超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
今年も後3日で終わりですね。
でも、できるだけ本編は投稿していきます。
それでは、 負け犬×情熱×ヒント はじまります


負け犬×情熱×ヒント

「……なあ、シアン。もう1度、言ってくれねえか?」

 

 厳つい顔の男性が険のこもった眼でシアンを睨みながら尋ねる。

 彼だけでなく、同じように集められた人達の目も険しい。

 明らかに友好的ではない視線に晒されながらも、シアンは臆した様子を見せず彼らに訴える。

 

「だから、総合技術博覧会に出展する作品を作るのに協力して欲しいんだ!」

 

 ――総合技術博覧会。

 技術交流を目的として行われるラステイションの1大イベントである。

 数多くの企業がこぞって自信作を出展し、それぞれが生みだした独自の技術をアピールすることができる。

 技術を独占するのではなく、広く知らしめて共有することでラステイションの発展を促す場なのだ。

 このイベントがあるからこそ、今のラステイションがあると言っても過言ではない。

 それだけ重要度も注目度も高いイベントなのである。

 

「確かに今の状況ではわたし達が参加することも難しいのはわかってる! でも、このまま何もしないわけにはいかないだろ!」

 

 総合技術博覧会を取り仕切るのは教会である。

 即ち、現状ではアヴニールの息がかかった者が運営を担当すると言う異例な事態が起こっている。

 もしもシアン達が参加を表明しようとも、運営を任されている教会に出展を拒絶されてしまう可能性があるのだ。

 

 公然の秘密としてアヴニールが教会を支配していると勘づいている男性達はシアンの訴えを聞いても黙ったままである。

 彼らはシアンの町工場仲間であり、こうして定期的に寄り合いを開いて技術交流を深めていた。

 それは教会がシアン達の作った商品の売買を認めなくなってからも同様である。

 しかし、稼働しない工場に技術の進歩は起こるわけもなく、ただの世間話をする場となりつつあった。

 今回の寄り合いもそうなるだろうと思っていた彼らにとって、シアンの要請は寝耳に水であった。

 

「博覧会には必ずブラックハート様も姿を現してくれる! だから……」

 

「――だから? それに何の意味があるんだよ?」

 

 必死に呼びかけるシアンの言葉が、不意に集まった1人の男性が呟いた一言によって止まってしまう。

 すると、この場にいる全員が発言した男性に注目し出す。

 周りの皆が自分を見ているのだとわかった男性は卑屈に笑って口を開く。

 

「俺達はブラックハート様に見捨てられたんだ。今更、何を言っても聞いちゃくれないさ」

 

「そんなこと、確かめてみなくちゃ……」

 

「だったら、どうしてブラックハート様は何もしてくれないんだ!!」

 

 確証もないことを口にする男性の思い込みを、シアンは否定しようとした。

 だが、希望を持たせようとするシアンの言葉を遮ったのは男性の怒号である。

 

「俺達が苦しんでいるのに、どうしてブラックハート様はアヴニールを止めてくれないんだ!! なんで下界にいるはずなのに俺達に姿を見せてくれない!! どうして俺達を――ラステイションを救ってくれないんだ!!」

 

 それは血を吐くような叫びだった。

 溜められていた不安が、皮肉にもシアンが口にした希望により溢れだしてしまったのである。

 しかも、それは叫んだ男性だけにとどまらず……

 

「そうだよな。今更ブラックハート様に訴えても……」

 

「もしかしたら、ブラックハート様はアヴニールの行動を認めてるんじゃ……」

 

「だから、見捨てられた俺達には1度もお姿を……」

 

「ブラックハート様……」

 

 1人が零した不安がこの場にいる全員を縛りつける。

 口々に憶測でしかないことを囁き合い、不安を増幅させていく。

 諦めて俯き、互いの顔を見合わせ、祈りだす者まで出てきた。

 

「み、皆、落ち着いてくれ!? ブラックハート様がわたし達を見捨てるはずないだろ!? きっと何か理由が……」

 

