超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して 作:ホタチ丸
投稿がだいぶ遅くなってすいませんでした。
ちょっと体調を崩してしまったので、しばらくゆっくりと休ませていただきました。
だいぶ回復しましたので、今日から投稿を再開していきます。
それでは、 ヨメ×女神×別人? はじまります
……本当、どうしてこう厄介事ばかり起こるのかしら。
もしかして、私って今年が厄年だったりするのだろうか。
それなら、夢人やネプ子達に付き合っていないで早いところお払いに行かなきゃ。
「ねえねえ!! 名前!! あなたの名前を教えてよ!!」
――ほんの少し現実逃避していると、非常識にも私の真上から落ちてきた女の子が目を輝かせながら顔を近づけてきた。
何でそんなに興奮しているのかわからないけど、大分鼻息が荒い。
正直この子と関わり合いたくないから教えたくはないんだけど、馬乗りになられちゃってるから逃げられないのよね。
問答無用で弾き飛ばすって手段もあるけど、どうにも気力がわいてこない。
代わりに、頭とお腹の辺りに締め付けられるような痛みを感じる。
……頭痛薬と胃薬、ラステイションの街に戻ったら絶対に買おう。
「聞いてるの!! なーまーえーをーおーしーえーてーってば!!」
「――ああもう!! 耳元で叫ぶな!! アイエフよ!! 私はアイエフって言うの!!」
私が答えないのを無視されたと勘違いしたらしい女の子は、いきなり耳元で大きな声を出し始めた。
その音量に堪らず現実に引き戻された私は両耳を塞ぎながら自棄になって自分の名前を答えた。
すると、女の子はパッと顔を明るくさせたかと思うと、ニコニコと笑いながら頷きだす。
「アイエフアイエフ――つまり、あいちゃんだね!! あいちゃんって呼ばせてもらうからよろしくね、あいちゃん!!」
「……ああ、うん、わかったわよ」
満足そうに笑みを浮かべながら尋ねてくる少女を見て、私はもう首の力すら入らなくなって地面に頭をつけて青空を見上げてしまう。
ネプ子やコンパといい、私をあいちゃんと呼ぶ奴にまともな奴はいないらしい。
前者は騒ぎを起こすトラブルメーカー的な意味で、後者は普通の常識を持っているくせにたまに見せる天然具合が手に負えない。
加えて、未だ私の上に乗ったままになっている意味不明なことを叫んだ女の子だ。
ただでさえネプギアとミモザのことも厄介だと言うのに、今度は狙いすましたようにに私を標的にしたトラブルが発生するなんて……今朝方夢人達と一緒に行動すると決めた自分を殴り飛ばしに行きたいとすら思ってしまう。
確かに、ネプ子についていけば私が疑問に思っていることも全部解決するだろうけど、こんな初日から面倒事ばかり起こるんだったら一緒に居たくなかったわ。
ああもう、目の前に広がる私の気持ちとは真逆の青い空がもの凄く恨めしい。
「おっと、アタシとしたことがヨメになるあいちゃんに名前を教えてなかったね!! アタシはロイヤル・エンペラー・ドラゴン……長いから皆からはREDちゃんって呼ばれてるよ!! ヨメのあいちゃんもREDちゃんって呼んでくれたら嬉しいな!!」
「……ああ、はいはい、わかったわよ――ところで、REDちゃん?」
「おおっ、なになに?」
鬱になりかけてる私にハイテンションで話しかけてくる女の子――REDちゃんの声がやけに頭の中で響く。
痛くなってくる額を押さえつつ、私はREDちゃんへと話しかける。
すると、REDちゃんは何故か興奮気味に再び私に顔を近づけてくる。
その顔をちょっと冷めた目で見ながら、私は口を開く。
ヨメとか、どうして私の上に落ちてきたのとか、聞きたいことがあったんじゃないのかとか色々とREDちゃんにも聞かなきゃいけないことがある。
だけど、その前に私はどうしてもREDちゃんにしてもらいたいことがある。
それは……
「――そろそろ退いてくれないかしら?」
……私の上から退いてもらうことである。
いつまでもお腹の上に乗っかられていると、いい気分しないわよね。
REDちゃんからしたら最高に空気読めてないテンションで冷たい言動だけど、何が楽しくて盛り上がっているのかわからない私は冷たく言い放つことしかできない。
しかも、今まで夢人やネプ子達のせいで積もり積もって来た苛立ちが抑えきれず、自分でも予想以上にREDちゃんに向けている目が鋭くなっていることがわかる。
このままじゃいけないと思い、私は眉間を指でほぐしだす。
でも、どうしても不機嫌そうに固まってしまった私の表情は崩れない。
