超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
新アニメが続々と放映開始していきますね。
今季も面白そうなタイトルばかりで楽しみです。
それでは、 子ども×洞窟×天然 はじまります


子ども×洞窟×天然

 ――アイエフとシンが今後のことを話しあっている最中、夢人は1人でぽつんと立っているネプギアへと歩み寄る。

 

「ネプギア、ちょっといいか?」

 

「……え、あ、はい。どうかしたんですか?」

 

 考え事をしていたのか、声をかけられるまでネプギアは夢人が近づいてきているのに気付かなかった。

 ミモザを睨むように険しく細められていた目を驚きに見開かせると、ネプギアは体ごと夢人へと向き直る。

 そんなネプギアに、夢人は頬を掻きながら口を開く。

 

「あのさ、実はミモザのことなんだけど……」

 

「っ、なんですか?」

 

 夢人の口からミモザの名前が出た瞬間、ネプギアはビクッと体を震わせた。

 バツが悪そうに顔を俯かせるネプギアの態度は、まるで叱られるのを子どものようだと夢人は思ってしまう。

 だが、ネプギアとミモザの関係をそのままにしておけないため、言い辛そうにしながらも夢人は言葉を続ける。

 

「その、勘違いかもしれないけど、ネプギアが俺のことでミモザのことを怒っているんだったら、別に気にしないでいいからな」

 

「でも……」

 

「いや、ほら、俺が悪く言われるなんていつも通りだろ? きっと俺にそう言われる原因があるんだよ。だから、俺のことでミモザのことを一方的に悪いように見ないでくれよ、な?」

 

「……わかりました」

 

 反論しようとネプギアが泣きそうな顔を上げるが、夢人はそれでも説得を続けた。

 言ってて自分が悲しくなる内容であったが、紛れもなく夢人の本心でもある。

 しかし、ネプギアは小さく答えるだけで、再び俯いてしまう。

 その納得しきれていないネプギアの様子に、夢人は困ったように眉をハの字にして思案する。

 

(うーん、逆効果だったか?)

 

 言われたから渋々納得したように見えるネプギアに、夢人は焦り過ぎたと思ってしまう。

 精神的に不安定になっているネプギアの気持ちを考えなさすぎたと、今更ながら夢人は後悔する。

 ミモザとのことを早めに何とかしなければならなかったとはいえ、もっと時間をかけるべきだったかもしれないと思案する。

 

「――嫌いになりましたか?」

 

「……へっ?」

 

 夢人が何かもっといい方法があったのではないかと考えを巡らせていると、ネプギアがぼそりとつぶやいた。

 俯いたまま震えている声を耳にして、夢人は信じられず頭が真っ白になってしまう。

 ぎこちない表情で固まってしまい、疑問の声を漏らすのが精一杯であった。

 

「夢人さんは、ミモザさんのことを悪く思う私のこと、嫌いになりましたか?」

 

「え、いや、なんでそうなるんだ!? 別にミモザのことと俺がネプギアを嫌いになるかどうかなんて関係ないだろ!?」

 

「あるんです。だって、私――ミモザさんと一緒に居たくないです」

 

「っ!?」

 

 ネプギアがどうして嫌いになるかの結論に至ったのかわからず、夢人は慌ててしまった。

 だが、次にネプギアの口から明確なミモザを拒絶する発言が出たことに、夢人は息をのんでしまう。

 ドキッと胸を跳ね上がらせ、呼吸すら忘れて驚愕に見開かれた目でネプギアを見つめ続ける。

 

「私、夢人さんのことを悪く言うミモザさんと仲良くできる自信がないんです。いくら夢人さんが気にしなくても、私はどうしても嫌なんです――夢人さんが否定されているみたいで、またあの時のようにいなくなっちゃうんじゃないかって怖くてたまらないんです……っ!」

 

「あの時って……」

 

「でも、それ以上に夢人さんに嫌われたくなくって……っ! こんな風にしか考えられない私も嫌になって……」

 

「ネプギア」

 

「っ!?」

 

 言葉を紡いでいくうちに感情が高まったネプギアは訴えるように夢人を見上げた。

 その目尻には涙の粒が浮かんでおり、今にもこぼれそうである。

 一方、夢人はネプギアから出る驚きの発言の数々に思考が上手く働かない。

 かろうじて拾うことができた内容を問い返そうとするのだが、ネプギアの勢いにかき消されてしまう。

 すると、夢人は考えるよりも先に行動に移す。

 次第に顔を伏せ始めたネプギアの両手を優しく包み込むように持ち上げたのだ。

 手に触れた瞬間、ネプギアはビクッと肩を跳ね上がらせるが、夢人の手を払いのけようとはしなかった。

 そのまま合掌させるようにネプギアの両手を顔の前まで持ち上げると、夢人は柔らかく頬を緩めて口を開く。

 

