超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して 作:ホタチ丸
ネプUばっかり気にしていましたが、シェアコンも発売されていたんですよね。
アイエフのキャラクターソングがいい感じでお気に入りです。
それでは、 女神化 はじまります
――そこは、薄暗い洞窟であった。
氷柱のように伸びた鍾乳石から水滴がポツリと落ちて行く。
また、水滴が弾けた地面には苔のようなものがこびり付いている。
かと言って、地面がぬかるんでいるわけではなく、どこからか吹いている風によって適度に乾燥もしているらしい。
他にも、ごつごつした岩肌からは水晶のような透明な輝きを放つ鉱石が多数露出している。
これらの周りには採掘された形跡がなく、自然と岩が剥がれて出てきたようだ。
そんな風に誰の手も加えられていない洞窟のように見えるのだが、不自然な点が多く存在している。
まず、明らかに誰かが通ることを目的とした道が作られているのである。
転落防止用に縄と木杭で出来た簡素な作りと言えど、誰かが作成したことは間違いない柵が存在している。
また、不自然に岩が抉られている部分が何か所もあり、そこに光源となる火が灯されている。
しかも、火を燃やすために用いられている薪は真新しいものであるらしく、時折パキッと弾ける乾いた音を響かせている。
洞窟の中が真っ暗でない理由は、その火の灯りとそれを反射する水晶の輝きのおかげだ。
加えて、今は天井に不自然に開けられた大穴から日の光も差し込んでいる。
そのために洞窟の内部もだいぶ明るく照らされており、自然のものではありえない箇所が多く露呈していた。
――しかし、この洞窟の異変はそれだけにとどまらない。
「キシャアアアアアアアア!!」
「ゴオオオオオオオオオオ!!」
2体の巨大な体を持つモンスターが激突していた。
虫のような叫び声をあげたモンスターは上半身と下半身で大分姿が異なっている。
上半身はまるで槍のように尖っている頭部が特徴的だ。
顎もそれに倣うように大きく鋭角に尖っているのだが、同時にどこか人間らしさも感じられる。
皮と骨だけの筋張ったあばら骨と両腕は老人のように見える。
しかし、腰から下の下半身は明らかに異様であり、まるで蜘蛛のようになっている。
6本の鋭い爪を備えた足の内側には、さらに小さい足が4本も生えている。
下半身単独でも蜘蛛と言われれば、納得できる体のつくりをしている。
その姿はまるで別々のパーツを無理やり継ぎ合わせたような歪さを醸し出していた。
対して、もう1体の低い唸り声を上げたモンスターを一言で表すのならば、巨大なミミズである。
頭部と同化している丸い口にはむき出しの尖った歯がぎっしりと並んでおり、尻尾は硬化している皮膚と違ってにょろにょろと柔らかくうねっている。
また、ライオンのたてがみのような突起物が口の近くに環状になって生えている。
2体のモンスターはほぼ同じ大きさであり、互いに激しく睨み合いながら威嚇し合っているのだが、その優劣ははっきりとしていた。
理由は、虫のような足を持つモンスターが手にしている巨大な剣だ。
虫のようなモンスターの身の丈よりも長い剣は斬れ味こそ悪そうな無骨な作りなのだが、そのリーチの差が勝負の明暗を分けている。
ミミズのようなモンスターの攻撃方法は基本的にその巨体を生かした体当たりである。
しかし、突撃しようにもぶつかる前に何度も剣によって地面や岩肌へとミミズのようなモンスターは叩き伏せられてしまう。
そのせいで、ミミズのようなモンスターの体のあちこちには傷が多く、虫のようなモンスターはほぼ無傷であった。
「ゴオオオオオオオオオオ!!」
戦況が不利だと悟ったのか、ミミズのようなモンスターは悔しげに天井に向かって大声を張り上げたかと思うと、すぐに地面へと口を衝突させる。
その際、たてがみのようになっていた突起物が口の前まで伸び、尖った円錐の形に変わる。
すると、収束した突起物が地面を掘り始め、ミミズのようなモンスターの体を全て隠してしまう程の砂が舞い上がる。
轟音と地響きが絶えず洞窟内を騒がす。