「その理由って何なんだよ!! アヴニールをどうにかする以上に大切なことがあるのかよ!!」

 

「それは……」

 

 騒ぎだす男達を静められる言葉を、シアンは持っていなかった。

 何故なら、シアンもこの場の不安にとり付かれた1人なのだから。

 いくら前向きに考えて希望を見出そうとも、不安を完全に消し去ることはできない。

 遂にシアンも悔しそうに唇を噛みながら俯いてしまうのであった。

 

(やっぱり、諦めるしかないのか? ――いいや、違うだろ。このままアヴニールの好き勝手にしていいはずがないんだ。でも、今のわたし達ができることなんて……)

 

 諦めてしまいそうな心をシアンは鼓舞し続ける。

 しかし、この場に漂う不安を払拭しきれない。

 徐々に弱気になっていき、シアンも伝染する不安の空気に飲み込まれそうになった時……

 

「ここがそうなのね」

 

 ――バタン、と荒々しい音を立てて寄り合いが開かれている場の扉が開く。

 全員が何事かと思い扉の方へと顔を向けると、そこには黄色いリボンで若草色の髪をポニーテールにしたミモザと汗で変色したTシャツを着たままの夢人がいた。

 

「ごきげんよう、キャンキャン吠えることしかできない負け犬――あっ、失礼。負け犬以下の皆様方」

 

 開口一番に言い放ったミモザの一言に、この場の空気が凍りついた。

 だが、男達はすぐに侮辱されたのだと分かり、ぎろりとミモザを睨みつける。

 夢人は自分が睨まれているわけではないと分かっていても恐怖を感じてしまい、体をビクつかせて委縮してしまう。

 対して、視線を向けられている当人であるミモザは不敵に笑うだけであった。

 

 

*     *     *

 

 

 ……何やってるんだろうな、私。

 

 目を覚ますと、既に外は暗くなっていた。

 “ゆっくんさん”って人を追い出してからの記憶が曖昧だった。

 泣き疲れて眠ってしまったのだと言うことはわかるのだが、ほとんど何も覚えていない。

 悔しかったり、悲しかったり、苛立っていたはずなのに、今では何も感じられない。

 

「……私は、何がしたかったんだろう」

 

 頬に残る涙の跡をそっと指で触れながら、私は今の気持ちを言葉にする。

 

 ――わからない。

 今の私の正直な気持ちを端的に言い表すなら、これほど打って付けな言葉はないと思う。

 守護女神戦争に勝って、何をしたかったの?

 真の女神になって、何をしたかったの?

 アヴニールからラステイションを救って、何をしたかったの?

 ネプテューヌに勝って、何をしたかったの?

 繰り返される問いかけの答えは全部同じ――わからないんだ。

 大切であったはずなのに……私にとって譲れないものであったはずなのに、今は何も思い出せない。

 どうしても私は自分の行動の“理由”が思い出せない。

 私は何かをしたかったはずなのに……

 

「ノワールちゃん、起きてる~? ご飯持ってきたよ~」

 

 私がただぼんやりと天井を眺めていると、扉をノックする音とともに聞き覚えのある間延びした声が聞こえてきた。

 やたらと馴れ馴れしい態度で私にひっついてきたプルルートって女の子。

 私が返事をせずにいると、プルルートは扉を開けて入ってくる。

 真っ暗だった部屋が廊下の灯りで照らされて、私はその眩しさに思わず目を細めてしまう。

 

「うわ~、真っ暗。ノワールちゃんは起きてるかなあ~?」

 

「……起きてるわよ」

 

 部屋の暗さに驚いている様子のプルルートに、私は返事をした。

 すると、パッと部屋の電気がつき、視界が一瞬真っ白に染まる。

 目元を手で覆い隠し、私はゆっくりと明るさに慣れるように瞳を開いていく。

 やがて、まともに見れるようになった視界には食事の載ったトレイを持ったプルルートの姿が映り込む。

 

「よかった~。えへへ~、ノワールちゃんもお腹空いているだろうから、ご飯持ってきたよ~」

 