「ありがとうな、俺のことを心配してくれて……うん、大丈夫。俺はネプギアのことを嫌わないし、もう勝手に消えたりもしないよ」

 

「――してください」

 

「うん?」

 

「……ギュッと、してください」

 

 安心させるようにゆっくりと頷きながら話す夢人に、ネプギアは小さい声で呟いた。

 聞き返すと、ネプギアは上目遣いで恥ずかしそうにチラチラと夢人を見ながら甘えるように頼みこむ。

 その意味を理解すると、夢人はふっと表情を和らげて無言のままネプギアを抱き寄せる。

 ネプギアが嬉しそうにはにかみながら自分の肩に顔を埋もれさせるのを確認すると、夢人は先ほどまで浮かべていた笑みを一変させ、難しそうに表情を歪めてしまう。

 

(これはマズイよな)

 

 今の顔をネプギアに見せないように注意しながら、夢人は現状の危うさを改めて認識した。

 

 ……はっきり言ってしまえば、夢人はネプギアの記憶喪失を楽観視し過ぎていたのだ。

 自分が思っている以上に、ネプギアの精神が不安定であることを理解させられてしまったのである。

 ――ロムの時のように、全てを忘れているわけではない。

 ――夢人の時のように、皆のことを覚えているわけではない。

 夢人のこと以外忘れてしまっているネプギアの心理状態は2人よりも深刻であったのである。

 むしろ自分の記憶だけが中途半端に残っているせいでネプギアは苦しんでいると、夢人は感じた。

 

 ――記憶が不完全だから、誰かに認めてもらいたいと強く願っている。

 かつて、リゾートアイラン島でアイエフに言われた言葉が夢人の胸を突き刺す。

 今のネプギアの状態は、まさにその通りだと思ってしまったからだ。

 周りのことが誰もわからないからこそ、知っている人物にすがる――つまり、依存である。

 唯一覚えている自分に嫌われることといなくなってしまうことに不安を覚えているのが何よりの証拠だと、夢人はネプギアの心を推測する。

 同時に、状況の悪さに頭を抱えたくなってしまう。

 

(うーん、俺以外ともっと話をすれば考え方も変わると思うんだけどなあ……難しいか)

 

 解決策を頭に思い浮かべるが、その難易度の高さに夢人は眉間に刻まれた皺が深くなる。

 単純に話をするだけならば問題ない。

 だが、必要なのはネプギアに夢人以外で安心できる人物を作ってもらうことなのだ。

 うわべだけの距離感がある関係ではなく、ネプギアが甘えられるような信頼が必要になってくる。

 それを今の自分に依存しているネプギアにできるのかと、夢人は頭を悩ませてしまう。

 

 しかも、ネプギアが積極的に記憶を取り戻そうとしていない様子も夢人の不安を増幅させている。

 夢人から見て、ネプギアは今の記憶を失った状態でも不自由していないように思える。

 自分やロムの時と記憶喪失の状況や捉え方の違いかと思っていた夢人であったが、ネプギアからはそれらも感じられない。

 それこそ、記憶喪失だと言われなければわからないほどの自然体に見える。

 今まで夢人が見てきたネプギアは不安や恐怖を押し隠すのが下手な女の子である。

 罪悪感に押し潰されそうになって閉じこもったり、距離を取られたり、目の前から走り去られたこともあるので、夢人はそんなネプギアのネガティブな部分を散々見せられて敏感になっていた。

 だが、今のネプギアに悲壮感はない。

 それどころか、夢人と一緒にいることに幸せを感じているように見えてしまう。

 

 ――それが依存に繋がり、夢人は自分がネプギアに何もできないことを理解して悔しくなる。

 夢人にできることはネプギアに安心感を与えるだけであり、その気持ちを変えることができない。

 優しくすれば優しくするだけネプギアは夢人への依存心を強め、記憶を取り戻そうとする気持ちをなくしてしまう。

 しかし、そうとわかっていても夢人は不安に震えるネプギアを放っておけずに抱きしめている。

 自分のためにも――何よりネプギアのためにもならない行動なのに、それしかできないことが夢人には堪らなく悔しかった。

 