やがて、音が鳴り止み、巻き上がった砂塵が全てなくなると、その場にミミズのようなモンスターの姿はなく、1つの大きな穴だけが残されていた。
明らかに逃げたとわかるミミズのようなモンスターに対して、虫のようなモンスターは何も感じていないのか、悔しそうな叫びをあげることも追撃しようとすることもなく、ただただゆっくりと戦闘態勢を解除するだけであった。
* * *
「……地面から落ちた先で大怪獣バトルが勃発してた件について」
「……いいから、今は黙ってろって」
そんな2体のモンスターの戦いを眺めていた人物達がいた。
バーチャフォレストの地面が崩れて落下してしまった夢人とネプテューヌである。
落下した当初は2人とも何事かと思い、辺りを見渡すために立ちあがろうとしたのだが、2体のモンスターが激突している様子を発見すると、すぐに隠れるように身を伏せたのである。
幸運だったのは2人とも目立った怪我をしていなかったことと、2体のモンスターが互いのことしか見えていなかったことであろう。
そもそも地面が崩れた原因が2体の激突であったため、モンスター達は洞窟の内部に日の光が差し込んでいることすら気にしていなかった。
2人は体を伏せたまま、虫のようなモンスターに見つからないように小声で話し続ける。
「……とにかく、アイツに見つからないようにここを離れるぞ」
「……イエッサー」
夢人が提案すると、ネプテューヌは小さく敬礼のポーズをとり、2人そろってじりじりと腹這いのままで後退していく。
虫のようなモンスターが戦闘態勢を解いている今しか逃げるチャンスがなかった。
下手に動いて戦闘中にミミズのようなモンスターにも気付かれるわけにはいかなかったのである。
気付かれないうちにもっと遠くへと2人が逃げようとした瞬間……
「ねぷねぷ!? ゆっくんさん!?」
『ぶっ!?』
突然頭上から聞こえてきたコンパの声に2人は思わず反応しそうになってしまう。
その声に反応したのか、虫のようなモンスターもピクリと肩を動かす。
マズイと、モンスターに気付かれてしまうと2人がどうにかして上にいるであろうコンパにハンドサインで呼ばないようにしてもらおうと天井を見上げる。
「っ、きゃあああああああああ!? んぐっ!?」
「ねぶっ!?」
「ぐえっ!?」
――しかし、見上げた視界に映り込んだのは涙目で落下してくるコンパの姿であった。
落下してきたコンパはそのまま2人を下敷きにして、覆いかぶさるように倒れこむ。
避ける暇もなく、クッション代わりにされてしまった2人はその衝撃で悲鳴と共に大量の空気を吐きだしてしまい、苦しそうに口をパクパクとさせ始める。
だが、自分が落下する恐怖で頭がいっぱいだったコンパは気付いておらず、うつ伏せの体勢から顔を上げる。
揺れた視界に気持ち悪さを感じながら、コンパは頭に手を添えて周りを見渡す。
「い、痛いですぅ……ここ、どこですか? それに、ねぷねぷとゆっくんさんは……」
「コン……パ……」
「え? 今、ねぷねぷの声が……って、きゃああああ!? ど、どうして2人がわたしの下にいるんですか!?」
「……いい……から……はやく……どい……て……」
「ご、ごめんなさいですぅ!?」
上手く呼吸ができない2人は顔を青くしながら必死にコンパに呼びかけ、どうにか退いてもらうことに成功した。
慌てて2人の上から跳び退いたコンパの顔は赤く染まっていた。
理由は、2人を下敷きにしていたことと男性である夢人に圧し掛かってしまった羞恥である。
コンパは発育の良い大きな胸を両手で隠すように後ずさり、お尻を両足の間にぺたりと落とした。
すると、2人は体を反転させ、仰向けの姿勢で思いっきり息を吸い込む。
「すぅー、はぁー……アニメやゲームとかだと、美少女に下に敷いてもらうのはご褒美になるかもしれないけど、リアルだとただきついだけだった」
「まったくだ……はあ、はあ……これは本当にきつい……今度会ったら……はあ、はあ……ちゃんと謝らないと」
真面目な顔で深呼吸を繰り返しながら、ネプテューヌは1人つぶやく。
その顔色は未だ青く、いつものような口ぶりだが本調子でないことは明らかである。