さすがにREDちゃんに悪いと、謝罪の言葉を口にしようとして……
「ヨメからの冷たい視線、キター!!」
「……へっ?」
REDちゃんは体をぷるぷると震わせながら歓喜の声を上げていた。
この反応は予想していなかったため、私は思わず目を丸くしてしまう。
「あいちゃんってば、ツンデレ――もしくは、クーデレタイプだったんだね!! 序盤の好感度が低い状態での冷たい目線にそっけない態度なんて、あいちゃんもわかってるー!! さすがアタシのヨメ!! アタシのことを早速萌えさせてくれるなんて!!」
「も、燃え? あ、あの、ちょっと意味が……」
「あっ、今すぐ退くね。ほら、あいちゃんも立った立った」
「え、あ、うん、ありが――って、そうじゃないわよ!?」
馬乗りになったまま、くねくねと体を左右に揺らしながら笑うREDちゃんに私は怖気づいてしまった。
言ってる言葉の意味が何ひとつ理解できず、私はREDちゃんに対して及び腰になってしまう。
しかし、私の戸惑いを気にせず、REDちゃんは何事もなかったかのように立ちあがって手を差し伸べてくる。
私は無意識に差し伸べられていた手を掴んで立ち上がったのだが、ハッとして頭を強く左右に振りながら声を荒げる。
「いったいアンタは何者なのよ!? い、いきなり人のことを嫁とかツンデレとかクーデレとか意味のわからないこと言いだして――ってか、燃えって何のことよ!?」
「おおう、クールっぽい見た目に反して激しいツッコミの嵐――やっぱり、アタシの予想通りあいちゃんにはツンデレの才能もあったんだね!! ツンデレとクーデレの融合なんて、まさに1粒で2度美味しいって感じだよね!!」
「って、何を納得してるのよ!? ……はあ」
初対面の相手に対する態度じゃなかったけど、私はREDちゃんに対して抑えきれなかった鬱憤をぶちまけてしまっていた。
だが、REDちゃんは理不尽な怒りをぶつけられていると言うのに嬉しそうに頬を緩めながら、ビシッと私を指さしてくる。
――私、本当にREDちゃんが何を考えているのだが理解できないわ。
夢人やネプ子、それにコンパの護身用の注射器ぐらい意味不明よ。
むしろ、REDちゃんが堂々とし過ぎていて私の方がおかしいんじゃないかって頭を悩ませてしまう。
……私、おかしくないわよね?
何だか自信がなくなってくるわ。
考えれば考えるほど自信が喪失していき、私は怒鳴る気力もなくなってきた。
自然と疲れたようにため息がこぼれてしまう。
「とりあえず、アンタは私に何か聞きたいことがあったんじゃないの?」
「アンタだなんてそんな……あいちゃんもアタシのことをヨメと思ってくれていたなんて。でもでも、アタシには他にもたくさんのヨメがいるから、あいちゃんだけのヨメになるわけには……」
「――そんなことはどうでもいいから、さっさと話しなさいよ」
これ以上、REDちゃんに付き合っていられないと感じた私は無理やりに話を進めようとした。
しかし、当のREDちゃんは照れたように頬を赤らめてにやけだす。
もうそんな理解不能な態度を取られても反応する気力がない私は、ぶっきらぼうにREDちゃんの言葉を遮ってじろりと険しい目線を送ってしまう。
すると、REDちゃんは困ったように笑いながら頬を掻く。
「あ、あははは、やっぱり会ったばかりで好感度が低いとクールでツンツンだね。まあ、あいちゃん攻略はゆっくり進めるとして、アタシも探している子がいるんだ」
「探してる子?」
何やらまた不穏な言葉がREDちゃんの口から聞こえたような気がするけど、私は敢えて無視して続きを促した。
話の内容もないようなので、私は先ほどまでのふざけたことを頭から追い出して真剣になってREDちゃんの話を聞く。
人探し、なんて穏やかじゃないわね。
しかも、こんなモンスターがうろちょろするような場所ではぐれたのなら、早いところ探さないと駄目じゃないの。
「うん、こう黒い髪の毛がツンツンしている男の子なんだけど、あいちゃんは見なかった?」
両手でツンツンとはねている髪の毛を表現しているREDちゃんに、私は先ほど会った少年――ガナッシュから貰ったモンスターの情報が書かれた紙を奪った少年の姿がすぐさま思い浮かんだ。
確証はないけど、REDちゃんが探しているのは多分あの少年で間違いないと思う。
私は頭を抱えたくなる気持ちを隠しながら、REDちゃんに頷いて答える。
……もう、どうしてこう問題ばかりが集中して起こるのよ。
本当、勘弁してほしいわ。
* * *
(どうしてこうなった!?)