(きっかけさえ……ネプギアが記憶を取り戻そうとするきっかけさえあれば……)

 

「じー……」

 

「うん? ――って、うおっ!?」

 

 無力さを痛感しながらも今のネプギアにできることがないかと夢人が模索していると、背後から向けられる生温かい視線とわざとらしい効果音が聞こえてきた。

 不思議に思って夢人が顔だけ振り向くと、そこには真顔で2人が抱き合っている様子を見つめるネプテューヌの姿があった。

 驚いてネプギアを抱きしめる腕の力を強める夢人を見て、ネプテューヌはにやにやとしながら口を開く。

 

「いやあ、わたしも邪魔するつもりはなかったんだよ? でもでも、そうしてイチャイチャされちゃうと気になっちゃうんだよねえ」

 

「こ、これは別にイチャイチャしてたわけじゃ!? ね、ネプギアもそろそろ離れてくれ!?」

 

「……ううん、もうちょっと」

 

「ネプギア!?」

 

 傍目から自分達がどんな風に見られていたのかをネプテューヌに指摘され、夢人は急に照れ臭さを感じてしまった。

 今まで真剣に考えていたことなど吹き飛んでしまい、顔を真っ赤にした夢人は慌ててネプギアを引き離そうとする。

 だが、ネプギアは逆に夢人の腰に回した腕の力をギュッと強めて、より体を密着させてしまう。

 焦る夢人だが、ネプギアに対して手荒なこともできないせいで慌てふためくことしかできない。

 

「もー、ラブラブし過ぎてごちそうさまって感じだね! でもさ、怒れるあいちゃんを召喚したくなかったら、そろそろ離れた方がいいよ。なんか、わたし達だけで先に行こうって話になったみたいだからね」

 

「さ、先に行くって、ミモザはどうするんだ?」

 

「そっちの方はコンパとシンくんが一緒に後からゆっくりと来るってさ。だから、わたしとあいちゃんとゆっくん達で先にモンスターを倒しに行っちゃおうってことになったみたいだよ」

 

 2人の様子を見て、ネプテューヌはさらに笑みを深めながら先程シンから聞いた提案を夢人達へと説明する。

 抱きついたまま離れてくれないネプギアに困惑しながらも、夢人はネプテューヌの言葉になるほどと納得して頷く。

 

「わ、わかった。ほら、そう言うことだからネプギアも離れてくれって」

 

「……わかりました」

 

 優しく肩を掴みながら声をかけると、ネプギアは名残惜しそうに夢人から離れる。

 しかし、その表情は抱きつく前に見せた不安など嘘のようにはにかんでいた。

 0だった距離が1歩開くと、ネプギアは急にそわそわしだす。

 

「え、えっと、あの、その……さ、先にアイエフさんの所に行ってますね!?」

 

「あっ、ちょっ――って、行っちゃったか」

 

 段々と顔全体を赤く染めながら早口でまくしたてると、ネプギアはガナッシュから手渡された紙を読んでいるアイエフの所へと駆けて行ってしまった。

 止める間もなく行ってしまった元気そうなネプギアに、夢人は少しだけ安心して肩から力が抜ける。

 

「あらら、置いてかれちゃったね。それじゃ、わたし達も急いであいちゃんの所に……」

 

『っ、きゃあああああああ!?』

 

「ねぷっ!? 何が起こったの!?」

 

 邪魔をして悪かったなあと思いつつも、ネプテューヌは夢人と一緒にアイエフの所に行こうとして――突如、聞こえてきた爆発音と2人の悲鳴に驚いてしまう。

 慌てて2人のいたところを見ると、そこには白い煙がもくもくと漂っている。

 当然、岩に座って休んでいたミモザ達も気づき、アイエフとネプギアに何が起こったのかと心配する。

 驚愕から立ち直った夢人とネプテューヌ、それからシンが2人の安否を確かめようと煙が立ち込める場所に近づこうとした時……

 

「へっへー! ざまあみろってんだ!!」

 

 ――見知らぬ子どもが煙の中から跳び出してきた。

 短い黒い髪をツンツンとはねさせ、黒を基調にしたパーカーに短パン姿の少年である。

 にししと笑うその手には1枚の紙――ガナッシュから貰ったモンスターの情報が書かれている紙が握られていた。

 

「あ、アンタ!? ――ゲホッ、ゴホッ……早くそれを返しなさい!?」

 

