、ありがとうございます。

 でも、俺が2人の足を引っ張っているのは事実だし、否定もできない。

 なにせ俺は今、魔法が使えないんだ。

 

 元々、俺が魔法を使えていた理由は体の中にアカリがいたからだ。

 アカリの魔力を使って、俺も自衛の手段として魔法を使うことができていた。

 まあ変なイメージが定着してしまい、常に失敗してしまう形での発動になっていたんだが、それでも俺がネプギア達と一緒に戦ってこれたのは魔法が使えたからだ。

 例え、自分の体を焼く火の魔法でも、両手を広げた範囲までしか発動できない土の魔法でも、重くて冷たい氷の魔法でも、強弱のコントロールが難しい風の魔法でも、俺にとっては立派な武器だった。

 傍から見れば、馬鹿なことをやっているようにしか映らなかっただろう。

 でも、俺はそんな失敗魔法を使って、あのブレイブやジャッジと戦うことができたんだ。

 皆に協力してもらって完成させた失敗魔法の4色連撃である風林火山や、そのパターンを変化させたノワール命名のキャトル・クルール・オーダーなんて言う技も身につけた。

 有り体に言えば、俺もゲイムギョウ界に来た当初よりもそこそこは戦えると思っていたんだ。

 

 ――しかし、現実は非常である。

 結局、俺の戦い方はアカリに頼りきりだったと言うわけだ。

 魔法が強かったのであって、俺が強くなったわけじゃない。

 現に、俺はまたスライヌに負けてしまった。

 アイツらが俺の苦手な犬に似ているのは関係ない。

 1番の原因は、俺が初めてゲイムギョウ界に来てから、まるで進歩していないことだ。

 前にケイブと特訓してた時にナナハに言われた才能がないって言葉が、俺の心に重くのしかかる。

 ゲイムギョウ界を、皆を……ネプギアを守ろうと思って磨いた技術はアカリの力であって、俺の力なんかじゃなかったんだ。

 

 ……魔法が使えない俺って、こんなにも無力だったんだな。

 戦いのほとんどを魔法に依存していた俺に残された武器は、拾った木刀だけ。

 しかし、木刀があったところでスライヌすら倒せなかった。

 今の俺がネプテューヌとコンパのためにできることって、いったい何だろう。

 

 両の拳を強く握りしめ、俺は自分にできることを考えながら2人の後を追っていく。

 悔しさを堪えるために噛み締めた奥歯に痛みを感じながら。

 

 

*     *     *

 

 

 1歩遅れる形でついてくる夢人を気にしながらも、ネプテューヌとコンパは目的地を目指した。

 しかし、俯きながら歩く夢人のことがどうしても心配になり、2人は時折チラチラと振り返ってしまう。

 

「……ねえねえ、やっぱりゆっくんの様子がおかしいよね?」

 

「……はいですぅ。怪我はしてなかったはずなんですけど、ゆっくんさんどうしたんでしょう?」

 

 顔を近づけてひそひそと小声で2人は言葉を交わしていく。

 夢人の様子がおかしいことは付き合いが短い2人にもはっきりとわかっているのだが、どうしたらいいのかわからず途方に暮れていたのである。

 

「……うーん、お腹がすいてプリンが食べたくなったとか?」

 

「……そんなねぷねぷじゃないんですから。でも、どうにかして元気にしてあげたいですぅ」

 

 こっそりと自分の願望を口にするネプテューヌであったが、コンパはまったく気がつかず、悲しそうな顔で夢人のことを見つめるだけである。

 しかし、当の夢人はコンパのその視線に気付くだけの余裕がなかった。

 すると、いつまでもうじうじしている夢人を鬱陶しく感じたのか、ネプテューヌは急に立ち止まって大声を上げる。

 

「あーもう!! わたしのゲイムギョウ界よりも広い心も、ここらが我慢の限界だよ!!」

 

「ね、ねぷねぷ? どうしたんです?」

 

「コンパはちょっと待ってて。今から、ゆっくんに一言物申すから」

 

「え、え、え?」

 