試練の洞窟、大量のモンスターを前にしてコンベルサシオンは頭を抱えたくなった。
理由は、大量のモンスターを前にしたからでは決してない。
むしろ、自分の計画通りにモンスター達が夢人達を襲っていたことを安堵していたくらいである。
本来であれば自分は高みの見物、もしくは堂々と夢人達の前に出て目的を果たそうとも考えていた。
しかし、洞窟の中で出会った少女達のせいでコンベルサシオンの計画に狂いが生じてしまったのである。
「夢人お兄ちゃん(抱き)っ!!」
「ロム!! どうしてここに?」
「よくわからない。でも、夢人お兄ちゃんに会えてよかった(にこっ)」
コンベルサシオンよりも前にいた3人の少女――その内の1人、短い茶髪で水色の杖を持ったロムが一目散に夢人へと駆け寄った。
近づいてくるロムに合わせて、夢人は片膝をついて腕を広げる。
すると、ロムは泣きそうな顔で笑いながら夢人の胸の中に跳び込んだ。
まるで泣いているように顔を胸へと押し付けるロムに、夢人は驚きながらも優しく問いかける。
しかし、顔を上げたロムは困ったように眉根を寄せながら首を横に振ってしまう。
だが、すぐにロムの表情は夢人と再会できた喜びに綻んで笑みを浮かべる。
「ぷるるとー!!」
「ぴーしぇちゃんもロムちゃんも無事でよかったあ~。心配したんだよお~」
「えへへー」
ロムに続いて赤いボンボンをつけた黄色い髪の女の子――ピーシェがノワールの友達を自称した少女へと抱きつく。
口では少し責めるようなことを言っているが、少女は嬉しそうにはにかんでピーシェの頭を撫で始める。
その気持ちよさに、ピーシェはだらしなく頬を緩めて少女へと抱きつく腕の力を強めてしまう。
すると、隣で同じようにロムを抱きしめていた夢人が不思議そうに少女へと尋ねる。
「えっと、君はロムのことを知ってたみたいだけど……」
「うん、そうだよ~。なんか~、道の真ん中で泣いていたから~、一緒に街まで行こうって話だったんだけど~、途中ではぐれちゃって~、ずっと探してたんだあ~」
「そ、そうなのか?」
「うん、プルルートちゃんとぴいちゃんに助けてもらったの……心配かけて、ごめんなさい(しゅん)」
少女――プルルートがロムのことを知っていることを疑問に思っていた夢人であったが、大雑把に話を聞いて3人が知り合っていたことに納得を示した。
独特の間延びしたしゃべり方をするプルルートだけでなく、夢人はロムへも確認を取る。
すると、ロムはプルルートに申し訳なさそうに眉を八の字にして謝りだす。
「別に気にしなくていいよお~。あたしもちょっとウトウトしちゃったのがいけなかったんだからね~」
「ウトウトって?」
「だって~、今日はポカポカしてて~、お昼寝したくなっちゃったんだもの~」
「そ、そうなのか」
困ったように笑いながらロムの謝罪を受け取るプルルートに、夢人はその言葉の意味を尋ねた。
すると、プルルートは頬を緩めてふわりと柔らかい笑みを浮かべて答える。
ぽわぽわしてマイペースにのんびりとしているプルルートに、夢人は戸惑って曖昧に笑うことしかできない。
「あ、あははは、とりあえず2人とも無事に探していた人達と会えてよかったね」
「うん、ありがとう(にこっ)」
「ありがとー、ふぁーこむ!」
「……いや、あたしの名前はファルコムなんだけど、まあいいか」
2人に遅れる形になった朱色の髪の少女――ファルコムは夢人同様にプルルートの雰囲気に戸惑いながらも近づいて会話に参加する。
ファルコムはにこりと笑ってロムとピーシェへと笑いかけると、2人もそれぞれ夢人とプルルートから離れてお礼を言い始める。
しかし、自分の名前を間違えて言うピーシェにファルコムは苦笑してしまう。
小さい子だから仕方ないと思いながらファルコムが頬を指で掻いていると、困惑した表情で夢人が疑問を口にする。
「本当にファルコム、なんだよな?」
「あ、うん、そうだけど……どうかしたの?」
「あ、いや、ちょっと知り合いに似ててさ。気にしないでくれ」
恐る恐ると言った様子で尋ねられたファルコムが戸惑いながら聞き返すと、夢人は誤魔化すように視線をさまよわせた。
服装や髪形などの違いはあるが、目の前の少女が自分の知っているファルコムによく似ていることで夢人は思わず確認するように尋ねてしまったのである。
