超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
ついに私が執筆を始めて一周年を迎えるまで一カ月を切ったと思うと、なんだか少しドキドキしてきます。
それまでにこの章を終わらせるつもりでいないと。
それでは、 陰謀×故障×勇者登場? はじまります


陰謀×故障×勇者登場?

 ――少しだけ時間は遡り、夢人達がサンドウォームのおかげで無事に魔窟から脱出できていた時のことである。

 ダンジョン全体が崩れてしまいそうになるほどの揺れは、夢人達が魔窟からいなくなった瞬間に忽然と治まってしまう。

 まるで何事もなかったかのように静けさを取り戻した魔窟内で、夢人達を襲った女性は憎々しげに表情を歪めて岩壁を殴った。

 

「クソッ!! 後もう少しと言うところで邪魔が入るとは!!」

 

 女性が思い出すのは、自分の邪魔をした夢人とサンドウォームである。

 ――サンドウォームさえ現れなければ、魔窟内を全力疾走することはなかった。

 ――夢人が現れなければ、ネプテューヌに自身の能力を使うことができ、女神化されて逆転されることもなかった。

 自分が油断していたことを棚に上げ、女性は夢人とサンドウォームに恨みを募らせる。

 

「大体何なんだこの力は!! こんなもの、何の役にも……」

 

「――へえ、それはどんな力なんだい?」

 

 夢人達がいなくなり、女性しかいないと思われた魔窟にもう1人の声が響き渡る。

 その人物は足音を反響させながらゆっくりと女性へと近づく。

 

「チッ、いったい何の用だ?」

 

「おやおや、随分とご機嫌斜めみたいだね。まあ、仕方ないか。あんな間抜けな醜態を晒したんだからね」

 

「っ、貴様もしや最初から見ていたな!! ならば、あのモンスターも貴様の仕業か!!」

 

 にやにやと笑みを張り付けた人物を見て、女性は舌打ちをすると同時に目を鋭く細めた。

 だが、自分が睨まれているのにもかかわらず、近づいてきた人物は笑ったまま女性をからかうように話しかける。

 それが引き金となり、女性の怒りは爆発してしまう。

 

「モンスター? ……ああ、あの芋虫君か。生憎だけど、俺はあの子に何もしていないよ」

 

「何? そんなことあるわけが……」

 

「はいはい、八つ当たりしたい気持ちはわかるけど、どうどう落ち着きなって。ヒステリーばかり起こしていると、本当に老けてるって思われるよ」

 

「誰がオバサンだ!? ……チッ」

 

 女性から向けられた心当たりのない恨みに少し考える素振りを見せた人物であったが、すぐに得心言ったと言わんばかりに苦笑してしまう。

 しかし、その答えに納得できない女性であったが、また茶化されてしまったせいで追求しようとした気勢を削がれてしまった。

 舌打ちをしてそっぽを向く女性を見て、からかった張本人は楽しそうに笑みを深めながら質問を投げかける。

 

「それよりもあの男の力がどんなものなのか教えてくれないかい?」

 

「ふん、何の役にも立たない力さ。むしろ、どうやってあんな剣を出したのかと私が聞きたいくらいだ」

 

「……ふぅーん、なるほどなるほど」

 

 鼻を鳴らしながら答えた女性の言葉を吟味するかのように、尋ねた人物は腕を組んでしきりに頷いて見せる。

 その表情に先ほどまで浮かべられていた笑みはなく、真剣そのもので顔が引き締められていた。

 だが、しばらくするとにんまりと口元が弛緩し、女性に向かって笑顔で言い放つ。

 

「要は何もわからないってことだね。せっかくの能力も役立たずなんて、もう本当に年なんじゃないかい?」

 

「なっ!? き、貴様っ!?」

 

 そのあんまりな物言いに女性は激昂し、目の前にいる人物をきつく睨みだす。

 対して、矛先を向けられている人物はやれやれと肩をすくめてしまう。

 

「だって、そうとしか言えないでしょ? その能力があなたの唯一にして最大の長所なのに、役に立たないのなら意味ないじゃないですか――それに、誰が逃げるチャンスを作ったと思ってるんだい?」

 

「くっ」

 

 へらへらと笑いながらも事実だけを並べていく人物に、女性は言葉を詰まらせてしまう。

 