「やーなこった!! あんなクソ野郎どもの味方しているお前らの命令なんか聞かねーよ!!」

 

 煙を吸い込んだせいでむせながらでも、アイエフは少年に紙を返すように強く言い放った。

 しかし、少年はそんなアイエフに向かってアッカンベーと舌を出して答えると、ポケットからビー玉のような物を取り出す。

 

「それ、お前らも喰らえ!!」

 

『っ!?』

 

 それをコンパ達へと投げると、ビー玉のような物は破裂して白い煙を発生させた。

 突然の事態であったが、少年の前振りのおかげでコンパとシンは何とか口元を押さえることに成功する。

 だが……

 

「フゴッ!? ゴホッ!? ゲハッ!? ブホッ!?」

 

 ――ミモザだけが思いっきり煙を吸い込んでしまい、苦しそうにせき込んでしまう。

 そのむせる声を聞いて、少年は楽しそうににやりと笑ってフードを被る。

 そのまま煙の中へと駆け出し、夢人達から逃げようとする。

 

「おい、待て!!」

 

「追うよ、ゆっくん!!」

 

「おう!!」

 

 煙の被害を免れた夢人とネプテューヌは、盗みを働いた少年を捕まえるために駆けだすのであった。

 

 

*     *     *

 

 

「えへへ~、久しぶりだねえ~、ノワールちゃんと会うのも~。元気だった~?」

 

「……最悪の気分よ」

 

 お腹に抱きついて離れない女の子にうんざりしてしまう。

 初対面のはずなのに、異様に馴れ馴れしいこの子を引きずりながら歩く私の身にもなって欲しいわ。

 

「ええ~、どこか痛いところでもあるの~? それとも~、風邪気味とか~?」

 

「……どっちも違うわよ。ってか、いい加減離れなさいよ!!」

 

「い~や~」

 

 独特の間延びした声で的外れなことを言うものだから、苛立ちを隠せず私は女の子に怒鳴ってしまう。

 しかし、女の子は断固として私のお腹から離れようとしない。

 それどころか、ぐりぐりと顔を押し付ける始末。

 

 ……もう本当に嫌になってくるわ。

 教会では軟禁状態にされるは、ネプテューヌの挑戦を受けて先回りをすれば変な鳥のモンスターに襲われるは、初対面の女の子にはじゃれつかれるはと――私が何をしたって言うのよ!?

 大体、この子は迷子になったピーシェとかロムとか言う子を探していたんじゃないの!?

 それがどうして私がこの子に抱きつかれながら探さなきゃならないのよ!?

 歩き辛いし、鬱陶しいことこの上ないわ!?

 そもそもその子達のことを知らない私がどうやって探せば……

 

「退いた退いたー!! 邪魔だー!!」

 

「っ、ちょっと危ないじゃないの!?」

 

 無理やり女の子を引き剥がして事情を聞こうとした時、前方から黒いフードを被った少年が大声を出しながら走って来た。

 このままいけばぶつかるとわかっているのに、避ける素振りも見せない少年に驚いて、私は思わず女の子を強く抱きしめて道の端へと避けた。

 子どもと言えども、私はさすがにその態度に頭に来て怒鳴ったのだが、少年は謝罪の言葉すらなく風のように駆け抜けていってしまう。

 そのまま少年は近くにあった元炭鉱の入口へと入っていく。

 

 ……確か、この炭鉱って昔は“試練の洞窟”なんて言われた廃坑だったかしら?

 前に来た時には立ち入り禁止の有刺鉄線が張られていたはずなのに、どうして外れているの?

 ――怪しいわね。

 

「えへへ~、ノワールちゃんって~、意外と積極的なんだねえ~」

 

「馬鹿なこと言ってないで、とっとと離れる!!」

 

「アイタッ!?」

 

 真面目に考えを巡らせているのに、抱き寄せた女の子はにへらと緩い声で笑っていた。

 いい加減我慢の限界を迎えた私は女の子の頭にげんこつを叩き落とした。

 すると、女の子は痛む頭を両手で押さえながら私から離れる。

 ……よし、これでようやく自由に動けるわね。

 

「も~、酷いよ~。あたしの頭が馬鹿になったら、どうするつもりなの~?」

 

「頭のねじが何本か外れているようなくせに、何を言ってるのよ。それより、探していた子ってさっきの子じゃないの?」

 

「うぅ~、ノワールちゃんがいつもより酷い気がする~。それに何だか服も違うし~、もしかしてコスプレしてるの~?」

 

