超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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遅ればせながら、あけましておめでとうございます!
本年、最初の更新になります。
それでは、 信仰×踏み込み×謝罪 はじまります


信仰×踏み込み×謝罪

 ――夢人は今すぐにでも逃げ出してしまいたいと思っていた。

 理由は分からないが、自分のことを知っているミモザに諭され、夢人は山積みになっている問題を解決する糸口を見つけたような気がした。

 具体的な解決法を思いついたわけではないが、今の自分に何ができるのかを省みることができ、次々と舞い込んでくる問題に痛めていた頭を整理することができた。

 鈍く続いていた頭痛は鳴りを潜め、1人で抱え込もうとしていた心も軽くなり、夢人の気分は高揚していたのである。

 ……しかし、それもこの場に来るまでであった。

 

「ミモザに夢人!? どうしてここに!?」

 

 いきなり扉を蹴破るかのように激しい音を立てて入って来た夢人とミモザの姿に、シアンは驚きの声を上げた。

 本当なら予告もなしに突入してきたことを謝罪すべきなのかもしれないが、夢人は委縮していて口を開くことさえできない。

 対して、この場に集められたシアン達を値踏みをするように見渡して鼻で笑うミモザには謝罪をするという意識すらなかった。

 

 夢人とミモザが入った部屋で行われていたのは、シアン達町工場の寄り合いであった。

 しかし、建設的な意見が交わされていたわけでなく、全員がアヴニールの行動に諦めムードを漂わせていた。

 そんな中、自分達を罵倒するように入って来たミモザ達。

 さすがに目の前で馬鹿にされれば、先程まで意気消沈としていた男達の顔にも火がつく。

 悲しみに打ちひしがれていた顔から一変、怒りを隠そうともせずにミモザ達を睨みつける。

 

「あら、何か気に障ったことを言ったかしら? でも、おかしいわね。私は何も間違ったことを言ってないのに」

 

「お、おい!? お前は何を――おぐっ!?」

 

「壁は黙ってなさい」

 

 敵意に満ちた視線に晒されながらも、ミモザは涼しげな表情を崩さない。

 それどころか、男達を嘲笑って挑発までしてしまう。

 さすがにこのままではいけないと感じ、夢人は慌ててミモザを止めようとした。

 しかし、真意を問いかけようとした途端に夢人は鳩尾に肘鉄を喰らってしまう。

 膝が崩れ落ちそうになるのを堪えて鳩尾を両手で押さえる夢人に、原因を作ったミモザは冷たく言い放つ。

 その表情は男達を見つめる目よりも冷めていた。

 

「いいから黙って見てなさい――シアン、どうして私がここに来たのかって聞いたわね」

 

「えっ、あ、お、おう」

 

 瞬きの間に微笑を浮かべて呼びかけてきたミモザに、シアンは戸惑ってしまう。

 男達もミモザの夢人に対する行動を目の当たりにして、呆気に取られていた。

 しかも、ご丁寧にミモザは夢人をいない者として扱うようであった。

 痛そうに腹を押さえる夢人を気にしつつも、シアン達は次のミモザの言葉に耳を傾ける。

 

「――あなた達を笑いに来た。ただそれだけよ」

 

『っ!?』

 

 その一言はシアン達にとって、あまりにも衝撃的であった。

 一瞬、何を言われたのかが分からないと言った顔でポカンとしていた男達であったが、すぐにその表情を激しい怒りに染め上げる。

 言葉通り受け取るのであれば、ミモザが自分達を馬鹿にするためだけにやって来たのだと言うことを理解したからである。

 それが真実だと裏付けるように、ミモザの唇の端がにやりと吊り上っていた。

 

「私、こう見えても笑いには厳しい方だと自負しているんだけど、今日ばかりは頬がにやけるのを止められないのよ。本当、あなた達を見ているだけで自然と笑いが込み上げてきちゃって――プッ、ごめんなさいね。別にあなた達を馬鹿にしているわけじゃないのよ。むしろ、胸を張るべき才能だと思うわ。何も作らない工場なんて今すぐにでも畳んで、再就職先に大道芸人を目指した方がいいんじゃないのかしら? そっちの方がお金になるわよ?」

 