 実際に目の前の人物に魔窟が崩れてしまいそうになるほどの揺れを起こすことが可能であることを女性は知っている。

 その力があるからこそ、女性は己の目的を達成するために目の前の人物を利用しているのだ。

 そうでなければ、散々侮辱された女性が実力行使に出ないわけがない。

 力のあるなしに関わらず目の前の人物など、女性にとっては簡単に殺せるほどか細い存在なのだ。

 有益であるからこそ、殺せずにいたのである。

 

「まあ、冗談はこのくらいにしといて――ちょっと気になるな、その力」

 

 無言のまま睨んでくる女性にそう言うと、にやついていた人物は片側の口の端をさらに吊り上げた。

 すると、1枚のディスクを取り出して女性へと手渡す。

 

「とりあえず、これを渡しておきますよ。もう全部使い切っちゃったんでしょ? 足りなくなったら、いつもの場所に置いときましたんで好きに使ってください。俺、しばらく戻ってきませんから」

 

「どこに行くつもりだ?」

 

 ディスクを手渡して、そのまま流れるように横を通り過ぎた人物を女性は呼び止めて疑問を投げかけた。

 すると、呼び止められた人物は顔だけを女性へと向けて、にやりと口角を上げて答える。

 

「決まってるでしょ? 直接その力を確かめにね――あ、後ついでにここの入り口も塞いどきますよ。ここが見つかると、お互いに面倒なことになりますからね。それじゃ、失礼しますよ」

 

 そう言い残すと、女性にディスクを渡した人物は片手をひらひらと振りながら魔窟の入口へと向かっていく。

 去っていく後ろ姿を見ても女性は呼び止めようとは思わず、自分に対して敬意を払っているのかいないのかよくわからない口調の人物を見送ると、不満そうに鼻を鳴らす。

 

「ふん、相変わらずいけすかない奴だ」

 

 冷めた目で姿が見えなくなった人物に対する素直な思いを口にすると、女性は真逆の方向――魔窟の奥へと歩いていく。

 その奥にいるとある人物に会うために。

 

 

*     *     *

 

 

「すいませんが、うちでは直せませんね」

 

「え、そうなんですか?」

 

 プラネテューヌの商店街、その一角にある電気屋に俺は来ていた。

 理由は、ネプテューヌが見つけてくれたNギアを修理するため。

 何でも鍵の欠片とか言うアイテムと一緒にサンドウォームの中から出て来たらしく、今朝方渡されたんだ。

 ちょうどいいので、ネプギアの記憶を戻すこととアイエフに俺達のことを説明するのに中に記録されている画像を利用しようと思ったんだけど、いくら弄っても電源がつかなかったんだよ。

 さすがにサンドウォームの体液に触れて故障したかなって思って、コンパから少しだけお金を借りて修理を依頼しようと電気屋まで足を運んだわけだ。

 ……だけど、今電気屋の店主に修理が無理だって言われたんだけどな。

 

「中で部品の一部が破損していたことに加えて漏電も起こしています。水たまりにでも落としたのですか?」

 

「ま、まあ、そんなところです」

 

 尋ねてくる店主には悪いけど、さすがにモンスターに食べられて吐き出されたせいです、なんて言えないよな。

 誤魔化そうと愛想笑いを浮かべて相槌を打つと、店主は眉をひそめながら俺にNギアを返してくれた。

 

「一応ご返却をいたしますが、新しい通信端末をご所望なら新規でご購入して頂いた方がよろしいかと思いますよ。年代物で思い入れはございますでしょうが、修理するための部品を探す費用と労力を考えますと……」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!? 年代物って、コイツが!?」

 

「はい、そうですが? 中を拝見させてもらいましたけど、随分と前に改定された規格の部品が使われておりましたよ。プラネテューヌではアンティークと言っても差支えないレベルの物ですね」

 

 店主の説明に俺は驚くことしかできない。

 確かにNギアは元いたゲイムギョウ界でも市場に回っていない貴重な端末だった。

 しかし、それは骨董品だからじゃなくて最新技術が詰め込まれていたからだ。

 なにせこれ1台で電話からゲーム、ネット回線にだって繋げられる小型のPC代わりと言ってもいいハイテクな端末だったんだ。

 メンテナンスも定期的にネプギアがしてくれたおかげで後続で市場に回る端末よりも高性能だって、最新機種を持っていたアイエフが言っていた。

 そんなNギアがアンティーク!?

 俺のいたゲイムギョウ界の最新技術はこっちじゃ時代遅れってことなのかよ!?

