超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
台風がいなくなったと思ったら、また新しいの来ているんですね。
早く落ち着いた天気になってくれるといいなあ。
それでは、 因縁×剣×鉢合わせ はじまります


因縁×剣×鉢合わせ

〔――と言うわけですので、予定通り彼女達をそちらへと誘導することに成功しました〕

 

「ご苦労様です。よくやってくれました」

 

 薄暗い洞窟の中、黒いローブを被った女性は端末から聞こえてくる報告に口元を緩めた。

 人気のない洞窟で誰かに見られる心配などないと言うのに、女性は目深にローブで顔を隠している。

 その肩には1つ目の蝙蝠のようなモンスターが羽を休めており、怪しげな雰囲気を醸し出している。

 

〔いえ、これも全て“あの御方”のため。そのために私はここにいるのですから〕

 

「わかりました。改めてあなたの信仰心に感謝を――必ず“あの御方”にあなたのことを報告させていただきますわ」

 

〔ほ、本当でしょうか!? あ、ありがとうございます!〕

 

 淡々と話していた通信相手であったが、女性がとある人物のことを口にすると、まるで人が変わったように声に熱がこもる。

 端末越しでも相手が興奮している様子が手に取るように分かり、女性は笑みを深めてしまう。

 

「それが私の仕事ですから――ところで、最近こちらに送ってもらっている商品が少ない気がするのですが、何か問題でも発生しましたか?」

 

〔……申し訳ございません。実は我が社の工場が何者かの襲撃を受けたのです。そのせいで、生産ラインはズタボロになり、完成間近であった商品も全て破壊されてしまいました〕

 

「何ですって?」

 

 悔しさを滲ませたその報告を聞くと、女性は今まで柔らかくしていた声を固くしてしまった。

 ローブで隠れている目も鋭くなり、眉間に深いしわが刻まれる。

 

〔さらに資材の方も大量に盗まれてしまい、既に何件もの我が社の工場プラントが活動を停止せざるを得ない状況に追い込まれてしまいました。おそらく、我が社のことをよく思っていないライバル企業の仕業だと思われるのですが……〕

 

「そんなことはどうでもいいです。私が聞きたいのは、そちらがこれまで通りの活動ができるのかどうかです」

 

「――無論、問題ございません」

 

 被害報告を遮り、女性は苛立ちを隠せず責めるように尋ねた。

 その怒気に当てられ、肩に止まっていた蝙蝠のようなモンスターは怯えてしまう。

 だが、端末から聞こえてくる返答は自信に満ち溢れた強気な発言であった。

 

〔いささか被害を受けたところで、我が社の規模からすれば雀の涙ほどのもの。すぐに元の生産率を取り戻してみせますよ――加えて、今回のお詫びを兼ねて“とっておき”をご用意させて頂いております〕

 

「“とっておき”ですか?」

 

〔はい。秘密裏での製作のため、我が社でも社長と私しか知らない物です。そのせいで未だ完成には至っておりませんが、従来の商品をはるかに超える代物になることはお約束しましょう〕

 

「……期待してもよいのですね?」

 

〔もちろんです。必ずやご期待に応えてみせましょう〕

 

 通信相手の自信の理由がわからず、女性はその言葉の真偽を疑わしく感じ取った。

 しかし、いくら尋ねても間髪いれずに答える通信相手に、女性は怒りを治めて再び頬を緩める。

 すると、肩で震えていた蝙蝠のようなモンスターも安心して翼の筋肉を弛緩させ垂れさせる。

 

「いいでしょう。では、期待しておきますよ」

 

〔お任せください。では、何卒“あの御方”への謝罪とご報告をお願いします――コンベルサシオンさん〕

 

 そう言い残して通信が切れると、コンベルサシオンと呼ばれた女性は歪めていた口角をさらに吊り上げた。

 大きな三日月の形にした口からは堪え切れない笑いと独り言がこぼれ出す。

 