 明らかな嘲笑や心にもない謝罪、極めつけに自分達の仕事まで馬鹿にされ、男達の怒りは最高潮に達しようとしていた。

 誰もが腰を上げ、ミモザに詰め寄ろうとする。

 男達が暴走寸前であることは火を見るよりも明らかであり、痛みから回復した夢人と唖然としていたシアンはミモザを庇うように動きだす。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!? 落ち着いてくれ!?」

 

「お前ら、落ち着けよ!? この子がこんなことを言っているのにはちゃんとした理由があるはずなんだ!? そうだろ、夢人!?」

 

「ええっ!? ……あ、ああっ、そうなんだよ!? これには山よりも高くて海よりも深い理由があったりなかったり……」

 

「――そんなことはどうでもいいんだよ!!」

 

 ミモザと男達の間に立ち、夢人とシアンは暴動が起こるのを阻止しようとした。

 男達を宥めようとして、夢人とシアンは必死に訴えかける。

 思わぬシアンからの問いかけに、挙動不審に視線をさまよわせる夢人がしどろもどろになって言葉を濁そうとした瞬間、男達の内の1人が我慢の限界を迎えてしまう。

 

「さっきから黙って聞いていれば、つけあがりやがって!! いったい何様のつもりだ!!」

 

「そうだそうだ!! 俺達の苦労を何も知らないくせに、勝手なことを言ってんじゃねえ!!」

 

「俺達のことを馬鹿にしやがって、ふざけんな!!」

 

 口火を切られた怒りは、怒号の矢になってミモザへと降り注ぐ。

 連鎖していく怒鳴り声は、すぐに寄り合いが開かれていた部屋を埋め尽くす。

 耳が痛くなるほどの憤りの声が響く中、夢人とシアンが負けじと声を張り上げて男達を宥めようとする一方で、ミモザはと言うと……

 

「――で、言いたいことはそれだけなのかしら?」

 

 ため息をつきながら、男達を見つめて呆れていた。

 決して大きな声で呟かれたわけでもないのに、不思議とミモザの言葉はこの場にいる全員の耳に届いた。

 すると、騒がしかった部屋がしんと静まり返る。

 誰もがミモザの様子に呆気に取られていたからである。

 自分を責める喧騒の中で、眉ひとつ動かさず泰然自若としていたミモザに。

 しばらく無言の状態が続くと、ミモザはあからさまに肩を落としてみせる。

 

「まったく、揃いも揃って今度はだんまりかしら? ほら、さっきまでのようにキャンキャンと吠えてみなさいよ。それしか取り柄がないのだから、私をもっと笑わせてちょうだい」

 

 押し黙る男達を挑発するように、ミモザは大仰に両腕を広げてみせる。

 だが、男達は誰1人として口を開かない。

 何故なら、ここで騒ぎだしてしまえば、自分達がミモザの言う負け犬と認めてしまうのではないかと思ってしまったからだ。

 そのため、男達は歯を食いしばってミモザを睨むだけである。

 男達のこの無言の抗議に、ミモザはわざとらしくため息をこぼす。

 

「はあ、それがあなた達の答えなのね。仕方ないわ、さっきの言葉を訂正してあげる」

 

 上から目線の言葉だが、ミモザの発言に男達は少しだけ溜飲を下げる。

 夢人とシアンも、これでこの場が収まってくれると安堵の息をつく。

 

「――あなた達みたいな負け犬以下は人を笑わせることもできないわ。ただの不快な汚物よ」

 

『っ!?』

 

 ――しかし、実際はミモザの新たな爆弾発言にこの場の空気が凍ってしまうのであった。

 夢人とシアンの頬は引きつり、男達は憤怒の形相へと戻ってしまう。

 だが、ミモザは気にした様子を見せず、男達を見下すように目を細めるだけである。

 

「文句があるなら言ってみなさい。ほら、早く」

 

「ミモザ、いくらなんでも言い過――ギタッ!?」

 

「壁の分際で話しかけるなと言ったはずよ。それと、気安く名前を呼ぶなとも――ほら、黙ってないで何か言ったらどうなの?」

 

 高圧的な物言いを続けるミモザを止めようとした夢人の足に鋭い痛みが走る。

 思いっきり夢人の足を踏み抜いたことなど知らないと言わんばかりに、ミモザは男達へと声をかけ続ける。

 