「……ありがとう」

 

 にへらと笑って持ってきた食事を見せてくれるプルルートに、私はそう応えることしかできなかった。

 上半身を起こしてベッドの上に座り直し、私はただボーっとプルルートを見つめる。

 プルルートは私の膝の上にトレイを置くと、部屋にあった椅子をベッドのすぐ傍に置いて座りだす。

 その表情はニコニコと嬉しそうにしている。

 そんなに風にジッと見られていることに堪えられず、私は俯いてしまう。

 

「どうかしたの~?」

 

「……何でもないわ」

 

「でも~、食べないとご飯冷めちゃうよ~? ――あっ、もしかして、あたしに食べさせて欲しいの~? も~、ノワールちゃんは甘えん坊だなあ~」

 

「……そうね」

 

「……ほえ?」

 

 トレイを見つめるだけで食べ始めない私を心配して、プルルートが声をかけてくれた。

 しかし、私は否定することしかできない。

 すると、プルルートは私をからかうようにふざけた提案を口にする。

 そんな風に思いながらも、私はプルルートの提案を拒まなかった。

 間抜けな声を出してきょとんとしているプルルートを催促するように、私は口を開ける。

 

「……あーん」

 

「え、あれ、本当に食べさせて欲しかったの~?」

 

「……してくれないんだったら、自分で食べるからいいわよ」

 

「あ~、ちょっと待って~!? 今、食べさせてあげるから~!? ふ~、ふ~。はい、あ~ん」

 

「……あーん」

 

 慌てつつも私が火傷しないように配慮して、プルルートはスプーンですくったスープを口に運んでくれた。

 ちょうどよい温かさが口の中を満たしてくれる。

 素直に美味しいと思えるスープの味に、私は急に目頭が熱くなってきた。

 

「ど、どどど~したの~!? 熱かったの~!? それとも、美味しくなかったとか~!?」

 

「……気にしないで」

 

「で、でも~……」

 

「――気にしないでって、言ってるでしょ!!」

 

「っ!?」

 

 急に私が涙を浮かべたせいで、プルルートは戸惑いを隠せずに慌てだした。

 自分でもどうして涙が溢れだしたのかが分からず、私は言葉を濁して話を打ち切ろうとする。

 しかし、心配そうに気遣ってくれるプルルートに、私はあろうことか怒鳴ってしまう。

 顔を向けなくても、プルルートがガタッと震えたのが分かる。

 

 ……もう、嫌。

 なんで私は心配してくれているプルルートに八つ当たりしているのよ。

 “ゆっくんさん”の時もそう。

 冷静でいられなくなって、喚き散らしてしまった。

 見っとも無く……情けなく……惨めに……私は女神なのに……

 

「ノワールちゃん」

 

 そう呼ぶ声とともに、私の頭は柔らかい温もりに包まれた。

 涙を堪えるためにきつく閉じていた瞳を開けると、ピンク色のリボンが目の前にあった。

 

「あたしは気にしてないから大丈夫だよ~。ノワールちゃんが落ち着くまで、ここにいるから~」

 

 優しく髪の毛を撫でながら囁かれるプルルートの声に、私の涙腺は再び決壊しそうになる。

 プルルートが今どんな顔で私を見ているのかなんて、見なくても分かってしまう。

 その顔を頭に思い浮かべると、私は余計に顔を上げ辛くなってプルルートの胸に自分から体を預ける。

 迷惑をかけていると自覚しながらも、受け入れてくれるプルルートの優しさに甘えそうになる。

 でも……いや、だからこそ、私はプルルートに問いかけなければならないことがあった。

 

「……どうして私に優しくしてくれるの?」

 

「だって~、あたし達友達でしょ~」

 

「友、達……?」

 

 私にとっては難解な疑問でも、プルルートは事も無げにあっけらかんと答えた。

 思わず反芻してしまう程、私はプルルートの言葉を信じられなかった。

 