隣で寝転ぶ夢人は短期間で自分が乗っかる立場も下敷きにされる立場も経験しているため、ネプテューヌの意見に頷きながら同意する。
頭の中で下敷きにしてしまったブラックハートに謝罪しながら、夢人は荒く呼吸を繰り返していく。
そんな2人の様子にコンパは慌てだす。
「し、しっかりするですぅ!? まずは慌てないでゆっくりと深呼吸をしてくださいですぅ!?」
「今してるから……それよりも、コンパ……前、前」
「え? 前ですか……って、ひゃああああああ!? な、ななななんですか!? あのすっごく怖いモンスターさんは!?」
「キシャアアアアアアアア!!」
苦しそうにする2人にアドバイスを送ろうと両手を振り回して慌てふためくコンパに、ネプテューヌは指をさしながら前を向くように指示した。
不思議に思いながらも言われた通りに前を向いたコンパの前には、虫のようなモンスターが剣を自分達に向けている姿があった。
それまで夢人達に見向きもしなかったモンスターであったが、さすがにコンパの悲鳴で気付いてしまったのだ。
顎が外れんばかりに大きく口を広げて上げられた咆哮に、コンパは委縮してしまう。
「ど、どうしたら……っ、ねぷねぷとゆっくんさんには絶対に手を出させないです!! わたしが相手になるです!!」
「っ、こ、コンパ!? 無理するな!?」
「だ、大丈夫です!? 2人は絶対にわたしが……っ、きゃあああああ!?」
「コンパー!?」
今にも泣き出しそうな顔でへたり込んでいたコンパであったが、何かを決意したように両手で頬を叩くと顔を引き締めた。
そのまま恐怖で震える足で立ち上がり、仰向けのまま寝転んでいる2人とモンスターとの間に立つと、武器である注射器の針を構える。
しかし、モンスターに向けた注射の針は体の震えによってブレ続け、コンパの目尻にも涙が浮かび上がってしまう。
怖がっているコンパの様子に気付いた夢人が慌てて体を捻って立ち上がろうとするのだが、上手く腕に力が入らず声をかけることしかできなかった。
心配する夢人を安心させようと振り返って無理やりに浮かべた笑みを見せようとしたコンパであったが、モンスターはその隙を見逃してくれなかった。
コンパの視線が外れた瞬間、モンスターは剣を持っていない方の手を伸ばすと、彼女の体をガシッと捕まえた。
急に胴体を鷲掴みにされてモンスターに持ち上げられてしまったコンパは、思わず悲鳴を上げながら注射器を手放してしまう。
夢人と同じように立ち上がろうとしていたネプテューヌは、涙を流しながらモンスターに捕まってしまったコンパに向かって叫んでしまった。
「早く助けないと……」
「待ってろ、コンパ!! 今行くぞ!!」
「って、ゆっくん!?」
捕まってしまったコンパを助けようと、ネプテューヌは急いで立ち上がろうとするが、それよりも早く夢人はモンスターに駆け出していた。
まさか夢人がコンパを助けるためとはいえ、自分よりも早くモンスターに向かっていくと思っていなかったネプテューヌは驚愕の声を上げてしまう。
驚いているネプテューヌに構わず、夢人はコンパを助けるために木刀を握りしめてモンスターに向かい走って行く。
明らかに自分に対して敵意を持っているとわかる夢人に、モンスターは剣を振り下ろす。
「うおっ!? っ、まだまだあっ!!」
真上から振り下ろされてきた剣の直撃を避けることに成功した夢人であったが、巻き起こった風圧によって体勢を崩してしまい、前転するように地面を転がってしまう。
しかし、夢人はすぐにモンスターを見据えると、振り下ろされた腕に向かって跳び付いた。
「このっ!! このっ!! コンパを、離せっ!!」
「キシャアアアアアアアア!!」
跳び付いた夢人は離れまいと足まで使ってギュッとしがみ付き、木刀の柄の部分で何度もモンスターの腕を殴りつける。
だが、モンスターにはまったく効いておらず、鬱陶しそうに腕を振り回して夢人を剥がそうとしだす。
「ゆっくん……って、ボーっとしてる場合じゃないよ!? わたしも2人を助けないと!?」
〔待ってください、ネプテューヌさん!〕
「ねぷっ!? だ、誰!?」