しかし、すぐに失敗したと思い、夢人はバツが悪そうにファルコムから視線を反らしてしまう。
(コンパやアイエフと同じで、この世界のファルコムなんだろうな。でも、2人と違って結構変わって――いや、2人を比べるのはやめよう。別人なんだから、違って当然だもんな)
夢人は思考を巡らせながら、目の前のファルコムと自分の知っているファルコムを重ねてみていたことを自覚して考えを中断させた。
元の世界のファルコムと夢人は、ユニと一緒に初めて会った時からの長い付き合いである。
一緒にラステイションの教祖である神宮司ケイからの依頼を受けたり、成り行きで孤児になった子ども達の面倒を見たり、ブレイブとの一騎打ちのための特訓にも付き合ってもらったりと、一緒にいた時間以上に濃い経験を重ねてきた仲だ。
だからこそ、コンパやアイエフと違って外見の違うファルコムに、夢人は無意識のうちに自分の知っているファルコムを重ねてしまっていた。
しかし、自分も勝手な噂や想像で酷い扱いを受けたことを知っているため、すぐに夢人は2人のファルコムを比べることをやめたのである。
同時に、夢人はコンパやアイエフのことも勝手に自分の知っている彼女達と重ねてみないように注意しようと心に決める。
「そう? それならいいんだけど……」
「もう、いつまでのんきに話してるのよ!! 今は戦闘中なのよ!! ぼんやりしてないで、さっさと構えなさい!!」
夢人の問いが気にならないと言えば嘘になるが、ファルコムは敢えて深く追求しようとしなかった。
理由は夢人の気まずそうな雰囲気を察知したからである。
そんなファルコムの心遣いを夢人がありがたく思っていると、1人だけずっとモンスター達と相対していたブラックハートが痺れを切らして全員を叱咤する。
今までずっと後ろから聞こえてきたのんきな会話に我慢の限界を迎えてしまったのである。
「探していた子達が見つかったのはよかったけど、それなら大人しく下がってなさい!! モンスターが目の前にいるんだから、あなた達はもっと危機感を持ちなさいよ!!」
「そーだよ。ゆっくん達がほのぼの話していた間にもモンスターが何度も襲って来て大変だったんだから」
「――見ていただけのあなたが偉そうに言うな!!」
ブラックハートが苛立ちを隠そうとしないのには理由があった。
夢人達がのんびりと話している間にも、何度かなき草とコカトリスが襲いかかって来ていたのである。
それらすべてをブラックハートは1人で対処していたわけだが、いつまでも気づかない夢人達の鈍さに怒りが湧いて来たのだ。
戦闘中ということもあり、多少興奮状態になっていることもあってブラックハートはのんびりしていた夢人達を叱ったのである。
……同時に会話にも入らず、ただブラックハートがモンスターを倒すところを見ていただけのネプテューヌが真面目に夢人達を注意していたことが神経を逆なでしてしまう。
すると、ネプテューヌは不満そうに口元を尖らせて話しだす。
「だって、誰もわたしの露骨なサービスシーンに刮目してくれないんだもん。ほら、わたしって1人だとだらだらしちゃうけど、みんなに注目されてると張り切っちゃうタイプだからさ」
「知らないわよ、そんなの!! ってか、女神化をサービスシーンって言うな!!」
「ぶー、わかってないなあ。こう、初めましてって人ばっかりだから、最初の掴みをガシッと取るためにサービスシーンは重要なんだよ。ここらで1発、ガツンと目立つようなことしないとすぐに埋もれちゃうんだから」
「確かに大事かもしれないけど――ああもう!! 少しは状況を考えなさいよ!!」
ふざけた物言いだが、一瞬でも納得しかけてしまったことにブラックハートは苛立ちをさらに募らせてしまった。
大剣を持ってない方の手で頭を掻きむしり、ネプテューヌを怒鳴りだす。
「戦う気がないんだったら、そこで大人しくしてなさい!! こんな雑魚モンスター達なんて、私1人で充分なんだから!!」
「あ、それ死亡フラグ」
「そんなの立ててないわよ!! もういいわよ!!」
女神化する素振りすら見せないネプテューヌに見切りをつけ、ブラックハートは1人でモンスター達の群れへと飛翔する。
それに合わせて、ブラックハート目掛けてモンスター達が跳びかかってくるのだが……
「邪魔よ!!」
――大剣を横薙ぎに一閃するだけで、モンスターは光となって消滅してしまう。