「クックックッ、準備は万全……後は、奴らをここに誘き寄せるだけ」

 

「キキッ!」

 

 コンベルサシオンの声は先ほど通信で話していた時よりも低い響きを鳴らしていた。

 同時に、肩にいる蝙蝠のようなモンスターへと横目で視線を送る。

 それだけで何をするべきなのかを悟ったらしく、蝙蝠のようなモンスターは楽しげに鳴き声を出して洞窟の出口へと飛んで行ってしまう。

 その後ろ姿が見えなくなるまで黙っていたコンベルサシオンであったが、消えた途端に堪え切れなくなった笑みが溢れだす。

 

「さあ、今度こそ奴らの最後だ――クックックッ、アーッハッハッハ……」

 

「あのう、ちょっといいですか?」

 

「ハブッ!? ゲホッ、ゴホッ、グホッ!?」

 

 コンベルサシオンは興奮を抑えられずに高笑いをしようとした瞬間、横から聞こえてきた声に驚いてむせてしまった。

 息苦しそうに喉を押さえてせき込みながら声のした方向を向くと、そこには3人の少女の姿があった。

 その内の1人――声をかけた張本人である朱色の髪の少女が申し訳なさそうに眉を下げながら口を開く。

 

「えっと、ごめんなさい。大丈夫ですか?」

 

「ンッ! だ、大丈夫ですよ。それよりもどうかされたのですか?」

 

 ローブの中でちょっと涙目になりながらも、コンベルサシオンは朱色の少女へと言葉を返した。

 だが、その内心では急に話しかけられたことへの怒りやつぶやいていた独り言を聞かれていないかと不安が渦巻いている。

 それらを悟られないためにも、コンベルサシオンは慌てて通信していた時に出していた声色で優しく少女達へと問い返す。

 

「もしかして迷子の方でしょうか? それなら、私が出口へとご案内し……」

 

「ああいえ、そうじゃなくて実は探し物をしていたんです」

 

「探し物、ですか?」

 

 しかし、焦りを完全に抑えることができないコンベルサシオンは多少無理やりにでも少女達を洞窟から外に追い出そうとした。

 コンベルサシオンにとって少女達の存在は計画のイレギュラーであり、邪魔な存在であるため早くいなくなって欲しかったのである。

 だが、少女の口から出てきたのは想定外の発言。

 何もない洞窟だとわかっているからこそ、コンベルサシオンは不思議に思って首を傾げてしまう。

 すると、朱色の少女と一緒にいた黄色の髪を赤いボンボンで結んでいる少女がコンベルサシオンの前に出てくる。

 

「あのねー、ぴいのキラキラがなくなっちゃったの! だから、さがしているの! おっきなとりさんがとってっちゃったの!」

 

「キラキラ……って、なん――ンッ、なんですか?」

 

「えっと、透明な宝石(これくらい)」

 

 割と本気で黄色い髪の少女が言っている内容が理解できず、コンベルサシオンは一瞬演技を忘れそうになってしまう。

 寸での所で誤魔化して尋ねると、今度は茶髪の少女が手のひらで形を説明する。

 

「……すみませんが、私は見ていないですね」

 

「そうですか」

 

「残念(がっくり)」

 

「ううぅ……」

 

 首を横に振りながらコンベルサシオンが答えると、3人は一様に落ち込んで見せた。

 特に落とした張本人である黄色い髪の少女の落ち込みようは酷く、顔を俯かせて低い声で唸ってしまう。

 その3人にコンベルサシオンは申し訳なさそうな態度を作りながら口を開く。

 

「お役に立てなかったみたいで申しわけありません」

 

「あっ、いえいえ。こちらこそ、ありがとうございました――うーん、でも困ったなあ。諦めようって言っても……」

 

「やだ!!」

 

「……だよね」

 