その様子を呆然と見つめていたネプテューヌであったが、ハッと正気に戻ると慌てて木刀を構えてモンスターに駆けだそうとした。
しかし、どこからともなく聞こえてきた声に驚いて立ち止まってしまう。
慌てて周りを見ても自分に呼びかけるような人物は見当たらず、ネプテューヌは余計に混乱してしまった。
〔あのモンスターはあの人がここを守るために用意した強力なモンスターです! 今の姿のままじゃ、お2人を助けることは不可能です! 早く女神化してください!〕
「メガみか? それって何? 美味しいの? と言うより、そもそもあなたは誰なの?」
〔こんな時まで馬鹿なことを言わないでください!! 早くしないとお2人が危ないんですよ!!〕
声の言っている意味が理解できないネプテューヌは頬に指を添えて目を丸くすることしかできない。
そんな自分の言葉をまったくと言っていいほど理解できていない様子のネプテューヌに、声は語調を荒げる。
ネプテューヌがそんなことをやっている間にも、夢人はモンスターの腕にしがみ付きながら木刀で殴り続けていた。
しかし、次第に激しさを増すモンスターの腕の動きに、夢人のしがみつく力は段々と弱くなってきていた。
「っ、ぐっ!? さっさとコンパを離せってんだ!!」
「ゆっくんさぁん……」
必死に自分を助けようとしている夢人の顔が苦しそうになっていくのがわかるコンパは涙をあふれさせてしまっていた。
じたばたと自分でもモンスターの手から逃げ出そうとしても、その拘束がまったく揺るがないことにコンパは悔しさを感じてしまう。
不甲斐なく助けを待つだけのコンパの口からは、弱々しく夢人の名前がこぼれた。
「ゆっくん……コンパ……」
〔何をボーっとしているんですか!! お2人を助けたいなら、早く元の姿になって……〕
「ねえ、そのメガみかってどうすればいいの!!」
〔……はい? 何を言ってるんですか?〕
コンパを助けようと必死に食らいつく夢人の姿に、ネプテューヌは表情を険しくさせて服の胸元を強く握りしめた。
ただ呆然と2人のことを見ているようにしか思えなかった声が急かそうとするのだが、次にネプテューヌの口から出てきた言葉に状況を忘れて戸惑ってしまう。
姿の見えない相手が困惑していることなど分かるはずもなく、今度はネプテューヌが声に続きを催促する。
「だから、そのメガみかってやつができれば2人を助けられるんでしょ!! いいから早く教えてよ!!」
〔何を言ってるんですか? いつも通りに元の姿になればいいだけの話ではないですか?〕
「そのいつも通りがわからないの!! わたし、そんなこと言われても何も覚えてないんだから、どうするのか全くわからないんだよ!!」
〔っ、まさか記憶を失ってるんですか!?〕
噛み合わない話の理由に気付いた声は息をのんでしまう。
しかし、今は落ち着いて問いただしている場合じゃないと理解し、重々しくネプテューヌへと言葉を投げかける。
〔……わかりました。私の方でネプテューヌさんのシェアエナジーを活性化させます。後は、ネプテューヌさん次第です〕
「しぇあえなじー? 活性化って、わたしに何をするつもりなの!?」
〔大丈夫です。ちょっとくすぐったくなるだけですから〕
「ねぷっ!?」
意味のわからない単語が飛び出し、ネプテューヌはこれから何をされるのかに不安を感じて顔を青ざめた。
だが、声は明るい調子で取り合ってくれなかった。
すると、ネプテューヌは体の奥から何かがわき出てくるような感覚に陥ってしまう。
同時に、自分の体を中心に円状に光の柱が立ちのぼり、訳のわからないネプテューヌは驚きの声を上げる。
また急に光の柱が発生したことで、驚いているのは夢人達も同様であった。
モンスターも夢人を振り回す腕の動きを止め、ネプテューヌの方を見入ってしまっていた。
「あの光、まさかっ!?」
光の柱の正体に心当たりのある夢人は目を大きく見開かせてしまう。
だが、すぐに安心したように頬を緩める。
予想通りのことが起こっているのならば、夢人は自分達が助かったことを確信したからだ。
(でも、なんだろう。すごく力が湧いてくる……よしっ、これならっ!)