そのままブラックハートはスピードを緩めることなく、後ろの方でどっしりと構えていた牛鬼へと突貫していく。
……そんなブラックハートの様子をボケっと見送ったネプテューヌはぼそりとつぶやく。
「うわあ、1人で勝手に突っ込んじゃったよ。まったく、堪え性がないなあ。もしかして、友達少ないんじゃないかな?」
「――そんなこと言ってる場合じゃないだろ!!」
「アイダッ!?」
ブラックハートに対してさらに失礼な印象を持ち始めたネプテューヌの頭に、夢人は後ろからチョップを落とした。
痛みに両手で頭を押さえたネプテューヌが振り返ると、そこには呆れた顔で自分を見つめる夢人がいた。
「ほら、俺達も手伝いに行くぞ。ちゃんと見ててやるから、さっさと『変身』しろって」
「もー、わかってるってば――それじゃ、改めて『変身』!!」
ちょっとだけ不満は残っているが、夢人の言う通りブラックハート1人に戦わせるわけにはいかないとわかっているネプテューヌはすぐさま女神化を始めた。
すると、ネプテューヌを中心とした円状の光の柱が浮かび上がり、少女の体から女性の体へと変化をする。
そしてプロセッサユニットが装着されると同時に光が収まり、女神パープルハートとしての姿へと『変身』を完了させた。
「ねえ、ゆっくん。戦う前に1つだけ聞きたいことがあるの」
「うん? どうかしたのか?」
刀剣を構えてモンスター達へとすぐさま斬りこむかと思いきや、ネプテューヌは神妙な顔で夢人へと問いかけた。
心当たりのない夢人は不思議に思いながら首を傾げてしまう。
「わたしのこの格好、彼女よりも露出が少ないからセーフよね?」
「知るか!?」
あまりにもネプテューヌの質問が予想外であったため、夢人はずっこけそうになりながらも顔を真っ赤にして叫んだ。
そう言われて、改めてプロセッサユニットの露出部分を意識してしまったため、夢人は気恥ずかしさでまともにネプテューヌの顔を見れなくなってしまった。
誤魔化すように声を荒げると、夢人はプルルート達の方へと顔を向ける。
「いきなりで悪いんだけど、ファルコムも手伝ってくれないか? 頼む、手を貸してくれ」
「もちろんだよ。あたしもここまで来て、見て見ぬ振りなんてできないからね」
夢人が頼み込むと、ファルコムは軽く口元に笑みを浮かべながら剣――ロングソードを両手で構える。
それを見て、夢人は嬉しそうに頷きながらお礼を言う。
「ありがとうな。それじゃ、ロムはこの子達のことを頼むぞ」
「……わかった、任せて(ぐっ)。夢人お兄ちゃんも無理しないでね」
「大丈夫だって。それじゃ、頼むぞ」
続いてロムへと夢人はプルルート達を守ってもらうように頼んだ。
しかし、夢人の頼みを聞いた瞬間、ロムは少し返事を躊躇ってしまった。
何故ならロムは夢人が魔法が使えなくなり、戦えなくなったことを知っているからである。
だが、握られている剣がブレイブソードであることを知ると、軽く目を瞬かせてしまう。
そして、夢人がブレイブソードでキラーマシンとレイヴィスに1人で勝ったことを思い出し、ロムは心配しながらも頼みを聞くことにしたのである。
心配そうに顔を見上げてくるロムの頭を優しく撫でると、夢人は顔を引き締めてブレイブソードを構えてモンスター達へと駆けだす。
同時に、ネプテューヌとファルコムもモンスター達へと突撃していく。
――そんな光景を目の当たりにして、1人場違いな空気に包まれていたコンベルサシオンはため息をついてしまう。
(はあ、女神が2人揃っている現状で動くことは得策じゃないな。仕方ない、奴らがモンスターの相手をしている隙をついて――んっ? アレは……)
計画自体は思うように進まなかったが、状況に合わせて最適な手段を講じようとするコンベルサシオンの視界の端に何か光るものが映り込んだ。
気になって光って見えた場所――自分の足元の近くへと視線を向けてコンベルサシオンは目を凝らす。
すると、そこには十六面体の透明な輝きを放っている水晶が落ちていた。
――それを見つけて、コンベルサシオンはにやりと口角を吊り上げるのであった。
という訳で、今回はここまで!
……またサブタイを変更しちゃったよ。
次回でこのファーストコンタクトを終わらせて、第3章の折り返しの部分に行かないと……
それでは、 次回 「罠×ピンチ×記憶喪失?」 をお楽しみに!