 話の流れについて来れずに目を白黒とするコンパを放置し、ネプテューヌは踵を返して後ろを歩いていた夢人へと詰め寄る。

 夢人も急に大声を上げたネプテューヌに驚いていたようで、顔を上げて呆然と立ち尽くしていた。

 

「やいやい、ゆっくん!! よくもパーティーの空気を悪くしてくれたね!! おかげでわたしのお腹が背中とくっつきそうになってるよ!! どうしてくれるの!!」

 

「……悪い。ってか、それって俺が関係してるのか?」

 

「当たり前でしょ!! ゆっくんが何を悩んでいるのかわかんないけど、いつまでも後ろでうじうじされてたら、わたしのデリケートな胃に穴があいちゃうよ!! そんでもって、胃がブラックホールみたいになってわたしにプリンを要求してきてるんだよ!!」

 

「……ねぷねぷ、それ意味が違うです」

 

「へ、そうなの?」

 

 眉を吊り上げて怒りをあらわにするネプテューヌに、元から2人に負い目を感じていた夢人はすぐに謝罪した。

 しかし、その内容に疑問を覚えて首を傾げてしまう。

 そんな夢人の様子を見て、ネプテューヌは勢いよくまくし立てるのだが、後ろから聞こえてきたコンパの声に目をパチクリとさせてしまう。

 すると、ネプテューヌは恥ずかしそうにわざとらしく咳をし、片目を閉じて夢人を上目遣いで見つめる。

 

「ご、ごほん! と、とにかく、ゆっくんがいつまでも元気ないと、わたしもコンパも元気がなくなっちゃうんだよ。ほら、パーティーは一心同体も同然でしょ? 悩みがあるなら、ちゃんと聞くからさ」

 

「……ありがとうな。でもさ、2人にこれ以上迷惑をかけるわけにはいかないからさ。悪いんだけど、気持ちだけ受け取って……」

 

「もー、そんなことは言いっこなしだよ。と言うより、ゆっくんってば全然わかってないじゃん!! わたしは別にゆっくんのこと、迷惑だなんて思ってないよ!!」

 

「うおっ!?」

 

 無理に笑みを浮かべる夢人の顔を指さし、ネプテューヌは強く言い放った。

 いきなり鼻先に指を突き付けられ、夢人は思わず目を丸くして顔を引いてしまう。

 

「いい、ゆっくん? ゆっくんはわたしのことを知っているのかもしれないけど、記憶がない今のわたしはゆっくんのことを全然わかんない状態なんだよ。言わば、親がセッティングしたお見合いで初顔合わせをした状態と同じなんだよ」

 

「……いや、何か違うような気がするんだけど」

 

「細かいことはいいの!! とにかく、今のわたし達は初対面も同然で、ご趣味はなんですかとか、年収はいくらですかとか聞いちゃう間柄なんだよ。そんなこれから一緒になるかもしれない相手との人間関係を築く大事な第1歩が今のなのに、いつまでもうじうじしている方がわたしもコンパも迷惑だよ」

 

 夢人に言い聞かせるように指を何度も上下に動かしながら、ネプテューヌは諭すように眉を寄せて話し続ける。

 指もただ単に動かしているわけでなく、夢人が視線を自分からそらそうとする度にネプテューヌはわざと突き出すように動かし、意識を自分に向けさせているのだ。

 

「そりゃさ、さすがにスライヌにやられるのはどうかと思うよ。明らかに戦闘のレクチャーに利用されるような雑魚モンスター相手に気絶しちゃうなんて情けないとも思ったし」

 

「うぐっ」

 

「ただでさえ、わたしの中でゆっくんの評価は女装していた変態でヘタレでオカマだったのに、そこにスライヌに負けて気絶した男なんてタグまで追加されているんだよ。それに、今またうじうじネガネガなんて不名誉な称号まで飾られそうになってるし。どう考えても最悪なファーストコンタクトだよね……でも、それがゆっくんの全部じゃないんでしょ?」

 

 改めて自分の不甲斐なさを指摘されて傷つく夢人のことを半目で不満そうに見つめていたネプテューヌであったが、ふと柔らかく表情を崩す。

 指を夢人の鼻先から離すと、ネプテューヌは軽く拳を握って胸をポンと叩いた。

 