「ああもう、関係ないこと言ってるんじゃないわよ!! それと、誰がコスプレしてるって!! これが私の普段着よ!!」

 

 涙目になって訴える女の子のゆったりしている口調が、妙にムカついて口から出る言葉が自分の思った以上に辛辣になってしまった。

 だが、私が質問したにもかかわらず、女の子は目を閉じてぶつぶつと自分の世界に入ってしまう。

 その意味不明な言動もそうだが、何より尋ねている私を無視していることが我慢できず、怒鳴り声をあげてしまった。

 

「ひゃあっ!? で、でも~、さっきからノワールちゃんの様子がおかしいし~……」

 

「あなたの方がおかしいでしょ!! いいから、私の質問に答え……」

 

「あそこだよ、ゆっくん!!」

 

 ビクつきながらも意味がわからないことを言い続ける女の子に怒鳴り散らしていると、聞き覚えのある憎たらしい声が聞こえてきた。

 ハッとなって声のした方を向くと、そこには私の待ち焦がれた相手――ネプテューヌ、とおまけに竹刀袋を担いだ男が走ってくる姿が見えた。

 

 な、何でネプテューヌが……って、そうよね。私のことを先に見つけたから、先制攻撃をしかけようって腹ね。

 なにせ挑戦状をたたき込んできたのはネプテューヌだもの、なにもおかしいことはないわ。

 でも、お生憎さまね。

 例えあなたがそこの男と2人がかりで来たとしても、私の勝利は揺るがない。

 ラステイションの女神としての誇りをかけて、真正面から打ち砕いてやるわ!!

 さあ、来なさいネプテューヌ!!

 今日こそ、私の方が強いってことを証明して……

 

「あの洞窟に入ったみたいだよ!! 急いで追いかけるよ!!」

 

「ああ!! 絶対逃がさないぞ!!」

 

「もちろん!!」

 

「……えっ?」

 

 ――だが、ネプテューヌ達は私のことを無視して素通りしてしまった。

 まるで存在に気付かなかったと言わんばかりに、私に見向きもしなかった。

 

 ……ちょっと、あれ?

 ネプテューヌは私と戦うために走って来たんじゃなかったの?

 それなのに、どうして無視するのよ?

 どうして試練の洞窟に入っていくのよ?

 

「どうかしたの~? お~い、ノワールちゃ~ん? やっほ~?」

 

 目の前で女の子が手を振っているが、私は何も反応ができずにネプテューヌ達が入って行った試練の洞窟を見つめて呆然と立ち尽くしていた。

 

 ――しばらくすると、冷静になった私の頭は1つの答えを弾きだす。

 

「ふっ、ふふふふふ……」

 

「あ、あれ~? どうしてそんな怖い感じで笑うの~?」

 

 女の子が何か言っていたが、私は気にしなかった。

 いや、正確には気にならないほど私の頭の中がネプテューヌへの怒りで溢れていたのだ。

 

 つまり、ネプテューヌはこう言いたかったわけよね?

 ――挑発したのはいいけど、私なんて相手をする必要がない。

 弱過ぎて話にならないって、ネプテューヌは私のことを侮辱したのよね?

 

「ネプテューヌッ!!」

 

 私を馬鹿にした憎い相手の名前を叫びながら、感情の高ぶりと共に抑えていた力が溢れだす。

 自然と体は女神化しており、私は試練の洞窟の入り口を鋭く睨む。

 その先に見えるネプテューヌの後ろ姿を追いかけるため、私はプロセッサユニットのウイングを全開にして飛ぶ。

 

 確かに、私はあの頃よりも弱くなったわ。

 だけど、下界に落としたあなたよりも弱くなったつもりはない!!

 今から私を格下と判断したその認識を力づくで正してあげるから、待ってなさいよ!!

 

「うわ~、いつの間に女神になれるようになったの~?」

 

 後ろの方で女の子がまた意味がわからないことをつぶやいた気がするけど、私は振りかえらずネプテューヌ達の後を追うために飛翔し続ける。

 

 私を甘く見たこと――絶対に後悔させてあげるわ!!




という訳で、今回はここまで!
物語的にはあまり進んでませんね。
内容的にネプギアの現状と今回のノワールさんぐらいでしょうか?
さて、次回はもっと場面を進めませんと。
それでは、 次回 「因縁×剣×鉢合わせ」 をお楽しみに!
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