 

 もうこれは本格的にレイヴィスから聞いていた『神次元ゲイムネプテューヌV』の話が当てにならなくなってきたぞ。

 ネプテューヌとネプギアがこっちに来ることだけは聞いていた通りだったけど、2人が記憶喪失になるなんて聞いてない。

 コンパとアイエフも赤ちゃんじゃなかったし、肝心のプラネテューヌの女神にも会っていない。

 えっと、確か名前は……プルルートだったっけ?

 ゆるふわ系のどSで女王様のような性格――って改めて思うんだけど、教えてもらったこの人物像ってどうなってんだ?

 こっちの世界のネプテューヌも重要な役割を果たすって話なのに、まったく姿が見えない。

 しかも、俺の世界の方のネプテューヌと間違われてる。

 七賢人とか女神メモリーとかの話も全然聞かないどころか、鍵の欠片を集めて助けて欲しいってネプテューヌとアイエフに頼んだらしい人物――仮称チェアーさんって人まで現れた。

 ……あ、チェアーさんって言うのは2人が名前を途中までしか聞けなかったせいで“椅子”としかわからなかったんだ。

 椅子って呼ぶと、人の名前っぽくないってことでネプテューヌとコンパにより、英語呼びのチェアーさんと命名されてしまった。

 まあ、今度話を聞く時までの仮の名称だってことで俺達も納得したんだけど、ネプテューヌと一緒に聞いたあの声を俺はどこかで聞いた覚えがあるんだよな。

 それに鍵の欠片の方も見たことがあるような気が……

 

「おそらくプラネテューヌ中を回っても、お客様の端末を修理できる店はないと思われます。それでも記録領域を確認したいと言うのであれば、ラステイションへと向かわれたらどうでしょう?」

 

「ラステイション?」

 

「ええ。あの国は大小様々な工場がありますので、この端末の規格に合う部品を製造している工場があるかもしれません。察しますに、お客様はこの端末に記録された内容を閲覧したいと思い、うちに足を運んだのでしょう?」

 

「あ、はい。でも、どうしてわかったんですか?」

 

「簡単ですよ。今更このようなアンティークを持ち出して修理するよりも、新しい端末を購入する方がお安く済みますからね。それでも修理したいと持ってきたのなら、目的は記憶されている内容ではないかと思っただけですから」

 

「な、なるほど」

 

 ま、まあまた使えるようにしてもらいたかったってことは、目の前で少し得意げになっている店主には黙っておこう。

 でも、こう言う働く姿勢が大事なんだな。

 俺も就職ができたら、こんな風にできる仕事人になれるように頑張らないと。

 

「残念ながら記憶領域の方は起動しませんでしたので、確認することができませんでした。うちに置いてある端末で再生できればよかったのですが、起動しなければ転送もできませんので……」

 

「ああいいえ、元々無理なことをお願いしたのは俺の方なんですから気にしないでください。それじゃ、わざわざありがとうございました。とりあえず、ラステイションに行って修理できるかどうかを確認したいと思いますので、これで失礼します」

 

 目的のNギアの修理はできなかったけど、ラステイションに行けばいいとアドバイスをもらったので、俺は店主にお礼を言って店を出ようとした。

 ちょうど次は鍵の欠片を探すためにラステイションに向かおうと話しあっていたところだし、タイミングがよかったな。

 後はネプギアの新しい服を買っているはずのネプテューヌ達と合流して、プラネテューヌの教会でラステイションへの入国許可を取らないと……

 

「待ってください」

 

「はい? どうかしたんですか?」

 

 店を出ていこうとした俺を急に店主が呼び止めた。

 何事かと思い振りかえると、店主はにこやかに笑いながら展示品を持って口を開く。

 

「せっかくですから、うちの最新機種をご購入していきませんか? コレなんて、先日とあるプラネテューヌの通信メーカーで発表された最新モデルなんですよ。今ならご新規での登録でお安くお求めになられますよ。もちろん機種変更の場合でも割引とポイントがつきますので、この機会にぜひお客様も購入してはいかがでしょうか?」

 

 ……うん、就職するためには商魂たくましくなる必要もあるかもしれないな。

 来た客を逃がさないように購入するメリットを並べていく――働くためにこう言う積極的な姿勢を見習わないと駄目なのかもしれない。

 俺も元の世界で偽物扱いされなくなったら、ちゃんと胸を張って勤労に励めるようにこう言う何気ないやり取りから学んでいかないと。

 ……でもまあ、せっかく薦めてくれる店主には悪いけどお金が足りないんでこのまま帰るしかないんだけどね。

 