「初対面の印象は大切って言うけど、それだけで全部決めつけちゃうのっておかしいと思うんだよね。ほら、カレーだって一晩寝かせた方が美味しいってよく言うでしょ? それと同じで、今は隠れているゆっくんの良さをこれからドーンとわたし達に見せつけてくれればいいんだよ」

 

「あ、でも、2日目のカレーはちゃんと保存しておかないと美味しくなるんじゃなくて、危ない菌だらけになってしまうんですよ」

 

「え、えええ、そうなの!? じゃ、じゃあ、初回限定版で買ったゲームなんかは初期不良とかエラーとかよくあるけど、それが改善されると見違えるような神ゲーになったりする時が……」

 

「1番いいのはそう言うことがないことなんですけどね」

 

「――もー、コンパ!! 何でわたしがいいこと言おうとしているのに邪魔するのさ!!」

 

 ほほ笑みながら口にした例え話をコンパに真面目に返されてしまい、ネプテューヌは慌てて別の切り口で夢人を励まそうとした。

 しかし、それも邪魔されてしまい、ネプテューヌは夢人に背を向けると大きく両手を振り上げて、苦笑しながら自分達を見つめていたコンパに抗議する。

 

「え、えええ!? いいことを言おうとしていたんですか!? 例えが微妙過ぎてよくわからなかったですぅ!?」

 

「そこはわたしとコンパの仲でしょ!! わたしがアーって言ったら、コンパがウンって言って、コートの真ん中に来たテニスボールを打ち返さないと!!」

 

「ふ、ふぇえええ!? わ、わたしテニスって苦手なんですぅ!? た、卓球じゃ駄目なんですか!?」

 

 まるで漫才のようなやり取りをしているのだが、コンパはネプテューヌの勢いに押されて涙目になっていた。

 目の前で突然始まった言い合いに呆気に取られていた夢人であったが、次第に頬を柔らかく緩めて笑いだしてしまう。

 

「ぷっ、ハハ、ハハハハ」

 

「ゆっくん?」

 

「ゆっくんさん?」

 

 急に笑い声が聞こえてきた2人は同時に夢人へと顔を向け、不思議そうに名前を呼んでどうしたのかと尋ねた。

 しかし、夢人は2人の疑問に答えることなく目を閉じると、額に手を当てて口元を緩めたまま独り言をつぶやく。

 

「何度も似てないと思ったけど、やっぱりお前らって姉妹なんだな……そうだよな。これから始めていけばいいんだ」

 

「……1人納得しているようで申し訳ないんだけど、何ぶつぶつ言ってるの? わたし達にもわかるように話してくれないかな?」

 

「別に大したことじゃないから気にするなって。とりあえず、2人ともありがとうな。おかげで元気が出たよ」

 

 不満そうに口をすぼめるネプテューヌの問いを聞き流し、夢人はにかっと2人に笑いかける。

 その顔に先ほどまであった陰鬱そうな雰囲気は感じられなかった。

 

「いやぁ~、そうやって素直にお礼を言われると照れますなあ」

 

「わたしは何もしてないですよ。全部ねぷねぷのおかげです」

 

「もー、コンパもそんな謙遜しないの。受け取れるものがあったら、何だって貰っておいた方がいいって」

 

「お礼の言葉がそのカテゴリに入るかどうかわからないけど、ネプテューヌの言う通りだぞ。俺はコンパにも感謝してるんだから」

 

「そ、そうなんですか? と、とにかく、ゆっくんさんが元気が出てよかったです」

 

 ほんのりと頬を染めてにやけるネプテューヌと違い、コンパは夢人にお礼を言われて戸惑ってしまった。

 しかし、ニコニコと笑うネプテューヌと軽く口元に笑みを浮かべている夢人の言葉を聞くと、コンパは恥ずかしそうに頬を赤くしてあちこちに視線を忙しなくさまよわせてしまう。

 

「照れてるコンパも可愛いよー! ゆっくんもそう思うよね?」

 

「ああ、コンパは元から可愛いから余計だよな」

 