 頭を下げるコンベルサシオンに、朱色の髪の少女は困ったように笑みを浮かべながら両手を軽く胸元の辺りで振るジェスチャーをした。

 しかし、すぐに表情を曇らせて後頭部を掻きながら黄色い髪の少女へと視線を向ける。

 すると、黄色い髪の少女は即座に朱色の髪の少女の提案を却下する。

 その様子に疲れたように肩を落とす朱色の髪の少女は膝をつくと、隣にいる茶髪の少女と黄色の少女へと交互に見る。

 

「仕方ない。もう少しだけ探してみて、なかったら諦めること――はぐれちゃった子のことも探さなきゃいけないし、それでいいね?」

 

「うん!」

 

「わかった(こくり)」

 

「よし。それじゃ、ありがとうございました」

 

「……えっ?」

 

 蚊帳の外になっていたコンベルサシオンは、3人の話を聞いて頬を引きつらせてしまった。

 何故ならコンベルサシオンとしては一刻も早く3人に洞窟から出ていってもらいたい。

 探し物をするということは洞窟の中をうろちょろされることなので、コンベルサシオンは自分の計画にないイレギュラーに焦りを感じてしまう。

 だが、そんなコンベルサシオンの気持ちとは裏腹に、朱色の髪の少女はにこやかに笑いながらお礼を言うと踵を返して2人の少女を連れて洞窟の奥へと歩いていこうとする。

 

(クッ、このまま邪魔されるわけには……)

 

「ありがとうございました(にっこり)」

 

「ありがとー! バイバーイ!」

 

「あっ、ちょっ……ま、待ってください!?」

 

 唇を噛みながらどうにか3人を洞窟から追い出す方法を考えていると、茶髪の少女と黄色い髪の少女もお礼を言いながら手を振って朱色の髪の少女へとついていこうとした。

 3人の少女が自分に背中を向けた途端、コンベルサシオンはなりふり構っていられずに急いで呼び止める。

 不思議そうにきょとんとした顔で振りかえる3人に、コンベルサシオンは頬をひくつかせながら口を開く。

 

「わ、私もお手伝いしましょうか?」

 

 追いだせないなら自分が監視をするという解決策にもならない方法を思わず口にしたことを後悔しながら、コンベルサシオンは3人の探し物を手伝おうとするのであった。

 

 

*     *     *

 

 

 ――試練の洞窟。

 西風の吹く渓谷の道中にある炭鉱の1つであり、昔は東と中央を結ぶ採掘場としてにぎわっていた。

 また、この洞窟を根城にしているモンスターの強さが街道のモンスターと比べものにならないことから、ラステイション出身の冒険者にとって1人前と認めてもらうための登竜門的なダンジョンとして有名であった。

 しかし、ちょうど東と中央の境にあったことが災いし、炭鉱からはほとんどの資源が採掘されつくしてしまったのである。

 加えて、寂れていくにつれて老朽化していく洞窟の維持費を捻出できなくなり、ラステイションの教会及びギルドから立ち入り禁止とされ、ダンジョンとしても炭鉱としても閉鎖されてしまったのだ。

 

「ハア、ハア、ハア……ここまでくれば問題ないだろう」

 

 ――そんな廃抗に、黒いフードを被った少年が息を切らせながら入って来た。

 ちょうど曲がり角で直線では死角になる場所に身を隠しながら、少年は被っていたフードを巻くってにししと笑う。

 

「へっへー、さてクソ野郎どもが今度は何を企んでいるのか暴いて――あん?」

 

 楽しげに笑いながら強く握りしめていたアイエフから奪った紙を広げると、少年は目を大きく開けて驚きの声を上げた。

 薄暗い洞窟の中なので、自分の見間違いかどうかを確認するために目を細めたり、紙を近づけたり遠ざけたりしながら書かれている内容を確認する。

 すると、少年は冷や汗を流しながら乾いた声を出す。

 

「あ、あはは……もしかして、やっちまった?」

 