「黙って聞いてる? ――何も言えなかったくせに偉そうに言うんじゃないわよ。苦労を知らない? ――ええ、あなた達の気持ちなんてこれっぽっちも理解したくないわ。馬鹿にした? ――今すぐ鏡を見て出直して来なさい。ほら、次は何? その口を閉じろとでも言うのかしら? ――まあ、すぐに手を出そうとする低脳の集まりにはお似合いの台詞よね」

 

「こ、この……っ! 言わせておけば……」

 

「言わせているのはあなた達よ」

 

 先程ぶつけられた罵倒に、ミモザは淡々と答えていく。

 その態度が余計癪に障り、男達のミモザに向ける視線はさらに厳しさを増す。

 だが、ミモザは呆れて肩をすくめるだけだった。

 

「こんな愚劣の集まりを守らなければならないブラックハート様が可哀想だわ。さぞや、心を砕いてラステイションのために身を粉にしてきたのでしょうに……」

 

「っ、違う!! ブラックハート様は俺達のことなんて何とも思っていないんだ!!」

 

 男達から視線を外し、ミモザはこの場にいないノワールの心情を思って悲しそうに眉根を下げた。

 すると、男達の1人がミモザの言葉を遮って叫ぶ。

 

「俺達はずっとブラックハート様を信じてきた!! だけど、ブラックハート様はそんな俺達を見捨てたんだ!!」

 

「アヴニールのせいで苦しんでいるのに、ブラックハート様は俺達を助けてくれない!! ずっと、ずっと信じてきたのに!!」

 

「ブラックハート様はアヴニールの味方をしているんだ!! 俺達はずっとラステイションの……ブラックハート様のために働いてきたのに!!」

 

「お前ら……っ!」

 

 1人がノワールのことを口にすると、男達は次々と怒りを吐きだしていく。

 いつの間にか男達の怒りの矛先はミモザからノワールへと変わっていた。

 しかし、男達は誰1人疑問を感じていない。

 抑圧されていた怒りが爆発することで男達から冷静さを奪っていたのである。

 そんな男達の身勝手な怒りを目の当たりにして、夢人も怒りを隠せない。

 勘違いしていたとしても、夢人はノワールがラステイションを――男達を守るためにプライドをすべて捨てて頭を下げたことを知っている。

 自分の無力さに涙を流したことを知っていたのである。

 そんなノワールを悪く言う男達に向かって、夢人も激情に駆られたまま怒鳴ろうとする。

 だが、男達の前に出ようとする夢人の腕をミモザは掴んで止めてしまう。

 

「離してくれ。俺はコイツらに言わなくちゃいけないことが……」

 

「いいから下がってなさい。壁には壁の役割があるでしょ? ――ここは私の舞台なのよ」

 

 怒りを押し殺した低い声で夢人はミモザに腕を離すように言った。

 しかし、ミモザは掴んだ腕を離さずに夢人をきつく睨みつける。

 同時に腕を引っ張り、ミモザは夢人の前へと出る。

 そこは男達の目の前。

 シアンが必死に声を出して止めようとしているが、男達の怨嗟の前にかき消されていた。

 部屋中に男達のノワールを罵倒する声が響く中、ミモザはスーッと息を大きく吸うと……

 

「――黙りなさい!!」

 

 ここに来てから1度も聞いたことがない怒りに満ちたひと声で男達を一喝した。

 ミモザの張り上げた声は部屋中に響き渡り、男達は驚いて静まり返ってしまう。

 夢人とシアンも例外ではない。

 誰もが唖然とした表情でミモザを見つめていた。

 

「私に何も言えない汚物のくせして、ここにいない他人――いえ、自国の女神様を罵倒するなど、何様のつもりよ!! 恥を知りなさい!!」

 

「っ、だが、俺達はブラックハート様のせいで……」

 

「何もしていない自分達を棚に上げて、あまつさえ女神様に責任転嫁するなんて、どれだけ面の皮を厚くすれば口にできるのかしら? 愚かしいにもほどがあるわ!!」

 

「俺達が何もしてないだって? ――ふざけるな!! 俺達だって、必死に何とかしようとしたんだ!! なのに、ブラックハート様は俺達に姿すら見せてくれなかったんだ!! 何もしていないのはブラックハート様の方じゃないか!!」

 