「ふ、2人とも!? そ、そんなこと言わないで欲しいですぅ!?」

 

 からかうようにコンパを褒めるネプテューヌに便乗し、夢人も言葉を続けた。

 2人から褒められたコンパは恥ずかしさの限界を迎えてしまい、真っ赤に染まった顔を両手で隠しながら首を左右に振り始める。

 その仕草がよりコンパの女の子らしい可愛らしさを引き出してしまい、夢人はやり過ぎたかと苦笑してしまう。

 ネプテューヌはそんな2人を交互に見ながら、うんうんと満足そうに頷いて口を開く。

 

「まさにパーフェクトコミュニケーション。リーダーのわたしに、癒し系担当のコンパ、そしてパシリのゆっくんときたもんだ。もうどんなことがあっても、わたし達の結束は揺るがないよ」

 

「……おい、ネプテューヌ。今、なんて言った?」

 

 聞き捨てならない単語がネプテューヌの口から飛び出したのを聞いてしまった夢人は表情を硬くしながら確認する。

 しかし、当のネプテューヌは夢人のことを気にした様子もなく、笑いながら話しを続ける。

 

「だから、このパーティーのリーダー兼ムードメーカー的な存在はわたしでしょ。治療と可愛さで2つの意味を持つ癒し系のコンパ。そして、残っている雑用係がゆっくんだよ」

 

「いやいやいや!? そこでどうして雑用とかパシリとかになるんだよ!? もっと他にいろいろあるだろ!?」

 

「えーでもさ、ぶっちゃけわたしもいろいろ考えるの面倒なんだよね。だから、シンプルにゆっくんの良さを発見できる役割は何かって思ったら、これが1番に思いついたんだよ」

 

 夢人の抗議の言葉に、ネプテューヌは人差し指を頬に添えながら答える。

 その口は大きく弧を描いており、夢人の話を聞いているかどうかも怪しい状態である。

 

「そんなわけで、わたしは今すぐにゆっくんの良いところ見せてもらいたいなあって思うんだ……具体的に言うと、プリン買って来て」

 

「おまっ、それプリンが食べたいだけだろ!?」

 

「だってー、難しいこと考えたら本当にお腹空いてきちゃったんだもん。だから、ひとっ走りプリンを買いに行って来てよ。わたしは卵プリンでいいけど、コンパはどうする?」

 

「え、わ、わたしもですか? えっと、それじゃミルクプリンをお願いするです」

 

「ってなわけで、わたしとコンパの分をよろしくね。ゆっくんも好きなの買って来ていいからさ」

 

 本気で励ましてくれたことを感謝していた夢人は、ネプテューヌのこのあんまりな態度の変化に愕然としてしまった。

 のんきにコンパにも買ってくるものを聞いているネプテューヌをよそに、夢人は顔を俯かせ肩をふるふると震わせ始める。

 それに気付かないネプテューヌは笑顔のまま夢人へと言葉を続けていく。

 

「一仕事終わった後の皆で食べるプリンって美味しいんだろうなあ。しかも、外で食べるんだし、きっと美味しさは倍プッシュに違いな……」

 

「ネプテューヌッ!!」

 

「ねぷっ!?」

 

「ひゃあっ!?」

 

 太陽の日差しを遮るように手で目元を隠しながらほほ笑むネプテューヌの言葉を、ガバッと顔を上げた夢人の怒りに満ちた咆哮が中断させた。

 その大声にネプテューヌだけでなく、コンパまでも驚いてしまう。

 自分をギラギラした睨む夢人の姿を確認すると、ネプテューヌは頬を引きつらせながら冷や汗を垂らす。

 

「あ、あれ? ゆっくん、もしかしてマジで怒ってる? 本気や真剣って書いてマジって読ませる感じ?」

 

「ね、ねぷねぷ!? 今はふざけてる場合じゃないですよ!?」

 

「い、いやあ、ほんの可愛い冗談だって。ほ、ほら、ゆっくんもすごく元気が出たみたいだし、わたしのリーダーとしての面目躍如ってことでどうかな?」

 