 書かれている内容が自分の予想と違っていたことに、少年は焦りを隠せない。

 少年が欲しかったのは、モンスターの情報ではなかったのだ。

 これでは、ラステイションの入り口付近でガナッシュと会話していたところから隠れて尾行していた意味がないと思い、少年は青ざめた顔で何度も紙に書かれている内容を読み返す。

 

「い、いやいや待て待て!? これにはきっと何か暗号的な何かが隠されているんだ!? ――そ、そうか!? この間テレビでやっていたあぶり出しって奴だな!? それなら早速……」

 

 自分がもしかしたら思い違いをして夢人達を襲ったのではないかと不安になり、少年の手は震えだした。

 だが、少年はそれを認めようとせず、頭の中にあった知識を引っ張り出して自分の行動を肯定しようと必死になる。

 それ程、ガナッシュの依頼を受けた夢人達が信じられなかったのだ。

 慌ててポケットの中に実行するための火種があるかどうかを探すが、残念なことにマッチもライターも見つからない。

 しかし、諦めるわけにはいかないので、辺りに何か利用できるものがないかと探し出す。

 

 ――すると、岩肌にキラリと輝く何かを発見する。

 

「なんだありゃ?」

 

 火を起こす物を探すことも忘れて、少年は光って見えた何かに興味を示す。

 現実逃避でもあるが、今まで抱えていた不安を頭の片隅へと追いやった少年は光る何かに近づく。

 目を細めながら何があるのかと見つめていると……

 

「何かのCD?」

 

 光の正体は1枚のディスクであった。

 不審に思いつつも、少年はその壁に嵌めこまれたディスクを剥がそうと手を伸ばす。

 

 ――瞬間、強烈な光がディスクから放たれた。

 

「な、なんだ!?」

 

 あまりの眩しさに腕で顔を隠した少年は、ディスクが光る未知の現象に驚愕の声を上げてしまった。

 だが、すぐにそれを越える衝撃が少年を襲う。

 

「グルルルルルッ!」

 

「――――――へっ?」

 

 背後から聞こえてくる低い唸り声に、少年は嫌な予感しかしなかった。

 しかし、振り向かないと言う選択肢は存在しておらず、少年は背中に冷たいものを感じながら後ろを向く。

 

 ――そこには、先ほどまでいなかったはずのモンスターが大量にいたのであった。

 鶏を大きくしたような赤い鶏冠が特徴的な鳥のモンスター――コカトリス。

 球根に足がついた体をしており、頭と手の部分が緑色の葉になっているモンスター――なき草。

 牛のような顔に異常に発達している上半身を持ち、巨大なハンドアックスを持っている巨体のモンスター――牛鬼。

 3種族ものモンスターの大群に、少年は気付かれないうちに追い込まれていたのだ。

 

「ちょっ、どうなってんの!? コイツらいつの間に来たんだよ!?」

 

「ケーッ!!」

 

「や、やろうってのか!? いいぜ、まとめてきやがれってんだ!?」

 

 驚きのあまり、少年は後ろへと慌てて下がってしまう。

 岩壁にぶつかるまで下がりきると、モンスター達は少年を追いこむようににじり寄る。

 その中の1匹――コカトリスが羽を広げて威嚇するように鳴くと、少年はアイエフから奪った紙を投げ捨てて両の拳を構える。

 だが、その体は震えており、ガチガチと歯を鳴らしてしまう。

 それでも負けるものかと、少年は正面に広がるモンスター達を睨むように見据える。

 少年の戦う意思に触発され、モンスター達が飛びかかろうとした時……

 

「ほいさー!!」

 

「せいっ!!」

 

 ――少年へと飛びかからんとしていたコカトリスとなき草が光となって消滅した。

 乱入してきたネプテューヌの木刀と夢人のブレイブソードの一撃を受けて。

 

「お、お前らどうして……」

 

「怪我はないか?」

 

「お、おう!?」

 

「なら、よかった」

 