「もう1度だけ言うわ――その薄汚い口で女神様を悪く言うのはやめなさい。言い訳を並べて自己弁護を繰り返しても、結果を出せていないあなた達は結局口先だけの汚物なのよ。ましてや、この場にいないブラックハート様にしか不満をぶつけられないあなた達に言い訳をする権利すらないわ!!」

 

 自分達を責めるミモザの言葉に反論しようとする男達だが、結局何も言えずに黙ってしまう。

 男達も好きでノワールを罵倒していたわけではない。

 少しでもノワールを信じたいと言う気持ちが残っている証拠である。

 そんな男達の様子を見て、ミモザは胸に手を添えて瞳を閉じる。

 

「あなた達は女神様と人の関係――いえ、信仰を勘違いしているわ。願えば何でも願いが叶うとでも思っていたの? 無条件で自分達を幸せにしてくれるとでも考えていたの? ――女神様は便利な道具ではないわ。ましてや、何でもできる全知全能の存在でもないのよ」

 

『っ!?』

 

 ミモザの返事を求めていない独白は、シアンと男達に大きな衝撃を与えた。

 その言葉は女神を否定しているようにも受け取れるからである。

 何を当たり前のことをと思ってきょとんとしている夢人を置いてけぼりにして、シアン達はミモザの次の言葉に耳を傾ける。

 

「女神様はおとぎ話の存在でも、誰かが空想で生みだした架空の存在でもない。紛れもなく、私達と共にゲイムギョウ界を生きる存在なのよ。私達と同じように傷つき、悩み、涙することもあるわ。絵に描いたような完璧な存在じゃないの。共に手を取り合ってゲイムギョウ界をよりよい方向へと進ませていく愛しい存在――あなた達にも心当たりがあるはずよ」

 

 そう問いかけられ、シアン達は黙って今までのことを思い返す。

 ミモザの言うことは納得できる一方で、シアン達にとって認められないものでもあった。

 ノワールはラステイションの国民にとって雲の上の存在である。

 常に自分達よりも優れていて、よい方向へと導いてくれる存在であった。

 つまり、シアン達はノワールを絶対的な存在と考えていたのである。

 だが、ミモザの言うようにノワールが完璧でないからこそ、シアン達もラステイションを発展させるために工場を運営していたのだ。

 もしもノワールが完璧な存在であったのなら、今頃シアン達は何もしていなかっただろう。

 何故なら、シアン達が技術力を高めているのはノワールから強制されているからではない。

 少しでもラステイションのため――ひいては、ノワールのために自ら考えて行動していたのである。

 それこそ、ミモザの語る女神像を肯定するものだった。

 しかし、素直に受け入れられるほどシアン達の価値観も軽くはない。

 ――女神は絶対的な存在である。

 ゲイムギョウ界で生きる者にとって常識とも言える事実を否定できる説得力がミモザの言葉にはまだ足りない。

 だからこそ、シアン達は黙ってミモザの次の言葉を待っている。

 当然、ミモザ本人もこれで理解してもらえるとは思っていなかった。

 自分が口を開くのを待つシアン達を見渡すと、ミモザは言葉を続ける。

 

「女神様の治世は決して一方的な施しなんかじゃない。願えば望みが叶うだなんて甘い考えは捨てなさい。そして、自覚しなさい――今のあなた達は、あなた達が悪く言うアヴニールよりもラステイションを……ブラックハート様を傷つけているのだと!!」

 

 ダンッとミモザの足が床を叩く音が聞こえる。

 同時に胸に添えていた手をバッと広げ、ミモザはシアン達へと訴えかける。

 

「今のあなた達が信じているという言葉を軽々しく口にするんじゃないわよ!! その言葉は他者に依存して自分を甘やかす言葉じゃないわ!! ――その言葉は、どんなに先が見えなくても決して諦めずに前へと踏み出すと言う結果を残せる者が紡ぐ道標なのよ!! 不平不満を胸の中で燻らせて腐って立ち止まっているあなた達が口にしていい言葉じゃないわ!!」

 