 

*     *     *

 

 

「ハア、ハア、ハア……くっ!?」

 

 少女は1人、自分の愚かさを呪いながら必死になって走り続けていた。

 ストレートの鮮やかな若草色の長髪を振り乱しながら駆ける少女の後ろには……

 

「ぬらー!」

 

「ぬらぬらぬらー!」

 

 大量のスライヌが少女を追っていたのである。

 少女は運悪く、街に向かう道の途中でモンスターに襲われていたのだ。

 街まで逃げればなんとかなると思って全力で走り続ける少女であったが、徐々にスライヌ達との距離は縮まっていく。

 聞こえてくる鳴き声で追いつかれそうになっているのを感じ、少女は焦りを隠せない。

 

(こんなことになるんだったら、あの子にも一緒に――いえ、駄目よ! これは私がしなくちゃいけないことなんだから、あの子に迷惑をかけられないわ!)

 

 心身ともに疲労していく中で少女は1人の人物のことを頭に思い浮かべたが、すぐにそれをかき消すように自分の目的を思い出す。

 その切れ長の吊り眼気味になっている瞳に再び強い意志を灯らせ、少女は諦めずに重くなる体を動かし続ける。

 ……だが、精神論だけで疲労が吹き飛ぶわけでもなく、少女とスライヌの距離は確実に縮まっていく。

 

「っ、あぐっ!?」

 

 しかも、さらに悪いことは重なり、少女は足をもつれさせて転倒してしまった。

 地面へと打ちつけた体の痛みに少女が動けずにいると、スライヌはチャンスと見て一気に跳びはねる。

 

「ぬらー!!」

 

(くっ、ここまでなの!?)

 

 1匹を先頭に自分に向かって跳びこんでくるスライヌ達を見て、少女は恐怖で顔を引きつらせてしまった。

 思わず瞼をギュッと閉じて身を縮めた少女の頭の中には大切な人達の顔が浮かんでいく。

 

(ごめんなさい、お爺様……そして、な……)

 

「――チェストー!!」

 

「ぬららっ!?」

 

「………………えっ?」

 

 家族と大切な友人に心の中でもう会えないかもしれないことを謝罪していると、少女の耳に誰かの叫び声と共にスライヌの悲鳴が聞こえてきた。

 慌てて目を見開くと、少女の目の前に木刀を片手に構えた紫色の髪に十字キーを模した2つのアクセサリーをつけている女の子――ネプテューヌが立っていた。

 

「大丈夫だった?」

 

「え、あ、はい。大丈夫、です」

 

「そっかそっか。それじゃ、ちょっと待っててね。わたし達でパパッとアイツらを倒しちゃうからさ」

 

「わたし達?」

 

 自分を安心させるように笑みを浮かべたネプテューヌの言葉に、少女は辺りを見回してしまう。

 すると、後ろの方から1人の男性と3人の少女が走ってくるのが見えた。

 

「コンパとネプギアはその子のことをお願い! ネプ子と夢人は私と一緒にさっさとアイツらを倒すわよ!」

 

「わかったです!」

 

「わかりました!」

 

 倒れている少女のすぐ傍まで駆けつけたアイエフは、手短に夢人達に指示を出すとカタールを取り出して戦闘態勢を整えた。

 

 ――何故この場に夢人達が駆け付けたのかと言うと、ラステイションの街へと向かう途中でスライヌに追われていたこの少女を見つけたからである。

 襲われそうになっている少女を見過ごすことができず、最初に見つけたネプテューヌは一目散に飛び出してスライヌ達を木刀で一蹴したのだ。

 

「ぶー、あいちゃんがわたしの台詞を取ったー! みんなへの指示はパーティーのリーダーであるわたしの役目なのに!」

 

「今は文句を言ってる場合じゃないでしょ! 夢人もそんな立派な剣を持ってるんだから、スライヌ相手にビビってるんじゃないわよ!」

 

「だ、誰がビビってるって!? こ、これはちょっとトラウマが発動しているだけさ!?」

 

 口の端を尖らせて不満を漏らすネプテューヌと顔色を青くしてブレイブソードを震える手で握っている夢人に、アイエフは喝を入れた。

 その様子を見て、助けられる立場の少女は言い得ぬ不安に襲われてしまう。

 助けてくれるのは嬉しいけど、ネプテューヌと夢人に頼りなさを感じてしまったのだ。

 