 そう言えば、プルルートには私に似た友達がいたんだったわね。

 最初に交易路で会った時もその人と勘違いされたんだった。

 勘違いするほど似ていて同じ名前だなんて、普通に考えればおかしい。

 でも、今の私には奇妙な縁を感じると同時に少しだけ寂しさが湧きあがってくる。

 プルルートが私に優しくしてくれるのは、その友達と勘違いしているせいなのよね。

 ……ちゃんと言ってあげなきゃいけないわよね。

 

「違う、わ……私は、あなたの友達じゃない……」

 

 しっかりと否定しなければいけないことなのに、私の口から出る声はあまりにも弱々しい。

 唇が震えるせいで上手く言葉にできないのだ。

 ……そんな自分の甘えっぷりが情けなくて、私はベッドのシーツに爪を立ててしまう。

 

 本当に自分が嫌になってくる。

 プルルートの勘違いを指摘してあげなければいけないのに、どうしてそんな簡単なことも言えないのよ。

 プルルートのためにも……私に似た友達のためにも……勘違いを早く解かないといけないのに……

 

「私とあなたは昨日初めて会ったばかりの他人で……あなたはただ勘違いをして……」

 

「それは知ってるよ~」

 

「だから……えっ?」

 

 どう言ったらいいのかわからず、私はきつい言い方をしてしまう。

 そのことに後ろめたさを感じて口ごもってしまうが、最後まで言い切ろうとした私の決意を、プルルートはあっけらかんとした様子で打ち砕いた。

 思わず顔を上げると、そこには最初に会った時と同じ締まりのない表情で笑みを浮かべるプルルートの顔があった。

 

「今ここにいるノワールちゃんが、あたしの知ってるノワールちゃんじゃないってことはちゃんと分かってるよ~」

 

「でも、だったらどうして……」

 

「だって~、ノワールちゃんはあたしのことをモンスターから守ってくれたでしょ~? だから~、あたしはノワールちゃんとも友達になりたいなあ~」

 

 無邪気に笑うプルルートの顔を直視していられず、私はまた顔を俯かせてしまう。

 

 ……馬鹿よ。

 私はプルルートを助けようとしてモンスターを倒したわけじゃない。

 あの時は、ただ早くネプテューヌと戦いたかっただけ。

 モンスターを手早く片づけるのに邪魔だから下がってろって言っただけなのに……

 

「うぅ~、ノワールちゃんはあたしと友達になりたくないの~?」

 

「……分からない」

 

 プルルートは私が返事もせずに俯いたせいで不安になったのだろう。

 聞かれている私の方が悲しくて胸が苦しくなるような声で尋ねてきた。

 でも、私はそれに応えられない。

 自分の気持ちがあやふやで、よくわからないからだ。

 

「う~ん、だったら~、いっぱいお話ししよう~! あたしもノワールちゃんのこと、たくさん知りたいし~」

 

「そうじゃなくて……」

 

「お話ししようよ~!」

 

 私の言葉を好意的に受け取ったようで、プルルートはお互いのことを話そうと提案してきた。

 そうじゃないと声を上げようとしたが、プルルートは取り合ってくれない。

 聞く耳を持たず、私と友達になろうとするプルルートに自然と口元が緩んでくる。

 

「……本当、馬鹿ね」

 

「ほえっ? ノワールちゃん、何か言った~?」

 

「何でもないわよ――それじゃ、1つ聞きたいことがあるんだけど、聞いてもいい?」

 

「うん、いいよ~」

 

 ポロリと口から出てしまった本音を誤魔化し、私はプルルートに甘えてしまう。

 友達になるって趣旨からはズレてしまうけど、私にはプルルートに聞いておきたいことがあった。

 

「あなたの友達のノワールちゃん――あー、私に似た友達って、どんな人なの?」

 

 自分と同じ名前の人のことを聞くのは、ちょっと恥ずかしかった。

 しかも、無意識にプルルートのように“ちゃん”付けで呼んでしまったせいで、カアッと頬が熱くなってきた。

 

「ノワールちゃんのこと~? えっと~、ノワールちゃんは~、あたしの1番の友達で~……」

 