 夢人が激怒している様子に割と混乱してしまい変なことを言いだしたネプテューヌをコンパは小声でたしなめた。

 すると、ネプテューヌは笑って誤魔化そうと必死に言い訳を取り繕う。

 それを聞いた夢人は1度、目を閉じて前傾になっていた姿勢を正すと、軽く口元に笑みを浮かべて再び瞳を開いてネプテューヌを見つめる。

 しかし、その瞳はまったく笑っていなかった。

 

「確かに、ネプテューヌのおかげであり余るくらいの元気が出てきたよ。本当に嬉しいなぁ」

 

「そ、そうなんだ。うんうん、じゃあこの話はここまでで……」

 

「ああ、この元気を誰かに分けてあげたいなぁ……具体的に言うと、お礼をしたいなぁって俺は思うんだよ」

 

「そ、そそそそんなの気にしなくていいから!? ほ、ほら、わたしはリーダーとしての役割を果たしただけだからさ!?」

 

「そうか。でも、その割には元気がなさそうじゃないか。仕方ない、ここは雑用係として元気を注入してやらないと」

 

「絶対に元気以外も注入する気でしょ!?」

 

 夢人がわざとらしくゆったりと話すせいで余計に恐怖が煽られてしまい、ネプテューヌは顔を真っ青にさせてじりじりと後ろに下がってしまう。

 逃げるごとに、夢人は顔だけを笑顔にしたまま指をぽきぽきと鳴らしてネプテューヌへと1歩ずつ近づいていく。

 

「せ、せせせ戦略的てったーい!?」

 

「待て、そこの馬鹿リーダー!!」

 

 一気に身をひるがえすと、ネプテューヌは脇目も振らずに夢人から逃走を図る。

 駆け出していくネプテューヌを捕まえようと、夢人も顔を笑顔から怒りに変えて駆け出していく。

 話に加われず、1人残されたコンパはネプテューヌを追いかけるために夢人が駆けて行った後ろ姿を呆然と見つめていたが、ハッと正気に戻ると慌てて自分も走り出す。

 

「お、置いていかないでくださいですぅ!?」

 

 コンパは泣きながら必死に走り続けた。

 しかし、元から距離があっただけでなく、コンパから見える夢人の後ろ姿がどんどんと小さくなっていく。

 

「待ってくださいですぅ!?」

 

 3人の中で1番体力がなかったコンパは、離されていく距離に精神的な疲労を感じてしまい、走っている以上に疲れてしまう。

 次第に荒くなる呼吸と重くなる足でコンパの走るスピードは遅くなっていくが、それでも諦めずに2人を追っていく。

 

 ――だが、疲労したコンパの耳にドゴンッと何かが崩れ落ちるような音が聞こえてくる。

 

「ねぷうううぅぅぅぅぅぅ!?」

 

「うわあああああああああ!?」

 

 同時に聞こえてきた2人の悲鳴に、コンパは疲れていたことを忘れて一気に走りだした。

 先程よりも速いスピードで2人の悲鳴が聞こえた場所まで駆けつけたコンパが見たものは、不自然にぽっかりと地面に開いた大きな穴であった。

 その大きさは簡単に人を飲み込めるものであり、2人がどうなったのかを悟ったコンパは顔を青ざめて穴に向かって叫ぶ。

 

「ねぷねぷ!? ゆっくんさん!?」

 

 膝をつきながらコンパが必死に穴の中に覗きこんで落ちたのであろう2人に呼びかけるのだが、聞こえてくるのは舞い上がってくる風の音だけであった。

 ――そのせいで、コンパは乾いた音を上げて罅が入る地面に気付くことはなく……

 

「っ、きゃあああああああああ!?」

 

 崩れ落ちる地面と共に悲鳴を上げながら落下していくのであった。




と言う訳で、今回はここまで!
遅くなった理由は、ネプUやってたからなんですよね。
いやあ、可愛い担当のブランちゃんの快進撃を止められなかったですよ。
おかげさまでクエストも全部終えてしまい、後はタイトルの2つの?をクリアするだけです。
アクション、思ったよりも楽しくプレイさせてもらってます。
それでは、 次回 「女神化」 をお楽しみに!
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