「ほら、来るわよ!!」

 

『ぬらー!!』

 

 ネプテューヌにやられた仲間のかたき討ちとでも言わんばかりに、スライヌ達は勢いよく夢人達へと跳びはねて襲いかかってくる。

 しかし、そのスライヌ達の波に顔色を悪くするのは夢人と少女だけであり、ネプテューヌとアイエフはむしろ自分から跳び込んでいく。

 

 ――ネプテューヌの木刀が、アイエフのカタールが次々とスライヌ達を斬り倒していき、少女に少しも近づかせない。

 飛び出すタイミングが遅れた夢人であったが、2人がスライヌを倒していく姿にハッとなり、ブレイブソードを構えて自分も前に出た。

 

「おりゃあ!!」

 

「ぬらー!?」

 

「そりゃあ!!」

 

「ぬららら!?」

 

 だが、夢人がいくらブレイブソードを振ってもスライヌに掠りもしない。

 上段から狙いを定めて振り下ろしても、横薙ぎに振っても、必ずスライヌ達に避けられてしまう。

 理由は、夢人のブレイブソードを振る動きが緩慢なせいである。

 ブレイブソードを扱う夢人の動きはどこかぎこちなく、全て大振りになっているためにスライヌ達に避けられてしまっていたのだ。

 

 ――そうなると、必然的にスライヌ達も夢人が抜けだすための穴だと気付いてしまう。

 

「っ、馬鹿!! 真面目に戦いなさいよ!!」

 

「これでも精一杯やって――うごっ!?」

 

「ぬらっ!!」

 

 夢人の方へと流れていくスライヌ達を見て、アイエフは慌てて忠告を飛ばす。

 だが、現状でも全力で戦っている夢人にとって、アイエフの忠告は下手に動きを止めてしまう結果を招いてしまった。

 アイエフの言葉に反論しようとした夢人の隙をつき、スライヌは大きく顔面へと体当たりを実行したのだ。

 衝撃で顔を大きく仰け反らした夢人に対して、スライヌ達はさらに畳み掛けるように押し寄せる。

 

 ――その結果、夢人は転倒してスライヌ達の波に押し潰されてしまう。

 

「夢人さん!?」

 

「ゆっくんさん!?」

 

 スライヌ達に押し潰された夢人を見て、少女を守っていたネプギアとコンパも悲鳴を上げてしまう。

 ネプギアビームソードを片手に持ってすぐに助けに駆け寄ろうとした時――少女を含めた3人の後ろから1人の影が躍り出る。

 

「はああああ、せいっ!!」

 

『ぬらー!?』

 

 走ってきた影は腰からショートソードを引き抜くと、夢人の上にのしかかっていたスライヌ達を横薙ぎに一閃して吹き飛ばす。

 吹き飛ばされると同時に光となって消滅したのを見て、残りのスライヌ達は振りを悟ってネプテューヌ達から逃亡を図る。

 追いかけて全滅させるよりも、スライヌにやられた夢人と襲われていた少女の安全を確保する方が優先だと、ネプテューヌとアイエフは戦闘態勢を解く。

 そして、その場にいる全員が夢人を助けた人物に視線を向ける。

 

 その人物はふわりと軽くウェーブの入った金髪を肩まで伸ばした青年であった。

 青い色に輝く瞳で柔らかくほほ笑みながら、青年は倒れている夢人へと手を差し出す。

 

「大丈夫でしたか?」

 

「あ、ああ。ありがとうな」

 

「いえ、困っているのなら助け合うのが当たり前ですよ」

 

 急に現れた青年に戸惑いながらも、夢人はその手を握って立ち上がりお礼を口にする。

 すると、青年は全員の注目を浴びていることを察し、納得したように口元を緩めて爽やかに笑みを浮かべながら言うのであった。

 

「あ、自己紹介がまだでしたね。僕も皆さんと同じようにラステイションの街に向かっていた冒険者で、名前を“シン”と言います。よろしくお願いしますね」




という訳で、今回は以上!
皆さんが気になっているであろうネプギアのことは次回に持ち越しって事で、まずは新しい人達の登場ですよ。
彼らがどんな影響をもたらすかは今後にご期待を。
それでは、 次回 「剣×教会×依頼」 をお楽しみに!
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