 荒々しく言い切るミモザの罵倒を聞いても、シアンはもちろん男達も怒りを感じなかった。

 誰もが自分に問いかけているのだ。

 ――自分達がノワールに会えないことを言い訳にして腐っていたのではないか、と。

 ――アヴニールの横行を止める方法があったのではないか、と。

 ――本当に今の現状を受け入れて嘆くだけでいいのか、と。

 誰もが己の行動を反省し、悔しさを感じ、これから先のことへの不安と希望に思いを馳せる。

 そこに諦めの色はない。

 第一、初対面のミモザにずけずけと偉そうな説教を喰らって黙っていられるほど、男達もプライドを捨ててはいない。

 ミモザの考えを理解しつつ、男達にも譲れない矜持、信念――そして何より、守りたいものがあるのだ。

 

「さっき、あなた達はブラックハート様に見捨てられたと言っていたわね――ええ、その通りよ!! こんな生産性のない汚物の味方をするよりも、アヴニールの味方をする方が賢いもの!! ブラックハート様は何も間違ったことをしていないわ!! 言い訳ばかり並べて何もしない汚物なんて見捨てられて……」

 

「――黙れ!!」

 

 だからこそ、今度のミモザが口にする内容を黙って受け入れるわけにはいかなかった。

 1人がミモザの言葉を遮るのを皮切りに、男達は先程よりも確かな熱を持って叫ぶ。

 

「生産性のない汚物だと? ――ふざけるな!! 俺のところで作ってるロボットアームはラステイション1の性能だ!!」

 

「俺のところの車だって、アヴニールのへなちょこ車なんかに負けちゃいねえ!!」

 

「馬鹿野郎!! てめえら、うちのネジがなきゃなんも出来ねえくせして偉そうに言ってんじゃねえよ!!」

 

「そう言うお前こそ、俺が製鉄している金属がなきゃ商売できないだろうが!!」

 

 こぞって自分の工場で作っている物が1番だと主張し合う男達。

 言い合いをしながらも、先程までの鬱屈した雰囲気はまったく感じられない。

 それどころか、男達は楽しげに笑みすら浮かべていた。

 そんな男達を、ミモザは鼻で笑う。

 

「言いたいことはそれだけかしら? 過去の栄光にしがみ付いているだけのくせして、よくもまあそう誇らしげに胸を張れるものだわ」

 

「うるせえ!! だったら、見せてやるよ!! 俺達がアヴニールよりも凄いってところを!!」

 

「今更後悔しても遅いからな!! 俺達を馬鹿にしたことを絶対に謝らせてやる!!」

 

「そして、ブラックハート様を見返してやるんだ!! そうだろ、お前ら!!」

 

『おおおおおおおおお!!』

 

 諦めていた者達とは思えないほど、男達はやる気をみなぎらせていた。

 声を揃えて雄叫びを上げる男達を尻目に、ミモザは背中を向ける。

 

「そう、それじゃ楽しみにしておくわ。私を後悔させたいなら、精々頑張りなさい。まあ、あなた達程度がいくら本気になったところで無理だろうけどね――ほら、行くわよ」

 

「お、おう」

 

 最後まで男達を馬鹿にするようなことを言い残し、ミモザはこの場の雰囲気に置いてけぼりを食らった夢人を促して退室する。

 スタスタと先に歩いて行こうとするミモザに、戸惑いつつも夢人は指示に従う。

 そして、バタンと扉が閉まると、男達は揃ってシアンへと顔を向ける。

 

「さっきはあんなこと言っちまって、すまなかった。もしまだ協力させてもらえるなら、俺もシアンが作ろうとしている作品を作るのを手伝わせてくれ」

 

「俺も協力させてくれ!」

 

「うちで作ってるゴムも役に立つか?」

 

「皆……」

 

 シアンは男達の申し出に泣きそうになってしまう。

 言葉にしないが、他の男達も力強い笑みを浮かべて頷いている。

 こぼれそうになる涙を袖で強引に拭うと、シアンもまたニッと笑う。

 

「――おう!! 絶対にアヴニールよりも凄い作品を作ってみせるぞ!!」

 

『おう!!』

 

 シアンの宣言に男達は声を揃えて応える。

 ――その決意にもう迷いや躊躇いはなくなっていた。




という訳で、今回は以上!
ずっとミモザのターンでした。
今年のお正月特別編は7日辺りに投稿する予定です。
先に本編を進めないといけませんからね。
それでは、 次回 「技×女装×理由」 をお楽しみに!
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