 突然現れた2人に驚きと安心を覚え、少年はその場でへたり込んでしまった。

 自分を助けてくれたことが信じられず問いかければ、逆に夢人に心配されてしまい、少年は混乱しながらも正直に答える。

 その答えに安心した夢人は軽く口元を緩めると、再びモンスター達の大群へと険しい視線を向ける。

 

「もー、これに懲りたら泥棒なんて悪いことしちゃ駄目だからね。そんなことじゃ、嘘つきな大人になっちゃうんだから」

 

「……それって逆なんじゃないの?」

 

「そうだっけ? ――まあ、いいか。こんなモンスター達なんて、わたしとゆっくんでパパッと倒しちゃうから、そこで大人しく待っててね」

 

 ネプテューヌから投げかけられた言葉は文句であったが、それがどこかとぼけたように聞こえた少年はいつの間にか緊張していた気持ちがほぐれるのを感じた。

 単純な話であるが、危機的状況から逃れた少年は自分の身を心配してくれている2人に安心感を抱き始めていたのである。

 気負わずに自然と少年が言葉を返すと、ネプテューヌは安心させるようにウインクしながら笑いかける。

 そして、夢人と同じように仲間をやられて怒りを感じているモンスター達へと視線を戻す。

 少年はただその2人の背中を呆然と見つめることしかできず、そのまま足を投げ出して座り続ける。

 

「わー、なんか如何にも怒ってますって感じで目が血走ってるね。しかも、あの斧持ってる牛みたいなのはヤバそうだよ」

 

「そうだな。ネプテューヌは鶏と草っぽいのを頼む――アイツらは俺がやる」

 

 一見ふざけたような物言いだが、ネプテューヌの指摘は尤もだと夢人は思った。

 3種類の中で、牛鬼だけが異様な雰囲気を発している。

 2種類に比べて大きいことに加えて、強いと目に見えてわかるのだ。

 だが、夢人は敢えてネプテューヌに他の2種類を任せて、牛鬼達を相手にしようとする。

 

「本当に大丈夫なの?」

 

「ああ。むしろ、他の奴らよりもやりやすいさ」

 

 心配そうに尋ねてくるネプテューヌに、不安を見せないように夢人は強気で答えた。

 実際、牛鬼に対する勝算が夢人にあるわけではない。

 だが、コカトリスやなき草よりも夢人にとって戦いやすい相手が牛鬼なのである。

 

 ――理由は、夢人の武器であるブレイブソードだ。

 魔窟で“再現”して以降、元の錆びた剣に戻らなかったブレイブソードであったが、1つだけ欠点が存在していたのである。

 その“重さ”が問題だったのだ。

 アカリが体の中にいる時も3度ブレイブソードを“再現”した夢人であったが、その時と比べものにならない重さに上手く扱うことができないでいたのである。

 そのせいで魔窟でガーディアンと戦った時も地面に突き刺さったブレイブソードを抜くことができなかった。

 ガーディアンの足を斬れたのは、ブレイブソードの重さに体が引っ張られた偶然の結果であったのだ。

 だからこそ、夢人は自分と同じくらいの大きさのコカトリスや小型のなき草よりも、ブレイブソードを当てやすい巨体である牛鬼を相手にしようとしていたのである。

 

(一撃の威力はある。あの斧にさえ気をつければ……)

 

「うん、わかった。それじゃ、牛の方はゆっくんに任せるね――でも」

 

 頭の中でどう動くのかを考えるが、実際に動けるかどうかの不安を隠すように夢人はブレイブソードの柄を握り直した。

 それを見て、ネプテューヌは頷きながら夢人の提案に賛成し、ニコッと笑って見せる。

 

「あんまり無茶しちゃ駄目だよ。わたしもすぐに鶏と草っぽいのを片づけるから、ゆっくんは怪我をしないことを1番に考えて戦ってね」

 

「ネプテューヌ……」

 