 趣旨からズレた的外れな質問でも、プルルートは気を悪くした様子もなく答えてくれる。

 やたらともったいぶるように話す声は嬉しそうに弾んでいた。

 それだけその“ノワールちゃん”って子のことが大好きなんだって、プルルートのことをよく知らない私でも簡単に察することができる。

 そう考えると、何だかほほ笑ましくなる。

 

「いつも女神になりたいって言って……」

 

「――ちょっと待って。今、なんて言ったの?」

 

「え? ノワールちゃんはあたしの1番の友達……」

 

「そこじゃなくて、その……その人が女神になりたいって本当なの?」

 

「うん、そうだよ~」

 

 私が顔を上げると、プルルートは当たり前のことだと言わんばかりに不思議そうな表情で首を傾げていた。

 

 ――知りたくなった。

 “ノワールちゃん”がどうして女神になりたいのかを、私は無性に知りたくなった。

 おそらく“ノワールちゃん”は、教会関係者の子どもなのだろう。

 職員の内の誰かが私の名前を子どもにつけて服装や髪形まで真似させているのでしょうね。

 それなら、初対面でプルルートが私と“ノワールちゃん”を勘違いしたのも納得できる。

 でも、そう考えると余計に“ノワールちゃん”のことが知りたくなってくる。

 どうして今のラステイションの現状――私の不甲斐なさが招いてしまった状況を知りながら、女神になりたいって思うのかを……

 

 

*     *     *

 

 

「……これで、いいのよね」

 

 真っ暗な室内で、誰かが自分に言い聞かせるように呟く。

 場所は夢人とシンが寝泊まりするために借りているホテルの1室であるが、そこに彼らの気配はない。

 夢人はミモザに連れられてシアン達の寄り合いの場に突入しており、シンは所用があると言って夕食の後に出かけたっきりだ。

 つまり、本来ならこの部屋には誰もいないはずなのである。

 しかし、先程独り言をこぼした誰かはホテルの従業員にスペアキーを借りて、堂々と部屋に侵入してベッドに腰をかけている。

 その手には薄型の携帯ゲーム機のような物――夢人のNギアが握られていた。

 ネプギアに修理してもらった後に受け取ったのはいいが、夢人は部屋に置き忘れてしまっていたのである。

 正確には、Nギアを忘れていることにすら気付く余裕がないほど夢人が頭を悩ませていたのだが。

 

「これでよし。後は……って、そっちはさすがにないか」

 

 しばらくNギアを操作していた誰かであったが、一区切りついたようで部屋の中を見渡した。

 しかし、目当ての物が見つからず、軽く肩を落とす。

 その声には落胆と言うよりも、安堵しているような雰囲気があった。

 

「さて、と――コレ、どうしようかしらね」

 

 跳びはねるようにベッドから腰を上げると、誰かはNギアの端子に接続してあったUSBメモリを引き抜く。

 Nギアを元あった場所に戻し、誰かはUSBメモリを指で弄りながら悩むように難しい顔をする。

 

「まあ、なるようにしかならないわよね」

 

 やがて、誰かはため息をついて考えることを放棄する。

 USBメモリをポケットの中にしまい、誰かは何事もなかったかのような顔で夢人達の部屋を後にする。

 ちゃんと施錠し、誰かはスペアキーをフロントへと返しに行こうとする。

 すると、見知った顔が廊下の向こうから近づいてくるのが見え、誰かは少しだけ顔を強張らせた。

 

「あれ、あいちゃんどこ行ってたですか? 部屋にいなかったから、探していたんですよ」

 

「……あー、ごめんごめん。ちょっと野暮用があってね」

 

「そうなんですか?」

 

「ええ、そうなのよ」

 

 コンパの疑問に誰か――アイエフは誤魔化すように苦笑しながら答えるのであった。




という訳で、今回はここまで!
予定では、ラステイション編がいつもの女神通信を入れて後7話程度。
ようやく終わりが見えてきましたよ。
それでは、 次回 「信仰×踏み込み×謝罪」 をお楽しみに!
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