戸惑っていたネプテューヌであったが、次第に落ち着き始め、力が湧いてくる感覚に口元を緩め始めた。
光の輝きが最高潮に達すると、ネプテューヌは自信に満ち溢れた顔で宣言する。
「いっくよー、モンスター!! 刮目せよ!!」
モンスターに向かって言い放つと同時に、ネプテューヌの体に大きな変化が訪れる。
――短かった髪の毛は腰まで届く長髪へと変化し、2つに編み込まれる。
――未成熟だった少女の体は、急激に成長してスタイルの良い大人の女性へと変わる。
――着ていたはずのパーカーワンピースが光と共に弾けると、胸元の開けた黒と紫のレオタードのようなものへと変化し、色の黒い同じ素材のものが足のつま先から太ももまでに出現する。
――白い十字キーを模したアクセサリーは、青い十字の模様がついた黒く丸いものへと変わってしまう。
――背中には機械的な翼が出現し、頭や腕、腰、足などにもアーマーが装着される。
――瞬きをした次の瞬間、紫色だった瞳の色は不思議な模様の刻まれた青に染められていた。
全ての変化が終わると同時に光の柱は弾け飛び、ネプテューヌの伸ばした手の中で1本の刀剣を形成する。
刀剣の切っ先をモンスターに向け、ネプテューヌはわずかに腰を屈めると、翼による加速も利用して弾丸のように飛び出す。
「ッ、ギャアア!? ギャアアアアアア!?」
――気付いた時には、モンスターは2本の腕を失っていた。
誰にも気づかれることなくネプテューヌは刀剣を振り抜き、モンスターの背後に浮いていた。
まるで刀剣に実際には付着していない血を払うかのように横に薙ぐ。
刀剣によって斬られたことすらわからなかったモンスターは遅れてやってきた痛みに悲鳴を上げてしまう。
「きゃああっ!? ……イタタタ」
「っと……待ってろよ。今外してやるからな」
「ありがとうですぅ。でも、あの人、本当にねぷねぷなんですか?」
「ああ、そうさ。あれがネプテューヌのもう1つの姿なんだよ」
上手く着地できた夢人と違って、コンパはモンスターに捕まっていたため腰から地面に落ちてしまった。
駆け寄ってきた夢人に指を1本1本外してもらい、痛む腰を擦りながら変わってしまったネプテューヌを見上げていたコンパは戸惑いを隠せなかった。
初めて見た時は同じ思いを感じたこともあり、夢人は苦笑してしまう。
そして、混乱するコンパを安心させるように柔らかい口調で説明する。
一方、ネプテューヌはゆっくりと痛みに叫ぶモンスターへと振りかえると、刀剣の刃を上にして構える。
変わる前からは考えられないきりりと引き締まった顔のまま、凛とした声がモンスターに言い聞かせるように響くと同時にネプテューヌは動き出す。
「悪いわね。今のわたしは――」
――またもや、一瞬の交差であった。
モンスターが気付いた時には、既に夢人とコンパの前にたたずむネプテューヌの姿があった。
背中を向けて隙を晒しているのだと思い、モンスターがその巨体で3人とも押し潰そうとするのだが、ネプテューヌは両目を閉じたまま涼しげに言い放つ。
「誰にも負けないわ」
「ッ、グギャアアアアアアア!?」
モンスターは突然背中に焼けてしまうような熱を感じてしまい、悲鳴を上げて足をもつれさせてしまう。
そのまま倒れたモンスターの背中には、くっきりと×印に斬り裂かれた傷痕が残されている。
ネプテューヌが高速で斬撃を放った結果である。
「さあ、2人とも。急いでここを脱出するわよ」
「え、でも、出口がどこにあるのかなんて……」
「なら、入口から帰るまでよ」
「入り口……って、おい!?」
姿だけでなく雰囲気や口調まで変わってしまったネプテューヌは、戸惑い続けるコンパに柔らかくほほ笑む。
すると、善は急げと言わんばかりに夢人の抗議の声を無視して、ネプテューヌは2人を両手で抱きしめる。
そのまま2人を抱えて浮かび上がり、自分達の落ちてきた天井の穴へと飛んで行く。
……一方、倒れ伏しているモンスターであるが、まだ生きているらしく、立ち上がろうと体を震わせていた。
そのモンスターに近づく女性が1人いた。
「ガーディアンの反応が弱くなったと思ったら、まさかここが見つかるとはな。しかも、よりにもよって奴が生きていたとは」
女性はネプテューヌ達の飛んで行った方を憎々しげに睨みながら唇を噛む。
ネプテューヌ達の姿が見えなくなると、女性はどこからともなく1枚のディスクを取り出し、倒れているモンスターへとかざす。
すると、モンスターはディスクの中に吸い込まれるように光の粒子となって消えてしまう。
「ふん、まあいい。どちらにせよ、奴の死体を探す手間が省けたと言うだけだ。予定通り、奴の力から……クックックッ、アーッハッハッハッハ!!」
女性はモンスターを吸収したように見えたディスクをしまうと、今度は別のディスクを取り出す。
そのディスクが光ると、中から黒い1つ目の蝙蝠のような生物が飛び出し、天井に開いた大穴から外へと飛んで行く。
すると、女性は口の端をにやりと吊り上げ、大きな声で笑い出す。
笑い声が木霊する中、女性は再び洞窟の奥へと歩いていくのであった。
と言う訳で、今回はここまで!
さて、もう9月なんですね。
そろそろハーメルンに登録して1年経つと思うと、時が流れるのは早く感じてしまいます。
……まあ、後実質2カ月近くあるんですけどね。
Uも後はリリィの音声を聴きながらまったりとプレイするだけですから、投稿するスピードを上げていけたらと思います。
それでは、 次回 「落し物」 をお楽しみに!