 今までの醜態からてっきり反対されるかと思った夢人であったが、笑顔で了承したネプテューヌを見て目を丸くしてしまった。

 同時に、ふっと柔らかく表情が崩れて適度に肩から力が抜ける。

 再度ブレイブソードを握り直す夢人に上手く戦えるかどうかなどの不安はない。

 あるのは、隣で一緒に戦ってくれるネプテューヌへの信頼だけ。

 自分を信じて牛鬼を任せてくれるだけでなく、心配もしてくれるネプテューヌの頼もしさに、夢人の胸に男として情けなくも嬉しい気持ちが溢れてくる。

 

「……本当いざって時には頼もしくなるよな、俺達のリーダーさんは」

 

「いやあ、そんなに褒めなくてもいいのに。お礼の気持ちはプリン10個でいいよ」

 

「調子に乗るなっての――ありがとうな」

 

「うん」

 

 素直に今の気持ちを夢人が吐露すると、ネプテューヌは照れたように頬を緩めて先頭前とは思えない言葉を口にした。

 それが逆にいつも通り過ぎて、夢人はおかしく感じて笑ってしまう。

 そして、夢人が小さくお礼を言うとネプテューヌも嬉しそうに頷き、2人はそろそろ痺れを切らしそうなモンスター達へと向き直る。

 だが、2人の顔にはモンスターの大群を相手にするというのに余裕の笑みが浮かべられており、緊張した様子も見られない。

 まるで自分達が負けるはずがないと言わんばかりに堂々とした態度を貫いている。

 

「来ないんなら、こっちから行っちゃうよ! ふっふーん、この間のことでもう完全にコツは覚えちゃったもんね!」

 

 睨み合いの状態が続いていたが、先に動いたのはネプテューヌであった。

 両手をバッと前に突き出して瞳を閉じると、ネプテューヌは女神化をするために集中し始める。

 すると、ネプテューヌの足元から淡い光が溢れだす。

 

 過去2回の仮称チェアーさんによる補助で、完全とは言えないが女神化するための感覚をネプテューヌは掴んでいたのだ。

 光はやがてネプテューヌの全身を包み込む柱と……

 

「はあああああああっ!!」

 

「………………ほえっ?」

 

 ――なろうとした時、聞こえてきた声に気を取られて光を霧散させてしまった。

 集中を乱した誰かの正体を確かめるべく、ネプテューヌは閉じていた瞳を開ける。

 

 そこには、白く輝く長い髪をなびかせて大剣を振るっている女性がいた。

 きわどい黒のインナースーツに身を包み体の各部に機械のアーマーを装備している。

 

 気合とともに繰り出された大剣の一撃はモンスターの大群を左右に両断し、夢人達へと真っ直ぐに視線をぶつける。

 女性は特にネプテューヌへと険しい視線を向けながら、大剣の切っ先を向けて言い放つ。

 

「よくも舐めた真似してくれたわね!! この屈辱、倍にして返してあげるわ!! ――勝負よ、ネプテューヌ!!」

 

 明らかな女性の宣戦布告が洞窟内に木霊する。

 急に現れた女性の発言に、呆然としていたネプテューヌは……

 

「……えっと、どちら様?」

 

 ――目をパチクリとさせて、思わず言ってしまうのであった。

 瞬間、凍りついたように表情を固めた女性を見て、夢人は厄介なことになったと思ってしまう。

 何故なら、ネプテューヌに敵意を向ける女性の正体を夢人は知っていたのだ。

 その強さはネプテューヌと互角――もしくは、それ以上かもしれない。

 

 彼女の名前はブラックハート――ラステイションの女神なのだから。




という訳で、今回はここまで!
さて、ようやくこの章も折り返し地点が見えてきました。
……はい、まだ予定の半分も進んでないんです。
番外編の方も更新しないといけないのに……
それでは、 次回 「氷×けん玉×剣士」 をお楽しみに!
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